JP3888598B2 - パルスレーザ用電源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、充電用直流高圧電源に並列接続されたコンデンサに蓄積されたエネルギーを磁気パルス圧縮回路を介してレーザ放電部に転送供給してレーザパルス発振を行なせるパルスレーザ用電源装置に関し、特に転送されるエネルギーを精度高く制御して安定したレーザ出力を得ることができるとともに、エネルギー消費の効率化を図ることができる高繰り返し発振のパルスレーザ用電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、パルスレーザ用電源装置には、高速、大電流、高繰り返しパルス電源を実現するため、磁気パルス圧縮回路を付加するものがある。この磁気パルス圧縮回路は、鉄心等の強磁性体の磁化の飽和を利用するものである。
【0003】
例えば、図12は磁気パルス圧縮回路を用いた従来のパルスレーザ用電源装置の構成を示す図である。図12において、充電用直流電源11は、例えば数十kVの直流電源であり、これに並列接続されたコンデンサC0を充電する。スイッチ素子SWのゲートG1にパルスを印加してスイッチ素子SWをオンにすると、可飽和リアクトルSL1の両端にコンデンサC0による放電電圧がかかり、可飽和リアクトルSL1に設定された電圧時間積に到達すると可飽和リアクトルSL1は飽和状態となり、可飽和リアクトルSL1のインダクタンスが急激に減少して導通状態となる。この導通状態によってコンデンサC0に蓄積されていた電荷はスイッチ素子SWを介し、電流I11として流れ、コンデンサC1に転送される。この電流I11がほぼ流れ切った段階で次段の可飽和リアクトルSL2がオンとなり、コンデンサC1に転送された電荷はコンデンサC2に転送される。このコンデンサC2への電荷転送の完了時点で可飽和リアクトルSL3が飽和してオンになると、コンデンサC2に蓄積された電荷は最終段のピーキングコンデンサCPに転送される。そして、このピーキングコンデンサCPに転送された電荷はレーザ放電部LDに印加され、レーザ放電されて電流I14が流れる。
【0004】
可飽和リアクトルSL1〜SL3が飽和する多段磁気圧縮回路の磁気スイッチの飽和時のインダクタンスは、下流の磁気スイッチの飽和時のインダクタンスの方が小さいのでパルス圧縮が行われる。すなわち、可飽和リアクトルSL1がオンしてコンデンサC0の端子電圧VC0が低下し、この電荷の転送に伴ってコンデンサC1の端子電圧VC11が低下し、コンデンサC1への電荷転送が完了した時点で可飽和リアクトルSL2がオンする。可飽和リアクトルSL2がオンすると、コンデンサC1に転送した電荷がコンデンサC2に転送される。同様にして、コンデンサC2に電荷が転送完了したときに可飽和リアクトルSL3がオンし、コンデンサC2からピーキングコンデンサCPに電荷が転送される。
【0005】
この場合、可飽和リアクトルSL1のオンから可飽和リアクトルSL2のオンまでの間、可飽和リアクトルSL2のオンから可飽和リアクトルSL3のオンまでの間、可飽和リアクトルSL3のオンからピーキングコンデンサCPに電荷転送が完了するまでの間は、順次短くなるように設定されるので、各電荷の転送間の電流は図13(b)に示すように順次大きな電流値となり、パルス圧縮が実現される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のパルスレーザ用電源装置におけるピーキングコンデンサCPの端子電圧VCP1は、可飽和リアクトルSL3がオンしてコンデンサC2から電荷が転送開始される際、既にΔV1分転送された値となっている。これは、可飽和リアクトルSL3がオフのときにコンデンサC2の電荷が可飽和リアクトルSL3を介して、ピーキングコンデンサCPに漏れてしまっているからである。
【0007】
ピーキングコンデンサCPに転送される電荷量と転送時間は最終的にレーザ発振を行うためのエネルギーを規定する。上述したピーキングコンデンサCPへの電荷の漏れが生じていると、ピーキングコンデンサCPに蓄えられる電荷量の減少とレーザ放電部LDへの電圧印加度(dV/dt)の減少をもたらす。これらが、レーザ出力の安定制御を阻害するという問題点があった。
【0008】
また、上述した従来のパルスレーザ用電源装置では、ピーキングコンデンサCPに蓄えられたエネルギーの全てがレーザ放電部LDで消費されず、残余のエネルギーはその後レーザ放電部LDとピーキングコンデンサCPとの間で数回共振することになる。この共振の終了状態はレーザ発振の都度変動し、確定することができず、最終的なピーキングコンデンサCPの端子電圧の極性がばらつくことになり、この極性のばらつきも、安定したレーザ出力の制御を妨げるものであった。
【0009】
一方、残余のエネルギーを次のレーザパルス発振に利用して、効率的なパルスレーザ用電源装置とすることが要望される。
【0010】
そこで、本発明は、かかる問題点を除去し、レーザ発振の安定出力制御をすることができるとともに、効率的なエネルギー消費を実現することができるパルスレーザ用電源装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段および効果】
第1の発明は、充電用直流電源と、該充電用直流電源に並列接続されたスイッチ素子と、直列接続された可飽和リアクトルとコンデンサとを該スイッチ素子に並列接続し、さらに直列接続された可飽和リアクトルとコンデンサと該並列接続されたコンデンサに並列接続する構成を順次持たせて前記スイッチ素子のオンを契機としてコンデンサに蓄積されたエネルギーを順次後段のコンデンサに転送する磁気パルス圧縮回路と、該磁気パルス圧縮回路の最終段のコンデンサに並列接続されたレーザ放電部とを有するパルスレーザ用電源装置において、前記磁気パルス圧縮回路の最終段の可飽和リアクトルに直列接続され、該磁気パルス圧縮回路によるエネルギー転送方向を導通方向とするダイオードを具備し、前記充電用直流電源は、前記磁気パルス圧縮回路の最終段のコンデンサを除くコンデンサを充電することを特徴とする。
【0012】
第1の発明では、充電用直流電源が前記スイッチ素子の導通特性によって前記磁気パルス圧縮回路の最終段のコンデンサを除くコンデンサを充電する。この結果最終段のコンデンサへのエネルギー転送開始時、最終段のコンデンサの電位は最終段の1つ前段のコンデンサの電位に比べて低いため、最終段の1つ前段のコンデンサから最終段の可飽和リアクトルを介して最終段のコンデンサに電荷が漏れず、最終段のコンデンサへのエネルギー転送開始後、最終段のコンデンサの電位が最終段の1つ前段のコンデンサの電位と等しくなった時点から、最終段のコンデンサから最終段の1つ前段の可飽和リアクトルを介して最終段のコンデンサに電荷が漏れ始めるため、最終段のコンデンサへのエネルギー転送開始時点における最終段のコンデンサの電位降下量が極めて小さくなる。この結果、最終段のコンデンサに転送されるエネルギー量を正確に把握することができ、レーザ放電部に対して供給されるエネルギーを精度高く制御でき、安定したパルスレーザ発振を実現することができる作用効果を奏する。
【0013】
また、第1の発明では、上述したようにダイオードの導通方向がエネルギー転送方向であるため、最終段のコンデンサへの充電を効果的に阻止することができるとともに、このダイオードの導通方向は、最終段のコンデンサからレーザ放電部にエネルギー供給後残余のエネルギーが前段のコンデンサに回生される方向に一致するため、次パルス発振のための充電のエネルギー消費が格段に減少し、効率的なエネルギー消費を実現することができるという作用効果を奏する。
【0014】
しかも、第1の発明では、最終段のコンデンサからレーザ放電部にエネルギー供給後に残余のエネルギーによって生じる共振が効率的に抑制され、またこの共振状態の終了状態も、最終段のコンデンサの電位を常に負の電位を持たせて終了することになるため、この点からも安定したレーザ出力制御が可能となる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、前記ダイオードは、前記レーザ放電部および前記最終段のコンデンサの前記最終段の可飽和リアクトル側の接続点と、前記最終段の1つ前段の可飽和リアクトルおよびコンデンサの前記最終段の可飽和リアクトル側の接続点との間で、前記最終段の可飽和リアクトルに直列接続されることを特徴とする。
【0016】
これにより、第2の発明は第1の発明と同様な作用効果を奏する。
【0017】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記スイッチ回路および前記磁気パルス圧縮回路のコンデンサの容量は、前段のコンデンサの容量と後段のコンデンサの容量とが3対1であることを特徴とする。
【0018】
これにより、第3の発明では第1の発明と同様な作用効果を奏するとともに、磁気パルス圧縮されるエネルギーを倍増して圧縮することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態であるパルスレーザ用電源装置の構成を示す図である。図1に示すパルスレーザ用電源装置では、スイッチ素子SWと、直列接続された可飽和リアクトルSL1およびコンデンサC1とがそれぞれ充電用直流電源1に並列接続される。また、直列接続された可飽和リアクトルSL2およびコンデンサC2はコンデンサC1に並列接続される。さらに、直列接続された可飽和リアクトルSL3、ダイオードD1およびピーキングコンデンサCPはコンデンサC2に並列接続される。また、レーザ放電部LDがピーキングコンデンサCPに並列接続される。この場合、ダイオードD1はピーキングコンデンサCPから可飽和リアクトルSL3への方向を導通方向としている。すなわち、ダイオードD1は、パルス圧縮転送時におけるエネルギー転送方向を導通方向としている。
【0021】
次に、図2から図7を参照して図1のパルスレーザ用電源装置の動作について説明する。まず、図3において、充電用直流電源1によって印加される直流高電圧によってコンデンサC1およびコンデンサC2が充電される。コンデンサC1には、可飽和リアクトルSL1を介して充電され、コンデンサC2には、可飽和リアクトルSL1,SL2を介して充電される。この充電は、可飽和リアクトルSL1,SL2が飽和しなくても十分な時間をかけて直流高電圧を印加することによって実現できる。電流の急激な変動がない場合、インダクタンスは小さくなるからである。一方、ピーキングコンデンサCPは充電されない。ダイオードD1によってピーキングコンデンサCPへの電荷移動が阻止されるからである。
【0022】
従って、図2に示すように、充電が完了した段階におけるコンデンサC1,C2の端子電圧VC1,VC2はそれぞれ+Eボルト(点P1)、ピーキングコンデンサCPの端子電圧VCPは0ボルト(点P2)となっている。
【0023】
その後、ゲートG1に所定電圧を印加してスイッチ素子SWをオンにするとコンデンサC1に蓄積された電荷の転送が開始される。すなわち、スイッチ素子SWのオンによって可飽和リアクトルSL1の端子間電圧が急激に増大し、可飽和リアクトルSL1が飽和する電圧時間積に達して飽和し、可飽和リアクトルSL1のインダクタンスが急激に減少してオン状態となる。この結果、コンデンサC1に蓄積された電荷は図4に示すように、電流I1として流れ、コンデンサC1の極性が反転する。従って、図2に示すようにコンデンサC1の端子電圧VC1は+Eボルトから−Eボルトに変化する。このコンデンサC1の極性反転の期間T1において、コンデンサC2に蓄積されていた電荷は、可飽和リアクトルSL1,SL2間の電圧降下によって可飽和リアクトルSL2がオフ状態であるにもかかわらず、コンデンサC2→可飽和リアクトルSL2→可飽和リアクトルSL1→スイッチ素子SW→コンデンサC2という経路、およびコンデンサC2→可飽和リアクトルSL2→コンデンサC1→コンデンサC2という経路の2つの経路で漏れ、微小な電圧降下が生じる(点P3)。
【0024】
その後、コンデンサC1の極性反転による電荷転送終了直後に可飽和リアクトルSL2がオンとなり、図5に示すように、極性反転によって転送されてコンデンサC1に蓄積された電荷およびコンデンサC2に蓄積された電荷が電流I2として流れ、コンデンサC2の極性が反転されるとともに、コンデンサC1の電荷がコンデンサC2に転送される。この結果、図2に示すように、コンデンサC1の端子電圧VC1は−Eボルトから+Eボルト程度となり、コンデンサC2の端子電圧VC2はほぼ+Eボルトから−Eボルトに変化する。このコンデンサC1からコンデンサC2への電荷転送およびコンデンサC2の極性反転の期間T2において、コンデンサC2の電荷は、ダイオードD1および可飽和リアクトルSL3を介してピーキングコンデンサCPへ漏れることになるが、可飽和リアクトルSL2がオンになった時点では、可飽和リアクトルSL3の電位に対して可飽和リアクトルSL2の電位の方が高いため、ピーキングコンデンサCPの電荷は漏れない。そして、可飽和リアクトルSL2と可飽和リアクトルSL3との電位が同じとなった時点P5から、ピーキングコンデンサCPの電荷の漏れが開始する。この結果、ピーキングコンデンサCPの漏れ電荷による端子電圧VCPの電圧降下ΔVの値は、可飽和リアクトルSL2がオンとなる時点P4から電荷漏れが開始した場合の電圧降下ΔV1の値に比較して半減あるいはそれ以下の微小な値となる。これにより、ピーキングコンデンサCPに電荷が転送される前のピーキングコンデンサCPの端子電圧VCPの値は0ボルト近傍に効果的に抑えられることになる。ここで、通常、レーザ放電部LDからのレーザ発振出力を制御する場合、レーザ放電部LDに対する印加電圧を制御することが行われるが、上述したようにレーザ放電部LDに供給すべきピーキングコンデンサCPからの印加電圧量、電荷量等のエネルギー量を正確に把握することができ、精度の高い、安定したパルスレーザ出力に制御することが可能となる。
【0025】
その後、コンデンサC2の極性反転により電荷転送終了直後に可飽和リアクトルSL3がオンとなり、図6に示すように、極性反転によって転送されたコンデンサC2に蓄積された電荷が電流I3として流れ、コンデンサC2の電荷がピーキングコンデンサCPに転送される。このピーキングコンデンサCPに転送された電荷は、図6に示すように、電流I4としてレーザ放電部LDに印加され、レーザ放電部LDの放電によってレーザ媒質が励起され、レーザ発振することになる。レーザ放電部LDで消費された電流以外の残余の電流は、その後レーザ放電部LDとピーキングコンデンサCPとの間で数回共振するが、スイッチ素子SWをオフしておけばその都度ダイオードD1、可飽和リアクトルSL2,SL3を介し、図7に示すように電流I5としてコンデンサC1,C2に回生される。しかも、ダイオードD1の整流作用によってダイオードD1を介してコンデンサC1,C2に回生された電荷はピーキングコンデンサCPに戻ることが阻止される。これにより、ピーキングコンデンサCPに転送された電荷は、レーザ放電部LDの放電に寄与するとともに、残余の電荷は再びコンデンサC1,C2に回生され、次の充電エネルギーを削減することができ、エネルギー消費効率を非常に大きくすることができる。
【0026】
次に、図8を参照して、図1のパルスレーザ用電源装置の変形例について説明する。図1に示すパルスレーザ用電源装置ではダイオードD1が、ピーキングコンデンサCPとレーザ放電部LDの接続点と可飽和リアクトルSL3との間に直列接続されているが、図8に示すパルスレーザ用電源装置では、可飽和リアクトルSL2とコンデンサC2の接続点と可飽和リアクトルSL3との間に直列接続したダイオードD2を設けている。このダイオードD2の導通方向は、ダイオードD1と同様にパルス圧縮による電荷転送方向である。
【0027】
このようなダイオードD2をダイオードD1に代えて設けるようにしても、図1に示すパルスレーザ用電源装置と同様な作用効果を奏する。
【0028】
換言すれば、ダイオードD1またはダイオードD2であれ、可飽和リアクトルSL3とコンデンサC2の接続点から可飽和リアクトルSL3とピーキングコンデンサCPの接続点までの間のいずれかに、パルス圧縮による電荷転送方向を導通方向としたダイオードを設けるようにすればよい。
【0029】
次に、図9を参照して、図1のパルスレーザ用電源装置の応用例について説明する。図1のパルスレーザ用電源装置は可飽和リアクトルを用いた磁気圧縮回路を含んでおり、この場合通常コンデンサC1,C2およびピーキングコンデンサCPの容量は同一に設定している。
【0030】
ここで、コンデンサC1の容量とコンデンサC2の容量とを3対1に設定すると、コンデンサC1,C2およびピーキングコンデンサCPの端子電圧の変化は図9に示すようになる。但し、各可飽和リアクトルSL1〜SL3の電圧時間積は変更なく、それぞれ図2に示すタイミングで飽和状態となる。
【0031】
コンデンサC2と、コンデンサC2に対して3倍の容量をもつコンデンサC1に対しては充電用直流電源1によってそれぞれ充電されている。その後、スイッチ素子SWのオンに伴って可飽和リアクトルSL1がオンになると、コンデンサC1の端子電圧V’C1は図9に示すように、+Eボルトから−Eボルトに変化して電圧の極性反転を行う。その後、可飽和リアクトルSL2がオンになると、極性反転したコンデンサC1の電荷はコンデンサC2に転送され、コンデンサC2の電荷は極性反転する。この際、コンデンサC2の端子電圧V’C2はほぼ+Eボルトから−2Eボルトに変化する。すなわち、コンデンサC2には、充電した電荷量の約2倍の電荷量がコンデンサC2に転送され、極性反転される。その後さらに、可飽和リアクトルSL3のオンによってコンデンサC2に転送されている約2倍の電荷は、ピーキングコンデンサCPに転送されることになる。これにより、充電電圧の2倍の電圧をレーザ放電部LDに印加することができる。
【0032】
この場合においても、図1に示すパルスレーザ用電源装置と同様に、可飽和リアクトルSL2のオン時から、ピーキングコンデンサCPから漏れ電荷が生じることがなく、コンデンサC2の端子電圧V’C2が極性反転する際、すなわち時点P10から漏れ電荷が生じるため、可飽和リアクトルSL3のオン時におけるピーキングコンデンサCPの電圧降下ΔV’は図2に示す電圧降下ΔVと同様に極めて小さな値となる。これにより、ピーキングコンデンサCPに電荷が転送される前のピーキングコンデンサCPの端子電圧V’CPの値は0ボルト近傍に効果的に押さえられることになり、上述したようにレーザ放電部LDに供給すべきピーキングコンデンサCPからの印加電圧量、電荷量等のエネルギー量を正確に把握することができ、精度の高い、安定したパルスレーザ出力に制御することが可能となる。また、圧縮段数は2段に限らず、図10のような1段圧縮、図11のような3段圧縮などでもよい。
【0033】
なお、上述した実施の形態におけるスイッチ素子SWは、高速動作が可能で大電力用のスイッチ素子であればよく、例えばサイリスタ、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、バイポーラトランジスタ、MOSFET等の半導体電力デバイスが適用できる。
【0034】
また、スイッチ素子SWは、複数のスイッチ素子を直列接続した構成として各スイッチ素子にかかる耐圧を軽減するようにしてもよい。
【0035】
さらに、上述した実施の形態では、充電用直流電源1が可飽和リアクトルSL1,SL2を介してコンデンサC1,C2を充電するようにしているが、これに限らず、各コンデンサC1,C2を直接充電するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であるパルスレーザ用電源装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示すパルスレーザ用電源装置におけるコンデンサC1,C2およびピーキングコンデンサCPの電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図3】図1に示すパルスレーザ用電源装置における充電状態を示す図である。
【図4】図1に示すパルスレーザ用電源装置においてスイッチ素子SWのオンに伴って可飽和リアクトルSL1がオンした状態での電流I1による極性反転の状態を示す図である。
【図5】図1に示すパルスレーザ用電源装置において可飽和リアクトルSL2がオンした状態での電流I2による電荷転送の状態を示す図である。
【図6】図1に示すパルスレーザ用電源装置において可飽和リアクトルSL3がオンした状態での電流I3による電荷転送の状態を示す図である。
【図7】図1に示すパルスレーザ用電源装置において、レーザ放電部LDによる放電後での回生電流I5を示す図である。
【図8】図1に示すパルスレーザ用電源装置に対してダイオードの配置を変更した一例を示す図である。
【図9】図1に示すパルスレーザ用電源装置においてコンデンサC1,C2の容量を3対1に設定した場合のコンデンサC1,C2およびピーキングコンデンサCPの電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図10】パルス圧縮段数を1段とする本発明に係るパルスレーザ用電源装置の一例を示す図である。
【図11】パルス圧縮段数を3段とする本発明に係るパルスレーザ用電源装置の一例を示す図である。
【図12】従来のパルスレーザ用電源装置の構成を示す図である。
【図13】図12に示すパルスレーザ用電源装置におけるコンデンサC0,C1,C2およびピーキングコンデンサCPの電圧変化および磁気パルス圧縮された電流変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…充電用直流電源 SW…スイッチ素子 G1…ゲート
SL1〜SL3…可飽和リアクトル D1…ダイオード
C1,C2…コンデンサ CP…ピーキングコンデンサ
LD…レーザ放電部 VC1,VC2,VCP…端子電圧
ΔV,ΔV’…電圧降下
Claims (3)
- 充電用直流電源と、該充電用直流電源に並列接続されたスイッチ素子と、直列接続された可飽和リアクトルとコンデンサとを該スイッチ素子に並列接続し、さらに直列接続された可飽和リアクトルとコンデンサと該並列接続されたコンデンサに並列接続する構成を順次持たせて前記スイッチ素子のオンを契機としてコンデンサに蓄積されたエネルギーを順次後段のコンデンサに転送する磁気パルス圧縮回路と、該磁気パルス圧縮回路の最終段のコンデンサに並列接続されたレーザ放電部とを有するパルスレーザ用電源装置において、
前記磁気パルス圧縮回路の最終段の可飽和リアクトルに直列接続され、該磁気パルス圧縮回路によるエネルギー転送方向を導通方向とするダイオードを具備し、
前記充電用直流電源は、前記磁気パルス圧縮回路の最終段のコンデンサを除くコンデンサを充電する
ことを特徴とするパルスレーザ用電源装置。 - 前記ダイオードは、前記レーザ放電部および前記最終段のコンデンサの前記最終段の可飽和リアクトル側の接続点と、前記最終段の1つ前段の可飽和リアクトルおよびコンデンサの前記最終段の可飽和リアクトル側の接続点との間で、前記最終段の可飽和リアクトルに直列接続されることを特徴とする請求項1に記載のパルスレーザ用電源装置。
- 前記スイッチ回路および前記磁気パルス圧縮回路のコンデンサの容量は、前段のコンデンサの容量と後段のコンデンサの容量とが3対1であることを特徴とする請求項1または2に記載のパルスレーザ用電源装置。
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