JP3884726B2 - 導電性ベルト及びその製造方法 - Google Patents
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本発明は、導電性ベルト及びその製造方法に関し、詳しくは、湿式現像方式の電子写真装置用の中間転写ベルトとして好適に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置の中間転写ベルト等に用いられる導電性ベルトは、カーボンブラック等の導電性フィラーにより導電性が付与される場合と、ウレタンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム等のイオン導電性ゴムやイオン導電剤により導電性が付与される場合とがある。
【0003】
例えば、特開平8−110711号公報(特許文献1)では、電子導電性フィラーの配合によって体積抵抗率が調整された電子導電系半導電性合成樹脂材料を用いて形成した電子導電系半導電層と、イオン導電剤の配合によって体積抵抗率が調整されたイオン導電系半導電性材料を用いて形成したイオン導電系半導電層とを積層せしめて構成した導電性プラスチックベルトが提案されている。
【0004】
また、最近のプリンター等の高速化に対処してベルトスピードの変化を少なくするために、ベルトの高弾性率化が要求されている。そこで、本出願人は、特開2002−229345号公報(特許文献2)では、引張弾性率が500MPa以上で電子導電性を有し、且つ体積抵抗率を106〜1011Ω・cmとした樹脂製のベース層と、JIS A硬度が70以下でイオン導電性を有し体積抵抗率を108〜1014Ω・cmとしたエラストマー製の中間層と、非電子導電性であり樹脂製の表面コーティング層とを備えた3層構造の導電性ベルトを提案している。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−110711号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2002−229345号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、電気的特性の経時変化が低減されているものの、ベルトが、トナーと溶媒とを含む液体現像剤を使用する湿式画像形成装置の中間転写ベルトに用いられると、液体現像剤の溶媒によりベルトの各層が膨潤し、著しく耐久性が悪くなるという問題がある。
【0008】
一方、特許文献2の導電性ベルトは、高弾性率のベース層を備えておりベルトスピードの変化を少なくしているものの、ブレードによる表面クリーニングや転写時の圧力等により、表面コーティング層が摩耗したり剥離したりすることも考えられ、ベルト表面の耐久性において未だ改善の余地がある。
【0009】
以上のように、導電性ベルトには、液体現像剤の溶媒による膨潤が生じず、かつ、中間転写ベルト等として用いた場合に、良好な転写性を実現する電気特性が要求されている。
【0010】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、湿式現像方式の電子写真装置用のベルトとして用いた場合に、その外周面からベルト内部への溶媒の進入が低減され、長期に渡って優れた耐久性が得られる導電性ベルトを提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、第一の発明として、樹脂製のベース層と、該ベース層の外周側に配置されるゴム製の弾性層とからなる2層構造とし、
上記ベース層は、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂を用いて形成されていると共に、上記弾性層は、フッ素ゴムを用いて形成され、上記ベース層と上記弾性層は共に導電性フィラーとしてカーボンブラックが3〜40重量部配合されることにより導電性が付与された電子導電性とし、
上記ベース層は、引張弾性率を2000MPa以上5000MPa以下とし、内周面の表面電気抵抗率を106Ω/□以上1012Ω/□以下とし、かつ、
上記弾性層は、JIS A硬度を30以上70以下とし、体積抵抗率を106Ω・cm以上1012Ω・cm以下とし、n−デカンに23℃、24時間浸漬したときの体積膨潤率を3%以下とし、湿式現像方式の電子写真装置の中間転写ベルトとして用いられることを特徴とする導電性ベルトを提供している。
また、第二の発明として、カーボンブラックと分散剤を添加したポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂の前駆体溶液からなる原料Aを原料供給手段であるディスペンサーのノズルの先端から、円筒状の金型を回転させながら、該金型の外周面に連続的に供給し、ノズルを金型の軸線方向に移動させて、原料Aを金型の外周面の所要範囲に均一な厚みで塗布し、金型を回転させながら加熱して硬化させてベース層を形成した後、
カーボンブラックと分散剤を添加したフッ素ゴム溶液からなる原料Bを、上記ベース層の外周面に連続的に供給し、ノズルを金型の軸線方向に移動させて、原料Bを金型の外周面の所要範囲に均一な厚みで塗布し、金型を回転させながら加熱して硬化させて弾性層を形成している導電性ベルトの製造方法を提供している。
【0012】
上記本発明の導電性ベルトでは、表面にコーティング層を設けずに、弾性層を表面層としているため厚み方向に柔軟性を有し、かつ、表面コーテイング層を設けた場合に発生するブレードによる表面クリーニング、転写時の圧力により表面コーテイング層が摩耗したり剥離したりする従来の問題を解決することができる。
特に、表面の弾性層がフッ素ゴムを用いて形成されているため、湿式現像方式の電子写真装置の中間転写ベルトとして用いた場合、パラフィン溶媒等の液体現像剤の溶媒に対して安定し、溶媒に対する膨潤率を低減することができる。
【0013】
さらに、ベース層は、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂を用いて形成されているため、適度な剛性を有しておりベルト使用時にベルトに伸びが生じることもない。
このため、フッ素ゴムを用いて形成される弾性層をベース層の外周面上に配置した2層構造とすると、厚み方向に対する柔軟性とベルト強度を維持しながら、接触による表面の摩耗が極力抑えられ、長期に渡って良好な耐久性を実現することができる。
【0014】
また、ベース層及び弾性層は、導電性フィラーにより導電性が付与された電子導電性であるため、フッ素ゴムやポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂の上記性能を低下させることなく、所望の表面電気抵抗率や体積抵抗率に調整することを可能としている。
以上より、上記弾性層と、上記ベース層とからなる2層構造の本発明の導電性ベルトは、電気特性を維持しながら、優れた耐久性を実現することができる。
【0015】
上記弾性層は、液体現像剤の溶媒に対する膨潤率を3%以下としている。
上記範囲とすると、ベルトの外周面からベルト内部への溶媒の進入が低減され、溶媒による膨潤及び外周面の機械的な劣化を防止でき、優れた耐久性を得ることができる。また、ベース層の該溶媒に対する膨潤率は3%以下が好ましい。
なお、従来公知の液体現像剤の溶媒の中でも、パラフィン溶媒は、比較的低コストで、安全性、臭気性にも優れているため好適である。
【0016】
ベース層の引張弾性率を2000MPa以上5000MPa以下とすることにより、ベルトの伸びが押さえられ、ベルトスピードの変化を少なくすることができると共に、画像の色ずれを防止することができ良好な画像を得ることができる。 また、ベース層の内周面の表面電気抵抗率を106Ω/□以上1012Ω/□以下とすることにより、転写後にベルトに残存する電荷を効率良く除却する作用が働き、残存電荷が画像形成に及ぼす悪影響を防止することができる。
【0017】
上記弾性層のJIS A硬度を30以上70以下とすることにより、転写ニップ幅が大きく、かつ良好な体積抵抗率を実現でき、表面が粗いラフ紙に対しても良好な転写特性を得ることができ、良好な画像を得ることができる。
また、弾性層の体積抵抗率を106Ω・cm以上1012Ω・cm以下とすることにより、画像形成装置の中間転写ベルト等の導電性ベルトとして好適な電気特性を有することとなり、良好な画像を得ることができる。
【0018】
ベース層及び弾性層に配合される導電性フィラーとしては、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックを用いている。その他、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、チタン酸カリウム、アンチモンドープ酸化チタン、酸化スズ、グラファイト等の導電性金属酸化物、カーボン繊維等を併用してもよい。
上記範囲の表面電気抵抗率や体積抵抗率を付与するために配合する導電性フィラーとしてのカーボンブラックの量は、導電性フィラーの種類やベース層として用いられる樹脂にもよるが、樹脂又はゴムの固形分100重量部に対して3重量部〜40重量部としている。なお、液状の樹脂又はゴム中に配合する場合には、分散剤を配合し導電性フィラーを均一に分散している。
【0019】
弾性層は、液状フッ素ゴムをベース層の外周面に塗工し加熱硬化して形成している。これにより、均一な厚みで強度も良好な弾性層とすることができる。特に、ディスペンサーにより、塗布する原料をノズルの先端から連続的に供給して均一な厚みに塗布している。その他、弾性層の塗工方法としては、ロールコータ、バーコート、スプレーコート、静電塗装、ディップコート等による方法も挙げられる。
【0020】
また、ベース層は、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂の前駆体溶液を上記同様に金型の外周面に塗工し加熱硬化して形成している。ベース層は、その他、遠心成形や押出成形等により形成することもできる。
【0021】
ベース層と弾性層とは、プライマーを介して接着しても良く、これにより、良好な密着性を得ることができる。具体的には、弾性層を塗布形成する前に、ベース層の表面にプライマーを塗布しておくことが好ましい。
【0022】
ベース層の厚みは50μm〜150μm、さらには70μm〜110μmであるのが好ましい。弾性層の厚みは25μm〜400μm、さらには50μm〜300μmであるのが好ましい。これにより、ベルト全体として良好な柔軟性と強度が得られる上に、ベース層と弾性層との接着性も良好なものとなる。なお、弾性層の厚みは、ベース層の厚みよりも大きい方が好ましい。
【0023】
弾性層の外周面の表面粗さはRzは2μm以下が好ましい。これにより、残留トナーのクリーニング性をより良好なものとすることができる。表面粗さRzとは、JIS B0601に定義された材料の表面粗さを表すパラメータである。
【0024】
上記のように本発明の導電性ベルトは、液体現像剤の溶媒に対する膨潤率が小さく耐久性に優れ、長期に渡り高画質を得ることができるため、湿式画像形成装置の中間転写ベルトとして好適に用いることができる。その他、画像形成装置の転写ベルト、定着ベルト、現像ベルト、搬送ベルト等として用いることもできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の導電性ベルト1を示す。
導電性ベルト1の全体形状は略円筒状であるが、可撓性に富んでおり自重等で自在に変形し得るので、種々の形状となり得る。図1では、2つの軸間に張設された場合が想定された全体形状、即ち、進行方向における断面が略長円形状を示している。導電性ベルト1を中間転写ベルトとして用いた場合、外周面1aにトナーが付着し、内周面1bはベルトの回転中に駆動軸や従動軸等と直接接触する。
【0026】
導電性ベルト1は、図1(B)に示すように、樹脂製のベース層1Aと、ベース層1Aの外周側に配置されるゴム製の弾性層1Bとからなる2層構造としている。
【0027】
ベース層1Aは、ポリアミドイミド樹脂を用いて形成され、引張弾性率を2700MPaとし、適度な剛性を有し、導電性フィラーであるカーボンブラックにより導電性が付与された電子導電性であり、内周面の表面電気抵抗率を1.58×1010Ω/□としている。また、ベース層1Aは、パラフィン溶媒に対する膨潤率が0.2%であり、厚みは80μmとしている。ベース層1Aは、ポリアミドイミドワニスにカーボンブラックを均一に分散させたものを円筒状金型の外周面に塗工し加熱硬化して形成されている。
【0028】
弾性層1Bは、フッ素ゴムを用いて形成され、JIS A硬度を65とし、導電性フィラーであるカーボンブラックにより導電性が付与された電子導電性であり、体積抵抗率を3.16×1011Ω・cmとしている。弾性層1Bは、パラフィン溶媒に対する膨潤率が2.2%であり、厚みは200μmとしている。弾性層1Bは、溶媒に溶解させた液状フッ素ゴムにカーボンブラックを均一に分散させたものをベース層の外周面に塗工し加熱硬化して形成されている。
【0029】
以下、本発明の導電性ベルトの製造方法について詳述する。
まず、導電性を付与するためにカーボンブラックと分散剤を添加したポリアミドイミド樹脂の前駆体溶液からなる原料Aを予め調整しておく。
この原料Aを原料供給手段であるディスペンサーのノズルの先端から、円筒状の金型の外周面に連続的に供給し、金型を回転させながら、ノズルを金型の軸線方向に移動させて、原料Aを金型の外周面の所要範囲に均一な厚みで塗布する。該方法により金型の外周面上に塗布された原料Aを250℃で2時間、金型を回転させながら加熱して硬化させてベース層を得る。
【0030】
次に、導電性を付与するためにカーボンブラックと分散剤を添加したフッ素ゴム溶液からなる原料Bを、上記ベース層の外周面に、上記同様の方法により均一な厚みで塗布する。ベース層の外周面上に塗布された原料Bを150℃で1時間、金型を回転させながら加熱して硬化させて弾性層を得る。
このようにベース層と弾性層とからなる2層構造のベルトを金型上に形成した後、常温まで冷却後、金型から脱型して導電性ベルトを作製している。
【0031】
図2は、電子写真方式の湿式画像形成装置10の模式図であり、本発明の導電性ベルトを中間転写ベルト11として用いている。
湿式画像形成装置10は、中間転写ベルト11、感光体12、感光体12を帯電させる帯電器13、画像を画像形成媒体17に定着させる定着ローラ14、4色の液体現像剤15(15a、15b、15c、15d)、画像形成媒体供給トレー16、感光体12上を洗浄するクリーニングブレード18、転写ローラ19を備えている。本実施形態では、液体現像剤15の溶媒をパラフィン系オイルとしている。
【0032】
湿式画像形成装置10によって画像が形成される場合、まず、感光体12が図中の矢印の方向に回転し、感光体12が帯電器13により帯電された後に、レーザーLが感光体12の非画像部を露光して除電され、画線部に相当する部分が帯電した状態になる。
次に、液体現像剤15aが感光体12上に供給されて、帯電画線部に液体現像剤15aが付着し1色目の画像が形成される。この液体現像剤15aの画像は中間転写ベルト11上へ転写する。同様にして、感光体12上に形成された液体現像剤15b〜15dの各色の画像が中間転写ベルト11上に転写され、中間転写ベルト11上に4色の液体現像剤15(15a〜15d)からなるフルカラー画像が一旦形成される。
その後、画像形成媒体供給トレー16から画像形成媒体17が送られ、このフルカラー画像は、転写ローラ19により中間転写ベルト11から、画像形成媒体17上へ転写される。その後、所定の温度に加熱されている定着ローラ14を通過することで画像が画像形成媒体17の表面へ定着される。
【0033】
本発明の導電性ベルトである中間転写ベルト11は、ベース層の引張弾性率が高い上に、弾性層は優れた柔軟性を有しており、表面粗さが大きいラフ紙等への転写性能も良好であり、良好な画像を得ることができる。また、液体現像剤の溶媒に対する膨潤率も小さいため、長期に渡って使用を繰り返しても溶媒によりベルトが膨潤することがなく、良好な耐久性を実現することができる。
【0034】
以下、本発明の導電性ベルトの実施例、比較例について詳述する。
【0035】
(実施例1)
表1に記載のベース層[ 1 ]と弾性層[ 1 ]とからなる2層構造の導電性ベルトとした。
ベース層[ 1 ]は、トリメリット酸とジフェニルメタンジイソシアネートから合成したポリアミドイミドワニスにカーボンブラック及び分散剤を配合しビーズミルで均一に分散させたものを円筒状金型に塗工し加熱硬化して形成した。カーボンブラックは樹脂固形分100重量部に対して20重量部配合した。
弾性層[ 1 ]は、溶媒に溶解させたフッ素ゴム(ダイキン工業(株)製、DPS−231RD)にカーボンブラック及び分散剤を配合しビーズミルで均一に分散させたものをベース層1の外周面に塗工し加熱硬化して形成した。カーボンブラックはゴム固形分100重量部に対して18重量部配合した。
上記実施形態と同様の方法で導電性ベルトを作製した。なお、後述する方法により各層の物性値を評価した。
【0036】
【表1】
【0037】
(比較例1)
表2に記載のベース層[ 1 ]と弾性層[ 2 ]と表層[ 1 ]とからなる3層構造の導電性ベルトとした。
ベース層[ 1 ]は、実施例1と同様とした。
弾性層[ 2 ]は、ポリプロピレングリコールとトリレンジイソシアネートより得られるNCO含有量6.9%の末端イソシアネートプレポリマーとを主剤とし、芳香族ジアミン及びポリプロピレングリコールを硬化剤とする2液硬化型のウレタンゴムをベース層[ 1 ]の外周面に塗工し加熱硬化して形成した。
表層[1]は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとジイソシアネートを主成分とするポリウレタンディスパージョンにフッ素ポリマーディスパージョンを配合した水系塗料を弾性層2の外周面に静電塗装で形成した。
ベース層と弾性層は実施例1と同様の方法で形成した。なお、後述する方法により各層の物性値を評価した。
【0038】
【表2】
【0039】
(各層のパラフィン溶媒に対する膨潤性)
各層をパラフィン溶媒の一種であるn−デカンに23℃、24時間浸漬したときの体積膨潤率を、「パラフィン溶媒に対する膨潤率(%)」として評価した。結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
(ベルト耐久試験結果)
実施例1と比較例1の各導電性ベルトの外周面の一部をパラフィン溶媒に接液した状態でウレタン製のブレードを接触させながらベルトを回転させて、各ベルトの表層となる弾性層[ 1 ]及び表層[ 1 ]の変化を観察した。結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
(引張弾性率の測定)
ASTM D−882に準拠した方法で測定した。
【0044】
(表面電気抵抗率の測定)
JIS K6911に準拠した方法で測定した。
【0045】
(体積抵抗率の測定)
三菱化学(株)製、高抵抗率計ハイレスターUPを用いて、23℃相対湿度55%の恒温恒湿条件下で測定した。測定方法は、JIS K6911に記載の体積抵抗率の測定方法に従い、測定時の印加電圧は500Vとした。
【0046】
(硬度)
JIS A硬度は、JIS K6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」の規定に従い、デュロメータ硬さ試験、タイプAで試験した。
【0047】
上記各表の結果に示すように、実施例1は、弾性層がフッ素ゴムを用いて形成され、パラフィン溶媒に対する膨潤率が小さいため、ベルトの外周面からベルト内部への溶媒の進入を低減することができ、長期に渡って優れた耐久性を得ることができる。
【0048】
一方、比較例1は、表層の膨潤率が大きいため、ベルトの外周面からベルト内部への溶媒の進入を抑制できず表層が溶媒により膨潤して強度が低下し、耐久性試験において100回の回転で表層に剥離が生じた。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、ベルトは剛性を有するベース層と、その外周面上に配置する弾性層との2層構造とし、弾性層の表面にコーテイング層を設けていないため、該コーテイング層の摩耗、剥離による耐久性の低下は生じない。
また、外層とされる弾性層をフッ素ゴムを用いて形成しているため、パラフィン溶媒等の液体現像剤の溶媒に対して安定しており、該溶媒によるベルトの膨潤を低減することができ、長期に渡って良好な耐久性を実現することができる。かつ、フッ素ゴムは、耐摩耗性にも優れる上に、摩擦係数も低減することができ、トナーの離型性にも優れている。
さらに、ベース層は、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂を用いて形成されているため、高弾性率であり適度な剛性を有し、ベルトスピードの変化にも対応することができ、ベルト使用時にベルトに伸びが生じることもない。
【0050】
このため、ゴム弾性を有する弾性層と、剛性を有するベース層からなる2層構造の本発明の導電性ベルトは、電気特性を維持しながら、優れた耐久性を実現することができ、ラフ紙等に対しても良好な転写特性を実現することができる。また、2層構造としているため、3層や4層以上の構造とした導電性ベルトに比べ生産性にも優れている。
【0051】
従って、本発明の導電性ベルトは、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置の各種ベルトに有用であり、特に液体現像剤を使用する湿式画像形成装置の中間転写ベルトとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本発明の導電性ベルトの概略斜視図であり、(B)は図1(A)のII−II線に沿った断面図である。
【図2】 湿式画像形成装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 導電性ベルト
1A ベース層
1B 弾性層
10 湿式画像形成装置
11 中間転写ベルト
12 感光体
19 転写ローラ
Claims (2)
- 樹脂製のベース層と、該ベース層の外周側に配置されるゴム製の弾性層とからなる2層構造とし、
上記ベース層は、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂を用いて形成されていると共に、上記弾性層は、フッ素ゴムを用いて形成され、上記ベース層と上記弾性層は共に導電性フィラーとしてカーボンブラックが3〜40重量部配合されることにより導電性が付与された電子導電性とし、
上記ベース層は、引張弾性率を2000MPa以上5000MPa以下とし、内周面の表面電気抵抗率を106Ω/□以上1012Ω/□以下とし、かつ、
上記弾性層は、JIS A硬度を30以上70以下とし、体積抵抗率を106Ω・cm以上1012Ω・cm以下とし、n−デカンに23℃、24時間浸漬したときの体積膨潤率を3%以下とし、湿式現像方式の電子写真装置の中間転写ベルトとして用いられることを特徴とする導電性ベルト。 - 請求項1に記載の導電性ベルトの製造方法であって、
カーボンブラックと分散剤を添加したポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂の前駆体溶液からなる原料Aを原料供給手段であるディスペンサーのノズルの先端から、円筒状の金型を回転させながら、該金型の外周面に連続的に供給し、ノズルを金型の軸線方向に移動させて、原料Aを金型の外周面の所要範囲に均一な厚みで塗布し、金型を回転させながら加熱して硬化させてベース層を形成した後、
カーボンブラックと分散剤を添加したフッ素ゴム溶液からなる原料Bを、上記ベース層の外周面に連続的に供給し、ノズルを金型の軸線方向に移動させて、原料Bを金型の外周面の所要範囲に均一な厚みで塗布し、金型を回転させながら加熱して硬化させて弾性層を形成している導電性ベルトの製造方法。
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