JP3891788B2 - 六方晶フェライトの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、六方晶フェライトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化物永久磁石材料としては、六方晶系のマグネトプランバイト型(M型)のSrフェライトまたはBaフェライトが主に用いられており、これらは焼結磁石やボンディッド磁石として利用されている。
【0003】
本発明者らは、例えば特開平11−154604号公報において、従来のM型フェライト磁石では達成不可能であった高い残留磁束密度と高い保磁力とを実現している。このフェライト磁石は、少なくともSr、LaおよびCoを含有し、六方晶M型フェライトからなる主相を有するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フェライト粉末を用いたボンディッド磁石は、フェライト粉末を樹脂等のバインダで結合することにより製造される。フェライト粉末は、出発原料を焼成した後、粉砕することにより製造される。上記特開平11−154604号公報に示されるように、LaおよびCoを含有させることにより、フェライト粉末の保磁力および残留磁束密度を著しく向上させることができるが、Coは高価であるためコストアップを招く。そのため、保磁力および残留磁束密度が共に高いフェライト粉末を低コストで製造することは困難であった。
【0005】
本発明は、Coの添加量を増加させることなく、フェライトの保磁力を向上させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(2)の本発明により達成される。
(1)六方晶フェライト相を生成させる焼成工程を有し、前記焼成工程の降温過程に、降温速度が0℃/min以上1℃/min未満である低速降温域を設け、この低速降温域の持続時間を、600〜1000℃の温度範囲内において3時間以上とする六方晶フェライトの製造方法。
(2)前記六方晶フェライト相が、Fe、元素A(Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類元素およびBiから選択される少なくとも1種)および元素M(Mは、Co、Mn、NiおよびZnから選択される少なくとも1種)を含有する上記(1)の六方晶フェライトの製造方法。
【0007】
【作用および効果】
本発明では、六方晶フェライトを製造するに際し、焼成時の降温過程の特定の温度範囲に、降温速度の遅い低速降温域を設ける。これにより、残留磁束密度を実質的に低下させることなく保磁力を向上させることができる。
【0008】
本発明は、M型、W型、X型、Y型、Z型等の各種六方晶フェライトにおいて有効であるが、上記元素Mおよび上記元素Rを含有する六方晶M型フェライトにおいて特に有効である。すなわち、その場合に、保磁力向上率が特に高くなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下では、Fe、元素A(Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類元素およびBiから選択される少なくとも1種)および元素M(Mは、Co、Mn、NiおよびZnから選択される少なくとも1種)を含有する六方晶マグネトプランバイト型フェライト粉末を製造する方法に本発明を適用する場合を例に挙げて、説明する。
【0010】
製造方法
本発明の製造方法は、例えばボンディッド磁石などに使用される六方晶フェライト粉末の製造に適用される。フェライト粉末を製造する場合、出発原料を焼成して焼成体を得る焼成工程と、前記焼成体を粉砕ないし解砕してフェライト粉末を得る粉砕工程とを設ける。本発明では、焼成工程の降温過程において、降温速度の遅い低速降温域を設けることにより、焼成体の保磁力を向上させる。
【0011】
本発明において、低速降温域における降温速度は、0℃/min以上1℃/min未満、好ましくは0〜0.5℃/min、さらに好ましくは0〜0.1℃/minである。降温速度が速すぎると、本発明の効果が実現しない。
【0012】
焼成工程における温度変化パターンを、図1に模式的に示す。図1に示す焼成工程は、昇温過程、安定温度域および降温過程から構成される。なお、本発明は、安定温度域を設けずに昇温過程と降温過程とからなる焼成工程にも適用できる。図1における降温過程は、上記低速降温域と、降温速度が低速降温域より速い通常降温域とから構成される。T1およびT2は、それぞれ低速降温域の開始温度および終了温度である。低速降温域における降温速度は0℃/minであってもよいので、T1=T2であってもよい。
【0013】
次に、低速降温域が満足すべき条件について説明する。本発明では、600〜1000℃の温度範囲内、好ましくは700℃〜1000℃の温度範囲内、より好ましくは800〜1000℃の温度範囲内、さらに好ましくは800〜900℃の温度範囲内において、3時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上持続するように、上記低速降温域を設ける。これにより、保磁力の向上が実現する。上記温度範囲内での低速降温域の持続時間が短すぎると、保磁力向上効果が実現しないか不十分となる。一方、上記持続時間を長くするほど生産性が低くなり、また、持続時間を著しく長くしても保磁力が顕著に向上するわけではないので、上記持続時間は、通常、100時間以下、好ましくは50時間以下とする。
【0014】
低速降温域が上記した条件を満足する限り、T1およびT2の具体的値は特に限定されない。例えば、T2は室温であってもよく、また、T1が1000℃を超える温度であってもよい。ただし、600〜1000℃を外れる温度範囲に存在する低速降温域は、保磁力向上に実質的に寄与しないので、生産性向上のためには600〜1000℃を外れる温度範囲では通常の降温速度とすることが好ましい。
【0015】
図1に示す通常降温域における降温速度は特に限定されず、低速降温域における降温速度より速ければよく、通常、5〜100℃/minの範囲内から適宜選択すればよい。
【0016】
焼成工程における条件は、温度変化パターン以外は特に限定されず、従来の条件と同様であってよい。
【0017】
焼成は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行えばよい。焼成条件は特に限定されないが、通常、焼成温度(最高温度または安定温度)は1000〜1350℃、この温度範囲に保持する時間または安定温度に保持する時間(安定時間)は1秒間〜10時間、より好ましくは1秒間〜3時間とすればよい。焼成温度が低すぎると、降温速度制御による保磁力向上率が低くなりやすい。一方、焼成温度が高すぎると、降温速度制御による保磁力向上率が十分であっても、保磁力の値自体は低くなりやすい。
【0018】
焼成工程においてフェライト相が生成するため、焼成体は、実質的にマグネトプランバイト型のフェライト構造をもち、その一次粒子の平均粒径は、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.1〜1μm、最も好ましくは0.1〜0.5μmである。平均粒径は走査型電子顕微鏡により測定することができる。
【0019】
次に、本発明の製造方法における、焼成工程以外の各種条件等について説明する。以下では、前記特開平11−154604号公報に記載された、元素Rおよび前記元素Mを含有する組成を例に挙げて説明する。
【0020】
まず、出発原料を混合した後、前記条件で焼成し、焼成体を得る。焼成体は、六方晶マグネトプランバイト型(M型)フェライト相を有する。この焼成体を解砕ないし粉砕して粉末化し、フェライト粉末を得る。
【0021】
出発原料としては、Fe、元素A、元素Rおよび元素Mのそれぞれ1種を含有する化合物、またはこれらの2種以上を含有する化合物を用いればよい。元素Aを含む出発原料には、ストック時の安定性が良好であることから、水酸化物または炭酸塩を用いることが好ましい。
【0022】
出発原料には、酸化物粉末、または焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等の粉末を用いる。出発原料の平均粒径は特に限定されないが、通常、0.1〜2μm程度とすることが好ましい。特に酸化鉄は微細粉末を用いることが好ましく、具体的には一次粒子の平均粒径が好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下のものを用いる。
【0023】
上記焼成工程において得られた焼成体は、フェライトの一次粒子が凝集して顆粒状となっているため、粉砕または解砕することによりフェライト粉末を得る粉砕工程を設ける。この粉砕は乾式で行うことが好ましい。
【0024】
粉砕後の平均粒径は、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。また、粉砕後において、BET法で測定した比表面積は、好ましくは4〜10m2/g程度である。粉砕手段は特に限定されず、例えば乾式振動ミル、乾式アトライター(媒体攪拌型ミル)、乾式ボールミル等が使用できるが、特に乾式振動ミルを用いることが好ましい。粉砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよい。
【0025】
粉砕によりフェライト粉末を構成する粒子に歪みが導入されて磁気特性(主に保磁力)が劣化するため、粉砕後にアニール処理を施すことが好ましい。アニール処理は、通常、空気中の酸化性雰囲気中において500〜1000℃で1秒間〜50時間程度行うことが好ましい。
【0026】
本発明によって製造されたフェライト粉末は、ボンディッド磁石や磁気記録媒体に適用できる。ボンディッド磁石は、樹脂、金属、ゴム等からなる各種バインダとフェライト粉末とを混練した後、磁場中または無磁場中で成形し、次いで、必要に応じてバインダを硬化することにより製造する。また、磁気記録媒体は、フェライト粉末をバインダと混練して塗料化し、これを樹脂等からなる基体に塗布し、必要に応じてバインダを硬化して磁性層を形成することにより製造する。
【0027】
フェライト粉末
本発明は、六方晶マグネトプランバイト型(M型)フェライトを主相として有する粒子からなるフェライト粉末の製造に対し有効であるが、そのうち特に、Fe、元素A(Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類元素およびBiから選択される少なくとも1種)および元素M(Mは、Co、Mn、NiおよびZnから選択される少なくとも1種)を含有する組成において著しい効果を発揮する。なお、本明細書において希土類元素とは、Y、Scおよびランタノイドである。
【0028】
このようなフェライト中において、全金属元素量に対するA、R、FeおよびMそれぞれの総計の比率は、好ましくは
A:1〜13原子%、
R:0.05〜10原子%、
Fe:80〜95原子%、
M:0.1〜5原子%
であり、より好ましくは
A:3〜11原子%、
R:0.2〜6原子%、
Fe:83〜94原子%、
M:0.3〜4原子%
であり、さらに好ましくは
A:3〜9原子%、
R:0.5〜4原子%、
Fe:86〜93原子%、
M:0.5〜3原子%
である。元素Aの含有量が少なすぎると、M型フェライトが生成しないか、α−Fe2O3 等の非磁性相が多くなる。元素Aの含有量が多すぎると、M型フェライトが生成しないか、SrFeO3-x 等の非磁性相が多くなる。元素Rの含有量が少なすぎると、元素Mの固溶量が少なくなってしまうので、磁気特性向上効果が不十分となる。元素Rの含有量が多すぎると、オルソフェライト等の非磁性の異相が多くなる。元素Mの含有量が少なすぎても多すぎても、磁気特性向上効果が不十分となる。
【0029】
上記磁石中において、A、R、FeおよびMの原子比は、
式I A1-xRx(Fe12-yMy)zO19
で表すことができる。上記式Iにおいて、x、yおよびzは、
0.04≦x≦0.9、
0.04≦y≦1.0、特に0.04≦y≦0.5、
0.4≦x/y≦5、
0.7≦z≦1.2
を外れないことが好ましい。
【0030】
上記式Iにおいて、xが小さすぎると、すなわち元素Rの量が少なすぎると、六方晶フェライトに対する元素Mの固溶量を多くできなくなってきて、飽和磁化向上効果および/または異方性磁場向上効果が不十分となってくる。xが大きすぎると六方晶フェライト中に元素Rが置換固溶できなくなってきて、例えば元素Rを含むオルソフェライトが生成して飽和磁化が低くなってくる。yが小さすぎると飽和磁化向上効果および/または異方性磁場向上効果が不十分となってくる。yが大きすぎると六方晶フェライト中に元素Mが置換固溶できなくなってくる。また、元素Mが置換固溶できる範囲であっても、異方性定数(K1)や異方性磁場(HA)の劣化が大きくなってくる。zが小さすぎるとSrおよび元素Rを含む非磁性相が増えるため、飽和磁化が低くなってくる。zが大きすぎるとα−Fe2O3相または元素Mを含む非磁性スピネルフェライト相が増えるため、飽和磁化が低くなってくる。
【0031】
上記式Iにおいて、x/yが小さすぎても大きすぎても元素Rと元素Mとの価数の平衡がとれなくなり、W型フェライト等の異相が生成しやすくなる。元素Mが2価イオンであって、かつ元素Rが3価イオンである場合、価数平衡の点でx/y=1とすることが一般的であるが、前述したようにRを過剰にすることが好ましい。なお、x/yが1超の領域で許容範囲が大きい理由は、yが小さくてもFe3+→Fe2+の還元によって価数の平衡がとれるためである。
【0032】
組成を表わす上記式Iにおいて、酸素(O)の原子数は19となっているが、これは、Mがすべて2価、Rがすべて3価であって、かつx=y、z=1のときの酸素の化学量論組成比を示したものである。MおよびRの種類やx、y、zの値によって、酸素の原子数は異なってくる。また、例えば焼成雰囲気が還元性雰囲気の場合は、酸素の欠損(ベイカンシー)ができる可能性がある。さらに、FeはM型フェライト中においては通常3価で存在するが、これが2価などに変化する可能性もある。また、Co等の元素Mも価数が変化する可能性があり、これらにより金属元素に対する酸素の比率は変化する。本明細書では、Rの種類やx、y、zの値によらず酸素の原子数を19と表示してあるが、実際の酸素の原子数は、これから多少偏倚した値であってよい。
【0033】
フェライト粉末の組成は、蛍光X線定量分析などにより測定することができる。また、上記主相の存在は、X線回折や電子線回折などにより確認できる。
【0034】
フェライト粉末の飽和磁化および保磁力を高くするためには、元素AとしてSrおよびCaの少なくとも1種を用いることが好ましく、特にSrを用いることが好ましい。A中においてSr+Caの占める割合、特にSrの占める割合は、好ましくは51原子%以上、より好ましくは70原子%以上、さらに好ましくは100原子%である。元素A中のSrの比率が低すぎると、飽和磁化向上と保磁力の著しい向上とを共に得ることができなくなる。
【0035】
元素Rとしては、好ましくはランタノイドの少なくとも1種、より好ましくは軽希土類の少なくとも1種、さらに好ましくはLa、NdおよびPrの少なくとも1種を用い、特にLaを必ず用いることが好ましい。R中においてLaの占める割合は、好ましくは40原子%以上、より好ましくは70原子%以上であり、飽和磁化向上のためにはRとしてLaだけを用いることが最も好ましい。これは、六方晶M型フェライトに対する固溶限界量を比較すると、Laが最も多いためである。したがって、R中のLaの割合が低すぎるとRの固溶量を多くすることができず、その結果、元素Mの固溶量も多くすることができなくなり、磁気特性向上効果が小さくなってしまう。なお、Biを併用すれば、焼成温度を低くすることができるので、生産上有利である。
【0036】
元素Mとしては、少なくともCoおよびZnの1種以上、特にCoを必ず用いることが好ましい。M中においてCoの占める割合は、好ましくは10原子%以上、より好ましくは20原子%以上である。M中におけるCoの割合が低すぎると、保磁力向上が不十分となる。
【0037】
フェライト粉末には、B2O3が含まれていてもよい。B2O3の含有量は、フェライト粉末全体の0.5質量%以下であることが好ましい。B2O3含有量が多すぎると、飽和磁化が低くなってしまう。
【0038】
フェライト粉末中には、Na、KおよびRbの少なくとも1種が含まれていてもよい。これらをそれぞれNa2O、K2OおよびRb2Oに換算したとき、これらの含有量の合計は、全体の3質量%以下であることが好ましい。これらの含有量が多すぎると、飽和磁化が低くなってしまう。これらの元素をMIで表わしたとき、フェライト中においてMIは例えば
Sr1.3-2aRaMI a-0.3Fe11.7M0.3O19
の形で含有される。なお、この場合、0.3<a≦0.5であることが好ましい。aが大きすぎると、飽和磁化が低くなってしまう他、焼成時に元素MIが多量に蒸発してしまうという問題が生じる。
【0039】
また、これらのほか、例えばGa、In、Li、Mg、Cu、Ti、Zr、Ge、Sn、V、Nb、Ta、Sb、As、W、Mo等が酸化物として含有されていてもよい。これらの含有量は、化学量論組成の酸化物に換算して、それぞれ酸化ガリウム5質量%以下、酸化インジウム3質量%以下、酸化リチウム1質量%以下、酸化マグネシウム3質量%以下、酸化銅3質量%以下、酸化チタン3質量%以下、酸化ジルコニウム3質量%以下、酸化ゲルマニウム3質量%以下、酸化スズ3質量%以下、酸化バナジウム3質量%以下、酸化ニオブ3質量%以下、酸化タンタル3質量%以下、酸化アンチモン3質量%以下、酸化砒素3質量%以下、酸化タングステン3質量%以下、酸化モリブデン3質量%以下であることが好ましい。
【0040】
【実施例】
焼成後の組成が
(Sr0.7La0.3)(Fe11.7Co0.3)O19
となるように、SrCO3、La2O3、Fe2O3および酸化コバルト(Co3O4とCoOとの混合物)とを秤量し、湿式アトライタで粉砕して混合した。得られた混合物を、乾燥して整粒し、顆粒とした。この顆粒を空気中で焼成して、焼成体サンプルを得た。
【0041】
焼成時の温度変化パターンは、図2に示す基準パターンまたは図3に示すパターンAとした。これらのパターンにおいて、T0は焼成温度(安定温度)であり、この実施例では表1に示す温度とした。T0に保持する時間は3時間とした。基準パターンの降温過程では、T0から室温まで5℃/minで降温した。パターンAの降温過程では、T0から900℃までは5℃/minで降温し、900〜800℃の範囲は0.1℃/minで降温し、800℃より低温側では0.5℃/minで降温した。
【0042】
得られたサンプルの保磁力(HcJ)を、室温においてVSM(振動試料型磁力計)により測定した。基準パターンにより製造されたサンプルの保磁力を、パターンAにより製造されたサンプルの保磁力から減じて保磁力の増分△HcJを求めた。各サンプルについてHcJおよび△HcJを表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1から、降温過程に本発明で限定する低速降温域を設けることにより、保磁力が向上することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼成工程に低速降温域を設けた場合の温度変化パターンを説明するためのグラフである。
【図2】従来の焼成工程の温度変化パターンを説明するためのグラフである。
【図3】実施例における焼成工程の温度変化パターンを説明するためのグラフである。
Claims (2)
- 六方晶フェライト相を生成させる焼成工程を有し、前記焼成工程の降温過程に、降温速度が0℃/min以上1℃/min未満である低速降温域を設け、この低速降温域の持続時間を、600〜1000℃の温度範囲内において3時間以上とする六方晶フェライトの製造方法。
- 前記六方晶フェライト相が、Fe、元素A(Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類元素およびBiから選択される少なくとも1種)および元素M(Mは、Co、Mn、NiおよびZnから選択される少なくとも1種)を含有する請求項1の六方晶フェライトの製造方法。
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