JP6042279B2 - 基板成膜処理用マスクホルダに使用される係止部材、及び基板成膜処理用マスクホルダ - Google Patents
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Description
マスク成膜法は簡便でありプロセスコストが安いという特徴があるが、マスクの浮き等で形成されたパターンに欠陥が発生するという問題があり、微細なパターン形成には適さないという問題を抱えている。このため、微細なパターンを形成するため、マスクが基板から浮かないよう、マスクを基板成膜処理用マスクホルダに強力な磁力で吸着する必要がある。
上層プレート210の上面には、図8(a)に示すように、基板吸着ポート211、基板吸着溝、基板リフトアップ用の溝部213が形成されている。また、上層プレート210の下面には、図8(b)に示すように、位置決め穴214、上層プレート210との連結用磁石215が周方向に所定のピッチで配置されている。
このような、基板成膜処理用マスクホルダ200によれば、上層プレート210の下部に下層プレート220を配置した状態で、上層プレートの上面に基板を配置し、更に基板上に磁性体から成るマスクを配置すると、マスクが磁石230の磁力で吸引されて基板上にマスクが密着し、基板とマスクは位置決めされた状態で固定配置される。
また、従来、磁石等の部材を下層プレートのような他の部材に固定するに際して、金属薄板で形成した固定金具を用い、部材を他の部材に容易に取付ける技術が提案されている。特許文献1には、部材である部品素子を筒状ケースに収納するに際して、筒状ケースの内側には段差を形成し、固定金具には前記段差に弾性力で係止する折り返し部をその両端に形成し、部品素子を筒状ケースに収納するとき、部材に固定金具をかけわたした状態で両端の折り返し部を前記段差に係合させ、部材を他の部材に固定するものが記載されている。
また、上層プレート210に対して磁石230を固定ねじ243で固定するため、磁石の着脱作業に手間と時間がかかり、生産性を低下させる原因となっている。
更に、上層プレート210と下層プレート220との間に磁石230及び磁石固定スタッド241が配置され、隙間が空いているため、スパッタ等による成膜時に膜面から流入する自由電子により発熱した基板からの熱を有効に逃がせないという問題がある。この熱を上層プレート210及び下層プレート220に効果的に逃がさないと基板の成膜面が高温となり、結果として膜内の残留応力が高くなるという問題を生じる。
また、特許文献1に記載のものにあっては、部材を他の部材に取付ける作業は簡単であるものの、部材を取り外すにときに固定金具の折り返し部を筒状ケースの段差からはずなければならず、部材の取りはずしに手間がかかるという問題がある。
本発明によれば、第2プレートに取り付けられた磁石の取り外しは、係止部材を穴部ないで90度回転させ、突出爪を取外し部に配置するだけで容易にできる。このとき係止部材は最大でも90度回転させるだけでよい。
請求項4の発明では、前記第2プレートに複数形成された前記穴部は、隣接する4つの穴部の中心が正方形をなすよう規則的に配置され、前記固定溝部は、前記正方形の対角線方向に配置され、前記取外し部は、前記穴部の内周面の一部を構成していることを特徴とする。
本発明によれば、固定溝部を対角線方向に配置しているので、穴部を近接して配置したとしても、固定溝部が隣り合う穴部の固定溝部と重なり合うことがないので、穴部の配置密度を高くできる。
本発明によれば、第1プレートは接触部で第2プレートに密着するので、第1プレートに配置された基板の熱は第1プレートから第2プレートに効率よく伝達される。
図1は本発明の一実施形態に係る基板成膜処理用マスクホルダの構成を示す分解斜視図である。基板成膜処理用マスクホルダ100は、半導体基板、水晶基板、セラミック基板等々の成膜対象物としての基板10を配置可能な第1プレートである上層プレート110と、第2プレートである下層プレート120とを備える。下層プレート120は、基板10を配置する上層プレートの上面とは反対の下面側に配置される。基板成膜処理用マスクホルダ100は、四角形の基板10に磁力で吸着されるマスク20を配置して成膜処理を行うものである。マスク20には、基板10の成膜パターンに対応する開口21が形成されている。
なお、基板の形状は、四角形に限らないが、本例では四角形の基板を一例として説明する。
即ち、基板成膜処理用マスクホルダ100は、一面に磁力により吸引されるマスク20を配置した基板10の他面を一面で支持する上層プレート(第1プレート)110と、第1プレートの他面側に配置され、外面に係止部材150を取り付けた筒状の磁石140を夫々収容する複数の穴部130を備えた下層プレート(第2プレート)120と、を備え、穴部の内周面には、該穴部内に磁石の一端面とは反対側の端面から該磁石及び係止部材を差し込んだ時に、突出爪153が拡開して係止される固定溝部134と、該固定溝部の周方向端部に連続形成された取外し部135が設けられ、固定溝部内に係止された突出爪は、係止部材及び磁石を所定角度回転させて取外し部に達することにより内径側に押圧されて固定溝部から離脱するように構成されている。
下層プレート120の穴部130内に磁石140を取り付けた状態で、上層プレート110上に基板10とマスク20を配置して、磁石140の磁力で基板10上にマスク20を密着させる。磁石140は、例えば、ネオジウムやサマリウムコバルト等の焼結マグネットであり、柱体状である円柱として構成されている。
尚、成膜処理がなされる基板がシリコンウエハー等の円板状の基板である場合は、上層プレート110及び下層プレート120もそれぞれ円板状とし、その直径を基板の外径より大きくする。
爪部152は、周側部151の上端縁に所定のピッチ、本例では120度の周方向ピッチで等間隔に配置されている。爪部152は磁石140が周側部151の上部開口から抜け出ないように磁石140の上面を係止する。磁石140は、周側部151でその周囲が保持されると共に、爪部152でその端面が位置決めされ、係止部材150に確実に保持される。
このように、係止部材150は、板材の周方向両端縁間を離間させることにより、磁石140の外周面の少なくとも一部に弾性的に係合する筒状の周側部151と、周側部から内径側に張り出し、磁石の一端面に接触する爪部152と、周側部を構成する板材を切り起こして形成され、外径側に向けて弾性的に突出する複数の突出爪153と、を備えている。
爪部152は、側周部の軸方向一端縁以外の部位から突出してしてもよい。また、磁石が円柱状以外の柱体状、例えば多角柱状である場合には、側周部もそれに応じた多角柱状としてもよい。
また、爪部が存在しなくても、側周部による挟圧保持力のみで磁石を保持できる場合には爪部は不要である。
下層プレート120の穴部130は、下層プレート120の上面側から、大径の第1穴部131、小径の第2穴部132が連通するように開設された段付き穴である。第1穴部131は、係止部材150を取り付けた磁石140が嵌まり込む直径を備える。また、第2穴部132は第1穴部131より小径に形成され、磁石140及び係止部材150を取り外すとき、磁石140を押し出す棒状部材を差し込むため使用される。穴部130内に係止部材150を取り付けた磁石140を嵌め込むと、図5(a)に示すように、磁石140の底面は、第1穴部131の底面に保持される。この状態で、磁石140は、上端面が下層プレート120から露出する状態に配置される。
本実施形態に係る基板成膜処理用マスクホルダ100では、この各突出爪配置領域133に、固定溝部134と、取外し部135とを連続形成する。固定溝部134は、穴部130の本来の円筒状内周面から外径に向けて例えばスロットカッターで凹設されて形成される。固定溝部134は、平面視では、穴部の円形の内周面よりも曲率半径の大きい曲面(円弧面)として形成される。係止部材150が取り付けられた磁石140が穴部内に収容されたとき、係止部材150の突出爪153が固定溝部134内に弾性的に嵌まり込み、係止部材150の軸方向への位置ずれを規制する。
なお、本例では、固定溝部の周方向両端部に取外し部135を配置したが、固定溝部の周方向一端部のみに取外し部を設けても良い。
固定溝部134の軸方向上方には、内周面の一部が存在する(突出している)ため、係止部材を穴部内に差し込む過程で当該内周面により押圧されることにより、突出爪は一旦内径側に変形し、固定溝部に入り込んだときに開放されて外径側に拡開し、固定溝部と内周面との境界の壁部と係止状態となる。なお、突出爪が取外し部135の軸方向位置にある状態で係止部材及び磁石が穴部内に差し込まれる場合には、突出爪は取外し部に達した時点では内側に圧縮変形しているが、所定角度回転させることにより固定溝部内に入り込むことにより、係止された状態となる。
固定溝部134と、取外し部135とは、突出爪配置領域133内に180度の周方向間隔で2箇所形成される。固定溝部134と、取外し部135とは90度間隔で交互に配置される。
この状態の磁石140を係止部材の爪部152側を上として穴部130に差し込む。スリット154の存在により内外径方向へ変形可能な周側部151は、第1穴部131の内周面に押されて内径側に圧縮される。この差し込み過程では、突出爪153も第1穴部131の内壁により押圧されて内径側へ弾性変形する。そして、係止部材150を取り付けた磁石140が突出爪配置領域133の底部に接触する位置まで差し込まれると、突出爪153は、突出爪配置領域133内に配置される。また、磁石の底面は、第1の穴部の底面に着座している。
基板10とマスク20との位置合わせが完了し、基板の表面にマスクを接触させた状態で下層プレート120を上層プレート110に接近配置して所定の位置関係で接触させる。通常この作業は図示外のアライメント装置で行う。
次に磁石140が配置される下層プレート120の穴部130の配置について詳細に説明する。図6は本発明の実施形態に係る基板成膜処理用マスクホルダに使用する下層プレートを示すものである。ここで、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)中のC−C線に相当する断面図、(d)は(c)中のD部の拡大図、(e)は(a)中のB−B線に相当する断面図、(f)は(a)中のA−A線に相当する断面図である。
実施形態1に係る基板成膜処理用マスクホルダ100では、下層プレート120の穴部130に形成される固定溝部134を、4つの穴部130の中心がなす正方形の対角線方向(図6(a)、(d)中矢印E)に配置するようにしている。このため、穴部130の中心間の寸法dを小さくしても、固定溝部134が隣り合って配置される穴部130の固定溝部134が重なることなくなる。よって、穴部130の間隔寸法を可及的に小さくすることができ、磁石140の吸引力を大きくできる。
磁石140は、円柱中実形状で直径4mm、高さ6mmの希土類マグネットを使用する。係止部材150は、加工性を考慮して厚さ0.1mmのSUS304硬化材をプレス成形で製作する。
上層プレート110は厚さ3mmの純銅で製作し、下層プレート120の穴部130に対応する位置に直径4.4mmで深さ2.2mmに穴あけ加工する。下層プレート120に挿入した磁石140は下層プレート120の表面から2mmの高さで突出するものとし、上層プレート110の開口深さはこれを上回る。このため、下層プレート120と上層プレート110を接触させた場合、下層プレート120の下面のうち穴あけ加工されていない部分が接触部111として下層プレート120に接触し、基板からの熱を高い効率で伝導できる。
以上のように、本実施形態に係る基板成膜処理用マスクホルダによれば、配置面積を広くとる割には磁力が弱い環状磁石ではなく、配置面積が狭いながらも磁力の強い円柱状の磁石を高密度に配置することが可能となり、単位面積当たりの磁力が強力な円柱状の磁石によりマスクと基板との密着を確実に行える。このため、マスクの浮き等による成膜パターンの欠陥を解消することができる。また係止部材を使用して磁石を配置したので、運用時に必要に応じて任意の磁石を容易に交換できる。このため、全体の運用性を高めることができる。更にスバッタ等で発生する基板への自由電子の流入による発熱を効率的に伝導し、成膜時の温度上昇を防ぐことが可能となり、成膜材料の内部応力を緩和することができる。
なお、磁石は円柱状に限らず、三角柱、四角柱、その他の多角柱、或いは異形の柱体であってもよい。従って本明細書、特許請求の範囲において柱体状とは、全ての柱体を含むものである。
更に、係止部材は、実施形態ではステンレス鋼(SUS304)としたが、適度な弾力性をもつ他の材料、例えばリン青銅、チタンなどを使用できる。また係止部材としては、1枚の板材を円筒形状に丸める加工をして製作した例を示したが、プレスでの絞り成形で製作することもできるし、インジェクション成型等を使用して合成樹脂で製作することもできる。
Claims (5)
- 一面に磁力により吸引されるマスクを配置した基板の他面を一面で支持する第1プレートと、前記第1プレートの他面側に配置され、柱体状磁石を夫々収容する複数の穴部を備えた第2プレートと、を備えた基板成膜処理用マスクホルダにおいて使用され、前記磁石の外面に取り付けられる係止部材であって、
前記係止部材は、板材の周方向両端縁間を離間させることにより、前記磁石の外周面の少なくとも一部に弾性的に係合する筒状の周側部と、該周側部から内径側に張り出し、前記磁石の一端面に接触する爪部と、前記周側部に形成され、外径側に向けて弾性的に突出する複数の突出爪と、を備え、
前記基板成膜処理用マスクホルダを構成する前記穴部の内周面には、該穴部内に前記磁石の一端面とは反対側の端面から該磁石及び前記係止部材を差し込んだ時に、前記突出爪が拡開して係止される固定溝部と、該固定溝部の周方向端部に連続形成された取外し部が設けられ、
前記固定溝部内に係止された前記突出爪は、前記係止部材及び前記磁石を所定角度回転させて前記取外し部に達することにより内径側に押圧されて前記固定溝部から離脱するように構成されていることを特徴とする基板成膜処理用マスクホルダに使用されることを特徴とする基板成膜処理用マスクホルダに使用される係止部材。 - 一面に磁力により吸引されるマスクを配置した基板の他面を一面で支持する第1プレートと、
前記第1プレートの他面側に配置され、外面に請求項1に記載の基板成膜処理用マスクホルダに使用される係止部材を取り付けた柱体状磁石を夫々収容する複数の穴部を備えた第2プレートと、
を備え、
前記穴部の内周面には、該穴部内に前記磁石の一端面とは反対側の端面から該磁石及び前記係止部材を差し込んだ時に、前記突出爪が拡開して係止される固定溝部と、該固定溝部の周方向端部に連続形成された取外し部が設けられ、
前記固定溝部内に係止された前記突出爪は、前記係止部材及び前記磁石を所定角度回転させて前記取外し部に達することにより内径側に押圧されて前記固定溝部から離脱するように構成されていることを特徴とする基板成膜処理用マスクホルダ。 - 前記固定溝部、及び前記取外し部は、前記周側部上に90度の周方向間隔を隔てて複数個配置されていることを特徴とする請求項2に記載の基板成膜処理用マスクホルダ。
- 前記第2プレートに複数形成された前記穴部は、隣接する4つの穴部の中心が正方形をなすよう規則的に配置され、
前記固定溝部は、前記正方形の対角線方向に配置され、
前記取外し部は、前記穴部の内周面の一部を構成していることを特徴とする請求項2又は3に記載の基板成膜処理用マスクホルダ。 - 前記第1プレートは、前記磁石及び前記係止部材が配置された領域以外の領域に、前記第2プレートと接触する接触部を備えることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の基板成膜処理用マスクホルダ。
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