JP3891805B2 - 真空蒸着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、蒸着を行うには、平板状の被加工物の被蒸着面にマスキングを行い、必要な部分にのみ蒸着を行う。
【0003】
従来の蒸着装置は、図5に示すように、環状の支持板40を備え、支持板40の上面にマスキング板42を載置し、マスキング板42の上面に被加工物41を載置していた。即ち、被加工物41の下面が被蒸着面41aとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の蒸着装置では、図5に示すように、マスキング板42は被加工物41の被蒸着面41aに接触しているのみであるため(即ち、支持板40の内部に相当するマスキング板42は下方から支持されていないため)、蒸着の際の高温な蒸発温度により、マスキング板42は、熱膨張により歪み、被加工物41の被蒸着面41aから(自重により下方へ)遊離していた。この遊離により、被蒸着面41aとマスキング板42との間に隙間Gが生じ、被蒸着面41aの所望の場所に蒸着物を蒸着させることができず、品質の低下を招くこととなった。さらに、被蒸着面41aの面積が大きい場合や、被蒸着面41aに精細に蒸着する場合には、この欠点が一層顕著となった。
【0005】
そこで、本発明は、被加工物の所望の位置に高精密に蒸着させることができ、品質の向上を図ることができる真空蒸着装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る真空蒸着装置は、平板状の被加工物の裏面側に配設され、該被加工物の被蒸着面に磁性材であるマスキング板を吸着させるマグネットと、多数の取付孔を有するマグネット基板と、該マグネット基板に載置され上記マグネットが吸着される平板状の磁性材のヨークと、を備え、該ヨークは、上記マグネット基板の取付孔に対向する位置でかつ該取付孔よりも小径に形成され上記マグネットを付き押すための小孔を有し、上記マグネット基板の多数の取付孔に上記マグネットが任意に取り外し自在に嵌め込まれるように構成され、上記被蒸着面において精細な蒸着が必要な部分に対向する上記マグネット基板の取付孔には、マグネットが密集して取り付けられ、上記被蒸着面において蒸着が必要でない部分に対向するマグネット基板の取付孔には、上記マグネットが分散して取り付けられているものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
【0008】
図1に、本発明の真空蒸着装置の実施の一形態を示し、本真空蒸着装置は、平板状の被加工物1の裏面1b側に配設され、該被加工物1の被蒸着面1aに磁性材であるマスキング板2を吸着させるマグネット3…を有する。
【0009】
本蒸着装置は、真空状態(例えば10-4Pa)のケーシングC内において、蒸発部4にて(真空蒸着で使用される)蒸着材料5を蒸気化し、(磁性材でないガラスなどの)平板状の被加工物1の被蒸着面1aに、蒸着させるものである。このとき、被加工物1の被蒸着面1aは、(例えばSUS420J2の)磁性材であるマスキング板2にて覆われ、被蒸着面1aの所望の位置にのみ蒸着を行うことができる。これによって、装飾膜、カーブミラー、反射膜、(携帯電話の)表示素子のカソード膜などを作製する。
【0010】
本蒸着装置は、ケーシングCに貫通状に固着される円筒状のハウジング部6と、ハウジング部6の内部に軸受とシール材(回転軸シール)とを介して回転可能に取り付けられるロータ部7とを、備え、ロータ部7は、(減速機付モータ等の)駆動部8にてベルト又はチェーンを介して軸心L廻りに回転可能となる。
【0011】
ロータ部7は、筒状の軸部7aと、(軸部7aの軸心に中心を一致させるように)軸部7aに連設された箱部7bと、を有し、軸部7aがハウジング部6に取り付けられ、箱部7bがケーシングC内に配設される。
【0012】
軸部7aの内部には、軸棒10が軸心L方向に往復動自在となるように配設され、箱部7bの内部には、軸棒10の先端に連設されたマグネット保持体11が配設されている。なお、箱部7b内部の中壁12に取り付けられたガイドピン13にて、マグネット保持体11は、確実に軸心L方向に往復動自在となる。なお、軸部7a及び箱部7bの内部には、(矢印で示すように)冷却水が通水可能となる。
【0013】
箱部7bの外面には、被加工物1の裏面1bを箱部7bの下面に圧縮バネ15の弾発付勢力にて圧接させる支持部14が取り付けられ、支持部14は、ケーシングCを貫通するように取り付けられた押し棒16にて圧縮バネ15の弾発付勢力に抗して押し込まれることで、被加工物1を箱部7bから離間させるように構成されている。
【0014】
ここで、被加工物1は、環状の支持板17の上面に載置され、マスキング板2は、被加工物1と支持板17との間に挟持されており、被加工物1の下面でかつ支持板17の内部に相当する面が、被蒸着面1aとなる。
【0015】
即ち、支持部14は、支持板17を保持しており、仮想線にて示すように、支持板17を搬送台18に載置できる。
【0016】
マグネット保持体11は、図1〜図3に示すように、平板状の(非磁性材の)マグネット基板21と、マグネット基板21(の上面)に載置される平板状の(磁性材の)ヨーク20と、多数のマグネット3…と、を備えている。
【0017】
マグネット基板21は、平面視千鳥状に多数の取付孔21a…を有し、ヨーク20は、取付孔21aに対向する位置でかつ取付孔21aよりも小径な多数の小孔20a…を有している。
【0018】
マグネット3…は、多数の取付孔21a…に任意に嵌め込まれている。このとき、マグネット3…はヨーク20に吸着しているため、マグネット3…全体の磁性力(吸着力)が強大となる。なお、マグネット3は、マグネット基板21の下面側から取付孔21aに容易に嵌め込むことができ、さらに、ヨーク20の上面側から小孔20aに(図示省略の)押し針を差し込んでマグネット3を突き押すことで、マグネット3を取付孔21aから容易に取り外すことができる。
【0019】
次に、本蒸着装置の作用(機能)を説明する。
まず、図4(イ)に示すように、軸部7aの上端部から軸部7a内部へ流体を注入し、流体が軸棒10基端を下方へ押圧し、軸棒10に外嵌された圧縮コイル19の弾発力に抗して軸棒10を下方へ移動させ、マグネット保持体11を箱部7b(の下壁)に接近乃至当接させる。このとき、被加工物1の裏面1bが箱部7bに接触し、被加工物1の裏面1b側に配設されたマグネット3…が、被加工物1の被蒸着面1aにマスキング板2を吸着させている。
【0020】
そして、被加工物1の被蒸着面1aに蒸着を行った後に、図4(ロ)に示すように、軸部7aの上端部から軸部7a外部へ流体を排出し、圧縮コイル19の弾発力にて軸棒10が上方へ移動し、マグネット保持体11を箱部7b(の下壁)から離間させる。そして、蒸着物9が蒸着した被加工物1を箱部7bから離間させる。
【0021】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、マグネット3…を被加工物1に接近乃至離間させる機構は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
【0022】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成されるので、次に記載する効果を奏する。
【0023】
着の際の高温な蒸発温度においても、マスキング板2が被加工物1の被蒸着面1aに吸着しているため、マスキング板2が被蒸着面1aから遊離することなく、マスキング板2と被蒸着面1aとの間に隙間が発生することを防止し、被蒸着面1aの所望の位置に高精密に蒸着させることができ、品質の向上を図ることができる。さらに、被蒸着面1aの面積が大きい場合や、被蒸着面1aに(例えばマトリックスパターンの)精細な蒸着をする場合には、顕著なものとなる。
【0024】
また、被蒸着面1aにおいて精細な蒸着が必要な部分には、その部分に対向するマグネット基板21に密集してマグネット3…を取り付けて吸着力を高めることができ、一方、被蒸着面1aにおいて蒸着が必要でない部分には、その部分に対向するマグネット基板21に分散してマグネット3…を取り付けて吸着力を弱めることができ、臨機応変なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態を示す全体説明図である。
【図2】 要部平面図である。
【図3】 要部断面図である。
【図4】 要部作用説明図である。
【図5】 従来例を示す作用説明図である。
【符号の説明】
1 被加工物
1a 被蒸着面
1b 裏面
2 マスキング板
3 マグネット
20 ヨーク
20a 小孔
21 マグネット基板
21a 取付孔

Claims (1)

  1. 平板状の被加工物1の裏面側1bに配設され、該被加工物1の被蒸着面1aに磁性材であるマスキング板2を吸着させるマグネット3と、多数の取付孔21a…を有するマグネット基板21と、該マグネット基板21に載置され上記マグネット3が吸着される平板状の磁性材のヨーク20と、を備え、該ヨーク20は、上記マグネット基板21の取付孔21a…に対向する位置でかつ該取付孔21aよりも小径に形成され上記マグネット3を付き押すための小孔20aを有し、上記マグネット基板21の多数の取付孔21a…に上記マグネット3が任意に取り外し自在に嵌め込まれるように構成され、上記被蒸着面1aにおいて精細な蒸着が必要な部分に対向する上記マグネット基板21の取付孔21aには、マグネット3…が密集して取り付けられ、上記被蒸着面1aにおいて蒸着が必要でない部分に対向するマグネット基板21の取付孔21aには、上記マグネット3…が分散して取り付けられていることを特徴とする真空蒸着装置。
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