JP3881958B2 - ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールの水素化法 - Google Patents

ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールの水素化法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、工業有機化学の分野に関する。厳密には、本発明はポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを銅触媒の存在で接触水素化する方法に関する。
【0002】
ホルムアルデヒドとCH酸多価アルカナールとを縮合してメチロールアルカナール、一般にジメチロールアルカナールおよびトリメチロールアルカナールにし、得られた化合物をポリオールに移行させることは化学において広まっている方法である。この種の、得られた重要なトリオールのための例は、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンおよびトリメチロールブタンであり、これらは表面被覆、ウレタンおよびポリエステルの製造のために幅広い分野で使用されている。他の重要な化合物はホルムアルデヒドとアセトアルデヒドとの縮合により得られるペンタエリトリット、およびイソブチルアルデヒドとホルムアルデヒドからのネオペンチルグリコールである。4価アルコールであるペンタエリトリットは同様にしばしば塗料工業において使用されるが、しかしながら爆薬を製造する際にも高い重要性を有している。
【0003】
上記ポリオールは種々の方法で製造されることができる。方法のうちの1つはいわゆるカニッツァーロ法であり、この方法はなおさらに無機カニッツァーロ法と有機カニッツァーロ法とに区分される。この双方の変法は、ほぼ分離不可能な副生成物が生じることに加え、等量のホルムアルデヒドが失われるという欠点を有する。
【0004】
カニッツァーロ法の欠点はいわゆる水素化法の際に回避され、このことは国際特許出願公表第98/28253号明細書の記載から公知である。この場合、ホルムアルデヒドは相応するアルカナールと、アミンの触媒量の存在で反応される。従って、反応をメチロールアルカナールの段階で停止することが達成される。ホルムアルデヒドを分離した後、相応するアルカナールに加え、なお相応するトリオールのわずかな量を含有する反応混合物は水素化され、この際、所望のポリオールが得られる。
【0005】
懸濁液法または固定床法での接触水素化は久しく公知である。工業的装置はほぼ専ら固定床型反応器を用いて稼働されている。
【0006】
固定床触媒として、例えば国際特許出願公表第99/03801号明細書に記載されているラネー型のみならず、とりわけ担持された触媒、例えば銅触媒、ニッケル触媒または貴金属触媒も使用される。
【0007】
国際特許出願公表第99/44974号明細書には、カルボニル化合物、とりわけポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを、TiOに担持されたCu触媒上で水素化してアルコールにすることが記載されている。
【0008】
国際特許出願公表第95/32171号明細書の記載から、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールの水素化のために適当な、SiO含有担体上の銅触媒は公知である。
【0009】
本発明は、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールの接触水素化法を提供するという課題に基づいており、この方法によって高い変換率および選択性のみならず、長い触媒可使時間も可能となる。
【0010】
ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナール、或いはポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを含有する水素化供給体中の元素の周期律表の第3族〜第14族の金属イオンの含量は、達成された変換率および銅含有水素化触媒上での水素化の選択率、並びに銅含有水素化触媒の可使時間に対して明らかに影響を及ぼすことが見い出された。水素化供給体とは、水素化に導入された、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールからなるか、またはこれらを含有するエダクト流と解釈される。
【0011】
それに応じて、課題は、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを含有する水素化供給体が、元素の周期律表の第3族〜第14族の、少なくとも1種の金属イオンの5ppmまでの含量を有することによって特徴付けられる、一般式(I)
Figure 0003881958
[式中、Rは同じかまたは異なっていてよく、1〜22個のC原子を有する置換脂肪族炭化水素または1〜22個のC原子を有する非置換脂肪族炭化水素、アリール基または6〜22個のC原子を有するアリールアルキル基、またはメチロール基を表す]のポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを銅含有触媒の存在で接触水素化する方法により解決された。
【0012】
一般式(I)のポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを含有する水素化供給体は、元素の周期律表の第3族〜第14族から、好ましくは鉄(II)、鉄(III)、クロム(III)、クロム(IV)およびニッケル(II)を有する。一般式(I)のポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを有する水素化供給体中の第3族〜第14族の金属イオンの全含量は5ppm以下であるはずであり、その際、存在する金属イオンの数に応じて、それぞれの金属イオンの含量は0.001〜5ppm、好ましくは0.001〜2ppmである。
【0013】
本発明による方法は、純物質かまたはモノメチロールアルカナールおよびポリメチロールアルカナールをもう一方の化合物との混合物中で水素化することにより実施されてよい。相応するポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールは、例えば相応する脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドとを、例えば国際特許出願公表第98/28253号明細書に記載されているような塩基性触媒の存在でアルドール反応させることにより製造されるため、この反応における反応搬出分は、相応するポリオールへの水素化へと直接供給されてよい。
【0014】
この反応搬出分の早期の精製は、例えばドイツ連邦共和国特許出願第19963445.9号の記載から公知であり、この刊行物にはホルムアルデヒドの分離が記載されている。この場合、殊に実施例2〜4は、この実施例がアルドール化生成物、即ち一般式(II)のポリメチロールアルカナールの蒸留に関連する範囲内で参照される。実施例に記載された反応条件を、同様にモノメチロールアルカナールに転用することができる。金属イオンを反応搬出分から分離することは記載されていない。その上、蒸留によりポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールは失われる。
【0015】
金属イオンは通常、装置部品の腐食により、アルドール化の際に、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールか、またはポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを含有する水素化供給体に到達する。従って、低下された金属イオン含量を有する、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナール、またはポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを含有する水素化供給体は、まず金属イオンの搬入を回避することにより、例えば、貯蔵容器および中間容器、管状導管、反応器、蒸留塔および精留塔のために適当な金属不含原料、例えばガラス、エナメルまたは価値の高い原料、例えばチタンまたは価値の高い合金を選択することにより得ることができる。このことが技術的に実現可能である場合、これは殊に大工業的な装置のために莫大な費用と関連し得るものであるため、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールおよび/またはその製造に必要とされるエダクトまたはそのプロセス流、例えば、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを製造するためのアルドール反応の際には、相応する脂肪族アルデヒドおよびホルムアルデヒドから金属イオンを分離することによって、金属イオン含量を低下させることが好ましい。
【0016】
ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールおよび/またはその製造に必要とされるエダクト、例えばホルムアルデヒドまたは脂肪族アルデヒドからの金属イオンの分離は、吸収体を用いた処理および/または錯化および後続の膜分離法により行われてよく、好ましくはこの分離は吸収体を用いた処理により行われる。
【0017】
本発明による錯化と後続の膜分離法のために、水素化供給体は可溶性の高分子錯化剤と混合され、この錯化剤は供給体中に含有されている金属イオンを錯化する。錯化剤として、錯化のために適当な官能基(例えばCOOH、NR等)またはヘテロ原子、例えばNまたはPを含有する、いかなる種類のポリマーが使用されてもよい。例えば適当な分子量のポリイミンが使用されてよい。錯化ポリマーおよび非錯化ポリマーの過剰量は引き続き適当な(有機的または無機的な)膜を介して水素化供給体から分離される。膜は、錯化剤および結合された金属イオンを通過させないが、(溶解された)水素化供給体は膜を通過し、引き続き水素化される。
【0018】
好ましくは、吸収体として活性炭、酸性イオン交換体または塩基性イオン交換体またはその混合物、金属酸化物またはモレキュラーシーブが使用され、その際、キレートイオン交換体が殊に好ましい。
【0019】
本発明により、吸収体を用いた処理の場合、敏感なポリメチロールアルカナールの分解は生じないことが示された。このことは驚異的なことであり、それというのもポリメチロールアルカナールが、より高い温度でも、塩基性処理または酸性処理の際にも、このポリメチロールアルカナールの形成の逆反応である逆アルドール反応を生じる傾向にあることは公知であるからである。
【0020】
適当な活性炭は例えばDIN 66 131による500〜2000m/gの表面積およびDIN 66134による0.05〜1.0cm/gの多孔度を有し、かつMerck社、Darmstadt在、Chemviron Midwest Corp.、Wooster、USA在から、CPG LF 8 30(登録商標)なる商品名で、およびLurgi AG Frankfurt在からカルボラッフィン(Carboraffin) P(登録商標)なる商品名で市販されている。
【0021】
適当なイオン交換体は、好ましくは、全てのあり得る形の、例えば粒子状かまたはゲルとしてのキレートイオン交換体であり、例えばRohm&Haas社、Darmstadt在のアンバーライト(Amberlite)(登録商標)TRL、Bayer AG、Leverkusen在のレバティート(Levatit)(登録商標)TP 207である。
【0022】
金属酸化物として、例えばアルファ酸化アルミニウムまたはガンマ酸化アルミニウム、酸化ケイ素、アナターゼ変態もしくはルチル変態の二酸化チタン、二酸化ジルコン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛または金属酸化物の混合物、例えばアルミノシリケートが使用されてよい。適当な酸化アルミニウムは例えばCondea Chemie AG、Hamburg在からプラール(Pural)(登録商標)SBなる商品名で市販されている。
【0023】
適当なモレキュラーシーブは、例えば3Åを上回る孔径を有するアルモシリケートまたはゼオライト、例えばUetikon AG、Uetikon、スイス在のゼオライトである、ゼオカート(Zeokat)(登録商標)Z 6 01−01−y ゼオライトまたはゼオヒェム(Zeochem)(登録商標)モルシーブ 13×13である。
【0024】
吸収体は成形体、例えば球、ストランド、ペレット、顆粒または粉末の形で存在してよい。
【0025】
通常、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールおよび/またはその製造に必要とされるエダクトは、金属含量が低下されるべきポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールまたはその製造に必要とされるエダクトの凝固点と沸点との間の温度で、好ましくは20〜150℃で、殊に好ましくは40〜100℃で、0.001〜200バールで、好ましくは0.5〜10バールの圧力で、攪拌容器中で、しかしながら好ましくは固定床中で吸収体に導通されることにより処理される。
【0026】
殊に好ましい実施態様において、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールは、相応する脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドとから、国際特許出願公表第98/28253号明細書に記載の塩基性触媒の存在でアルドール反応することによって製造され、この場合この刊行物は明らかに参考のために挙げられたものである。国際特許出願公表第98/28253号明細書に記載のアルドール化の反応搬出分は、好ましくはなお大気圧で、直接固定床中の吸収体、殊に好ましくはキレートイオン交換体へと直接移動され、さらに、相応するポリオールへの水素化に供給される。吸収体としてイオン交換体を使用する場合、上記温度範囲内で、それぞれのイオン交換体の最適な温度範囲のために、製造者の推奨が考慮されるべきである。
【0027】
ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールまたはその製造に必要とされるエダクトの滞留時間は吸収体の親和性に依存し、通常1分〜24時間、しかしながら好ましくは5〜30分である。ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールまたはその製造に必要とされるエダクトを、溶剤中で、好ましくは20〜60質量%溶液の形で使用することは可能である。溶剤として、例えば水、アルコール、例えばメタノールおよびエタノールまたは0.1〜99%アルコール−水混合物が適当である。好ましくは、吸収体を用いた処理は水かまたは0.1〜99%アルコール−水混合物中で実施される。
【0028】
吸収体は、例えば吸収体に応じて、水、アルカリ液または酸で洗浄し、引き続き水で洗浄することにより再生されることができる。酸性イオン交換体または強酸性イオン交換体は、好ましくは塩酸水、硫酸水、ギ酸水または酢酸水を用いて再生され、その一方で塩基性イオン交換体または強塩基性イオン交換体は、好ましくは苛性ソーダ水溶液、カリ水溶液またはCa(OH)水溶液を用いて再生される。
【0029】
金属イオンの搬入を回避することは、殊に好ましくは、吸収体を用いた、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールまたはその製造に必要とされるエダクトの処理と組合せられる。
【0030】
本発明による水素化のために、好ましくは、ラネー銅触媒と担持された銅触媒とから選択されている銅含有触媒が使用される。
【0031】
適当なラネー−ニッケル触媒は、例えば国際特許出願公表第99/03801号明細書の記載から公知であるナゲットの形のラネー−ニッケル触媒であり、この場合この刊行物は明らかに参考のために挙げられたものである。この触媒は、2〜7mmのナゲットの粒径、40〜90質量%の銅含量、5〜50m/gのラングミュアによる表面積、0.5〜7m/gの銅表面積、0.01〜0.12ml/gのHg−細孔容積および50〜300nmの平均孔径を有する。
【0032】
本発明による方法で使用するために適当な担持された銅触媒は、例えば国際特許出願公表第95/32171号明細書の記載から公知である、SiO上に担持された銅触媒であり、この場合上記刊行物は明らかに参考のために挙げられたものであり、この銅触媒は、CuOとして算出した場合銅5〜50質量%、有利に、SiOとして算出した場合ケイ素70〜95質量%、および場合により元素マグネシウム、元素バリウム、元素亜鉛または元素クロムを1種以上含有しており、多孔質の二酸化ケイ素担持材料を、易熱分解性を有する銅化合物の過剰の水溶液で含浸させ、引き続き乾燥させ、200〜400℃でか焼することにより製造される。
【0033】
殊に好ましくは、本発明による水素化は国際特許出願公表第99/44974号明細書の記載から公知である触媒の存在で実施され、この場合この刊行物は明らかに参考のために挙げられたものであり、この触媒は、TiO含有無機担体、および活性成分として銅か、または亜鉛、アルミニウム、セリウム、貴金属および第VIII副族の金属の群から選択された金属を少なくとも1種有する銅からの混合物を含み、かつこの触媒の銅の比表面積は最大10m/gである。この触媒は好ましくは担体としてTiOか、またはTiOとAlとからの混合物か、またはTiOとZrOとからの混合物か、またはTiOとAlとZrOとからの混合物を有し、殊に好ましくはTiOが使用される。銅表面積が最大10m/gである場合、国際特許出願公表第99/44974号明細書に記載のこの触媒を製造する際に、金属Cu粉末が他の添加物としてペレット化の間に添加されてよい。
【0034】
好ましくは、水素化は固定床中で実施される。しかしながら、連続的または回分的な懸濁液水素化としての実施態様および上下に渦動運動している触媒を有する流動床反応としての実施態様も同様に可能である。水素化は気相中で実施されてもよいし、液相中で実施されてもよい。有利に、水素化は液相中で、例えばダウンフロー方式かまたはアップフロー方式で実施される。
【0035】
ダウンフロー方式で運転する際、水素化すべきポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを含有する液体のエダクトを、水素圧力下にある反応器中で、この反応器中に配置された触媒床の上方に細流として流下(rieseln)してよく、その際、触媒上に薄い液体被膜が形成される。それに対し、アップフロー方式で運転する場合には、水素ガスが液体反応混合物で溢流された反応器中に導入され、その際、水素は上昇する気泡の形で触媒床を通過する。
【0036】
実施態様の1つにおいて、水素化すべき溶液は直立の通路中で触媒堆積物の上方にポンプ輸送される。本発明による方法の別の実施態様において、生成物の一部は反応器を通過した後で生成物流として連続的に取り出され、場合により、第2の反応器に上記で定義されたように導通される。生成物の別の部分は、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを含有する新しいエダクトと一緒に再度反応器に供給される。この方法は以下で循環方式と呼称される。
【0037】
本発明による方法の実施態様としてダウンフロー方式が選択される場合、これに関しては循環方式が好ましい。さらに好ましくは、循環方式で主反応器および後反応器を使用しながら運転され、その際、殊に好ましくは主反応器は循環方式で、かつ後反応器は直立の通路中で運転される。
【0038】
本発明による方法は、ポリメチロール化合物およびモノメチロール化合物の水素化のために適当である。例は、ジメチロールエタナール、トリメチロールエタナール(ペンタエリトリタール)、2−メチロールプロパナール、2,2−ジメチロールプロパナール(DMP)、2−メチロールブタナール、2,2−ジメチロールブタナール、ヒドロキシピバリンアルデヒドである。殊に好ましくは、ヒドロキシピバリンアルデヒド(HPA)、トリメチロールエタナール(ペンタエリトリタール)、2,2−ジメチロールプロパナール(DMP)およびジメチロールブタナール(DMB)である。
【0039】
水素化すべきポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールは、水素化反応器に単独でかまたは水素化反応の生成物との混合物として供給されてよく、その際、この供給は希釈されない形でかまたは付加的な溶剤を使用しながら行われてよい。付加的な溶剤として、殊に水、アルコール、例えばメタノール、エタノールおよび反応条件下で生じるアルコールが適当である。好ましい溶剤は水、THF、NMPおよびエーテル、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、MTBEであり、殊に好ましくは水である。
【0040】
アップフロー方式およびダウンフロー方式での水素化はそれぞれ好ましくは循環方式で運転され、通常20〜250℃、好ましくは70〜200℃、殊に好ましくは80〜150℃の温度で、1〜350バール、好ましくは10〜200バール、殊に好ましくは20〜100バールの圧力で実施される。
【0041】
本発明による方法により高い変換率および高い選択性が達成され、かつ触媒は高い可使時間を有する。本発明は以下の例中で詳説される。
【0042】

ジメチロールブチルアルデヒドの製造
本発明は以下の例中で詳説される。この例では、以下のように製造されたアルドール化混合物を使用した:
オーバーフロー管により互いに結合されており、合計で72 lの容量を有する2個の加熱可能な攪拌容器からなる装置に、新しいホルムアルデヒド水溶液(40%水溶液の4300g/h)またはn−ブチルアルデヒド(1800g/h)および触媒としての新しいトリメチルアミン(130g/h)を45%水溶液の形で連続的に装入した。反応器を40℃に温度調節した。この場合、メタノールの乏しいホルムアルデヒドが使用されてよく、例えばこれは、1999年12月28日付の”メタノールの乏しいホルムアルデヒドを用いたポリアルコールの製造法”なる名称であるドイツ連邦共和国特許出願第19963438.6号(出願人:BASF AG)に記載されている。
【0043】
搬出分を、カラムが取付けられた流下液膜式蒸発器(11バールの加熱蒸気)に直接移し、この搬出分をこの蒸発器中で常圧で蒸留により、本質的にブチルアルデヒド、エチルアクロレイン、ホルムアルデヒド、水およびトリメチルアミンを含む易沸騰性塔頂生成物と高沸点塔底生成物とに分離した。
【0044】
塔頂生成物を連続的に凝縮させ、上記反応器に返送した。
【0045】
蒸発器からの高沸点塔底生成物(約33.5kg/h)を、連続的に、新しいトリメチルアミン触媒(45%水溶液の形で50g/h)と混合し、空容積12 lの、充填剤を充填した加熱可能な管状反応器中に導いた。この際、反応器を40℃に温度調節した。
【0046】
後反応器の搬出分を、連続的に、ホルムアルデヒドを分離するための他の蒸留装置の上部に導き(11バールの加熱蒸気)、そこで蒸留により、本質的にエチルアクロレイン、ホルムアルデヒド、水およびトリメチルアミンを含む易沸騰性塔頂生成物と高沸点塔底生成物とに分離した。易沸騰性塔頂生成物(27kg/h)を連続的に凝縮し、第1の攪拌容器中に返送し、それに対して高沸点塔底生成物を回収した。
【0047】
このように得られた塔底生成物は、水の他に本質的にジメチロールブチルアルデヒド、ホルムアルデヒド、およびモノメチロールブチルアルデヒドの痕跡を有していた。
【0048】
1999年12月28日付の、”溶剤の添加下におけるポリオール含有反応混合物からのホルムアルデヒドの分離法”なる名称であるドイツ連邦共和国特許出願第19963445.9号(出願人:BASF AG)の実施例4に従って、塔底生成物からホルムアルデヒドを分離した。70%水性搬出分が得られ、この搬出分はジメチロールブチルアルデヒド(DMB)24質量%を有していた。
【0049】
金属イオン含量の測定
ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを含有する水素化供給体の試料0.5〜1gを酸浸漬処理し、その際、試料をまずNaSO水溶液(200g/l NaSO)0.2ml、さらに硫酸(1.84g/ml)8mlと混合し、引き続き硝酸(1.41g/ml)3mlと混合し、その後加熱して沸騰させた。さらに、加熱された状態で、体積比が2:1:1の硝酸、硫酸および過塩素酸からの混合物10mlを用いて酸化させた。過剰分の酸を蒸発させた後、残留物に希釈塩酸を充填して10mlとした。この容量液から、誘導結合高周波プラズマ法(ICP−AES)を用いた原子発光分光法により、例えばThermo−Jarrel Ash社のIRIS Advantage ICP分光計を用いて金属イオン濃度を測定した。
【0050】
例1〜6
上記方法により製造されたCrイオンおよびNiイオンを含有する70%DMB水溶液(70℃)を、連続的にアップフロー方式で、種々の吸着剤材料で充填された管状反応器を通過させた。容積30mlの反応器をそれぞれ吸着剤で充填し、DMB溶液を30ml/hで流入させた。搬出分を回収し、Cr含量およびNi含量に関して分析的な試験を行った。結果は第1表に記載されている。
【0051】
【表1】
Figure 0003881958
【0052】
例7および8
例7および8を、例1〜6と同様に実施したが、但し容積60mlの反応器を使用し、15ml/hで流入させた。結果は第2表に記載されている。
【0053】
【表2】
Figure 0003881958
【0054】
例9〜11
最初、21ppmの鉄イオン含量を有していたジメチロールプロピオンアルデヒド水溶液(ジメチロールプロピオンアルデヒド含量 37.2%)を、活性炭10質量%と室温で15時間攪拌した。活性炭を分離した後、搬出分中のFe濃度を測定した。結果は第3表に記載されている。
【0055】
【表3】
Figure 0003881958
【0056】
比較例 V1
ジメチロールアルデヒドの水素化を、固定床型反応器中で(主反応器、循環方式で)触媒150ml上で、および他の後接続された第2の固定床型反応器中で(後反応器、直立の通路)、Cu−TiO触媒50ml上で実施した。触媒をドイツ連邦共和国特許第19809418号明細書のJと同様に製造した。この触媒はCuO 42質量%、Cu 16質量%およびTiO 46質量%を有していた。まず、触媒を180℃で水素/窒素混合物を用いて活性化した。メチロールアルデヒドを含有する使用物質の水素化を、ダウンフロー方式で、温度120℃、圧力90バール、流量100ml/hおよび主反応器中での循環量900ml/hで行った。
【0057】
水性のジメチロールブチルアルデヒド(DMB)供給体の分析により、Ni 10ppm、Cr 10ppmおよびFe 3ppmが示された。水素化を12日間この条件で行った。結果は第4表に記載されている。
【0058】
【表4】
Figure 0003881958
【0059】
例11
比較例V1と同様に、同期間に亘り連続的な水素化を実施したが、但し、Cr 1ppm、Ni 1ppmおよびFe 2ppmを含有するジメチロールブチルアルデヒド供給体を使用した。結果は第5表に記載されている。
【0060】
【表5】
Figure 0003881958
【0061】
本発明による例の結果と比較例の結果との比較は、第6表に記載されている。
【0062】
【表6】
Figure 0003881958
【0063】
この比較は、本発明による方法により、触媒の明らかにより高い可使時間が実現され得ることを示す。

Claims (11)

  1. 一般式(I)
    CHOH

    R−C−CHO (I)


    [式中、Rは同じかまたは異なっていてよく、1〜22個のC原子を有する置換脂肪族炭化水素または1〜22個のC原子を有する非置換脂肪族炭化水素、6〜22個のC原子を有するアリール基またはアリールアルキル基、またはメチロール基を表す]のポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを銅含有触媒の存在で接触水素化する方法において、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを含有する水素化供給体が、元素の周期律表の第3族〜第14族の金属イオンの5ppmまでの全含量を有することを特徴とする、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールの接触水素化法。
  2. 元素の周期律表の第3族〜第14族の金属イオンのそれぞれの含量が0.001〜5ppmである、請求項1記載の方法。
  3. 吸収体を用いた処理、および/または錯化および後続の膜分離法により、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールおよび/またはその製造に必要とされる出発材料から金属イオンを分離することによって、および/または金属イオンの搬入を回避することによって、ポリメチロールアルカナールまたはモノメチロールアルカナールを含有する水素化供給体の金属イオン含量を調整する、請求項1または2記載の方法。
  4. 吸収体が、活性炭、酸性イオン交換体または塩基性イオン交換体またはその混合物、金属酸化物またはモレキュラーシーブから選択されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 吸着剤がキレートイオン交換体である、請求項4記載の方法。
  6. 銅含有触媒が、ラネー銅触媒および酸化物の担体上に担持された銅触媒から選択される、請求項1記載の方法。
  7. 銅含有触媒がTiOを含有する無機担体を有し、かつ活性成分として銅か、または亜鉛、アルミニウム、セリウム、貴金属および第VIII副族の金属の群から選択された金属を少なくとも1種有する銅からの混合物を含み、かつ銅表面積が最大10m/gである、請求項1記載の方法。
  8. 担持材料がTiOとAlとからの混合物か、またはTiOとZrOとからの混合物か、またはTiOとAlとZrOとからの混合物を含む、請求項7記載の方法。
  9. 金属銅粉末を添加しながら触媒材料をペレットに成形する、請求項7または8記載の方法。
  10. 接触水素化を固定床反応としてダウンフロー方式またはアップフロー方式で実施する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 方法を循環方式により実施する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
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