JP3882390B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の主ブレーキとしてのフットブレーキを補助し、車両に減速制動を与えるための渦電流式減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両が長い坂道を下る際に、車両に生じる加速を抑制するためには車両に制動力を連続的に作用させる必要があり、この制動力を主ブレーキであるフットブレーキのみによって作用せしめると、ブレーキライニングが焼付き焼損する。このような問題を解消するために大型車両においては、従来から排気ブレーキを装備して降坂時等に補助ブレーキとして使用しているが、エンジンの高過給化によるエンジンの小排気量化等により十分な制動力が得られないのが現状である。そこで、車両の降坂時等において車両の走行速度を減速または制限する減速制動装置(リターダ)として渦電流式減速装置が提案され、実用に供されている。
【0003】
渦電流式減速装置は、例えば特公平6ー14782号公報に開示されている。特公平6ー14782号公報に開示された渦電流式減速装置は、車両に搭載された変速機の出力軸に取り付けられたドラム状のロータと、周方向に等間隔をおいて複数個の永久磁石を装着した環状の磁石手段と、該磁石手段をロータに近接せしめて磁石手段がロータに磁界を及ぼす制動位置とロータから離間せしめて磁石手段がロータに磁界を及ぼさない制動解除位置に選択的に作動せしめるアクチュエータとからなっており、アクチュエータによって磁石手段を制動位置に位置付けると制動作用が行われ、永久磁石が制動解除位置に位置付けられると制動作用が解除される。
【0004】
上述したような渦電流式減速装置の制動能力は、磁石の磁力、ロータの直径、ロータの回転数にそれぞれ比例し、ロータの材質により異なる。ロータの直径は車両の搭載空間によって制限されるため、大きくするには限界がある。また、ロータの回転数は、ロータを結合する回転軸の回転数によって規制される。このため、従来の渦電流式減速装置は、磁石の磁力を高めたり、ロータの材質を選択することにより、制動能力の向上を図ってきた。しかしながら、制動力を高めると、ロータの発熱量が多くなり、ロータの冷却性に問題が生じ、制動能力の飛躍的向上を図ることができない。
【0005】
上述した本題を解消するために本出願人は、回転軸とロータとの間に遊星歯車機構からなる増速機構を配設し、回転軸の回転速度よりロータの回転速度を高めることにより制動能力を向上させるとともに、ロータの冷却効率も向上することができる渦電流式減速装置を特願平10ー102016号として提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上記特願平10ー102016号の渦電流式減速装置における遊星歯車機構からなる増速機構は、太陽歯車が固定部材に装着され、リング歯車がロータに装着されるとともに、リング歯車と太陽歯車に噛み合う遊星歯車が回転軸に取り付けた構成である。このような構成の増速機構においては、ロータが固定部材に回転可能に支持される構成となるため、ロータと固定部材との間に配設される軸受の側方に遊星歯車機構を配置する構成となる。従って、軸受からオーバーハングした位置でロータに駆動トルクが伝達されるため、ロータに生ずる曲げ荷重が軸受に作用するので、軸受けの耐久性が問題となる。
また、上記増速機構においては、ロータが固定部材に回転可能に支持される構成となるため、増速されたロータと固定部材との相対速度差が大きいので、ロータと固定部材との間に配設されるシールの耐久性が問題となる。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、第1の技術的課題は、ロータを回転可能に支持する軸受けの耐久性を向上させることができる増速機構を備えた渦電流式減速装置を提供することにある。
【0008】
本発明の第2の技術的課題は、ロータと固定部材との間に配設されるシールの耐久性を向上させることができる増速機構を備えた渦電流式減速装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記第1の技術的課題を解決するために、本発明によれば、
「回転軸によって駆動されるロータと、
該ロータと対向して配設され複数個の磁石を備えた磁石手段と、
該回転軸の回転速度を増速して該ロータに伝達する増速機構と、を具備する渦電流式減速装置において、
該増速機構は、固定部材に装着された太陽歯車と、該ロータの被支持部に装着されたリング歯車と、該回転軸に取り付けられたキャリヤと、該キャリヤに装着され該太陽歯車と該リング歯車とに噛合する遊星歯車とからなり、さらに、
該磁石手段は、該太陽歯車を装着した固定部材の外周に形成される磁石ハウジングの中に収容されるとともに、該ロータの被支持部は、環状に形成されて該磁石ハウジングと該キャリアとの間に配置されており、かつ、該ロータの被支持部に装着された該リング歯車の両側には、該ロータの被支持部を該キャリヤに回転可能に支持する軸受が配設されている
ことを特徴とする渦電流式減速装置が提供される。
【0010】
また、上記第2の技術的課題を解決するために、請求項2に記載のように、本発明の渦電流式減速装置において
該ロータの被支持部と該キャリヤとの間には、該軸受の外方に夫々シールが配設されているとともに、該キャリヤと該太陽歯車を装着した固定部材との間にシールが配設されている」
ことを特徴とする渦電流式減速装置が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された渦電流式減速装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明に従って構成された渦電流式減速装置が車両に搭載された変速機の出力軸に装着された断面図が示されている。図示の実施形態における渦電流式減速装置、変速機10の出力軸11にスプライン嵌合され且つナット12によって取り付けられた取付けフランジ13の外周に設けられた後述する増速機構を構成するキャリヤ20を具備している。このキャリヤ20は、図示の実施形態においては、上記取付けフランジ13と一体に形成された第1の部分21と、該第1の部分21と別体で環状に形成された第2の部分22とからなっており、第1の部分21と第2の部分22とは締結ボルト23によって連結されている。
【0013】
このように構成されたキャリヤ20の外周面には、軸受25a、25bを介してロータ30が回転可能に配設されている。従って、キャリヤ20は、ロータ30を回転可能に支持するロータ支持部材として機能する。ロータ30は、環状の被支持部31と、該被支持部31の図において右端から上方に延びる端壁32、および該端壁32の上端に溶接等の固着手段によって取り付けられた環状の制動部33とによってドラム状に形成されている。そして、ロータ30は、被支持部31がロータ支持部材としての上記キャリヤ20の第1の部分21と第2の部分22の外周面にそれぞれ配設された軸受25a、25bに嵌合され、回転可能に支持されている。制動部33は、磁性材によって構成されており、その外周面には複数個の放熱フィン34が装着されている。
【0014】
図示の実施形態における渦電流式減速装置は、上記出力軸11に取り付けられたキャリヤ20の回転速度を増速して上記ロータ30に伝達する増速機構50を具備している。この増速機構50は、太陽歯車51とリング歯車52および遊星歯車53とを有する遊星歯車機構によって構成されている。太陽歯車51は、固定部材である上記変速機10のケース15にナット16によって取り付けられた後述する磁石手段70を収容する磁石ハウジング60の取付け部材61に回転不能に装着されている。リング歯車52は、ロータ30の被支持部31における軸方向(図1において左右方向)中央部、即ち上記軸受25aと軸受25bの間の内周面に上記太陽歯車51と対向して設けられている。遊星歯車53は、上記キャリヤ20の第1の部分21と第2の部分22との間に配設された支軸55に回転可能に支持されており、上記太陽歯車51とリング歯車52に噛合している。このように図示の実施形態における増速機構50においては、ロータ30の被支持部31をキャリヤ20に回転可能に支持する軸受25aと軸受25bがリング歯車52の両側に配置される構成となる。
【0015】
上記ロータ30の被支持部31における図1において右端部と上記キャリヤ20の第1の部分21との間にはシール41が装着されている。また、ロータ30の被支持部31における図1において左端部とキャリヤ20の第2の部分22との間にはシール42が装着されている。そして、キャリヤ20の第2の部分22と固定部材である上記磁石ハウジング60の取付け部材61との間にはシール43が装着されている。なお、シール41と42および43は、上記増速機構50および軸受25aと軸受25bに作用せしめる変速機10内の潤滑油が外部に飛散するのを防止するためのものである。
【0016】
図示の実施形態における増速機構50は以上のように構成されており、出力軸11に取り付けられた取付けフランジ13に伝達された駆動力は、キャリヤ20および支軸55を介して遊星歯車53に伝達され、この遊星歯車53が太陽歯車51の外周に沿って公転しつつ自転しながらリング歯車52を駆動する。この結果、リング歯車52を取り付けたロータ30は、キャリヤ20即ち出力軸11の回転速度の約1.5〜2倍の回転速度で回転駆動せしめられる。このようにして、ロータ30は増速されるが、ロータ30を回転可能に支持するキャリヤ20もロータ30の約1/1.5〜1/2の回転速度で回転しているので、両者の相対速度差はロータ30が固定部材に支持された従来のものと比較して約1/1.5〜1/2となるため、キャリヤ20とロータ30との間に配設された軸受25a、軸受25bの耐久性を向上させることができる。また、軸受25aと軸受25bはリング歯車52の両側に配置される構成となっているので、リング歯車52を介してロータ30に伝達される駆動トルクによってロータ30には曲げ荷重が生じないため、軸受25a、軸受25bの耐久性が向上する。
【0017】
上記のようにロータ30とキャリヤ20の相対速度差はロータ30が固定部材に支持された従来のものと比較して小さいので、ロータ30の被支持部31とキャリヤ20との間に配設されるシール41および42の耐久性が向上する。また、キャリヤ20と固定部材との相対速度差も、増速後のロータ30と固定部材との相対速度差に比して小さいので、キャリヤ20の第2の部分22と固定部材である上記磁石ハウジング60の取付け部材61との間に配設されたシール43の耐久性を向上させることができる。即ち、図示の実施形態においては、ロータ30の被支持部31と固定部材との間に配設されるシール手段を、ロータ30とキャリヤ20との間に配設されたシール41および42と、キャリヤ20と固定部材との間に配設されたシール43とに分け、それぞれの周速度が小さくなるようにしたので、これらシールの寿命を大幅に長くすることができる。
【0018】
次に、上記ロータ30の制動部33と対向して配設された磁石ハウジング60および該磁石ハウジング60内に収容される磁石手段70について説明する。
磁石ハウジング60は、取付け部材61と、該取付け部材61の外周に一体に形成された中空円環状のハウジング本体62とによって構成されている。取付け部材61は円盤状に形成されており、その内周側端部が上記変速機10のケース15に締結ボルト16によって取付けられている。中空円環状のハウジング本体62は、内周壁621と外周壁622と右端壁623と左端壁624および外周壁622の図において左端から上方に突出して形成された中間壁625を備えており、外周壁622が上記ロータ30を構成する環状の制動部33の内周面と僅かな隙間をもって対向して配置されている。ハウジング本体62を構成する外周壁622および右端壁623は、磁気的絶縁材である例えばアルミニウム等の非磁性材によって形成されており、外周壁622には図2に示すように周方向に所定の間隔をおいて複数個の窓622aが形成されている。この複数個の窓622aには、強磁性材からなるポールピース626が配設されている。好ましくは、ポールピース626は外周壁622の成型時に鋳ぐるまれる。なお、右端壁623と中間壁625の上端には蓋板627が取付けボルト628によって装着されるようになっている。
【0019】
磁石手段70は、上記内周壁621の外周面に内周面がそれぞれ嵌合して配設され、上記外周壁622に装着されたポールピース626と対向する位置に配置された第1の磁石支持筒71と第2の磁石支持筒72とを具備している。第1の磁石支持筒71は、磁性材によって形成されており、固定ピン629によって上記右端壁623に固定されている。第2の磁石支持筒72は、磁性材によって形成され、その下面にはステンレススチールに摩擦係数の小さい材料である例えばテフロン(商品名)をコーティングした筒状の摺動部材630が装着されており、上記内周壁621の外周面上を周方向に摺動可能に配設されている。上記第1の磁石支持筒71の外周面には、上記ポールピース626と対向する位置に周設された複数個の永久磁石73からなる第1の永久磁石群が装着されている。この永久磁石73は、第1の磁石支持筒71に接合する内面とポールピース626に対向する外面とが磁極となっており、外面の極性をN極とS極が交互になるように配列されている。また、上記第2の磁石支持筒72の外周面にも、上記第1の永久磁石群を構成する複数個の永久磁石73の間隔と同一の間隔を置いて配設されてた複数個の永久磁石74からなる第2の永久磁石群が装着されている。この上記永久磁石74も、第2の磁石支持筒72に接合する内面とポールピース626に対向する外面とが磁極となっており、外面の極性をN極とS極が交互になるように配列されている。なお、第1の永久磁石群および第2の永久磁石群を構成する永久磁石73および74は、軽量で強力な磁力を有するネオジム等の希土類から構成されている。
【0020】
上記第2の磁石支持筒72には、その図1において左端にアーム75が取り付けられている。このアーム75は、図示しない磁石作動アクチュエータに連結されている。図示しない磁石作動アクチュエータは第2の磁石支持筒72を上記内周壁621の外周面上を周方向に摺動せしめる。なお、磁石作動アクチュエータによる第2の磁石支持筒72の作動量は、第2の磁石支持筒72に配設された第2の永久磁石群を構成する複数個の永久磁石74の1ピッチ分に設定されている。
【0021】
図示の実施形態における渦電流式減速装置は以上のように構成されており、以下その作動について説明する。
先ず、制動動作について説明する。図示しない磁石作動アクチュエータによって第2の磁石支持筒72が一方向に回動せしめられ、第1の磁石支持筒71の外周面に装着された第1の永久磁石群の各永久磁石73と、この各永久磁石73にそれぞれ隣接する第2の磁石支持筒72の外周に装着された第2の永久磁石群の各永久磁石74とが図3に示すように同極の状態に位置付けられると、制動作用が行われる。
【0022】
以下、制動作用について、図3および図4を参照して説明する。
図3および図4に示すように、第1の磁石支持筒71の外周面に装着された第1の永久磁石群の各永久磁石73と、第2の磁石支持筒72の外周に装着された第2の永久磁石群の各永久磁石74は、ロータ30の制動部33の周方向に沿ってそれぞれN極とS極が交互に配設されていることから、制動部33の周方向に隣接する磁石相互が、第1の永久磁石群および第2の永久磁石群と制動部33との間に配設され非磁性材によって形成されたハウジング本体62の外周壁622で磁気的に絶縁された強磁性材からなるポールピース626を磁気通路として、ロータ30の制動部33と磁気的に接続される。この結果、固定側である第1の磁石支持筒71および第2の磁石支持筒72と回転側であるロータ30の制動部33とを通る磁気回路77および77が形成される。従って、第1の磁石支持筒71および第2の磁石支持筒72とロータ30の制動部33と相対速度差によって制動部33の内周面に渦電流が生じ、制動部33は制動トルクを受ける。
【0023】
上記制動時において、ロータ30は上述したように増速機構50の作用により出力軸11の回転速度の約1.5〜2倍の回転速度で回転駆動せしめられるので、ロータ30を出力軸11に直結したものと比較して、永久磁石73および74の磁力が同一の場合には約2〜4倍の制動トルクが得られる。この制動トルクの増加によりロータ30の発熱量も増加するが、ロータ30に装着された放熱フィン34もロータ30を出力軸11に直結したものに比して約1.5〜2倍の回転速度で回転するため、ロータ30の冷却効率も約1.5〜2倍となり、ロータ30の過熱を防止することができる。
【0024】
次に、制動解除動作について説明する。
上記図3および図4に示す状態から、図示しない磁石作動アクチュエータによって第2の磁石支持筒72を他方向に作動して第2の磁石支持筒72を他方向に回動せしめる。そして、第1の磁石支持筒71の外周面に装着された第1の永久磁石群の各永久磁石73と、この各永久磁石73にそれぞれ隣接する第2の磁石支持筒72の外周に装着された第2の永久磁石群の各永久磁石74とが図5に示すように異極の状態に位置付けられると、制動作用が解除される。
【0025】
以下、制動作用が解除される理由にについて、図5および図6を参照して説明する。
図5および図6に示すように、第1の磁石支持筒71の外周面に装着された第1の永久磁石群の各永久磁石73と、この各永久磁石73にそれぞれ隣接する第2の磁石支持筒72の外周に装着された第2の永久磁石群の各永久磁石74とは、互いに異極となっていることから、ポールピース626を介して磁気的に接続され、ポールピース626を通る磁気短絡回路78が形成される。従って、ロータ30の制動部33の内面へ垂直に作用する磁界は極めて微弱なものとなり、制動部33には制動トルクが発生せず、制動作用が解除される。
【0026】
次に、本発明に従って構成された渦電流式減速装置の他の実施形態について、図7および図8を参照して説明する。なお、図7および図8に示す実施形態における渦電流式減速装置は、磁石ハウジング60および該磁石ハウジング60内に収容される磁石手段70が上記図1乃至図6に示す実施形態と異なるが、他の構成は図1乃至図6に示す実施形態と実質的に同一であるので、同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図7および図8に示す渦電流式減速装置における磁石ハウジング60は、中空円環状のハウジング本体62を構成する外周壁622a即ち、ロータ30を構成する環状の制動部33の内周面と対向する外周壁622aが、非磁性材からなる薄板によって形成されている。この外周壁622aは、例えばオーステナイト系のステンレススチール、アルミニウム、耐熱性合成樹脂、強化繊維入りカーボン材等によって厚さ0.5〜1.0mm程度で円筒状に形成され、ボルト等の固着手段によってハウジング本体62を構成する右端壁623および中間壁625により結合されている。このように図7および図7に示す渦電流式減速装置においては、ハウジング本体62を構成する外周壁622aを非磁性材からなる薄板によって形成することにより、上記図1乃至図6に示す実施形態におけるポールピース626を除去することができる。
【0027】
磁石手段70は、上記ハウジング本体62を構成する内周壁621の外周面に内周面が嵌合された強磁性材からなる磁石支持筒72aを具備し、この磁石支持筒72aが軸方向(図7において左右方向)に摺動可能に配設されている。磁石支持筒72aの外周面には、周方向に複数個の永久磁石74aからなる永久磁石群が装着されている。この永久磁石74aは、磁石支持筒72aに接合する内面と、上記外周壁622aを経てロータ30を構成する環状の制動部33の内周面に対向する外面とが磁極となっており、外面の極性をN極とS極が交互になるように配列されている。上記磁石支持筒72aには、その図7において左端に作動ロッド75aが取り付けられている。この作動ロッドは、図示しない磁石作動アクチュエータに連結されている。
【0028】
図7および図8に示す渦電流式減速装置は以上のように構成されており、その作用について説明する。
ロータ30は増速機構50の作用により上述したように出力軸11の回転速度の3倍以上の回転速度で回転駆動せしめられており、渦電流式減速装置によって制動を行う場合は、図示しない磁石作動アクチュエータを作動して、磁石支持筒72aおよび永久磁石74aを図7において実線で示す制動位置に位置付けると、制動作用が行われる。即ち、磁石支持筒72aおよび永久磁石74aが制動位置に位置付けられると、永久磁石74aは非磁性材からなる薄肉の外周壁622aを経てロータ30を構成する環状の制動部33へ磁界を及ぼし、図8に示すように制動部33を磁石支持筒72aとの間に磁気回路77aが形成される。従って、回転する制動部33が磁界を横切る際に制動部33に渦電流が発生じ、制動部33は制動トルクを受ける。なお、ロータ30は上述したように増速機構50の作用により出力軸11の回転速度の約1.5〜2倍の回転速度で回転駆動せしめられるので、ロータ30を出力軸11に直結したものと比較して、約2〜4倍の制動トルクが得られる。
【0029】
次に、制動を解除する場合について説明する。
図7において実線で示す制動状態から、図示しない磁石作動アクチュエータを作動して、磁石支持筒72aおよび永久磁石74aは、図7において2点鎖線で示す制動解除位置に位置付ける。磁石支持筒72aおよび永久磁石74aが制動解除位置に位置付けられると、永久磁石74aはロータ30を構成する環状の制動部33と対向しないので、制動部33は制動トルクを受けない。
【0030】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲で種々の変形は可能である。例えば、図示の実施形態においては、磁石装置70として永久磁石を用いた例を示したが、電磁石を用いてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明による渦電流式減速装置は以上のように構成されているので、以下に述べる作用効果を奏する。
【0032】
即ち、本発明によれば、回転軸の回転速度を増速してロータに伝達する増速機構は、固定部材に装着された太陽歯車と、ロータの被支持部に装着されたリング歯車と、回転軸に取り付けられたキャリヤと、キャリヤに装着され太陽歯車とリング歯車とに噛合する遊星歯車とからなり、そして、ロータに渦電流を発生させる磁石を収容する磁石ハウジングが、太陽歯車を装着した固定部材の外周に形成される。ロータの被支持部は、環状に形成されて磁石ハウジングとキャリアとの間に配置されており、堅牢な構造でしかもコンパクトな構造であって、特に、渦電流式減速装置の軸方向の長さが短縮される。
さらに、ロータの被支持部とキャリヤとの間には、リング歯車の両側にロータの被支持部を支持する軸受が配設されているので、リング歯車を介してロータに伝達される駆動トルクによってロータには曲げ荷重が生じないため、軸受の耐久性を向上させることができる。ロータの被支持部とキャリヤとはともに回転しており、固定された部材にロータを支持するものと比べ、両者の相対速度差は大幅に減少するので、この面からも軸受の耐久性が向上することとなる。
【0033】
また、請求項2の発明によれば、ロータの被支持部とキャリヤとの間には、軸受の外側にシールが配設されているとともに、キャリヤと固定部材との間にもシールが配設されており、これらのシールによって内部の潤滑油の飛散が防止される。これら各シールは、ロータと固定部材との間に配設された従来のシールに比して、周速度が小さくなるため、シールの寿命を大幅に長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された渦電流式減速装置の一実施形態を示す要部断面図。
【図2】図1に示す渦電流式減速装置を構成する磁石ハウジングおよび磁石手段を示す部分斜視図。
【図3】図1に示す渦電流式減速装置の制動状態における磁石手段の部分斜視図。
【図4】図1に示す渦電流式減速装置の制動状態におけるA−A線断面図。
【図5】図1に示す渦電流式減速装置の非制動状態における磁石手段の部分斜視図。
【図6】図1に示す渦電流式減速装置の非制動状態における要部断面図。
【図7】本発明に従って構成された渦電流式減速装置の他の実施形態を示す要部断面図。
【図8】図7に示す渦電流式減速装置の制動状態におけるB−B線断面図。
【符号の説明】
10:変速機
11:変速機の出力軸
20:キャリヤ
21:キャリヤの第1の部分
22:キャリヤの第2の部分
30:ロータ
31:ロータの被支持部
32:ロータの端壁
33:ロータの制動部
34:ロータの放熱フィン
41、42、43:シール
50:増速機構
51:太陽歯車
52:リング歯車
53:遊星歯車
60:磁石ハウジング
61:磁石ハウジングの取付け部材
62:磁石ハウジングのハウジング本体
626:ポールピース
70:磁石手段
71:磁石手段の第1の磁石支持筒
72:磁石手段の第2の磁石支持筒
73、74:永久磁石

Claims (2)

  1. 回転軸によって駆動されるロータと、
    該ロータと対向して配設され複数個の磁石を備えた磁石手段と、
    該回転軸の回転速度を増速して該ロータに伝達する増速機構と、を具備する渦電流式減速装置において、
    該増速機構は、固定部材に装着された太陽歯車と、該ロータの被支持部に装着されたリング歯車と、該回転軸に取り付けられたキャリヤと、該キャリヤに装着され該太陽歯車と該リング歯車とに噛合する遊星歯車とからなり、さらに、
    該磁石手段は、該太陽歯車を装着した固定部材の外周に形成される磁石ハウジングの中に収容されるとともに、該ロータの被支持部は、環状に形成されて該磁石ハウジングと該キャリアとの間に配置されており、かつ、該ロータの被支持部に装着された該リング歯車の両側には、該ロータの被支持部を該キャリヤに回転可能に支持する軸受が配設されている
    ことを特徴とする渦電流式減速装置。
  2. 該ロータの被支持部と該キャリヤとの間には、該軸受の外方に夫々シールが配設されているとともに、該キャリヤと該太陽歯車を装着した固定部材との間にシールが配設されている請求項1に記載の渦電流式減速装置
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