JP3896980B2 - ドラム式洗濯乾燥機 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、略水平方向または略傾斜方向に回転軸を有する回転槽内で洗濯、すすぎ、脱水、乾燥などの各行程を逐次制御するドラム式洗濯乾燥機に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種のドラム式洗濯乾燥機は図６に示すような構成であった。以下、その構成について説明する。
【０００３】
図６に示すように、洗濯乾燥機本体１は、内部に複数のサスペンション２とダンパー３で支持した外槽４を設け、外槽４の開口部をドア５により開閉し、外槽４内に回転槽６を回転自在に配設している。回転槽６に多数の通水孔７とバッフル８を設けている。洗濯用給水弁９と乾燥用給水弁１０は洗濯乾燥機本体１に設けている。外槽４に排水口１１を設け、この排水口１１と排水弁１２とを排水経路１３により連通している。
【０００４】
送風機１５は吹き出し口１４を介して回転槽６内に送風するもので、この送風機１５はヒータ１６と連通し、外槽４内と送風機１５と連通した熱交換器１７とによって、一連の送風経路２２を構成している。送風経路２２は２箇所の蛇腹ホース１８を介して外槽４に接続している。給水ホース１９は乾燥用給水弁１０から熱交換器１７内に通水するものである。フィルター装置２０は、洗濯乾燥機本体１の天面より上下方向に移動することによって出し入れ可能に送風経路２２の途中に設けている（例えば、特許文献１参照）。
【０００５】
上記構成において洗濯・乾燥行程の動作を説明する。回転槽６内に衣類（洗濯物）を投入し洗濯行程を開始すると、洗濯用給水弁９が開き、洗剤入れ２１を通過し、外槽４内に所定の水位まで給水する。つぎに、回転槽６が約５０ｒ／ｍｉｎで回転し、投入された衣類はバッフル８によって持ち上げられては落下するのを繰り返し、洗剤水の化学力と水面に落下したときの衝撃力によって洗浄される。洗濯行程が終わると排水弁１２を駆動し、洗濯水を排水経路１３を通して排水する。排水が終わると回転槽６を約１０００ｒ／ｍｉｎで高速回転し脱水を行う。さらに脱水行程が終了すると乾燥行程へ移行する。
【０００６】
乾燥行程では、洗濯行程と同様に回転槽６を駆動し、回転槽６内の衣類を撹拌しながら、送風機１５とヒータ１６によって加熱された熱風を回転槽６内の衣類に吹き出し口１４から吹き付け、衣類内に含まれた水分を加熱し蒸発させる。蒸気を含む高温の空気は熱交換器１７内に送られ、乾燥用給水弁１０から熱交換器１７内に供給された冷却水と混合し、熱交換を行い冷却除湿される。また、除湿された空気はフィルター装置２０により、衣類から発生したリントを捕集し、さらに、除湿された空気はヒータ１６によって再び加熱され、送風経路２２を通って、回転槽６内に送られ衣類の乾燥を行う。これによって一連の乾燥サイクルを形成している。
【０００７】
【特許文献１】
特開２０００−９３６９７号公報
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構成では、乾燥行程中に送風機１５を運転することにより乾燥のための温風を送風経路２２内を循環させており、送風経路２２の途中にフィルター装置２０を設けているが、その配置位置は洗濯乾燥機本体１の後方であり、洗濯乾燥機本体１の天面より上下方向に出し入れする構成であるため、フィルター装置２０の掃除の際の着脱が面倒であった。
【０００９】
さらに、キッチン空間等へビルトインする場合には、洗濯乾燥機本体１の天面よりフィルター装置２０の着脱ができないので、キッチン空間等へビルトインするものでは、フィルター装置２０を配置できない。ところが、フィルター装置２０がない場合は、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントが送風経路２２内を循環し、送風機１５やヒータ１６に悪影響を与えたり、衣類へのリントの再付着が発生するという問題を有していた。
【００１０】
また、送風経路２２の吹き出し口を外槽４の開口部とドア５との間を封止するパッキングの一部を切り欠いて配置していたので、パッキングの形状が複雑になるという問題を有していた。
【００１１】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、キッチン空間等へビルトインするタイプの機種を含むすべての機種にフィルター装置を配置できるようにし、かつフィルター装置を容易に着脱して掃除が簡単にできるようにし、使い勝手を向上するとともに、安価で信頼性の高いパッキングを使用したドラム式洗濯乾燥機を提供することを目的としている。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、略水平方向または略傾斜方向に回転軸を有する回転槽を洗浄水を溜める外槽内に内包し、回転槽内に送風経路を通して乾燥用空気を送風するよう構成し、外槽の前面部に設けた衣類投入口を開閉するドアと、衣類投入口とドアとの間を封止するパッキングと、送風経路の途中に設けられリントを捕集するフィルター装置とを備え、送風経路は、空気が、回転槽と外槽の間を通り外槽の前面部で、かつ衣類投入口の上部を経由し、外槽の後面より回転槽内に戻るように構成され、フィルター装置は、外槽の前面部のパッキングの取付部より後方の外槽の前面部に着脱可能に設けたものである。
【００１３】
これにより、キッチン空間等へビルトインするタイプの機種を含むすべての機種にフィルター装置を配置することができ、かつフィルター装置を容易に着脱できて掃除を簡単にすることができ、使い勝手を向上するとともに、安価で信頼性の高いパッキングを使用したドラム式洗濯乾燥機を提供することができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、略水平方向または略傾斜方向に回転軸を有する回転槽と、前記回転槽を内包し洗浄水を溜める外槽と、前記回転槽内に乾燥用空気を送風する送風経路と、前記外槽の前面部に設けた衣類投入口と、前記衣類投入口を開閉するドアと、前記衣類投入口と前記ドアとの間を封止するパッキングと、前記送風経路の途中に設けられリントを捕集するフィルター装置とを備え、前記送風経路は、空気が、前記回転槽と 外槽の間を通り前記外槽の前面部で、かつ前記衣類投入口の上部を経由し、前記外槽の後面より前記回転槽内に戻るように構成され、前記フィルター装置は、前記外槽の前面部の前記パッキングの取付部より後方の前記外槽の前面部に着脱可能に設けたものであり、キッチン空間等へビルトインするタイプの機種を含むすべての機種にフィルター装置を配置することができ、かつフィルター装置を容易に着脱できて掃除を簡単にすることができ、使い勝手を向上することができるとともに、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントをフィルター装置により捕集することができるため、衣類へリントが再び付着することや送風経路へのリントの堆積による風量低下のため乾燥時間が伸びるのを防止することができる。また、フィルター装置を掃除し忘れて、再び洗濯した場合でも、洗濯時の洗浄水がフィルター装置に達しないので、フィルター装置により捕集したリントが洗濯行程中に流されることがなく、また、フィルター装置を高い位置に配置できるので、腰を屈めることなく、楽に着脱することができる。さらに、従来のように、送風経路の吹き出し口によりパッキングの一部を切り欠く必要がないので、形状が簡単なパッキングを使用することができ、安価で信頼性の高いパッキングを使用したドラム式洗濯乾燥機を提供することができる。
【００１５】
請求項２に記載の発明は、上記請求項１に記載の発明において、フィルター装置は、衣類投入口に沿ってスライドさせることにより着脱可能としたものであり、フィルター装置にリントが付着しても、衣類投入口近傍より簡単にフィルター装置を着脱することができ、フィルター装置自体の持ち運びができて、フィルター装置の掃除を楽にすることができる。
【００１６】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【００１７】
（実施例１）
図１および図２に示すように、回転槽２３は、略水平方向に回転軸を有し、外槽２４内に回転自在に配設し、外槽２４の開口部をドア２５により開閉するよう構成している。外槽２４の開口部とドア２５との間をパッキング２６により封止している。送風機２７は回転槽２３内に乾燥空気を送風するもので、送風経路２８を介して回転槽２３内に送風する。熱交換器２９は外槽２４内の一部に形成し、蒸発した水分を含む空気を熱交換して結露させる。また、送風経路２８内にヒータ３０を設けている。
【００１８】
フィルター装置３１は、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントを捕集するもので、送風経路２８ａの途中の衣類投入口近傍で、外槽２４の前面の半円上部に取り付けている。
【００１９】
上記構成において動作を説明する。送風機２７により送風された乾燥空気はヒータ３０により加熱されて、送風経路２８を矢印方向に通ることにより、回転槽２３内に送風される。乾燥行程では回転槽２３が回転することにより、回転槽２３内の衣類が撹拌される。また、回転槽２３内の衣類を撹拌させながら、送風経路２８より回転槽２３内に温風が送られ、回転槽２３内の空気を暖めるのと同時に湿った衣類の温度を上昇させ、衣類の水分を蒸発させる。
【００２０】
蒸発した水分を含む空気は、回転槽２３の多数の小穴から外槽２４へ送られ、外槽２４内の一部に形成した熱交換器２９内において、乾燥用給水弁３２より送られる水によって空気中の水分を結露させることにより、乾燥空気となって送風機２７に送られる。また、回転槽２３と外槽２４の間の乾燥空気は外槽２４の前方の送風経路２８ａを通り、送風機２７へ戻るという経路で空気の循環が行われる。
【００２１】
ここで、衣類を撹拌しながら、乾燥する際に発生したリントは、この一連の経路を通ることとなるが、送風経路２８ａ内に設けたフィルター装置３１により補集される。フィルター装置３１は、外槽２４の前面の半円上部に取り付けていて、衣類の投入口のすぐ上方に設置されている。
【００２２】
このため、ドア２５を開けるとフィルター装置３１は見えており、前方の下方方向に引き出すことにより取り外すことができる。このとき、フィルター装置３１の着脱には殆ど腰を屈める必要がない。
【００２３】
これによって、乾燥行程中に発生するリントがフィルター装置３１により補集され、再び、回転槽２１内に流れ込むことがなくなるために、衣類から発生したリントにより衣類の仕上りが悪くなることを防止することができる。また、補集したリントはフィルター装置３１を取り外すことによって、簡単に掃除することができる。
【００２４】
このように本実施例によれば、外槽２４の衣類投入口の周囲に送風経路２８ａを導き、送風経路２８ａの途中の衣類投入口近傍にフィルター装置３１を設けたので、キッチン空間等へビルトインするタイプの機種を含むすべての機種にフィルター装置３１を配置することができ、かつフィルター装置３１を容易に着脱できて掃除を簡単にすることができ、使い勝手を向上することができる。また、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントをフィルター装置３１により捕集することができるため、衣類へリントが再び付着することや送風経路２８へのリントの堆積による風量低下のため乾燥時間が伸びるのを防止することができる。
【００２５】
また、フィルター装置３１は、外槽２４の前面の半円上部に設けたので、フィルター装置３１を掃除し忘れて、再び洗濯した場合でも、洗濯時の洗浄水がフィルター装置３１に達しないので、フィルター装置３１により捕集したリントが洗濯行程中に流されることがなく、また、フィルター装置３１を高い位置に配置できるので、腰を屈めることなく、楽に着脱することができる。
【００２６】
なお、本実施例では、回転槽２３は、略水平方向に回転軸を有しているが、略傾斜方向に回転軸を有するものでもよく、同様の作用、効果を得ることができる。
【００２７】
（実施例２）
図３および図４に示すように、回転槽３３は、略水平方向に回転軸を有し、外槽３４内に回転自在に配設し、外槽３４の開口部をドア３５により開閉するよう構成している。送風機３６は回転槽３３内に乾燥空気を送風するもので、送風経路３７を介して回転槽３３内に送風する。熱交換器３８は外槽３４内の一部に形成し、蒸発した水分を含む空気を熱交換して結露させる。また、送風経路３７内にヒータ３９を設けている。
【００２８】
パッキング４０は、外槽３４の開口部をドア３５との間を封止するもので、送風経路３７の入口はパッキング４０の後方に設けている。フィルター装置４１は、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントを捕集するもので、外槽３４の前面の半円上部に回転させることにより着脱可能に取り付けている。
【００２９】
上記構成において動作を説明する。送風機３６から送風された乾燥空気はヒータ３９により加熱されて、送風経路３７を矢印方向に通ることにより、回転槽３３内に送風される。乾燥行程では回転槽３３が回転することにより、回転槽３３内の衣類が撹拌される。また、回転槽３３内の衣類を撹拌させながら、送風経路３７より回転槽３３内に温風が送られ、回転槽３３内の空気を暖めるのと同時に湿った衣類の温度を上昇させ、衣類の水分を蒸発させる。
【００３０】
蒸発した水分を含む空気は、回転槽３３の多数の小穴から外槽３４へ送られ、外槽３４内の一部に形成した熱交換器３８内において、乾燥用給水弁４２より送られる水によって空気中の水分を結露させることにより、乾燥空気となって送風機３６に送られる。また、回転槽３３と外槽３４の間の乾燥空気は外槽３４の前方の送風経路３７ａを通り、送風機３６へ戻るという経路で空気の循環が行われる。
【００３１】
ここで、衣類を撹拌しながら、乾燥する際に発生したリントは、この一連の経路を通ることとなるが、送風経路３７ａ内に設けたフィルター装置４１により補集される。フィルター装置４１は回転させることにより、取り外し可能な位置に移動させることができる。
【００３２】
これによって、衣類から発生するリントを捕集し、衣類へのリントの再付着を防止することができる。捕集したリントは外槽３４の開口部よりフィルター装置４１を取り外すことによって簡単に掃除することができる。
【００３３】
また、フィルター装置４１は外槽３４の前面の半円上部に取り付けているので、フィルター装置４１の着脱には殆ど腰を屈めることなく、楽に着脱することができる。
【００３４】
このように本実施例によれば、フィルター装置４１は、前面部のパッキング取付部より後方に設けたので、従来のように、送風経路の吹き出し口によりパッキングの一部を切り欠く必要がないので、形状が簡単なパッキング４１を使用することができ、安価で信頼性の高いパッキング４１を使用することができる。
【００３５】
また、フィルター装置４１は、回転させることにより着脱可能としたので、フィルター装置４１にリントが付着しても、衣類投入口近傍より簡単にフィルター装置４１を着脱することができ、フィルター装置４１自体の持ち運びができて、フィルター装置４１の掃除を楽にすることができる。
【００３６】
なお、本実施例では、回転槽３３は、略水平方向に回転軸を有しているが、略傾斜方向に回転軸を有するものでもよく、同様の作用、効果を得ることができる。
【００３７】
（実施例３）
図５に示すように、外ドア４３は、上方向に開閉するものであり、外槽４４の開口部に内ドア４５を開閉自在に設け、外槽４４内に略水平方向に回転軸を有する回転槽４６を回転自在に配設している。外槽４４の側面円形部の略中央に送風経路４７の入口４７ａを連結し、外槽４４の円周部に送風経路４７の出口４７ｂを連結している。
【００３８】
送風機４８は回転槽４６内に乾燥空気を送風するもので、送風経路４７を介して回転槽４６内に送風し、送風経路４７内にヒータ４９を設けている。フィルター装置５０は、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントを捕集するもので、外槽４４の上部の衣類投入口近傍にスライドさせることにより着脱可能に取り付けている。
【００３９】
上記構成において動作を説明する。送風機４８から送風された乾燥空気はヒータ４９により加熱されて、送風経路４７を通ることにより、回転槽４６内に送風される。乾燥行程では回転槽４６が回転することにより、回転槽４６内の衣類が撹拌される。また、回転槽４６内の衣類を撹拌させながら、送風経路４７より回転槽４６内に温風が送られ、回転槽４６内の空気を暖めるのと同時に湿った衣類の温度を上昇させ、衣類の水分を蒸発させる。
【００４０】
衣類を撹拌しながら、乾燥する際に発生したリントは、この一連の経路を通ることとなるが、送風経路４７内に設けたフィルター装置５０により補集される。
【００４１】
これによって、衣類から発生するリントを捕集し、捕集したリントは外槽４４の開口部よりフィルター装置５０をスライドさせて取り出すことによって、簡単に掃除することができる。
【００４２】
このように本実施例によれば、フィルター装置５０は、スライドさせることにより着脱可能としたので、フィルター装置５０にリントが付着しても、衣類投入口近傍より簡単にフィルター装置５０を着脱することができ、フィルター装置５０自体の持ち運びができて、フィルター装置５０の掃除を楽にすることができる。
【００４３】
なお、本実施例では、回転槽４６は、略水平方向に回転軸を有しているが、略傾斜方向に回転軸を有するものでもよく、同様の作用、効果を得ることができる。
【００４４】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項１に記載の発明によれば、回転槽内に乾燥用空気を送風する送風経路を外槽の衣類投入口の周囲に導き、送風経路の途中の衣類投入口近傍にフィルター装置を設けたから、キッチン空間等へビルトインするタイプの機種を含むすべての機種にフィルター装置を配置することができ、かつフィルター装置を容易に着脱できて掃除を簡単にすることができ、しかも、フィルター装置の有無や目詰まり状態を容易に確認することができ、使い勝手を向上するとともに、安価で信頼性の高いパッキングを使用したドラム式洗濯乾燥機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施例のドラム式洗濯乾燥機の断面図
【図２】 同ドラム式洗濯乾燥機の一部切欠した正面図
【図３】 本発明の第２の実施例のドラム式洗濯乾燥機の断面図
【図４】 同ドラム式洗濯乾燥機の一部切欠した正面図
【図５】 本発明の第３の実施例のドラム式洗濯乾燥機の断面図
【図６】 従来のドラム式洗濯乾燥機の断面図
【符号の説明】
２３ 回転槽
２４ 外槽
２８ 送風経路
３１ フィルター装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、略水平方向または略傾斜方向に回転軸を有する回転槽内で洗濯、すすぎ、脱水、乾燥などの各行程を逐次制御するドラム式洗濯乾燥機に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種のドラム式洗濯乾燥機は図６に示すような構成であった。以下、その構成について説明する。
【０００３】
図６に示すように、洗濯乾燥機本体１は、内部に複数のサスペンション２とダンパー３で支持した外槽４を設け、外槽４の開口部をドア５により開閉し、外槽４内に回転槽６を回転自在に配設している。回転槽６に多数の通水孔７とバッフル８を設けている。洗濯用給水弁９と乾燥用給水弁１０は洗濯乾燥機本体１に設けている。外槽４に排水口１１を設け、この排水口１１と排水弁１２とを排水経路１３により連通している。
【０００４】
送風機１５は吹き出し口１４を介して回転槽６内に送風するもので、この送風機１５はヒータ１６と連通し、外槽４内と送風機１５と連通した熱交換器１７とによって、一連の送風経路２２を構成している。送風経路２２は２箇所の蛇腹ホース１８を介して外槽４に接続している。給水ホース１９は乾燥用給水弁１０から熱交換器１７内に通水するものである。フィルター装置２０は、洗濯乾燥機本体１の天面より上下方向に移動することによって出し入れ可能に送風経路２２の途中に設けている（例えば、特許文献１参照）。
【０００５】
上記構成において洗濯・乾燥行程の動作を説明する。回転槽６内に衣類（洗濯物）を投入し洗濯行程を開始すると、洗濯用給水弁９が開き、洗剤入れ２１を通過し、外槽４内に所定の水位まで給水する。つぎに、回転槽６が約５０ｒ／ｍｉｎで回転し、投入された衣類はバッフル８によって持ち上げられては落下するのを繰り返し、洗剤水の化学力と水面に落下したときの衝撃力によって洗浄される。洗濯行程が終わると排水弁１２を駆動し、洗濯水を排水経路１３を通して排水する。排水が終わると回転槽６を約１０００ｒ／ｍｉｎで高速回転し脱水を行う。さらに脱水行程が終了すると乾燥行程へ移行する。
【０００６】
乾燥行程では、洗濯行程と同様に回転槽６を駆動し、回転槽６内の衣類を撹拌しながら、送風機１５とヒータ１６によって加熱された熱風を回転槽６内の衣類に吹き出し口１４から吹き付け、衣類内に含まれた水分を加熱し蒸発させる。蒸気を含む高温の空気は熱交換器１７内に送られ、乾燥用給水弁１０から熱交換器１７内に供給された冷却水と混合し、熱交換を行い冷却除湿される。また、除湿された空気はフィルター装置２０により、衣類から発生したリントを捕集し、さらに、除湿された空気はヒータ１６によって再び加熱され、送風経路２２を通って、回転槽６内に送られ衣類の乾燥を行う。これによって一連の乾燥サイクルを形成している。
【０００７】
【特許文献１】
特開２０００−９３６９７号公報
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構成では、乾燥行程中に送風機１５を運転することにより乾燥のための温風を送風経路２２内を循環させており、送風経路２２の途中にフィルター装置２０を設けているが、その配置位置は洗濯乾燥機本体１の後方であり、洗濯乾燥機本体１の天面より上下方向に出し入れする構成であるため、フィルター装置２０の掃除の際の着脱が面倒であった。
【０００９】
さらに、キッチン空間等へビルトインする場合には、洗濯乾燥機本体１の天面よりフィルター装置２０の着脱ができないので、キッチン空間等へビルトインするものでは、フィルター装置２０を配置できない。ところが、フィルター装置２０がない場合は、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントが送風経路２２内を循環し、送風機１５やヒータ１６に悪影響を与えたり、衣類へのリントの再付着が発生するという問題を有していた。
【００１０】
また、送風経路２２の吹き出し口を外槽４の開口部とドア５との間を封止するパッキングの一部を切り欠いて配置していたので、パッキングの形状が複雑になるという問題を有していた。
【００１１】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、キッチン空間等へビルトインするタイプの機種を含むすべての機種にフィルター装置を配置できるようにし、かつフィルター装置を容易に着脱して掃除が簡単にできるようにし、使い勝手を向上するとともに、安価で信頼性の高いパッキングを使用したドラム式洗濯乾燥機を提供することを目的としている。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、略水平方向または略傾斜方向に回転軸を有する回転槽を洗浄水を溜める外槽内に内包し、回転槽内に送風経路を通して乾燥用空気を送風するよう構成し、外槽の前面部に設けた衣類投入口を開閉するドアと、衣類投入口とドアとの間を封止するパッキングと、送風経路の途中に設けられリントを捕集するフィルター装置とを備え、送風経路は、空気が、回転槽と外槽の間を通り外槽の前面部で、かつ衣類投入口の上部を経由し、外槽の後面より回転槽内に戻るように構成され、フィルター装置は、外槽の前面部のパッキングの取付部より後方の外槽の前面部に着脱可能に設けたものである。
【００１３】
これにより、キッチン空間等へビルトインするタイプの機種を含むすべての機種にフィルター装置を配置することができ、かつフィルター装置を容易に着脱できて掃除を簡単にすることができ、使い勝手を向上するとともに、安価で信頼性の高いパッキングを使用したドラム式洗濯乾燥機を提供することができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、略水平方向または略傾斜方向に回転軸を有する回転槽と、前記回転槽を内包し洗浄水を溜める外槽と、前記回転槽内に乾燥用空気を送風する送風経路と、前記外槽の前面部に設けた衣類投入口と、前記衣類投入口を開閉するドアと、前記衣類投入口と前記ドアとの間を封止するパッキングと、前記送風経路の途中に設けられリントを捕集するフィルター装置とを備え、前記送風経路は、空気が、前記回転槽と 外槽の間を通り前記外槽の前面部で、かつ前記衣類投入口の上部を経由し、前記外槽の後面より前記回転槽内に戻るように構成され、前記フィルター装置は、前記外槽の前面部の前記パッキングの取付部より後方の前記外槽の前面部に着脱可能に設けたものであり、キッチン空間等へビルトインするタイプの機種を含むすべての機種にフィルター装置を配置することができ、かつフィルター装置を容易に着脱できて掃除を簡単にすることができ、使い勝手を向上することができるとともに、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントをフィルター装置により捕集することができるため、衣類へリントが再び付着することや送風経路へのリントの堆積による風量低下のため乾燥時間が伸びるのを防止することができる。また、フィルター装置を掃除し忘れて、再び洗濯した場合でも、洗濯時の洗浄水がフィルター装置に達しないので、フィルター装置により捕集したリントが洗濯行程中に流されることがなく、また、フィルター装置を高い位置に配置できるので、腰を屈めることなく、楽に着脱することができる。さらに、従来のように、送風経路の吹き出し口によりパッキングの一部を切り欠く必要がないので、形状が簡単なパッキングを使用することができ、安価で信頼性の高いパッキングを使用したドラム式洗濯乾燥機を提供することができる。
【００１５】
請求項２に記載の発明は、上記請求項１に記載の発明において、フィルター装置は、衣類投入口に沿ってスライドさせることにより着脱可能としたものであり、フィルター装置にリントが付着しても、衣類投入口近傍より簡単にフィルター装置を着脱することができ、フィルター装置自体の持ち運びができて、フィルター装置の掃除を楽にすることができる。
【００１６】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【００１７】
（実施例１）
図１および図２に示すように、回転槽２３は、略水平方向に回転軸を有し、外槽２４内に回転自在に配設し、外槽２４の開口部をドア２５により開閉するよう構成している。外槽２４の開口部とドア２５との間をパッキング２６により封止している。送風機２７は回転槽２３内に乾燥空気を送風するもので、送風経路２８を介して回転槽２３内に送風する。熱交換器２９は外槽２４内の一部に形成し、蒸発した水分を含む空気を熱交換して結露させる。また、送風経路２８内にヒータ３０を設けている。
【００１８】
フィルター装置３１は、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントを捕集するもので、送風経路２８ａの途中の衣類投入口近傍で、外槽２４の前面の半円上部に取り付けている。
【００１９】
上記構成において動作を説明する。送風機２７により送風された乾燥空気はヒータ３０により加熱されて、送風経路２８を矢印方向に通ることにより、回転槽２３内に送風される。乾燥行程では回転槽２３が回転することにより、回転槽２３内の衣類が撹拌される。また、回転槽２３内の衣類を撹拌させながら、送風経路２８より回転槽２３内に温風が送られ、回転槽２３内の空気を暖めるのと同時に湿った衣類の温度を上昇させ、衣類の水分を蒸発させる。
【００２０】
蒸発した水分を含む空気は、回転槽２３の多数の小穴から外槽２４へ送られ、外槽２４内の一部に形成した熱交換器２９内において、乾燥用給水弁３２より送られる水によって空気中の水分を結露させることにより、乾燥空気となって送風機２７に送られる。また、回転槽２３と外槽２４の間の乾燥空気は外槽２４の前方の送風経路２８ａを通り、送風機２７へ戻るという経路で空気の循環が行われる。
【００２１】
ここで、衣類を撹拌しながら、乾燥する際に発生したリントは、この一連の経路を通ることとなるが、送風経路２８ａ内に設けたフィルター装置３１により補集される。フィルター装置３１は、外槽２４の前面の半円上部に取り付けていて、衣類の投入口のすぐ上方に設置されている。
【００２２】
このため、ドア２５を開けるとフィルター装置３１は見えており、前方の下方方向に引き出すことにより取り外すことができる。このとき、フィルター装置３１の着脱には殆ど腰を屈める必要がない。
【００２３】
これによって、乾燥行程中に発生するリントがフィルター装置３１により補集され、再び、回転槽２１内に流れ込むことがなくなるために、衣類から発生したリントにより衣類の仕上りが悪くなることを防止することができる。また、補集したリントはフィルター装置３１を取り外すことによって、簡単に掃除することができる。
【００２４】
このように本実施例によれば、外槽２４の衣類投入口の周囲に送風経路２８ａを導き、送風経路２８ａの途中の衣類投入口近傍にフィルター装置３１を設けたので、キッチン空間等へビルトインするタイプの機種を含むすべての機種にフィルター装置３１を配置することができ、かつフィルター装置３１を容易に着脱できて掃除を簡単にすることができ、使い勝手を向上することができる。また、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントをフィルター装置３１により捕集することができるため、衣類へリントが再び付着することや送風経路２８へのリントの堆積による風量低下のため乾燥時間が伸びるのを防止することができる。
【００２５】
また、フィルター装置３１は、外槽２４の前面の半円上部に設けたので、フィルター装置３１を掃除し忘れて、再び洗濯した場合でも、洗濯時の洗浄水がフィルター装置３１に達しないので、フィルター装置３１により捕集したリントが洗濯行程中に流されることがなく、また、フィルター装置３１を高い位置に配置できるので、腰を屈めることなく、楽に着脱することができる。
【００２６】
なお、本実施例では、回転槽２３は、略水平方向に回転軸を有しているが、略傾斜方向に回転軸を有するものでもよく、同様の作用、効果を得ることができる。
【００２７】
（実施例２）
図３および図４に示すように、回転槽３３は、略水平方向に回転軸を有し、外槽３４内に回転自在に配設し、外槽３４の開口部をドア３５により開閉するよう構成している。送風機３６は回転槽３３内に乾燥空気を送風するもので、送風経路３７を介して回転槽３３内に送風する。熱交換器３８は外槽３４内の一部に形成し、蒸発した水分を含む空気を熱交換して結露させる。また、送風経路３７内にヒータ３９を設けている。
【００２８】
パッキング４０は、外槽３４の開口部をドア３５との間を封止するもので、送風経路３７の入口はパッキング４０の後方に設けている。フィルター装置４１は、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントを捕集するもので、外槽３４の前面の半円上部に回転させることにより着脱可能に取り付けている。
【００２９】
上記構成において動作を説明する。送風機３６から送風された乾燥空気はヒータ３９により加熱されて、送風経路３７を矢印方向に通ることにより、回転槽３３内に送風される。乾燥行程では回転槽３３が回転することにより、回転槽３３内の衣類が撹拌される。また、回転槽３３内の衣類を撹拌させながら、送風経路３７より回転槽３３内に温風が送られ、回転槽３３内の空気を暖めるのと同時に湿った衣類の温度を上昇させ、衣類の水分を蒸発させる。
【００３０】
蒸発した水分を含む空気は、回転槽３３の多数の小穴から外槽３４へ送られ、外槽３４内の一部に形成した熱交換器３８内において、乾燥用給水弁４２より送られる水によって空気中の水分を結露させることにより、乾燥空気となって送風機３６に送られる。また、回転槽３３と外槽３４の間の乾燥空気は外槽３４の前方の送風経路３７ａを通り、送風機３６へ戻るという経路で空気の循環が行われる。
【００３１】
ここで、衣類を撹拌しながら、乾燥する際に発生したリントは、この一連の経路を通ることとなるが、送風経路３７ａ内に設けたフィルター装置４１により補集される。フィルター装置４１は回転させることにより、取り外し可能な位置に移動させることができる。
【００３２】
これによって、衣類から発生するリントを捕集し、衣類へのリントの再付着を防止することができる。捕集したリントは外槽３４の開口部よりフィルター装置４１を取り外すことによって簡単に掃除することができる。
【００３３】
また、フィルター装置４１は外槽３４の前面の半円上部に取り付けているので、フィルター装置４１の着脱には殆ど腰を屈めることなく、楽に着脱することができる。
【００３４】
このように本実施例によれば、フィルター装置４１は、前面部のパッキング取付部より後方に設けたので、従来のように、送風経路の吹き出し口によりパッキングの一部を切り欠く必要がないので、形状が簡単なパッキング４１を使用することができ、安価で信頼性の高いパッキング４１を使用することができる。
【００３５】
また、フィルター装置４１は、回転させることにより着脱可能としたので、フィルター装置４１にリントが付着しても、衣類投入口近傍より簡単にフィルター装置４１を着脱することができ、フィルター装置４１自体の持ち運びができて、フィルター装置４１の掃除を楽にすることができる。
【００３６】
なお、本実施例では、回転槽３３は、略水平方向に回転軸を有しているが、略傾斜方向に回転軸を有するものでもよく、同様の作用、効果を得ることができる。
【００３７】
（実施例３）
図５に示すように、外ドア４３は、上方向に開閉するものであり、外槽４４の開口部に内ドア４５を開閉自在に設け、外槽４４内に略水平方向に回転軸を有する回転槽４６を回転自在に配設している。外槽４４の側面円形部の略中央に送風経路４７の入口４７ａを連結し、外槽４４の円周部に送風経路４７の出口４７ｂを連結している。
【００３８】
送風機４８は回転槽４６内に乾燥空気を送風するもので、送風経路４７を介して回転槽４６内に送風し、送風経路４７内にヒータ４９を設けている。フィルター装置５０は、乾燥行程中に衣類などが回転撹拌することによって剥がれたリントを捕集するもので、外槽４４の上部の衣類投入口近傍にスライドさせることにより着脱可能に取り付けている。
【００３９】
上記構成において動作を説明する。送風機４８から送風された乾燥空気はヒータ４９により加熱されて、送風経路４７を通ることにより、回転槽４６内に送風される。乾燥行程では回転槽４６が回転することにより、回転槽４６内の衣類が撹拌される。また、回転槽４６内の衣類を撹拌させながら、送風経路４７より回転槽４６内に温風が送られ、回転槽４６内の空気を暖めるのと同時に湿った衣類の温度を上昇させ、衣類の水分を蒸発させる。
【００４０】
衣類を撹拌しながら、乾燥する際に発生したリントは、この一連の経路を通ることとなるが、送風経路４７内に設けたフィルター装置５０により補集される。
【００４１】
これによって、衣類から発生するリントを捕集し、捕集したリントは外槽４４の開口部よりフィルター装置５０をスライドさせて取り出すことによって、簡単に掃除することができる。
【００４２】
このように本実施例によれば、フィルター装置５０は、スライドさせることにより着脱可能としたので、フィルター装置５０にリントが付着しても、衣類投入口近傍より簡単にフィルター装置５０を着脱することができ、フィルター装置５０自体の持ち運びができて、フィルター装置５０の掃除を楽にすることができる。
【００４３】
なお、本実施例では、回転槽４６は、略水平方向に回転軸を有しているが、略傾斜方向に回転軸を有するものでもよく、同様の作用、効果を得ることができる。
【００４４】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項１に記載の発明によれば、回転槽内に乾燥用空気を送風する送風経路を外槽の衣類投入口の周囲に導き、送風経路の途中の衣類投入口近傍にフィルター装置を設けたから、キッチン空間等へビルトインするタイプの機種を含むすべての機種にフィルター装置を配置することができ、かつフィルター装置を容易に着脱できて掃除を簡単にすることができ、しかも、フィルター装置の有無や目詰まり状態を容易に確認することができ、使い勝手を向上するとともに、安価で信頼性の高いパッキングを使用したドラム式洗濯乾燥機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施例のドラム式洗濯乾燥機の断面図
【図２】 同ドラム式洗濯乾燥機の一部切欠した正面図
【図３】 本発明の第２の実施例のドラム式洗濯乾燥機の断面図
【図４】 同ドラム式洗濯乾燥機の一部切欠した正面図
【図５】 本発明の第３の実施例のドラム式洗濯乾燥機の断面図
【図６】 従来のドラム式洗濯乾燥機の断面図
【符号の説明】
２３ 回転槽
２４ 外槽
２８ 送風経路
３１ フィルター装置
Claims (2)
- 略水平方向または略傾斜方向に回転軸を有する回転槽と、前記回転槽を内包し洗浄水を溜める外槽と、前記回転槽内に乾燥用空気を送風する送風経路と、前記外槽の前面部に設けた衣類投入口と、前記衣類投入口を開閉するドアと、前記衣類投入口と前記ドアとの間を封止するパッキングと、前記送風経路の途中に設けられリントを捕集するフィルター装置とを備え、前記送風経路は、空気が、前記回転槽と外槽の間を通り前記外槽の前面部で、かつ前記衣類投入口の上部を経由し、前記外槽の後面より前記回転槽内に戻るように構成され、前記フィルター装置は、前記外槽の前面部の前記パッキングの取付部より後方の前記外槽の前面部に着脱可能に設けたドラム式洗濯乾燥機。
- フィルター装置は、衣類投入口に沿ってスライドさせることにより着脱可能とした請求項１記載のドラム式洗濯乾燥機。
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