JP3889182B2 - 浴室用空調機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴室用空調機に関し、特に温水を利用した浴室用空調機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、浴室用乾燥機が用いられている。これは浴室を乾燥室に転用できるようにしたものであって、浴室内に吊るした衣類等に温風を吹き当てることにより、急速に乾燥させることができるようにしたものである。この浴室乾燥機は、乾燥機能とともに、浴室を暖房する空調機能を備えており、入浴前あるいは入浴中に浴室を暖房することができるようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の浴室乾燥機に代表される浴室用空調機では、温風を吹き出して浴室内を暖房することができるようになっていただけであり、例えばリモートコントローラ等から設定温度を入力し、設定温度に応じて浴室内の室温制御を行なえるようになっていなかった。
【0004】
そのため季節に応じて浴室内温度を調整したり、入浴者の要求に応じて浴室内温度を調整したりすることができないばかりか、浴室内温度をほぼ一定に保つこともむつかしかった。
【0005】
また、従来の浴室乾燥機による暖房運転では、暖房開始時のように熱交換器温度が低い場合には冷風が吹き出される。入浴者は裸でいるから、この冷風に非常に敏感であり、冷風が当たると入浴者が冷風感を感じて寒くなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記従来例の欠点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、浴室内の温度をほぼ一定に保つことができ、しかも、入浴者に冷風が吹き当たりにくい浴室用空調機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段とその作用】
請求項1に記載の浴室用空調機は、内部を循環する熱媒と空気を熱交換させる熱交換器と、前記熱交換器に流れる熱媒の流量を制御するバルブと、前記熱交換器で熱交換した空気を室内へ吹き出させるための送風用ファンと、前記熱交換器の温度を検出する熱交換器温度センサと、室温を検出する室温検知センサと、前記室温検知センサの検出値に基づいて前記バルブを開閉制御するバルブ制御手段と、前記熱交換器温度センサの検出値及び前記バルブの開閉制御状態に基づいて前記送風用ファンの回転数を制御するファン回転数制御手段とを備えた浴室用空調機であって、前記バルブ制御手段は、前記室温検知センサの検出値がオフ時の設定値を下から上へ超えると前記バルブを閉じる方向へ動作させ、前記室温検知センサの検出値がオン時の設定値を上から下へ超えると前記バルブを開く方向へ動作させるものであり、前記ファン回転数制御手段は、前記熱交換器温度センサの検出値が高くなるほど回転数が大きくなるように前記送風用ファンを制御すると共に、前記バルブが開く方向に動作した状態では、前記送風用ファンの最低送風レベルでは前記送風用ファンを停止させ、前記バルブが閉じる方向に動作した状態では、前記送風用ファンの最低送風レベルでは前記送風用ファンを微弱運転させるものであることを特徴としている。ここで、バルブは不連続的に流量を制御するもの(たとえば、開閉型のもの)でもよく、連続的に流量を制御するもの(たとえば、流量調整型のもの)でもよい。
【0008】
請求項1に記載の浴室用空調機にあっては、熱交換器に流れる熱媒の流量を制御するバルブと、室温検知センサの検出値に基づいてバルブを開閉制御するバルブ制御手段と、熱交換器温度センサの検出値及びバルブの開閉制御状態に基づいて送風用ファンの回転数を制御するファン回転数制御手段とを備え、室温検知センサの検出値がオフ時の設定値を下から上へ超えるとバルブを閉じる方向へ動作させ、室温検知センサの検出値がオン時の設定値を上から下へ超えるとバルブを開く方向へ動作させるようにし、熱交換器温度センサの検出値が高くなるほど回転数が大きくなるように送風用ファンを制御しているので、室温がほぼ安定するようにバルブを開閉制御して熱媒の流量を調節すると共に送風用ファンの回転数を制御して風量を調節することができ、浴室内の温度をほぼ均一に保つことが可能になる。
【0009】
また、請求項1の浴室用空調機にあっては、熱交換器温度センサの検出値とバルブの開閉制御状態とに基づいて送風用ファンの回転数を制御するファン回転数制御手段を備え、熱交換器温度センサの検出値が高くなるほど回転数が大きくなるように送風用ファンを制御すると共に、バルブが開く方向に動作した状態では、送風用ファンの最低送風レベルでは送風用ファンを停止させている。従って、室温が低くてバルブが開く方向に動作した状態では、熱交換器温度が低いうちは送風用ファンを弱運転して冷風が入浴者に届きにくくすると同時に、熱交換器温度が高くなるにつれて送風用ファンを強運転し、急速に室温を設定温度に近づけるようにできる。特に、送風用ファンの最低送風レベルでは送風用ファンを停止させるようにしているので、熱交換器温度が水温程度に低い場合(例えば、暖房運転開始時)に熱交換器で冷えた冷風を吹き出して入浴者に直接冷風を吹き付けることが無く、入浴者に冷風感を感じさせることがない。
【0010】
また、室温が高くてバルブが閉じる方向に動作した状態では、送風用ファンにより強風を吹出すと熱交換器温度が急速に低下し、しかもその冷風が入浴者に向けて吹き出されることになる。一方、送風を停止すると、浴室内の空気が循環しないので、室温検知センサによって室内温度を正確に検出できなくなり、室温が下がり続ける恐れがある。これに対し、請求項1の浴室用空調機では、室温が高くてバルブが閉じる方向に動作した状態では、熱交換器温度センサの検出値が低くなるほど回転数が小さくなるように送風用ファンを制御し、送風用ファンの最低送風レベルでは送風用ファンを停止させることなく微弱運転させるようにしているので、冷風の吹き出しを弱くして入浴者に冷風が吹き付けないようにしながら室内の空気を循環させて室内温度を正確に検出することができ、正確に室温制御を行なうことができる。
【0013】
請求項に記載の浴室用空調機は、請求項に記載した浴室用空調機において、前記室温検知センサが浴室内の空気を吸い込む吸気口付近に配置され、前記送風用ファンの微弱運転時にも浴室の温度を検出し、所定温度まで室温が低下した場合には、再度前記バルブを開く方向へ動作させて前記熱交換器による温水加熱を再開させるようにしたことを特徴としている。
【0014】
請求項に記載の浴室用空調機にあっては、前記バルブが閉じる方向へ動作させられて送風用ファンが微弱運転されている場合にも室温検知センサにより室温を検知するようにしているので、室温が所定温度まで低下した場合には、再びバルブを開く方向へ動作させ、室温を上昇させることができる。特に、室温検知センサを浴室の空気を吸い込む吸気口付近に設けているので、送風用ファンが微弱運転されている場合でも、室温を正確に検知することができる。
【0015】
請求項に記載の浴室用空調機は、請求項1又は2に記載の浴室用空調機における前記室温検知センサが異常温度上昇を検知した場合には、空調運転を停止させるようにしたことを特徴としている。
【0016】
請求項に記載の浴室用空調機にあっては、室温検知センサが異常温度上昇を検知した場合には、空調運転を停止させるようにしているから、浴室用空調機の暴走を防止し、浴室用空調機の安全性を高めることができる。特に、浴室内では異常に気がついてもただちに処置しにくいことも多いので、自動的に空調運転を停止させることにより安全性を高める効果が高い。
【0017】
請求項に記載の浴室用空調機は、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の浴室用空調機において、空調運転停止後、前記送風用ファンを熱交換器温度が所定温度まで下がるまで運転させるようにしたことを特徴としている。
【0018】
請求項に記載の浴室用空調機にあっては、空調運転停止後、送風用ファンを熱交換器温度が所定温度まで下がるまで運転させるようにしているから、空調運転停止後に浴室用空調機の内部に溜まっている熱気を追い出し、浴室用空調機の温度を下げることができる。従って、浴室用空調機の樹脂製ケースやその他樹脂製部品あるいは部品の接着部分などの損傷を防止し、浴室用空調機の耐用年数を延ばすことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(浴室用空調機の構造)
図1は浴室の壁面や天井に設置される温水循環形式の浴室用空調機1の内部構造を示す概略図である。この浴室用空調機1内には、高温の湯を循環させるための循環パイプ2が配管されており、循環パイプ2の一部には放熱用のフィンを有する熱交換器(放熱器)3が構成されている。また、循環パイプ2には熱動弁4が設けられている。循環パイプ2には給湯器等の熱源機5が接続されており、熱源機5により循環パイプ2に高温の湯が供給される。6は熱交換器3の温度を検知するための熱交換器温度センサであって、熱交換器3に取り付けられている。熱交換器3と対向して浴室用空調機1のケース7には吸気口8が開口されており、吸気口8と熱交換器3の間にはフィルタ9が設けられている。10は室温検知センサであって、熱交換器3からある程度離れた位置であって、吸気口8付近に設置されている。さらに、ケース7の吸気口8と反対側には、ルーバーを備えた温風吹出し口11が設けられており、熱交換器3と温風吹出し口11との間には、モータ12によって回転駆動されるフロースルーファンのような循環ファン(送風用ファン)13が設けられている。
【0020】
また、循環ファン13の横には、モータ14によって回転駆動されるシロッコファンのような換気ファン15が設けられており、吸気口8からケース7内に吸い込まれた空気(湿気)は換気ファン15により排気口16を通じて屋外へ排出される。
【0021】
浴室用空調機1はリモートコントローラ17を備えており、リモートコントローラ17の操作により乾燥運転と暖房運転に切り替えることができ、またリモートコントローラ17から暖房運転の強弱ないし設定温度を入力できるようになっている。
【0022】
浴室用空調機1は内蔵のコントローラ18によって制御されるようになっている。コントローラ18は、乾燥運転時には、室温制御を行なわず、タイマによって設定された時間連続運転する。これに対し、暖房運転時には、室温検知センサ10によって浴室用空調機1の近傍の室温を検出し、それに基づいて熱動弁4を開閉制御し、さらに熱交換器温度センサ6により検知された熱交換器温度および熱動弁4の開閉状態に応じて循環ファン13の回転数を制御することにより、室温制御を行なう。
【0023】
(熱動弁の制御方法)
まず、熱動弁4の制御について説明する。熱動弁4は、室温検知センサ10の検知温度により開閉制御される。リモートコントローラ17からは、浴室用空調機1による暖房運転の強弱、たとえば「高」、「中」、「低」(より細かく設定できるようにしてもよい)を設定できるようになっているとすると、「高」、「中」、「低」のいずれかの選択に応じて所定の室温(設定温度)で熱動弁4が開かれ(以下、オンという)、所定の室温で熱動弁4が閉じられる(以下、オフという)。暖房運転の強弱と熱動弁4がオン、オフされる室温との関係を表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0003889182
【0025】
これにより、浴室内の温度は、「高」で暖房運転している場合には約41〜42℃の設定温度に保たれ、「中」で暖房運転している場合には約38〜39℃の設定温度に保たれ、「低」で暖房運転している場合には約35〜36℃の設定温度に保たれる。
【0026】
(循環ファンの制御方法)
また、循環ファン13は、後述のように熱動弁4がオン時には「強」、「中」、「弱」に切り替えられるようになっており、熱動弁4がオフ時には「弱」と「微弱」に切替えられるようになっている。ここで、循環ファン13の送風レベルが「強」、「中」、「弱」、「微弱」となっているときのファン回転数はたとえば次の表2のようになる。
【0027】
【表2】
Figure 0003889182
【0028】
図2は熱動弁4がオンとなっている場合における、熱交換器温度と循環ファン13の送風レベルとの関係を示す図である。この図は、熱交換器温度が上昇時には、循環ファン13の送風レベルを
T2未満 : 停止
T2以上T4未満 : 弱
T4以上T6未満 : 中
T6以上 : 強
となるように制御し、熱交換器温度が下降時には、循環ファン13の送風レベルを
T5以上 : 強
T3以上T5未満 : 中
T1以上T3未満 : 弱
T1未満 : 停止
となるように制御することを表わしている。ここに、上記温度T1〜T6は、たとえばT1℃=43℃、T2℃=45℃、T3=47℃、T4=49℃、T5=51℃、T6=53℃である。
【0029】
熱交換器温度の上昇時(たとえば、暖房運転開始時)には、熱交換器3を循環する温水温度(熱交換器温度)が低くてT2未満の場合には循環ファン13を停止する。これは、温水温度が低いときに循環ファン13を運転して冷風を吹き出し、入浴者に冷風感を感じさせないようにするためである。また、T2以上では循環ファン13を運転開始すると共に段階的に循環ファン13のファン回転数を大きくしている。これは、温水温度が低いうちは循環ファン13を弱運転して冷風が入浴者に届きにくくすると同時に、温水温度が高くなるにつれて循環ファン13を強運転し、急速に室温を設定温度に近づけるようにするためである。
【0030】
また、熱動弁4がオンで熱交換器温度が下降してきた場合(たとえば、熱動弁4が開いて温水が循環しているが、熱源機5の能力が一時的に低下して熱交換器温度が下がってきた場合)には、熱交換器温度の上昇時よりも循環ファン13のファン回転数を少し(1/2レベル)上げて運転する。この状態で、熱交換器温度が再び上昇するまで待機させる。さらに熱交換器温度が低下してT1未満になった場合には、循環ファン13を停止し、冷風の吹き出しを防止する。
【0031】
これに対し、熱動弁4がオフの場合には、熱動弁4がオンの場合とは異なる送風レベルを用いて循環ファン13が制御される。すなわち、図3は熱動弁4がオフとなっている場合における、熱交換器温度と循環ファン13の送風レベルとの関係を示す図である。この図は、熱交換器温度が上昇時には、循環ファン13の送風レベルを
T8未満 : 微弱
T8以上 : 弱
となるように制御し、熱交換器温度が下降時には、循環ファン13の送風レベルを
T7以上 : 弱
T7未満 : 微弱
となるように制御することを表わしている。ここで、上記温度T7及びT8は、たとえばT7=51℃、T8=53℃である。
【0032】
本発明の浴室用空調機1にあっては、室内温度が設定温度(熱動弁オフ温度)に達すると、室内温度が上昇し過ぎるのを防止するため、直ちに熱動弁4をオフにすると共に循環ファン13の送風レベルを図3のレベルに切り換え、循環ファン13による送風量をダウンさせる。
【0033】
また、室内温度が設定温度に達して熱動弁4がオフになった場合には、循環ファン13により強風を吹出すと熱交換器温度が急速に低下し、しかもその冷風が入浴者に向けて吹き出されることになる。一方、送風を停止すると、浴室内の空気が循環しないので、室温検知センサ10によって室内温度を正確に検出できなくなり、室温が下がり続ける恐れがある。そのためにも、熱動弁4がオフになった場合には、図3のような送風レベルに切り換えて循環ファン13を弱運転し、さらに熱交換器温度が下がると循環ファン13のファン回転数を落として送風を微弱にし、冷風の吹き出しを弱くしながら室内の空気を循環させて室内温度を正確に検出できるようにしている。特に、このとき室温検知センサ10は、浴室の空気を吸い込む吸気口8付近に設けられているため、より正確に浴室の温度を検出できる。なお、室温が低下して熱動弁4が再びオンになると、循環ファン13の制御も再び図2のような送風レベルに切り換えられる。
【0034】
(過昇防止制御)
また、暖房運転中に室温が設定温度(熱動弁オフ温度)を超えて異常温度上昇し、過昇検出温度(>>熱動弁オフ温度)を超えた場合(図4に破線で示す)には、コントローラ18は強制的に熱源機5を運転停止させ、室温の異常温度上昇を阻止する。この後は、警報ブザーを鳴らして点検をうながすようにしてもよく、あるいは、室温が熱動弁オン温度よりも下がったときに再び熱源機5を稼働させ、暖房運転を続けるようにしてもよい。
【0035】
(ポストパージ)
また、浴室用空調機1の暖房運転が停止すると、熱源機5が給湯動作を停止し、熱動弁4も閉じられる。この運転停止後も熱交換器温度が所定温度(たとえば、51℃)より高い間、循環ファン13は通常よりも低回転でポストパージ運転を行なう。すなわち、暖房運転停止後、ただちに循環ファン13を停止させると、樹脂製のケース7や器具の樹脂接合部、回路基板の防湿用コーティング膜などが損傷する恐れがある。そのため暖房運転停止後も一定時間の間は循環ファン13を運転して浴室用空調機1の内部の熱を放熱させ、浴室用空調機1の損傷を防止する。
【0036】
(クリーニング運転)
なお、換気ファン15を15分以上運転して浴室内の湿気を屋外へ排出した後は、循環ファン13を15分程度運転して浴室用空調機1の内部を乾燥させるようにしてもよい。
【0037】
(具体的な運転例)
しかして、この浴室用空調機1は、上記のような制御方式を採用しているので、運転開始から運転終了までの動作状態は、たとえば図4で表わされる。図4において、(a)は室内温度の変化を示し、(b)は浴室用空調機1に設けられている運転ランプ(運転表示用LED)のオン(点灯)・オフ(消灯)を示し、(c)は熱動弁4のオン(開)・オフ(閉)を示し、(d)は循環ファン13のオン(上記制御方式で送風している状態)・オフ(停止)を示し、(e)は熱源機5のオン(運転)・オフ(運転停止)を示している。
【0038】
時刻t1にリモートコントローラ17からコントローラ18へ運転指令が入力されると、浴室用空調機1が暖房運転を開始して運転ランプを点灯させる。一方、コントローラ18からの信号によって熱源機5が運転される。同時に、循環パイプ2に設けられた熱動弁4が開かれ、熱源機5から温水が供給されるまで待つ。
【0039】
こうして暖房運転が開始すると、室温が設定温度(熱動弁オフ温度)に達して熱動弁4が閉じられるまでの間は、図2に示したような送風レベルにより循環ファン13が制御される。すなわち、熱交換器温度がT2未満の場合には、循環ファン13を停止しておき、熱源機5から供給された温水によって熱交換器温度がT2よりも上昇すると、冷風防止と室温検知のために循環ファン13が弱レベルで送風運転される。さらに熱交換器温度が上昇し、T4以上になると循環ファン13が中レベルで送風し、T6以上になると循環ファン13は強レベルで送風し、室温が設定温度(熱動弁オフ温度)に達するまで強送風を行なう。
【0040】
時刻t2に室温検知センサ10の検出値が設定温度(熱動弁オフ温度)に達すると、熱動弁4が閉じられる。熱動弁4が閉じられると、循環ファン13は図3に示したような送風レベルにより制御される。すなわち、熱動弁4が閉じられると循環ファン13を弱にして過昇を防止すると共に冷風の吹き出しを抑制する。さらに、室温が下がると循環ファン13を微弱運転し、冷風感を抑え、かつ浴室内温度を検知する。
【0041】
こうして時刻t3に室温が熱動弁オン温度まで下がると、再び熱動弁4が開かれ、循環ファン13は再び図2の送風レベルに切り替わる。
【0042】
本発明の浴室用空調機1にあっては、上記のようにして熱動弁4が熱動弁オン温度と熱動弁オフ温度との間でオン・オフを繰り返し、それに応じて循環ファン13の制御が図2の送風レベルと図3の送風レベルとに切り替わることにより、浴室内温度を設定温度近傍に維持すると共に冷風の吹き出しを防止する。
【0043】
なお、上記実施形態では、循環パイプ2に熱動弁4を設け、熱動弁4がオンの場合とオフの場合とで循環ファン13のファン回転数制御レベルを異ならせるようにしたが、循環パイプ2に流量制御弁を設けて熱交換器3に流れる温水流量を制御できるようにし、熱交換器3に流れる温水流量に応じて、熱交換器温度に対する循環ファン13のファン回転数レベルを異ならせるようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
請求項1に記載の浴室用空調機によれば、室温検知センサの検出値に基づいてバルブを制御しているから、室温がほぼ安定するようにバルブを制御することができ、浴室内の温度をほぼ均一に保つことが可能になる。また、熱交換器温度センサの検出値に基づいて送風用ファンの回転数を制御しているから、熱交換器温度が低い場合には、送風用ファンの回転数を小さくして送風を弱くすることにより、冷風などが入浴者に直接当たるのを抑えることができる。
【0045】
また、請求項2に記載の浴室用空調機によれば、熱交換器温度センサの検出値とバルブの制御状態とに基づいてファン回転数を制御しているから、熱交換器に熱媒が流れているか否か、あるいはその流量等に応じ、熱交換器温度に対するファン回転数を異ならせることができ、ファン回転数を最適に制御することができる。たとえば、暖房運転でバルブが閉じられている場合や低流量の場合には、熱交換器温度に対するファン回転数を小さくすることにより、冷風等の吹き出しを抑制しながら室内温度を正確に検知し、正確に室温制御を行なわせることができる。
【0046】
請求項3に記載の浴室用空調機によれば、室温が設定温度に達してバルブが閉じる方向へ動作させられた場合には、熱交換温度センサの検出値が所定温度より低下したときに送風用ファンを微弱運転させるようにしているので、室内の空気を循環させて室内温度を正確に検知することができる。しかも、送風用ファンは微弱運転されているので、冷風が強く吹き出されて入浴者に冷風感を与えるのを防止することができる。
【0047】
請求項4に記載の浴室用空調機によれば、前記バルブが閉じる方向へ動作させられて送風用ファンが微弱運転されている場合にも室温検知センサにより室温を検知するようにしているので、室温が所定温度まで低下した場合には、再びバルブを開く方向へ動作させ、室温を上昇させることができる。特に、室温検知センサを浴室の空気を吸い込む吸気口付近に設けているので、送風用ファンが微弱運転されている場合でも、室温を正確に検知することができる。
【0048】
請求項5に記載の浴室用空調機によれば、室温検知センサが異常温度上昇を検知した場合には、空調運転を停止させるようにしているから、浴室用空調機の暴走を防止し、浴室用空調機の安全性を高めることができる。特に、浴室内では異常に気がついてもただちに処置しにくいことも多いので、自動的に空調運転を停止させることにより安全性を高める効果が高い。
【0049】
請求項6に記載の浴室用空調機によれば、空調運転停止後、送風用ファンを熱交換器温度が所定温度より高い間運転させるようにしているから、空調運転停止後に浴室用空調機の内部に溜まっている熱気を追い出し、浴室用空調機の温度を下げることができる。従って、浴室用空調機の樹脂製ケースやその他樹脂製部品あるいは部品の接着部分などの損傷を防止し、浴室用空調機の耐用年数を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による浴室用空調機の内部構造を示す概略図である。
【図2】熱動弁がオン時における、熱交換器温度と循環ファンのファン回転数制御レベルとの関係を示す図である。
【図3】熱動弁がオフ時における、熱交換器温度と循環ファンのファン回転数制御レベルとの関係を示す図である。
【図4】浴室用空調機の運転開始から運転終了までの各部の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
2 循環パイプ
3 熱交換器
4 熱動弁
6 熱交換器温度センサ
10 室温検知センサ
11 温風吹出し口
17 リモートコントローラ
18 コントローラ

Claims (4)

  1. 内部を循環する熱媒と空気を熱交換させる熱交換器と、前記熱交換器に流れる熱媒の流量を制御するバルブと、前記熱交換器で熱交換した空気を室内へ吹き出させるための送風用ファンと、前記熱交換器の温度を検出する熱交換器温度センサと、室温を検出する室温検知センサと、前記室温検知センサの検出値に基づいて前記バルブを開閉制御するバルブ制御手段と、前記熱交換器温度センサの検出値及び前記バルブの開閉制御状態に基づいて前記送風用ファンの回転数を制御するファン回転数制御手段とを備えた浴室用空調機であって、
    前記バルブ制御手段は、前記室温検知センサの検出値がオフ時の設定値を下から上へ超えると前記バルブを閉じる方向へ動作させ、前記室温検知センサの検出値がオン時の設定値を上から下へ超えると前記バルブを開く方向へ動作させるものであり、
    前記ファン回転数制御手段は、前記熱交換器温度センサの検出値が高くなるほど回転数が大きくなるように前記送風用ファンを制御すると共に、前記バルブが開く方向に動作した状態では、前記送風用ファンの最低送風レベルでは前記送風用ファンを停止させ、前記バルブが閉じる方向に動作した状態では、前記送風用ファンの最低送風レベルでは前記送風用ファンを微弱運転させるものである、
    ことを特徴とする浴室用空調機。
  2. 前記室温検知センサは浴室内の空気を吸い込む吸気口付近に配置され、前記送風用ファンの微弱運転時にも浴室の温度を検出し、所定温度まで室温が低下した場合には、再度前記バルブを開く方向へ動作させて前記熱交換器による温水加熱を再開させるようにしたことを特徴とする、請求項に記載の浴室用空調機。
  3. 前記室温検知センサが異常温度上昇を検知した場合には、空調運転を停止させるようにしたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の浴室用空調機。
  4. 空調運転停止後、前記送風用ファンを熱交換器温度が所定温度まで下がるまで運転させるようにしたことを特徴とする、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の浴室用空調機。
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