JP3153709B2 - 自動車用トリム - Google Patents

自動車用トリム

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JP3153709B2
JP3153709B2 JP15087794A JP15087794A JP3153709B2 JP 3153709 B2 JP3153709 B2 JP 3153709B2 JP 15087794 A JP15087794 A JP 15087794A JP 15087794 A JP15087794 A JP 15087794A JP 3153709 B2 JP3153709 B2 JP 3153709B2
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文男 柳下
昭 河合
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Kasai Kogyo Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車のドアインナパネ
ルやリヤサイドインナパネル等、車室側部のパネル面に
装着されて、該パネル面を装飾する自動車用トリムに関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車用トリムの中には、例えば実開平
2−64422号公報に示されているように、車両の側
面衝突時対策としてトリム本体の裏面にハニカム構造の
エネルギ吸収部を設け、車両の側面衝突時等に乗員が車
室側部へ慣性移動した場合に、このハニカム状のエネル
ギ吸収部の座屈変形によって衝突エネルギを吸収させ
て、乗員を保護するようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】エネルギ吸収部がハニ
カム構造であるため、樹脂材で型成形する場合、該エネ
ルギ吸収部をトリム本体と一体成形又は別体成形の如何
にかかわらず型抜きが困難で成形性が悪くなってしまう
ことは否めない。
【0004】また、エネルギ吸収部がハニカム構造であ
るため、座屈変形時の初期反力が大きくなって理想的な
低反力の変形モードが得にくく、しかも、エネルギ吸収
部に斜め方向から衝突入力が作用した場合にエネルギ吸
収部が倒れ方向の荷重を受けるため、軸方向に衝突入力
が作用した場合と、斜め方向に衝突入力が作用した場合
とで衝突エネルギ吸収性能に差が生じてしまう。
【0005】更に、前述のハニカム構造を樹脂材で形成
する場合、ハニカムの隔壁は成形上ある程度肉厚を大き
くする必要があることから、座屈変形時の初期反力を極
力低めるためには、トリム本体裏面からの突出高を大き
くする必要があり、車室内スペースを狭めてしまうのみ
ならず、トリムの重量が嵩んで車体の軽量化に逆行して
しまう不具合を生じる。
【0006】そこで、本発明は成形性がよく、しかも、
座屈変形時の初期反力が低く理想的な変形モードが得ら
れ、かつ、斜め方向から作用する衝突入力に対しても優
れた衝突エネルギ吸収性能を発揮することができる衝突
エネルギ吸収用のリブを備えた自動車用トリムを提供す
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1にあっては、車
室側部のパネル面に装着されて、該パネル面を装飾する
トリム本体の裏面に、矩形筒状に形成した衝突エネルギ
吸収用の第1リブを設けると共に、第1リブの外周部に
第1リブと別成形されて側壁を傾斜させた側面台形の矩
形筒状の第2リブを設けてある。
【0008】請求項2にあっては、第2リブはその内側
中央部に第1リブの内側に配置される矩形筒状の補助リ
ブを設けてある。
【0009】請求項3にあっては、補助リブを第2リブ
の内側中央部に連結片を介して一体成形し、該連結片の
端縁にスリットを形成してある一方、第1リブの側壁の
前記連結片のスリットに対応する位置にスリットを設
け、これらスリットを介して第1リブと第2リブとを係
合連結してある。
【0010】
【作用】請求項1によれば、車両の側面衝突時等に乗員
が車室側部へ慣性移動し、もしくは、車体パネルと共に
トリム本体が車室方向に変形移動して、乗員とトリム本
体とが干渉すると、トリム本体と車体パネルとの間で矩
形筒状の第1リブ、第2リブが座屈変形して衝突エネル
ギを吸収する。
【0011】ここで、衝突入力が第1リブ、第2リブに
軸方向に作用する場合、第2リブはの側壁が傾斜してい
るため矩形の筒形状が拡開するように変形する一方、第
1リブは蛇腹状に座屈変形がスムーズに行われ、変形時
の初期反力を小さく抑えて衝突エネルギを吸収する。
【0012】また、衝突入力が斜め方向から作用する場
合、第2リブの前記入力線と同方向に傾斜した側壁が座
屈変形すると共に、第1リブ、第2リブが共に全体的に
倒れ変形を伴った座屈変形をして衝突エネルギを吸収す
る。
【0013】一方、このような衝突エネルギ吸収特性上
の利点とは別に、第1リブ、第2リブは矩形筒状である
ため樹脂材で型成形する場合に成形型の型抜きを容易に
行え、成形性を向上することができる。
【0014】また、第1リブ、第2リブは座屈変形がス
ムーズに行われて変形有効ストロークを十分に確保でき
ることから、トリム本体裏面からの突出高を比較的小さ
く抑えることができ、車室内スペースを狭めることはな
い。
【0015】請求項2によれば、第2リブはその内側中
央部に第1リブの内側に配置される矩形筒状の補助リブ
を備えていて、座屈変形時には該補助リブも座屈変形す
るため衝突エネルギ吸収量を増大することができる。
【0016】請求項3によれば、第2リブと補助リブと
を連結する連結片のスリットと、第1リブの側壁のスリ
ットとを係合することによって、第1リブに対する第2
リブの位置決めを行えると共に、組付け作業を容易に行
うことができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例をドアトリムを例にと
って図面と共に詳述する。
【0018】図1〜3において、1はドアインナパネル
a 面に図外のクリップ等によって装着された樹脂製の
トリム本体で、このトリム本体1の裏面1aに矩形筒状
に形成した衝突エネルギ吸収用の第1リブ2を設けてあ
る。
【0019】第1リブ2は前後方向に横長の長方形の筒
状に形成してあり、車両の側面衝突等により図外の座席
に着座した乗員と干渉して最も荷重を受け易い部位、例
えば、座席に着座した乗員の着座重心となる腰部の側方
に相当する部位に、トリム本体1の裏面に一体成形して
ある。
【0020】3は第1リブ2と別成形されて、該第1リ
ブ2の外周部に設けた矩形筒状の樹脂製の第2リブで、
4側壁を傾斜成形して側面台形に形成してあり、矩形の
筒形状の大径側がドアインナパネルDa に向くように第
1リブ2の外周部に配設してある。
【0021】本実施例ではこの第2リブ3の内側中央部
に、第1リブ2の内側に配置される矩形筒状の補助リブ
4を該第2リブ3と同一の成形方向に形成してある。
【0022】補助リブ4は格子状の矩形筒状に形成して
あって、前後一対の連結片5を介して第2リブ3と一体
成形してある。
【0023】連結片5のトリム本体1に面する端縁には
スリット6を形成してある一方、該連結片5と交差する
第1リブ2の縦向きの前後側壁にも、このスリット6と
対応する位置にスリット7を形成してあって、これらス
リット6,7を相互に差し込んで第1リブ2と第2リブ
3とを係合連結してある。
【0024】以上の実施例構造によれば、車両の側面衝
突時等に乗員が車室側部へ慣性移動し、もしくは、ドア
インナパネルDa と共にトリム本体1が車室方向に変形
移動して、乗員の腰部とトリム本体1とが干渉すると、
該トリム本体1とドアインナパネルDa との間で矩形筒
状の第1リブ2と第2リブ3とが座屈変形して衝突エネ
ルギを吸収する。
【0025】これは具体的には、例えば図3の矢印Fa
で示すように衝突入力が第1リブ2、第2リブ3に軸方
向に作用する場合、第2リブ3はその側壁が傾斜して側
面台形を呈しているため、矩形の筒形状が拡開するよう
に変形する一方、第1リブ2が蛇腹状にスムーズに座屈
変形し、変形時の初期反力を小さく抑えて衝突エネルギ
を効率よく吸収することができる。
【0026】とりわけ、本実施例では第2リブ3はその
内側中央部に第1リブ2の内側に配置される矩形筒状
で、かつ、格子状に形成した補助リブ4を備えていて、
該補助リブ4も蛇腹状にスムーズに座屈変形するため、
衝突エネルギ吸収量を増大することができる。
【0027】また、図3の矢印Fb 又はFc で示すよう
に衝突入力が第1リブ2、第2リブ3に斜め方向から入
力する場合、第2リブ3の前記入力線Fb 又はFc と同
方向に傾斜した側壁が座屈変形すると共に、これら第1
リブ2、第2リブ3および第2リブ3の補助リブ4が共
に全体的に倒れ変形を伴った座屈変形をして衝突エネル
ギを吸収する。
【0028】従って、軸方向入力、斜め方向入力の何れ
の衝突入力に対しても良好なエネルギ吸収性能が得ら
れ、乗員を安全に保護することができる。
【0029】一方、このような衝突エネルギ吸収性能と
は別に、第1リブ2および第2リブ3は何れも形状的に
型抜きが容易なな矩形筒状に形成してあり、しかも、第
2リブ3の補助リブ4も該第2リブ3と同一の成形方向
に矩形筒状に形成してあるから、成形性を向上できてコ
ストダウンに大きく寄与することができる。
【0030】また、第1リブ2、第2リブ3および補助
リブ4は座屈変形がスムーズに行われて変形有効ストロ
ークを十分に確保できることから、トリム本体1裏面か
らの突出高を比較的小さく抑えることができ、車室内ス
ペースを狭めることはない。
【0031】更に、第2リブ3の第1リブ2への組付け
に際しては、連結片5のスリット6を第1リブ2の前後
の側壁に設けたスリット7に差し込んで相互に係合すれ
ば、前後および上下方向の位置決めを行え、かつ、簡単
に組付けられるため作業上も有利となる。
【0032】
【発明の効果】以上、本発明によれば次に列挙する効果
を奏せられる。
【0033】(1) トリム本体の裏面に設けた第1リブを
矩形筒状に形成し、第2リブを側壁を傾斜させた側面台
形の矩形筒状に形成してあるため、車両の側面衝突時等
に第1リブ、第2リブに軸方向に衝突入力が作用した場
合に、第2リブが矩形の筒形状が拡開するように変形す
る一方、第1リブは蛇腹状に座屈変形がスムーズに行わ
れ、変形時の初期反力を小さく抑えて衝突エネルギを吸
収でき、乗員を安全に保護することができる。
【0034】(2) 第2リブは側面台形の矩形筒状に形成
されていて、各側壁が傾斜しているため、衝突入力が斜
め方向から作用する場合、該第2リブの衝突入力線と同
方向に傾斜した側壁が座屈変形すると共に、第1リブ、
第2リブが共に全体的に倒れ変形を伴った座屈変形をし
て衝突エネルギを吸収し、斜め方向衝突入力に対しても
優れた衝突エネルギ吸収効果を発揮することができる。
【0035】(3) 第1リブ、第2リブは何れも矩形筒状
に形成してあるから、樹脂材で型成形する場合に成形型
の型抜きを容易に行え、成形性を向上することができて
コストダウンを図ることができる。
【0036】(4) 第1リブ、第2リブは座屈変形がスム
ーズに行われて変形有効ストロークを十分に確保できる
ことから、トリム本体裏面からの突出高を比較的小さく
抑えることができて、車室内スペースを狭めることがな
い。
【0037】(5) 第2リブはその内側中央部に第1リブ
の内側に配置される矩形筒状の補助リブを備えていて、
座屈変形時には該補助リブも座屈変形するため、衝突エ
ネルギ吸収量を増大することができる。
【0038】(6) 第2リブと補助リブとを連結する連結
片に設けたスリットと、第1リブの側壁に設けたスリッ
トとを相互に係合して、第1リブに第2リブを組付ける
ようにしてあるため、これらスリットの相互係合によっ
て第2リブの位置決めを行え、かつ、スリット同志の挿
入係合で組付けられるから組付け作業を容易に行うこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のトリム本体を裏側から見た斜
視図。
【図2】同実施例の第1リブと第2リブとの関係を示す
分解斜視図。
【図3】図1のA−A線に沿った断面図。
【符号の説明】
1 トリム本体 2 第1リブ 3 第2リブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 信彦 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60J 5/00 B60R 13/02 B60R 21/04 B60R 21/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室側部のパネル面に装着されて、該パ
    ネル面を装飾するトリム本体の裏面に、矩形筒状に形成
    した衝突エネルギ吸収用の第1リブを設けると共に、第
    1リブの外周部に第1リブと別成形されて側壁を傾斜さ
    せた側面台形の矩形筒状の第2リブを設けたことを特徴
    とする自動車用トリム。
  2. 【請求項2】 第2リブはその内側中央部に第1リブの
    内側に配置される矩形筒状の補助リブを備えていること
    を特徴とする請求項1記載の自動車用トリム。
  3. 【請求項3】 補助リブを第2リブの内側中央部に連結
    片を介して一体成形し、該連結片の端縁にスリットを形
    成してある一方、第1リブの側壁の前記連結片のスリッ
    トに対応する位置にスリットを設け、これらスリットを
    介して第1リブと第2リブとを係合連結したことを特徴
    とする請求項2記載の自動車用トリム。
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