JP3886213B2 - 新規機能性高分子、それを用いた高分子電解質及び燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な機能性高分子に関し、該機能性高分子を含有する高分子電解質に関し、また該高分子電解質を用いた燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
分子内にアニオン性基を有するポリマーはイオン交換樹脂や固体酸触媒等の機能性高分子として有用であることが知られている。特に解離度の高いアニオン性基を有するポリマーの場合は超強酸及びその塩としてその機能が著しい。この種の機能性高分子の用途の一つとして燃料電池やリチウム電池用の高分子電解質としての用途が知られている。
【0003】
例えば燃料電池は、電池内で水素やメタノール等の燃料を電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものであり、近年、クリーンな電気エネルギー供給源として注目されている。中でもプロトン伝導性の電解質を用いるリン酸型及び固体高分子型燃料電池は、熱力学におけるカルノーサイクルの制限を受けずに高い効率で運転できるものであり、その理論効率は25℃において83%にも達する。
【0004】
このプロトン伝導型燃料電池に、分子内にアニオン性基を有するプロトン伝導性材料として、パーフルオロスルホン酸含有高分子である、米国デュポン社製の「ナフィオン(登録商標)」が主として用いられている。「ナフィオン」は強酸性基を有し、高い化学的安定性を有することから食塩電解用イオン交換膜として使用されているが、プロトン伝導型燃料電池においても電解質としてのイオン交換膜として使用されているほか、その溶液はガス拡散電極の触媒層の電極触媒被覆剤や結合材として使用することが提案されている(例えば特公平2−7398号公報、特開平3−208260号公報等)。しかし、「ナフィオン」の場合、その合成が多段、且つ低収率であるためにコストが極めて高く、このような材料の高コストが燃料電池の実用化を困難なものにしている。
【0005】
一方、分子内にアニオン性基を有するポリマーを塩として用いる例として、ポリマー電池等に用いるための固体電解質としての用途も提案されている。例えば最近の例としては、Armandらがフルオロスルホン酸のアルカリ金属塩を結合したポリエーテルからなる高分子固体電解質を(特許公表平成6年509811号公報、Electrochimica Acta、40巻、P.2259(1995))、DesMarteauらがパーフルオロスルホニルイミドナトリウム基を主鎖または側鎖に有する重合体を(J.Fluorine Chem.,72巻,P.203(1995))報告している。しかしこれらのいわゆるシングルイオン伝導体はいずれもイオン性基の解離度が不充分であったり、イオン性基の含量が低いためイオン伝導度は10-6S/cm以下と低いものものであり、実用化できるほどのものではなかった。もちろんこのような従来材料の特性は、触媒等の、固体電解質以外の機能においても不充分なものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、解離度の高いイオン性基を高密度に有することで高いイオン伝導度を有し、且つ従来材料よりもはるかに合成容易な新規の機能性高分子を提供するとともに、これを含有する高分子電解質を提供し、また該高分子電解質を用いた燃料電池を提供するものである。
【0007】
【発明を解決するための手段】
すなわち本発明は下記の通りである。
1.分子中に一般式(1)で表される構造を含有する重合体。
【0008】
【化2】
Figure 0003886213
【0009】
(ここで、Xは−CO−{CF(CF3 )−O−CF2 a −CFZ−SO2 −、または−SO2 −CFZ−{CF2 −O−CF(CF3 )}a −CO−で表される2価基であり、Zはフッ素原子またはCF3 を表す。Yはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類、アンモニウムまたは水素原子を表し、同一分子中に複数の種類を含んでいてもよい。aは1〜5の整数であり、nは2以上の正の整数である。)
2.上記1の重合体を10〜100重量%の範囲で含有する高分子電解質。
3.該重合体中に含まれるY全量の50〜100%が水素原子であり、0〜50%が2価以上の金属である上記1の重合体を10〜100重量%の範囲で含有するプロトン伝導型燃料電池用高分子電解質。
4.上記3の高分子固体材料を用いたプロトン伝導型燃料電池。
【0010】
以下本発明の新規機能性高分子の構成要素について、順次説明する。
まず、本発明の機能性高分子に含有される、一般式(1)で表される構造を有する重合体について説明する。本発明の重合体は分子内に高密度でスルホニルイミドアニオン、カルボニルイミドアニオンおよびスルホニルカルボニルイミドアニオンから選ばれる少なくとも一種のイミドアニオン基を含有し、このイミドアニオンにプロトンまたはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類、アンモニウムイオンがイオン結合した構造を持つものである。すなわち、一般式(1)で表される構造のみの重合体であっても、一般式(1)で表される構造と一般式(1)以外の構造との共重合体であってもよい。一般式(1)以外の構造の例としては、下記化3に示す一般式(2)の構造および一般式(3)の構造を挙げることができる。一般式(2)の構造において、Gは−CO−Rf−CO−、−CO−Rf−SO2 −、−SO2 −Rf−CO−、−SO2 −Rf−SO2 −で表される2価基であり、Rfは炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、または炭素数2〜15の2価のパーフルオロ(ポリ)エーテルを表す。ただし、Gには一般式(1)中のXは含まない。一般式(3)の構造において、G′は−SO2 −Ar−SO2 −、−SO2 −Ar−CO−、−CO−Ar−SO2 −、−CO−Ar−CO−で表される2価基であり、Arは2価の芳香族基を表す。
【0011】
【化3】
Figure 0003886213
【0012】
(Yはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類、アンモニウムまたは水素原子を表し、同一分子中に複数の種類を含んでいてもよい。m、m’は2以上の正の整数を表す。)
共重合体中には下記化4に示す一般式(4)の構造および一般式(5)の構造を含んでいてもよい。
【0013】
【化4】
Figure 0003886213
【0014】
(但し、X、G、G’、Yは一般式(1)〜(3)と同じ。)
さらに本発明の重合体は一般式(1)で表される構造が2価の炭化水素基あるいは2価の(ポリ)エーテル基を含む2価基で連結された重合体であってもよいし、一般式(1)で表される構造をペンダント基として有する重合体であってもよい。
【0015】
本発明の重合体において、一般式(1)で表される構造の含有量が高い場合、高濃度でカチオンを保持できるため、高分子電解質として好ましい。このため、本発明で用いられる重合体における一般式(1)で表される構造の含有量は、通常30重量%以上であり、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上であり、特に好ましくは90重量%以上である。
【0016】
本発明の重合体の重量平均分子量の下限は、請求項1の条件を満たしていれば特にそれ以上の制限はないが、通常は1000、好ましくは2000である。また本発明の重合体の重量平均分子量の上限としては、特に制限はないが、あまり分子量の高いものは合成が困難であるので、通常は500万、好ましくは100万である。
【0017】
上記のイミドアニオンはいずれも隣接する−CFZ−{CF2 −O−CF(CF3 )}a −(ZはFまたはCF3 、aは1〜5の整数)基の強い電子吸引効果により安定化されているために、一般式(1)中のN−Y結合は強くイオン解離しており、そのためにカチオン(Y+ )が高い移動度を示すものと考えられる。従って、この重合体中には移動度の高い金属イオンまたはプロトンなどのカチオンを高密度で蓄積できるので、この重合体はカチオンを輸送させる媒体として極めて有効である。例えばカチオンがプロトンの場合、「ナフィオン」の交換容量が約1100g/当量であるのに対して、該重合体の交換容量は323g/当量まで高めることができる。
【0018】
一般式(1)の構造を有する化合物は、例えば一般式(6)の化合物に、アルカリ金属のビス(トリアルキルシリル)アミド(下記化5を参照)またはアルカリ金属の窒化物を反応させて合成する方法など、特許公表平3−501860号公報や、DesMarteauら,Inorg.Chem.,23巻,P.3720(1984)などに記載されている各種の公知のイミド類の合成法を利用して1段階で合成可能である。
【0019】
【化5】
Figure 0003886213
【0020】
(ここでXは一般式(1)と同じ、aは1〜5の整数、Y' はアルカリ金属である。)
ここでaは1〜5の整数であるが、アニオン基が高密度となるので小さい方が好ましい。具体的には1〜3が好ましく、1または2が特に好ましい。
尚、先行技術である「ナフィオン」はやはり(6)を共通原料とするが、ここから相当するアルカリ金属塩までは3ステップを要し、本発明の重合体の合成法と比較して極めて対照的である。また本発明の重合体において、(6)のaは1以上の混合物でかまわないが、「ナフィオン」の合成ではa=1のモノマーは重合を阻害するのでaは通常2以上が用いられ、そのことが最終の重合体のアニオン密度を低下させる要因になっている。
【0021】
上記一般式(6)の化合物の合成は、例えばJ.Am.Chem.Soc.,82巻,P.6181(1960)及び特公昭42−1664号公報に記載されている方法を用いることができる。すなわち、テトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロピレンと無水硫酸(SO3 )の反応によって生成した環状構造のスルトン(下記化6を参照)を、少量のトリエチルアミンなどの触媒とともに加熱して開環させるとフルオロスルホニルアセチルフルオライド誘導体(8)が得られる(下記化7を参照)。この化合物(8)をフッ化セシウムやフッ化カリウム等の触媒の存在下、ヘキサフルオロプロピレンオキサイドと反応させることにより一般式(6)の化合物を得ることができる(下記化8を参照)。
【0022】
【化6】
Figure 0003886213
【0023】
(ZはFまたはCF3
【0024】
【化7】
Figure 0003886213
【0025】
(ZはFまたはCF3
【0026】
【化8】
Figure 0003886213
【0027】
また、一般式(1)においてYがアルカリ金属である化合物を硫酸、塩酸などの強酸やH型の強イオン交換樹脂で処理して一般式(1)の構造のYが水素原子である化合物を得ることができる。また、Yがアルカリ金属以外の金属やアンモニウムである化合物は、Yがアルカリ金属である化合物からのイオン交換反応あるいはYが水素原子である化合物の中和反応で得ることができる。また本発明のポリマーでは、Yが2価以上の多価金属イオンの場合にはYによってポリマー間を架橋することができる。そのためポリマー全体のYの中の多価金属イオンの量をコントロールすることにより、溶解性などの重合体の物性を調整することができる。このような多価金属イオンとしては、Mg2+、Zn2+、Ni2+、Fe2+、Fe3+、Al3+、La3+、Ti4+、Zr4+等を例示することができる。またYが水素原子である場合には、このような多価金属イオンによる架橋は中和を意味し、強酸としての機能を低減させるので、多価金属イオンで置換する量は本発明の重合体中に含まれる全てのYの50%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下がよい。置換する方法としては、例えばYが水素原子であるポリマーをアルコール等に溶解しておき、これに上記多価金属イオンのアルコキサイドやカルボン酸塩等を必要量混合すればよい。
【0028】
さらに、上記化5の一般式(6)で示される化合物にClOCC3 6 COCl、ClCC2 4 COCl、FOCC4 8 COF、FOCC3 6 COF、FOCC2 4 COF、FOCCOF、m−C6 4 (SO2 Cl)2 、o−C6 4 (SO2 Cl)2 、FO2 SC4 8 SO2 Fなどの化合物を加えて反応させて本発明の重合体を得ることもできる。
【0029】
本発明の機能性高分子は一般式(1)の構造中にイオン性基を含有するため、該化合物のみで高いイオン伝導性を有する高分子電解質であるが、さらにイオン伝導度調整のため他の電解質を含有することができる。
この一般式(1)の構造を含有する重合体以外の電解質の含有量は、高分子電解質全体の80重量%以下であり、好ましくは60重量%以下であり、特に好ましくは40重量%以下である。この電解質として無機塩、有機塩、無機酸、有機酸のいずれも使用可能である。この例としては、たとえばテトラフルオロホウ酸、過塩素酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、塩酸などの無機酸、トリフルオロメタンスルホン酸、フルオロプロパンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸などの有機酸、およびこれら有機酸、無機酸の金属塩が挙げられる。これらは単独で用いることもできるし、複数の電解質を混合して用いることもできる。
【0030】
さらにパーフルオロスルホン酸系ポリマーやパーフルオロカルボン酸系ポリマーあるいはこれらの金属塩も、一般式(1)の構造を有する重合体と混合して使用することができる。この電解質のカチオンとしてプロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、希土類金属カチオン、アンモニウムイオンなどから選ばれるカチオンを一種類で、また複数種類混合して使用することができる。このカチオン種は使用する用途によって異なるためカチオンの種類は限定されない。
【0031】
さらに必要があれば補強材等の材料を添加して諸特性を調整することができる。
このように、本発明の高分子電解質は、分子中に一般式(1)で表される構造を含有する重合体に、他の電解質、可塑剤、補強材等から選ばれる他の材料を混合させて構成することができ、一般式(1)で表される構造を有する重合体を10重量%以上含有することが必要である。10重量%以上であると高効率イオン輸送の効果が発現でき、充分なイオン伝導度が得られる。従って、本発明の高分子電解質は、一般式(1)で表される構造を有する重合体を10〜100重量%、好ましくは30〜100重量%、特に好ましくは50〜100重量%の範囲で含有するものである。
【0032】
本発明の高分子電解質は、例えばリチウム塩のようなアルカリ金属塩であれば、ポリマー電池用の高分子固体電解質として用いることができる。その場合、ポリマー電池がリチウム電池であればアルカリ金属塩としてはリチウム塩が好ましい。
リチウム電池用の高分子固体電解質として用いる場合、そのイオン解離促進、加工性、柔軟性などの強度調整などのために非水系高誘電率の可塑剤を含有させることができる。この可塑剤は高分子固体電解質全体の90重量%未満であり、好ましくは70重量%未満、さらに好ましくは50重量%未満である。この可塑剤として用いられる物質としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、ブチロラクトン、プロピオラクトン、酢酸メチルなどの環状、鎖状エステル類等を挙げることができる。
【0033】
また、他のポリマーに分散して高分子固体電解質とすることもできる。その場合、用いられるポリマーとしてはポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンエーテル類、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン)等のポリフッ化ビニリデン系重合体、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
【0034】
高分子固体電解質として用いる場合の製造方法は、前記の構成要素を均一混合した後、所定形状に成形加工する方法、所定形状の一般式(1)の構造を有する重合体に可塑剤等を含浸させる方法を用いることができる。前者の方法として、構成要素の溶液を基板上に塗布してシート状に形成する方法、構成要素を加熱溶融状態で成形したのち冷却加工する方法、粉末状の構成要素を所定形状に圧縮成形する方法、圧縮して形成した成形体に可塑剤を拡散させる方法などいずれも使用可能である。
【0035】
本発明の高分子電解質はリチウム電池等の電池材料として用いる場合、電極材料のバインダーや、電極と固体電解質層の間の中間層(接合剤)としても用いることができる。
一方、一般式(1)において、Yが水素原子である重合体を含む材料は、プロトン伝導型燃料電池用高分子電解質として用いることができる。その場合、重合体中のYの水素原子は先に示したようにその50%以下の範囲で2価以上の金属と置き換わっていてもよい。
【0036】
本発明の高分子電解質は、リン酸型や固体高分子型燃料電池のようなプロトン伝導型燃料電池において、ガス拡散電極の触媒層の電極触媒被覆剤として用いることができるほか、電極と電解質層の中間層等に用いることができる。さらには、固体高分子型燃料電池の場合には、電解質層であるイオン交換膜そのものとしても用いることができる。この場合には膜の強度を保持させるための支持体を用いてもよい。このように、本発明の高分子電解質はプロトン伝導型燃料電池において、高いプロトン伝導性を有する高分子を必要とする、いずれの部分にも用いることができる。
【0037】
例えば本発明の高分子電解質を用いて、ガス拡散電極の触媒層の電極触媒被覆剤として用いる方法としては、該高分子電解質を、溶液状態または粉末状態で触媒層をなす原料粉末(導電材粒子と触媒となる金属粒子)および必要に応じて添加される結着剤等と混合し、これを成形して触媒層を形成する方法、予め形成されたガス拡散電極の触媒層に、該高分子電解質の溶液を含浸させる方法等があり、そのいずれを採用してもよい。該高分子電解質を溶液として用いる場合、溶媒としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等の低級アルコールの単独溶媒またはこれらの中から選ばれた二種類以上の混合溶媒、あるいはこれらと水との混合溶媒等が用いられる。該高分子電解質溶液の濃度は、ガス拡散電極の触媒層側に含浸させたときに、触媒表面に適切な被覆が形成されやすい濃度が好ましく、通常3重量%〜20重量%のものが用いられる。
【0038】
尚、電極触媒被覆剤は、触媒層の一部にのみ存在していてもよいが、触媒層の全部に存在していることが好ましい。また、この被覆剤は、プロトン交換型燃料電池を構成する電解質層とガス拡散電極とを接合した時に、電解質層に接した状態で設けられていると、接合材として作用し、電解質層とガス拡散電極との接合力を高めることができる。
【0039】
次に、本発明の高分子電解質を用いた燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、本発明の高分子電解質を電極触媒被覆剤、電極と電解質層の接合材、電解質層であるイオン交換膜等として用いたものであれば良い。本発明の高分子電解質を用いた燃料電池はプロトン伝導型燃料電池であり、具体的にはリン酸型燃料電池や固体高分子型燃料電池が挙げられる。後者を例にその構成を説明すると、まずイオン交換膜としては本発明の高分子電解質が使用可能であるほか、パーフルオロスルホン酸の均一膜である「ナフィオン」や旭化成工業(株)製の「アシプレックス−S(登録商標)」を用いることができる。イオン交換膜の厚さとしては、例えば10〜300μmのものが用いられる。イオン交換膜が、10μmより薄いと成膜時の強度が保てず、300μmより厚いとイオン交換膜の抵抗が増大し燃料電池作動時の出力特性が低下する。好ましいイオン交換膜の厚さは50〜100μm程度である。
【0040】
燃料電池に使用されるガス拡散電極は、触媒金属の微粒子を担持した導電材により構成されるものであり、必要に応じて撥水剤や結着剤が含まれていてもよいまた、触媒を担持していない導電材と必要に応じて含まれる撥水剤や結着剤とからなる層が、触媒層の外側に形成してあるものでもよい。
このガス拡散電極に使用される触媒金属としては、水素の酸化反応および酸素の還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよく、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、あるいはそれらの合金が挙げられる。このような触媒の中で、特に白金が多くの場合用いられる。触媒となる金属の粒径は、通常は10〜300オングストロームである。触媒の担持量は、電極が成形された状態で、例えば0.01〜10mg/cm2である。
【0041】
導電材としては、電子導伝性物質であればいずれのものでも良く、例えば各種金属や炭素材料などが挙げられる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、およびアセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛等が挙げられ、これらが単独あるいは混合して使用される。撥水剤としては、例えばフッ素化カーボン等が使用される。結着剤としては、各種樹脂が用いられるが、撥水性を有する含フッ素樹脂が好ましい。そして、含フッ素樹脂の中でも耐熱性、耐酸化性の優れたものがより好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が挙げられる。
【0042】
電解質であるイオン交換膜とガス拡散電極との接合は、加圧、加温できる装置を用いて実施される。一般的には、例えば、ホットプレス機、ロールプレス機等により行われる。その際のプレス温度は、電解質として用いるイオン交換膜のガラス転移温度以上であれば良く、一般的には120℃〜250℃である。プレス圧力は、使用するガス拡散電極の固さに依存するが、通常、5〜200kg/cm2 である。5kg/cm2 未満では、イオン交換膜と電極との接合が不十分となり、200kg/cm2 を超えるとガス拡散電極の空孔がつぶされてしまう。プレス圧力の好ましい範囲は、20〜100kg/cm2 である。
【0043】
燃料電池は、このようなイオン交換膜とガス拡散電極との接合体を、集電体とガス取り入れ口と抜き出し口とを備えた二枚のグラファイト製フランジの間に挿入することにより組み立てられ、一方のガス拡散電極に燃料である水素ガスを、他方のガス拡散電極に酸素を含むガス(酸素あるいは空気)を供給することにより作動する。燃料電池は、高い温度で作動させる方が、電極の触媒活性が上がり電極過電圧が減少するため望ましいが、電解質となるイオン交換膜は水分がないと機能しないため、水分管理が可能な温度で作動させる必要がある。燃料電池の作動温度の好ましい範囲は50〜100℃である。
【0044】
本発明の新規機能性高分子は解離度の高いイオン性基を高密度に有することから、イオン交換樹脂や固体酸触媒として優れた機能を有する。即ち本発明の機能性高分子を単独であるいは担体に保持した形態で、イオン交換樹脂としては水処理や分離精製や分析などに用いることができ、酸型の構造は超強酸型の固体酸触媒として優れた機能を有する。また、種々の金属イオンを保持できるため、例えば希土類金属を保持したものは蛍光体としても利用できる。特に本発明の機能性高分子を高分子電解質として用いた場合、高いイオン伝導度を有する上、加工性に優れるため、上記のリチウム電池に留まらず、アルカリ電池、鉛電池、ニッケル水素電池、光電気化学電池、電気化学センサーなど種々の電気化学素子、装置に応用できる。また、燃料電池用高分子電解質としても水の保持性が高く、高いプロトン伝導性を有し、従来材料と同等以上の優れた性能を示すとともに、高価な従来材料よりも合成が極めて容易であるという特徴を有することから経済的にも優れており、産業上好ましい。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0046】
【実施例1】
耐圧容器に無水硫酸(SO3 )とテトラフルオロエチレンを混合させた後、生成物を蒸留(沸点42℃)して2−ヒドロキシテトラフロオロエタンスルホン酸スルトンを得た。この2−ヒドロキシテトラフルオロエタンスルホン酸スルトンを氷冷した状態で少量のトリエチルアミンを添加して開環させ、フルオロスルホニルジフルオロアセチルフルオライドを合成した。
【0047】
次に、フルオロスルホニルジフルオロアセチルフルオライドを乾燥フッ化セシウムを触媒とし、ジグライムを溶媒としてヘキサフルオロプロピレンオキサイドと反応させ、FSO2 CF2 CF2 OCF(CF3 )COF(一般式(1)においてZ=F、a=1)(沸点88℃)を得た。
上記反応で得られたFSO2 CF2 CF2 OCF(CF3 )COF36.4g(0.1mol)をテトラヒドロフラン(THF)80mlで希釈した溶液を0℃に冷却しておき、この中にカリウムビス(トリメチルシリル)アミドの14%トルエン溶液142g(0.1mol)をさらにTHF40mlで希釈した溶液を滴下し、30℃で7時間反応させた。ここで一旦溶媒を減圧で留去して除き、代わりにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)120mlを加え、165℃で16時間反応させた。
【0048】
反応液は室温まで放冷後、ジエチルエーテル800mlに注ぎ、析出した固体を80℃で真空乾燥して淡黄色の重合体を得た。この重合体をエタノール30mlに溶解した後濾別して不溶物を除き、濾液を600mlのエーテル中に滴下して再沈殿させた後80℃で真空乾燥して22gの重合体を得た(収率61%)。この重合体の還元粘度は0.30dl/g(30℃)であり重合体であることが確認できた。また元素分析の結果、Kが10.2重量%(計算値10.8重量%)含有されることがわかった。該重合体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1689、1620cm-1(C=O)、1327、1299cm-1(SO2 )、1160cm-1(C−F)の吸収ピークが観測された。また該重合体の重メタノール溶液の19F−NMRスペクトル測定の結果、82ppm(CF3 )、80ppm、48ppm(CF2 )、33ppm(CF)(C6 6 基準)にそれぞれ共鳴ピークが観測された。以上の測定結果から、(−SO2 CF2 CF2 OCF(CF3 )CONK−)をユニットとする重合体が生成していることがわかった。該重合体のN−メチルピロリドン(NMP)溶液をステンレスシート上にキャストし、溶媒を蒸発させて厚さ18μmのフィルムを作製した。該フィルムの両面をステンレスシートで挟み込み、交流インピーダンス法によるインピーダンス測定(セイコーEG&G社、389型インピーダンスメーター)を行った結果、室温におけるイオン伝導度は1×10-5S/cmであった。
【0049】
【実施例2】
イオン交換樹脂アンバーライトIR−120B(オルガノ(株)製)13mlを1.0cm径のカラムに充填し、これに0.5規定塩酸200mlを通液し、さらに200mlの水で洗浄した。ついで実施例1で作製した重合体4.0gを400mlの水に溶かした溶液を通液し、さらに50mlの水で洗浄した。水相をドライアップし、50℃で乾燥した結果、淡黄色の重合体3.3gが得られた(収率91%)。
【0050】
該重合体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3365、3290cm-1にNH吸収ピークが観測された。また、1 H−NMRスペクトル測定(TMS基準、溶媒:重水素化メタノール)により8.3ppmにNHプロトンが観測された。以上の結果から、(−SO2 CF2 CF2 OCF(CF3 )CONK−)をユニットとする重合体が(−SO2 CF2 CF2 OCF(CF3 )CONH−)をユニットとする重合体に変換されたことが確認できた。この重合体を1/100規定NaOHで中和滴定を行ったところ、中和当量が323g/当量であり、完全に酸型に変換されていることがわった。また、滴定曲線よりこの重合体が強酸であることがわかった。
【0051】
上記方法で得た重合体(H型重合体)3.2gを100mlのメタノールに溶かした溶液に、0.11gの酢酸マグネシウム四水和物を5mlのメタノールに溶かした溶液を室温で加え、一夜撹拌した。得られた溶液をドライアップし、3.3gの固体を得た。得られた固体の元素分析の結果から、重合体中の酸としての10%がMgで中和されており、Y全量に対して90%が水素、10%がMgであることがわかった。得られた固体は水に不溶であり、水溶性であったH型重合体が架橋されていることが確認できた。
【0052】
【実施例3】
40重量%の白金触媒担持カーボン(米国E−TEK社製)に、実施例2で得られた架橋H型重合体の5重量%エタノール溶液を、白金触媒と重合体との重量比が2:1となるように添加し、均一に分散させてペーストを調製した。このペーストを200メッシュのスクリーンを用いて、テフロンシート上に塗布した後、大気雰囲気中100℃で乾燥・固定化し、白金担持量0.2mg/cm2 の触媒シートを得た。
【0053】
2枚の触媒シートの触媒層を向かい合わせ、その間に交換用量950g/当量、厚さ100μmのパーフルオロスルホン酸膜(旭化成工業(株)製)をはさみ、150℃、圧力50kg/cm2 でホットプレスした後、両面のテフロンシートを剥がし、膜・電極接合体を作製した。
触媒層支持体として、厚さ約400μmのカーボンクロス(E−TEK社製)を用い、テフロン分散液(60重量%)に浸漬した後、340℃でシンタリングを行い、カーボンクロスに対し40重量%含浸させた。その空隙率は50%であった。
【0054】
これら膜・電極接合体と触媒層支持体とを積層し、燃料電池単セル評価装置に組み込み、燃料に水素ガス、酸化剤に空気を用い、常圧、セル温度70℃で単セル特性試験を行った。水素ガスは80℃で加湿を行い、空気は加湿せずそのままセルへ供給した。その結果、0.5、1.0A/cm2 の電流密度のときのセル出力電圧はそれぞれ0.62、0.50Vであった。
【0055】
【比較例1】
実施例2で得られた架橋H型重合体のエタノール溶液の代わりに市販「ナフィオン」の5重量%溶液(溶媒は低級脂肪族アルコールと水の混合溶媒)を用いた以外、実施例3と同様に触媒シート及び評価セルを作製し、実施例3と同じ条件で燃料電池としての単セル評価を行った。その結果、0.5、1.0A/cm2 の電流密度のときのセル出力電圧はそれぞれ0.62V、0.48Vであった。また、実際に「ナフィオン」の構造のポリマーを既知の方法により合成したところ、本発明のポリマーに比べ、極めて煩雑なものであった。
【0056】
【実施例4】
FSO2 CF2 CF2 OCF(CF3 )COF36.4g(0.1mol)をテトラヒドロフラン(THF)80mlで希釈した溶液を0℃に冷却しておき、この中にナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1mol/リットルTHF溶液100ml(0.1mol)を滴下した後、室温まで昇温し8時間反応させた。次にこの溶液を耐圧容器に移し、145℃で72時間反応させた。室温まで放冷後、析出した重合体を濾別した後ジエチルエーテル200mlで洗浄した。得られた重合体は実施例1と同様に精製し、淡黄色重合体14.5gを得た。この重合体の還元粘度は0.27dl/g(30℃)であり重合体であることが確認できた。また元素分析の結果、Naが6.3重量%(計算値6.7重量%)含有されることがわかった。該重合体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1688cm-1(C=O)、1326cm-1(SO2 )、1198cm-1(C−F)の吸収ピークが観測された。また該重合体の重メタノール溶液の19F−NMRスペクトルは実施例1の重合体とほぼ同様であった。以上の測定結果から、(−SO2 CF2 CF2 OCF(CF3 )CONNa−)をユニットとする重合体が生成していることが確認できた。実施例1と同様の方法で測定した該重合体の室温におけるイオン伝導度は8×10-6S/cmであった。
【0057】
【比較例2】
市販「ナフィオン」の5重量%溶液を炭酸ナトリウムで中和し、ドライアップして「ナフィオン」のナトリウム塩を調製した。該ナトリウム塩について、実施例1と同様の方法で室温におけるイオン伝導度を測定したところ、1×10-6S/cmであった。
【0058】
【実施例5】
実施例2と同様に作製したH型重合体1.0gを50mlのメタノールに溶解しておき、撹拌しながら0.12gの炭酸リチウムを加えた。室温で1時間撹拌を続けた後にドライアップし、1.1gのリチウム塩(Li型重合体)を得た。
得られたリチウム塩をNMPに溶解して調整した溶液をステンレスシート上にキャストして溶媒を蒸発させて乾燥膜厚25μmで重合体フィルムを作製した。該フィルムを50℃に加熱したエチレンカーボネート(EC)に1分間浸漬した後含浸されなかった過剰のECを拭き取って除去した。該フィルムをステンレスシートで挟み込み室温におけるイオン伝導度を測定した結果、8×10-5S/cmであった。測定後、該高分子固体電解質の熱重量分析によって、重合体フィルム中のEC含有量は22重量%であることがわかった。
【0059】
【実施例6】
水酸化リチウム、酸化コバルトを所定量混合した後、750℃で5時間加熱して平均粒径10μmのLiCoO2 粉末を合成した。該粉末とカーボンブラックを、ポリビニリデンフルオライド(呉羽化学工業(株)製、KF1100)のNMP溶液(5重量%)に混合分散してスラリーを作製した。なお、スラリー中の固形分重量組成は、LiCoO2 (85重量%)、カーボンブラック(8重量%)、ポリビニリデンフルオライド(重量7%)とした。このスラリーをアルミホイル上にドクターブレード法で塗布乾燥して膜厚115μmのシートを作製した。ついで該シート上に実施例4で作製したLi型重合体のNMP溶液(10重量%)を塗布して乾燥膜厚27μmとした。この塗布体を実施例4と同様に50℃に加熱したECに1分間浸漬した後、含浸されなかった過剰のECを拭き取って除去し、さらにこの上に金属リチウムホイルを積層して、正極(LiCoO2 )/Li型重合体(高分子固体電解質)/負極(金属リチウム)の構成で電極積層体を構成した。ついで、電極積層体の正極、負極にステンレス端子を取り付け、ガラスセルの端子にそれぞれ接続してアルゴン雰囲気中で封入した。該電池を充放電機(北斗電工製 101SM6)を用い、電流密度0.1mA/cm2 で充放電を行なった。充電後の電極間電位は4.2V(定電流充電後4.2V定電位充電)であり充電が確認できた。また放電はカットオフ電圧2.7V定電流放電で行った結果、繰り返し充放電が可能であり2次電池として作動することがわかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の新規機能性高分子は解離度の高いイオン性基を高密度に有することで高いイオン伝導度を有することから、これを液漏れのないポリマー電池の高分子固体電解質として好適に用いることができる。また、燃料電池用高分子電解質として用いたときには過電圧による電圧低下が少なく、優れた性能を示す。さらに従来材料よりも合成がはるかに容易であることから、産業上好ましい。

Claims (4)

  1. 分子中に一般式(1)で表される構造を含有する重合体。
    Figure 0003886213
    (ここで、Xは−CO−{CF(CF3 )−O−CF2 a −CFZ−SO2 −、または−SO2 −CFZ−{CF2 −O−CF(CF3 )}a −CO−で表される2価基であり、Zはフッ素原子またはCF3 を表す。Yはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類、アンモニウムまたは水素原子を表し、同一分子中に複数の種類を含んでいてもよい。aは1〜5の整数であり、nは2以上の正の整数である。)
  2. 請求項1記載の重合体を10〜100重量%の範囲で含有する高分子電解質。
  3. 該重合体中に含まれるY全量の50〜100%が水素原子であり、0〜50%が2価以上の金属である請求項1記載の重合体を10〜100重量%の範囲で含有するプロトン伝導型燃料電池用高分子電解質。
  4. 請求項3記載の高分子電解質を用いたプロトン伝導型燃料電池。
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