JP4739809B2 - 大径管状物の製造方法 - Google Patents
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Description
凹版オフセット印刷法では、ブランケットの表面に塗布したカラーフィルター用インキや電極用ペーストをガラス基板の所定の位置に簡単に印刷することができるため、フォトリソグラフィー法に比べて、高価なカラーフィルター用インキや電極用ペーストの使用量を大幅に削減することができる。
この凹版オフセット印刷では、凹版に供給されたインキやペーストを一旦ブランケットに転写し、次いでガラス基板に転写するものであり、インキやペーストを100%被写体に転写することができるシリコーンゴムを表面印刷層として備えたブランケットが好適に用いられる。
前記特許文献2に記載の方法では、大型のコーティング装置を準備すれば大サイズのブランケットを成形することができるが、シリコーンゴムのセルフレベリングによる厚み制御をする必要があるため、周辺装置の保守、管理が煩雑になるという問題があった。
また、特開2002−263562号公報(特許文献4)には、無端ベルト基体をスリーブによって円筒形状に整えて保持し、この無端ベルト基体を回転させて外周表面に塗布液を塗布する方法が提案されている。
また、特許文献4に記載の方法では、ベルト基体を円筒形状に整えて保持するスリーブや、ベルト固定手段といった複雑な機構が必要であるという問題もあった。
前記ベルト基材を巻き付ける2本のローラを少なくとも両端に有し、前記両端のローラのうちの1本を回転駆動ローラとすると共に他方をテンション負荷用の従動ローラとし、回転駆動ローラと従動ローラの間隔を調節自在とし、かつ、前記回転駆動ローラおよび従動ローラは軸線方向の一端側を支持すると共に他端側はフリーとした片持ちとし、該他端側からベルト基材を前記ローラ側に挿入してローラに巻き付け、定置する回転駆動ローラに対して離れる方向に従動ローラを移動させて前記ベルト基材を張架するようにして該ベルト基材のサイズに応じて該ベルト基材が前記ローラにより張架保持された状態となるようにローラ間隔を調節する工程と、
ついで、前記回転駆動ローラの軸線方向の両端下方に左右一対の円盤形状の駆動ローラを配置し、該駆動ローラを回転駆動ローラに摺接させて、前記回転駆動ローラを従動させて回転させ、これらローラに巻き付けた前記ベルト基材を回転させながら、該ベルト基材の外周面に液状とした前記エラストマー組成物を軸線方向の一端に吐出用のノズルが取り付けられたディスペンサーでベルト基材の上面と最終塗布厚さ分の隙間をあけて配置されたノズルの吐出口から塗布する工程と、
塗布された前記エラストマー組成物を加熱または乾燥により硬化させる工程を含むことを特徴とする大径管状物の製造方法を提供している。
他端側のローラは、ベルト基材のサイズに応じて移動させるローラであり、該ローラは、ベルト基材が前記回転駆動ローラにより循環走行されることに伴って従動されるものある。
ディスペンサーによる塗布方法は前記方法に限定されないが、ディスペンサーおよびベルト基材の移動速度をそれぞれ一定速度とすることで、ベルト基材の表面に均一厚さでエラストマー組成物からなる表面層を形成でき、所定厚さを100%とすると、バラツキを±3%以内として厚さ精度を高めることができる。
また、ノズル吐出口をベルト基材の表面に接するようにして塗布し、塗布時におけるエアーの咬み混みを防止でき、その結果、塗布速度を上げることができる。
また、従来用いられていた金型が不要となり、管状物のサイズに応じて個別に金型を作製する必要がないため、コストの大幅削減を図ることができる。さらに、金型使用により生じていた厚み精度が悪化するという問題や、表面にエクボ状の欠点が発生するという問題も解決でき、厚み精度及び表面性に優れた大径管状物を製造することができる。
該ベルト基材としては、下記の(1)あるいは/および(2)が好適に用いられる。
(1)ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドから選択される樹脂製ベルト基材;
(2)鉄、ステンレス、アルミニウム、胴、ニッケルから選択される金属製ベルト基材。
前記(1)の樹脂製ベルト基材では、その引張強度が80MPa以上のものが好適に用いられる。これは80MPa未満であると、大型化すると弛みが発生しやすくなり、厚さ精度に優れる表面層を形成出来なくなる。好ましくは、100MPa以上である。
前記(2)の金属製ベルト基材の場合は、厚みを0.1mm以上0.5mm以下としている。該厚み範囲としているのは,0.1mm未満であると腰がなく、取り扱いにくいものとなり、折れや変形が生じ易くなる。一方、0.5mmを越えると厚すぎるため、適正なサイズのベルト状にすることが難しくなる。
NBR、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムから選択されるゴムシート、
ポリエステル、レーヨン、ケプラー、ガラス繊維、綿、あるいはこれらの任意の混紡からなる繊維布、
紙類なども、適宜に組み合わせて用いることができる。
即ち、本発明では、大径管状物とは直径300mm以上の管状物を指すものとする。
ディスペンサーにより塗布する液状エラストマー組成物は、液状シリコーンゴム、粘度調整にシリコーンオイルを添加したもの等が用いられる。液状シリコーンゴムには、RTV(室温硬化型)、HTV(加熱硬化型)があり、1液型と、主剤と硬化剤とからなる2液型があり、且つ、2液型も付加型と縮合型とがあるが、本発明で用いる液状エラストマー組成物はいずれでもよい。
また、電子写真印刷用の中間転写ベルトとして用いる場合には、カーボンブラック、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、銀粉末、ニッケル粉末、鎖状ニッケル粉末等の電子導電剤やイオン導電剤を添加して所要の導電性を付与している。
また、液状のエラストマー組成物をベルト基材に塗布する前に、ベルト基材の表面にプライマーを塗布することにより、液体エラストマー組成物との密着性を向上させることができる。
これは10Pa・s未満であると、液状エラストマー組成物が周囲に流れやすくなる一方、600Pa・sを越えると厚み精度が出にくくなる。
また、塗布厚さは0.1〜4mmの範囲が好ましい。これは0.1mm未満であると、塗布時にエアーを噛みこむと厚さ精度がでず、4mmを越えると液状エラストマー組成物として塗布する時に液垂れが起きやすく、外周部と内周部の硬化が不均一になりやすいことによる。
加熱温度及び加熱時間については、エラストマー組成物の種類等に応じて、硬化するために適切な温度及び時間を適宜設定している。例えば、液状シリコーンゴムの場合は、20℃以上200℃以下で30分〜240分、好ましくは40℃以上120℃以下で60分〜180分加熱するのが良い。
加熱温度を前記範囲としているのは、加熱温度が前記範囲より低いと、シリコーンゴムの硬化に時間を要するためであり、加熱温度が前記範囲より高いと、シリコーンゴムが劣化したり、冷めるのに時間がかかったりするため、好ましくないからである。また、加熱時間を前記範囲としているのは、加熱時間が前記範囲より短いと、シリコーンゴムの硬化が不十分になりやすいためであり、加熱時間が前記範囲より長いと、シリコーンゴムが劣化しやすくなるためである。
よって、従来必要とされた製造用の金型を不要とでき、製造コストの大幅削減を図ることができる。かつ、金型使用により生じていた厚み精度が悪化する問題を解決でき、厚み精度および表面性状が優れた大径管状物を製造することができる。
また、電子写真印刷機であるコピーやファックスに装備する中間転写ベルトとしても厚さ精度が良いと共に表面性状が良いため、精度のよいカラー表示を実現できる。
図1乃至図3は大径管状物の製造方法に用いられる第1実施形態の製造装置を示し、ベルト基材1を張架する回転駆動ローラ2、従動ローラ3を備えている。これら回転駆動ローラ2および従動ローラ3は軸線を水平方向として平行配置し、ベルト基材1を回転駆動ローラ2と従動ローラ3との間に張架し、上下両面を水平方向に循環走行させるようにしている。
回転駆動ローラ2および従動ローラ3にベルト基材1を取り付けて張架するが、基材テンションによる回転ローラ2および従動ローラ3の傾きや軸受材9からの脱落を防止するため、回転駆動ローラ2、従動ローラ3の内側に押さえローラ24、25を配置している。
また、ベルト基材1にかかるテンションの微調整は従動ローラ3の両端のボールネジでの引張りで加減して行っている。
図3に示すように、ノズル14は水平方向に走行するベルト基材1の上面1aの一端に接するように取り付けている。該ノズル14は断面矩形筒とし、その先端をテーパ状の吐出口14aと、該吐出口14aをベルト基材1の上面1aと最終塗布厚さ分の隙間をあけて配置し、塗布する際にエアーの咬み混みを発生させない構成としている。
予めベルト基材1を作製しておく。該ベルト基材1は前記したように、製造する管状物に応じて単層あるいは複数層の樹脂製ベルト、単層の金属製ベルト、金属製ベルトに樹脂層を積層した複数層のベルトからなる。本実施形態ではベルト基材1は、樹脂製ペルト状基材とし、周長が2000mm、幅が1500mm 厚さが0.25mmとした大きなサイズのものとしている。
其の際、従動ローラ3はベルト基材1が張架される状態となるのではなく、多少撓んだ状態で挿入することにより、容易にローラ2、3に巻き付けることができる。
ついで、従動ローラ3を回転駆動ローラ2とは反対側に移動させ、ベルト基材1の上下両面1a、1bが直線状に張架された状態で停止し、位置決め固定する。
その後、ディスペンサー13のノズル14から液状エラストマー組成物30をベルト基材1の外周面に塗布していく。本実施形態では、液状エラストマー組成物30として、2液付加型の液状シリコーンゴムを用いている。
ディスペンサー13をベルト基材1の外周面を幅方向に移動させて、循環走行するベルト基材1の上面に液状シリコーンゴムを塗布し、ベルト基材1の外周面の全面に均一厚さの塗布面を形成している。
この場合、ベルト基材として、シートの両端を接着してベルト状としたものを用い、該接着部Pを切断している。
該シート状物45は、平型の凹版オフセット印刷機のブランケット胴に固定することにより、平型凹版オフセット印刷機ブランケットとしている。
中間テンションローラ50、51の径は回転駆動ローラ2及び従動ローラ3と同一径とし、回転駆動ローラ2と従動ローラ3に両端が巻き付けられるベルト基材1の上下面に内接し、ベルト基材1の中間部に弛みが発生しないようにしている。
他の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図1乃至図3に示す製造装置を用いて、大径管状物の製造を行なった。
ベルト基材1として、長尺なシートとして成形したポリエチレンテレフタレートのシートを用いた。該シートの両端をジョイント処理してPETベルトを設けた。該PETの両端部をジョイント処理して、幅1600mm×周長2300mm(直径732mm)×厚み0.25mmのベルト基材1とした。
前記ベルト基材1を、回転駆動ローラ2と従動ローラ3にフリー側Xより挿入し、PETベルトを、回転駆動ローラ2と従動ローラ3に被せた。ついで、従動ローラ3を移動させて、ベルト基材1を弛みなく張架した。
ディスペンサー13にはシリコーンゴム溶液(KE1603A、KE1603B、配合比KE1603A:KE1603B=1:1、信越化学工業製)を仕込み、真空脱泡後にノズル14をディスペンサー13に取り付けた。
シリコーンゴムが硬化した後、ベルトを回転駆動ローラ2および従動ローラ3より取り出した。
ジョイント部をカットして幅1600mm×長さ2300mmのシリコーンブランケットを得た。
得られたシリコーンブランケット表面は、レベリングして鏡面となっており、厚みは0.897mm〜0.905mmで、厚みのバラツキは0.008mmに過ぎなかった。
ベルト基材1として、ニッケルスリーブ(幅1200mm×周長1500mm(直径478mm)×厚み0.10mm)を用い、実施例1と同様に回転駆動ローラ2と従動ローラ3に張架した。
この状態で、まず、ニッケルスリーブの表面をアセトン拭きし、プライマー(信越化学工業製)を塗布した。ディスペンサー13に、導電剤として鎖状ニッケル粉末(住友電気工業製)を添加したシリコーンゴム溶液(KE1603A、KE1603B、信越化学工業製)を配合比KE1603A:KE1603B:シリコーンオイル:鎖状ニッケル粉末=45.1:45.1:9.0:0.8)を仕込み、真空脱泡後にノズル14にセットした。
塗布が終了した後、ニッケルスリーブを低速回転させたままで、ヒーター16にて80℃で90分間加熱してシリコーンゴムを硬化させた。
シリコーンゴムが硬化した後、ベルトをローラ2、3より取り出し、幅1200mm×周長1500mm(直径478mm)のシリコーン中間転写ベルトを得た。
また、ハイレスタUP、URSプローブ(ダイヤインスツルメンツ製)を使用し、印加電圧250V、印加時間10秒の条件で体積抵抗率を測定したところ、得られたシリコーン中間転写ベルトの体積抵抗率は1.2×109であり、良好な導電性を示した。
上金型の内面が鏡面加工された500mm角の金型を準備し、下金型に基材として厚さ0.25mmのPETをセットし、PET表面をアセトン拭きし、プライマー(信越化学工業)を塗布した。PETの四辺にゴム製パッキンを貼り付け、上金型と下金型とをボルト締めで固定した後、実施例1と同じ配合のシリコーンゴムを注型した。注型後、常温でシリコーンゴムを硬化させ、シリコーンゴムサイズが500mm角のシリコーンブランケットを得た。
得られたシリコーンブランケット表面は鏡面ではあるが、多くのエクボ状欠点があり、 厚みは0.885mm〜0.913mmであり、バラツキは0.018mmであった。
一方、比較例1で得られたシリコーンブランケットは、表面に多くのエクボ状欠点があり、厚み精度も実施例に比べると若干悪いものであった。
2 回転駆動ローラ
3 テンション負荷用の従動ローラ
13 ディスペンサー
14 ノズル
40 大径管状物
45 シート状物
Claims (6)
- 直径が300mm以上であり、エンドレスベルトまたはシートの両端部をジョイント処理してベルト状としたフレキシブルなベルト基材の表面にエラストマー組成物からなる表面層を備えた大径管状物の製造方法であって、
前記ベルト基材を巻き付ける2本のローラを少なくとも両端に有し、前記両端のローラのうちの1本を回転駆動ローラとすると共に他方をテンション負荷用の従動ローラとし、回転駆動ローラと従動ローラの間隔を調節自在とし、かつ、前記回転駆動ローラおよび従動ローラは軸線方向の一端側を支持すると共に他端側はフリーとした片持ちとし、該他端側からベルト基材を前記ローラ側に挿入してローラに巻き付け、定置する回転駆動ローラに対して離れる方向に従動ローラを移動させて前記ベルト基材を張架するようにして該ベルト基材のサイズに応じて該ベルト基材が前記ローラにより張架保持された状態となるようにローラ間隔を調節する工程と、
ついで、前記回転駆動ローラの軸線方向の両端下方に左右一対の円盤形状の駆動ローラを配置し、該駆動ローラを回転駆動ローラに摺接させて、前記回転駆動ローラを従動させて回転させ、これらローラに巻き付けた前記ベルト基材を回転させながら、該ベルト基材の外周面に液状とした前記エラストマー組成物を軸線方向の一端に吐出用のノズルが取り付けられたディスペンサーでベルト基材の上面と最終塗布厚さ分の隙間をあけて配置されたノズルの吐出口から塗布する工程と、
塗布された前記エラストマー組成物を加熱または乾燥により硬化させる工程を含むことを特徴とする大径管状物の製造方法。 - 前記ディスペンサーは、前記ベルト基材の両端に位置する前記ローラの一方側の上方位置に配置し、ベルト循環方向と直交する幅方向に移動して、ベルト基材の外周面に所要厚さで前記液状エラストマー組成物を塗布している請求項1に記載の大径管状物の製造方法。
- ディスペンサーでの塗布は一方向へ1回のみで所定厚さに塗布する1回塗りである請求項2に記載の大径管状物の製造方法。
- 前記液状としたエラストマー組成物の粘度は、硬化前の25℃において10Pa・s以上600Pa・s以下であり、塗布厚さは0.1〜4mmである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の大径管状物の製造方法。
- 前記ベルト基材は、引張強度が80MPa以上の樹脂フィルム、又は厚みが0.1mm以上0.5mm以下の金属板からなる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の大径管状物の製造方法。
- 前記エラストマー組成物はシリコーンゴム、ウレタン、フッ素から選択され、
前記ベルト基材は、下記の(1)あるいは/および(2)からなる単層あるいは複数層からなる請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の大径管状物の製造方法。
(1)ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドから選択される樹脂組成物からなる樹脂製ベルト基材;
(2)鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、ニッケルから選択される金属製ベルト基材。
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