JP3886446B2 - 立体ギャザー形成用部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理用ナプキンや失禁パッド等の吸収性物品に用いられる立体ギャザー形成用部材の製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
特開平1−68503号公報には、基壁部から両側に張り出した張出し部を有するT字型の立体ギャザーを、吸収体の側縁よりも外方に設けた使い捨ておむつが記載されている。この使い捨ておむつは、T字型の立体ギャザーの上面を、着用者の大腿部へ面で当接させて、排泄物の漏れを防止しようとするものである。
【0003】
このような立体ギャザーには、肌触りのよい不織布等が用いられるが、張出し部の幅が狭い上、基壁部の高さを確保する必要もあるため、連続的、且つ安定的に製造することが困難であった。
【0004】
従って、本発明は、フィット性が高く、液漏れを確実に防止し得る立体ギャザー形成用部材を連続的且つ安定的に製造することができる立体ギャザー形成用部材の製造方法及び装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基壁部及び該基壁部から横方向の両側に張り出す第1、第2の張出し部を有する立体ギャザー形成用部材の製造方法であって、
帯状のシートを連続的に搬送しながら該シートの基面部の内面にその長手方向に沿って弾性部材を伸張状態で配置し、該基面部の両側に長手方向に沿って延在する両側面部の一方を、該基面部の幅方向の一部を覆うように絞り込んで前記第1の張出し部を形成する第1工程、第1工程後に、他方の側面部を、前記基面部における一方の前記側面部で覆われていない部分を覆うように且つ絞り込まれた前記一方の側面部に重ねるように、長手方向に沿って内側に折り曲げて前記第2の張出し部及び前記基壁部を形成する第2工程を具備する立体ギャザー形成用部材の製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0006】
また、本発明は、基壁部及び該基壁部から横方向に張り出す第1、第2の張出し部を有する立体ギャザー形成用部材の製造装置であって、
基面部に伸張状態の弾性部材が配された帯状のシートを搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送経路の幅を一方の側から狭めるように該搬送経路の一方の側に配設され且つ該搬送経路の上方において前記基面部を部分的に覆うように内向きに突出する突出部を有する第1のガイドを備えた第1の折曲装置と、前記搬送経路の幅を他方の側から狭めるように該搬送経路の該他方の側に配設され且つ該搬送経路の上方において前記基面部を部分的に覆うように内向きに突出する突出部を有する第2のガイドを備えた第2の折曲装置とを備えており、
前記第1のガイドの前記突出部は、前記基面部の両側に長手方向に沿って延在する両側面部の一方を該基面部を部分的に覆うように絞りこんで前記第1の張出し部を形成し得るようになしてあり、
前記第2のガイドの前記突出部は、前記基面部における一方の前記側面部で覆われていない部分を覆い且つ絞りこまれた該側面部の上面に重ね合わせるように、他方の側面部を長手方向に沿って内側に折り曲げて前記第2の張出し部及び前記基壁部を形成し得るようになしてある立体ギャザー形成用部材の製造装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の立体ギャザー形成用部材の製造装置(以下、単に装置ともいう。)を生理用ナプキンの立体ギャザー形成用部材の製造装置に適用した一実施形態を示すものであり、本実施形態の装置は、図1に示すように、第1の折曲装置1A、第2の折曲装置1B、シートの供給搬送装置6、弾性部材供給装置7、及びシート両側面部接合用の接着剤塗工装置8及び加圧装置9を具備してなる。
【0008】
本実施形態の装置は、図7に示すような、生理用ナプキン2に用いられる立体ギャザー3を形成する部材の製造装置である。本装置で形成される立体ギャザー形成用部材は、基壁部30及び基壁部30から横方向に張り出す第1、第2の張出し部31、32を有する断面がほぼT字状の形態で、第1、第2の張出し部31、32のそれぞれに糸状の弾性部材4が複数本配された形態を有している。立体ギャザー3の高さHは5〜50mmであり、第1の張出し部31の先端と、張出し部32の先端との間の距離Wは6〜40mmである。
【0009】
シートの供給搬送装置6は、図1に示すように、帯状のシート5をそのロール状物から連続的に繰り出し、該シート5を、第1の折曲装置1Aに設けられた搬送手段11A上に供給するようになしてある。そして、第1の折曲装置1Aの搬送手段11Aによって搬送されつつ所定の折曲加工を施されたシート5は、更に搬送されて、第2の折曲装置1Bに設けられた搬送手段11B上に供給され、搬送手段11Bによって搬送されつつ第2の折曲装置1Bによって所定の折曲加工を施される。第1の折曲装置1Aの搬送手段11A及び第2の折曲装置1Bの搬送手段11Bは、シート5をこの順に連続的に搬送するように構成されており、組み合わされて本発明の装置における搬送手段を構成している。
【0010】
第1の折曲装置1Aは、図2、図3(a)及び図4に示すように、基面部50の内面に伸張状態の4本の弾性部材4Aが配された帯状のシート5を搬送経路Rに沿って搬送する搬送手段11Aと、搬送経路Rの幅を一方の側から狭めるように搬送経路Rの該一方の側に配設され且つ搬送経路Rの上方において基面部50を部分的に覆うように内向きに突出する突出部120を有する第1のガイド12とを備えている。
【0011】
第2の折曲装置1Bは、図1、図3(b)及び図5に示すように、基面部50の内面に伸張状態の6本の弾性部材4が配された帯状のシート5を搬送経路Rに沿って搬送する搬送手段11Bと、搬送経路Rの幅を他方の側から狭めるように搬送経路Rの該他方の側に配設され且つ搬送経路Rの上方において基面部50を部分的に覆うように内向きに突出する突出部130を有する第2のガイド13とを備えている。前記6本の弾性部材4は、搬送手段11A上において基面部上に導入された4本の弾性部材4Aと、搬送手段11B上において基面部上に導入される2本の追加の弾性部材4Bである。
【0012】
第1の折曲装置1Aにおける搬送手段11A及び第2の折曲装置1Bにおける搬送手段11Bは、それぞれ、図1及び図2に示すように、シート5を搬送する通気性の無端状の搬送ベルト110と、搬送ベルト110を搬送経路Rに沿って回転駆動させる駆動ローラー111を含むローラー群と、搬送ベルト110に前記基面部50を負圧吸着させるバキュームボックス(吸引手段)112とを備えている。
【0013】
搬送手段11A及び搬送手段11Bにおける各搬送コンベア112は、シート5の基面部50が、第1、第2のガイド12、13による張出し部の形成エリアへの進入前後において所定の角度θで搬送されるように巻回されている。角度θは、搬送コンベア面を基準とし、コンベア吸引面から100〜150度とすることが好ましく、135〜145度とすることがより好ましい。100度以上とすることによりシート5がたるんで成形できなることを防止でき、150度以下とすることによりシート5が張りすぎて成形できなくなることを防止できる。
【0014】
図3(a)及び図4に示すように、第1のガイド12の突出部120は、上流側の端部が下流に向かうにつれて漸次内側に突出する平面視台形状に形成されており、前記基面部50を部分的に覆うように基面部50の一方の側面部51を絞りこんで前記第1の張出し部31を形成し得るようになしてある。
【0015】
第1のガイド12の上流側の端部121は、前記斜めに立ち上がっている。この立ち上がりの角度θ12〔図3(a)参照〕は、搬送コンベア面を基準として5〜15度であることが好ましく、10〜12度であることがより好ましい。5度以上とすることによりシート5が折れ曲がらなくなることがなくなり、15度以下とすることによりシート5にしわが入り成形に支障をきたす場合が生じることを防止できる。
【0016】
第1のガイド12の突出部120における上流側の端部の絞り角度〔シートの搬送方向に対する角度,図4(a)参照〕θ120は、第1ガイド12の搬送方向Rの端面を基準として8〜15度であることが好ましく、10〜12度であることがより好ましい。8度以上とすることによりシート5が折れ曲がらずに成形不良になる場合が生じることを防止でき、15度以下とすることにより角度が付きすぎてシート5にしわが入る場合が生じることを防止できる。
【0017】
突出部120の突出幅W12〔図4(a)参照〕は、第1のガイド12の端面を基準として8〜15mmであることが好ましく、10〜12mmであることがより好ましい。8mm以上とすることにより第1のガイドの折り幅を出すことができなくなる場合が生じることを防止でき、15mm以下とすることによりシートを目的の寸法となるように制御することが容易であり、また、しわ等の成形不良の発生を防止できる。
突出部120の下面と搬送ベルト110の上面との間隔D12〔図6(b)参照〕は、第1のガイド12の絞り終了点E12〔図4(a)参照〕において、1.0〜2.5mmであることが好ましく、1.5〜2.0mmであることがより好ましい。1.0mm以上とすることによりシート5の抵抗が高くなって成形不良が生じることを防止でき、2.5mm以下とすることによりシート5にしわ等の成形不良が発生する場合が生じることを防止できる。
【0018】
第2の折曲装置1Bにおける第2のガイド13は、図3(b)及び図5に示すように、搬送経路Rの幅を、第1のガイド12が配置された側とは反対側(他方の側)から狭めるように該搬送経路Rの該他方の側に配設され且つ該搬送経路Rの上方において基面部50を部分的に覆うように内向きに突出する突出部130を有している。突出部130は、搬送経路Rを斜めに横切るように平面視V字状に形成されている。
第2のガイド13の突出部130は、前記基面部50における一方の側面部51で覆われていない部分を覆い且つ絞りこまれた一方の側面部51の上面に重ね合わせるように、基面部50の他方の側面部52を長手方向に沿って内側に折り曲げて前記第2の張出し部32及び前記基壁部30を形成し得るようになしてある。
【0019】
第2のガイド13の上流側の端部131は、前記斜めに立ち上がっている。この立ち上がりの角度θ13〔図3(b)参照〕は、材料の加工性の点から5〜15度であることが好ましく、8〜10度であることがより好ましい。
第2のガイド13の突出部130における上流側の端部の絞り角度θ130〔図5(a)参照〕は、立体ギャザーの加工性の点において、5〜15度であることが好ましく、8〜10度であることがより好ましい。
【0020】
第2のガイド13の突出部130は、その下面と、該下面に対向する搬送ベルト(搬送手段)110の上面との間の間隔D13〔図6(d)参照〕が、第1のガイド12の突出部120の下面と、該下面に対向する搬送ベルト(搬送手段)110の上面との間隔D12〔図6(b)参照〕より広くなされている。搬送経路Rの幅方向における第1のガイド12の絞り終了点E1に対応する部位(略中央部)C13〔図5(a)参照〕において、前記間隔D13は、シート5の側面部52を折り曲げる際の折りずれを防ぎ、折りの安定性を図る点において、1.0〜2.5mmであることが好ましく、1.5〜2.0mmであることがより好ましい。また、前記間隔D13は、間隔D12と同じであることが好ましい。
【0021】
図1に示すように第1、第2の折曲装置1A及び1Bは、搬送手段11A、11Bに導入される直前の弾性部材4に対して接着剤を間欠塗工する塗工手段14をそれぞれ備えている。各塗工手段14は、弾性部材4に対応して所定間隔おきに接着剤の吐出口を有する櫛歯状のノズルを備えており、第1の折曲装置1Aの塗工手段14は、図4(b)に示すように、4本の弾性部材4Aに対応する吐出口14aからそれらの弾性部材4Aに接着剤を塗工し、第2の折曲装置1Bにおける塗工手段14は、図5(b)に示すように、2本の弾性部材4Bに対応する吐出口14aからそれらの弾性部材4Bに接着剤を塗工するようになされている。
【0022】
前記弾性部材供給装置7は、図1に示すように、前記6本の弾性部材4をそのロール状物から連続的に繰り出して搬送し、これらを分流装置70により4本の弾性部材4Aと2本の弾性部材4Bとに分けた後、前者を、図1及び図4(b)に示すように、第1の折曲装置1A上において基面部50上に配置すると共に、後者を、図1及び図5(b)に示すように、第2の折曲装置1B上において該基面部50上に配置するようになしてある。
【0023】
前記シート両側面部接合用の接着剤塗工装置8は、図1に示すように、第1の折曲装置1Aと第2の折曲装置1Bの間に位置しており、第2の折曲装置1Bにより互いに重ね合わされる、前記シート5の側面部51、52同士を部分的に接合できるように、当該側面部52に接着剤を間欠塗工するようになしてある。
【0024】
前記加圧装置9は、一対のニップロール91,92を備えてなり、これら両ロール間に、第1及び第2の張出し部並びに基壁部を形成した後の立体ギャザー形成用部材を挿通することにより、これらを加圧し、弾性部材4とシート5並びにシート5の側面部同士間の接着状態をより強固なものとするようになしてある。
【0025】
次に、本発明の立体ギャザー形成用部材の製造方法を、上述した装置を用いた実施形態に基づいて図面を参照しながら説明する。
【0026】
先ず、シートの供給搬送装置6により帯状のシート5を、第1の折曲装置1Aの搬送手段11A上に供給し、該シート5を、図4(b)に示すように、搬送経路Rに沿って、搬送手段11Aのバキュームボックス112により当該シート5を搬送ベルト110に負圧吸着させた状態で搬送しながら、シート5の基面部50の内面にその長手方向に沿ってほぼ等間隔に4本の弾性部材4を伸張状態で配置する〔図6(b)参照〕。これらの弾性部材4は、配置前に塗工手段14により接着剤を塗工しておき、該接着剤を介して該シート5に固定する。
【0027】
次に、搬送経路の幅を前記ガイド12で一方の側から狭めて、基面部50の両側に延在する両側面部51、52のうちの一方の側面部51を、基面部50の前記弾性部材4Aが配されている部分の全体を覆うように、ガイド12の突出部120で絞りこんで前記立体ギャザー3における第1の張出し部31を形成する〔図6(b)参照〕。
【0028】
次に、後述する第2の折曲装置1Bにおいて互いに重ね合わされる、シート5の両側面部51,52のうちの一方の側面部52の所定位置に接着剤53を接着剤塗工装置8で間欠塗布する〔図6(c)参照〕。
。基壁部30の接合に用いられる接着剤53は、生理用ナプキンに用いられる各種のものを特に制限なく用いることができる。尚、接着剤53を一方の側面部52に塗工するのに代えて、他方の側面部51における該一方の側面部52に重ねる部分、又は側面部51と側面部52の相互に重ね合わされる両面に塗工しても良い。
【0029】
次に、第1の折曲装置1Aによる折り曲げ加工後のシート5を、第1の折曲装置1Bの搬送手段11B上に導入し、該シート5を、その搬送経路Rに沿って、搬送手段11Bのバキュームボックス(図示せず)により当該シート5を搬送ベルト110に負圧吸着させた状態で更に搬送しながら、シート5の基面部50の内面にその長手方向に沿って2本の弾性部材4を伸張状態で配置する〔図5(b)参照〕。これらの弾性部材4Bは、配置前に、塗工手段14により接着剤を塗工し、該接着剤を介して該シート5に固定する。
そして、両側面部51,52のうちの他方の側面部52を、基面部50における側面部51で覆われていない部分を覆うように且つ絞り込まれた該側面部51の上面に重ね合わせるように、前記ガイド13の突出部130で、長手方向に沿って内側に折り曲げて前記立体ギャザー3における第2の張出し部32及び前記基壁部30を形成する〔図6(d)参照〕。
【0030】
このようにして得られた立体ギャザー形成用部材は、前記第1の張出し部31及び第2の張出し部32の上面が同一平面(基面部の外面)上に位置するように基壁部30の両側にほぼ水平方向に張り出している。
【0031】
そして、立体ギャザー形成用部材は、加圧装置9により圧縮されて弾性部材4とシート5間やシート5の側面部同士間等の接着状態をより強固なものとされた後、基壁部30の端部をプレカットされ、生理用ナプキンの製造ラインに供給される。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の装置及びこれを用いた立体ギャザー形成用部材の製造方法によれば、フィット性が高く、液漏れを確実に防止し得る立体ギャザー形成用部材を連続的且つ安定的に製造することができる。
【0033】
また、特に基面部50の両側に延在する両側面部51,52の折り曲げを順次行うことにより、以下の効果が奏される
(1)立体ギャザーの両張出し部の幅の制御が容易になる。例えば、図6(c)中の符号Aで示す寸法を精度良く制御でき(A寸法を単独でガイド等で制御でき)、図6(d)中の符号Bで示す寸法についても単独で幅精度を制御可能となる。
(2)加工性も向上する。例えば、上述した図6中の符号Aで示す寸法及び符号Bで示す寸法をそれぞれ単独で調整制御できるので、メンテナンスの復旧及び生産中における調整時間を短縮でき、加工、生産性を向上することができる。
【0034】
第1、第2折曲装置1A,1Bにおける両搬送ベルト(搬送手段)110によるシート5の搬送速度は、同速度であることが好ましく、立体ギャザーの加工性と各寸法の安定性から50〜200m/minであることが好ましく、100〜150m/minであることがより好ましい。
【0035】
搬送ベルトでシート5を搬送する場合には、第1、第2のガイド12、13による張出し部の形成エリアへの進入前後におけるシート5の基板部50の角度(同エリアへの進入前後の搬送経路R’と搬送経路Rとの角度)θが、所定の角度となるように搬送することが好ましい。この角度θは、安定的に加工を行える点から100〜150度、好ましくは135〜145度となるようにシート5を搬送することが好ましい。
【0036】
バキュームボックス112による負圧吸引力は、材料及び弾性部材を確実に保持できる点から980〜9800Paであることが好ましく、4900〜7840Paであることがより好ましい。
【0037】
前記立体ギャザー3を構成するシート5としては、立体ギャザー3が肌に直接当接することから、肌触りの良好なものが好ましい。また、低表面張力の液が透過することを防止する観点から疎水性のものであることが好ましい。これらの要請を満足するシートとして、疎水性繊維からなるか又は疎水化処理されたエアスルー不織布、スパンボンド不織布又はスパンボンド/メルトブロー複合不織布を用いることが好ましい。
【0038】
立体ギャザー3を不織布で構成する場合、該不織布は、立体ギャザーの長さ方向について測定されたバルクソフトネスが0.03〜0.3N、特に0.05〜0.2Nであることが好ましく、立体ギャザーの幅方向(高さ方向)について測定されたバルクソフトネスが0.05〜0.5N、特に0.07〜0.3Nであることが好ましい。更に幅方向のバルクソフトネス値が、長さ方向のバルクソフトネス値と同等又はそれ以上であることが好ましい。前記不織布の長さ方向及び幅方向のバルクソフトネス値を前記範囲とし、また両バルクソフトネス値の大小関係を前述のものとすることにより、両張出し部31、32に配された弾性部材4が、長さ方向に収縮し易くなる。また、立体ギャザー3の両張出し部31、32による面シール効果、及び立体ギャザー3の起立性が、着用者の動作にかかわらず安定的に維持される。幅方向のバルクソフトネス値を長さ方向のバルクソフトネス値よりも高くする為には、例えば不織布の幅方向に波状のエンボス等を施す方法が好ましく挙げられる。
【0039】
前記バルクソフトネスは、以下の方法で測定される。即ち、テンシロン(東洋ボールドウィン製、型式:RTM−25)を用い、不織布サンプルを120mm×10mmにカットし、10mmの高さの円筒を作り、その上端と下端をステープルで止め、測定用の円筒サンプルを作る。この円筒サンプルの高さ方向に圧縮速度10mm/minで圧縮した時の最大荷重を測定し、その値をバルクソフトネス値とする。長さ方向のバルクソフトネス値とは、不織布の長さ方向が圧縮方向となる場合の値をいい、幅方向のバルクソフトネス値とは、不織布の幅方向が圧縮方向となる場合の値をいう。
【0040】
弾性部材4の構成材料は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等に従来用いられる各種のものを特に制限なく用いることができるが、ポリオレフィン類及びポリウレタン類の発泡体並びに天然ゴムが特に好ましく用いられる。
弾性部材4には、糸状の他、帯状、フィルム状等の形状のものを用いることができる。弾性部材4の配置、伸張率及び/又は本数は、弾性部材4の形態、生理用ナプキンの用途に応じて適宜変更することができる。
弾性部材4は、シート5の内面に伸張状態で固定されている。弾性部材4の固定手段は、生理用ナプキンに通常用いられるものであれば特に制限されないが、ホットメルト接着剤、ヒートシールが好ましく用いられる。
【0041】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0042】
本発明は、前期実施形態におけるように、断面がT字状の立体ギャザーの形成に用いる部材の製造に特に好適であるが、例えば、図8に示す生理用ナプキン2’のような、高さの異なる張り出し部31’、32’を有する立体ギャザー3’に用いる部材の製造にも適用することができる。
この場合には、例えば、搬送手段としての第1,第2の折曲装置1A,1Bにおける両搬送ベルト110上に段部を形成し、図9(a)に示すように、シート5を、第1の折曲装置1Aにおける搬送ベルト110上に導入してその基面部50に段差を付けた状態で搬送しながら、該基面部50の内面にその長手方向に沿って所定数の弾性部材4Aを伸張状態で配置し、図9(b)に示すように、該基面部50の両側に長手方向に沿って延在する両側面部の一方51を、第1のガイド12で、該基面部50の該弾性部材4Aが配されている部分を覆うように絞り込んで第1の張出し部31’を形成した後、第1の張出し部31’が形成されたシート5を、段部を有する形態を維持しながら、図9(c)に示すように、第2の折曲装置1Bにおける搬送ベルト110上に導入し、残りの弾性部材4Bを該基面部50における側面部51で覆われていない部分に配置し、次いで、第2のガイド13で、他方の側面部52を、該基面部50における側面部51で覆われていない部分を覆うように且つ絞り込まれた該一方の側面部51に重ねるように、長手方向に沿って内側に折り曲げて第2の張出し部32’及び基壁部30’を形成する。尚、第1の折曲装置1Aにおける搬送ベルト110の搬送面をフラット(平坦面)とし、第2の折曲装置1Bにおける搬送ベルト110のみに段部を形成した場合にも同様の立体ギャザー形成用部材を製造することができる。
【0043】
また、前記実施形態においては、第1及び第2の張出し部に、複数本の弾性部材4が伸張状態で配置されている立体ギャザー形成用部材を製造しており、前記第1工程において一部の弾性部材を基面部上に配置し、第2工程において他の一部の弾性部材を該基面部上に配置しているが、第1工程においてその総ての弾性部材を該基面部50上に配置することもできる。
【0044】
本発明は、前記実施形態におけるように、第1、第2折曲装置1A,1Bにおける吸引手段112によってシート5の基面部50を搬送ベルト110に吸着させた状態で第1の折曲装置1Aによる側面部51の絞り込み及び第2の折曲装置1Bによる側面部52の折り曲げを行うことが好ましいが、吸引手段112による吸着は、必要に応じて省略することもできる。
【0045】
本発明は、前記実施形態におけるように、基面部50に等間隔に弾性部材4を配設し、形成される二つの張出し部の何れにも弾性部材4が配されるようにすることが好ましいが、基面部50における弾性部材4の配設位置を調整することによって、形成される張出し部31、32の何れか一方にのみ弾性部材4が配されるようすることもできる。
【0046】
本発明においては、前記実施形態におけるように、重ね合わされた前記シート5の前記側面部51、52を部分的に接合して前記基壁部30を部分的に接合することが好ましいが、基壁部30の接合は必要に応じて省略することもできる。
【0047】
本発明においては、前記実施形態におけるように、前記弾性部材4に間欠的に接着剤を塗工してシート5に固定することが好ましいが、弾性部材4に接着剤を連続的に塗工することもできる。
【0048】
本発明は、生理用ナプキンの他、使い捨ておむつ、失禁パッド等の吸収性物品に用いられる立体ギャザー形成用部材の製造にも適用できることはいうまでもない。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、フィット性が高く、液漏れを確実に防止し得る立体ギャザー形成用部材を連続的且つ安定的に製造することができる立体ギャザー形成用部材の製造方法及び装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の立体ギャザー形成用部材の製造装置の一実施形態を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す製造装置における第1の折曲装置を模式的に示す図である。
【図3】図1に示す製造装置における要部を模式的に示す斜視図であり、(a)は第1の折曲装置を示す図、(b)は第2の折曲装置を示す図である。
【図4】図1に示す製造装置における第1の折曲装置を平面視した状態を模式的に示す図であり、(a)は装置のみの図、(b)は製造状態を示す図である。
【図5】図1に示す製造装置における第2の折曲装置を平面視した状態を模式的に示す図であり、(a)は装置のみの図、(b)は製造状態を示す図である。
【図6】本発明の立体ギャザー形成用部材の製造方法の一実施形態における手順を模式的に示す図であり、(a)はシートの基面部に弾性部材を配設した状態を示す図、(b)は一方の側面部を絞りこんで第1の張出し部を形成した状態を示す図、(c)は絞り込んだ一方の側面部に接着剤を塗工した状態を示す図、(d)は他方の側面部を折り曲げて第2の張出し部及び基壁部を形成した状態を示す図である。
【図7】図1に示す製造装置で製造された立体ギャザー形成用部材を用いて製造した生理用ナプキンの要部断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態の製造装置で製造された立体ギャザー形成用部材を用いて製造した生理用ナプキンの要部断面図である。
【図9】同実施形態の立体ギャザー形成用部材の製造方法の手順を模式的に示す図であり、(a)はシートの基面部に弾性部材を配設した状態を示す図、(b)は一方の側面部を絞りこんで第1の張出し部を形成した状態を示す図、(c)は、他方の側面部を折り曲げて第2の張出し部及び基壁部を形成した状態を示す図である。
【符号の説明】
1A 第1の折曲装置
1B 第2の折曲装置
2 生理用ナプキン(吸収性物品)
3 立体ギャザー
4 弾性部材
5 帯状のシート
11A 第1の折曲装置に設けられた搬送手段(搬送手段の一部)
11B 第2の折曲装置に設けられた搬送手段(搬送手段の他の一部)
12 第1のガイド
13 第2のガイド
Claims (10)
- 基壁部及び該基壁部から横方向の両側に張り出す第1、第2の張出し部を有する立体ギャザー形成用部材の製造方法であって、
帯状のシートを連続的に搬送しながら該シートの基面部の内面にその長手方向に沿って弾性部材を伸張状態で配置し、該基面部の両側に長手方向に沿って延在する両側面部の一方を、該基面部の幅方向の一部を覆うように絞り込んで前記第1の張出し部を形成する第1工程、第1工程後に、他方の側面部を、前記基面部における一方の前記側面部で覆われていない部分を覆うように且つ絞り込まれた前記一方の側面部に重ねるように、長手方向に沿って内側に折り曲げて前記第2の張出し部及び前記基壁部を形成する第2工程を具備する立体ギャザー形成用部材の製造方法。 - 前記第1及び第2の張出し部に、複数本の弾性部材が伸張状態で配置されており、第1工程において一部の弾性部材を前記基面部上に配置し、第2工程において他の一部の弾性部材を該基面部上に配置する請求項1に記載の立体ギャザー形成用部材の製造方法。
- 第1工程後、第2工程前に、第2工程において互いに重ね合わされる前記シートの前記両側面部の一方又は両方に接着剤を塗布する請求項1又は2に記載の立体ギャザー形成用部材の製造方法。
- 第1工程における前記一方の側面部の絞り込み及び第2工程における前記他方の側面部の折り曲げを、それぞれ、前記シートを前記基面部の外面側から負圧吸引して該基面部を固定しながら行う請求項1〜3の何れかに記載の立体ギャザー形成用部材の製造方法。
- 前記基面部に段部を形成しながら前記シートを搬送する請求項1〜4の何れかに記載の立体ギャザー形成用部材の製造方法。
- 前記弾性部材に接着剤を間欠的に塗工して固定する請求項1〜5の何れかに記載の立体ギャザー形成用部材の製造方法。
- 基壁部及び該基壁部から横方向に張り出す第1、第2の張出し部を有する立体ギャザー形成用部材の製造装置であって、
基面部に伸張状態の弾性部材が配された帯状のシートを搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送経路の幅を一方の側から狭めるように該搬送経路の一方の側に配設され且つ該搬送経路の上方において前記基面部を部分的に覆うように内向きに突出する突出部を有する第1のガイドを備えた第1の折曲装置と、前記搬送経路の幅を他方の側から狭めるように該搬送経路の該他方の側に配設され且つ該搬送経路の上方において前記基面部を部分的に覆うように内向きに突出する突出部を有する第2のガイドを備えた第2の折曲装置とを備えており、
前記第1のガイドの前記突出部は、前記基面部の両側に長手方向に沿って延在する両側面部の一方を該基面部を部分的に覆うように絞りこんで前記第1の張出し部を形成し得るようになしてあり、
前記第2のガイドの前記突出部は、前記基面部における一方の前記側面部で覆われていない部分を覆い且つ絞りこまれた該側面部の上面に重ね合わせるように、他方の側面部を長手方向に沿って内側に折り曲げて前記第2の張出し部及び前記基壁部を形成し得るようになしてある立体ギャザー形成用部材の製造装置。 - 第1のガイドと第2のガイドとの間に、第2折曲装置により互いに重ね合わされる前記シートの前記側面部の一方又は両方に接着剤を塗布する接着剤の塗工手段を備えている請求項7に記載の立体ギャザー形成用部材の製造装置。
- 前記搬送手段が前記シートを搬送する通気性の搬送ベルトと、前記第1,第2の折曲装置上における該搬送ベルトに前記基面部を負圧吸着させる吸引手段とを備えている請求項7又は8に記載の立体ギャザー形成用部材の製造装置。
- 前記搬送手段は、前記基面部に段部を形成しながら搬送するようになしてある請求項7〜9の何れかに記載の立体ギャザー形成用部材の製造装置。
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