JP5300457B2 - 植栽基盤及びそれを使用した植栽方法 - Google Patents

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本発明は起立させて設置し、植栽土と種子や苗木などを詰めて壁面の緑化などを行うための植栽基盤、及びそれを使用した植栽方法に関するものである。
家屋、建築物、岸壁などの壁面や、塀、或いは斜面などの起立構造体面を緑化するために、構造体面に沿って植栽土を保持し、植物を生育させるために、型抜き成形した植栽基盤を起立させて構造体面上に配置し、これに植栽土と種子や苗を植栽して緑化を図ることが採用されている。
土が根に付着した苗などを収容可能な凹部を備えた植栽基盤として、特開2005−176829号公報に記載されているような植栽基盤が開示されている。
上記した公報に記載された植栽基盤は、合成樹脂材料によって型抜き成形したものであるが、これを壁面に使用する場合は、植栽する面が起立するように配置して使用する。
植栽基盤は、その表面に、背面側に窪んだ植栽ポットと呼ばれる凹部を複数個有しており、このポットに植栽土と苗などを詰めるものである。
このような植栽基盤を使用する場合、水を与えるのは植栽基盤の上、つまりは起立した植栽基盤の天端の頭上に給水管などを配して、その給水管から給水を行うことが採用される。
しかしながら、複数個の植栽ポットが、起立して上下に位置した場合、上方の植栽ポットの間、若しくは植栽ポットから流れ落ちてきた水が、下方に位置する植栽ポットの間に流れて行ってしまい、下方のポットの中には水が流れ行かないことがある。
種子や苗は、まだ十分に根が伸びていない場合は、植栽ポット内部の養分や水によって生育するもので、水が十分にポット内に供給されないと、植物の生育とって好ましくない状態となる。
特開2005−176829号公報
解決しようとする課題は、構造体面に沿って起立して配置した植栽基盤与えた水が、植栽基盤に設けた全ての植栽ポット内及び植栽土に十分に行き渡らないことである。
本発明にかかる植栽基盤は、起立させて設置し、種子や苗などを植栽して起立面に植物を生育させるための型抜き或いは射出成形した植栽基盤であって、
基盤表面には、植物を生育させるための植栽土を入れる孔若しくは凹部である複数個の植栽ポットが、上下左右に形成されており、
前記した植栽基盤に適宜間隔づつ離して形成した任意の植栽ポット同士の間であって、
少なくとも植栽ポットの中心よりも上に、基盤の背面側に突出する板状の導水突起を有するとともに、
基盤の背面側にも、植栽土を詰めることが可能である。
本発明にかかる他の植栽基盤は、前記した植栽ポット同士の間に設けた板状の導水突起は、その左右下方に位置する孔若しくは凹部に向かって傾斜する山形となることを特徴とする。
本発明にかかる他の植栽基盤は、基盤の背面には、前記植栽ポットから、外周方向に伸びるとともに背面側へ突出する板状の導水突片を備えることを特徴とする。
更に本発明にかかる他の植栽基盤は、前記した導水突起若しくは導水突片が、その突出する高さが植栽基盤を起立したとき、その奥行きの30%〜90%であることを特徴とする。
本発明にかかる植栽方法は、上記した植栽基盤を使用して行う植栽方法であって、
起立させた植栽基盤の植栽ポット内、及び植栽基盤の背面側には、植栽土を詰め、
起立させた植栽基盤の天端側から、水を植栽基盤背面側に流し与え、
導水突起によって導かれた水を、植栽ポット内及び植栽土に流れ込ませて生育を促進することを特徴とする。
本発明は以上のような構成を有し、以下の効果を得ることが可能である。
<a>植栽ポット同士の間であって、少なくとも植栽ポットの中心よりも上に、基盤の背面側に突出する板状の導水突起を有しているため、当該植栽ポットの上方から流れ落ちてくる水を、導水突起によって左右に分散させ、その下方の植栽ポット内及び植栽土に良好に行き渡らせることが可能で、水を植栽ポット内及び植栽土に万遍なく行き渡らせ、植物の生育を図ることが出来る。
<b>導水突起を山形に形成することで、その下方の左右植栽ポットに偏りなく分け与えることが可能となる。
<c>植栽ポットが、外周方向に伸びるとともに背面側へ突出する板状の導水突起を備えることで、上方からの水を植栽ポット内及び植栽土の側に導くことが可能となる。
<d>導水突起は、その突出する高さが、植栽基盤の高さの30%〜90%であって、上方からの水を良好に受け止め、ポット側に良好に導くことができる。
<e>植栽基盤を、紙や生分解性樹脂によって成形することにより、経年変化によって基盤は植栽土に分解されることになり、植物のより大きな生育を妨げることがない。
図において1は、本発明にかかる植栽基盤である。
植栽基盤1は、再生紙によって製造したもので、紙をプレスして型抜き成形したものである。
また、合成樹脂繊維の不織布を使用して型抜き成形してもよい。
その他、植栽基盤1は、合成樹脂を射出成形して製造することも可能であるが、特に生分解性の樹脂を採用することが好適である。
植栽基盤1は、方形の起立部2と、その起立部2の四周縁からほぼ直角に突出して起立部2を囲む四つの囲み板3とによって、箱形に成形されている。
植栽基盤1の起立部2は、植栽基盤1を起立させて設置したときに、壁面のように上下方向に起立するもので、囲み板3は、その起立部2の四周縁から、起立部2に対してほぼ直角に背面方向に突出することになる。
<2>給水部
植栽基盤1の起立部2を起立させたとき、その天端部に位置する囲み板3の一部を切り欠いて、給水部5となっている。
実施例では、切欠き状の給水部5が左右に離隔して3ケ形成されている。
その他、給水部5としては、くり抜いた複数個の孔も採用できる。
<3>植栽ポット
植栽ポット4は、起立部2表面をくり抜いた孔、若しくは背面側へほぼ栽頭円錐形状に突き出た凹部状に成形されている。
実施例では、植栽ポット4は栽頭円錐形の周壁6と底部7とによって凹設されている。
植栽ポット4の底部7には、中心に孔8と、それから四方に伸びるスリット9が形成されている。
また、起立部2には、植栽ポット4が左右に三個並び、そしてそれが上下三段に形成され、合計9個の植栽ポット4が設けられている。
当然ながら、植栽ポット4の数はこれに限定されない。
植栽ポット4を孔にした場合には、起立部2の背面側に栽頭円錐形の周壁のみを背面側に突出するような形状も採用できる。
<4>導水突起
上記した左右に並ぶ植栽ポット4同士の間で、植栽基盤1を起立したとき、その一段目と二段目との間、及び二段目と三段目との間であって、隣り合う植栽ポット4の間に、導水突起10が起立部2の背面側に突出するよう突設されている。
導水突起10は、左右半分づつが、左右の植栽ポット4・4へ傾斜するよう山形に形成されている。
植栽ポット4を設ける位置は任意であって、給水部5の位置によっては、一段目の植栽ポット4の上にも設けることも可能である。
導水突起10は、その下の植栽ポット4へ水を導くためのものであって、少なくとも水を導く植栽ポット4の中心よりも上方に位置する必要がある。
実施例では、一段目の二段目の植栽ポット4との間、及び二段目と三段目の植栽ポット4との間であって、起立部2の左右側端にも、起立部2の中央側へ傾斜する導水突起11が設けられている。
<5>導水突片
植栽基盤1の背面には、前記植栽ポット4から、外周方向に伸びるとともに背面側へ突出する板状の導水突片12を備える。
導水突片12を設ける位置も任意であるが、実施例では、隣り合う植栽ポット4と向き合う側に、円筒状凹部である植栽ポット4の外周方向へ放射状に導水突片12が二枚づつ形成されている。
前記した導水突起10・11若しくは導水突片12は、その突出する高さHが植栽基盤1を起立したとき、その奥行きLの30%〜90%である。
以下、以上のような植栽基盤1を使用した植栽方法について述べる。
<6>植栽基盤の収納
以上のような植栽基盤1を、合成樹脂繊維による不織布によって方形箱形に形成した植栽袋13の中に収容する。(図5)
植栽袋13の天端には孔又は切り込み状の通水口25を設ける。
植栽袋13は、裏面側に位置する蓋部14が開き可能となっており、植栽袋13の中に植栽基盤1を収納し、その植栽基盤1の背面側に植栽土15を詰めて、植栽袋13の蓋部14を閉じて、後に述べる植栽金網かご18の中に収納する。
同じく植栽袋13の表面側には、植栽基盤1の植栽ポット4の位置に対応した切り込み16や孔が形成されており、植栽基盤1の植栽ポット4に、植栽土15が付着した植物の苗17や、種子を混ぜた植栽土を収納する。
植栽する植物としては、ノシラン、ハイビャクシンなど、通常の様々な草花や樹木を植栽できる。
また、オオイタビ(プミラ)などのつる植物の植栽も可能である。
<7>壁への組付け
植栽袋13の中に収納した植栽基盤1の背面側に植栽土15を詰めて植栽袋13の蓋部14を閉じ、方形に箱形に組んだ植栽金網かご18の中に収納し、その上に線材を縦横に組んだ植栽金網かごの蓋21を被せて、結束線などによって固定する。
この植栽金網かご18を、建造物の壁19などに、アンカー20などによって固定する。(図6、図7)
各植栽基盤1の上には、水を供給するための給水口を配置する。
<8>植物の育成
給水口から各植栽基盤1に水を供給する。
水は植栽袋13の天端に設けた通水口25を通過し、植栽基盤1の給水部5から、植栽基盤1の背面側に流れ落ちる。
供給された水は、図2の矢印によって示す経路を流れ落ち、植栽ポット4の間に流れ落ちようとする水を植栽ポット4側に流れさせ、各植栽ポット4内及び植栽土15に遍りなく水を分け与える。
植物が生育すると、図7に示すように、根が植栽ポット4の底部7の孔8やスリット9を抜けて、植栽基盤1背面側に詰めた植栽土15にも根付くことになる。
再生紙で形成した植栽基盤1は、経年変化によって腐食して植栽土15に混ざり込むことになる。
<9>型抜き成形
以上の実施例では、植栽基盤1は型抜きプレス可能して製造したもので、起立部2に対し、囲み板3は直角に背面側に伸びるのではなく、若干の鈍角を成し、テーパ状に背面側に伸びている。
その他、植栽ポット4も栽頭円錐形状というように周壁6が起立部2に対しテーパ状に成形されており、導水突起10・11及び導水突片12も、起立部2側に近づくほどその厚みが細くなるようテーパ状を成している。
図8に示すのは他の実施例であって、植栽ポット4として孔状のものを採用し、その植栽カップ4に別体である容器状の植栽カップ22を配置するものである。
植栽カップ22も再生紙によって成形されている。
図9に示す植栽基盤1の左右両端に位置する植栽ポット4の植栽基盤1外周側には、導水突片12が形成されていない。
本発明にかかる植栽基盤の斜視図 図1の植栽基盤の正面図 植栽基盤の断面図 植栽基盤の平面図 植栽袋と植栽金網かごの中に収納した植栽基盤の一部切欠き斜視図 壁に組み付けた植栽基盤の断面図 図6の一部断面図 他の実施例の斜視図 他の植栽基盤の正面図
符号の説明
1:植栽基盤
2:起立部
3:囲み板
4:植栽ポット
5:給水部
6:周壁
7:底部
8:孔
9:スリット
10:導水突起
11:導水突起
12:導水突片
13:植栽袋
14:植栽袋の蓋部
15:植栽土
16:切込み
17:苗
18:植栽金網かご
19:壁
20:アンカー
21:植栽金網かごの蓋
22:植栽カップ
25:通水口

Claims (4)

  1. 起立させて設置し、種子や苗などを植栽して起立面に植物を生育させるための型抜き或いは射出成形した植栽基盤であって、
    基盤表面には、植物を生育させるための植栽土を入れる孔若しくは凹部である複数個の植栽ポットが、上下左右に形成されており、
    前記した植栽基盤に適宜間隔づつ離して形成した任意の植栽ポット同士の間であって、
    少なくとも植栽ポットの中心よりも上に、基盤の背面側に突出する板状の導水突起を有するとともに、
    基盤の背面側にも、植栽土を詰めることが可能であり、
    前記した植栽ポット同士の間に設けた板状の導水突起は、その左右下方に位置する孔若しくは凹部に向かって傾斜する山形となることを特徴とする、
    植生基盤。
  2. 起立させて設置し、種子や苗などを植栽して起立面に植物を生育させるための型抜き或いは射出成形した植栽基盤であって、
    基盤表面には、植物を生育させるための植栽土を入れる孔若しくは凹部である複数個の植栽ポットが、上下左右に形成されており、
    前記した植栽基盤に適宜間隔づつ離して形成した任意の植栽ポット同士の間であって、
    少なくとも植栽ポットの中心よりも上に、基盤の背面側に突出する板状の導水突起を有するとともに、
    基盤の背面側にも、植栽土を詰めることが可能であり、
    植栽基盤の背面には、前記植栽ポットから、外周方向に伸びるとともに背面側へ突出する板状の導水突片を備えることを特徴とする、
    植生基盤。
  3. 前記した導水突起若しくは導水突片は、その突出する高さが植栽基盤を起立したとき、その奥行きの30%〜90%であることを特徴とする、
    請求項1又は2に記載した植栽基盤。
  4. 請求項1乃至の植栽基盤を使用して行う植栽方法であって、
    起立させた植栽基盤の植栽ポット内、及び植栽基盤の背面側には、植栽土を詰め、
    起立させた植栽基盤の天端側から、水を植栽基盤背面側に流し与え、
    導水突起によって導かれた水を、植栽ポット内及び植栽土に流れ込ませて生育を促進することを特徴とする、
    植栽基盤を使用した植栽方法。
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