JP3896948B2 - パワープラントマウント装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のサイドメンバによってパワープラントを弾性支持する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両における従来のパワープラントマウント装置は、図4〜図6に例示されているように、エンジン及びトランスミッションが一体的に結合されて横置きとされたパワープラント1の上部と車両前後方向に延びて閉断面構造である左サイドメンバ2との間に設置されたマウント部材3、パワープラント1の上部と車両前後方向に延びて閉断面構造である右サイドメンバ4との間に設置されたマウント部材5、及び、パワープラント1の下部とパワープラント1の車両後方で車幅方向に延びるシャシクロスメンバ6との間に跨がって設置されたロールロッドマウント部材7により構成され、マウント部材3とマウント部材5とロールロッドマウント部材7との上下3個所でパワープラント1を車体に支持させるようにしている。
【0003】
マウント部材3は、断面略コ字状で底部が左サイドメンバ2の内側面に溶接され両先端が車幅方向内側へ突出するマウントブラケット10と、間にゴム状弾性体からなるインシュレータ11が設置された内筒12及び外筒13と、内筒12内を挿通して車両前後方向に配置された状態でマウントブラケット10の先端に両端部がそれぞれ係止されたボルト14とから構成され、外筒13のアーム15がパワープラント1の上部にボルト止めされている。
【0004】
マウント部材5は、間にゴム状弾性体からなるインシュレータが設置された図示しない内筒及び外筒16と、その内筒内を挿通して上下方向に配置されアーム17を介してパワープラント1の上部に固定された図示しないボルトとから構成され、外筒16が右サイドメンバ4の上面にボルト止めされている。
【0005】
ロールロッドマウント部材7は、シャシクロスメンバ6に固定されて車両前方に両先端が突出する二股状のマウントブラケット18と、パワープラント1の下部に一端が連結されて他端に外筒19が一体的に形成されたロッド20と、図示しない内筒及び外筒19間に設置されたゴム状弾性体からなるインシュレータ21と、その内筒内を挿通して車幅方向に配置され両端部がマウントブラケット18の両先端にそれぞれ係止されたボルト22とから構成されて、パワープラント1がマウント部材3とマウント部材5とロールロッドマウント部材7とにより車体に上下3点で3軸支持されている。
【0006】
しかしながら、パワープラント1の稼動から生じる振動や騒音をマウント部材3によって効果的に低減させるためには、左サイドメンバ2に対するマウント部材3の固定個所をパワープラント1の種類毎に最適位置へ設定する必要があるので、パワープラント1の種類毎にマウント部材3の固定位置を適宜変更した多種類の左サイドメンバ2を準備しなければならないという問題があった。
【0007】
なお、車両におけるパワープラントマウント装置として、下記特許文献1及び特許文献2に記載されたものが従来から知られている。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−120770号公報
【特許文献2】
特開平9−240291号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、車両のサイドメンバにマウント部材でパワープラントを弾性支持する場合に、サイドメンバに対するマウント部材の取付け位置を容易に変更できるようにしようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明にかかるパワープラントマウント装置は、車両前後方向に延びるサイドメンバとパワープラントとの間に設けられ軸部と外筒と上記軸部及び上記外筒間に環状に配置された弾性体と上記外筒に一体的に固定されて上記外筒の軸中心と直交する方向に沿って延びる略平板状のフランジ部とをそなえたマウント部材を有し、上記軸部及び上記外筒の軸中心がそれぞれ略車幅方向に配置され、かつ、上記軸部及び上記外筒の少なくとも一部が上記サイドメンバ内に配置されて、上記軸部が上記パワープラントに連結されていると共に、上記フランジ部に形成された車両前後方向の長孔を上記軸中心の方向に挿通するボルトにより上記フランジ部が上記サイドメンバの内側面に固定されている。
【0011】
すなわち、マウント部材の軸部及び外筒の少なくとも一部がサイドメンバ内に配置されているため、サイドメンバの外方にマウント部材が設置されている場合と比較すると、マウント部材の設置に必要なスペースを容易に縮小することができて、マウント部材の設定場所に関する自由度を容易に大きくすることが可能となり、かつ、外筒に一体的に固定されたフランジ部の車両前後方向の長孔を挿通するボルトによりフランジ部がサイドメンバに固定されていて、長孔内をボルトが車両前後方向へ相対的に移動することにより、サイドメンバに対するマウント部材の取付け位置を車両前後方向へ容易に適宜変更させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例について、前記従来装置との同等部分にはそれぞれ同一符号を付けて説明する。
【0013】
図1〜図3において、車両用パワープラントマウント装置は、エンジン及びトランスミッションが一体的に結合されて横置きとされたパワープラント1の上部と車両前後方向に延びて閉断面構造である左サイドメンバ2との間に設置されたマウント部材30、パワープラント1の上部と車両前後方向に延びて閉断面構造である右サイドメンバ4との間に設置されたマウント部材5、及び、パワープラント1の下部とパワープラント1の車両後方で車幅方向に延びるシャシクロスメンバ6との間に跨がって設置されたロールロッドマウント部材7により構成され、マウント部材30とマウント部材5とロールロッドマウント部材7との上下3個所でパワープラント1を車体に支持させるようにしている。
【0014】
マウント部材30は、アーム31と車幅方向の軸部32とをそなえた支持部材33、軸部32の外周を囲む外筒34、軸部32と外筒34との間に環状に配置されゴム状弾性体からなるインシュレータ35、及び、外筒34が圧入、溶接等の手段で一体的に固定された略平板状のフランジ部36により構成され、支持部材33のアーム31がパワープラント1の上部へボルト止めされている一方、左サイドメンバ2の内側面37に固定された4本のスタッドボルト38が、フランジ部36に形成された各長孔40をそれぞれ挿通してナット39で締め付けられることにより、フランジ部36が左サイドメンバ2の内側面37へ固定されていて、このとき、支持部材33の軸部32及び外筒34がそれぞれ略車幅方向の軸心をもち、かつ、軸部32、外筒34及びインシュレータ35の大部分が左サイドメンバ2内に配置され、各長孔40が車両前後方向へ直線的に延びている。
なお、2´は左サイドメンバ2の内面に取り付けられたリンホースである。
【0015】
マウント部材5及びロールロッドマウント部材7は前記従来装置の場合ととくに変わるところがないので、説明を省略する。
【0016】
このパワープラントマウント装置においては、マウント部材30の支持部材軸部32、外筒34及びインシュレータ35の大部分が左サイドメンバ2内に配置されているため、左サイドメンバ2の内側方にマウント部材3が設置されている上記従来装置の場合と比較すると、パワープラント1と左サイドメンバ2との車幅方向距離、すなわち、両者間の所要スペースを容易に縮小させることができるので、マウント部材30の設定場所に関する自由度を大きくすることが可能となる。
【0017】
また、フランジ部36の長孔40を挿通するスタッドボルト38及びナット39によりマウント部材30の外筒34を左サイドメンバ2の内側面37に固定していて、長孔40に沿って相対的にスタッドボルト38を車両前後方向へ適宜変位させることにより、左サイドメンバ2に対するマウント部材30の取付け位置を容易に変更させることができる。
【0018】
従って、パワープラント1の仕様が異なった場合に、パワープラント1の稼動から生じる振動や騒音を効果的に低減させうる左サイドメンバ2へのマウント部材3の取付け位置が車両前後方向に多少相違しても、左サイドメンバ2に対するマウント部材30の取付け位置を車両前後方向へ容易に変更させることができて、上記振動や騒音の効果的低減を図ることができ、このため、パワープラント1の仕様変更等にそなえて、スタッドボルト38の固定位置が異なった多種類の左サイドメンバ2を準備する必要性が減少して、左サイドメンバ2のコストを容易に軽減させることが可能となる。
【0019】
しかも、従来使用されていなかった左サイドメンバ2内の空間をマウント部材30の配置に利用することにより、エンジンルーム内のスペースをそれだけ有効に活用できることとなるという利点がある。
【0020】
なお、上記実施形態例では、フランジ部36の各長孔40が車両前後方向へ直線的に延びているが、上下方向、または、車両前後方向へ直線的にもしくは緩やかな弧状に適宜傾斜して延びるようにしても、上記実施形態例と同様な作用効果を奏することができ、また、マウント部材におけるインシュレータとしては、ゴム状弾性体の外に、液体を封入した既知の弾性体等を適用できることはいうまでもない。
【0021】
【発明の効果】
本発明にかかるパワープラントマウント装置にあっては、マウント部材の軸部及び外筒の少なくとも一部がサイドメンバ内に配置されていて、パワープラントとサイドメンバとの間でマウント部材の設置に必要なスペースを比較的小さくすることができるため、マウント部材の設定場所に関する自由度を容易に大きくして、好適な場所にマウント部材を設置しやすくなり、かつ、外筒に一体的に形成されたフランジ部の車両前後方向の長孔を挿通するボルトによりフランジ部がサイドメンバに固定されていて、長孔内をボルトが車両前後方向へ相対的に移動することにより、サイドメンバに対するマウント部材の取付け位置を車両前後方向へ容易に適宜変更させることができるので、パワープラントの振動等をマウント部材により効果的に低減させることが可能となり、また、パワープラントの仕様変更等にそなえて、マウント部材の取付け位置が車両前後方向に異なった多種類のサイドメンバを準備する必要性も減少する長所がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例における概略配置図。
【図2】図1のII−II縦断面拡大図。
【図3】図2の III−III 矢視図。
【図4】従来装置における概略配置図。
【図5】図4のV矢視拡大図。
【図6】図5のVI−VI縦断面矢視図。
【符号の説明】
1 パワープラント
2 左サイドメンバ
4 右サイドメンバ
5 マウント部材
6 シャシクロスメンバ
7 ロールロッドマウント部材
30 マウント部材
31 アーム
32 軸部
33 支持部材
34 外筒
35 インシュレータ
36 フランジ部
38 スタッドボルト
39 ナット
40 長孔
Claims (1)
- 車両前後方向に延びるサイドメンバとパワープラントとの間に設けられ軸部と外筒と上記軸部及び上記外筒間に環状に配置された弾性体と上記外筒に一体的に固定されて上記外筒の軸中心と直交する方向に沿って延びる略平板状のフランジ部とをそなえたマウント部材を有し、上記軸部及び上記外筒の軸中心がそれぞれ略車幅方向に配置され、かつ、上記軸部及び上記外筒の少なくとも一部が上記サイドメンバ内に配置されて、上記軸部が上記パワープラントに連結されていると共に、上記フランジ部に形成された車両前後方向の長孔を上記軸中心の方向に挿通するボルトにより上記フランジ部が上記サイドメンバの内側面に固定されたパワープラントマウント装置。
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