JP3897122B2 - モータ - Google Patents

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Description

本発明は、ブラシレスモータのステータとブラシレスモータとに係わり、特に、絶縁基板上に導電パターンを巻回してなるコイルを形成し、この基板を複数積層し構造をステータとして用いたブラシレスモータに関するものである。
本発明に関連する従来技術として、例えば、特開平2002−112524号公報に記載されたリニアモータの可動コイルが存在する。この可動コイルは、リニアモータの可動コイルの放熱効果を高めることを目的として、4層の多層基板からなり、各層に渦巻き状の導体パターンからなるコイルが並列に複数形成され、各層のコイルは絶縁層を介してスルーホールにより電気的に接続されてなる構成を備えている。
このような可動コイルによれば、線材を重ね巻きした従来の可動コイルに比べて電流の流れる導体パターンの放熱面積を大きくして放熱効果を高めることができる、また、放熱効果を高めることにより、導体パターンの許容電流密度を大きくできるので、所望のモータ出力を得るために可動コイルに使用する銅の量を減らすことができ、これにより、可動コイルを軽量化しモータの効率を改善できる、という効果が達成される。
特開平2002−112524号公報
上記先行技術には次のような課題がある。第1に、4層の多層基板からなり、各層に渦巻き状の導体パターンからなるコイルが並列に複数形成され、各層のコイルは絶縁層を介してスルーホールにより電気的に接続されてなる構成のコイルは可動コイルであるために、コイルの駆動回路を多層基板に形成することができず、構造が複雑になるという課題がある。第2に、導体パターンの放熱面積を大きくして放熱効果を高めることができるにしてもその放熱効果は十分ではないという課題がある。
そこで、本発明は、前記課題を達成するために、導電層と絶縁層とを交互に形成した積層体からなるブラシレスモータのステータであって、各導電層には巻回された導電パターンのコイルが複数組形成され、前記絶縁層を介して隣接する導電層の前記コイル同士が前記絶縁層に形成されたスルーホールを介して接続されてなるブラシレスモータのステータであることを特徴とする。
本発明の第1の形態においては、前記導電層の少なくとも一つに前記コイルの駆動回路を設けてなる。さらに、前記導電層が前記絶縁層としての絶縁基板に形成されてなる。さらに、隣接する導電層のコイルの各巻き線同士を前記スルーホールを介して互いに接続させてなる。さらに、本発明は、前記ステータと、永久磁石からなる回転子と、を備えてなるブラシレスモータである。
本発明によれば、各層にコイルが形成された多層基板をステータとしたことにより、基板上にコイルの駆動回路を一体に構成することが可能となる。
さらに、本発明は、複数の導電層と複数の絶縁層とを互いに積層させ、各導電層には導電パターンが巻回されたコイルが形成され、前記絶縁層に形成されたスルーホールを介して隣接する導電層のコイルを互いに導通させてなるコイル構造において、前記コイルの前記導電パターンの一巻き毎に前記スルーホールを形成し、当該スルーホールを介して、隣接する導電層のコイルの導電パターンの一巻きと導通させてなることを特徴とする。この構成によれば、スルーホールを介してより高い放熱効果が達成される。
次に本発明に係わるブラシレスモータのコイルステータの実施形態について説明する。図1(A)はその平面図を示し、(B)はその側面図を示すものである。このステータは全体として円形の基板の集合体からなっている。各基板1は後述するブラシレスモータの回転軸方向に積層されている。
10はモータの回転軸が挿入される貫通穴であり、この貫通穴を中心にして3つの略楕円形状に導電パターンが渦巻状或いは環状に巻回されてなるコイルパターン12が均等に円周方向に形成されている。前記基板は、例えば、プリント基板から構成されてなり、絶縁層1Aの上に導電パターン1Bがフォトエッチングの手法等によって形成されている。
基板1上の導体が既述のとおり渦巻き状に巻回されて既述のコイルパターン12を構成している。このコイルパターン12は各基板の導電層に跨って互いに接続して形成されており、ある層のコイルパターンは、絶縁層1Aに形成されたスルーホール14A−C(図2,3参照)を介して基板の積層方向にある両側で隣接する導電層のコイルパターンに接続している。
図2及び図3は、隣接する基板のコイル同士を接続した構成の概念図であり、駆動回路16に接続する第1基板のコイルパターン12Aが第1基板の第1絶縁層に形成された第1スルーホール14Aを介して、第2基板のコイルパターン12Bと接続し、このコイルパターン12Bは第2基板の絶縁層に設けられた第2スルーホール14Bを介して第3基板のコイルパターン12Cに接続されている。
14Cは第3スルーホールであり、12Dは第4番目のコイルパターンである。このコイルパターン12A−12Dは駆動回路16に直列に接続されている。駆動回路16は、複数の基板に渡って形成されているコイルパターンの3つの組(図1の12−1乃至12−3)を切替えて電流をこのコイルパターンに供給することができる。すなわち駆動回路16は、永久磁石からなる回転子の磁極位置に合わせて、電流を流すステータコイルの組を順番に切替えるように動作する。この駆動回路16は、図1及び図3に示すように、プリント基板の導電層と同じ層に形成されている。
なお、図1の符号30は磁気センサに相当するものであり、回転子の磁極の変化を検出してこれを駆動回路に出力する。駆動回路は、この検出データに基づいて電流の流すステータコイルの組を繰り替えている。なお、磁気センサは、電流を流すステータコイルの組を駆動回路によって切替える上で必ずしも必須なものではない。
図4は、図1に示すステータを備えるブラシレスモータの模式図であり、(A)はその平面図であり、(B)はそれを側面方向から見た模式図である。既述の貫通孔10内には回転軸32が挿通されており、この回転軸32と永久磁石からなる固定子20は一体化されているか、あるいは、固定子20に回転軸32が圧入されているために、固定子20は回転軸32と一体になって回転する。回転軸32は、モータのケース50に嵌装してなる軸受34によって回転自在に支持されている。
符号20は、図1に示してなる複数の基板が積層された多層基板を供えたステータであり、このステータ(固定子)に対して回転軸の方向に沿ってシフトされた位置に永久磁石からなる回転子40が設けられている。図4の実施形態によれば、コイルパターンが形成された基板20をステータとしたことにより、駆動回路部16を基板の導電パターンと同層にて形成することができる。
図5は、コイルパターンを形成する形態の他の例を示した模式図である。この図の形態が先に説明されたものと異なるのは次の通りである。コイルパターンの各一巻き毎にスルーホールを設けている点である。すなわち、コイルパターン12Aの第1巻線12A−1の末端に接点12AAが設けられ、これがスルーホール140を介して第2基板のコイルパターン12Bの第1巻き線12B−1の開始端12BAにスルーホールを介して接続されている。コイルパターンの第1巻線12B−1の末端の接点12BBは貫通手段としてのスルーホール140Aを介して第1基板のコイルパターンの第2巻き線12A−2の開始端12ABに接続されている。以後図示するように隣接するパターン間でこれを繰り返すことにより、全ての基板のコイルパターンの各巻き線同士を直列に連結して駆動回路に接続することができる。この実施形態によれば、スルーホールの数が増えるために、コイルで発生した熱を増えたスルーホールを介して十分放熱できるという効果を達成する。スルーホールは直径約0.3mm〜1.5mmの穴であり、穴の側壁に導電パターンが被覆されている。スルーホールを介してステータコイルに電流を流した際の発生熱を放出する。
次に既述のブラシレスモータを図6に示すように、コイル12の組を3つから6極になるように、より多極化してもよい。
図7はブラシレスモータの第3の実施形態を示したものである。すなわち、多層基板のセット(1組)を回転軸32の方向に複数組積層した構成である。図8は、さらに他の実施形態に係わるものであり、固定子20の円周回りに多層基板20を並べて配置した。多層基板の中心は大きい径の固定子が収容可能な程度の孔が形成され、各多層基板にはより多極に形成されたステータコイルの組が均等に円周方向に配置されている。この構成によれば、ブラシレスモータを既述の実施例のものに比較してより薄くすることができる。
図9は請求項に記載したコイル構造をソレノイドに応用した実施形態に係わる断面図を示したものである。この実施例では、軸(プランジャ)32が永久磁石で構成されている。プランジャは固定子(多層基板)20へ供給される駆動信号によって、矢印方向に沿って進退可能に構成されている。モータのケース50はプランジャをこの方向に移動可能にするための軸受34を備え、この軸受によってプランジャがモータのケースに支持されている。
この軸受は、ケースの厚さ方向で2箇所対向して設けられており、軸32を2点軸支する。この軸受のための構造として、公知のものを適用できる。また、特願2002−258229号において提案された磁気軸受構造を適用することもできる。この軸受構造は、軸32を一対の磁石構造に依る磁気反発力に基づいて非接触状態で軸支するものであり、回転軸に振動が発生しても軸受構造における機械的な接触を防ぐことが可能となる。
次に本発明の更に他の実施形態について説明する。図10には既述のコイル構造を利用したモータを示している。このモータは、それぞれ環状に形成された、内側ステータ110と外側ステータ112との間に、これも環状に形成されたロータ40がケース114に回転自在に支持された軸32と一体に回転する構造を備えている。図11に示すように、内側ステータと外側ステータとが間隔を持って向き合っており、この間には既述のロータ40が回転自在に置かれている。
前記内側ステータ及び外側ステータには、円周方向に沿って所定のピッチで均等に既述の導電パターン(コイル)16が形成されている。ロータにも円周方向に沿って所定のピッチで均等に永久磁石が配置されている。内側ステータ又は外側ステータでは、絶縁膜1Aを介して複数の導電膜1Cが積層され、複数の導電膜に一連の導電パターンが形成されることによりコイルが作られている。複数の導電膜の間ではスルーホールを介してパターンが連続している。
この実施形態のものは、コイルパターンを作る方向が既述の実施形態のものとは異なっている。すなわち、既述の実施形態のものは導電膜の平面に沿ってパターンが形成されているのに対して、図12及び図13に示すように、複数の導電膜の積層方向に沿ってコイルパターンが形成されている。コイルパターン12は、導電膜の積層方向に沿って渦巻き状になっており(図13参照)、この渦巻き状のコイルパターンがステータの半径方向に沿って複数の層分形成されている(図12参照)。図12の例では、各コイルに9層の渦巻状パターンが備わっている。各層のパターンは、導電膜上で連結されている。
図1は、本発明に係わるステータの概略構成図であり、(A)はその平面図であり、(B)はその側面図である。 図2は、各導電層の導電パターン(コイル)の連結の一例を示す図である。 図3は、各導電層の導電パターン(コイル)の連結構造を説明するための側面図である。 図4は、図1のステータを備えたブラシレスモータを説明する図であり、(A)はその平面図、(B)はその側面図である。 図5は、コイルパターンの形成に係わる第2の例を示す模式図である。 図6は、ブラシレスモータの第2の実施形態であり、図1のブラシレスモータと比較してコイルの組を増やしたもので、(A)はその平面図であり、(B)はその側面図である。 図7は、ブラシレスモータの第3の実施形態であって、コイルパターンが形成された多層基板の複数を積層したものであり、(A)はその平面図、(B)はその側面図である。 図8は、ブラシレスモータの第4の実施形態であって、コイルパターンが形成された多層基板を永久磁石からなる固定子の円周方向に、複数均等に配置したものであり、(A)はその平面図であり、(B)はその側面図である。 図9は、コイル構造をソレノイドに応用した実施形態の側面図を示すものである。 図10は、他のモータ構造の詳細図である。 図11はその一部拡大図である。 図12は当該モータ構造の内部ステータの平面図である。 図13は当該ステータのA−A'方向から見た端面図である。

Claims (2)

  1. 導電層と絶縁層とを交互に形成した積層体中に巻回された導電パターンのコイルが複数組形成されたステータを、それぞれ環状に形成した、内側ステータと外側ステータと、
    前記ステータの間に環状に形成され、永久磁石からなるロータと、を有し、
    前記各コイルの各導電パターンは、前記複数の導電層の積層方向に沿って渦巻き状に形成され、前記各導電パターンは、前記導電層上で接続され、
    前記ロータは、回転自在に支持された軸と一体に回転自在に備えてなることを特徴とするモータ。
  2. 前記渦巻き状に形成された前記導電パターンは、前記ステータの半径方向に沿って複数の層分形成されていることを特徴とする請求項1記載のモータ。
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