JP3888840B2 - 回転塗布装置および回転塗布方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回転塗布装置とこの装置を用いた回転塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェーハやガラス基板の表面に塗膜を形成する塗布装置として、カップ内にスピンナーにて回転せしめられるチャックを配置したオープンカップタイプと、固定されたアウターカップ内に回転可能なインナーカップを配置し、このインナーカップ内にスピンナーにて回転せしめられるチャックを配置した回転カップタイプが知られている。
【0003】
回転カップタイプの塗布装置は特開平9−122561号公報に開示されるように、インナーカップ上面を蓋体で閉塞した状態で回転せしめることで、オープンタイプの回転塗布装置の欠点を改善している。即ち、インナーカップ内を密閉空間(排気孔の部分は除く)とすることで、雰囲気を溶媒雰囲気として塗布液の乾燥を抑え、またインナーカップ内での乱流の発生をなくすことで、均一な塗膜を得ることができるようにしている。
【0004】
特に、特開平9−122561号公報には、インナーカップ内に更にトレーを設け、このトレー内に被処理基板をセットするとともに、トレー上面を被処理基板よりも若干大きめの開口を形成したカバー部材で覆うことが開示されてる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
オープンカップタイプの塗布装置にあっては、カップ内で乱流が生じやすく、均一な塗膜を得にくい。
一方、回転カップタイプにあっては、インナーカップ内で乱流は発生しにくいが、矩形状の基板を回転させた場合、基板のコーナ部における風切りでフリンジが生じたり、基板周縁部に幅広なエッジビードが発生しやすい。
【0006】
【課題を解決するための手段】
従来の回転塗布装置にあっては、被処理基板周縁部の周辺で生じる気流を如何に小さくするかについて多くの改善を行っているが、本発明者らは180°発想を転換し、乱流が生じるのは好ましくないが、一定方向に流れる気流であれば、それを利用してフリンジやエッジビードの発生を抑制できるとの知見に基づいて本発明をなしたものである。
【0007】
即ち、本発明に係る回転塗布装置は、上方が開放されたカップ内に、スピンナーにて回転せしめられるチャックと、このチャックと一体的に回転するとともにチャックに保持された被処理基板よりも若干大きい相似形の開口を形成したプレートを配置し、カップ上方を開放した状態で前記チャックとプレートが一体的に回転するようにした。
【0008】
気流を発生させるには、カップの上方が開放されていることが必要である。したがって、従来の蓋体を設けた回転カップタイプの塗布装置から本発明に係る塗布装置を推考することはできない。またカップの上方が開放されている点からすれば、本発明の塗布装置はオープンカップタイプの塗布装置になるが、オープンカップタイプの塗布装置にも気流を積極的にコントロールする考えは全くなく、オープンカップタイプの塗布装置から本発明に係る塗布装置を推考することはできない。
【0009】
また、上記の回転塗布装置を用いた塗布方法は、チャックにて被処理基板を保持するとともに、被処理基板外周部とプレートの開口内周部とに間に周方向に沿って均一な隙間を形成し、この状態で被処理基板に塗布液を供給し、次いでスピンナーにてチャック、被処理基板およびプレートを一体的に回転せしめ、被処理基板外周部とプレートの開口内周部との間の隙間において上から下に向かう気流を積極的に生じさせつつ被処理基板に供給した塗布液を遠心力で均一に拡散せしめる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る回転塗布装置の全体図、図2は同回転塗布装置の平面図であり、回転塗布装置はベースなどにカップ1を固定している。このカップ1は上面に開口2を有し、底面の隅部に排気口3を形成している。
【0011】
また、カップ1内には、図示しないスピンナーにて回転せしめられる保持台4を設けている。この保持台4の中央にはガラス基板などの被処理基板Wを吸着保持する真空チャック5を設けている。この真空チャック5は昇降動可能とされている。
【0012】
また、保持台4の上面には支柱6を介してプレート7を取り付けている。このプレート7の中央部には前記真空チャック5にて吸着保持される被処理基板Wと相似形で若干大きめの開口8が形成される。而して被処理基板Wの外周部と開口8の内周部との間には、一定幅の隙間9が形成される。
【0013】
更に、プレート7の外周部は上方に折り返されるとともに前記開口2の裏側に位置するフランジ部10となっている。このように、フランジ部10を開口2の裏側に近接せしめることでラビリンスパッキンに近いシール性が得られ、一旦カップ1内に落下した塗布液が再びミスト状になって開口2内に戻って、被処理基板表面に付着する不利が防止できる。
【0014】
また、プレート7の高さは、最も下方位置まで降下したチャック5に吸着されている被処理基板Wよりも若干高くなる位置に設定されている。このように、被処理基板Wを開口8よりも若干低くすると、後述するように気流が下方に流れやすくなる。
【0015】
以上において、被処理基板Wに塗膜を形成するには、先ず図3(a)に示すように、チャック5をカップ1の開口2よりも上昇せしめ、その位置で被処理基板Wを受け取る。この後、図1に示した位置までチャック5は降下する。
【0016】
次いで、被処理基板Wの表面に塗布液を滴下した後、スピンナーにて、保持台4、チャック5被処理基板W及びプレート7を一体的に回転せしめる。この回転により保持台4とプレート7との間の空気は遠心力でカップ1内の外側部分に押しやられ、排気口3を介してカップ1外に排気される。
【0017】
一方、保持台4とプレート7との間の空気が排気されるにつれ、それに見合う空気が図3(b)に示すように、被処理基板Wの外周部と開口8の内周部との間の隙間9から入り込む。即ち隙間9の部分では下方への気流が生じ、回転によって生じる乱流は打ち消される。
【0018】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、下方への強制的な気流を基板周縁部において発生せしめるため、角基板に塗膜を形成する際に、基板のコーナ部においてフリンジが生じることなく、また基板形状に関わらず周縁部にエッジビードが生じないようにすることができるか、或いは生じたとしてもその幅を極めて狭くすることができ、基板上の有効エリアを拡大できる。
【0019】
また、被処理基板の周縁部における一定方向の気流によって、周縁部乾燥が促進され、乾きにくい塗布液を用いた場合には有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転塗布装置の全体図
【図2】同回転塗布装置の平面図
【図3】(a)および(b)は本発明に係る回転塗布方法を説明した図
【符号の説明】
1…カップ、2…開口、3…排気口、4…保持台、5…チャック、6…支柱、7…プレート、8…開口、9…隙間、10…フランジ部、W…被処理基板。

Claims (2)

  1. 上方が開放されたカップ内に、スピンナーにて回転せしめられるチャックと、このチャックと一体的に回転するとともにチャックに保持された被処理基板よりも若干大きい相似形の開口を形成したプレートを配置し、カップ上方を開放した状態で前記チャックとプレートが一体的に回転することを特徴とする回転塗布装置。
  2. 請求項1に記載の回転塗布装置を用いた塗布方法であって、チャックにて被処理基板を保持するとともに、被処理基板外周部とプレートの開口内周部との間に周方向に沿って均一な隙間を形成し、この状態で被処理基板に塗布液を供給し、次いでスピンナーにてチャック、被処理基板およびプレートを一体的に回転せしめ、被処理基板外周部とプレートの開口内周部との間の隙間において上から下に向かう気流を積極的に生じさせつつ被処理基板に供給した塗布液を遠心力で均一に拡散せしめるようにしたことを特徴とする回転塗布方法。
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