JP3896977B2 - 演奏装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、音源要素として複数の笛を備えたオルゴールのような演奏装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平7−210153
オルゴールのような演奏装置は、発音用の複数の振動弁からなる音階板(管状発音体)を、回転シリンダのピンや、各振動弁に対応して配設された星形ホイール等の何らかの振動弁駆動手段で前記振動弁を選択的に弾くことで、楽曲を演奏するタイプが一般的に広く知られている。
また、上記特許文献1には、音源要素として複数の笛を具備し、複数の笛に共通する送風ファンから送出される空気流を、弁を利用して個別の笛毎にON/OFF制御することで、各笛を選択的に鳴らすものが開示されている。こうした笛式オルゴールにおいては、例えば鳥の囀り声のような音を発する笛を用いることで、鳥の囀り声によるオルゴール演奏を楽しむことができた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の笛タイプのオルゴールでは、例えば、鳥の囀り声を発音する笛を備えたものであっても、空気流量や機械的構成に変化を付与し難く、その笛で発生できる或る1種類の音色(鳥の囀り声)によるオルゴール演奏ができず、演奏音が単調であった。また、従来の笛タイプの機械式オルゴールでは、その構造がどうしても複雑化してしまうため、このことがオルゴールの価格を極めて高価なものにしていた。このため、従来の笛タイプのオルゴールは誰でも気軽に楽しめるものではなかった。加えて、機械的構成要素の複雑な構造が、各構成要素の、構成、配置、設計等の制約となっていたので、オルゴールのデザイン等における自由度が制限されていた。
【0004】
この発明は、上述の点に鑑みなされたもので、安価で手軽であり、発音音域や音色を多彩にした笛タイプの演奏装置を提供することを目的とする。
【0005】
具体的には、音を発生させるときに管状発音体に流入する気流量を積極的に変化させたり、あるいは、管状発音体の管長を積極的に変更することによって、発生される音の音色等に変化をつけることができ、発音音色を多彩にした演奏装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決する手段】
この発明は、供給された気流に応じて振動を発生する管状発音体と、前記管状発音体に対して気流を供給するポンプと、前記ポンプの気室を体積変化させることによって前記気流を生ぜしめる駆動手段と、演奏情報に基づき前記駆動手段を付勢し且つ該駆動手段の駆動に応じて前記ポンプから供給される気流量を可変制御する制御手段とを具備し、付勢された駆動手段に対応して前記制御された気流量が前記ポンプから前記管状発音体に供給されることで振動音が発生され且つその音質が可変制御されることを特徴とする演奏装置である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の一実施例について説明する。
図1は、この発明の一実施例に係るオルゴール(演奏装置)における、発音機構を示す側面図である。図1において、この発音機構10は、大別して、発音ユニット1と、この発音ユニット1を駆動するための送風ユニット2から構成される。発音ユニット1は当該オルゴールの音源要素として複数の笛(管状発音体)11a、11b…を具える。送風ユニット2は、前記複数の各笛11a、11b…の夫々に対応する複数の送風部20a、20b…を具備する。各笛11a、11b…と、各笛11a、11b…に対応する送風部20a、20b…は、送風チューブ30a、30b…を介して相互に連結され、送風部20a、20b…において生ぜしめた気流が、送風チューブ30a、30b…を介して各笛11a、11b…に供給される。
【0008】
複数の笛11a、11b…は、図1に示す例では、各々同等な径幅及び縦軸長を有するもので、各笛11a、11b…の一端(上端)には、夫々、笛の管長を可変設定するための管長可変手段12a、12b…が設置されており、後述のように、この管長可変手段12a、12b…により各笛11a、11b…毎の管長を適宜に可変設定しうる。各笛11a、11b…の他方の端部(下端)には、夫々、空気導入口31が形成されており、導入口31よりやや上方の所定箇所には、吹き出し口13と、この吹き出し口13に面して鋭利な刃型面を成す傾斜面14とを含む空気振動惹起部15が形成されている。各笛の11a、11b…の空気導入口31には、送風チューブ30a、30b…の一端が接続されており、ここから各笛11a、11b…の管中へ気流が吹き込まれると、空気振動惹起部15において適切な空気振動が惹き起こされて、各笛の管長に応じた音高で振動音(笛音)が発生される。
【0009】
笛11a、11b…としては、例えば鳥の囀り声のような音を発するものを適用でき、各笛につき異なる鳥の囀り声を適用して、それを適宜組み合わせて発音ユニット1を構成してもよい。これにより、シンプルな構成でありながらも、発音させる笛に応じて異なる種類の鳥の囀り声での笛演奏音を発生でき、演奏すべき旋律に応じて管長可変手段12a、12b…によって適宜音高制御しながら、複数種の鳥の囀り声でのオルゴール演奏を楽しむことができることが、後述の説明から明らかになるであろう。
【0010】
送風ユニット2において、複数の送風部20a、20b…は、トップヨーク3とベースヨーク4からなる筐体5に保持される。各送風部20a、20b…は、発音ユニット1の各笛に対して空気を供給するための装置であって、ポンプ部21a、21b…と、これを駆動制御するポンプ駆動手段22a、22b…とが一体的に構成されて成る。
【0011】
送風部20a、20b…の構成について、1つの送風部20aを一例に説明する。図1においては、この送風部20aは、軸方向に切断された断面図が描かれている。ポンプ部21aは、円筒形状のポンプヘッド23とヘッド23の上端に取付されたチューブホルダ部24を有し、ヘッド23の下端部においてトップヨーク3上にネジ留め等により固定される。チューブホルダ部24の送風チューブ接続箇所には、ポンプ部の軸線方向に倣って空気送出用の穴24aが貫通されている。また、ポンプヘッド23内には、スプリング25が設けられている。スプリング25の上端は、チューブホルダ部24の内面に(つまりポンプ部21aの上方に)に接続され、その下端は座金44に接続されている。
【0012】
ポンプ駆動手段22aは、概ね、筐体5内に配置された電磁ソレノイドコイル40と、コイル40内に直線移動可能に挿入された棒状のプランジャ41とから成る。プランジャ41には、プランジャ41の直線ストロークに連動するプランジャシャフト42が配設される。プランジャシャフト42は、プランジャ41の上下両端からプランジャ41と同軸に延長される。プランジャシャフト42の上端には、係止部材43と座金44を介してピストン26が取り付けされる。ピストン26は、座金44に接続されたスプリング25の付勢力によって下方に常時付勢され、プランジャ非駆動(ソレノイド通電OFF)時には、所定の下端位置へ確実に戻る。
【0013】
ピストン26は、ポンプヘッド23内に配置され、ピストン26の側周面がポンプ部21aの内表面に対して密接する。ピストン26は、プランジャ41の上下動に連動してポンプ部21a内を上下動する。電磁ソレノイドの駆動により、ピストン26が、プランジャ41の上方ストロークに伴いポンプ部21a内を上方へ押動されると、ポンプ部21a管内に形成される気室の体積が減小されて管内空気に圧力がかかり、これに伴いから穴24aから、つまりポンプ部21aから空気が送出される。こうしてポンプ部21aから送出された空気が、送風チューブ30aを通って、対応する笛11aに供給され、笛11aから笛音を発生させる。その後、気室の体積が戻り、次回に笛に供給される空気を蓄えることになる。つまり、気室の体積変化によって笛11a、11b…に対して空気流が送られることになる。
また、プランジャシャフト42の下端側には、プランジャ41の直線位置決めや、移動速度を制御するためのフィードバックセンサ45が設けられている。フィードバックセンサ45としては、適宜の速度センサ(例えば、ムービングマグネット型の速度サンサ)や、その他任意の位置センサ等を適用して差し支えない。
【0014】
次に、各笛11a、11b…に具わる管長可変手段12a、12b…の構成例について説明する。管長可変手段12a、12b…は、電磁ソレノイドにより構成されており、トップヨーク16とベースヨーク17からなる筐体18に保持され、笛11a、11b…と、対応する管長可変手段12a、12b…とは、ソレノイドホルダー19を介して連結される。図1において管長可変手段12aを軸方向断面図で示しており、この管長可変手段12aを一例にその構成例について説明すると、管長可変手段12aは、概ね、筐体18内に配置された電磁ソレノイドコイル50と、コイル50内に直線移動可能に挿入された棒状のプランジャ51とから構成される。プランジャ51の一端(図において下端)からは、プランジャ51と同軸にプランジャシャフト52が延長される。このプランジャシャフト52は、プランジャ51の上下方向への直線移動に連動して直線移動する。プランジャシャフト52は、その先端部(図では下側)が笛の管内に進入するよう配置されるもので、該先端部には、ピストン53及びピストンスペーサ54が具備される。
【0015】
ピストン53は、笛11aの一端側を閉塞することで、笛11aの実質的な管長を規定しており、ピストン53がプランジャ51の上下変位に連動して上下移動することで、対応する笛(11a、11b…)の管長を可変設定することができる。ピストン53の笛管長方向における直線位置に応じて、笛から発音される音高が可変設定される。従って、ピストン53の直線位置を適宜に変化させることで、笛の発音音高を自在に変更制御できるようになる。
また、プランジャシャフト52の上端側には、プランジャ51の直線位置決めや、移動速度を制御するためのフィードバックセンサ55が設けられている。フィードバックセンサ55としては、適宜の速度センサ(例えば、ムービングマグネット型の速度サンサ)や、その他任意の位置センサ等を適用して差し支えない。
【0016】
上記の構成からなるオルゴールにおいて、ポンプ駆動手段22a、22b…及び管長可変手段12a、12b…を発生すべき演奏音に応じて選択的に駆動制御することで、発音ユニット1から演奏音が発生し、オルゴール演奏が行われる。ここで、オルゴールの電気的駆動制御機構のハードウエア構成について、図2を参照して簡単に説明する。このハードウェア構成は、概ね、全体を制御するCPU100と、ROM101と、RAM102と、MIDIインターフェース(MIDI I/F)103と、ドライバ104と、フィードバックセンサ45、55とを含み、各装置間がデータ及びアドレスバス100Bを介して接続されている。ドライバ104には、ポンプ駆動手段(ソレノイド)22a、22b…を駆動するためのポンプ駆動部105と、管長可変手段(ソレノイド)12a、12b…を駆動するための管長可変駆動部106とが接続される。MIDI I/F103は、外部からMIDI演奏データを取り込む為のインターフェースである。ドライバ104は、ポンプ駆動部105及び管長可変駆動部106を駆動制御(つまり通電ON/OFF)する。
【0017】
外部メモリ107は、メモリスティック等の着脱式記憶媒体からなり、1乃至複数の楽曲の自動演奏データが記憶されている。外部メモリ107から読み出した自動演奏データは、データ再生(オルゴール演奏)時にRAM102に転送されて、CPU100の制御のもと該演奏データに基づく楽曲の自動演奏が行われる。この演奏データとしては、例えばSMF(スタンダードMIDIファイル)フォーマットのような任意のフォーマットの自動演奏データを用いてよい。
【0018】
MIDI I/F103には、外部のMIDI楽器が接続され、MIDI楽器の演奏者によるマニュアル演奏操作によってリアルタイムで入力されるMIDI演奏データを取り込むことができる。取り込まれたMIDI演奏データはRAM102に転送され、CPU100の制御のもと該MIDI演奏データに基づくマニュアル演奏を行わせることが可能である。すなわち、この実施例に係る笛式オルゴールを、マニュアル演奏に基づく演奏音を発音するためのアコースティック音源として使用できる。また、前記リアルタイム入力されたMIDI演奏データを、RAM102や、適宜の書き込み可能な外部メモリに記録して、当該データを演奏すべきときに読み出せるようにすることもできる。更に、インターネット等の通信回線に接続するためのインターフェースを具備すれば、該通信回線を介して供給される演奏データに基づき本装置でオルゴール演奏を行わせうるよう構成することも可能である。
【0019】
CPU100は、演奏すべき自動演奏データ若しくはMIDI演奏データといった演奏データに基づく駆動信号を生成し、この駆動信号がドライバ104に入力される。ドライバ104は、入力された該駆動信号に基づきポンプ駆動部105及び管長可変駆動部106を電気的に駆動(通電ON/OFF制御)する。ポンプ駆動部105及び管長可変駆動部106により、ポンプ駆動手段22a、22b…及び/又は管長可変手段12a、12b…が選択的に駆動され、これにより自動演奏データ若しくはMIDI演奏データ等の演奏データに基づく電気的制御によるポンプ駆動で、複数の笛11a、11b…の発音制御を行う。駆動信号は、例えはPWM形式の電流信号(パルス信号)を適用できる。以下、PWM信号によるポンプ駆動手段22a、22b…及び管長可変手段12a、12b…に対する駆動動作の一例について説明する。
【0020】
演奏データは音高情報(ノートデータ)と音量情報(ベロシティデータ)とを含んでおり、該演奏データに応じて、ポンプ駆動用の所定の駆動テーブルから少なくとも当該音高情報に対応するパルス幅データが読み出され、該読み出されたパルス幅データに対応するパルス幅を持つPWM信号がドライバ104から出力され、該演奏データの音高に対応するいずれかのポンプ駆動手段22a、22b…に供給される。このポンプ駆動用の所定の駆動テーブルには、各音高毎に、理想的な音色及び音量が得られるように予め設定されたPWM信号のパルス幅データが記憶されている。音高情報に応じて該テーブルから読み出されたパルス幅データのPWM値(パルス幅値)を音量情報に応じて可変することで発生音の音量を調整することができ、更には、該PWM値(パルス幅値)の調整によって音色の微妙な調整も可能である。勿論、駆動テーブルにおいて、各音高毎に、種々のベロシティ値(音量値)に対応して、夫々についての理想的な音色及び音量が得られるように予め設定されたPWM信号のパルス幅データを記憶しておくようにしてもよい。更にこのような駆動テーブルを複数種の各音色種類毎に設けてもよい。
【0021】
同様に、管長制御用の駆動テーブルが設けれられており、演奏データに応じて、管長制御用の駆動テーブルから当該音高情報(ノートデータ)に対応するパルス幅データが読み出され、該読み出されたパルス幅データに対応するパルス幅を持つPWM信号がドライバ104から出力され、該演奏データの音高に対応するいずれかの管長可変手段12a、12b…に供給される。この管長制御用の所定の駆動テーブルには、各音高毎に、当該音高に対応する理想的な管長が得られるように予め設定されたPWM信号のパルス幅データが記憶されている。ノートデータに応じて該テーブルから読み出されたパルス幅データのPWM値(パルス幅値)を適宜の音高調整データに応じてリアルタイムに又は非リアルタイムに可変することで発生音の音高を微妙に調整することも可能である。これらの駆動テーブルは、例えばROM101、RAM102等のメモリで構成してよく、或いはドライバ104内に内蔵してもよい。
【0022】
PWM形式の駆動信号によっててポンプ駆動手段22a、22b…を駆動して、ある1つの楽音を発音させるためには、ポンプ駆動部105に対して1つのPWMパルス波形が出力される。つまり、入力パルス波形の1波形に応じて、ポンプ駆動手段22a、22b…のプランジャ41(図1参照)が1回ストローク変位されて、ポンプ部21a、21b…から気流が送出される。1つのパルス波形の立ち上がりに応じてソレノイド(ポンプ駆動手段22a、22b…)が通電ONされ、プランジャ41がコイル40内に突出する。パルス波形の立下りに応じてソレノイドが通電OFFされ、プランジャ41が、前述の通りスプリング25により下方に付勢されながら、コイル40から退却する。従って、入力パルス幅が広ければプランジャ41の1ストロークが長くなり、入力パルス幅が狭ければプランジャ41の1ストロークは短くなる。ピストン26はプランジャ41のストロークに連動するものであるから、PWMパルス波形の1つの入力パルス幅に応じて、対応するポンプ部21a、21b…から吹き出される気流量を調整することができる。こうしてポンプ部21a、21b…から空気が吹き出されることでそれに対応する笛11a、11b…から振動音が発生されるのであるが、その際の気流量に応じて該笛11a、11b…で発音される楽音の音色及び音量の調整が行える。このとき、所望の音色及び音量を実現するには、ポンプ部から送出される気流量、つまり1パルス波形に応じたプランジャ41のストローク変位量を適切に制御する必要がある。当該実施例では、前述の通り、ポンプ駆動手段22a、22b…のプランジャ41は、前記フィードバックセンサ45(図1参照)により位置決め制御や、移動速度を制御されうるもので、CPU1は、演奏データに基づく駆動信号の生成に際して、フィードバックセンサ45のセンサ出力を反映させることで、与えられた演奏データに忠実なプランジャ動作を実現できるようにしている。このように、センサ出力と演奏データに基づく駆動信号を生成することで、プランジャ41のストローク制御が正確且つ安定して行える。
このようなソレノイド駆動による送風手段(ポンプ部)は、従来の機械的手段に比べて、駆動応答性が迅速で且つ正確な気流量制御が行える、また、動作音が極めて静寂であるため好ましい。
【0023】
管長可変手段12a、12b…も、基本的には前記ポンプ駆動手段22a、22b…と同様に入力パルス幅に応じてプランジャ51のストローク変位量が制御される。管長可変手段12a、12b…は、管長可変駆動部106が前記ポンプ駆動部105の通電ON/OFFに同期して通電ON/OFF作動することで、対応するポンプ駆動手段22a、22b…における発音動作(プランジャストローク)のタイミングに同期して管長変更動作する。すなわち、1つのパルス波形の立ち上がりに応じてソレノイド(管長可変手段12a、12b…)が通電ONされプランジャ51がコイル50内に突出し、1つのパルス波形の立ち下がりに応じてソレノイド(管長可変手段12a、12b…)が通電OFFされプランジャ51がコイル50内から退却する。なお、退却時には、プランジャ51は、図1では図示省略した引き戻しバネ等適宜の付勢手段により、引き戻し動作を保障されるものとする。ピストン53が、プランジャ51のストローク変位に連動して上下移動することで、対応する笛(11a、11b…)の管長が可変設定される。従って、演奏データに含まれる音高情報に応じたパルス幅でプランジャ51のストローク変位量を制御することで、該音高情報に応じて、笛11a、11b…の管長を可変設定できる。前述の通り、管長可変手段12a、12b…のプランジャ51は、前記フィードバックセンサ55により位置決め制御や、移動速度を制御されうるもので、CPU1は、演奏データに基づき駆動信号の生成に際して、フィードバックセンサ55のセンサ出力を反映させることで、与えられた演奏データに忠実なプランジャ動作を実現している。
こうして、各笛(11a、11b…)では、演奏すべき演奏データに応じた音高で笛音を発音させることができる。管長可変手段12a、12bをこのようなソレノイドにより構成することで、高精度且つ迅速な管長変更が可能となり、複数笛における音階設定の変更(調の変更)や、正確な調律等が可能となる。すなわち、上述の音高の変更制御とは、音高名の指示に応じて変更制御すること(例えば、音名ドに設定したり、音名レに設定したりすること)のみならず、適宜の旋法に則り、音と音の相互間の高さ調整するするような制御態様も含む。このような発音変調制御によって、当該オルゴールは、例えばマニュアル演奏に基づき動作させる場合(アコースティック音源として使用する場合)等、発音変調が可能な新規なアコースティック発音楽器として利用できる。
また、このようなオルゴールにおいて、例えば、笛11a、11b…の構造として、各笛につき異なる鳥の囀り声(音色)を発するものを適用することで、演奏すべき旋律に応じて適宜音高制御しながら、複数種の鳥の囀り声でのオルゴール演奏を楽しむことができる。
【0024】
更に、管長可変手段12a、12b…は、プランジャ51を任意の箇所で停止させて管長を半固定的に可変設定できるよう構成してもよい。このような構成を採用することで、例えば、笛(11a、11b…)の管長を段階的に変更させることができる。その場合は、例えば、プランジャ51の直線位置を保持させるための保持手段として、保持ソレノイドを更に設けるよう構成してもよい。すなわち、該保持ソレノイドは、そのストローク方向がプランジャシャフト52(図1参照)の軸に対して直交するよう配置され、プランジャ先端がプランジャシャフト52に当接することで、管長可変手段(例えば12a)のプランジャ51を任意のストローク位置で停止させうる。この停止制御は、例えば、或る一定時間以上のプランジャストローク停止信号が与えられた場合に当該保持ソレノイドを駆動させることで実行しうる。また、別の構成例としては、管長可変手段12a、12b…の電磁ソレノイドを双方向駆動型ソレノイドで構成することでも、連続的な管長変更制御が可能となる。
【0025】
図3は、図1に示す発音ユニット1を矢印A、送風ユニット2を矢印Bの側から見た平面図である。図示の通り、送風部20a,20b…は、円筒型のポンプとシリンダ状の電磁ソレノイドとが一体的に連結されて成ることから、全体として小型且つシンプルな構成とすることができ、これにより、図示のような複数の送風部20a,20b…の効率的な配置が可能となる。また、複数の笛11a,11b…には、各々管長可変手段12a、12b…が具備されており、この複数の管長可変手段12a、12b…が筐体(ヨーク)18上に纏めて設置され、この筐体18に笛11a,11b…が並立配置されおり、発音ユニット1もまた効率的な配置が可能である。要するに、この発明よれば、発音機構10の各構成要素が、小型且つシンプルな構成で実現できるので、各構成要素の自由な配置が可能となり、発音ユニット1を最も発音効率の良い条件となるよう設置することや、オルゴール全体のデザインを自由に設計すること等が自在に行える。
【0026】
図1の例では、笛11a、11b…の管長を適宜変更する例を示したが、これに限らず図4のように各笛が夫々固有の音高を発生するよう構成してもよい。図4において、夫々管長の異なる複数の笛111a、111b…が筏型に並列配置されており、各々送風チューブ30a、30b…を介して各々対応する送風部20a、20b…に接続される。各笛111a、111b…は、例えば、音階順に音高を割り当てされてよく、オルゴール演奏時において演奏データに基づき発音すべき音高に応じた笛111a、111b…を選択的に発音させる、つまり、対応する送風部20a,20b…を選択的に駆動すればよい。
また、笛111a、111b…において、更に図1に示すような管長可変手段12a、12b…を設けることで、個々の笛111a、111b…の管長を可変制御できるよう構成してもよい。また、音高毎に固定された笛111a、111b…と、図1に示すような管長可変手段12a、12b…を具備する管長可変な複数の笛と、を組み合わせて発音ユニットを構成することも可能である。
【0027】
なお、管状発音体たる笛(11a、11b…)は、中空管状部材でさえあれば、その断面形状は円形に限らず、四角形その他どのような形状であっても差し支えない。また、管状発音体において、リード等の振動源を具備してもよい。
上述の実施例では、ポンプ駆動手段22a,22b…及び管長可変手段12a、12b…が電磁ソレノイドで構成される例を示したが、これに限らず、駆動手段として直動モーター等適宜のモータ駆動による構成を適用することも可能である。
また、管長可変の機能については、本実施形態のように気室の体積を変化させて空気流を発生させるような構成に適用されるだけでなく、パイプオルガンのようなポンプで気室に空気を供給し、その気室からパイプへの空気供給をバルブで制御する楽器などにも適用可能である。
また、上記実施例の形態では、気流として空気を利用したが、これに限らずタンクなどを用いて、窒素ガスやその他適宜の気体を利用するよう構成してもよい。
また、前記演奏データ中に所定の制御信号を記憶しておき、その制御信号が発生したときには1つの音の発音中に管長を微小に変化させることで、発生される音の音高を揺らしてビブラート的な変化をつけたりすることができ、1つの笛から発音させる音をより多彩に変化させることも可能である。
また、上述の実施例では、送風部(20a,20b…)において 空気空気流量を微妙に変化させたり、その送圧力を変化させるための構成として、ポンプ内のピストンが移動する構成を示したが、正確な空気流量制御を要求しないのであれば、送風部として、ふいごやダイヤフラムで気室を膨張・圧縮することで笛に気流を送るようにしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上の通り、この発明に係る演奏装置は、管状発音体に気流を供給するポンプを電磁的に駆動することで、笛タイプのオルゴールの演奏装置を小型且つ簡易な構成とし、そのため製造コストを低減したが該演奏装置を提供することができるという優れた効果を奏する。特に、ポンプの気室を体積変化させることによって前記気流を生ぜしめる駆動手段と、演奏情報に基づき前記駆動手段を付勢し且つ該駆動手段の駆動に応じて前記ポンプから供給される気流量を可変制御する制御手段とを具備することで、前記演奏情報に基づき付勢された駆動手段によりポンプの気室を体積変化させて、該ポンプから供給される気流量を可変制御することができ、該可変制御された気流量が前記ポンプから前記管状発音体に供給されることで、該管状発音体から発生する振動音の音質を該演奏情報に応じて繊細に可変制御することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例に係るオルゴールの、発音ユニットと送風ユニットを示す概略図。
【図2】 同実施例に係るオルゴールの電気的ハードウェア構成例を示すブロック図。
【図3】 図1に示す発音ユニットと送風ユニットを矢印Aから見た平面図。
【図4】 図1の変更例であって、発音ユニットとして、各々管長の異なる複数の笛を備えた演奏装置を示す概略図。
【符号の説明】
1 発音ユニット、2 送風ユニット、10 発音機構、11a,11b 笛(管状発音体)、12a,12b 管長可変手段、20a,20b 送風部、21a,21b ポンプ部、22a,22b ポンプ駆動手段、30a,30b 送風チューブ、45,55 フィードバックセンサ

Claims (6)

  1. 供給された気流に応じて振動を発生する管状発音体と、
    前記管状発音体に対して気流を供給するポンプと
    前記ポンプの気室を体積変化させることによって前記気流を生ぜしめる駆動手段と、
    演奏情報に基づき前記駆動手段を付勢し且つ該駆動手段の駆動に応じて前記ポンプから供給される気流量を可変制御する制御手段と
    を具備し、付勢された駆動手段に対応して前記制御された気流量が前記ポンプから前記管状発音体に供給されることで振動音が発生され且つその音質が可変制御されることを特徴とする演奏装置。
  2. 前記管状発音体は、その管長に応じた音高の振動音が発生されることを特徴とする請求項1に記載の演奏装置。
  3. 前記管状発音体は、前記演奏情報に基づき該管状発音体の管長を可変設定する管長可変手段を具えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の演奏装置。
  4. 前記制御手段は前記演奏情報に基づき前記管長可変手段を駆動するための信号を生成し、前記管長可変手段に対して入力される前記信号に応じて前記管状発音体の管長が制御されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の演奏装置。
  5. 前記制御手段は前記演奏情報に基づき前記駆動手段を駆動するためのパルス信号を生成し、該パルス信号のパルス幅に応じて前記ポンプに生ぜしめる気流量が制御されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の演奏装置。
  6. 外部の機器においてマニュアル演奏により発生された演奏情報を入力するためのインターフェースを更に具え、
    前記マニュアル演奏により発生された演奏情報に基づく演奏制御を行いうることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
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