JP3889146B2 - 液体口腔用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、口腔用組成物に関し、特に液体組成物でありながら口腔内で洗口した時、口腔内にリン酸カルシウム微細粒を供給する機能を備え、歯を保護する作用を持つ一液性の口腔用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、リン酸カルシウムは歯の研磨剤として有効であることは知られている(「研磨剤の科学」他)。そのため、歯磨剤には、リン酸カルシウムが研磨剤として炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどと同様に使用され、配合されている。これらの研磨剤を配合した歯磨剤を使用してブラッシングすることで歯面に付着している歯垢、食べかすなどの歯に付着、沈着したものを歯面から除去できる。しかしながら、前記歯磨剤を用いて歯面をブラッシングすると歯面からステイン、歯垢などを除去できるが、実際には歯面自身も研磨される。
【0003】
そこで、リン酸カルシウムを歯の研磨剤とする場合、それを用いて歯面をブラッシングしても歯面を傷つけない歯磨剤が研究されている。
例えば、粉歯磨やペースト状の歯磨剤のための研磨剤として、ブラッシングに伴う歯面の損傷を防止するために、平均丸味度が0.45〜0.9であり、平均粒子径が2〜30μの球状リン酸水素カルシウム・無水物を使用することが知られている。また、特公平6−21053号公報には、水不溶性粉末材料を水不溶性無機結合剤で結着させて顆粒とし、該顆粒1個あたり0.1〜10gの荷重を加えたとき顆粒が崩壊するようにし、過度にブラッシングしても歯面の損傷が生じないようにした粉歯磨やペースト状の歯磨剤が記載されている。
【0004】
一方、虫歯は、いわゆる”白斑”病巣の発生から出発し、放置すると病巣が成長し、病巣上のエナメル質が崩壊することによって起こるので、病巣にミネラルを補給しようとする考え方があるが、そこにカルシウムイオンとリン酸イオンを供給することが困難であるので、抗核形成性添加剤を用いることにより欠損部にカルシウムイオンとリン酸イオンが供給されるようにして、欠損部などに不溶性アパタイトを形成させ、欠損部に起因する異常を回復する虫歯予防の方法について特公平2−2860号公報に記載されている。
このようなミネラル補給、すなわち、リン酸イオン、カルシウムイオンを供給する供給源としては、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウムが良いことが知られており、これらを使用した口腔用組成物が研究されている。第三リン酸カルシウムがミネラル補給の供給源として適当であるのは、第三リン酸カルシウムの組成Ca3(PO4)2 が、実質上歯質の無機成分と類似の構造を有するハイドロキシアパタイトCa12(PO4)6(OH)2 の組成に近似しているからである。
【0005】
そして、前記ハイドロキシアパタイトを用いると、傷の付いた歯面の再石灰化が可能とされているが、ハイドロキシアパタイトの結晶は安定なもので反応性に乏しく、歯面の再石灰化能力は小さい。
前記特公平2−2860号公報に示されている液体製剤は、液体製剤中に含まれるリン酸カルシウムが、第三リン酸カルシウムあるいは第二リン酸カルシウムであり、そのままでは液体製剤中に安定に配合することは困難であるので、2−ホスホノ−ブタン−三カルボン酸−1,2,4とその水溶性塩から選ばれた抗核形成剤を配合して安定化された液体製剤である。前記公報によれば、この液体製剤は口腔中で生理学的pHに調整されたとき、このハイドロキシアパタイトは前記抗核形成剤によって覆われて安定化され、大きい不溶性の結晶に成長することが防止されるので、病巣にリン酸イオン、カルシウムイオンが供給され、病巣の修復に効果があるとしている。
【0006】
しかし、第三リン酸カルシウムや第二リン酸カルシウムとして液体製剤に添加するので水に溶けにくく、その結果リン酸イオンやカルシウムイオンの濃度が低くなってしまう。この他にも、第三リン酸カルシウム配合の洗口液からは口腔内の生理学的pHより高くしても、リン酸カルシウム微粒子の析出は起こらず、リン酸イオン、カルシウムイオンが歯面に吸着するのみであったことからも前記抗核形成剤を配合し、口腔内の生理学的pHより高いpHとしなければ虫歯予防のできる歯の液体製剤とすることは困難である。
【0007】
また、前記の技術は、歯質の組織に親和性のあるリン酸カルシウムを処理液として口腔内に提供し、所望の部位を前記処理液で処理した後、当該部位を塩基性の後処理液で処理することにより、リン酸カルシウムを虫歯の病巣に供給し、そこで塩基性後処理剤を作用させて病巣にリン酸カルシウムを析出させる機能を回復させる技術である。しかしながら、この製剤は2液式の製剤であるので、この技術は実用的ではない。
しかも、これらの技術は、口腔内にリン酸イオンやカルシウムイオンのみを供給するという考え方であるため、歯磨として使用する場合に歯磨剤となる研磨作用を与える物質については何ら考慮されていないために、それは液体歯磨として使用するには適していない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記の説明から理解されるように、1液式製剤で、口腔に適用した際に、口腔内でブラッシングした場合に歯面から歯石、歯垢などのステインを除去することができるような研磨作用をもつ研磨剤物質が存在し得るようにするとともに、口腔内全体に、均一にリン酸イオン、カルシウムイオンを供給し、従って口腔内の虫歯の病巣(歯の欠陥部である。)にリン酸イオンとカルシウムイオンを供給し、そこで生理学的pHにもたらせることによりそれらイオンを歯質に親和性の良いリン酸カルシウムとして析出させることにより効率良く歯の欠陥部の再石灰化を可能にできる技術が望まれている。
本発明は、前記したように、1液式製剤であって、口腔内で研磨作用をし得る物質が生成して、液体歯磨となりうるとともに、歯質に対して親和性の良いリン酸カルシウムの析出が可能であるような、極めて優れた液体口腔用組成物を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明の前記課題を解決することができることを見出した。すなわち、
(1)カルシウムイオン源とリン酸イオン源とを配合した液体口腔用組成物であって、カルシウムイオン源として溶解した第一リン酸カルシウムを0.03〜0.2g/100ml含有し、リン酸イオン源としてリン酸カルシウム以外のリン酸塩を含有し、pHを5.5以上、6.8以下とした一液式製剤からなっており、口腔内で洗口した時、口腔内にリン酸カルシウム微細粒を生成することができることを特徴とする液体口腔用組成物。
(2)前記pHを6.0〜6.5とすることを特徴とする前記(1)に記載の液体口腔用組成物。
(3)第一リン酸カルシウムが有機酸により溶解されていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の液体口腔用組成物。
【0010】
本発明の液体口腔用組成物は1液式の液体口腔用組成物であり、液中に溶解されるイオン源としては、第一リン酸カルシウムが好適であり、第三リン酸カルシウムあるいは第二リン酸カルシウムより水に溶解性が良く、抗核形成剤を使用しなくてもpH6.0〜6.8の範囲で安定に存在でき、析出可能なpH6.0〜7.5でリン酸カルシウム微細粒を析出させることができる。これに対し、例えば第三リン酸カルシウムを用いた場合、前記したように、(抗核形成剤を使用せず、)pHを低くして可溶化した後、中性付近(pH6.0〜7.5)にもどしてもリン酸カルシウム微細粒の析出は起こらない。
従って、第三リン酸カルシウムを用い(抗核形成剤を使用せず、)1液式の液体口腔用組成物を調製しても、該液体口腔用組成物は口腔内でリン酸カルシウム微細粒の析出は起こらず、単にカルシウムイオンおよびリン酸イオンが歯面に吸着するのみである。
【0011】
本発明の液体口腔用組成物では、例えば第一リン酸カルシウムを用いて調製するので、口腔内においてリン酸カルシウムの微細粒の析出が起こる。従って、口腔内で洗口に使用したとき、口腔内に均一に広がり、歯面や虫歯の病巣(歯の欠陥部)を再石灰化することを促進することができる。また、洗口した後口腔内にリン酸カルシウム微細粒が残るので、その後ブラッシングにより歯面からステイン、歯垢などを除去できる。
前記したように本発明の技術は、イオン源として第一リン酸カルシウムを用いて、イオン濃度を従来より高い濃度として、抗核形成剤を使用せず1液式製剤で、口腔内全体に、均一にリン酸イオンとカルシウムイオンを高い濃度で供給し、口腔内のどのような場所であっても、そこで自然に生理学的pHにもたらせることにより、口腔内でリン酸カルシウムを微細粒として析出させ、効率良く歯の欠陥部の再石灰化を可能にでき、さらには同時にブラッシングによりその微細粒の析出を促進させ、また歯面から歯石、歯垢などのステインを除去するということは、従来全くない技術思想であり、もちろん従来技術には一切記載されていない全く新規な技術である。
【0012】
おそらく、歯面の再石灰化は、液体中にカルシウムイオンとリン酸イオンがハイドロキシアパタイト組成比で存在している場合、それらカルシウムイオンとリン酸イオンが歯の欠陥部に付着し、そこで微結晶状態で析出することで歯の欠陥部の再石灰化が可能であるものと推測される。
前記本発明の新規な技術により、口腔内にリン酸イオン、カルシウムイオンを液状で供給しながら、口腔内でリン酸カルシウムを微細粒として析出させ、ブラッシングにより、歯面から歯石、歯垢や食べかすなどを除去し、同時に病巣のような欠損部にリン酸カルシウムを微細粒として析出させることができるようになった。
【0013】
本発明の口腔用組成物の特徴とするところは、その好ましい態様を示せば、次のような性質を有するものである。▲1▼製剤中にリン酸カルシウムを第一リン酸カルシウム(「リン酸一カルシウム」ともいう。)として配合する。▲2▼液体製剤であって、第一リン酸カルシウムが溶解された状態で存在している。▲3▼リン酸二ナトリウムなど他のリン酸イオン濃度調節剤を配合すること。▲4▼口腔内で洗口すると、口腔内にリン酸カルシウム微細粒が析出する、▲5▼第一リン酸カルシウムの一部はイオンとして歯面に吸着・コーティングされる。
なお、▲6▼調剤時、第一リン酸カルシウムの溶解に際しては、他の配合成分の種類により、pHの調整が必要となる場合がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の口腔用組成物は、う蝕予防が可能で、かつブラッシングにより歯垢などが除去できる、第一リン酸カルシウムと例えばリン酸二ナトリウムとを配合した液体口腔用組成物であって、第一リン酸カルシウムを酸で可溶化した1液式製剤である。
本発明の液体口腔用組成物の処方の特徴は、次に挙げる点である。
(1)第一リン酸カルシウムは多量に添加することが可能で、0.03〜0.2g/100mlの濃度に配合することができる。
(2)本発明の液体口腔用組成物は、pHを歯面脱灰が起こらないpH5.5以上に設定した口腔用組成物とする。好ましくは、口腔内唾液のpHであるpH6.8以下に設定する。特に好ましくはpH6.0〜6.5に設定する。
(3)本発明の液体口腔用組成物の調製に当たり、イオン源を可溶化させるために酸(特に有機酸)を使用することが好ましい。イオン源の可溶化の後にはpH調整剤により、前記のpHの範囲になるように調整を行う。
(4)本発明の液体口腔用組成物は、pH6.0〜6.5としたもので、口腔内に入る時には、口腔内の条件により、リン酸カルシウムが再析出する。そして、歯の欠陥部の再石灰化をし、歯面修復ができる。
【0015】
本発明の液体口腔用組成物の調合の方法は、例えば下記に示す方法で行う。下記する順序で調合することが安定した製剤とするのに好ましい。
(a)水にイオン源の可溶化のための酸(例えばクエン酸)を添加し、pHを酸性(約4.0以下)にする。
(b)(a)の水溶液に、イオン源(カルシウムイオン源、リン酸イオン源)及び酸以外の成分を混合し、水に溶解する。
(c)次に、イオン源(例えば第一リン酸カルシウム)を前記(b)の水溶液に添加して溶解させる。
(d)(c)の水溶液に例えばリン酸二ナトリウムを添加し、製剤のpHをpH6.0〜6.5に調節する。pHの調整には他のpH調整剤、例えば水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどを使用することができる。
(e)必要によりフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムなどのフッ素との併用も可能であるため、本発明の液体口腔用組成物は歯面強化にも使用できる。
【0016】
本発明の液体口腔用組成物の別の特徴は、第一リン酸カルシウムは、第三リン酸カルシウムや第二リン酸カルシウムよりも水溶液中に可溶化し易いため、少ない酸量でも製剤化が可能である。このため、製剤中に添加する酸量(例えばクエン酸等の有機酸量)は、イオン源(例えば第一リン酸カルシウム)の可溶化に必要な最小量でよい。また、添加する酸量により再析出するpH値の調節が可能である。
【0017】
本発明においてイオン源としては、カルシウムイオン源、リン酸イオン源があり、前者としては例えば第一リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、酒石酸カルシウム、クエン酸カルシウムなど公知のカルシウムイオン源を挙げることができる。この中では第一リン酸カルシウムやグルコン酸カルシウムが好ましく、特に第一リン酸カルシウムが好ましいが、その他のカルシウムイオン源を必要により併用しても良い。口腔用組成物であるので直接添加するカルシウムイオン源はもちろん、塩や遊離の酸として衛生的に安全なものであることが望ましい。
また、本発明においてリン酸イオン源としては、リン酸、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウムなどの他オルトリン酸のアルカリ金属塩、オルトリン酸のアンモニウム塩、酸性オルトリン酸のアルカリ金属塩、酸性オルトリン酸のアンモニウム塩、メタリン酸のアルカリ金属塩、メタリン酸のアンモニウム塩などの他公知のものを挙げることができる。これらは、pH調整剤としての機能を合わせもたせることができる。リン酸イオン源についても同様に衛生的に安全なものであることが望ましい。
【0018】
本発明の液体口腔用組成物を調製する際に使用するイオン源を可溶化するための酸としては、有機酸が好ましく、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、しゅう酸、酢酸、安息香酸、炭酸などを挙げることができるが、クエン酸が好ましい。これらの酸の使用量としては十分な量のイオン源が可溶化するように使用すればよいので、その量を特に特定する必要はないが、例えば、イオン源(第一リン酸カルシウム):酸の比率でいうと、クエン酸の場合を例に挙げれば8:1〜1:5の比の範囲が適している。具体的には、その比として8:1、4:1、2:1、5:4、5:3、1:1、3:4、2:3、1:2、1:4のような比の値を取ることができる。このような比でクエン酸を用いていずれもイオン源を可溶化することができる。
本発明の液体口腔用組成物において、歯面強化のために共用できるフッ化ナトリウムなどのフッ素イオン源としては、フルオロリン酸塩、シリコン系のフッ化物、フルオロほう酸塩などを挙げることができる。これらフッ素イオン源の配合濃度としては、50〜1000ppmが配合できる。
また、pH調節用のためのpH調整剤としては、前記した炭酸水素ナトリウムの他に公知のpH調整剤を使用することができる。
【0019】
本発明の液体口腔用組成物においてはこの他エタノール、ポリエチレングリコールなどの希釈剤、グリセリン等の湿潤剤、発泡剤、甘味料、香料、保存料、着色剤などの添加物を配合することができる。
湿潤剤としては、グリセリンの他ソルビトール、プロピレングリコール、グルコースなどを挙げることができる。
甘味料としては、サッカリンナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、パラチノース、麦芽糖、庶糖、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、トレハロースなどを挙げることができる。
香料としては、メントール、チモール、アネトール、シネオール、オイゲノール、ミント油、ハッカ油、レモン油、オレンジ油、ケイ皮油、チョウジ油、シナモン油、ユーカリ油、ハーブ油など、各種の香料を挙げることができる。
コーティング剤としては、セラック、ロウ、ミリスチルリン酸、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0020】
【実施例】
以下に実施例により、本発明について説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
本発明の液体口腔用組成物(洗口液)として、第1表に示す組成のものを調製した。
この組成物の調製に際しては、まずイオン源及びpH調整剤以外の成分を水に溶解して溶液(以下「基本水溶液」という)を調製する。
これに酸としてクエン酸を、第3表に示すように0.005%から0.09%の濃度になるように6段階に添加し、これにカルシウムイオン源として第一リン酸カルシウムを、第3表に示すように0.02%から0.06%の濃度に5段階に分けて溶解し、pHが約4.0の水溶液を調製した。この水溶液にリン酸イオン源兼pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウムを加えてpHを約6.0として洗口液を作成した。
【0021】
また、前記クエン酸の代わりに酸兼リン酸イオン源としてリン酸を0.03%の濃度で添加し、第一リン酸カルシウムを、第3表に示すように0.05%又は0.06%の濃度に2段階として溶解して洗口液を作成した。
別に、前記クエン酸の代わりに乳酸を0.3%又は0.15%の2段階で添加し、第一リン酸カルシウムを0.05%の濃度で溶解して洗口液を作成した。
比較のために、前記基本水溶液にクエン酸を0.06%又は0.08%添加し、pHを約4.0以下にし、それに第三リン酸カルシウムを0.02%の濃度に溶解した溶液に水溶液を作成した。
【0022】
比較の口腔用液体製剤の組成と液体製剤100ml中の添加量を第2表に示す。第三リン酸カルシウムは本発明の口腔用液体製剤の場合の第一リン酸カルシウムを使用する場合に比較して水に溶解しにくいため、溶解には多量のクエン酸を必要とする。従って比較の口腔用液体製剤の組成の場合第三リン酸カルシウムの濃度は0.02%とした。
これら洗口液を20mlずつ、30秒間洗口し、洗口前と洗口後の液の濁りの様子を目視により観察した。その結果を第3表に併記した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
第3表に示した液の濁りの様子の結果から、本発明の洗口液ではリン酸カルシウム微細粒が析出しているのに対して、比較例1の洗口液では液の濁りはなくリン酸カルシウム微結晶の析出がないことがわかる。
【0027】
処方例
本発明の洗口液に関して、その応用として種々の処方のものを作成した。なお、各表において、例えば第4表の「酸」のように、その項目の剤又は物質の種類を特定していないものは、例えば、下記の▲1▼液体製剤Aの項に挙げている「クエン酸」、「乳酸」又は「リン酸」のいずれかのように、その剤又は物質について挙げている物の一つに変えてその製剤をつくることができることを示しているものである。このため,各製剤により変える剤又は物質の種類が異なるようにしている。
▲1▼液体製剤A・・・・・第4表
カルシウムイオン源:第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム
リン酸イオン源 :リン酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム
酸 :クエン酸、乳酸、リン酸
▲2▼液体製剤B・・・・・第5表
カルシウムイオン源:第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム
リン酸イオン源 :リン酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム
酸 :クエン酸、乳酸、リン酸
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
▲3▼液体製剤C・・・・・第6表
カルシウムイオン源:第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム
リン酸イオン源 :リン酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム
酸 :クエン酸、乳酸、リン酸
▲4▼液体製剤D・・・・・第7表
カルシウムイオン源:第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム
リン酸イオン源 :リン酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム
酸 :クエン酸、乳酸、リン酸
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】
▲5▼液体製剤E・・・・・第8表
殺菌剤 :塩化セチルピリジウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグルシン、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン
抗炎症剤 :ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、酢酸−トコフェロール、ニコチン酸−トコフェロール、塩化リゾチーム
【0034】
【表8】
【0035】
▲6▼液体製剤F・・・・・第9表
洗浄剤 :ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等のポリリン酸塩、エデト酸2ナトリウム
【0036】
【表9】
【0037】
【発明の効果】
本発明により、下記のような優れた特性の液体製剤が提供できる。
1液式の液体製剤であるので使用が簡単で、口腔内に使用した際には、口腔内全体に、リン酸カルシウムの微細粒を析出させることができるため、ブラッシングにより歯面から歯石、歯垢などのステインを除去できるので、液体歯磨としての作用を有効に行うことができる。
また、それとともに、口腔内全体に、均一にリン酸イオンとカルシウムイオンを高い濃度で供給できる。それにより、口腔内のどのような場所にある虫歯の病巣(歯の欠陥部)にリン酸イオンとカルシウムイオンを供給し、その他の処理を行うことなく、自然に生理学的pHにもたらせることにより、効率良く歯の欠陥部の再石灰化できる。
Claims (3)
- カルシウムイオン源とリン酸イオン源とを配合した液体口腔用組成物であって、カルシウムイオン源として溶解した第一リン酸カルシウムを0.03〜0.2g/100ml含有し、リン酸イオン源としてリン酸カルシウム以外のリン酸塩を含有し、pHを5.5以上、6.8以下とした一液式製剤からなっており、口腔内で洗口した時、口腔内にリン酸カルシウム微細粒を生成することができることを特徴とする液体口腔用組成物。
- 前記pHを6.0〜6.5とすることを特徴とする請求項1に記載の液体口腔用組成物。
- 第一リン酸カルシウムが有機酸により溶解されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体口腔用組成物。
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