JP3885494B2 - 電子写真用黒色トナー組成物、電子写真用現像剤、画像形成方法 - Google Patents
電子写真用黒色トナー組成物、電子写真用現像剤、画像形成方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真法を利用または応用した複写機、プリンターに利用される画像形成方法で用いられる電子写真用黒色トナー組成物、それを用いた電子写真用現像剤及び画像形成方法に関するものであり、特にレーザビームを用いて潜像を形成するデジタルコピー機に適用する多色画像形成方法に用いられる電子写真用黒色トナー組成物、それを用いた電子写真用現像剤及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真現像プロセスにおいては、現像剤として結着剤樹脂中にカーボンブラック等の非磁性黒色顔料を混合分散させた黒色トナーが広く使用されている。従来、電子写真法において、光導電性感光体に形成された静電潜像をトナーを用いて可視化する現像方式は、2成分系現像法と1成分系現像法とに大別できる。2成分系現像法は、黒色トナーとキャリアとを摩擦して静電潜像と反対符号の電荷を黒色トナーに与えて、静電潜像表面に静電引力によって黒色トナーを付着せしめることにより現像する方式である。一方、1成分系現像法は、現像ロールに薄層トナー層を形成しそれによって静電潜像を可視化する方法である。キャリアを必要としないので現像剤中黒色トナーの濃度制御が不要で、しかも、現像機の構造が簡単で、小型化が可能であるという特徴がある反面、上記2成分系現像法と同等の性能を得るために、高度の技術が要求されている。1成分系現像法の一つとして、磁性粒子粉末を使用せずに結着剤樹脂中にカーボンブラック微粒子粉末を分散させた絶縁性乃至高抵抗黒色トナーを使用する、所謂、絶縁性非磁性トナー現像法がある。
【0003】
上記2成分系現像法及び上記絶縁性非磁性トナー現像法において使用する黒色トナーは、現在、複写機の主流を占めているPPC方式の場合、いずれも絶縁性乃至高抵抗性であることが必要であり、体積固有抵抗値が1012Ω・cm以上を有することが要求される。
【0004】
更に、絶縁性乃至高抵抗の黒色トナーは、現像に必要な帯電を保持することが必要であるため、前述した通り、1012Ω・cm以上の体積固有抵抗値を有することが強く要求される。これは低い体積固有抵抗値の場合、トナーの帯電電荷が漏洩し適正な帯電量を保持できなくなること、逆の電荷が注入され帯電量が低下する場合があり、これを抑制する為である。帯電量が低いとトナーキャリア間の引力が弱い為、現像部の攪拌、感光体との機械的衝撃力などによって、トナーが脱離し地カブリが発生する。逆に帯電量が高すぎるとキャリアに残り、感光体に移行するトナー量が少なくなり画像濃度が低下する。
【0005】
また、2成分系現像法のキャリアはトナーに適度な帯電性(帯電量、帯電分布)を付与すること、トナーの適度な帯電性を長期にわたって維持すること、そして湿度や温度の変化に対してもトナーの帯電性を変化させないことが重要であり、樹脂を表面にコートした種々のコートキャリアが提案されている。更に近年、高画質化の必要性から、ソリッド(ベタ)画像の再現性を改善する目的で特開平1−101560号公報、特開平1−105264号公報にコート膜中に導電性材料分散させ、キャリアの体積固有抵抗値を低下せしめる提案もなされている。しかし、キャリアの体積固有抵抗値が低下すると、トナーとキャリアが混合した現像剤としても抵抗が低下し、現像時にキャリアを介した現像電界による(トナー適正帯電と逆極性の)反対電荷のトナーへの注入が発生するようになり、帯電量の低下したトナー、あるいは逆極性帯電トナーによる地カブリが発生する。
【0006】
また、トナーの帯電電荷が放置により漏洩するようになる。例えば、複写機を1晩放置した直後にコピーをとると、放置により電荷漏洩し帯電量が低下しコピーに地カブリが発生する不具合が発生する。絶縁性乃至高抵抗の黒色トナーは、前述した通り、帯電を保ち得るだけの絶縁性、殊に、体積固有抵抗値が1012Ω・cm以上が必要であるが、黒色トナーの黒色度を高めるために黒色顔料の含有量を多くした場合にも黒色トナーの帯電量の低下を抑制できることが強く要求されている。即ち、黒色トナーの体積固有抵抗値をできるだけ高く維持するためには、黒色顔料の体積固有抵抗値をできるだけ高くすることが強く要求されている。
【0007】
現在、黒色トナーに使用する黒色顔料としては、主にカーボンブラック微粒子粉末が使用されている(特開平4−142561号公報、特開平10−39546号公報)。しかしカーボンブラック微粒子粉末を使用した場合、体積固有抵抗値が1012Ω・cm以上の黒色トナーを得るためには、カーボンブラック微粒子粉末が導電性を呈することに起因してその使用量が制限されるため、得られた黒色トナーは十分な黒色度が得られないという問題があった。カーボンブラック微粒子粉末は、それ自体導電性であって、体積固有抵抗値が10Ω・cm以下であるため、黒色度を高めるために多量に使用すると黒色トナーの体積固有抵抗値が低下し、絶縁性乃至高抵抗性トナーとして使用できなくなる。また、詳細には不明であるが、カーボンブラック微粒子粉末はトナー体積固有抵抗値が1012Ω・cm以上でも、前述の電荷の漏洩が比較的大きく地カブリが発生しやすい。これは、トナー表面を微視的にみた場合、カーボンブラック自体導電性である為、容易に電荷が移動するためと推測している。
【0008】
このようなカーボンブラックとマグネタイト粒子とをトナー中に混在させる提案がいくつかされている(特開平3−056973号公報、特開平6−067471号公報、特開平9−138527号公報)。特開平3−056973号公報、特開平9−138527号公報は磁化が大きい粒子を使いキャリアとトナー間、現像担持体とトナー間の束縛力を高めて現像担持体上からのトナー飛散を防止することが狙いである。しかし、これではトナーの磁化が強すぎトナーの現像量が低下してしまう。また、特開平6−067471号公報はトナーの帯電性を改善する目的であるが、カーボンブラックを含む為、前述の電荷の漏洩があり、トナーとキャリアと帯電させても放置するとトナー帯電量が低下する。例えば1昼夜放置後の1枚目コピーに地カブリが生じる問題がある。
【0009】
特に、二成分現像法の二成分現像剤ではトナーとキャリアを攪拌することによってトナーを摩擦帯電せしめるので、キャリアの特性、撹ハン条件を選定することによって、トナーの摩擦帯電量を相当程度制御できるので、画像品質の信頼性が高く優れている。しかし、前述のカーボンブラック微粒子粉末は電荷の漏洩が比較的大きく、それを用いたトナーは地カブリが発生しやすく、特に比較的低抵抗なキャリアと用いた場合さらに顕著になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、黒色顔料の含有量を多くした場合にも黒色トナーの帯電量の低下を抑制することが可能である高い体積固有抵抗値を有する黒色トナー用黒色顔料は、現在、最も要求されているところであるが、このような特性を有する黒色顔料は、未だ得られていない。
【0011】
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、高い体積固有抵抗値を有し、かつ黒色度が十分であり、地カブリが発生し難く、高品位な画質を得られる電子写真用黒色トナー組成物、それを用いた電子写真用現像剤及び画像形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
<1>少なくとも着色剤および結着樹脂を含むトナー粒子を含有してなる電子写真用トナー組成物において、前記トナー粒子が、前記着色剤として、磁化が40emu/g以下である金属酸化物を20重量%以下含有してなり、定着後の色座標におけるL*値が10〜25、a*値が−3.0〜3.0、b*値が−3.0〜3.0の範囲であることを特徴とする電子写真用黒色トナー組成物である。
<2>分光反射率400〜500nmの範囲に最大ピークを有する顔料をさらに含有することを特徴とする前記<1>に記載の電子写真用黒色トナー組成物。
<3>前記金属酸化物が、Tiを含有するマグネタイト粒子であることを特徴とする前記<1>に記載の電子写真用黒色トナー組成物。
<4>前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電子写真用黒色トナー組成物、及びキャリアを含有してなることを特徴とする電子写真用現像剤。
<5>潜像担持体表面を均一に帯電する帯電工程と、潜像担持体表面を露光し潜像を形成する露光工程と、現像剤担持体表面に形成されたトナーを含む現像剤からなる現像剤層により潜像担持体表面の潜像を現像してトナー画像を得る現像工程と、該トナー画像を転写体上に転写する転写工程、該転写体上のトナー画像を定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーの少なくとも1種が、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電子写真用黒色トナー組成物であることを特徴とする画像形成方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(電子写真用黒色トナー組成物)
電子写真用黒色トナー組成物は、少なくとも着色剤および結着樹脂を含むトナー粒子を含有してなり、前記着色剤として、磁化が40emu/g以下である金属酸化物を20重量%以下含有し、且つ定着後の色座標におけるL*値が10〜25、a*値が−3.0〜3.0、b*値が−3.0〜3.0の範囲であることを特徴とする。
【0014】
本発明の電子写真用トナーは、着色剤として、磁化が40emu/g以下である金属酸化物を20重量%以下含有し、且つ上記特定の色座標を満たすことで、高い体積固有抵抗値を有し、かつ黒色度が十分であり、地カブリが発生し難く、高品位な画質を得られる。特に、着色剤として磁化が40emu/g以下と、低いので、二成分現像剤として好適に用いることもでき、さらには、抵抗の低いキャリア用いても地カブリが発生し難く、高品位な画質を得られる。
【0015】
電子写真用黒色トナー組成物は、定着後の色座標におけるL*値が10〜25、a*値が−3.0〜3.0、b*値が−3.0〜3.0の範囲である。これら各値が、これらの範囲を外れると、良好な黒色度が得られない。さらに、黒色の色相を考慮すれば、L*値は10〜24が好ましく、15〜23がより好ましい。a*値は−2.5〜2.0が好ましく、−2.0〜1.0がより好ましい。b*値は−2.5〜2.0が好ましく、−2.5〜1.0がより好ましい。
【0016】
ここで、色座標は、各トナーによるソリッド画像をX−Rite938(光源D50の2度視野)により表色指数L*値、a*値、b*値をそれぞれ測定したものである。なお、a*値は赤味を表し、値が大きい程赤味が強いことを意味する。b*値は黄味を表し、値が大きい程黄味が強いことを意味する。L*値は明度を表す。また、ソリッド画像とはべた黒部を含む原稿複写、或いはべた黒部を含むソフト画像のプリントによって得られるものである。より具体的には、転写材(紙等)上のソリッド画像を形成するトナー量が、1×d(ここでdは使用するトナー粒子の体積平均粒径(μm)を示す)g/cm2である定着画像について測定する。
【0017】
電子写真用黒色トナー組成物において、色座標を上記範囲を満たす、即ち黒色の色相を調整し良好な黒色度とするには、トナー粒子に、着色剤として、磁化が40emu/g以下である金属酸化物を20重量%以下含有させる他、後述するように、例えば、他の金属原子を添加する、他の着色剤(顔料等)を併用することで行うことできる。
【0018】
以下、トナー粒子について説明する。
トナー粒子は、少なくとも着色剤および結着樹脂を含有してなるが、上述のように着色剤として、磁化が40emu/g以下である金属酸化物を20重量%以下含有する。
【0019】
金属酸化物は、着色剤としてトナー粒子中に20重量%以下含有してなるが、好ましくは、17重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。一方、5重量%を下回ると、良好な黒色度を得ることが困難となる場合があり好ましくない。この含有量が20重量%を超えると、地カブリが発生する。
【0020】
金属酸化物は、磁化が40emu/g以下であるが、好ましくは30emu/g以下である。この磁化が40emu/gより高いとトナーの磁性が強まり、現像量が低下したり、地カブリなどが発生する。なお、この磁化は、外部磁場10kOe時の値である。
【0021】
金属酸化物は、体積固有抵抗値が105Ω・cm(電圧100V/cm印加時)以上であることが好ましく、より好ましくは106Ω・cm(100V/cm時)以上である。この体積固有抵抗値が105Ω・cm未満であると、地カブリが発生してしまうことがある。
【0022】
ここで、体積固有抵抗は、以下のようにして測定した値である。エレクトロメーター(KEITHLEY社製、商品名:KEITHLEY610C)及び高圧電源(FLUKE社製、商品名:FLUKE415B)と接続された一対の20cm2の円形極板(鋼製)である測定治具の下部極板上に、サンプルを厚さ約1mm〜3mmの平坦な層を形成するように載置する。次いで上部極板をサンプルの上にのせた後、サンプル間の空隙をなくすため、上部極板上に4Kgの重しをのせる。この状態でサンプル層の厚さを測定する。次いで、両極板に電圧を印加することにより電流値を測定し、次式に基づいて体積固有抵抗を計算する。{体積固有抵抗=印加電圧×20÷(電流値−初期電流値)÷サンプル厚}、上記式中、初期電流は印加電圧0のときの電流値であり、電流値は測定された電流値を示す。
【0023】
金属酸化物は、粒状粒子であることが、トナー中の分散性の観点から好ましい。粒子の大きさは、平均粒径が0.02〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.5μmである。この粒径が0.02μm未満の場合は、微粒子であるため分散が困難となる。一方、2μmを越える場合には、粒子径が大きすぎるため良好な黒色度が得られにくい。粒子の粒子形状は、球状、八面体状、六面体状及び粒状等の球形度(平均最長径と平均最短径の比)が2未満の等方性粒子粉末や針状、紡錘状、米粒状等の軸比(平均長軸径と平均短軸径の比)2以上の異方性粒子粉末のいずれをも使用することができる。
【0024】
金属酸化物としては、酸化鉄、フェライト、チタンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、良好な体積固有抵抗値を示す観点からフェライトが好ましい。フェライトとしてはマグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、銅−亜鉛系フェライト等公知のものが挙げられ、これらの中でも、磁力調整の容易性の観点からマグネタイトが好ましい。このマグネタイトは、スピネル構造、ヘマタイト構造のいずれの構造物も用いることができるが、後述する着色剤(トナー)としての良好な黒色の色相を得る観点からヘマタイト構造であることが好ましい。
【0025】
金属酸化物には、上記磁化の範囲を満たす範囲内であれば、他の金属原子を含有せしめることも、黒色の色相を調整しより良好な黒色度を得る観点から好適である。他の金属原子としては、Ti、Cu、Znなどが挙げられるが、安全性の観点からTiが挙げられる。この他の金属原子の金属酸化物への添加量は、黒色の色相に応じて適宜選択されるが、5〜40重量%であることが好ましい。他の金属原子を含有せしめた金属酸化物として具体的には、例えばTiを含有せしめたマグネタイト粒子等が挙げられ、このマグネタイト粒子はより好適な黒色の色相を示す。
【0026】
ここで、Tiを含有するマグネタイト粒子の製造例を示すが、これらに限定されるわけではない。
Tiを含有するマグネタイト粒子の0.05〜2.0μmの八面体状粒子は、第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対して1.01〜1.3当量の水酸化アルカリ水溶液とを反応させて得られた水酸化第一鉄コロイドを含む懸濁液を、45〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気するマグネタイト生成反応により前記水酸化第一鉄コロイドを酸化してマグネタイト粒子を生成させることによってマグネタイト粒子を含む懸濁液とし、当該マグネタイト粒子を含む懸濁液にTi又はTiとFe2+とを水溶液の状態で添加して液中の全Fに対して8〜150原子%のTiを存在させた後、当該懸濁液を前記マグネタイト生成反応と同条件下で加熱酸化することによってマグネタイト粒子表面をTiの水酸化物又はTiとFeの水酸化物とによって被覆し、次いで、当該Tiの水酸化物又はTiとFeの水酸化物とを被覆したマグネタイト粒子を濾別、水洗、乾燥し、次いで、窒素雰囲気下600〜1000℃の温度範囲で加熱焼成することにより得る。
【0027】
Tiを含有するマグネタイト粒子の平均粒径が0.05〜2.0μmの球状粒子は、第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対して0.80〜0.99当量の水酸化アルカリ水溶液とを反応させて得られた水酸化第一鉄コロイドを含む懸濁液を、45〜100℃の温度範囲に加熱しながら酸素含有ガスを通気するマグネタイト生成反応により前記水酸化第一鉄コロイドを酸化してマグネタイト粒子を生成させることによってマグネタイト粒子を含む懸濁液とし、当該マグネタイト粒子を含む懸濁液にTi又はTiとFe2+とを水溶液の状態で添加して液中の全Fに対して8〜150原子%のTiを存在させた後、当該懸濁液を前記マグネタイト生成反応と同条件下で加熱酸化することによってマグネタイト粒子表面をTiの水酸化物又はTiとFeの水酸化物とによって被覆し、次いで、当該Tiの水酸化物又はTiとFeの水酸化物とを被覆したマグネタイト粒子を濾別、水洗、乾燥し、次いで、窒素雰囲気下600〜1000℃の温度範囲で加熱焼成することにより得る。
【0028】
Tiを含有するマグネタイト粒子の製造において、第一鉄塩水溶液としては、硫酸第一鉄、塩化第一鉄等を使用することができる。水酸化アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。また、反応の酸化手段としては、酸素含有ガス(例えば、空気)を反応懸濁液に通気することにより行なうことができ、攪拌機能が設置された反応器で行なうことが好ましい。
【0029】
トナー粒子は、上記金属酸化物の他に、着色剤として400〜700nmの範囲の分光反射率において600〜700nmの範囲に最大ピークをもたない顔料(以下、単に「顔料」ということがある)を含有することが好ましい。着色剤として上記金属酸化物と上記顔料とを併用することで、黒色の色相を調整できさらに良好な黒色度を得ることができる。具体的に、上記金属酸化物が、マグネタイト粒子(ヘマタイト構造)の場合を説明する。マグネタイト粒子(ヘマタイト構造)は、それ単独では色相が赤褐色乃至黒褐色を示す。これは分光反射率で説明すると500nm以上の波長の光に対する反射率が、500nm未満の反射率よりも高いことを意味する。これは構造由来の物性である。上述したように、このマグネタイト粒子に対し他の金属原子(例えばTi、Cu、Zn等)をドープすると黒色の色相が改善され好適である。さらに黒色の色相を調節し良好な黒色度を得るために、上記顔料を、マグネタイト粒子(ヘマタイト構造)と同時にトナー粒子内に存在せしめることで、マグネタイト粒子単独添加のトナー粒子では赤褐色乃至黒褐色である色相を調整できさらに良好な黒色度を得ることができる。
【0030】
ここで、顔料の分光反射率は、試料0.5gとヒマシ油0.7ccとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアーラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に6milのアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗料片について、X−Rite938(光源D50の2度視野)により測定することができる。
【0031】
顔料は、体積固有抵抗値が105Ω・cm以上(電圧100V/cm印加時)であることが電荷の漏洩を抑制する観点から好ましく、より好ましくは106Ω・cm以上(電圧100V/cm印加時)である。なお、この体積固有抵抗値は、上述と同様にして測定される値である。
【0032】
顔料は、400〜700nmの範囲の分光反射率において600〜700nmの範囲に最大ピークをもたない、即ち400〜500nmの範囲に最大ピークを有し、600〜700nmの範囲で分光反射率が小さいものであれば、任意の公知顔料が使用できる。具体的には、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、C.I.ピグメント・ブルー15:1、ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。さらに、C.I.Pigment Blue15:Fastogen Blue GS(大日本インキ社製)、Chromobine SR(日本精社製)、C.I.Pigment Blue16:Sumitone Cyamine Blue LG(住友化学社製)、C.I.Pigment Green7:Phthalocyanine Green(東洋インキ社製)、C.I.Pigment Green36:Cyanine Green 2YL(東洋インキ社製)、C.I.Pigment Blue15:13:Cyanine GGK(日本ピグメント社製)、C.I.Pigment Blue15:3:Lionol Blue FG−7351(東洋インキ社製)等も挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0033】
顔料のトナー粒子中への添加量は、0.1〜2.0重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%の範囲である。この添加量が0.1重量%未満だと色相の調整が十分でないことがあり、一方、2.0重量%より大きいとこの顔料自体の色相がでやすくなり好ましくない。
【0034】
トナー粒子には、着色剤として、上記金属酸化物や顔料の他に、上記特定の色座標を満たすのであれば、公知の着色剤を併用してもよい。
【0035】
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のa−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体あるいは共重合体が挙げられる。特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。さらに、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂、変性ロジン、パラフィン、ワックス類が挙げられる。この中でも、特にポリエステル樹脂を好適に用いられる。
【0036】
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂としてはポリオール成分とポリカルボン酸成分から重縮合により合成される。特に、ビスフェノールAと多価芳香族カルボン酸とを主単量体成分とした重縮合物よりなる線状ポリエステル樹脂が好ましく使用できる。ポリオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノール−Aエチレンオキサイド付加物、ビスフェノール−Aプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。ポリカルボン酸成分としては、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパンテトラメチレンカルボン酸およびそれらの無水物が挙げられる。
【0037】
結着樹脂としては、軟化点90〜150℃、ガラス転移点50〜75℃、数平均分子量2000〜6000、重量平均分子量8000〜150000、THF不溶のゲル分0〜30重量%、酸価0〜30、水酸基価0〜40を示す樹脂が特に好ましく使用できる。
【0038】
トナー粒子には、着色剤としての上記金属酸化物、結着樹脂の他に、内部添加剤として、良好な定着性を付与する公知にワックス、帯電を調整する公知の帯電制御剤、トナーの粉砕性や熱保存性を付与する公知の石油系樹脂等を含有してもよい。
【0039】
ワックスは、例えばパラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等である。誘導体とは酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物を含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も利用できる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤等が挙げられる。湿式製法でトナー粒子を製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。
石油系樹脂としては、石油類のスチームクラッキングによりエチレン、プロピレンなどを製造するエチレンプラントから副生する分解油留分に含まれるジオレフィンおよびモノオレフィンを原料として合成されたもの等が挙げられる。
【0040】
トナー粒子の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法に製造することができる。例えば、所定量の結着剤樹脂と所定量の着色剤とを混合、混練、粉砕による公知の混練法によって製造することができる。具体的には、着色剤と結着剤樹脂とを、必要により更に離型剤、荷電制御剤、その他の添加剤等を添加した混合物を混合機により十分に混合した後、加熱混練機によって樹脂等を溶融、混練して相溶化させ、次いで、冷却固化して樹脂混練物を得、該樹脂混練物を粉砕及び分級を行って所望の粒子サイズを有する黒色トナー粒子を得ることができる。上記混合機としては、ヘンシェルミキサー、ボールミル等を使用することができる。上記混練は、加熱混練機としては、三本ロール型、一軸スクリュー型、二軸スクリュー型、バンバリーミキサー型等の各種の加熱混練機を用いて行うことができる。上記混練物の粉砕は、例えばマイクロナイザー、ウルマックス、Jet−o−マイザー、KTM(クリプトン)、ターボミル、I式Jet−Mill等を用いて行われる。分級は、風力式のコアンダー効果を用いたエルボージェット等を用いて行われる。さらに、その後工程としてハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)等用いて、熱風を加えることで形状を変化することができ、熱風による球形化も可能である。
【0041】
トナー粒子の製造方法としては、他に懸濁重合法又は乳化重合法がある。懸濁重合法においては、着色剤と結着樹脂とを、必要により更に、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤を添加した混合物を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤を含む水相中に攪拌しながら添加して造粒し、重合させて所望の粒子サイズを有する黒色トナー粒子を形成することができる。乳化重合法においては、着色剤と結着樹脂とを、必要により更に重合開始剤などを水中に分散させて重合を行う過程に乳化剤を添加することによって所望の粒子サイズを有する黒色トナー粒子を形成することができる。
【0042】
本発明の電子写真用トナーは、トナー粒子の他に、外部添剤含む、即ち外部添加剤を用いてトナー粒子表面を外添処理してもよい。例えば、外部添加剤として、トナーの長期保存性、流動性、現像性、転写性をより向上させる為に、トナー粒子表面に無機粉、樹脂粉を単独又は併用して添加する。このような無機粉としては例えば、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛等が挙げられる。樹脂粉としてはPMMA,ナイロン、メラミン、ベンゾグアナミン、フッ素系等の球状粒子、そして、塩化ビニリデン、脂肪酸金属塩等の不定形粉末等が挙げられる。これら外部添加剤の添加量は0.1〜4重量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜3重量%である。
【0043】
本発明の電子写真用トナーにおいて、トナー粒子と外部添加剤との混合は、公知の方法によって行うことができる。具体的には、トナー粒子と外部添加剤とを混合機により十分に混合することによって得ることができる。前記混合機としては、ヘンシェルミキサー、ボールミル等を使用することができる。
【0044】
(電子写真用現像剤)
本発明の電子写真用現像剤は、前記本発明の電子写真用トナーとキャリアとを含有してなる。本発明の電子写真用現像剤は、上述したように前記本発明の電子写真用トナーを用いることで、黒色度が十分であり、地カブリが発生し難く、高品位な画質を得られる。
【0045】
キャリアは、公知のキャリアであれば特に制限されるものでなく、鉄粉系キャリア、フェライト系キャリア、表面コートフェライトキャリア等が挙げられる。さらに、表面コートキャリア等も好適に挙げれる。
【0046】
キャリアは、適正現像重量が得られやすいときのトナー濃度(37×d/D(wt%):ここで、dはトナー粒子の体積平均粒径(μm)を示す、Dはキャリアの体積平均粒径(μm)を示す。)における磁気ブラシ現像剤層のスリーブ長手方向単位長さ当たりの抵抗(以下、「電気抵抗値」という)が2.0V/μmの電界強度下で6.2×104〜1.0×1015Ωの範囲にあることが好ましく、より好ましくは6.2×104〜1.0×1010Ωの範囲である。このように電気抵抗値を制御することにより、ソリッド画像部の再現性が良好で、かつ低濃度部から高濃度部に至る領域で、画像抜け、ブラシマークの発生を防止することができる。この電気抵抗値が1.0×1015Ωよりも高くなると、ハーフトーンとソリッド画像が接する境界においてハーフトーン後端部抜けが顕著になりことがあり、6.2×104Ωよりも低くなると、同様にブラシマークが発生することがある。このような、電気抵抗の低いキャリア用いても、上述したように上記本発明の電子写真用トナーと併用することで、地カブリが発生し難く、高品位な画質を得られる。
【0047】
ここで、キャリアの電気抵抗値は、実際の現像ニップ構成での電気抵抗であり、現像スリーブ上に磁気ブラシ層を形成させ、感光体と同一サイズのアルミニウムパイプを実際の現像ニップと同じ配置になるように対向させ、スリーブおよびアルミニウムパイプ間に直流電圧を印加し、流れる電流から求めた抵抗を、現像剤で覆われるスリーブ長(単位:cm)で割った値である。
【0048】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、潜像担持体表面を均一に帯電する帯電工程と、潜像担持体表面を露光し潜像を形成する露光工程と、現像剤担持体表面に形成されたトナーを含む現像剤からなる現像剤層により潜像担持体表面の潜像を現像してトナー画像を得る現像工程と、該トナー画像を転写体上に転写する転写工程、該転写体上のトナー画像を定着する定着工程とを含み、前記トナーの少なくとも1種として、請求項1に記載の電子写真用黒色トナー組成物を用いる。本発明の画像形成方法は、上述したように前記本発明の電子写真用黒色トナー組成物を用いることで、黒色度が十分であり、地カブリが発生し難く、高品位な画質を得られる。また、その他の公知の工程を任意に含んでもよい。
【0049】
潜像担持体としては、感光層として、有機系、アモルファスシリコン等公知のものが使用できる。静電潜像担持体が円筒状の場合は、アルミニウム又はアルミニウム合金、SUS等を押出し成型後、表面加工する等の公知の製法により得られるが、近年の装置の小型化、低価格化の観点からは、直径50mm以下の小径ものが好ましく用いられる。またベルト状の静電潜像担持体を用いることも可能である。
【0050】
帯電工程は、コロトロン等による非接触帯電および帯電ロールや帯電フィルム、ブラシ等の接触帯電など従来公知の方法が適用できるが、オゾン発生量の点から接触帯電器が好ましく用いられる。
【0051】
露光工程は、従来公知の方法が適用でき、電子写真法あるいは静電記録法によって、感光層あるいは誘電体層等の潜像担持体の上に潜像を形成する。
【0052】
現像工程は、現像剤担持体表面に形成されたトナーを含む現像剤からなる現像剤層を現像ニップまで搬送し、現像剤層と静電潜像保持体とを現像部にて接触または一定の間隙を設けて配置し、現像剤担持体と潜像保持体との間にバイアスを印加しながら静電潜像をトナーで現像する。現像剤としてはキャリアを用いてトナーを帯電させる二成分現像剤または、トナーを現像剤担持体上に弾性ブレード等を用いて薄層形成し帯電させる一成分現像剤が用いられる。
【0053】
転写工程は、静電潜像保持体に転写ローラー、転写ベルト等を圧接させトナー画像を転写体に転写する接触型転写やコロトロン等を用いて転写体に転写する非接触型ものが用いられる。
【0054】
定着工程は、転写体に転写されたトナー画像を定着器にて定着する。定着手段としては、ヒートロール或いはベルトを用いる熱定着方式が好ましく用いられる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。なお、文中、「部」とは「重量部」を意味する。実施例における各値は、上述に従って測定された値である。
【0056】
<黒色粉末A(Ti含有マグネタイト粒子)>
平均粒子径が0.25μm、蛍光X線分析の結果、Ti含有量は12.5重量%。磁性は、外部磁場10kOeを印加した時の磁化値が14.4emu/g、体積固有抵抗値1.8×108Ω・cmの黒色粉末Aを用いた。
<黒色粉末B(Ti含有マグネタイト粒子)>
平均粒子径が0.25μm、蛍光X線分析の結果、Ti含有量は14.3重量%。磁性は、外部磁場10kOeを印加した時の磁化値が25.4emu/g、体積固有抵抗値2.8×108Ω・cmの黒色粉末Bを用いた。
<黒色粉末C(マグネタイト粒子)>
平均粒子径が0.2μm、磁性は、外部磁場10kOeを印加した時の磁化値が84emu/g、体積固有抵抗値5.8×107Ω・cmの黒色粉末Cを用いた。
【0057】
<トナー粒子1>
―組成物―
・線状ポリエステル ・・・・・・79.5部
(テレフタル酸/ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物/シクロヘキサンジメタノールから選られた線状ポリエステル:Tg=62℃、Mn=4,000、Mw=35,000、酸価=12、水酸価=25)
・黒色粉末A ・・・・・・15部
・C.I.Pigment Blue15:3 ・・・・・・0.5部
(Lionol Blue FG−7351、東洋インキ社製、分光反射率最大ピーク値460nm)
・精製粒状カルナバワックス ・・・・・・5部
(東亜化成製)
【0058】
上記組成に従った混合物を、エクストルーダーで混練し、表面粉砕方式の粉砕機で粉砕した後、風力式分級機で細粒、粗粒を分級しd50=9.5μmの黒トナー粒子1を得た。体積固有抵抗値が6.6×1014Ω・cmであった。
【0059】
<トナー粒子2>
トナー粒子1においてC.I.Pigment Blue15:3をC.I.Pigment Blue15(Fastogen Blue GS、大日本インキ社製、分光反射率最大ピーク値460nm)に代えた以外は、トナー粒子1と同様にして作製し、d50=6.1μmの黒トナー粒子2を得た。体積固有抵抗値が5.8×1014Ω・cmであった。
【0060】
<トナー粒子3>
―組成―
・線状ポリエステル ・・・・・・89.5部
(テレフタル酸/ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物/ビスフェノールA・プロピレンオキシド付加物/シクロヘキサンジメタノールから選られた線状ポリエステル:Tg=70℃、Mn=4,600、Mw=38,000、酸価=11、水酸価=23)
・黒色粉末B ・・・・・・10部
・C.I.Pigment Blue15:3 ・・・・・・0.3部
(Lionol Blue FG−7351、東洋インキ社製、分光反射率最大ピーク値460nm)
【0061】
上記組成に従った混合物を、予備混合した後、エクストリューダーで混錬し、ジェットミルで粉砕した。風力式分級機で分級して、d50=8.1μmの黒トナー粒子3を得た。体積固有抵抗値が2.3×1015Ω・cmであった。
【0062】
<トナー粒子4>
トナー3において黒色粉末Aを10部から20部、線状ポリエステルを89.5部から79.5部に変えた以外は、トナー粒子3と同様にして作製し、d50=5.8μmの黒トナー粒子4を得た。体積固有抵抗値が2.6×1014Ω・cmであった。
【0063】
<トナー粒子5>
トナー粒子1においてC.I.Pigment Blue15:3を除いた以外は、トナー粒子1と同様にして作製し、d50=7.5μmの黒トナー粒子5を得た。体積固有抵抗値が5.6×1014Ω・cmであった。
【0064】
<トナー粒子6>
―組成―
・線状ポリエステル ・・・・・・83部
(テレフタル酸/ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物/ビスフェノールA・プロピレンオキシド付加物/シクロヘキサンジメタノールから選られた線状ポリエステル:Tg=70℃、Mn=4,600、Mw=38,000、酸価=11、水酸価=23)
・カーボンブラック ・・・・・・10部
(BPL、キャボット社製)
・低分子量ポリエチレン ・・・・・・7部
【0065】
上記組成に従った混合物を、予備混合した後、エクストリューダーで混錬し、ジェットミルで粉砕した。風力式分級機で分級して、d50=8.3μmの黒トナー粒子6を得た。体積固有抵抗値が4.6×1014Ω・cmであった。
【0066】
<トナー粒子7>
トナー粒子1において黒色粉末Aを黒色粉末Cに変えた以外は、トナー粒子1と同様にして作製し、d50=8.7μmの黒トナー粒子7を得た。体積固有抵抗値が2.5×1014Ω・cmであった。
【0067】
<トナー1〜7>
上記得られた各トナー粒子100部に対して負帯電性シリカ1.0部、負帯電性チタニア0.6部を添加して外添トナー1〜7を得た。
【0068】
<キャリアA>
マイクロトラックによる粒子径で体積平均粒径35μm、3000エルステッドにおける飽和磁化、残留磁化および保持力が、それぞれ70emu/g、2emu/gおよび12エルステッドのフェライト粒子100重量部、スチレン−メチルメタクリレート共重合体0.5重量部、トルエン14重量部を真空脱気型ニーダーに入れ、温度90℃において30分撹拌した後、減圧してトルエンを留去して、被膜層を形成してキャリアAを得た。
【0069】
<キャリアB>
マイクロトラックによる粒子径で体積平均粒子径35μm、3000エルステッドにおける飽和磁化、残留磁化および保持力が、それぞれ70emu/g、2emu/gおよび12エルステッドのフェライト粒子100重量部、スチレン−メチルメタクリレート共重合体1.2重量部、トルエン14重量部を真空脱気型ニーダーに入れ、温度90℃において30分撹拌した後、減圧してトルエンを留去して、被膜層を形成してキャリアBを得た。
【0070】
(実施例1〜8、比較例1〜5)
上記得られたトナー粒子1〜7及びキャリアA〜Cを用い、表1に従って、それぞれキャリア100部に対してこの外添トナー8部を添加、混合して現像剤を得て、実施例1〜8、比較例1〜5の現像剤とした。
【0071】
(評価)
得られた現像剤について、次の評価を行った。結果を表1に示す。なお、比較例3に関しては、適正な画像が得られなかったため、色座標、帯電量、1晩放置後の帯電量、地カブリについては評価を行うことができなかった。
―キャリアの初期電気抵抗値―
キャリアの初期電気抵抗値は、上述に従って磁気ブラシ現像剤層のスリーブ長手方向単位長さ当たりの抵抗を測定した。
―ソリッド画像濃度―
市販の電子写真複写機(A−Color630、富士ゼロックス社製)を用いて湿度85%、温度28℃の環境下で1000枚のコピーテストを行った後、1000枚目のソリッド画像濃度を、X−Rite938(光源D50の2度視野)により測定した。
【0072】
―色座標―
市販の電子写真複写機(A−Color630、富士ゼロックス社製)を用いて湿度85%、温度28℃の環境下で1000枚のコピーテストを行った後、転写材(紙等)上のソリッド画像を形成するトナー量が、1×d(ここでdは使用するトナー粒子の体積平均粒径(μm)を示す)g/cm2となるように現像バイアスを調整して得たソリッド画像の色座標を、上述に従って測定した。
【0073】
―1000枚プリント後の帯電量、1晩放置後の帯電量、地カブリ―
市販の電子写真複写機(A−Color630、富士ゼロックス社製)を用いて湿度85%、温度28℃の環境下で1000枚のコピーテストを行った後、各現像剤をサンプリングし帯電量を測定した。そのまま複写機を1晩放置し、翌日、各現像剤をサンプリングし再び帯電量を測定し、1枚目のコピーの地カブリを観察した。帯電量は、TB200(東芝社製)による測定値である。地カブリはコピーの目視による観察結果。
―3000枚プリント後の帯電量、1晩放置後の帯電量、地カブリ―
30000枚のコピーテストを行った後、各現像剤をサンプリングし帯電量を測定した。そのまま複写機を1晩放置し、翌日、各現像剤をサンプリングし再び帯電量を測定し、1枚目のコピーの地カブリを観察した。帯電量は、TB200(東芝社製)による測定値である。地カブリはコピーの目視による観察結果。
【0074】
【表1】
【0075】
(評価2)
得られた現像剤(トナー1〜7)を用い、市販の電子写真複写機(A−Color630、富士ゼロックス社製)を用いて湿度85%、温度28℃の環境下で1000枚のコピーテストを行った後、1000枚後のソリッド画像の分光反射率を、上述で示した顔料の分光反射率と同様にして測定した。その結果を図1に示す。
【0076】
これら、実施例、比較例から、トナー1〜4は定着画像ソリッドの分光反射率でわかるように400〜700nm各波長で同じような反射率を示しており色相は満足のいく黒であり、長期にわたるコピーテストにおいてもソリッド部およびハーフトーン部の再現性が良好あった。また、安定した帯電量も示した。一方、トナー5は分光反射率において550nmから反射率が明らかに高くなり色相は黒褐色を呈しており満足できるものでなかった。また、トナー6の色相は満足のいく黒であったが、実機テストにおいて30000枚コピーテスト後の1晩放置で大きく帯電量が低下しコピーにも地カブリが生じていた。トナー7は帯電量がさほど高くないが現像量が低く画像濃度も低い低品位なものであった。
【0077】
このため、上記特定の金属酸化物を着色剤として用い、且つ定着後の色座標が特定の範囲満足する電子写真用トナーを用いることで、地カブリがなく、高品質の黒画像を得ることがわかる。また、ソリッド部およびハーフトーン部の再現性が良好であり高画質の画像を得ることわかる。
【0078】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、高い体積固有抵抗値を有し、かつ黒色度が十分であり、地カブリが発生し難く、高品位な画質を得られる電子写真用黒色トナー組成物、それを用いた電子写真用現像剤及び画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるトナー1〜7を用いたソリッド画像の分光反射率を示す図である。
Claims (5)
- 少なくとも着色剤および結着樹脂を含むトナー粒子を含有してなる電子写真用トナー組成物において、前記トナー粒子が、前記着色剤として、磁化が40emu/g以下である金属酸化物を20重量%以下含有してなり、定着後の色座標におけるL*値が10〜25、a*値が−3.0〜3.0、b*値が−3.0〜3.0の範囲であることを特徴とする電子写真用黒色トナー組成物。
- 分光反射率400〜500nmの範囲に最大ピークを有する顔料をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用黒色トナー組成物。
- 前記金属酸化物が、Tiを含有するマグネタイト粒子であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用黒色トナー組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用黒色トナー組成物、及びキャリアを含有してなることを特徴とする電子写真用現像剤
- 潜像担持体表面を均一に帯電する帯電工程と、潜像担持体表面を露光し潜像を形成する露光工程と、現像剤担持体表面に形成されたトナーを含む現像剤からなる現像剤層により潜像担持体表面の潜像を現像してトナー画像を得る現像工程と、該トナー画像を転写体上に転写する転写工程、該転写体上のトナー画像を定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーの少なくとも1種が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用黒色トナー組成物であることを特徴とする画像形成方法。
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