JP3892625B2 - 中空成形品の接合による成形方法及び装置並びに接合による成形方法により成形される中空成形品 - Google Patents

中空成形品の接合による成形方法及び装置並びに接合による成形方法により成形される中空成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製の中空成形品の接合による成形方法及び装置並びに接合により成形される中空成形品に関するもので、特に、中空成形品を、二分割された半成形品をスライドさせて同一金型内で融着成形を行うダイスライドインジェクション(DSI)により成形する中空成形品の接合による成形方法及び装置並びに接合により成形される中空成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂製の中空成形品を製造する方法として、特公平2−38377号公報(特願昭60−227761号)に開示される中空成形品の成形方法がある。この成形方法は、中空成形品を二分割された半成形品を同一金型内で融着成形を行い中空成形品を製造するいわゆるダイスライドインジェクション(DSI)と呼ばれる方法である。具体的には、一つの金型に中空成形品を二つ割りした分割体をそれぞれ成形するための雄型と雌型とが設けられ、1次成形用の金型位置で1次射出成形により成形した後、型開きし、金型内にそれぞれの半成形品を残したまま、一方の金型をスライドさせて2次成形用の金型位置で、すなわち、重なり合う位置に一方の金型を移動させ、再型締めして、半成形品同士を突き合わせ、突き合わせ面の周縁に形成された空間に、再度、溶融樹脂を2次射出することにより、各分割体を互いに溶着して接合する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の中空成形品の成形方法では、一対の半成形品を接合するために、2次射出工程が必要なため、成形時間及びコストがかかり、また、2次成形用のスプルーを有した複雑な構造とする必要があるという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に対処してなされたもので、射出工程を1回のみとし、且つ二次成形用のスプルーが不要で汎用金型に近い構造で中空成形品を得ることができる中空成形品の接合による成形方法及び装置並びに接合により成形される中空成形品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(1,3)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の成形方法であって、
何れか一方の半成形品(3)の接合部(10)に凸部(4)を設け、他方の半成形品(1)の接合部(9)は所定時間内では接合部(9)内部まで固化されない程度の肉厚とし、
一対の半成形品(1,3)の接合部(9,10)同士を突き合わせた際に、一方の半成形品(3)の凸部(4)が他方の半成形品(1)の接合部(9)内に差し込まれて接合部(9)内部の固化されていない溶融部(6)に達することにより、双方の接合部(9,10)が接合する。
【0006】
かかる構成では、何れか一方の半成形品(3)の接合部(10)に凸部(4)を設け、他方の半成形品(1)の接合部(9)は所定時間内では接合部(9)内部まで固化されない程度の肉厚としたので、一対の半成形品(1,3)の接合部(9,10)同士を突き合わせた際に、一方の半成形品(3)の凸部(4)が他方の半成形品(1)の接合部(9)内に差し込まれて、固化されていない溶融部(6)に達することにより、双方の接合部(9,10)が接合されて、中空成形品を得ることができる。
具体的な射出工程では、射出成形機を用いて1次成形により、一対の半成形品(1,3)を各々成形した後、型開きし、金型内にそれぞれの半成形品(1,3)を残したまま、スライド工程により、一方の金型をスライドさせて、一対の半成形品(1,3)が重なり合う位置に移動させ、再型締めして、半成形品(1,3)同士を突き合わせ融着接合することにより、中空成形品を得ることができる。
【0009】
請求項記載の発明では、各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(1,3)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の成形方法であって、
何れか一方の半成形品(3)の接合部(10)に凸部(4)を設け、
他方の半成形品(1)の接合部(9)は、一方の半成形品(3)の凸部(4)に対応する箇所に、凸部(4)が差し込み可能で、且つ凸部(4)の突起長さより浅い凹部(2)を有し、更に、接合部(9)の凹部(2)の周囲が所定時間内では内部まで固化されない程度の肉厚となるように形成され、
一対の半成形品(1,3)の接合部(9,10)同士を突き合わせた際に、一方の半成形品(3)の凸部(4)が他方の半成形品(1)の凹部(2)内に差し込まれて接合部(9)の凹部(2)周囲の内部の固化されていない溶融部(6)に達することにより、双方の接合部(9,10)が接合する。
【0010】
かかる構成では、何れか一方の半成形品(3)の接合部(10)に凸部(4)を設けると共に、他方の半成形品(1)の接合部(9)は一方の半成形品(3)の凸部(4)に対応する箇所に、凸部(4)が差し込み可能で、且つ所定時間内では内部まで固化されない程度の肉厚の凹部(2)を設けるようにしたので、一対の半成形品(1,3)の接合部(9,10)同士を突き合わせた際に、一方の半成形品(3)の凸部(4)が他方の半成形品(1)の凹部(2)内に差し込まれて、凸部(4)が接合部(9)の凹部(2)周囲の内部の溶融部(6)に達することにより、凹部(2)内の溶融部(6)が固化されていないので、双方の接合部(9,10)同士が接合されて中空成形品を得ることができる。
【0011】
請求項記載の発明では、各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(11,12)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の接合による成形方法であって、
何れか一方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)を、所定時間内では接合部(9,10)内部まで固化されない程度の肉厚とし、接合部(9,10)間に所定の空間(13)を設け、
何れか一方の半成形品(11,12)のうち、内部まで固化されない程度の肉厚とした接合部(9,10)内に、押し込み可能な押し込み部材(7)を設け、
半成形品(11,12)を突き合わせた後、押し込み部材(7)を、何れか一方の半成形品(11,12)の表面から押し込み、
何れか一方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を所定の空間(13)に押し出して、他方の半成形品(12,11)の接合表面部に流出させて接合させることを特徴とする。
【0012】
かかる構成では、押し込み部材(7)の一方の半成形品(11)の表面からの押し込みにより、接合部(9)内の融着部において滞留している溶融樹脂を接合表面部に流出させて他方の半成形品(12)と接合させるようにしたので、半成形品(11,12)の接合部(9,10)に凸部を形成する必要がなくなり、また、融着させる時期を選ぶことができる。
【0013】
請求項記載の発明では、各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(11,12)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の接合による成形方法であって、
何れか一方の半成形品(11)の接合部(9)を、所定時間内では接合部(9)内部まで固化されない程度の肉厚とし、且つ接合部(9)に所定の空間(13)となる凹部を形成し、
他方の接合部(12)を平坦に形成し、
一方の半成形品(11)の接合部(9)内に押し込み可能な押し込み部材(7)を設け、
半成形品(11,12)を突き合わせた後、押し込み部材(7)を、一方の半成形品(11)の表面から押し込み、
一方の半成形品(11)の接合部(9)内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を、接合部(9)の凹部より押し出して、他方の半成形品(12)の接合表面部まで流出させて接合させることを特徴とする。
【0014】
請求項記載の発明では、請求項記載の中空成形品の接合による成形方法において、前記凹部は、外周縁側において開口されていることを特徴とする。
【0015】
請求項記載の発明では、各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(11,12)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の接合による成形方法であって、
何れか一方の半成形品(11)の接合部(9)を平坦に形成し、且つ所定時間内では接合部(9)内部まで固化されない程度の肉厚とし、
他方の接合部(12)は所定の空間(13)となる凹部を形成し、
一方の半成形品(11)の接合部(9)内に押し込み可能な押し込み部材(7)を設け、
半成形品(11,12)を突き合わせた後、押し込み部材(7)を、一方の半成形品(11)の表面から押し込み、
一方の半成形品(11)の接合部(9)内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を所定の空間(13)に押し出して、他方の半成形品(12)の凹部の接合表面部に流出させて接合させることを特徴とする。
【0016】
請求項記載の発明では、請求項記載の中空成形品の接合による成形方法において、前記凹部は、外周縁側において開口されていることを特徴とする。
【0017】
請求項記載の発明では、各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(11,12)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の接合による成形方法であって、
双方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)を、所定時間内では接合部(9,10)内部まで固化されない程度の肉厚とし、接合部(9,10)間に各々所定の空間(13)を設け、
双方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)内に押し込み可能な押し込み部材(7)を各々設け、
半成形品(11,12)を突き合わせた後、押し込み部材(7)を、双方の半成形品(11,12)の表面から押し込み、
双方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を双方の所定の空間(13)に押し出して、双方の半成形品(12,11)の接合表面部に流出させて接合させることを特徴とする。
【0018】
かかる構成では、押し込み部材(7)を、双方の半成形品(11,12)の表面から各々同時に押し込み、双方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を所定の空間(13)に押し出して、双方の半成形品(11,12)の接合表面部に流出させて、図18に示すように冷却固化させて双方の半成形品(11,12)を接合させる。
【0019】
請求項記載の発明では、請求項記載の中空成形品の接合による成形方法において、所定の空間(13)は凹部であることを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の発明では、請求項記載の中空成形品の接合による成形方法において、前記凹部は、外周縁側において開口されていることを特徴とする。
【0021】
請求項11記載の発明では、請求項10のいずれか記載の中空成形品の接合による成形方法において、押し込み部材(7)による押し込み量が、少なくとも所定の空間(13)の体積よりも、一方又は双方の半成形品(11,12)の冷却固化による体積収縮量分だけ、大きくなるようにしたことを特徴とする。
【0022】
請求項12記載の発明では、各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(11,12)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の接合による成形装置であって、
一方又は双方の半成形品(11,12)のうち、一方又は双方の内部まで固化されない程度の肉厚とした接合部(9,10)内に、押し込み可能な押し込み部材(7)を設け、
押し込み部材(7)を、一方又は双方の半成形品(11,12)の表面から押し込み駆動を行う押し込み部材駆動装置(8)を設け、
半成形品(11,12)同士を突き合わせた後、一方又は双方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を押し出して、他方の半成形品(12,11)の接合表面部に流出させて接合させることを特徴とする。
【0023】
請求項13記載の発明は、請求項1記載の中空成形品の接合による成形方法により成形されるものである。
【0024】
請求項14記載の発明では、請求項記載の中空成形品の接合による成形方法により成形されるものである。
【0025】
請求項15記載の発明では、請求項記載の中空成形品の接合による成形方法により成形されるものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の中空成形品の半成形品の形状を説明する断面図、図2は図1の一対の半成形品の接合の状態を説明する図、図3は半成形品の表皮のみ固化した状態を示す図、図4は一対の半成形品を突き合わせる前の状態を示す図、図5は一対の半成形品が突き合わされて接合部分が融着した状態を示す図である。
【0027】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の中空成形品の接合による成形方法では、図1に示すように、各々の外周縁部に接合部9,10を有する一対の半成形品1,3の接合部9,10同士を突き合わせて接合する。半成形品1は、中央部の断面がほぼコ字状で周囲に突出した外周縁部が接合部9となり、中空成形品の容器側を構成する。また、半成形品3は、断面がほぼ平板状で、半成形品1の接合部9に対応する箇所に接合部10を有し、半成形品1の開口部を閉鎖する蓋部を構成する。
【0028】
本発明では、一方の半成形品3の接合部10に所定長さに突出した凸部4を設け、他方の半成形品1の接合部9は、一方の半成形品3の凸部4に対応する箇所に、凸部4が差し込み可能で、且つ凸部4の突起長さより浅い凹部2を有し、更に、凹部2の周囲が所定時間内では接合部9内部まで固化されない程度の肉厚となるように形成されることを特徴とする。接合部9の凹部2の周囲は、所定時間内で固化される程度の通常の肉厚よりも大きく形成されているため、図3に示すように、接合部9の凹部2の周囲は所定時間では、表皮のみ固化され、内部までは固化されない点状で示される溶融部6が残り、他の部分は表皮だけでなく内部まで固化されている状態となるようにする。なお、所定時間は少なくとも、半成形品1,3の成形後、半成形品1,3同士を突き合わせる迄にかかる時間以上が必要である。
【0029】
これにより、一対の半成形品1,3を、図4に示す半成形品1,3が離隔された状態から、図5に示すように、半成形品1,3を突き合わせた際に、一方の半成形品3の凸部4が他方の半成形品1の凹部2内に差し込まれて、凸部4の先端側が溶融部6に達することとなり、半成形品1の凹部2内の溶融部6において、半成形品3の凸部4が双方の接合部9,10で融着されて接合する。すなわち、図2に示すように、突き合わせ時に、凹部2内部及び凸部4の先端側が融着部5となる。
具体的な射出工程では、射出成形機(図示せず)を用いて1次成形により、一対の半成形品(1,3)を各々成形した後、型開きし、金型内にそれぞれの半成形品(1,3)を残したまま、スライド工程により、一方の金型をスライドさせて、一対の半成形品(1,3)が重なり合う位置に移動させ、再型締めして、半成形品(1,3)同士を突き合わせ融着接合することにより、中空成形品を得ることができる。
【0030】
本実施の形態では、一方の半成形品3の接合部10に凸部4を設け、他方の半成形品1の接合部9は、一方の半成形品3の凸部4に対応する箇所に、凸部4が差し込み可能で、且つ凸部4の突起長さより浅い凹部2を有し、更に、凹部2の周囲が所定時間内では接合部9内部まで固化されない程度の肉厚となる形状にしているが、これに限定されるものではなく、半成形品1,3の何れか一方又は双方の接合部9,10を、所定時間内では接合部9,10内部まで固化されない程度の肉厚形状であれば良い。例えば、一方の半成形品3の接合部10に凸部4を設け、他方の半成形品1の接合部9は所定時間内では接合部9内部まで固化されない程度の肉厚であれば、本実施の形態のように他方の接合部10に凹部2を設けずに、接合部10を平坦状にしても良い。また、本実施の形態では、容器側の半成形品1に凹部2を設け、蓋側となる半成形品3側に凸部4を設けるようにしているが、逆にして、接合部10に形成する凹部の周囲が所定時間内では内部まで固化されない程度の肉厚とできれば、容器側となる他方の半成形品1に凸部を設け、蓋側となる一方の半成形品3側に凹部を設けるようにしても良い。
【0031】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図6(a)は本発明の第2の実施の形態を示す断面図、(b)は(a)図のA部拡大図、図7は、図6(b)の成形工程を示す断面図、図8は、図6(b)の押し込み工程を示す断面図、図9は、図6(b)の冷却固化工程を示す断面図である。図10は、本発明の第2の実施の形態の変形例を示す断面図であり、その成形工程を示す図、図11は、図10の押し込み工程を示す断面図、図12は、図10の冷却固化工程を示す断面図である。図13は、本発明の第2の実施の形態の他の変形例を示す断面図、図14は、本発明の第2の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【0032】
図6に示すように、各々の外周縁部に接合部9,10を有する一対の半成形品11,12の接合部9,10同士を突き合わせて接合するものである。一方の半成形品11は、中空成形品の容器側を構成し、周囲に突出した外周縁部に接合部9を有する。接合部9は、中央部の断面がほぼ凹部状の空間13を有する。一方の半成形品11の接合部10は、所定時間内では接合部9内部まで固化されない程度の肉厚としている。すなわち、接合部9内側には所定時間では、表皮のみ固化され内部までは固化されない溶融部6が残り、他の部分は表皮だけでなく内部まで固化されている状態となるようにする。他方の半成形品12は、断面が平板状で半成形品11の接合部9に対応する箇所に接合部10を有し、一方の半成形品11の開口部を閉鎖する蓋部を構成する。接合部10は凸部とはせず平坦である。
【0033】
本実施の形態では、一方の半成形品11側の図示しない金型に挿通されて、一方の半成形品11の接合部9内部に押し込み可能な大きさの部材が、軸部の先端に取り付けられ、半成形品11の表面から接合部9に押し込み可能な押し込み部材7が設けられている。また、押し込み部材7の軸部と連結され、軸部を軸方向に押し出し駆動する押し込み部材駆動装置8が金型に設けられている。
【0034】
かかる構成により、図7に示すように、半成形品11,12を突き合わせた状態で、一方の半成形品11の表面から押し込み部材7を押し込み部材駆動装置8の駆動により押し込み、図8に示すように、一方の半成形品11の接合部9内部の溶融部6において滞留している溶融樹脂を、強制的に空間13側に押し出して、他方の半成形品12の接合表面部まで流出させる。このときの押し込み部材7による押し込み量は、少なくとも空間13の体積よりも、半成形品11,12の冷却固化による体積収縮量分だけ、大きくなるようにする。さらに、図9に示すように、接合表面部に流出された溶融樹脂が冷却固化させて、半成形品11と半成形品12を接合させる。これにより、半成形品11の接合部9内部ではなく、接合部9,10の接触面において接合させることができる。
【0035】
半成形品11,12をかかる構成とすることにより、押し込み部材7の半成形品11の表面からの押し込みにより、接合部9,10の接触面において接合させることができるため、半成形品11,12の接合部9,10間に空間13を形成すれば良く、接合部9,10に凸部を形成する必要がなくなると同時に、より効率の良い融着が可能となり、より生産性が向上する。
【0036】
半成形品11側の空間13の形状は、接合部9の中央部に凹部とするものに限定されず、図10に示すように、外周縁側において開口されているものであっても良い。
【0037】
かかる形状の場合には、図11に示すように、一方の半成形品11の接合部9内部の溶融部6において滞留している溶融樹脂を、強制的に空間13側に押し出して、他方の半成形品12の接合表面部まで流出させる。このときの押し込み部材7による押し込み量は、少なくとも空間13の体積よりも、半成形品11,12の冷却固化による体積収縮量分だけ、大きくなるようにする。外周縁側の開口部分は、半成形品11,12の外側の金型において堰き止められ、成形品の外形形状が整えられた状態で、図12に示すように、冷却固化される。
【0038】
なお、空間13は一方の半成形品11の接合部9に形成するものを説明してが、これに限定されるものではなく、図13に示すように、一方の半成形品11の接合部9を平坦に形成し、且つ所定時間内では接合部9内部まで固化されない程度の肉厚とし、他方の半成形品12の接合部10に所定の空間13となる凹部を有するようにしても良い。
【0039】
成形する場合には、半成形品11,12を突き合わせた後、押し込み部材7を、一方の半成形品11の表面から押し込み、一方の半成形品11の接合部9内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を他方の半成形品12の空間13に押し出して、他方の半成形品12の凹部の接合表面部において接合させるようにする。
【0040】
図13に示す半成形品11側の空間13の形状は、接合部9の中央部に凹部とするものに限定されず、図14に示すように、外周縁側において開口されているものであっても良い。
【0041】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図15(a)は本発明の第3の実施の形態を示す断面図、(b)は(a)図のA部拡大図、図16は、図15(b)の成形工程を示す断面図、図17は、図15(b)の押し込み工程を示す断面図、図18は、図15(b)の冷却固化工程を示す断面図である。図19は、本発明の第3の実施の形態の変形例を示す断面図であり、その成形工程を示す図、図20は、図19の押し込み工程を示す断面図、図21は、図19の冷却固化工程を示す断面図である。
【0042】
図15(a)、(b)に示すように、双方の半成形品11,12の接合部9,10を、所定時間内では接合部9,10内部まで固化されない程度の肉厚とし、接合部9,10間に凹部状の所定の空間13を設けるようにする。双方の半成形品11,12の接合部9,10内に各々押し込み可能な大きさの押し込み部材7を、図示しない金型に各々挿通させて設け、押し込み部材7を、双方の半成形品11,12の表面から各々押し込み駆動を行う押し込み部材駆動装置8を金型に設ける。
【0043】
図16に示すように、半成形品11,12を突き合わせた後、図17に示すように、押し込み部材7を、双方の半成形品11,12の表面から各々同時に押し込み、双方の半成形品11,12の接合部9,10内の固化されていない溶融部6の溶融樹脂を所定の空間13に押し出して、双方の半成形品11,12の接合表面部に流出させて、図18に示すように冷却固化させて双方の半成形品11,12を接合させる。
【0044】
図15に示す半成形品11側の空間13の形状は、接合部9の中央部に凹部とするものに限定されず、図19に示すように、外周縁側において開口されているものであっても良い。
【0045】
かかる形状の場合には、図20に示すように、一方の半成形品11の接合部9内部の溶融部6において滞留している溶融樹脂を、強制的に空間13側に押し出して、他方の半成形品12の接合表面部まで流出させる。このときの押し込み部材7による押し込み量は、少なくとも空間13の体積よりも、半成形品11,12の冷却固化による体積収縮量分だけ、大きくなるようにし、外周縁側の開口部分は、半成形品11,12の外側の金型において堰き止められ、成形品の外形形状が整えられた状態で、図21に示すように、冷却固化される。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1及び2記載の発明では、何れか一方又は双方の接合部(9,10)を、所定時間内では接合部(9,10)内部まで固化されない程度の肉厚としたので、一対の半成形品(1,3)の接合部(9,10)同士を突き合わせた際に、一方又は双方の接合部(9,10)部分が所定時間では冷却固化されておらず、溶融状態であるので、この固化されていない一方又は双方の接合部(9,10)が他方の接合部(10,9)に溶着されて接合されて、中空成形品を得ることができる。このため、従来では2回の射出工程を1回のみとすることができ、更に二次成形用のスプルーを有する金型構造が不要となり、金型及び中空成形品を低コスト化することができる。
【0047】
また、請求項記載の発明では、押し込み部材(7)の一方の半成形品(11)の表面からの押し込みにより、接合部(9)内の融着部において滞留している溶融樹脂を接合表面部に流出させて他方の半成形品(12)と接合させるようにしたので、半成形品(11,12)の接合部(9,10)に凸部を形成する必要がなくなり、また、融着させる時期を選ぶことができる。
【0048】
さらに、請求項10記載の発明では、押し込み部材(7)を、双方の半成形品(11,12)の表面から各々同時に押し込み、双方の半成形品(11,12)を接合させるようにしたので、より接合強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の中空成形品の半成形品の形状を説明する断面図である。
【図2】図1の一対の半成形品の接合の状態を説明する部分断面図である。
【図3】雌型半成形品の表皮のみ固化した状態を示す部分断面図である。
【図4】一対の半成形品を突き合わせる前の状態を示す断面図である。
【図5】一対の半成形品が突き合わされて接合部分が融着した状態を示す断面図である。
【図6】(a)は本発明の第2の実施の形態を示す断面図、(b)は(a)図のA部拡大図である。
【図7】図6(b)の成形工程を示す断面図である。
【図8】図6(b)の押し込み工程を示す断面図である。
【図9】図6(b)の冷却固化工程を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の変形例を示す断面図であり、その成形工程を示す図である。
【図11】図10の押し込み工程を示す断面図である。
【図12】図10の冷却固化工程を示す断面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【図15】(a)は本発明の第3の実施の形態を示す断面図、(b)は(a)図のA部拡大図である。
【図16】図15(b)の成形工程を示す断面図である。
【図17】図15(b)の押し込み工程を示す断面図である。
【図18】図15(b)の冷却固化工程を示す断面図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態の変形例を示す断面図であり、その成形工程を示す図である。
【図20】図19の押し込み工程を示す断面図である。
【図21】図19の冷却固化工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1,3、11,12 半成形品
2 凹部
4 凸部
5 融着部
6 溶融部
7 押し込み部材
8 押し込み部材駆動装置
9,10 接合部
13 空間

Claims (15)

  1. 各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(1,3)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の成形方法であって、
    何れか一方の半成形品(3)の接合部(10)に凸部(4)を設け、他方の半成形品(1)の接合部(9)は所定時間内では接合部(9)内部まで固化されない程度の肉厚とし、
    一対の半成形品(1,3)の接合部(9,10)同士を突き合わせた際に、一方の半成形品(3)の凸部(4)が他方の半成形品(1)の接合部(9)内に差し込まれて接合部(9)内部の固化されていない溶融部(6)に達することにより、双方の接合部(9,10)が接合することを特徴とする中空成形品の接合による成形方法。
  2. 各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(1,3)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の成形方法であって、
    何れか一方の半成形品(3)の接合部(10)に凸部(4)を設け、
    他方の半成形品(1)の接合部(9)は、一方の半成形品(3)の凸部(4)に対応する箇所に、凸部(4)が差し込み可能で、且つ凸部(4)の突起長さより浅い凹部(2)を有し、更に、接合部(9)の凹部(2)の周囲が所定時間内では内部まで固化されない程度の肉厚となるように形成され、
    一対の半成形品(1,3)の接合部(9,10)同士を突き合わせた際に、一方の半成形品(3)の凸部(4)が他方の半成形品(1)の凹部(2)内に差し込まれて接合部(9)の凹部(2)周囲の内部の固化されていない溶融部(6)に達することにより、双方の接合部(9,10)が接合することを特徴とする中空成形品の接合による成形方法。
  3. 各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(11,12)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の接合による成形方法であって、
    何れか一方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)を、所定時間内では接合部(9,10)内部まで固化されない程度の肉厚とし、接合部(9,10)間に所定の空間(13)を設け、
    何れか一方の半成形品(11,12)のうち、内部まで固化されない程度の肉厚とした接合部(9,10)内に、押し込み可能な押し込み部材(7)を設け、半成形品(11,12)を突き合わせた後、押し込み部材(7)を、何れか一方の半成形品(11,12)の表面から押し込み、
    何れか一方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を所定の空間(13)に押し出して、他方の半成形品(12,11)の接合表面部に流出させて接合させることを特徴とする中空成形品の接合による成形方法。
  4. 各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(11,12)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の接合による成形方法であって、
    何れか一方の半成形品(11)の接合部(9)を、所定時間内では接合部(9)内部まで固化されない程度の肉厚とし、且つ接合部(9)に所定の空間(13)となる凹部を形成し、
    他方の接合部(12)を平坦に形成し、一方の半成形品(11)の接合部(9)内に押し込み可能な押し込み部材(7)を設け、
    半成形品(11,12)を突き合わせた後、押し込み部材(7)を、一方の半成形品(11)の表面から押し込み、
    一方の半成形品(11)の接合部(9)内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を、接合部(9)の凹部より押し出して、他方の半成形品(12)の接合表面部まで流出させて接合させることを特徴とする中空成形品の接合による成形方法。
  5. 前記凹部は、外周縁側において開口されていることを特徴とする請求項記載の中空成形品の接合による成形方法。
  6. 各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(11,12)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の接合による成形方法であって、
    何れか一方の半成形品(11)の接合部(9)を平坦に形成し、且つ所定時間内では接合部(9)内部まで固化されない程度の肉厚とし、
    他方の接合部(12)は所定の空間(13)となる凹部を形成し、
    一方の半成形品(11)の接合部(9)内に押し込み可能な押し込み部材(7)を設け、
    半成形品(11,12)を突き合わせた後、押し込み部材(7)を、一方の半成形品(11)の表面から押し込み、
    一方の半成形品(11)の接合部(9)内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を所定の空間(13)に押し出して、他方の半成形品(12)の凹部の接合表面部に流出させて接合させることを特徴とする中空成形品の接合による成形方法。
  7. 前記凹部は、外周縁側において開口されていることを特徴とする請求項6記載の中空成形品の接合による成形方法。
  8. 各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(11,12)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の接合による成形方法であって、
    双方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)を、所定時間内では接合部(9,10)内部まで固化されない程度の肉厚とし、接合部(9,10)間に各々所定の空間(13)を設け、
    双方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)内に押し込み可能な押し込み部材(7)を各々設け、
    半成形品(11,12)を突き合わせた後、押し込み部材(7)を、双方の半成形品(11,12)の表面から押し込み、
    双方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を双方の所定の空間(13)に押し出して、双方の半成形品(12,11)の接合表面部に流出させて接合させることを特徴とする中空成形品の接合による成形方法。
  9. 所定の空間(13)は凹部であることを特徴とする請求項記載の中空成形品の接合による成形方法。
  10. 前記凹部は、外周縁側において開口されていることを特徴とする請求項記載の中空成形品の接合による成形方法。
  11. 押し込み部材(7)による押し込み量が、少なくとも所定の空間(13)の体積よりも、一方又は双方の半成形品(11,12)の冷却固化による体積収縮量分だけ、大きくなるようにしたことを特徴とする
    請求項10のいずれか記載の中空成形品の接合による成形方法。
  12. 各々の外周縁部に接合部(9,10)を有する一対の半成形品(11,12)の接合部(9,10)同士を突き合わせて接合する中空成形品の接合による成形装置であって、
    一方又は双方の半成形品(11,12)のうち、一方又は双方の内部まで固化されない程度の肉厚とした接合部(9,10)内に、押し込み可能な押し込み部材(7)を設け、
    押し込み部材(7)を、一方又は双方の半成形品(11,12)の表面から押し込み駆動を行う押し込み部材駆動装置(8)を設け、
    半成形品(11,12)同士を突き合わせた後、一方又は双方の半成形品(11,12)の接合部(9,10)内の固化されていない溶融部(6)の溶融樹脂を押し出して、他方の半成形品(12,11)の接合表面部に流出させて接合させることを特徴とする中空成形品の接合による成形装置。
  13. 請求項1記載の中空成形品の接合による成形方法により成形される中空成形品。
  14. 請求項記載の中空成形品の接合による成形方法により成形される中空成形品。
  15. 請求項記載の中空成形品の接合による成形方法により成形される中空成形品。
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