JP3892742B2 - ファクシミリ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録紙にカット紙を用いるファクシミリ装置に関し、特に本体から突出して設けられた給紙トレー部材と、この給紙トレー部材との間に記録紙の収容スペースを画成するカバー部材とを備えたファクシミリ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭向けのファクシミリ装置では、近年、取り扱い上の不便からロール状の感熱紙に代わってカット紙を用いる構成が多用されている。この場合、積み重ねた状態で収容されたカット紙を1枚ずつ給紙する自動給紙機能を備えたものが望ましく、さらに設置面積を削減するため、本体の背面に設けた給紙口の近傍から上方に立ち上がった給紙トレーに防塵用のカバー部材を併設して記録紙収容部とした構成を採用することが一般的であり、記録紙収容部へのカット紙の収容は、カバー部材を取り外して行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来構成のファクシミリ装置では、カバー部材の取り付け・取り外しの操作が面倒で、記録紙の収容に手間がかかり、使い勝手が悪い不都合があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、記録紙の収容が簡単で使い勝手の良いファクシミリ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明においては、本体から突出して設けられるとともに記録紙の厚さ方向に回動可能に設けられた給紙トレー部材と、該給紙トレー部材との間に記録紙の収容スペースを画成すると共に、該給紙トレー部材が前記本体から上方に突出した状態状態において、内端側を中心に記録紙の厚さ方向に回動可能に設けられかつ回動中心軸が前記給紙トレー部材の回動中心軸より内端側に偏心して配置されて外端側の開放部から記録紙の収容を可能としたカバー部材とを備えたものとした。これによると、記録紙の収容が簡単で使い勝手が良くなる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の態様に係るファクシミリ装置は、本体から突出して設けられるとともに記録紙の厚さ方向に回動可能に設けられた給紙トレー部材と、該給紙トレー部材との間に記録紙の収容スペースを画成すると共に、該給紙トレー部材が前記本体から上方に突出した状態状態において、内端側を中心に記録紙の厚さ方向に回動可能に設けられかつ回動中心軸が前記給紙トレー部材の回動中心軸より内端側に偏心して配置されて外端側の開放部から記録紙の収容を可能としたカバー部材とを備えたものである。これによると、カバー部材を取り外すことなく記録紙の収容が可能になり、カバー部材の脱着の不便がなくなるため、使い勝手が良くなる。また、回動中心より内側に位置するカバー部材の内端が、カバー部材を開いた際に外端と相反する向きに変位して給紙トレー部材との間の間隙を狭める場合に、そのカバー部材の内端の変位量が小さくなるため、カバー部材の内端が記録紙と干渉することなく、カバー部材の開き角度を大きく設定することができる。
【0007】
本発明の第2の実施の態様に係るファクシミリ装置は、前記第1の実施の態様において、カバー部材を所定の開き角度に制限する回動規制手段が設けられた構成をとることができる。これによると、回動規制手段によりカバー部材が必要以上に開かなくなり、記録紙の収容が容易になる。
【0008】
本発明の第3の実施の態様に係るファクシミリ装置は、前記第2の実施の態様において、回動規制手段が、突起と、この突起が嵌合する案内溝とからなり、その一方が給紙トレー部材に、他方がカバー部材に設けられた構成をとることができる。これによると、給紙トレー部材に対するカバー部材の回動に伴って相対的に移動する突起が案内溝の内周面に規制されることにより、所定の開き角度の範囲内でカバー部材を円滑に開閉動作させることができる。
【0010】
本発明の第4の実施の態様に係るファクシミリ装置は、前記第1の実施の態様において、給紙トレー部材及びカバー部材の本体に対する取付部分に2段突起が設けられ、この2段突起の1段目の大径部と2段目の小径部とを偏心させて、その一方をカバー部材の回動中心軸とし、他方を給紙トレー部材の回動中心軸とした構成をとることができる。これによると、簡単な構成で偏心した2つの回動中心軸を設けることができ、特に合成樹脂材による一体成形で形成することができるため、製造コストを低減する利点が得られる。
【0012】
本発明の第5の実施の態様に係るファクシミリ装置は、前記第1乃至第4の実施の態様において、カバー部材を開く際に給紙トレー部材を手指で押さえる把持部が設けられた構成をとることができる。これによると、カバー部材を開く操作が容易になる。特に給紙トレー部材が回動する構成で、カバー部材に随伴して給紙トレー部材が回動するのを阻止する上で有効である。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明によるファクシミリ装置を示す斜視図である。このファクシミリ装置では、本体1の背面側に記録紙(カット紙)Aが収容される記録紙収容部2を備え、この記録紙収容部2は、本体1から上方に突出して設けられた給紙トレー部材3と、この給紙トレー部材3の前面側に配置されて給紙トレー部材3との間に記録紙Aの収容スペースを画成するカバー部材4とからなっている。本体1の上面には、各種の操作キー6、及び表示パネル7が設けられている。
【0015】
給紙トレー部材3とカバー部材4とは箱状に組み合わされて防塵構造になっている。すなわち給紙トレー部材3は、底壁9の左右両側に側壁10を有するコ字形状断面に形成され、カバー部材4も、底壁11の左右両側に側壁12を有するコ字形状断面に形成されており、カバー部材4の側壁12が給紙トレー部材3の側壁10の外側に位置するように両者が嵌合される。
【0016】
図2は、図1に示したファクシミリ装置の動作状況を示す側面図である。カバー部材4は、内端4a側を中心に記録紙Aの厚さ方向(ここでは前後方向)に回動可能に設けられており、給紙トレー部材3の外端3bとカバー部材4の外端4bとの間に形成される開放部5から記録紙Aを収容することができる。給紙トレー部材3は、本体1の背面部に設けられた支持突片14に回動可能に支持され、背面側のリブ15が本体1に設けられた支持部16に規制されて僅かに後傾した状態に保持されている。カバー部材4は、給紙トレー部材3に支持され、給紙トレー部材3に沿って後傾した全閉状態と前傾した全開状態との間で回動可能になっている。
【0017】
図3は、図1に示したファクシミリ装置の別の動作状況を示す側面図である。本体1は、背面側に設けられた支軸18を中心にして上下に開閉可能な上部分割体19を有し、この上部分割体19に記録紙収容部2を支持する支持突片14が設けられている。上部分割体19を上方に開くと、この上部分割体19の回動に伴って記録紙収容部2が後方に移動するが、記録紙収容部2が壁面Bに突き当たったところで上部分割体19に対して相対的に前方に回動し、記録紙収容部2と壁面Bとの干渉により上部分割体19の回動が阻害されることがなく、上部分割体19を所要の角度に開くことができる。このため本装置の後方に余分なスペースを確保する必要がなく、設置スペースを削減することができる。
【0018】
図4は、図1に示した記録紙収容部の取付部分を分解して示す斜視図である。記録紙収容部の取付部分には、カバー部材4を所定の開き角度に制限する回動規制手段として、突起21と、この突起21が嵌合する案内溝22とが設けられており、特にここでは給紙トレー部材3の側壁10に突起21が設けられ、カバー部材4の側壁12に案内溝22が設けられている。案内溝22は、カバー部材4を開閉する際に相対的に移動する突起21の軌跡に沿う円弧状の内周輪郭を有し、突起21の外径より僅かに幅広に形成されてその内周面が突起21を規制して、カバー部材4をがたつくことなく円滑に開閉動作させつつその全開位置を規定するようになっている。
【0019】
また、給紙トレー部材3の側壁10には、カバー部材4を支持すると共に本体1の支持突片14に給紙トレー部材3を保持させるための2段突起23が設けられており、この2段突起23の1段目の大径部24と2段目の小径部25とを偏心させて、その一方の大径部24がカバー部材4の回動中心軸となり、他方の小径部25が給紙トレー部材3の回動中心軸となっている。カバー部材4には、1段目の大径部24に嵌合する大径の孔26が開設され、本体1側の支持突片14には、2段目の小径部25に嵌合する小径の孔27が開設されている。なお、2段突起23、孔26・27、並びに支持突片14はそれぞれ左右に一対設けられる。
【0020】
図5は、図1に示したファクシミリ装置の断面図である。記録紙収容部2内の記録紙は、先端が分離パッド29に突き当たって積み重なった状態で収容されており、給紙ローラ30により1枚ずつ送り込まれて押圧ローラ31とインクフィルム32との間に導入され、ここでサーマルヘッド33によりインクフィルム32のインクが熱転写されて所要の画像が記録され、その後、案内部34により給紙方向とは逆向きに案内されて排紙ローラ35で送り出され、排紙トレーを兼用するカバー部材4の前面に記録済みの記録紙が排出される。
【0021】
給紙トレー部材3の内端3aは、記録紙が円滑に給紙されるように本体1の背面部に設けられた給排紙口38から本体1の内部に入り込んでおり、カバー部材4の内端4aも、記録紙が円滑に排紙されるように本体1の内部に入り込んでいる。他方、支持突片14は、給紙トレー部材3及びカバー部材4の回動時に本体1と干渉することなく所要の回動量を確保し得るように本体1の給排紙口38の側縁部分から外部に突出した状態で設けられている。
【0022】
図6は、図1に示した記録紙収容部の取付部分を詳しく示す断面図である。カバー部材4の回動中心軸となる2段突起23の大径部24は、給紙トレー部材3の回動中心軸となる小径部25より内端4a側に偏心して配置されており、カバー部材4の回動中心O2とカバー部材4の内端4aとの距離が、給紙トレー部材3の回動中心O1とカバー部材4の内端4aとの距離より小さくなっている。このため、カバー部材4を手前側に開いた際に、回動中心O2より内側に位置する内端4aが、給紙トレー部材3の底壁9との間の間隙幅Lを狭める向きに変位したとき、その内端4aの変位量が小さくなり、内端4aが記録紙と干渉することなくカバー部材4の開き角度を大きく設定することができる。
【0023】
図7は、図1に示したファクシミリ装置の要部を詳しく示す斜視図である。給紙トレー部材3には、カバー部材4を開く際に給紙トレー部材3を手指で押さえる把持部41が設けられている。この把持部41は、給紙トレー部材3の底壁9の側縁からカバー部材4の外側に突出する突片状に形成されている。カバー部材4の側壁12には、把持部41を押さえるために手指が入る切り欠き42が設けられている。
【0024】
給紙トレー部材3及びカバー部材4には、カバー部材4が不意に開くことがないように両者を弾発的に係止させる構造が採用されている。すなわち、給紙トレー部材3の側壁10の外面に突起43が設けられ、カバー部材4の側壁12に突起43が嵌入する孔44が開設されており、カバー部材4を閉じて給紙トレー部材3と嵌合させると、主にカバー部材4が弾性変形して孔44に突起43が嵌入した係止状態となり、カバー部材4の全閉状態に保持される。カバー部材4を開く際には、把持部41を利用して給紙トレー部材3を手指で押さえておき、突起43と孔44とによる弾発的な係止力に抗してカバー部材4の適所を引くと、容易にかつ円滑にカバー部材4を開くことができる。
【0025】
【発明の効果】
このように本発明によれば、カバー部材を取り外すことなく記録紙の収容が可能になり、カバー部材の脱着の不便がなくなるため、利便性を向上させる上で大きな効果が得られる。特にカバー部材の開き角度を制限したり、カバー部材の回動中心軸を給紙トレー部材の回動中心軸より内端側に偏心して配置したり、カバー部材を開く際に給紙トレー部材を手指で押さえる把持部を設けたりすることで利便性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるファクシミリ装置を示す斜視図
【図2】図1に示したファクシミリ装置の動作状況を示す側面図
【図3】図1に示したファクシミリ装置の別の動作状況を示す側面図
【図4】図1に示した記録紙収容部の取付部分を分解して示す斜視図
【図5】図1に示したファクシミリ装置の断面図
【図6】図1に示した記録紙収容部の取付部分を詳しく示す断面図
【図7】図1に示したファクシミリ装置の要部を詳しく示す斜視図
【符号の説明】
1 本体
2 記録紙収容部
3 給紙トレー部材、3a 内端、3b 外端
4 カバー部材、4a 内端、4b 外端
5 開放部
14 支持突片
21 突起
22 案内溝
23 2段突起、24 大径部、25 小径部
41 把持部
A 記録紙
O1 回動中心
O2 回動中心
Claims (5)
- 本体から突出して設けられるとともに記録紙の厚さ方向に回動可能に設けられた給紙トレー部材と、該給紙トレー部材との間に記録紙の収容スペースを画成すると共に、該給紙トレー部材が前記本体から上方に突出した状態において、内端側を中心に記録紙の厚さ方向に回動可能に設けられかつ回動中心軸が前記給紙トレー部材の回動中心軸より内端側に偏心して配置されて外端側の開放部から記録紙の収容を可能としたカバー部材とを備えたことを特徴とするファクシミリ装置。
- 前記カバー部材を所定の開き角度に制限する回動規制手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
- 前記回動規制手段が、突起と、該突起が嵌合する案内溝とからなり、その一方が前記給紙トレー部材に、他方が前記カバー部材に設けられたことを特徴とする請求項2に記載のファクシミリ装置。
- 前記給紙トレー部材及び前記カバー部材の前記本体に対する取付部分に2段突起が設けられ、該2段突起の1段目の大径部と2段目の小径部とを偏心させて、その一方を前記カバー部材の回動中心軸とし、他方を前記給紙トレー部材の回動中心軸としたことを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
- 前記カバー部材を開く際に前記給紙トレー部材を手指で押さえる把持部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のファクシミリ装置。
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