JP3890532B2 - 多目的緑化盤及び緑化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、屋上等のコンクリート面、斜面、さらには壁面等にも設置可能なユニット化された多目的緑化盤であって、草花や樹木、さらには芝生等の地被植物による緑化を可能とし、これらの組合せによって多彩な屋上庭園等を簡単に施工することができる多目的緑化盤及び緑化方法に関するものである。
近年、建物の屋上やベランダ等のコンクリート面に対する緑化を推進することが行われている。このような屋上緑化は都市環境を改善し、省エネ、地球環境の改善にまで好影響を及ぼすものである。
このような建物の屋上緑化に関する従来の技術として特許文献1を掲げる。これは「植物の栽培用構造体及び植物栽培方法」と称された発明であって、図18(a)に示すように、ゼオライト等の多孔質材料を用いて保水性を有する如く構成された植物栽培用構造体31の表面に、芝生シート(根に土のついた植物)34を設置することにより、植物の根を上記多孔質性材料の間に入り込ませて栽培するようにしたものである。
なお、図18(b)は特許文献1の植物栽培用構造体31とその下方のベース32を示す断面図であり、四辺に立上り片32aを有する貯水可能なプラスチックや金属容器等からなるベース32の上部に多孔質材料としてのゼオライトを注入して高圧で成形固化することにより、植物栽培用構造体31の裏側にベース32が一体固化されてなるものである。
さらに、図18(c)に示すものは、特許文献1の植物栽培用構造体31の上面(表面)に複数の凹部33を形成したもので、夫々の凹部33に土と種とを入れて植物を栽培することができるようにしたものである。
特開2002−320408号公報(第1頁、図1、2、6)
ところで、上記の特許文献1の植栽構造は、ゼオライト等の多孔質材料に植物を根付かせるようにしたものであるため、芝生等の限定された植物しか植栽することができず、草花や樹木等を植栽し得るものではない。
また、屋上緑化を遂行するには、建築物への荷重の影響や施工コスト等の問題、風の強い日における培土の飛散の問題、乾燥下での水分補給や保水性等の問題、さらにはコンクリート面上における養分の確保等の問題がある。
さらに、屋上緑化をメンテナンスする際には、植物や土壌の撤去作業を必要とし、季節ごとの植え替えや配置換え等の際には、植物や土壌を移動したりするという面倒な作業が要求され、相応の技術と労力を有するものであり、造園の専門業者でない一般人が行なうのは困難であった。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたもので、造園の専門家でない一般人が屋上等に容易に施工でき、屋上等のコンクリート床、斜面、さらには壁面等に設置して、草花や樹木、さらには芝生や地被植物等による緑化を可能とし、これらの組合せによって多彩な屋上庭園等を簡単に施工することができる多目的緑化盤及び緑化方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明による請求項1の多目的緑化盤は、メッシュ状箱形に形成された本体と蓋体とを結合して成る方形ユニットの内部に土壌が充填され、前記本体の平面部にスリット又はメッシュを有する所定数の植栽ポットが設けられると共に、前記蓋体の平面部がメッシュ状に形成され、前記植栽ポットの開口側を表に向けた状態で夫々の植栽ポットに草花又は樹木を植え、また前記蓋体の平面部側を表に向けた状態で該平面部上にて芝生等の地被植物を植栽するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の請求項2の多目的緑化盤は、請求項1において、前記本体の平面部において植栽ポットを設けるべき箇所に切れ目を入れ、この切れ目に着脱式植栽ポットを挿入して固定状態にすることを特徴とする。
また、本発明の請求項3の多目的緑化盤は、請求項1又は2において、前記方形ユニットの本体と蓋体との周縁には複数の突起が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項4の多目的緑化盤は、請求項1、2又は3において、前記方形ユニットに、軽石とココダストを主成分とする圧縮固形体を混合してなる培土を充填したことを特徴とする。
さらに、本発明の請求項5の多目的緑化盤による緑化方法は、メッシュ状箱形に形成された本体と蓋体とを結合して成る方形ユニットの内部に土壌が充填され、前記本体の平面部にスリット又はメッシュを有する所定数の植栽ポットが一体的に設けられるか、又は前記本体の平面部に形成された切れ目に着脱式植栽ポットが挿入して固定されると共に、前記蓋体の平面部がメッシュ状に形成されて成る多目的緑化盤を平面、傾斜面又は垂直面を成す設置面に配列して固定し、前記植栽ポットの開口側を表に向けた状態で夫々の植栽ポットに草花又は樹木を植え、また前記蓋体の平面部側を表に向けた状態で該平面部上に地被植物を植栽することにより、これらの草花、樹木又は地被植物を所望のレイアウトで配置することを特徴とする。
また、本発明の請求項6の多目的緑化盤による緑化方法は、請求項5において、前記方形ユニットに、軽石とココダストを主成分とする圧縮固形体を混合してなる培土を充填することを特徴とする。
また、本発明の請求項7の多目的緑化盤は、多数のスリットを形成した平面部と側面部とを有する箱形に形成された本体と蓋体とを結合して成る方形ユニットの内部に土壌が充填され、前記本体の平面部にスリット又はメッシュを有する所定数の植栽ポットが設けられ、該植栽ポットの開口側を表に向けた状態で夫々の植栽ポットに草花又は樹木を植え、また前記蓋体の平面部側を表に向けた状態で該平面部上にて芝生等の地被植物を植栽するようにしたことを特徴とする。
さらに、本発明の請求項8の多目的緑化盤は、請求項7において、前記方形ユニットに、軽石とココダストを主成分とする圧縮固形体を混合してなる培土を充填することを特徴とする。
本発明による多目的緑化盤は、メッシュ状箱形に形成された本体と蓋体とを結合して成る方形ユニットの内部に土壌が充填され、前記本体の平面部にスリット又はメッシュを有する所定数の植栽ポットが設けられると共に、前記蓋体の平面部がメッシュ状に形成されているため、植栽ポットの開口側を表に向けた状態で夫々の植栽ポットに草花又は樹木を植えることができ、また蓋体の平面部側を表に向けた状態で該平面部上に芝生等の地被植物を植栽することができる。
上記のような本発明の多目的緑化盤によれば、メッシュ状に形成された本体と蓋体とを結合して成る方形ユニットの内部に土壌が充填されているため、この土壌はメッシュの目を介して外気と触れ合っているため、多量の酸素を供給することができ、また排水性も良好であり、地被植物から潅木類まで広範囲な種類の植物を植栽することができる。
従って、本発明の多目的緑化盤による緑化方法によれば、屋上等のコンクリート床、傾斜屋根、土手等の傾斜面さらには垂直壁面等に配設することによって、芝生等の被地植物、草花或いは樹木等による緑化を可能とし、これらの組合せによって多彩な屋上庭園等を施工することができる。
また、そのような施工の際に、本発明は、内部に土壌を有するユニット化された構造を有するため、園芸の専門家ではなく、一般人にも容易に取り扱うことが可能となり、簡易な園芸を楽しむことができる。なお、流通の際には、内部に土壌を充填した状態で販売したり、各植栽ポットに季節の草花や樹木を植え込んだ状態、或いは蓋体の平面部に植生マットを添付した状態で販売することも可能である。さらに、草花や樹木を植え込んだ多目的緑化盤ごとの取替えによって手軽且つ迅速に屋上庭園等の模様替えを行うことが可能となる。
さらに、本発明において、土壌は方形ユニットの内部に充填され、この方形ユニットを成す本体或は蓋体のメッシュは内部の土壌を通過しない大きさとされているため、内部の土壌が外方に漏れ出ることがなく、土壌の飛散の問題を解消することができる。なお、植栽ポット中の根部の周りの土壌は僅かであって、植物が生長するに従って根部に付着する結果、強風で飛散するおそれは少なくなる。
さらに、本発明においては、方形ユニットの内部には土壌が充填されているため、従来の多孔質植栽基盤やマット状基盤に比べて保水の点で有利である。また、方形ユニットの内部に充填する土壌を軽量化することによって建築物への荷重の影響や施工の際の労力を軽減できる。
また、本発明において、方形ユニットの本体と蓋体との周縁に複数の突起が形成された構成にすると、本体或は蓋体の平面部側をコンクリート床等に設置したとき、床面との間に隙間ができ、本体或は蓋体の平面部のメッシュを通過して生え出た植物の根部が上記の隙間内で成長することとなって、根部がコンクリート床に進入するということがなく、従ってそのような根部の進入を防止するための防根シートが不要となる。
さらに、本発明において、多目的緑化盤の本体の平面部の所定箇所に切れ目を入れ、この切れ目に着脱式植栽ポットを挿入して固定状態にすることも可能であり、種々の形状の植栽ポットを挿着することが可能となる。例えば、着脱式植栽ポットは円柱体を斜めに押して変形させた形状にし、本体の切れ目に挿入して固定した多目的緑化盤を垂直壁面に固定することにより、植物の根部を下り勾配の状態で挿入することが可能となり、この植栽ポットに植え付けた植物は根元が曲がらず上方へ無理なく成長するため、垂直壁面における植栽にも適したものとなる。
また、本発明の多目的緑化盤に使用する土壌として、軽石とココダストを主成分とする圧縮固形体を混合してなる培土を調合して充填したことにより、土壌としての保水性或いは保肥性等を有し、均一な混合を行うことができる培土を得ることができる。また、このようなココダストを主成分とする圧縮固形体によれば、該圧縮固形体を多目的緑化盤のメッシュ又はスリットからこぼれ出ない径とする調整が容易となり、本発明の多目的緑化盤に使用する土壌として最適する培土となる。
さらに、この培土を充填した多目的緑化盤の上に人等が載って踏みつけた場合でも、内部に充填された培土が耐荷重性を発揮し、多目的緑化盤に大きな変形の生じない強度を保つことができる。さらに、多目的緑化盤に上記の培土を充填して運搬する際には、振動で軽石と圧縮固形体が分離することがなく運搬することができる等の利点を有する。
また、本発明の多目的緑化盤は、多数のスリットを形成した箱形の方形ユニットとすることも可能であり、この場合も、方形ユニットの内部に充填された土壌は、軽石とココダストを主成分とする圧縮固形体を混合してなる培土とすることにより、スリットからこぼれ難く、また上記のように方形ユニットを上方から踏みつけるような荷重に対して補強を成した構成とすることが可能となる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
本発明による多目的緑化盤1は、図1に示すように、メッシュ状に形成された本体2と蓋体3とに分離され、蓋体3を本体2に被せることによって、図2又は図3に示す方形ユニット4が形成される。
図1に示すように、夫々の本体2と蓋体3とは方形の箱形状に形成され、本体2の側面が蓋体3の側面よりも高く形成され、蓋体3を本体2の開口側から閉じることによって方形ユニット4の立方形状に形成される。
また、夫々の本体2と蓋体3とは、ABS樹脂またはPP(ポリプロピレン)等の合成樹脂材料により形成され、蓋体3と本体2とには、約1〜3mm、好ましくは約2mmの目を有するメッシュ5が形成されている。ただし、蓋体3と本体2との夫々のコーナーや端部はメッシュ5が設けられずに枠体6とされ、夫々の箱形状の強度を補強するようにしている。また、メッシュ5の大きさは、図5に示すように、方形ユニット4の内部に充填した土壌7が外方へ漏れない程度の大きさを理想とするものである。
また、図1に示すように、蓋体3の平面部は上記のメッシュ5が施されただけの平面部3aとされているが、図2に示すように、本体2の平面部2aには所定数の植栽ポット10、10…が設けられている。各植栽ポット10は、図5に示すように、本体2の天面を成す平面部2aから遠ざかるに従って小径をなす底部を平面にした円錐形状とし、その最下底部は蓋体3の平面部3aとの間に隙間10aを有し、該隙間にも土壌7が充填されるように形成されている。
なお、本実施例の各図においては、本体2の平面部2aに5個の植栽ポット10が形成された構成としてあるが、これに限定する必要はなく、その個数、内径、深さ、形状等は植栽すべき植物の種類や根部の大きさ等によって設定されるべきものである。
図1、図4または図5に示すように、夫々の植栽ポット10にはスリット11又はメッシュ12が設けられている。その一例として、植栽ポット10の周部には縦状のスリット11を複数設け、底部にはメッシュ12を設ける。これらのスリット11又はメッシュ12は、蓋体3又は本体2に形成したメッシュ5よりも大径にするのが好ましく、これによって植栽ポット10に植えつけた植物13の根部14をこれらのスリット11又はメッシュ12を通過して方形ユニット4内の土壌7に根付かせることができる。
さらに、図1〜図3に示すように、本実施例の多目的緑化盤1においては、方形ユニット4の本体2と蓋体3との周縁に複数の突起8、8…が形成されている。その突起8を設ける位置としてはコーナーやコーナー間であり、いずれの突起8も、本体2或は蓋体3の平面部2a、3aから立ち上がる方向に突出した形状とする。このような突起8を設けたことにより、図7または図8に示すように、本体2或は蓋体3の平面部2a、3a側をコンクリート床面15に設置したとき、本体2或は蓋体3の平面部2a、3aと床面15との間に隙間16ができ、本体2或は蓋体3の平面部2a、3aのメッシュ5を通過して生え出た植物13の根部14が上記の隙間16内で成長することとなってコンクリート床面15の内部に進入することがなく、従ってそのような根部14の進入を防止するための防根シートが不要となる。
上記のように構成された本体2と蓋体3とからなる方形ユニット4に土壌7を充填するには、図6(a)に示すように、本体2の突起8を下方にして開口側を上方にし、この状態で、図6(b)に示すように、その内部に土壌7を充填する。このとき、本体2の植栽ポット10は上方に向けて突出された状態となり、土壌7は夫々の植栽ポット10を覆うように充填される。この土壌7としては、例えば、多孔質固形物、軽石、難分解性繊維、細粒土、肥料分等を混合したものを使用する。こうして本体2の内部に土壌7を充填した後、図6(c)に示すように、本体2の開口側に蓋体3を被せて閉じた状態にする。
なお、このように本体2の開口側に蓋体3を被せた状態において、この蓋体3を本体2側に固定するようにしてもよい。そのための用具としては、割ピンや各種の結束具を使用するようにしても良い。
上記のように構成された本実施例の多目的緑化盤1による緑化方法において、図7に示すように、植物13として草花19または樹木20を植栽する場合は、コンクリート床面15に本体2の植栽ポット10の開口側を上方にして複数の多目的緑化盤1を並置した状態で、夫々の植栽ポット10に草花19または樹木20の根部14を挿入する。なお、このように植栽ポット10の開口側を上方に向けると、蓋体3の平面部3aが下方を向き、コンクリート床面15側に対向する。
ところで、蓋体3の平面部3aにも周縁に突起8が形成されているため、この突起8の高さだけ、コンクリート床面15と蓋体3の平面部3aとの間に隙間16ができ、蓋体3の平面部3aに形成されているメッシュ5を通過して生え出た根部14が上記の隙間16内で成長するため、コンクリート床面15からその内部に進入することがなく、従ってそのような根部14の進入を防止するための防根シートが不要となる。
また、図8に示すように、植物13として芝生等の地被植物21を植栽する場合は、コンクリート床面15に蓋体3の平面部aを上方にして複数の多目的緑化盤1を並置した状態で、夫々の蓋体3の平面部3aの上部に芝生等の地被植物21を植生してある植生マット21aを載置すると、その植物が生長することによって根部14が蓋体3のメッシュ5から内部の土壌7に進入して、植生マット21aと多目的緑化盤1とが結合された状態になる。
図9に示すものは、上記の図7に示した草花19と樹木20を植栽した多目的緑化盤1と、上記の図8に示した芝生等の地被植物21を植栽した多目的緑化盤1とを多様に配置したものであり、複数の多目的緑化盤1、1…の植栽ポット10の開口側を上方に向けたり、蓋体3の平面部3a側を上方に向けたりすることの組合せと、その周囲をブロック等の枠部材22で取り囲んで固定状態にすることにより、容易に屋上庭園を施工することができる。
また、図10に示すものは、図8に示した芝生等の地被植物21の植栽を土手や勾配屋根等の傾斜面23に利用したもので、例えばL型金具24を用いて複数に並置した多目的緑化盤1、1…の周囲を固定し、各多目的緑化盤1が傾斜面23を滑り落ちないようにする。また、図11に示すように、傾斜面23の下部に支持枠体25を設け、その上方に傾斜面23に沿って複数の多目的緑化盤1、1…を並置するだけでもよい。
いずれにしても、傾斜状況が緩やかであれば、図11に示すように、植栽ポット10の開口側を上方に向けて草花19や樹木20を植栽することが可能である。なお、このように傾斜面23において草花19や樹木20を植栽する場合、本体2の内部に土壌7を充填してからその上方に保水マット26を被せて蓋体3をし、次いで植栽ポット10の開口側を上方に向けることによって保水マット26は、図11に示すように土壌7の下部に位置することとなる。こうすることによって、傾斜面23で流下して下方に溜まりやすい水分を各多目的緑化盤1、1…の保水マット26に保留して、各多目的緑化盤1における植栽に供することができる。
さらに、本発明によれば、図12に示すように、コンクリート等の垂直壁面27にも施工することが可能である。この場合も、例えば堅固なL型金具24を用いて複数に並置した多目的緑化盤1、1…を垂直壁面27に固定する。また、このように垂直壁面27に多目的緑化盤1を固定して芝生等の地被植物21を植栽する場合は、植栽マットを蓋体3の平坦面3aに何らかの止具によって固定するのが好ましい。また、このように垂直壁面27に多目的緑化盤1を固定して使用する場合、上記した図11のように各多目的緑化盤1の底部に保水マット26を敷設して、各多目的緑化盤1ごとに保水を可能とした構成とするのが好ましい。
なお、図12に示す垂直壁面27に草花や樹木の植栽をすることも可能であり、この場合、垂直壁面27に例えばL型金具24を用いて固定した複数の多目的緑化盤1、1…の植栽ポット10の開口側を表に向けて、図11に示すように、夫々の植栽ポット内に草花やツタ等のつる植物や樹木等を植え付けるようにしてもよい。この場合においても、図11のように各多目的緑化盤1の底部に保水マット26を敷設して、各多目的緑化盤1ごとに保水を可能とするのが好ましい。
本実施例は、図13に示すように、上記の多目的緑化盤1の本体2の平面部2aにおいて植栽ポットを設けるべき箇所に切れ目28を入れ、この切れ目28に着脱式植栽ポット29を挿入して固定状態にしたものである。このような構成についてより詳細に述べると、多目的緑化盤1は本体2と蓋体3とから成り、本体2の平面部2aにおいて植栽ポットを設けるべき1箇所または複数箇所に切れ目28が形成されているほかは、上記実施例の構成と同様である。
即ち、本体2の平面部2aは全面がメッシュ状に形成され、この平面部2aの所定個所に着脱式植栽ポット29を挿入する切れ目28が設けられている。この着脱式植栽ポット29は底部を平面にした円錐体、円柱体或いはこれらの形状を斜めにしたような形状(図14参照)から成り、上記のように周部にスリット11を設け、底部にメッシュ12(図15参照)を設けるようにしてもよい。また、切れ目28は植栽ポット29の形状に応じてプレス加工等によって形成し、例えば中心から放射状に切れ目28を設けるようにする。
このような構成により、図13に示すように、多目的緑化盤1の本体2の平面部2aに設けられた切れ目28に着脱式植栽ポット29を順次挿入して固定した後、図7に示したように本体2を上方にして、草花または樹木を植栽したり、図8に示したように蓋体3を上方にして、芝生等の地被植物を植栽したりすることができる。
また、図14に示すように、着脱式植栽ポット29は円柱体を斜めに押して変形させた形状にして垂直壁面27の植栽に適合させることができる。即ち、この斜形状の着脱式植栽ポット29は、上端の開口縁29aから斜め下方に植物の根部を入れる周部29bを形成すると共に該周部29bにスリット11を形成し、さらにその底部を、メッシュ状(ただし、スリット状でもよい)に形成したものである。
そこで、図15に示すように、本体2の切れ目28に斜形状の着脱式植栽ポット29を挿入して固定すると共に、内部に土壌7を充填した多目的緑化盤1をコンクリート等の垂直壁面27に例えばL型金具24で固定する。なお、この場合においても、図15に示すように多目的緑化盤1の底部に保水マット26を敷設して、各多目的緑化盤1ごとに保水性を確保するのが好ましい。
上記の構成により、斜形状の着脱式植栽ポット29において植物13の根部を下り勾配の状態で挿入することができるため、斜形状のこの着脱式植栽ポット29に植え付けた植物13は根元が曲がらず上方へ無理なく成長するため、垂直壁面27における植栽にも適合させることができ、草花や樹木のほか、つる植物の植栽にも適用可能である。
ここで、上記のいずれの実施例においても好適する土壌について述べる。本発明による多目的緑化盤は、上記のように屋上庭園等に利用する場合、多目的緑化盤をコンクリート床面に設置するものであり、このような施工時や施工後に、人等がこの多目的緑化盤の上を歩いたりするような使用形態が考えられる。従って、多目的緑化盤は、上方からの荷重にも変形しない強度を有することが望ましいが、上記の方形ユニットの平面部の中央付近において、人等の重量に耐え得る強度を期待するのは無理がある。
このため、多目的緑化盤の内部に軽石等による土壌を充填し、この内部の土壌によって、多目的緑化盤の耐荷重性を補う必要がある。ところで、軽石を方形ユニット内に充填した場合、ある程度の外径を有する軽石は、メッシュ又はスリットからこぼれ出るおそれがない。しかしながら、軽石だけでは、土壌としての保水性或いは保肥性等の役割を果たすことができないため、ココダストに、ベントナイト、ココヤシ繊維、発泡樹脂、肥料等を混入して圧縮し、これをメッシュ又はスリットからこぼれ出ない外径を有するように、粒状、ブリケット状、ペレット状等に形成した圧縮固形体とする。なお、肥料は圧縮固形体に混合せず、軽石と圧縮固形体の混合時に混ぜるようにしてもよい。
上記のように、培土を構成する軽石とココダストを主成分とする圧縮固形体とは、いずれも方形ユニットに形成されたメッシュ又はスリットからこぼれ出ない外径とする。このようなことを考慮して、圧縮固形体の外径は、概ね5〜20mmとするのが好ましい。また、本発明において、軽石に上記の圧縮固形体を混入する場合の混合比は、圧縮固形体が、軽石を含む全体の10〜50体積%とするのがよい。
以上のように軽石とココダストを主成分とする圧縮固形体とを混合する際は、均一な混合が可能となる。また、方形ユニットに充填して多目的緑化盤として使用する場合、人等がその上に載って踏みつけた場合でも、大きな変形の生じない強度を保つことができる。さらに、上記の軽石と圧縮固形体の混合物を方形ユニットに充填して運搬する際には、振動で軽石と圧縮固形体が分離することがなく運搬することができる。
本実施例の多目的緑化盤1は、図16または図17に示すように、多数のスリット11、11…を形成した平面部と側面部とを有する箱形に形成された本体2と蓋体3とを結合して成る方形ユニット4を構成したものである。即ち、図16の方形ユニット4は本体2の平面部2aにスリット11を同方向に形成し、また側面部2bは縦方向のスリット11を同方向に配列してある。蓋体3の平面部は、図16には見えないが、本体2の平面部2aと同様に同方向のスリット11が形成され、また蓋体3の側面部3bは縦方向のスリット11を同方向に配列してある。
さらに、図17に示す方形ユニット4は、本体2の平面部2aと蓋体3の平面部(蓋体3の平面部は図に見えていない)に異方向の多数のスリット11が形成され、本体2と蓋体3の側部は共に縦状のスリット11が同方向に形成されている。なお、図17の本体2の平面部2aのスリット11は、スリット11を異方向に配列した一例を示すものであり、複数の同方向のスリット11、11…の集合を互いに直角方向に配列してなるものである。
本実施例の多目的緑化盤1のその他の構成は、図1に示すものと同様であり、方形ユニット4の内部に土壌が充填され、また本体2の平面部2aにスリット11又はメッシュを有する所定数の植栽ポット10、10…が設けられている。
このような多目的緑化盤の使用方法は、実施例1と同様であり、不図示であるが、方形ユニット4の本体2の植栽ポット10の開口側を表に向けた状態で夫々の植ポット10に草花又は樹木を植え(図7参照)、また蓋体3の平面部側を表に向けた状態で該平面部上にて芝生等の地被植物を植栽することができる(図8参照)。
上記のように方形ユニット4の本体2と蓋体3に形成したスリット11は、一例として、2mm×30mmの長方形を成す孔であり、これを2mmピッチで形成するものとする。
また、方形ユニット4の本体2と蓋体3とに、上記のような寸法の多数のスリット11を形成した場合、このスリット11或いは植栽ポット10のメッシュからこぼれ出ない土壌として、実施例5で述べた軽石とココダストを主成分とする圧縮固形体を混合してなる培土を充填するのが好ましい。即ち、ココダストを主成分とする圧縮固形体とは、上記のように、ココダストに、ベントナイト、ココヤシ繊維、発泡樹脂、肥料等を混入して圧縮し、これをメッシュ又はスリットからこぼれ出ない外径を有するように、粒状、ブリケット状、ペレット状等に形成した圧縮固形体としたものである。
このような土壌を方形ユニット4内に充填することによって、スリット11或いはメッシュからこぼれ難く、また方形ユニット4の平面部に上方から作用する荷重に対しても変形しないように補強することが可能となる。
本発明の多目的緑化盤及び緑化方法は、通常の平地へ適用することはもちろん可能であり、特に屋上等のコンクリート床、傾斜屋根、土手等の傾斜面さらには垂直壁面等に設けることによって、芝生等の被地植物、草花或いは樹木等による緑化を可能とし、これらの組合せによって多彩な屋上庭園を施工することができる。
本発明による多目的緑化盤の分解斜視図である。 本発明による多目的緑化盤の植栽ポットの開口側を上にした斜視図である。 本発明による多目的緑化盤の平面部側を上にした斜視図である。 本発明による多目的緑化盤の植栽ポットの開口側から見た上面図である。 図4のA−A矢視線断面図である。 (a)〜(c)は、本発明による多目的緑化盤の内部に土壌を充填する過程を示す組立図である。 本発明による多目的緑化盤の植栽ポットの開口側を上方にして草花や樹木を植栽している状況を示す断面図である。 本発明による多目的緑化盤の平面部側を上方にして芝生等の被地植物を植栽している状況を示す断面図である。 本発明の多目的緑化盤を用いて芝生や草花や樹木を多彩に植栽した屋上庭園の例を示す斜視図である。 本発明の多目的緑化盤を用いて斜面に芝生を植栽した例を示す斜視図である。 本発明の多目的緑化盤を用いて斜面に草花を植栽した例を示す断面図である。 本発明の多目的緑化盤を用いて垂直壁面に芝生を植栽した例を示す斜視図である。 本発明の多目的緑化盤の植栽ポットを着脱式に構成した例を示す斜視図である。 本発明において着脱式の植栽ポットの斜視図である。 本発明の多目的緑化盤を垂直壁面に設けて植物を植栽するようにした例を示す斜視図である。 本発明の多目的緑化盤の方形ユニットを多数のスリット(同方向のスリット)を設けて構成した実施例を示す斜視図である。 本発明の多目的緑化盤の方形ユニットを多数のスリット(異方向のスリット)を設けて構成した実施例を示す斜視図である。 (a)〜(c)は、従来の植栽技術を示す図である。
符号の説明
1…多目的緑化盤
2…本体
2a…平面部
2b…側面部
3…蓋体
3a…平面部
3b…側面部
4…方形ユニット
5…メッシュ
6…枠体
7…土壌
8…突起
10…植栽ポット
11…スリット
12…メッシュ
13…植物
14…根部
15…コンクリート床面
16…隙間
19…草花
20…樹木
21…芝生等の地被植物
21a…植生マット
22…枠部材
23…傾斜面
24…L型金具
25…支持枠体
26…保水マット
27…垂直壁面
28…切れ目
29…着脱式植栽ポット

Claims (8)

  1. メッシュ状箱形に形成された本体と蓋体とを結合して成る方形ユニットの内部に土壌が充填され、前記本体の平面部にスリット又はメッシュを有する所定数の植栽ポットが設けられると共に、前記蓋体の平面部がメッシュ状に形成され、前記植栽ポットの開口側を表に向けた状態で夫々の植栽ポットに草花又は樹木を植え、また前記蓋体の平面部側を表に向けた状態で該平面部上にて芝生等の地被植物を植栽するようにしたことを特徴とする多目的緑化盤。
  2. 前記本体の平面部において植栽ポットを設けるべき箇所に切れ目を入れ、この切れ目に着脱式植栽ポットを挿入して固定状態にすることを特徴とする請求項1記載の多目的緑化盤。
  3. 前記方形ユニットの本体と蓋体との周縁には複数の突起が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の多目的緑化盤。
  4. 前記方形ユニットに、軽石とココダストを主成分とする圧縮固形体を混合してなる培土を充填したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の多目的緑化盤。
  5. メッシュ状箱形に形成された本体と蓋体とを結合して成る方形ユニットの内部に土壌が充填され、前記本体の平面部にスリット又はメッシュを有する所定数の植栽ポットが一体的に設けられるか、又は前記本体の平面部に形成された切れ目に着脱式植栽ポットが挿入して固定されると共に、前記蓋体の平面部がメッシュ状に形成されて成る多目的緑化盤を平面、傾斜面又は垂直面を成す設置面に配列して固定し、前記植栽ポットの開口側を表に向けた状態で夫々の植栽ポットに草花又は樹木を植え、また前記蓋体の平面部側を表に向けた状態で該平面部上に地被植物を植栽することにより、これらの草花、樹木又は地被植物を所望のレイアウトで配置することを特徴とする多目的緑化盤による緑化方法。
  6. 前記方形ユニットに、軽石とココダストを主成分とする圧縮固形体を混合してなる培土を充填することを特徴とする請求項5記載の多目的緑化盤による緑化方法。
  7. 多数のスリットを形成した平面部と側面部とを有する箱形に形成された本体と蓋体とを結合して成る方形ユニットの内部に土壌が充填され、前記本体の平面部にスリット又はメッシュを有する所定数の植栽ポットが設けられ、該植栽ポットの開口側を表に向けた状態で夫々の植栽ポットに草花又は樹木を植え、また前記蓋体の平面部側を表に向けた状態で該平面部上にて芝生等の地被植物を植栽するようにしたことを特徴とする多目的緑化盤。
  8. 前記方形ユニットに、軽石とココダストを主成分とする圧縮固形体を混合してなる培土を充填することを特徴とする請求項7記載の多目的緑化盤。


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