JP3939731B2 - ドラム式乾燥洗濯機 - Google Patents

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Description

本発明は、ドラム式乾燥洗濯機に関する。
図1に、従来のドラム式乾燥洗濯機の概略断面図を示す。前記ドラム式乾燥洗濯機は、外箱1と、この外箱1内に配置された水槽4と、この水槽4内に配置され、洗濯物を収容する回転ドラム5と、透明な非屈曲性の外部ドア3と、この外部ドア3を自動で開閉するドア自動開閉機構10と、洗濯物を乾燥させるための乾燥ユニット24とを備えている。
前記外箱1の前面には外箱開口部1aが形成されている。この外箱開口部1aを通して洗濯物の出し入れが行われる。前記外箱開口部1aは、外箱1に対して上下方向にスライド可能な外部ドア3によって開閉される。また、前記外箱1の前面上部には、操作キーや表示部を有する前記操作パネル11が設けられている。この操作パネル11の裏側(水槽4側)には、ドラム式乾燥洗濯機の動作を制御する制御部2が設けられており、操作パネル11への入力により洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程が連続してまたは各工程単独で行われる。前記外箱1は、弾性支持手段の一例としてのサスペンション8によって水槽4を弾性支持する。
前記水槽4は、外箱開口部1aに対向して開口する水槽開口部4aを備えた有底筒形状を有し、その後方側(水槽4の底側)が低い位置となるように傾斜して横向き配置されている。前記水槽開口部4aと外箱開口部1aとは互いに離隔して対向している。また、前記水槽には透明な蓋体6がヒンジ機構にて取り付けられており、水槽開口部4aを開閉自在としている。また、前記蓋体6には、水槽4の開口部4aを閉じたとき、回転ドラム5の内部に向かって突出した状態になる凸部6aが形成されている。水槽開口部4aの内周面部にはシール部材41が配されており、蓋体6にて水槽開口部4aを閉じた際に、前記シール部材41と凸部6aとが密着して水槽開口部4aを水密に維持する。
前記回転ドラム5は、前記水槽開口部4aに対向して開口するドラム開口部5cを備えた有底円筒形状を有し、その後方側(回転ドラム5の底側)が低い位置となるように傾斜して横向き配置されている。前記回転ドラム5は、その背面側に軸部5eを介してモータ9が連結されており、前記制御部2の制御にしたがって回転ドラム5を回転駆動する。また、前記回転ドラム5の周壁全域には複数の小孔5aが形成されている。この小孔5aは、水槽4と回転ドラム5との間の空間と、回転ドラム5内の空間との間で洗濯水(水道水や風呂水などの水、または、洗剤などを含む水)や乾燥空気を流通させる。前記回転ドラム5の内壁面には、半径方向内側に向かって突出するバッフル5bが設けられている。このバッフル5bは、周方向に例えば120°間隔で3ヶ所に設けられ、回転ドラム5の回転に伴って、洗濯物の持上げと落下とを繰り返す。また、前記回転ドラム5の開口部5cを外側から取り囲む流体バランサ5dは、回転ドラム5の回転時に、洗濯物および洗濯水の偏りにより生じるアンバランスを、流体バランサ5dの内部における封入流体の移動によって低減させる。
前記乾燥ユニット24は送風機31と加熱部32とを有し、前記水槽4の上部に設けられている。前記乾燥ユニット24における送風機31と加熱部32の位置は、ドラム式乾燥洗濯機の前後方向でいうと、送風機31が後側で、加熱部32が前側となっている。前記送風機31は、ケーシング33の内部に送風羽根34を備え、この送風羽根34を回転駆動するファンモータ35をケーシング33の外部に設けてなるものである。前記ファンモータ35は送風羽根34に直結され、ダイレクトドライブ構造によって送風羽根34を回転駆動する。一方、前記加熱部32はヒータケース26の内部にヒータ36を備え、このヒータケース26の入口部が送風機31のケーシング33の出口部と連通している。
また、前記水槽4の底部には、図示しない排水弁モータによって開閉される排水弁20が設置されている。この排水弁20の開放により水槽4内の水がフレキシブルな排水ホース19を通して外部に排水される。
また、前記外箱1内において、水槽4の前側には送風ダクト38が配置されている。この送風ダクト38は、一方の端部が加熱部32のヒータケース26の出口部に連通しており、他方の端部は吹出し口38aとなって開口部4aの周縁部において水槽4内および回転ドラム5の開口部5c内に対しても連通している。すなわち、前記送風ダクト38および吹出し口38aは、開口部5cを通じて回転ドラム5の内部に向けて加熱された空気を送風する手段としての役割を担っている。
更に、前記外箱1内の水槽4の背後には除湿器27が配置されている。この除湿器27は、上部から水を注ぎ入れることによって、内部を通る空気の水分を冷却し凝縮させて除湿するものである。前記除湿器27は全体に中空状で、上部に水入口27aおよび空気出口27bを有し、下部に水出口を兼ねる空気入口27cを有している。前記除湿器27の空気出口27bは送風機31のケーシング33の入口部に連通されており、空気入口27cは水槽4内の下部に連通されている。また、前記水入口27aには、図示しない給水装置が接続されている。
前記構成のドラム式乾燥洗濯機によれば、使用者は蓋体6を直接手で開放した後、洗濯物を開口部1aを通して回転ドラム5内に投入して、蓋体6を直接手で閉める。これにより、前記蓋体6の周縁にシール部材41の内周縁41aが密着して水槽4が封止される。そして、使用者が操作パネル11を操作して、制御装置2からの指令により洗濯動作を開始すると、まず、ドア自動開閉機構10によって外部ドア3が前面板7に沿うように図中上方向にスライドする。これにより、前記外部ドア3が略円弧状の移動軌跡を描いて、図2に示すように、外部ドア3で外箱1の開口部1aが閉じられる。その後、洗濯動作が終了すると、ドア自動開閉機構10によって外部ドア3が前面板7に沿うように図中下方向にスライドする。これにより再び、図1に示すように、外箱1の開口部1aが開放される。そして、使用者は蓋体6を直接手で開けた後、回転ドラム5内から洗濯物を取り出す。
乾燥運転時には、送風機31が回転駆動されると共にヒータ36に通電され加熱される。これにより、送風機31で送られた空気は、ヒータケース26を通るうちにヒータ36で加熱され、高温となった空気は、送風ダクト38および吹出し口38a、開口部5cを通じて回転ドラム5の内部の洗濯物に向けて送風され、洗濯物を乾燥させる。回転ドラム5内において洗濯物の湿気を吸収した高温多湿の空気は、回転ドラム5の周面に形成された小孔から回転ドラム5と水槽4との間の空間に排出される。前記回転ドラム5と水槽4との間の空間は、前記の通り除湿機27周囲の空間と連通しており、除湿機27の周囲を流れるうちに、除湿機27内を流れる冷水により冷却された除湿機27の壁と接して結露し除湿される。除湿された空気は再度送風機31でヒータ36を経て回転ドラム5内に送り出される。こうして、回転ドラム5内の洗濯物の乾燥処理が実行される。このようなドラム式乾燥洗濯機は、例えば、特許文献1に示されている。
特開2001−149689号公報
しかしながら、前記ドラム式乾燥洗濯機では、乾燥工程において回転ドラム5を低速で回転させて、洗濯物を前記したバッフル5bで持ち上げた後、落下させるという運動を繰り返すので、乾燥工程が進むと、乾燥した洗濯物からは糸くずや綿埃のような細かい埃が出る。この細かい埃は、乾燥ユニット24による空気循環によってケーシング33内へと入り込む。
通常、洗い工程またはすすぎ工程においては、洗濯水中の糸くずなどの異物は、排水弁20の前に設けた図示しないフィルタ部などで取り除かれるが、乾燥工程においては乾燥ユニット24を通る空気に乗って循環する異物を除去することは行われておらず、送風羽根34とファンモータ35をつなぐ図示しないシャフトに付着して、送風羽根34およびシャフトの回転抵抗となってしまい、長期の使用によって送風機31の送風能力が低下してしまうことがあった。
そこで、本発明の課題は、乾燥工程において循環空気に乗って異物が送風機へと侵入することがなく、長期使用に対する信頼性の高いドラム式乾燥洗濯機を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明のドラム式乾燥洗濯機は、水槽と、前記水槽内に回転可能に配される回転ドラムと、前記回転ドラム内より導かれる空気を除湿する除湿部と、前記除湿部にて除湿された空気を加熱する加熱部と、前記回転ドラム内の空気を前記除湿部へと導くとともに前記加熱部にて加熱された空気を前記回転ドラム内へと吹き込む送風部と、前記回転ドラムと前記送風部との間であって乾燥工程時に前記送風部によって発生する空気流の上流側である吸入口側の経路に配されるフィルタ手段とを備えたドラム式乾燥洗濯機において、前記フィルタ手段は、洗い工程またはすすぎ工程時に前記水槽内に供給される洗濯水に浸かるように配され、前記水槽の底面に配されていることを特徴としている。
前記構成によれば、回転ドラム内において発生した糸くずなどの異物を送風部より上流側に設けられる前記フィルタ手段で捕集することができ、糸くずなどの絡まりによる送風部の送風機能の低下防止することに成功したドラム式乾燥洗濯機を提供することができる。
また、水槽の内周面はなだらかな弧形状あり、且つ回転ドラムの回転方向に沿うため、洗い工程またはすすぎ工程における回転ドラムの回転による水流によって水槽底に沈んだ糸くずなどの異物はその回転方向へと揺動するが、フィルタ手段は水槽の底面に配されているため、フィルタ手段への異物の再付着が発生しにくくできる。
また、上記構成のドラム式乾燥洗濯機において、前記フィルタ手段は、前記吸込口側の経路の断面積よりも広い面積を有していることが考えられる。送風ファンによって運ばれた異物は、まず吸込口側の経路に対向する部分に付着しその部分の吸引力を低下させる。従って、フィルタ手段が吸込口側の経路に対向する領域だけに配されている場合には、フィルタ手段がすぐに目詰まりし送風部による送風能力が低下する。上記構成によれば、前記吸込口側の経路の断面積よりも広い面積を有しているので、吸込口側の経路に対向する領域が目詰まりしても別の部分へと吸引領域が移っていけるので、長期にわたってフィルタ手段の機能を発揮することができる。
また、前記フィルタ手段は、線材を網目状に編んだ構造を備えているのが好ましい。このようなフィルタ手段は、異物の付着が少なく、開口面積比が大きな、異物除去効率が高いフィルタを提供することができる。
また、前記フィルタ手段は、その網目の1辺の長さが1mm以上3mm以下であるようにしてもよい。このようにすると、送風ファンとファンモータをつなぐシャフトへ絡まりやすく、送風部の送風能力の低下に大きく影響を与える洗濯水中の糸くず等の比較的大きな異物を捕集するから、綿埃などの比較的小さい異物によるフィルタ160の早期目詰まりを防止できる。
また、前記フィルタ手段の網目状に編まれた線材の交差部は、固定されているのが好ましい。このようにすると、交差した線材の間への異物の挟み込みや交差部の移動による目の粗さの変動などの不具合の発生を防止できる。
また、前記送風部は、洗い工程またはすすぎ工程時に前記水槽内に供給される洗濯水に浸かるように配されているのが好ましい。このようにすると、乾燥工程においてフィルタ手段によって除去できないような小さな糸くずの送風部への付着を、洗い工程またはすすぎ工程時に洗濯水にて除去洗浄できる。
本発明は、空気を吸引する送風部の吸引側にフィルタ手段を設けたものであるので、洗濯物より発生する糸くずなどの異物を送風部より上流側に設けられた前記フィルタ手段で捕集することができ、糸くずなどの絡まりによる送風部の送風機能の低下防止することに成功したドラム式乾燥洗濯機を提供することができる。
以下、本発明のドラム式乾燥洗濯機を図示の実施形態により詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施形態にかかるドラム式乾燥洗濯機の外観斜視図である。このドラム式乾燥洗濯機は、外箱1にて外周を覆われるとともに、その前面に後述する外箱開口部111(図4参照)を備え、この外箱開口部1aを開閉するためのドア103がヒンジ機構にて回動可能に取り付けられている。なお、図3における11は操作パネルである。
図3におけるF1−F1線から見た概略断面図を図4に示す。
前記外箱1の前面には外箱開口部111が形成されている。前記外箱開口部111は、前記のように外箱1に対して回動可能なドア103によって開閉される。また、前記外箱1の前面上部には、操作キーや表示部を有する前記操作パネル11が設けられている。この操作パネル11の裏側(水槽4側)には、ドラム式乾燥洗濯機の動作を制御する制御部2が設けられており、操作パネル11への入力により洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程が連続してまたは各工程単独で行われる。前記外箱1は、弾性支持手段の一例としてのサスペンション8によって後述する水槽4を弾性支持する。
外箱内には、前記外箱開口部111に対向して開口する水槽開口部118を備えた有底筒形状の水槽4が配されている。水槽4は、その筒軸に垂直な各断面における重心を通る中心軸L1の後方側が下がるように傾斜して配されている。
水槽4内には、前記水槽開口部118に対向して開口するドラム開口部126を備えた有底円筒形状の回転ドラム5が配されている。回転ドラム5は、その背面側のモータ9と連結されており、水槽4内を回転可能に支持されている。この回転ドラムは、その中心軸(回転軸)L2の後方側が下がるように傾斜して配されている。回転ドラム5の周壁全域には複数の小孔5aが形成されている。この小孔5aは、水槽4と回転ドラム5との間の空間と、回転ドラム5内の空間との間で洗濯水や空気を流通させる。また、水槽4の中心軸L1に対して回転ドラム5の中心軸L2が上方となるように配されている。
水槽4内の空間下部に回転ドラム5内に供給すべき温風が流れる送風ダクト39が配置されている。この送風ダクト39の前側の端部は、水槽開口部118の下縁と回転ドラム5の開口部126の下縁との間に位置する送風口40と連通している。従って、送風ダクト39を矢印D1方向に流れる空気は、前記送風口40を経て回転ドラム5内に吹き出される。また、送風ダクト39の後側の端部は、後述するファンケース134の吐出口158に接続されている。
送風ダクト39の内部には、加熱装置132が配されている。前記加熱装置132は、ヒータケース37と、ヒータケース37に大部分が収容されたシーズヒータ38とで構成されている。前記ヒータケース37は、金属製の本体と、その本体を固定する耐熱樹脂製のフレームとで構成され、前側の端部が送風ダクト39に連結されている。前記シーズヒータ38は、水槽4内の空気を加熱することが出来ると共に、水槽4内の洗濯水に浸かる領域に配置されているため、水槽4内の洗濯水をも加熱することが出来る。
前記水槽4の前面部には、外箱開口部111に対向する前記水槽開口部118が設けられている。この水槽開口部118には、ゴムや軟質樹脂などの弾性体からなるパッキン119が固着されている。これによりドア103を閉じると、ドア103がパッキン119に密着するため、水槽4内の液体が水槽4外へ漏れ出ることが防げる。また、前記水槽4の上部には、水槽4内に洗濯水を給水するための給水ダクト120の下端部が接続されている。一方、前記給水ダクト120の上端部は洗剤ケース14の下部に接続されている。また、前記洗剤ケース14には水道水用給水路41及び風呂水用給水路42が接続されている。この水道水給水路41の途中には、給水弁43を設けられる一方、風呂水給水路42の途中には風呂水ポンプ44が設けられている。
前記水槽4の下部には、前記送風ダクト39と連通し水槽4内の洗濯水を排水するための排水口110が設けられている。この排水口110は送風機131の下流側に位置している。また前記排水口110には排水ダクト21の上端部が接続されている。一方、前記排水ダクト21の下端部は、フィルタ装置22を介して排水ホース23に接続されている。前記排水ダクト21を流れる液体は前記フィルタ装置22を通ってから前記排水ホース23または循環ホース46に流入できるようになっている。このフィルタ装置22が排水ダクト21内を流れてきた洗濯水中の糸くずなどの異物を除去するので、異物の排水ホース23または循環ホース46への進入を防ぐことが出来る。
前記排水ホース23には、排水モータ24によって開閉される排水弁25が設けられている。この排水弁25は、排水ダクト21の洗濯水を排水ホース23へ流すときには開放し、かつ、排水ダクト21の洗濯水を循環ホース46へ流すときには閉鎖するように制御される。前記循環ホース46の上方端部は、水槽4の前面下部に設けられ、回転ドラム5内に指向して設けられた循環ノズル47に接続されている。一方、前記循環ホース46の下方の端部は、フィルタ装置22の後方に配置された循環ポンプ45に接続されている。前記循環ポンプ45は、排水ダクト21内の洗濯水をフィルタ装置22を介して吸引するとともに、この吸引した洗濯水を循環ホース46へ吐出する。このような循環ポンプ45を作動させることによって、排水口110から水槽4外に出た洗濯水をフィルタ装置22を通過させた後、再び回転ドラム5内へ戻すことが出来る。洗い工程においては、このような洗濯水の循環を行いながら、異物を除去して、洗濯水を清浄に保つ。
前記送風ダクト39と連通し水槽4内の洗濯水を排水するための前記排水口110の入り口には、乾燥システム106が設けられている。前記乾燥システム106は、従来の送風機35に相当する送風機131、従来のヒータ36に相当する加熱装置132、送風ダクト39および後述する除湿用熱交換器133(図5、図6参照)を有している。また、前記除湿用熱交換器133と送風機131との間の除湿用経路164には金属糸を編んで網状としたフィルタ160が設けられている。この送風機131、加熱装置132、除湿用熱交換器133、フィルタ160および送風ダクト39は、夫々、水槽4の中心線L1を含み、かつ、この中心線L1と直行する水平軸を含む面よりも下側に設けられている。これにより、乾燥システム106の各部やフィルタ160といった部材は洗濯時またはすすぎ工程時において、洗濯水に浸かることにより洗浄される。なお、加熱装置132は加熱部、除湿用熱交換器133は除湿部、送風機131は送風部、フィルタ160はフィルタ手段の一例である。
図5に図3のF2−F2線から見た概略断面図を示す。
前記除湿用熱交換器133は、水槽4の後面下部に取り付けられた送風機131の上流側に接続されている。より詳しくは、前記除湿用熱交換器133は、水槽4の内周面と回転ドラム5外周面との間の、洗い工程時に洗濯水に浸かる領域に配設されている。前記除湿用熱交換器133は、前方側が高くなるように傾斜させて配置された金属プレート49と、この金属プレート49の端部に取り付けられたステンレス製の固定部材50(図5、7参照)とを有している。金属プレート49の前方の端部の上方には、冷却ノズル51が配されている。乾燥工程時には、この冷却ノズル51から供給された冷却水が金属プレート49上面を流れて金属プレート49を冷却する。これにより前記冷却水および金属プレート49で空気を冷却して、そこを流れる空気が含む水分を効果的に凝縮させる。
水槽4の後面下部には、前記送風機131が取り付けられている。送風機131は、水槽4と吸入口162を介して連通しており、送風ファン135の回転に伴って、水槽4内の空気を吸い込む。なお、吸入口162は、吸込口側の経路の一例である。
図6に図5のF3−F3線から見た概略断面図を示す。
水槽4は下方に凸形状を有しており、前記凸形状と重なるように送風機131が配されている。送風機131は、その外周をファンケース134にて構成されるとともに、その内部に送風ファンが内包されている。前記ファンケース134は、水槽4下方の前記凸形状の左右方向に伸長しており、前記凸形状内に配される前記加熱装置132および除湿用熱交換機133とそれぞれ吸入口162および吐出口158を介して連通している。
前記水槽開口部118の中心C1は、ドラム開口部126の中心C2よりも外箱1の天面側にある。つまり、水槽開口部118は、ドラム開口部126に対して外箱1の天面側に偏心している。
図7に正面から見た水槽底部の概略図を示す。
水槽4の下方の凸形状の内部には、右側に加熱装置132が、左側に除湿用熱交換器133が配されている。加熱装置132と除湿用熱交換器133とは水槽4の中心軸L1に対して平行となるように配されており、後述するように送風機131を挟んで除湿用熱交換器133が循環空気の上流側、加熱装置132が下流側となるように設けられている。
図4から図6に示すように、乾燥工程時には、前記送風機131で送られた空気は矢印D5(図4参照)に示すように、前記加熱装置132を通って加熱された後、水槽開口部118から矢印D1(図4参照)に示すように回転ドラム5内に吹き出される。ここで回転ドラム5内の湿った洗濯物から水分を蒸発させて高湿となった空気は、回転ドラム5周面の小孔5aを通って水槽4内面と回転ドラム5外面との間の空間へと流れ出て、矢印D2(図5参照)に示すように除湿用熱交換器133に沿って流れる。前記高湿となった空気は、除湿用熱交換器133および冷却水によって冷却され、除湿される。前記除湿された空気は吸入口162を介して送風機131へと入り、矢印D4(図6参照)に示すように、吐出口158から加熱装置132へ送り込まれるという循環を繰り返して、洗濯物の乾燥が進行する。なお、図10に、前記した乾燥工程時の空気の流れを模式的に示している。
このように乾燥工程時に前記水槽4内の空気を除湿用熱交換器133、送風機131および加熱装置132を順次通過させて、循環させることにより、洗濯物が乾燥する。このとき、前記洗濯物の綿くずなどの微細なゴミがファンケース134内に入ってファンケース134内側や、シャフト152の一方の端部あるいは送風ファン135に付着するが、次の洗い工程時またはすすぎ工程時に、ファンケース134の内側や、シャフト152の一方の端部あるいは送風ファン135がファンケース134内に流入する洗濯水に浸かるので、前記綿くずなどのゴミは洗濯水で流されて除去される。その結果、前記ファンケース134内の空気の経路が狭まらず、また、前記送風ファン135の回転への抵抗が増えず、洗濯物を乾燥させるための空気を絶えず効率よく循環させることが出来る。
図8に図4におけるフィルタ160周辺部の詳細図を示す。
水槽4の後面下部には、送風機131が取り付けられている。前記送風機131は、その送風の出口である吐出口158にて水槽4に接続するとともに、前記吐出口158は、前記送風ダクト39に接続している。
図9は図5におけるフィルタ160周辺部の詳細図を示す。
前記送風機131は、ファンケース134と、このファンケース134内に回転可能に配置された送風ファン135と、この送風ファン135を回転駆動するファンモータ136と、一方の端部が送風ファン135に連結されていると共に、他方の端部がファンモータ136に連結されたシャフト152と、このシャフト152を径方向において取り囲むように設けられたシール受け部とを有している。前記シャフト152は、ファンモータ136の回転駆動力を受けて、送風ファン135と共に回転する。また前記のようにシャフト152の一方の端部は、洗い工程時またはすすぎ工程時に、ファンケース134内に流入する洗濯水に浸かるように配置されている。また、前記送風ファン135は、乾燥工程時に、洗濯物の送風を行うものであるが、洗い工程時またはすすぎ工程時にも回転するように制御して水流を発生させることができる。
前記送風機131は、その送風の入口である吸入口162にて水槽4に接続している。前記吸入口162と、金属プレート49との間の空間には金属糸を編んで網目状としたフィルタ160が設けられており、水槽4内の空気がフィルタ160を介することなく前記吸入口162を通過することが無いようにフィルタ160が吸入口162を覆うように取り付けられている。
前記フィルタ160は、図7に示すように、水槽4底面に配されており、水槽4内側から見ると平面視でドラム式乾燥洗濯機の中心線L3を中心とする左右対称の略弧形状をなし、図7の左側において水槽からの吸入口162(図5参照)に対向している。図6に示すように、この吸入口162には、これに対向するように前記送風ファン135が設けられている。図7には、前記吸入口162までの経路上に設けられた除湿用熱交換器133が表示されている。
従って、前記吸入口162までの除湿用経路164(図5参照)を通って図7の紙面に直交する方向に流れてきた空気(洗濯水)は、前記フィルタ160を通過して送風機131内に流入する。洗い工程またはすすぎ工程においては、水槽4および送風機131内には洗濯水が流れており、フィルタ160を通過することにより洗濯水中に含まれる糸くずなどの異物は捕集されて、送風機131内への異物の侵入が防がれる。また、水槽の内周面はなだらかな弧形状あり、且つ回転ドラムの回転方向に沿うため、回転ドラムの回転による水流によって水槽底に沈んだ糸くずなどの異物はその回転方向へと揺動するが、フィルタ160は水槽4底面に配されているため、フィルタ160への異物の再付着が発生しにくい。また、乾燥工程においては、水槽4および送風機131内には空気が流れており、フィルタ160を通過することにより空気中に含まれる異物は捕集されて、送風機131内への異物の侵入が防がれる。
前記のように送風機131によって運ばれる洗濯水あるいは空気中の糸くずなどの異物を捕集するためであれば、前記フィルタ160は、前記送風ファン135による吸込み力が及ぶ範囲、即ち図7の水槽4の下方左側に示す吸入口162に対向する部分だけを覆えば足りる。しかしながら、実際の洗い工程、すすぎ工程あるいは乾燥工程において、洗濯水や空気で運ばれてきた糸くずは、長時間のうちに前記フィルタ160上に堆積するから、いずれはフィルタ160上の吸入口162に対向する領域には、多くの糸くずが堆積し、吸引効率が低下する原因となる。
そのためこの実施形態では、フィルタ160を送風ファン135による吸込み力が直接作用する図7における水槽4の下方左側に示す吸入口162に対向する部分だけでなく、送風機131とは対向しない右側部まで拡大して配している。即ち、前記フィルタ160は、水槽4の中心軸L1方向より見て、前記吸入口162の開口面積より大きな面積にわたって配されている。このような構成では、初期的には糸くずは前記送風機131の吸入口162に対向する領域にのみ付着するが、運転時間が長期化することに伴って糸くずが付着した部分の吸込み力が低下する。そのため、糸くずは吸引力のなくなった部分にはそれ以上付着せず、吸引力の保たれているいまだ糸くずが付着していない周囲の部分に移っていくので、糸くずの付着範囲は徐々に広がり、やがて図7における左側部に集中して糸くずが付着することになる。
しかし、この実施形態では前記のようにフィルタ160が、図7における右側部にまで拡大して配しているので、たとえ長時間の運転によって図7の左側部の吸引力が低下したとしても、糸くずが付着していない右側部をフィルタとして使うことができるので、極めて長期間にわたってフィルタ効果を維持することができる。
また、この実施形態にかかるドラム式乾燥洗濯機に用いられるフィルタ160は、単純な平板状のものではなく図8及び図9に明示のように、水槽4の方向、即ち除湿用熱交換器133を構成する金属プレート49の方向へ膨らむ膨出部160aを備えている。このようにフィルタ160を水槽4方向へ若干膨らませることで、水槽4底面とフィルタ160との間に送風経路を形成してフィルタ160の長時間使用性を確保している。
前記フィルタ160は、金属糸を編んで網状としたものではなく、プラスチック成形品あるいは金属板から小孔を打ち抜いたものでも良いが、実際には、成形品や打ち抜き品では、フィルタの孔の周囲にバリ、返りが発生し、糸くずや綿埃が引っ掛かって小孔をふさぐ原因となる場合がある。そのため前記フィルタ160は、線材を網目状に編んだ網構造により構成することが望ましい。このような網目構造の場合、前記のようなバリや返りの心配がないばかりか、板面の面積に占める小孔の面積の比(即ち開口率)を高くすることができ、優れたフィルタとしての能力を発揮させることができる。
前記フィルタ160を構成する線材としては、金属線の他に樹脂線などが考えられるが、金属線であればその表面は滑らかであるため、糸くずや綿埃が引っ掛かりにくいため好ましい。また、金属線を編んで網目状としたものを樹脂コーティングするなど、その線材の網目の交差部を固定するようにすると、交差した線材の間への異物の挟み込みや交差部の移動による目の粗さの変動などの不具合の発生を防止できる。
また、この場合、前記フィルタ160の網目の粗さは、1mm〜3mmとしてもよい。このようにすると、送風ファンとファンモータをつなぐシャフトへ絡まりやすく送風部の送風能力の低下に大きく影響を与える洗濯水中の糸くず等の比較的大きな異物を捕集するから、綿埃などの比較的小さい異物によるフィルタ160の早期目詰まりを防止できる。
前記のようにこの実施形態にかかるドラム式乾燥洗濯機では、送風ファン135、加熱用シーズヒータ38および金属プレート49が、洗い工程またはすすぎ工程中に洗濯水に浸かることになり、これらの場所に付着した綿埃などを洗濯水やすすぎ水で洗浄することができるが、送風部や加熱部、除湿部については、必要に応じて洗濯水のかからない上方の場所に設けられても差し支えない。
このようにフィルタ160を設けることで、送風ファン135あるいはそのシャフト152に糸くずや綿埃などの異物が絡まりつくといった不都合は回避される。また、前記のようにフィルタ160を設ける領域を送風ファン135により直接的に吸引力が及ぶ吸入口162との対向部のみでなく、送風ファン135から離れた部分まで及ぼしたので、長期にわたって送風ファン135の吸込み力を強く維持することができる。
この実施形態においては、フィルタ160は自動的に目詰まりの解消がなされるが、一度の洗い工程またはすすぎ工程によってより確実にフィルタ160の目詰まりを除去するために、回転ドラム5の背面の水槽4に面する側には、回転ドラム5の回転に伴って水流を発生させてフィルタ160の表面を洗浄するブレード170を設けている。
図11に回転ドラム5の背面の水槽4に面する側の概略図、図12(a)に図11の矢印Aから見たブレードの概略図、図12(a)に図11の矢印Bより見たブレードの概略図を示す。
前記回転ドラム5の背面の水槽4に面する側には、180度回転対称の位置にブレード170が取り付けられている。ブレード170は、図12に示すように、回転ドラム5の底面に、回転ドラム5の直径方向に対して45度傾斜させた状態で、リベット172(図12(b)参照)によって固定されている。さらにこのブレード170は、図12(a)に示すように、回転ドラム5の回転軸線に対して30度傾斜させている。脱水工程における回転ドラム5の矢印D6方向への1000rpmもの高速回転によりブレード170が風切り音を発生しないようにするために前記45度の傾斜角および前記30度の傾斜角を設けている。なお、本実施形態において、ブレード170は、回転ドラム5の直径方向に対して傾斜させるとともに、回転ドラム5の回転軸線に対しても傾斜させて取り付けているが、回転ドラム5の直径方向または回転ドラム5の回転軸線方向のいずれか一方の傾斜角を調整することにより、脱水工程時の風切り音を低減できる。
前記ブレード170は、洗い工程またはすすぎ工程時に回転ドラム5の回転によって回転ドラム5の回転軸を中心として回転して洗濯水に水流を発生させるが、この回転によって通過する軌跡は、図7の矢印D8に示されるように、フィルタ160の投影面を通過する。ブレード170の回転による洗濯水の水流はフィルタ160表面に付着した異物に作用して、前記異物をフィルタ160より引き離す。この引き離す作用は、特に、ブレード170の通過する軌跡に近いほうが大きいため、この実施形態におけるフィルタ160は、図7に示すように、回転ドラム5の中心側に近い領域Eについては凹形状としてもよい。なお、ブレード170が回転ドラム5の回転軸からの距離が複数存在するように構成することも可能であるので、フィルタ160をより広いものとすることも可能であり、またこのようなへこみ領域Eについても洗浄効果を付与することも可能である。
なお、前記ブレード170は、前記回転ドラム5の底面に固定された複数の金属片により構成されているが、回転ドラム5の回転バランスを崩さないように回転対称の位置に設けるのが好ましい。若しくは、回転ドラム5の周壁のカシメに基づくアンバランス是正のために最低1箇所に設けることも可能である。またブレード170は、必ずしも金属製でなくてもよく、例えば樹脂性などでも良い。
本実施形態では、フィルタ160が洗濯機の左右方向の中心線L3を中心として略左右均等の振り分けで弧形状に形成されたものが採用されているが、これは、前記したようにフィルタ160の水槽4の下方左側に設けた吸入口162に対向する部分に異物が集中してたまること基づいて、フィルタ160の面積を大きくしてフィルタ160の掃除の周期を長く保とうとするためのものである。従って、フィルタ160の目詰まりがそれほど多発しないのであれば、必ずしも本実施形態のような広いフィルタ面積を確保する必要はなく、例えば、図7における水槽4の下方左側のみにフィルタ160を配することも可能である。
従来のドラム式乾燥洗濯機の側面より見た概略縦断面図。 図1のドラム式乾燥洗濯機の別の位置における側面より見た概略縦断面図。 本発明の一実施形態にかかるドラム式乾燥洗濯機の外観斜視図。 図3におけるF1−F1線で切断した断面図。 図3におけるF2−F2線で切断した断面図。 図5におけるF3−F3線で切断した断面図。 本発明の一実施形態にかかるドラム式乾燥洗濯機の水槽内側底面の概略図。 図4におけるフィルタ周辺の詳細図。 図5におけるフィルタ周辺の詳細図。 乾燥工程時の空気の循環回路を示す概略図。 回転ドラムの背面の水槽に面する側の概略図。 (a)は、図11の矢印Aから見たブレードの概略図、(b)は、図11の矢印Bから見たブレードの概略図。
符号の説明
1 外箱
4 水槽
5 回転ドラム
131 送風機
132 加熱装置
133 除湿用熱交換器
135 送風ファン
160 フィルタ
162 吸入口
170 ブレード

Claims (6)

  1. 水槽と、前記水槽内に回転可能に配される回転ドラムと、前記回転ドラム内より導かれる空気を除湿する除湿部と、前記除湿部にて除湿された空気を加熱する加熱部と、前記回転ドラム内の空気を前記除湿部へと導くとともに前記加熱部にて加熱された空気を前記回転ドラム内へと吹き込む送風部とを備えたドラム式乾燥洗濯機において、
    前記回転ドラムと前記送風部との間であって乾燥工程時に前記送風部によって発生する空気流の上流側である吸込口側の経路に配されるフィルタ手段を有し、
    前記フィルタ手段は、洗い工程またはすすぎ工程時に前記水槽内に供給される洗濯液に浸かるように配され、前記水槽の底面に配されていることを特徴とするドラム式乾燥洗濯機。
  2. 水槽と、前記水槽内に回転可能に配される回転ドラムと、前記回転ドラム内より導かれる空気を除湿する除湿部と、前記除湿部にて除湿された空気を加熱する加熱部と、前記回転ドラム内の空気を前記除湿部へと導くとともに前記加熱部にて加熱された空気を前記回転ドラム内へと吹き込む送風部とを備えたドラム式乾燥洗濯機において、
    前記回転ドラムと前記送風部との間であって乾燥工程時に前記送風部によって発生する空気流の上流側である吸込口側の経路に配されるフィルタ手段を有し、
    前記フィルタ手段は、洗い工程またはすすぎ工程時に前記水槽内に供給される洗濯液に浸かるように配され、前記吸込口側の経路の断面積よりも広い面積を有していることを特徴とするドラム式乾燥洗濯機。
  3. 前記フィルタ手段は、線材を網目状に編んだ構造を備えていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のドラム式乾燥洗濯機。
  4. 前記フィルタ手段は、その網目の1辺の長さが1mm以上3mm以下であることを特徴とする請求項に記載のドラム式乾燥洗濯機。
  5. 前記フィルタ手段の網目状に編まれた線材の交差部は固定されていることを特徴とする請求項または請求項に記載のドラム式乾燥洗濯機。
  6. 前記送風部は、洗い工程またはすすぎ工程時に前記水槽内に供給される洗濯液に浸かるように配されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のドラム式乾燥洗濯機。
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