JPH117968A - 新規機能性高分子、それを用いた高分子電解質及び燃料電池 - Google Patents

新規機能性高分子、それを用いた高分子電解質及び燃料電池

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JPH117968A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン伝導度が高く、加工性に優れ、且つ合
成容易な新規の機能性高分子、これを含有するイオン伝
導性高分子電解質、並びにこれを用いた燃料電池を提供
する。 【解決手段】 フルオロスルホニルアセチルフルロライ
ド誘導体へのヘキサフルオロプロピレンオキサイド付加
体から誘導される、イミドアニオン基を高密度に含有す
る新規機能性高分子を合成し、該重合体を10〜100
重量%の範囲で含有するイオン伝導性高分子電解質、並
びに該高分子電解質を用いたプロトン伝導型燃料電池で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な機能性高分子
に関し、該機能性高分子を含有する高分子電解質に関
し、また該高分子電解質を用いた燃料電池に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】分子内にアニオン性基を有するポリマー
はイオン交換樹脂や固体酸触媒等の機能性高分子として
有用であることが知られている。特に解離度の高いアニ
オン性基を有するポリマーの場合は超強酸及びその塩と
してその機能が著しい。この種の機能性高分子の用途の
一つとして燃料電池やリチウム電池用の高分子電解質と
しての用途が知られている。
【0003】例えば燃料電池は、電池内で水素やメタノ
ール等の燃料を電気化学的に酸化することにより、燃料
の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り
出すものであり、近年、クリーンな電気エネルギー供給
源として注目されている。中でもプロトン伝導性の電解
質を用いるリン酸型及び固体高分子型燃料電池は、熱力
学におけるカルノーサイクルの制限を受けずに高い効率
で運転できるものであり、その理論効率は25℃におい
て83%にも達する。
【0004】このプロトン伝導型燃料電池に、分子内に
アニオン性基を有するプロトン伝導性材料として、パー
フルオロスルホン酸含有高分子である、米国デュポン社
製の「ナフィオン(登録商標)」が主として用いられて
いる。「ナフィオン」は強酸性基を有し、高い化学的安
定性を有することから食塩電解用イオン交換膜として使
用されているが、プロトン伝導型燃料電池においても電
解質としてのイオン交換膜として使用されているほか、
その溶液はガス拡散電極の触媒層の電極触媒被覆剤や結
合材として使用することが提案されている(例えば特公
平2−7398号公報、特開平3−208260号公報
等)。しかし、「ナフィオン」の場合、その合成が多
段、且つ低収率であるためにコストが極めて高く、この
ような材料の高コストが燃料電池の実用化を困難なもの
にしている。
【0005】一方、分子内にアニオン性基を有するポリ
マーを塩として用いる例として、ポリマー電池等に用い
るための固体電解質としての用途も提案されている。例
えば最近の例としては、Armandらがフルオロスル
ホン酸のアルカリ金属塩を結合したポリエーテルからな
る高分子固体電解質を(特許公表平成6年509811
号公報、Electrochimica Acta、4
0巻、P.2259(1995))、DesMarte
auらがパーフルオロスルホニルイミドナトリウム基を
主鎖または側鎖に有する重合体を(J.Fluorin
e Chem.,72巻,P.203(1995))報
告している。しかしこれらのいわゆるシングルイオン伝
導体はいずれもイオン性基の解離度が不充分であった
り、イオン性基の含量が低いためイオン伝導度は10-6
S/cm以下と低いものものであり、実用化できるほど
のものではなかった。もちろんこのような従来材料の特
性は、触媒等の、固体電解質以外の機能においても不充
分なものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、解離度の高
いイオン性基を高密度に有することで高いイオン伝導度
を有し、且つ従来材料よりもはるかに合成容易な新規の
機能性高分子を提供するとともに、これを含有する高分
子電解質を提供し、また該高分子電解質を用いた燃料電
池を提供するものである。
【0007】
【発明を解決するための手段】すなわち本発明は下記の
通りである。 1.分子中に一般式(1)で表される構造を含有する重
合体。
【0008】
【化2】
【0009】(ここで、Xは−CO−{CF(CF3
−O−CF2 a −CFZ−SO2 −、または−SO2
−CFZ−{CF2 −O−CF(CF3 )}a −CO−
で表される2価基であり、Zはフッ素原子またはCF3
を表す。Yはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金
属、希土類、アンモニウムまたは水素原子を表し、同一
分子中に複数の種類を含んでいてもよい。aは1〜5の
整数であり、nは2以上の正の整数である。) 2.上記1の重合体を10〜100重量%の範囲で含有
する高分子電解質。 3.該重合体中に含まれるY全量の50〜100%が水
素原子であり、0〜50%が2価以上の金属である上記
1の重合体を10〜100重量%の範囲で含有するプロ
トン伝導型燃料電池用高分子電解質。 4.上記3の高分子固体材料を用いたプロトン伝導型燃
料電池。
【0010】以下本発明の新規機能性高分子の構成要素
について、順次説明する。まず、本発明の機能性高分子
に含有される、一般式(1)で表される構造を有する重
合体について説明する。本発明の重合体は分子内に高密
度でスルホニルイミドアニオン、カルボニルイミドアニ
オンおよびスルホニルカルボニルイミドアニオンから選
ばれる少なくとも一種のイミドアニオン基を含有し、こ
のイミドアニオンにプロトンまたはアルカリ金属、アル
カリ土類金属、遷移金属、希土類、アンモニウムイオン
がイオン結合した構造を持つものである。すなわち、一
般式(1)で表される構造のみの重合体であっても、一
般式(1)で表される構造と一般式(1)以外の構造と
の共重合体であってもよい。一般式(1)以外の構造の
例としては、下記化3に示す一般式(2)の構造および
一般式(3)の構造を挙げることができる。一般式
(2)の構造において、Gは−CO−Rf−CO−、−
CO−Rf−SO2 −、−SO2 −Rf−CO−、−S
2 −Rf−SO2−で表される2価基であり、Rfは
炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、または炭
素数2〜15の2価のパーフルオロ(ポリ)エーテルを
表す。ただし、Gには一般式(1)中のXは含まない。
一般式(3)の構造において、G′は−SO2 −Ar−
SO2 −、−SO2 −Ar−CO−、−CO−Ar−S
2 −、−CO−Ar−CO−で表される2価基であ
り、Arは2価の芳香族基を表す。
【0011】
【化3】
【0012】(Yはアルカリ金属、アルカリ土類金属、
遷移金属、希土類、アンモニウムまたは水素原子を表
し、同一分子中に複数の種類を含んでいてもよい。m、
m’は2以上の正の整数を表す。) 共重合体中には下記化4に示す一般式(4)の構造およ
び一般式(5)の構造を含んでいてもよい。
【0013】
【化4】
【0014】(但し、X、G、G’、Yは一般式(1)
〜(3)と同じ。) さらに本発明の重合体は一般式(1)で表される構造が
2価の炭化水素基あるいは2価の(ポリ)エーテル基を
含む2価基で連結された重合体であってもよいし、一般
式(1)で表される構造をペンダント基として有する重
合体であってもよい。
【0015】本発明の重合体において、一般式(1)で
表される構造の含有量が高い場合、高濃度でカチオンを
保持できるため、高分子電解質として好ましい。このた
め、本発明で用いられる重合体における一般式(1)で
表される構造の含有量は、通常30重量%以上であり、
好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%
以上であり、特に好ましくは90重量%以上である。
【0016】本発明の重合体の重量平均分子量の下限
は、請求項1の条件を満たしていれば特にそれ以上の制
限はないが、通常は1000、好ましくは2000であ
る。また本発明の重合体の重量平均分子量の上限として
は、特に制限はないが、あまり分子量の高いものは合成
が困難であるので、通常は500万、好ましくは100
万である。
【0017】上記のイミドアニオンはいずれも隣接する
−CFZ−{CF2 −O−CF(CF3 )}a −(Zは
FまたはCF3 、aは1〜5の整数)基の強い電子吸引
効果により安定化されているために、一般式(1)中の
N−Y結合は強くイオン解離しており、そのためにカチ
オン(Y+ )が高い移動度を示すものと考えられる。従
って、この重合体中には移動度の高い金属イオンまたは
プロトンなどのカチオンを高密度で蓄積できるので、こ
の重合体はカチオンを輸送させる媒体として極めて有効
である。例えばカチオンがプロトンの場合、「ナフィオ
ン」の交換容量が約1100g/当量であるのに対し
て、該重合体の交換容量は323g/当量まで高めるこ
とができる。
【0018】一般式(1)の構造を有する化合物は、例
えば一般式(6)の化合物に、アルカリ金属のビス(ト
リアルキルシリル)アミド(下記化5を参照)またはア
ルカリ金属の窒化物を反応させて合成する方法など、特
許公表平3−501860号公報や、DesMarte
auら,Inorg.Chem.,23巻,P.372
0(1984)などに記載されている各種の公知のイミ
ド類の合成法を利用して1段階で合成可能である。
【0019】
【化5】
【0020】(ここでXは一般式(1)と同じ、aは1
〜5の整数、Y' はアルカリ金属である。) ここでaは1〜5の整数であるが、アニオン基が高密度
となるので小さい方が好ましい。具体的には1〜3が好
ましく、1または2が特に好ましい。尚、先行技術であ
る「ナフィオン」はやはり(6)を共通原料とするが、
ここから相当するアルカリ金属塩までは3ステップを要
し、本発明の重合体の合成法と比較して極めて対照的で
ある。また本発明の重合体において、(6)のaは1以
上の混合物でかまわないが、「ナフィオン」の合成では
a=1のモノマーは重合を阻害するのでaは通常2以上
が用いられ、そのことが最終の重合体のアニオン密度を
低下させる要因になっている。
【0021】上記一般式(6)の化合物の合成は、例え
ばJ.Am.Chem.Soc.,82巻,P.618
1(1960)及び特公昭42−1664号公報に記載
されている方法を用いることができる。すなわち、テト
ラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロピレンと
無水硫酸(SO3 )の反応によって生成した環状構造の
スルトン(下記化6を参照)を、少量のトリエチルアミ
ンなどの触媒とともに加熱して開環させるとフルオロス
ルホニルアセチルフルオライド誘導体(8)が得られる
(下記化7を参照)。この化合物(8)をフッ化セシウ
ムやフッ化カリウム等の触媒の存在下、ヘキサフルオロ
プロピレンオキサイドと反応させることにより一般式
(6)の化合物を得ることができる(下記化8を参
照)。
【0022】
【化6】
【0023】(ZはFまたはCF3
【0024】
【化7】
【0025】(ZはFまたはCF3
【0026】
【化8】
【0027】また、一般式(1)においてYがアルカリ
金属である化合物を硫酸、塩酸などの強酸やH型の強イ
オン交換樹脂で処理して一般式(1)の構造のYが水素
原子である化合物を得ることができる。また、Yがアル
カリ金属以外の金属やアンモニウムである化合物は、Y
がアルカリ金属である化合物からのイオン交換反応ある
いはYが水素原子である化合物の中和反応で得ることが
できる。また本発明のポリマーでは、Yが2価以上の多
価金属イオンの場合にはYによってポリマー間を架橋す
ることができる。そのためポリマー全体のYの中の多価
金属イオンの量をコントロールすることにより、溶解性
などの重合体の物性を調整することができる。このよう
な多価金属イオンとしては、Mg2+、Zn2+、Ni2+
Fe2+、Fe3+、Al3+、La3+、Ti4+、Zr4+等を
例示することができる。またYが水素原子である場合に
は、このような多価金属イオンによる架橋は中和を意味
し、強酸としての機能を低減させるので、多価金属イオ
ンで置換する量は本発明の重合体中に含まれる全てのY
の50%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましく
は20%以下がよい。置換する方法としては、例えばY
が水素原子であるポリマーをアルコール等に溶解してお
き、これに上記多価金属イオンのアルコキサイドやカル
ボン酸塩等を必要量混合すればよい。
【0028】さらに、上記化5の一般式(6)で示され
る化合物にClOCC3 6 COCl、ClCC2 4
COCl、FOCC4 8 COF、FOCC3 6 CO
F、FOCC2 4 COF、FOCCOF、m−C6
4 (SO2 Cl)2 、o−C 6 4 (SO2 Cl)2
FO2 SC4 8 SO2 Fなどの化合物を加えて反応さ
せて本発明の重合体を得ることもできる。
【0029】本発明の機能性高分子は一般式(1)の構
造中にイオン性基を含有するため、該化合物のみで高い
イオン伝導性を有する高分子電解質であるが、さらにイ
オン伝導度調整のため他の電解質を含有することができ
る。この一般式(1)の構造を含有する重合体以外の電
解質の含有量は、高分子電解質全体の80重量%以下で
あり、好ましくは60重量%以下であり、特に好ましく
は40重量%以下である。この電解質として無機塩、有
機塩、無機酸、有機酸のいずれも使用可能である。この
例としては、たとえばテトラフルオロホウ酸、過塩素
酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、塩酸などの無機酸、
トリフルオロメタンスルホン酸、フルオロプロパンスル
ホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸などの有機
酸、およびこれら有機酸、無機酸の金属塩が挙げられ
る。これらは単独で用いることもできるし、複数の電解
質を混合して用いることもできる。
【0030】さらにパーフルオロスルホン酸系ポリマー
やパーフルオロカルボン酸系ポリマーあるいはこれらの
金属塩も、一般式(1)の構造を有する重合体と混合し
て使用することができる。この電解質のカチオンとして
プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カ
チオン、遷移金属カチオン、希土類金属カチオン、アン
モニウムイオンなどから選ばれるカチオンを一種類で、
また複数種類混合して使用することができる。このカチ
オン種は使用する用途によって異なるためカチオンの種
類は限定されない。
【0031】さらに必要があれば補強材等の材料を添加
して諸特性を調整することができる。このように、本発
明の高分子電解質は、分子中に一般式(1)で表される
構造を含有する重合体に、他の電解質、可塑剤、補強材
等から選ばれる他の材料を混合させて構成することがで
き、一般式(1)で表される構造を有する重合体を10
重量%以上含有することが必要である。10重量%以上
であると高効率イオン輸送の効果が発現でき、充分なイ
オン伝導度が得られる。従って、本発明の高分子電解質
は、一般式(1)で表される構造を有する重合体を10
〜100重量%、好ましくは30〜100重量%、特に
好ましくは50〜100重量%の範囲で含有するもので
ある。
【0032】本発明の高分子電解質は、例えばリチウム
塩のようなアルカリ金属塩であれば、ポリマー電池用の
高分子固体電解質として用いることができる。その場
合、ポリマー電池がリチウム電池であればアルカリ金属
塩としてはリチウム塩が好ましい。リチウム電池用の高
分子固体電解質として用いる場合、そのイオン解離促
進、加工性、柔軟性などの強度調整などのために非水系
高誘電率の可塑剤を含有させることができる。この可塑
剤は高分子固体電解質全体の90重量%未満であり、好
ましくは70重量%未満、さらに好ましくは50重量%
未満である。この可塑剤として用いられる物質として
は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、
ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート類、ジメ
チルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチ
ルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、ブチロラク
トン、プロピオラクトン、酢酸メチルなどの環状、鎖状
エステル類等を挙げることができる。
【0033】また、他のポリマーに分散して高分子固体
電解質とすることもできる。その場合、用いられるポリ
マーとしてはポリエチレンオキサイド、ポリプロピレン
オキサイド等のポリアルキレンエーテル類、ポリフッ化
ビニリデン、ポリ(ビニリデンフルオライド−ヘキサフ
ルオロプロピレン)等のポリフッ化ビニリデン系重合
体、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
【0034】高分子固体電解質として用いる場合の製造
方法は、前記の構成要素を均一混合した後、所定形状に
成形加工する方法、所定形状の一般式(1)の構造を有
する重合体に可塑剤等を含浸させる方法を用いることが
できる。前者の方法として、構成要素の溶液を基板上に
塗布してシート状に形成する方法、構成要素を加熱溶融
状態で成形したのち冷却加工する方法、粉末状の構成要
素を所定形状に圧縮成形する方法、圧縮して形成した成
形体に可塑剤を拡散させる方法などいずれも使用可能で
ある。
【0035】本発明の高分子電解質はリチウム電池等の
電池材料として用いる場合、電極材料のバインダーや、
電極と固体電解質層の間の中間層(接合剤)としても用
いることができる。一方、一般式(1)において、Yが
水素原子である重合体を含む材料は、プロトン伝導型燃
料電池用高分子電解質として用いることができる。その
場合、重合体中のYの水素原子は先に示したようにその
50%以下の範囲で2価以上の金属と置き換わっていて
もよい。
【0036】本発明の高分子電解質は、リン酸型や固体
高分子型燃料電池のようなプロトン伝導型燃料電池にお
いて、ガス拡散電極の触媒層の電極触媒被覆剤として用
いることができるほか、電極と電解質層の中間層等に用
いることができる。さらには、固体高分子型燃料電池の
場合には、電解質層であるイオン交換膜そのものとして
も用いることができる。この場合には膜の強度を保持さ
せるための支持体を用いてもよい。このように、本発明
の高分子電解質はプロトン伝導型燃料電池において、高
いプロトン伝導性を有する高分子を必要とする、いずれ
の部分にも用いることができる。
【0037】例えば本発明の高分子電解質を用いて、ガ
ス拡散電極の触媒層の電極触媒被覆剤として用いる方法
としては、該高分子電解質を、溶液状態または粉末状態
で触媒層をなす原料粉末(導電材粒子と触媒となる金属
粒子)および必要に応じて添加される結着剤等と混合
し、これを成形して触媒層を形成する方法、予め形成さ
れたガス拡散電極の触媒層に、該高分子電解質の溶液を
含浸させる方法等があり、そのいずれを採用してもよ
い。該高分子電解質を溶液として用いる場合、溶媒とし
てはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−
プロパノール、ブタノール等の低級アルコールの単独溶
媒またはこれらの中から選ばれた二種類以上の混合溶
媒、あるいはこれらと水との混合溶媒等が用いられる。
該高分子電解質溶液の濃度は、ガス拡散電極の触媒層側
に含浸させたときに、触媒表面に適切な被覆が形成され
やすい濃度が好ましく、通常3重量%〜20重量%のも
のが用いられる。
【0038】尚、電極触媒被覆剤は、触媒層の一部にの
み存在していてもよいが、触媒層の全部に存在している
ことが好ましい。また、この被覆剤は、プロトン交換型
燃料電池を構成する電解質層とガス拡散電極とを接合し
た時に、電解質層に接した状態で設けられていると、接
合材として作用し、電解質層とガス拡散電極との接合力
を高めることができる。
【0039】次に、本発明の高分子電解質を用いた燃料
電池について説明する。本発明の燃料電池は、本発明の
高分子電解質を電極触媒被覆剤、電極と電解質層の接合
材、電解質層であるイオン交換膜等として用いたもので
あれば良い。本発明の高分子電解質を用いた燃料電池は
プロトン伝導型燃料電池であり、具体的にはリン酸型燃
料電池や固体高分子型燃料電池が挙げられる。後者を例
にその構成を説明すると、まずイオン交換膜としては本
発明の高分子電解質が使用可能であるほか、パーフルオ
ロスルホン酸の均一膜である「ナフィオン」や旭化成工
業(株)製の「アシプレックス−S(登録商標)」を用
いることができる。イオン交換膜の厚さとしては、例え
ば10〜300μmのものが用いられる。イオン交換膜
が、10μmより薄いと成膜時の強度が保てず、300
μmより厚いとイオン交換膜の抵抗が増大し燃料電池作
動時の出力特性が低下する。好ましいイオン交換膜の厚
さは50〜100μm程度である。
【0040】燃料電池に使用されるガス拡散電極は、触
媒金属の微粒子を担持した導電材により構成されるもの
であり、必要に応じて撥水剤や結着剤が含まれていても
よいまた、触媒を担持していない導電材と必要に応じて
含まれる撥水剤や結着剤とからなる層が、触媒層の外側
に形成してあるものでもよい。このガス拡散電極に使用
される触媒金属としては、水素の酸化反応および酸素の
還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよ
く、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、
ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロ
ム、タングステン、マンガン、バナジウム、あるいはそ
れらの合金が挙げられる。このような触媒の中で、特に
白金が多くの場合用いられる。触媒となる金属の粒径
は、通常は10〜300オングストロームである。触媒
の担持量は、電極が成形された状態で、例えば0.01
〜10mg/cm2である。
【0041】導電材としては、電子導伝性物質であれば
いずれのものでも良く、例えば各種金属や炭素材料など
が挙げられる。炭素材料としては、例えば、ファーネス
ブラック、チャンネルブラック、およびアセチレンブラ
ック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛等が挙げら
れ、これらが単独あるいは混合して使用される。撥水剤
としては、例えばフッ素化カーボン等が使用される。結
着剤としては、各種樹脂が用いられるが、撥水性を有す
る含フッ素樹脂が好ましい。そして、含フッ素樹脂の中
でも耐熱性、耐酸化性の優れたものがより好ましく、例
えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエ
チレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体、およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体が挙げられる。
【0042】電解質であるイオン交換膜とガス拡散電極
との接合は、加圧、加温できる装置を用いて実施され
る。一般的には、例えば、ホットプレス機、ロールプレ
ス機等により行われる。その際のプレス温度は、電解質
として用いるイオン交換膜のガラス転移温度以上であれ
ば良く、一般的には120℃〜250℃である。プレス
圧力は、使用するガス拡散電極の固さに依存するが、通
常、5〜200kg/cm2 である。5kg/cm2
満では、イオン交換膜と電極との接合が不十分となり、
200kg/cm2 を超えるとガス拡散電極の空孔がつ
ぶされてしまう。プレス圧力の好ましい範囲は、20〜
100kg/cm2 である。
【0043】燃料電池は、このようなイオン交換膜とガ
ス拡散電極との接合体を、集電体とガス取り入れ口と抜
き出し口とを備えた二枚のグラファイト製フランジの間
に挿入することにより組み立てられ、一方のガス拡散電
極に燃料である水素ガスを、他方のガス拡散電極に酸素
を含むガス(酸素あるいは空気)を供給することにより
作動する。燃料電池は、高い温度で作動させる方が、電
極の触媒活性が上がり電極過電圧が減少するため望まし
いが、電解質となるイオン交換膜は水分がないと機能し
ないため、水分管理が可能な温度で作動させる必要があ
る。燃料電池の作動温度の好ましい範囲は50〜100
℃である。
【0044】本発明の新規機能性高分子は解離度の高い
イオン性基を高密度に有することから、イオン交換樹脂
や固体酸触媒として優れた機能を有する。即ち本発明の
機能性高分子を単独であるいは担体に保持した形態で、
イオン交換樹脂としては水処理や分離精製や分析などに
用いることができ、酸型の構造は超強酸型の固体酸触媒
として優れた機能を有する。また、種々の金属イオンを
保持できるため、例えば希土類金属を保持したものは蛍
光体としても利用できる。特に本発明の機能性高分子を
高分子電解質として用いた場合、高いイオン伝導度を有
する上、加工性に優れるため、上記のリチウム電池に留
まらず、アルカリ電池、鉛電池、ニッケル水素電池、光
電気化学電池、電気化学センサーなど種々の電気化学素
子、装置に応用できる。また、燃料電池用高分子電解質
としても水の保持性が高く、高いプロトン伝導性を有
し、従来材料と同等以上の優れた性能を示すとともに、
高価な従来材料よりも合成が極めて容易であるという特
徴を有することから経済的にも優れており、産業上好ま
しい。
【0045】
【発明の実施の形態】以下実施例によって本発明をさら
に詳細に説明する。
【0046】
【実施例1】耐圧容器に無水硫酸(SO3 )とテトラフ
ルオロエチレンを混合させた後、生成物を蒸留(沸点4
2℃)して2−ヒドロキシテトラフロオロエタンスルホ
ン酸スルトンを得た。この2−ヒドロキシテトラフルオ
ロエタンスルホン酸スルトンを氷冷した状態で少量のト
リエチルアミンを添加して開環させ、フルオロスルホニ
ルジフルオロアセチルフルオライドを合成した。
【0047】次に、フルオロスルホニルジフルオロアセ
チルフルオライドを乾燥フッ化セシウムを触媒とし、ジ
グライムを溶媒としてヘキサフルオロプロピレンオキサ
イドと反応させ、FSO2 CF2 CF2 OCF(C
3 )COF(一般式(1)においてZ=F、a=1)
(沸点88℃)を得た。上記反応で得られたFSO2
2 CF2 OCF(CF3 )COF36.4g(0.1
mol)をテトラヒドロフラン(THF)80mlで希
釈した溶液を0℃に冷却しておき、この中にカリウムビ
ス(トリメチルシリル)アミドの14%トルエン溶液1
42g(0.1mol)をさらにTHF40mlで希釈
した溶液を滴下し、30℃で7時間反応させた。ここで
一旦溶媒を減圧で留去して除き、代わりにN,N−ジメ
チルアセトアミド(DMAc)120mlを加え、16
5℃で16時間反応させた。
【0048】反応液は室温まで放冷後、ジエチルエーテ
ル800mlに注ぎ、析出した固体を80℃で真空乾燥
して淡黄色の重合体を得た。この重合体をエタノール3
0mlに溶解した後濾別して不溶物を除き、濾液を60
0mlのエーテル中に滴下して再沈殿させた後80℃で
真空乾燥して22gの重合体を得た(収率61%)。こ
の重合体の還元粘度は0.30dl/g(30℃)であ
り重合体であることが確認できた。また元素分析の結
果、Kが10.2重量%(計算値10.8重量%)含有
されることがわかった。該重合体の赤外吸収スペクトル
を測定した結果、1689、1620cm-1(C=
O)、1327、1299cm-1(SO2 )、1160
cm-1(C−F)の吸収ピークが観測された。また該重
合体の重メタノール溶液の19F−NMRスペクトル測定
の結果、82ppm(CF3 )、80ppm、48pp
m(CF2 )、33ppm(CF)(C6 6 基準)に
それぞれ共鳴ピークが観測された。以上の測定結果か
ら、(−SO2 CF2 CF2 OCF(CF3 )CONK
−)をユニットとする重合体が生成していることがわか
った。該重合体のN−メチルピロリドン(NMP)溶液
をステンレスシート上にキャストし、溶媒を蒸発させて
厚さ18μmのフィルムを作製した。該フィルムの両面
をステンレスシートで挟み込み、交流インピーダンス法
によるインピーダンス測定(セイコーEG&G社、38
9型インピーダンスメーター)を行った結果、室温にお
けるイオン伝導度は1×10-5S/cmであった。
【0049】
【実施例2】イオン交換樹脂アンバーライトIR−12
0B(オルガノ(株)製)13mlを1.0cm径のカ
ラムに充填し、これに0.5規定塩酸200mlを通液
し、さらに200mlの水で洗浄した。ついで実施例1
で作製した重合体4.0gを400mlの水に溶かした
溶液を通液し、さらに50mlの水で洗浄した。水相を
ドライアップし、50℃で乾燥した結果、淡黄色の重合
体3.3gが得られた(収率91%)。
【0050】該重合体の赤外吸収スペクトルを測定した
結果、3365、3290cm-1にNH吸収ピークが観
測された。また、1 H−NMRスペクトル測定(TMS
基準、溶媒:重水素化メタノール)により8.3ppm
にNHプロトンが観測された。以上の結果から、(−S
2 CF2 CF2 OCF(CF3 )CONK−)をユニ
ットとする重合体が(−SO2 CF2 CF2 OCF(C
3 )CONH−)をユニットとする重合体に変換され
たことが確認できた。この重合体を1/100規定Na
OHで中和滴定を行ったところ、中和当量が323g/
当量であり、完全に酸型に変換されていることがわっ
た。また、滴定曲線よりこの重合体が強酸であることが
わかった。
【0051】上記方法で得た重合体(H型重合体)3.
2gを100mlのメタノールに溶かした溶液に、0.
11gの酢酸マグネシウム四水和物を5mlのメタノー
ルに溶かした溶液を室温で加え、一夜撹拌した。得られ
た溶液をドライアップし、3.3gの固体を得た。得ら
れた固体の元素分析の結果から、重合体中の酸としての
10%がMgで中和されており、Y全量に対して90%
が水素、10%がMgであることがわかった。得られた
固体は水に不溶であり、水溶性であったH型重合体が架
橋されていることが確認できた。
【0052】
【実施例3】40重量%の白金触媒担持カーボン(米国
E−TEK社製)に、実施例2で得られた架橋H型重合
体の5重量%エタノール溶液を、白金触媒と重合体との
重量比が2:1となるように添加し、均一に分散させて
ペーストを調製した。このペーストを200メッシュの
スクリーンを用いて、テフロンシート上に塗布した後、
大気雰囲気中100℃で乾燥・固定化し、白金担持量
0.2mg/cm2 の触媒シートを得た。
【0053】2枚の触媒シートの触媒層を向かい合わ
せ、その間に交換用量950g/当量、厚さ100μm
のパーフルオロスルホン酸膜(旭化成工業(株)製)を
はさみ、150℃、圧力50kg/cm2 でホットプレ
スした後、両面のテフロンシートを剥がし、膜・電極接
合体を作製した。触媒層支持体として、厚さ約400μ
mのカーボンクロス(E−TEK社製)を用い、テフロ
ン分散液(60重量%)に浸漬した後、340℃でシン
タリングを行い、カーボンクロスに対し40重量%含浸
させた。その空隙率は50%であった。
【0054】これら膜・電極接合体と触媒層支持体とを
積層し、燃料電池単セル評価装置に組み込み、燃料に水
素ガス、酸化剤に空気を用い、常圧、セル温度70℃で
単セル特性試験を行った。水素ガスは80℃で加湿を行
い、空気は加湿せずそのままセルへ供給した。その結
果、0.5、1.0A/cm2 の電流密度のときのセル
出力電圧はそれぞれ0.62、0.50Vであった。
【0055】
【比較例1】実施例2で得られた架橋H型重合体のエタ
ノール溶液の代わりに市販「ナフィオン」の5重量%溶
液(溶媒は低級脂肪族アルコールと水の混合溶媒)を用
いた以外、実施例3と同様に触媒シート及び評価セルを
作製し、実施例3と同じ条件で燃料電池としての単セル
評価を行った。その結果、0.5、1.0A/cm2
電流密度のときのセル出力電圧はそれぞれ0.62V、
0.48Vであった。また、実際に「ナフィオン」の構
造のポリマーを既知の方法により合成したところ、本発
明のポリマーに比べ、極めて煩雑なものであった。
【0056】
【実施例4】FSO2 CF2 CF2 OCF(CF3 )C
OF36.4g(0.1mol)をテトラヒドロフラン
(THF)80mlで希釈した溶液を0℃に冷却してお
き、この中にナトリウムビス(トリメチルシリル)アミ
ドの1mol/リットルTHF溶液100ml(0.1
mol)を滴下した後、室温まで昇温し8時間反応させ
た。次にこの溶液を耐圧容器に移し、145℃で72時
間反応させた。室温まで放冷後、析出した重合体を濾別
した後ジエチルエーテル200mlで洗浄した。得られ
た重合体は実施例1と同様に精製し、淡黄色重合体1
4.5gを得た。この重合体の還元粘度は0.27dl
/g(30℃)であり重合体であることが確認できた。
また元素分析の結果、Naが6.3重量%(計算値6.
7重量%)含有されることがわかった。該重合体の赤外
吸収スペクトルを測定した結果、1688cm-1(C=
O)、1326cm-1(SO2 )、1198cm-1(C
−F)の吸収ピークが観測された。また該重合体の重メ
タノール溶液の19F−NMRスペクトルは実施例1の重
合体とほぼ同様であった。以上の測定結果から、(−S
2 CF2 CF2 OCF(CF3 )CONNa−)をユ
ニットとする重合体が生成していることが確認できた。
実施例1と同様の方法で測定した該重合体の室温におけ
るイオン伝導度は8×10-6S/cmであった。
【0057】
【比較例2】市販「ナフィオン」の5重量%溶液を炭酸
ナトリウムで中和し、ドライアップして「ナフィオン」
のナトリウム塩を調製した。該ナトリウム塩について、
実施例1と同様の方法で室温におけるイオン伝導度を測
定したところ、1×10-6S/cmであった。
【0058】
【実施例5】実施例2と同様に作製したH型重合体1.
0gを50mlのメタノールに溶解しておき、撹拌しな
がら0.12gの炭酸リチウムを加えた。室温で1時間
撹拌を続けた後にドライアップし、1.1gのリチウム
塩(Li型重合体)を得た。得られたリチウム塩をNM
Pに溶解して調整した溶液をステンレスシート上にキャ
ストして溶媒を蒸発させて乾燥膜厚25μmで重合体フ
ィルムを作製した。該フィルムを50℃に加熱したエチ
レンカーボネート(EC)に1分間浸漬した後含浸され
なかった過剰のECを拭き取って除去した。該フィルム
をステンレスシートで挟み込み室温におけるイオン伝導
度を測定した結果、8×10-5S/cmであった。測定
後、該高分子固体電解質の熱重量分析によって、重合体
フィルム中のEC含有量は22重量%であることがわか
った。
【0059】
【実施例6】水酸化リチウム、酸化コバルトを所定量混
合した後、750℃で5時間加熱して平均粒径10μm
のLiCoO2 粉末を合成した。該粉末とカーボンブラ
ックを、ポリビニリデンフルオライド(呉羽化学工業
(株)製、KF1100)のNMP溶液(5重量%)に
混合分散してスラリーを作製した。なお、スラリー中の
固形分重量組成は、LiCoO2 (85重量%)、カー
ボンブラック(8重量%)、ポリビニリデンフルオライ
ド(重量7%)とした。このスラリーをアルミホイル上
にドクターブレード法で塗布乾燥して膜厚115μmの
シートを作製した。ついで該シート上に実施例4で作製
したLi型重合体のNMP溶液(10重量%)を塗布し
て乾燥膜厚27μmとした。この塗布体を実施例4と同
様に50℃に加熱したECに1分間浸漬した後、含浸さ
れなかった過剰のECを拭き取って除去し、さらにこの
上に金属リチウムホイルを積層して、正極(LiCoO
2 )/Li型重合体(高分子固体電解質)/負極(金属
リチウム)の構成で電極積層体を構成した。ついで、電
極積層体の正極、負極にステンレス端子を取り付け、ガ
ラスセルの端子にそれぞれ接続してアルゴン雰囲気中で
封入した。該電池を充放電機(北斗電工製 101SM
6)を用い、電流密度0.1mA/cm2 で充放電を行
なった。充電後の電極間電位は4.2V(定電流充電後
4.2V定電位充電)であり充電が確認できた。また放
電はカットオフ電圧2.7V定電流放電で行った結果、
繰り返し充放電が可能であり2次電池として作動するこ
とがわかった。
【0060】
【発明の効果】本発明の新規機能性高分子は解離度の高
いイオン性基を高密度に有することで高いイオン伝導度
を有することから、これを液漏れのないポリマー電池の
高分子固体電解質として好適に用いることができる。ま
た、燃料電池用高分子電解質として用いたときには過電
圧による電圧低下が少なく、優れた性能を示す。さらに
従来材料よりも合成がはるかに容易であることから、産
業上好ましい。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に一般式(1)で表される構造を
    含有する重合体。 【化1】 (ここで、Xは−CO−{CF(CF3 )−O−C
    2 a −CFZ−SO2 −、または−SO2 −CFZ
    −{CF2 −O−CF(CF3 )}a −CO−で表され
    る2価基であり、Zはフッ素原子またはCF3 を表す。
    Yはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土
    類、アンモニウムまたは水素原子を表し、同一分子中に
    複数の種類を含んでいてもよい。aは1〜5の整数であ
    り、nは2以上の正の整数である。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の重合体を10〜100重
    量%の範囲で含有する高分子電解質。
  3. 【請求項3】 該重合体中に含まれるY全量の50〜1
    00%が水素原子であり、0〜50%が2価以上の金属
    である請求項1記載の重合体を10〜100重量%の範
    囲で含有するプロトン伝導型燃料電池用高分子電解質。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の高分子電解質を用いたプ
    ロトン伝導型燃料電池。
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