JP3890546B2 - 一液湿気硬化型シーラント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一液湿気硬化型シーラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一液型ウレタン系シーラントは、ポリエーテル型ポリオールと過剰のポリイソシアネートから得られるイソシアネート基末端のウレタンプレポリマーに、各種添加剤が配合されたものである。
【0003】
しかしながら、斯かる一液型ウレタン系シーラントは、種々の問題点を有している。即ち、従来の一液型ウレタン系シーラントは、主鎖がポリエーテル構造であるために、日光の照射等による影響を受け易く、耐候性に劣る欠点を有している。また、ポリエーテル構造は一般に界面機能に乏しく、そのため基剤への密着性に乏しいと同時に、シーラントに各種塗料を上塗りする場合その付着性にも乏しい。更にシーラントに低モジュラス且つ高伸度という特性を付与するために多量の可塑剤や高沸点溶剤等の低分子化合物が配合されるが、硬化後経時的に該低分子化合物がブリージングを起こして、ゴミ等の付着を惹起し、その結果シーラント部分が汚染され、美観が著しく損なわれるという欠点をも有している。従来の一液型ウレタン系シーラントにはこのような種々の欠点があるにも拘わらず、このシーラント自身が経済性に優れ且つ簡便に使用できるために、シーラント分野における主力シーラントとして拡販されるに至っている。
【0004】
上記従来の一液型ウレタン系シーラントの欠点を解消するために種々の提案もなされており、例えば特開昭61−115983号公報に記載の技術を挙げることができる。この技術は、イソシアネート基と反応し得る官能性を有する不飽和単量体とアクリル系もしくはメタクリル系モノマーとを共重合させたアクリル系低分子量共重合体及びポリオキシアルキレンポリオールの混合物に、有機ジイソシアネート化合物を反応させて得られるイソシアネート基含有プレポリマーを有効成分とするシーラントである。このシーラントは、上記従来のウレタン系シーラント欠点である耐候性や耐汚染性を改善したものであるが、基剤や塗料との密着性に乏しく、また貯蔵安定性が極めて悪く、到底一液型のウレタン系シーラントとして使用できるものではない。事実、今日までアクリル変性された一液型ウレタン系シーラントは、未だ市販されるに至っていないのが実状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の一液型ウレタン系シーラントの欠点を悉く解消した新規な一液型湿気硬化型シーラントを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために種々の研究を重ねた結果、(A)数平均分子量が3000〜20000のポリオキシアルキレンエーテル型ポリオール中でアクリル酸C2-6アルキルエステルを重合させて得られるアクリルポリマー含有ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー及び(B)ポリエチレングリコールジエステルを配合することにより、所望の一液湿気硬化型シーラントが得られることを見い出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
【0007】
即ち、本発明は、
(A)数平均分子量が3000〜20000のポリオキシアルキレンエーテル型ポリオール中でアクリル酸C2-6アルキルエステルを重合させて得られるアクリルポリマー含有ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー及び(B)ポリエチレングリコールジエステルを含有する一液湿気硬化型シーラント、
並びに
(A)数平均分子量が3000〜20000のポリオキシアルキレンエーテル型ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中でアクリル酸C2-6アルキルエステルを重合させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー及び(B)ポリエチレングリコールジエステルを含有する一液湿気硬化型シーラント
に係る。
【0008】
本発明の一液湿気硬化型シーラントは、従来の一液型ウレタン系シーラントの欠点を悉く解消したシーラントである。即ち、本発明の一液湿気硬化型シーラントは、低モジュラス且つ高伸度という優れた特性を備えており、耐候性に優れている。また、本発明の一液湿気硬化型シーラントは、ブリージングが起こり難いので、ゴミ等の付着によりシーラント部分が汚染され、美観が著しく損なわれることはない。しかも、本発明の一液湿気硬化型シーラントは、基剤や塗料との密着性に優れ、また貯蔵安定性にも極めて優れている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるポリオキシアルキレンエーテル型ポリオールは数平均分子量が3000〜20000のポリオキシアルキレンエーテル型ポリオールである。ポリオキシアルキレンエーテル型ポリオールとしては、従来公知のものを広く使用でき、例えばポリオキシエチレンエーテル型ジオール、ポリオキシエチレンエーテル型トリオール、ポリオキシプロピレンエーテル型ジオール、ポリオキシプロピレンエーテル型トリオール等を挙げることができる。これらの中でもポリオキシプロピレンエーテル型ジオール及びポリオキシプロピレンエーテル型トリオールが好適である。本発明では、これらポリオキシアルキレンエーテル型ポリオールを1種単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。ポリオキシアルキレンエーテル型ポリオールの数平均分子量としては、4000〜15000が好ましく、6000〜12000が特に好ましい。本発明では、ポリオキシアルキレンエーテル型ジオールとポリオキシアルキレンエーテル型トリオールとを混合して使用するのが特に望ましく、この場合には平均官能基数(平均水酸基数)が2.1〜2.6となるようにポリオキシアルキレンエーテル型ジオールとポリオキシアルキレンエーテル型トリオールとを混合するのがよい。
【0010】
本発明においては、上記ポリオール中で上記アクリル酸C2-6アルキルエステルを重合させる。
【0011】
アクリル酸C2-6アルキルエステルとしては、従来公知のものを広く使用でき、例えばアクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル等を挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0012】
本発明では、炭素数が2〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステルを使用することが必須の要件である。アクリル酸C2-6アルキルエステルの代わりに、炭素数が1のアルキル基(メチル基)であるアクリル酸メチルエステルを使用した場合には、低モジュラス且つ高伸度という優れた特性を備えた一液湿気硬化型シーラントを製造し得ない。一方、炭素数が7以上のアルキル基を有するアクリル酸エステルを使用した場合、ポリオールと生成するアクリルポリマーとの良好な相溶性が得られず、貯蔵安定性に劣る一液湿気硬化型シーラントが得られるに過ぎない。
【0013】
本発明においては、上記ポリオール中で上記アクリル酸C2-6アルキルエステルを重合させる。重合方法は特に限定されるものではなく、この種アクリル酸アルキルエステルを重合させる従来公知の重合方法をいずれも使用できる。具体的に示せば、上記アクリル酸C2-6アルキルエステルは、例えばラジカル重合によりアクリルポリマーとされる。ポリオールとアクリル酸C2-6アルキルエステルとの使用割合は、特に限定されるものではないが、通常前者100重量部当たり後者を20〜100重量部、好ましくは30〜70重量部とするのがよい。重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を広く使用でき、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキサイド、過硫酸塩等が挙げられる。本発明においては、ポリオールが重合溶媒として使用される。また必要に応じてラウリルメルカプタン等の重合調節剤を使用してもよい。この重合反応は、通常70〜130℃程度で行われ、重合時間は一般に2〜8時間程度である。
【0014】
上記アクリル酸C2-6アルキルエステルを重合させるに当たっては、本発明の所期の効果が発現される範囲内で、該アクリル酸C2-6アルキルエステルの一部(例えば全量中の15重量%以下)をアクリル酸メチルエステルやアクリル酸C7-18アルキルエステルで置換して使用することは差し支えない。
【0015】
以上のようにしてアクリルポリマー含有ポリオールが製造される。アクリルポリマー含有ポリオールでは、ポリオール中にアクリルポリマーが完全相溶又は高度にミクロ分散した状態になっている。
【0016】
本発明のシーラントを構成する(A)成分は、斯かるアクリルポリマー含有ポリオールに過剰のポリイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーである。
【0017】
本発明で使用されるポリイソシアネートとしては、ポリオールにイソシアネート基を導入し得るものである限り従来公知のポリイソシアネートを広く使用でき、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ポリフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びこれらを水素添加した化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン、トリフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。これらポリイソシアネートは1種単独で又は2種以上混合して使用される。これらポリイソシアネートの中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの異性体混合物、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等が好ましく、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの異性体混合物等が特に好ましい。
【0018】
アクリルポリマー含有ポリオールとポリイソシアネートとの使用割合としては、アクリルポリマー含有ポリオール中のイソシアネート基と反応し得るポリオールの官能基1当量に対しイソシアネート基が1.1〜8当量、好ましくは1.5〜4となるように選択し、NCO基含有率を0.5〜5%、好ましくは1〜4%の範囲に設定すればよい。
【0019】
アクリルポリマー含有ポリオールとポリイソシアネートとの反応には、従来公知のポリオールとポリイソシアネートとの反応と同様の反応条件を適用することができる。例えばアクリルポリマー含有ポリオールとポリイソシアネートとを、通常窒素気流下70〜100℃にて3〜8時間反応させればよい。この際、反応開始前、反応途中及び反応終了後に、従来公知の有機金属塩等のウレタン化触媒を添加しても差し支えない。
【0020】
斯くしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが製造される。
【0021】
また、本発明のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、数平均分子量が3000〜20000のポリオキシアルキレンエーテル型ポリオールとポリイソシアネートとを予め反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た後、該イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中でアクリル酸C2-6アルキルエステルを重合させることによっても製造され得る。この方法では、アクリル酸C2-6アルキルエステルの重合時期が異なるだけで、それ以外の条件は上記の方法と同様である。
【0022】
このイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、そのまま本発明の(A)成分として使用される。
【0023】
本発明のシーラントを構成する(B)成分は、ポリエチレングリコールジエステルである。ポリエチレングリコールのジエステルとしては、従来公知のものを広く使用でき、例えばポリエチレングリコールと脂肪族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等とのエステル化物を挙げることができる。脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜20程度のもの、具体的にはギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、バルミチン酸、ステアリン酸等を例示できる。また芳香族モノカルボン酸としては炭素数7〜20程度のもの、具体的には安息香酸、o−エチル安息香酸、m−エチル安息香酸、p−エチル安息香酸、2,3−ジメチル安息香酸、2,4−ジメチル安息香酸等を例示できる。ポリエチレングリコールのジエステルとしてはポリエチレングリコールの安息香酸ジエステルが、少量の使用で、シーラントに低モジュラス且つ高伸度の特性を付与し得るので、特に好適である。
【0024】
ポリエチレングリコールのジエステルを構成するポリエチレングリコールの分子量としては、通常200〜600程度、好ましくは300〜400程度がよい。斯かるポリエチレングリコールとしては、例えばPEG200、PEG300、PEG400、PEG600等を挙げることができる。
【0025】
本発明のシーラントに配合される(A)成分及び(B)成分の配合割合としては、特に限定されるものではないが、(A)成分100重量部当たり(B)成分を通常1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部配合すると、本発明の所期の効果がより一層発現される。
【0026】
本発明のシーラントには、更に必要に応じて従来公知の充填剤、揺変剤、顔料等の他、紫外線吸収剤、老化防止剤、シランカップリング剤、硬化触媒、粘度調整用希釈剤等の添加剤を適宜配合することができる。
【0027】
本発明のシーラントは、上記(A)成分及び(B)成分、更に必要に応じてその他の添加剤を所定量配合することにより製造される。また本発明の(A)成分であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを製造するに先立ち、(A)成分製造原料であるポリオキシアルキレンエーテル型ポリオールに(B)成分や充填剤、揺変剤、顔料等の添加剤を配合し、次いで必要に応じて脱水後、アクリル酸C2-6アルキルエステルの重合やポリイソシアネートとの反応を行って、本発明のシーラントを一挙に製造してもよい。
【0028】
本発明シーラントを使用するに際しては、特に制限がなく従来公知のシーラントと同様に使用することができる。例えば、通常行われている一液シーラントの施工法に準じ、カートリッジガンやコーキングガン等を使用して各種目地に充填すればよい。
【0029】
本発明シーラントは、例えば建築用1液型ウレタン系シーリング材、防水下地処理用シーリング材、クラック補修用パテ材等として利用でき、その他にも各種外装建材パネル及びボード類の目地、コンクリート壁の目地、各種ひび割れ補修、自動車、車両、船舶等の気密シール、各種被着材への充填接着等に使用され得る。
【0030】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明をより一層明らかにする。尚、以下において、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」を意味する。
【0031】
参考例1(混合ポリオールの製造)
加熱装置及び減圧装置を備えた5リットルのプラネタリーミキサー(井上製作所製)にポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量:10000、1分子当たりの水酸基の個数:2、水酸基価11.2、商品名:プレミノール4010、旭硝子(株)製)3200部及びポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量:10000、1分子当たりの水酸基の個数:3、水酸基価16.9、商品名:プレミノール3010、旭硝子(株)製)800部を仕込んだ。この混合ポリオールを仕込み後、攪拌下で10〜20mm/Hgの減圧下、100℃で1時間減圧脱水を行い、冷却後取り出した。この混合ポリオールの特性値は、蒸発残分:99.5%、水分量:50ppm(カールフィッシャー法)であった。
【0032】
実施例1
攪拌機、還流管、温度計、滴下装置、窒素気流装置及び減圧装置を備えた2リットルの四つ口セパラルフラスコに上記参考例1で得られた混合ポリオール1000部を仕込み、窒素気流を流しながら攪拌下80℃まで昇温させた。滴下装置には、予め調製しておいたアクリル酸ブチル650部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」と略記)3.2部及び重合調節剤としてラウリルメルカプタン3.2部の混合溶解液を用意し、80〜90℃で2時間を要して滴下した。滴下後重合を進行させるためAIBN3.2部を更に配合後90℃で2時間熟成反応させ、一旦50℃まで冷却した。このアクリルポリマー含有ポリオールは粘度12000mPas(25℃、10rpm)であり、透明で良好な相溶状態を示し、IRとGPCによりアクリルポリマーの存在を確認した。
【0033】
引続きアクリルポリマー含有ポリオール成分に対して設計イソシアネート含有量(以下「NCO%」と略記)2.2%となるようにジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−及び2,4−異性体混合物、BASF社製、ルプラネートMI)99.8部を配合し、窒素気流を流しながら攪拌下90〜95℃で4時間を要してウレタン化反応を行い、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。このプレポリマーの実測NCO%は2.16で設計値とほぼ一致した。
【0034】
このプレポリマー1000部を窒素気流装置を備えた5リットルのプラネタリーミキサー(井上製作所製)に仕込み、ポリエチレングリコール安息香酸ジエステル(三洋化成工業(株)製、KRM4004、分子量582)150部、コロイダル炭酸カルシウム(乾燥処理した粒径がほぼ0.05〜10μmのもの)1000部、酸化チタン(テイカ(株)製、JR602)150部、アエロジル200CF(揺変剤、日本アエロジル工業(株)製)50部及びキシレン(希釈剤)200部を仕込み、窒素気流下で均質混合し、本発明の1液型シーラントを得た。
【0035】
比較例1
ポリエチレングリコール安息香酸ジエステルの代わりに一般的に用いられる可塑剤としてフタル酸ジオクチル(以下「DOP」と略記)を配合する以外は、実施例1と同様にして1液型ウレタンシーラントを得た。
【0036】
比較例2
ポリエチレングリコール安息香酸ジエステルの代わりにポリプロピレングリコールジステアリン酸エステル(日本油脂(株)製、ユニセーフNKL9520)を配合する以外は、実施例1と同様にして1液型ウレタンシーラントを得た。
【0037】
比較例3
アクリル酸ブチルの代わりにアクリル酸メチルを用いる以外は、実施例1と同様にして1液型ウレタンシーラントを得た。
【0038】
比較例4
アクリル酸ブチルの代わりにアクリル酸2−エチルヘキシルを用いる以外は、実施例1と同様にして1液型ウレタンシーラントを得た。尚、このアクリル酸2−エチルヘキシルを用いたアクリルポリマー含有ポリオールは不透明で相溶状態は不良であった。
【0039】
比較例5
アクリル酸ブチル650部のうち、20部を2−ヒドロキシエチルメタアクリレートに置き換える以外は、実施例1と同様にして1液型ウレタンシーラントを得た。
【0040】
比較例6
実施例1で得られたアクリルポリマー含有ポリオールの代わりに参考例1の混合ポリオールを用い、実施例1と同様にして1液型ウレタンシーラントを得た。
【0041】
尚、この場合の混合ポリオールは、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量:10000、1分子当たりの水酸基の個数:2、水酸基価11.2、商品名:プレミノール4010、旭硝子(株)製)800部及びポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量:10000、1分子当たりの水酸基の個数:3、水酸基価16.9、商品名:プレミノール3010、旭硝子(株)製)200部の混合物であり、この混合ポリオールを実施例1で用いるアクリルポリマー含有ポリオールと同量の1000部用いてシーラントに加工した。
【0042】
上記実施例1及び比較例1〜6のシーラントを製造する際に用いる原料の配合割合を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0003890546
【0044】
上記実施例1及び比較例1〜6で得られた各シーラントにつき、以下に示す各種試験を行った。これら各シーラントは、貯蔵安定性試験にはガラス瓶詰めのものを、また物性試験(シーラント物性試験、耐候性試験、塗料汚染性試験及び塗料密着性試験)にはカートリッジ詰めのものをそれぞれ使用した。
【0045】
(1)貯蔵安定性試験
各シーラントを200ccガラスビンに充填し、50℃にて1ヶ月保存後の粘度(mPas)を測定した。測定にはBS型粘度計を用い、10rpm、25℃で行った。
【0046】
各シーラントの初期粘度及び50℃にて1ヶ月保存後の粘度から、次式に従い粘度変化率を求め、粘度変化率が40%以下の場合を○、粘度変化率が40%を超える場合を×と評価した。
【0047】
【数1】
Figure 0003890546
【0048】
(2)シーラント物性試験
離型板上に幅20mm、深さ5mm、長さ150mmの目地を作成し、各シーラントを充填し、20℃で7日間養生後、試験に供した。この試験には、JISK−6301に準じた3号ダンベル状試験片を用い、引張速度を200mm/分とした。50%モジュラス、最大引張応力及び最大引張歪みを求め、50%モジュラスが2.5kg/cm3以下の場合を○、2.5kg/cm3を超える場合を×と評価した。
【0049】
(3)耐候性試験
幅20mm、深さ5mm、長さ150mmの目地に各シーラントを充填し、20℃で7日間養生後ウェザオ試験(サイクル試験800時間)及び屋外暴露試験(南面45°6ヶ月)に供した。
【0050】
ウェザオ試験はウェザオメーターWEL−SUN−HC型(スガ試験機株式会社製)を用い、試験条件は次の通りである。
【0051】
スプレーサイクル;18分/120分
温湿度;ブラックパネル温度63℃、湿度50〜70%。
【0052】
試験体表面を目視で観察し、クラック発生の有無を確認した。クラック発生ありの場合を×、クラック発生無しの場合を○として評価した。
【0053】
(4)塗料汚染性試験
幅20mm、深さ5mm、長さ150mmの目地にシーラントを充填し、20℃で7日間養生後各種塗料を塗装し、屋外暴露した。屋外暴露は南面45°で6ヶ月行い、塗料の汚染を有無を調べた。汚染がない場合を◎、汚染が殆どない場合を○、汚染が所々認められる場合を△、汚染がひどい場合を×として評価した。
【0054】
(5)塗料密着性試験
幅10mm、深さ5mm、長さ15mmの目地にシーラントを充填し、20℃で7日間養生後各種塗装材をシーラント表面に塗り、20℃で7日間養生後ガムテープにてスパン2mmの碁盤目試験を行った。剥離が50%以上生じた場合を×、剥離が25%以上〜50%未満生じた場合を△、剥離が1%以上〜25%未満生じた場合を○、剥離が全く生じなかった場合を◎として評価した。
【0055】
塗料汚染性試験で用いられる各種塗料及び塗料密着性試験で用いられる各種塗装材は次の通りである。
【0056】
塗料;
ピニロック(単層弾性):アクリル系、ロックペイント(株)製
ソフトリシン:アクリル系、エステー化研(株)製
タイルラック+ボンタイル(複層弾性):アクリル系、日本ペイント(株)製+旭硝子コート&レジン(株)製
ラバラック3000:塩化ビニル系、日本ペイント(株)製
ラフトンEMエナメル(複層E):アクリル系、スズカファイン(株)製
セスイ艶白:アクリル系、(株)トウペ製
ビルデック(艶有NAD):アクリル系、大日本塗料(株)製
ラバリーコートローラーハイグロス(単層弾性):アクリル系、スズカファイン(株)製
ビニデラックス:水性アクリル系、関西ペイント(株)製
水性コンポウレタン:水性ウレタン系、エステー化研(株)製。
【0057】
塗装材;
弾性ビニロック:アクリル系、ロックペイント(株)製
ソフトリシン:アクリル系、エステー化研(株)製
ケンエース:アクリル系、日本ペイント(株)製
タイルラック:アクリル系、日本ペイント(株)製
ビニデラックス300:アクリル系、関西ペイント(株)製
ボンタイル:アクリル系、旭硝子コート&レジン(株)製。
【0058】
貯蔵安定性試験、シーラント物性試験及び耐候性試験の結果を表2に、塗料汚染性試験の結果を表3、また塗料密着性試験の結果を表4に示す。尚、比較例5のシーラントは、ゲル化したため、その後の耐候性試験、塗料汚染性試験及び塗料密着性試験に供し得なかった。
【0059】
【表2】
Figure 0003890546
【0060】
【表3】
Figure 0003890546
【0061】
【表4】
Figure 0003890546
【0062】
実施例2〜実施例6
アクリル酸アルキルエステルの種類及び使用量並びにポリエチレングリコール安息香酸ジエステルの使用量を表5に示すものとする以外は、実施例1と同様にして各種1液型ウレタンシーラントを得た。
【0063】
【表5】
Figure 0003890546
【0064】
得られた各種1液型ウレタンシーラントにつき、上記と同様にして貯蔵安定性試験、シーラント物性試験、耐候性試験、塗料汚染性試験及び塗料密着性試験を行った。貯蔵安定性試験、シーラント物性試験及び耐候性試験の結果を表6に、塗料汚染性試験の結果を表7、また塗料密着性試験の結果を表8に示す。
【0065】
【表6】
Figure 0003890546
【0066】
【表7】
Figure 0003890546
【0067】
【表8】
Figure 0003890546
【0068】
実施例7
実施例1と同じ実験装置を用い、実施例1と同一の原料を実施例1と同量用いて、先にアクリル含有ポリオールを合成する代わりに、参考例1で得られた混合ポリオールに対し、ポリイソシアネートを作用させてイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを合成した。得られたプレポリマーのNCO%は2.16であった。このプレポリマーにアクリル酸ブチルを加え、プレポリマー中でアクリル酸ブチルを重合させた。アクリル酸ブチルの重合条件は実施例1と同様とした。
【0069】
このプレポリマーを用い、実施例1と同様にして本発明の一液型ウレタンシーラントを製造した。
【0070】
このシーラントは、実施例1のシーラントと同程度の貯蔵安定性、シーラント物性、耐候性、塗料汚染性及び塗料密着性を示した。

Claims (4)

  1. (A)数平均分子量が3000〜20000のポリオキシアルキレンエーテル型ポリオール中でアクリル酸C2-6アルキルエステルを重合させて得られるアクリルポリマー含有ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー及び(B)ポリエチレングリコールジエステルを含有する一液湿気硬化型シーラント。
  2. 数平均分子量が3000〜20000のポリオキシアルキレンエーテル型ポリオールの平均水酸基数が2.1〜2.6である請求項1記載のシーラント。
  3. 数平均分子量が3000〜20000のポリオキシアルキレンエーテル型ポリオール100重量部に対しアクリル酸C2-6アルキルエステルを20〜100重量部用いる請求項1又は請求項2記載のシーラント。
  4. ポリエチレングリコールジエステルがポリエチレングリコールの安息香酸ジエステルである請求項1記載のシーラント。
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