JP3883685B2 - 自動車の内装トリム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンパクトな外形寸法で十分な衝撃吸収特性を有する衝撃吸収作用を有する自動車の内装トリムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の内装材による衝撃エネルギー吸収機構として特開平8−119047号が知られている。
即ち、衝撃吸収体を内蔵させた内装トリムであるピラーガーニッシュが開示されている。衝撃吸収体は例えばブロー成形品である(図1など)。ブロー成形品は一つの内部空間を有する箱状の中空体を形成するのに適するが、衝撃吸収体のような内部空間を所定の圧縮潰れ特性を有するようにするためには、周壁から内部空間に向って凸状部を形成させ、互いに近接させあるいは当接させて、一側周壁と他側周壁との間の中間部においても衝撃力に対してこれを受け止め、かつ反力を緩和するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、このような衝撃吸収体にあっては、車体への取り付けは車室に沿って配設されるのを通常とする。しかして衝撃吸収体の配設される空間はピラー内部やドア内面などであって、衝撃に対して十分なストロークを確保するとき、内装トリムが車室スペースを減少させるように室内に侵出することになる。そのような内装トリムにあっては、車室の実質的寸法を狭くするとともに乗員への圧迫感を生起して居住性を悪化させるという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コンパクトな外形寸法で十分な衝撃吸収特性を有する自動車の内装トリムを提供することを目的とし、トリム本体のコーナー部に筒状体内側より中心に向かうリブを配設したことを特徴とする。
【0005】
請求項1に記載の発明では、トリム本体のコーナー部には、筒状の外筒部と内リブ部か らなり、該外筒部と該内リブ部の内筒部をつなぐ、該外筒部の内側から中心に向かうリブを有する衝撃吸収体を配設している。
請求項2に記載の発明では、トリム本体は、断面略一定で外筒部と空隙部を有する内リブ部とを有する衝撃吸収体を内蔵し、該外筒部と該内リブ部とは相互に弾性の異なる材料からなり、前記トリム本体の一側コーナー部に沿って配設されている。
請求項3に記載の発明では、トリム本体は断面略一定の一周面と、この一周面に対向する他周面とを連結する連結リブを有する内リブ部と外筒部からなる衝撃吸収体を内蔵し、該外筒部と該内リブ部とは相互に弾性の異なる材料からなり、前記トリム本体の一側周端部に沿って配設されている。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3記載の自動車の内装トリムであって
、衝撃吸収体は押出成形体である。
上記のような特性を有する衝撃吸収体を合理的に量産できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4記載の自動車の内装トリムで、複数の衝撃吸収体を内蔵し、これらの衝撃吸収体の一つは内装トリムの一周縁に沿って取り付けられ、他の一つは内装トリムの他周縁に沿って取り付けられる。
内装トリムの車室側の少なくともコーナー部に各別に衝撃吸収体が配置でき、乗員の衝突安全性が向上できる。又、長さ方向に幅の徐変又は急変する内装トリムにあっても、コーナー部に沿って衝撃吸収体を配置できるとの利点がある。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5記載の自動車の内装トリムで、衝撃吸収体は長さ方向に所定の長さで一体に形成された取付部により内装トリムに取り付けられる。
取付部を一体にすることにより、別ファスナーなどの取付部材を廃止できるので、作業性が向上するとともに、優れた衝撃吸収特性を有する内装トリムを安価に提供できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図示した実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は自動車の室内の部分を示し、センターピラー1及び前後のドア21,22などが示されている。センターピラー1の内側2にはピラーガーニッシュ3が取り付けられて、周囲と調和して室内の美観を向上している。ピラーガーニッシュ3はさらにウエストラインでアッパーガーニッシュ14とロアーガーニッシュ15とに分割され、これらの合わせ部に設けた隙間開口部aから図示しないシートベルトのウエビングが引き出され、図示しないアンカー部がアッパーガーニッシュ14の矩形開口17から室内側に突出してウエビングの上支点となりシートベルトを引き出し可能に支持する。
【0007】
アッパーガーニッシュ14は図1乃至図3に示すように、筒状の衝撃吸収体4A,4Aを内蔵する。
即ち、図1乃至図3の矢印Vが進行方向前方であって、前側周端部に衝撃吸収体4A−1が、後側周端部に衝撃吸収体4A−2が取り付けられており、各々F1(前席乗員からの衝突荷重)又はF2(後席乗員からの衝突荷重)の衝撃荷重を受け止める。
【0008】
衝撃吸収体4Aは図3に示すように、外筒部5と内リブ部6及び外筒部5と一体に取付部7が形成され、図4に示すように断面略「9」字状の連続体を押出成形により得、これを所定長の外筒部5及び内リブ部6と、これよりも短い取付部7を切り出し、これと同時に又はこれと別に取付通孔7aを打ち抜き、又はドリル加工などして形成させる。外筒部5は例えばポリプロピレン、硬質塩化ビニルのような硬質の樹脂、内リブ部6は例えばオレフィン系エラストマー(TPO)
、軟質塩化ビニルのような軟質の樹脂を組み合わせる。取付部7は外筒部5をそのまゝ同一材料で連続的に形成させてもよいし、別の硬質の材料、例えばナイロンを一体的に形成させてもよい。
アッパーガーニッシュ14の内面に所定の高さで設けたボス3bを通孔7aに挿通させて、丸形スピードナット8を挿通させて定位固着する。ボス3bは円筒形として、タッピングビスを用いることもできる。
【0009】
このようにして取り付けられた衝撃吸収体4A−1、4A−2は図3に示すように、センターピラー1の内側2のコーナー部2a,2bとアッパーガーニッシュ14のコーナー部との間に位置してF1及び/又はF2で示す乗員の衝突荷重を直接コーナー部2a,2bに与えることなく緩衝し、乗員への衝撃を緩和するように作用する。
このように、前席の乗員の側方にあって後席の乗員が衝突する可能性の大きいセンターピラー1にあっては、両側周端に沿って衝撃吸収体4Aが配置されるのが好適である。
例えば、図5にあるようなフロントピラーガーニッシュ13については、進行方向後部周端部に沿って衝撃吸収体4Cがあればよく、又、図6にあるようリアピラーガーニッシュ16については進行方向前側コーナー部に沿って衝撃吸収体4Dがあればよい。
なお、衝撃吸収体は実施例のように外筒部5を硬質の樹脂、内リブ部6を軟質の樹脂で成形したが、これに限定されるものではなく、たとえば外筒部5に軟質の樹脂を用い、内リブ部6に硬質の樹脂を用いて、衝突に対する衝撃吸収特性を調整することができるし、または外筒部5および内リブ部6の一部分を硬質の樹脂で、それ以外の箇所に軟質の樹脂を組み合わせて外筒部5の好ましい潰れ変形特性を得られるように調整することもできる。
【0010】
【発明の効果】
本発明は、外筒部と内リブ部の内筒部をつなぐ、外筒部の内側から中心に向う内リブ部から構成し、断面が車輪状であるので、どの方向から衝撃荷重が加わっても確実に衝撃吸収体で衝撃を吸収でき、コンパクトな外形寸法で十分な衝撃吸収特性を有する衝撃吸収作用を有する自動車の内装トリムを、簡単な構造で、量産に好適な製造手段により提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車のドアー部のセンターピラーを示す正断面図である。
【図2】 図1センターピラー組立時の外観斜視図である。
【図3】 図2のセンターピラー部平断面図である。
【図4】 図2の衝撃吸収体の一部正面図である。
【図5】 本発明を施したフロントピラーガーニッシュ部の正面図である。
【図6】 本発明を施したリアピラーガーニッシュ部の正面図である。
【符号の説明】
1 センターピラー
2 センターピラーの内側
3 ピラーガーニッシュ
4 衝撃吸収体
5 衝撃吸収体の外筒部
6 衝撃吸収体の内リブ部
7 取付部
13 フロントピラーガーニッシュ
14 センターピラーアッパーガーニッシュ
15 センターピラーロアーガーニッシュ
16 リアピラーガーニッシュ
Claims (6)
- トリム本体のコーナー部には、筒状の外筒部と内リブ部からなり、該外筒部と該内リブ部の内筒部をつなぐ、該外筒部の内側から中心に向かうリブを有する衝撃吸収体を配設した、自動車の内装トリム。
- トリム本体は、断面略一定で外筒部と空隙部を有する内リブ部とを有する衝撃吸収体を内蔵し、該外筒部と該内リブ部とは相互に弾性の異なる材料からなり、前記トリム本体の一側コーナー部に沿って配設される、自動車の内装トリム。
- トリム本体は断面略一定の一周面と、この一周面に対向する他周面とを連結する連結リブを有する内リブ部と外筒部からなる衝撃吸収体を内蔵し、該外筒部と該内リブ部とは相互に弾性の異なる材料からなり、前記トリム本体の一側周端部に沿って配設される、自動車の内装トリム。
- 衝撃吸収体は押出成形体である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動車の内装トリム。
- 複数の衝撃吸収体を内蔵し、これらの衝撃吸収体の一つは内装トリムの一周縁に沿って取り付けられ、他の一つは内装トリムの他周縁に沿って取り付けられる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動車の内装トリム。
- 衝撃吸収体は長さ方向に所定の長さで一体に形成された取付部により内装トリムに取り付けられる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動車の内装トリム。
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1998
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