JP3880835B2 - 足場の組立、解体方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多層階建築物の建設や補修等を行う際に組立てられる足場の組立方法とその組立てた足場の解体方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高層ビルや住宅等の建築物の建設もしくは補修を行う際に、建築物の外壁に沿って足場が組立てられているが、通常、このような足場は、前後脚杆の上端部間を水平杆によって連結してなる門形形状の建枠を一定間隔毎に横方向に並列すると共に隣接する建枠間を足場板及び筋交いによって連結することによって一階層の足場枠を構成し、この足場枠の各建枠における前後脚杆の上端部に上側建枠における前後脚杆の下端部を順次、連結することにより次の階層の足場枠を組立て、この組立て作業を所定高さまで繰り返し行って建枠が多列、多層に連結している足場を構成しているが、多数の建枠をこのように横列方向及び縦方向に順次、組立てるには多大な労力を要するばかりでなく、長期間の工期を必要とする問題点がある。
【0003】
このため、例えば、特許第2587033号公報に記載されているように、複数の建枠を数列、数層に組み合わせて足場ユニットを構成し、この足場ユニットを数列、数層に組み立てることによって足場を構築する方法が開発されたが、上下足場ユニット同士を連結する際に、下側の足場ユニットにおける全ての建枠の前後脚杆の上端に、上側の足場ユニットにおける全ての建枠の前後脚杆の下端をそれぞれ同一垂直線上に対向させながら同時に連結する作業が極めて困難であるため、足場ユニットの最上層の建枠間に手摺り枠を取付けると共に左右に隣接する手摺り枠間に上向きラッパ形状のガイド金具を取付け、このガイド金具に上側の足場ユニットにおける建枠の脚杆下端部を挿通させて該脚杆の下端を下側の足場ユニットにおける建枠の脚杆上端に連結させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ガイド金具は、予め、足場ユニットの最上層における隣接する建枠間に手摺り枠を取付けておかなければ装着することができず、その作業に手間を要すると共に、建枠の前後脚杆とは別な部分に装着されるために、このガイド金具を上側の足場ユニットにおける全ての建枠の前後脚杆の下端部を挿通させる位置に正確に配設しておかなければならず、その作業に困難をきたすという問題点がある。
【0005】
さらに、脚杆を挿通させるガイド金具の孔は、脚杆よりも大径に形成されているため、上側の足場ユニットの建枠における前後脚杆をそれぞれ対応するガイド金具に挿通した時に、脚杆がガイド金具の孔内で前後左右に微動し、下側の足場ユニットの建枠における前後脚杆の上端部に正確に合致させるには、上側の足場ユニットを前後左右に微調整しなければならない事態が生じる虞れがあって、作業能率が低下することになり、また、足場の解体時には、ガイド金具を取り外し作業を必要とする等の問題点がある。
【0006】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上下足場ユニットの対向する建枠における前後脚杆同士の連結を簡単且つ正確に行える足場ユニット組立用ガイド金具を用いて、足場の組立、解体作業が円滑且つ能率よく行える足場の組立、解体方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の足場の組立、解体方法は、請求項1に記載したように、上端に連結筒軸を突設している一定長の管体からなる前後脚杆間を水平杆によって一体に連結してなる建枠を横方向に数列、連結すると共に、上下方向に数層、下側の建枠の前後脚杆から突設した上記連結筒軸に上側の建枠の前後脚杆の下端部を外嵌させて一体に連結することにより足場ユニットを枠組みし、この足場ユニットを数列、数層に連結することにより足場を組立てる方法と、この足場を解体する方法であって、組立方法は、下端面外周部に上記足場ユニットにおける最上層の建枠の前後脚杆から突設した連結筒軸の上端面に受止させる係止面を形成してなる円錐形状のガイド金具部と、このガイド金具部の下端面から下方に突設して上記連結筒軸の上端部内にこの連結筒軸と一体に連結することなく抜き取り可能に挿入する短軸部とからなるガイド金具を用いて、建枠を数列、数層に枠組してなる下側足場ユニットにおける最上層の建枠列の各脚杆の上端連結筒軸の上端部に上記ガイド金具の短軸部を挿入して該ガイド金具の円錐形状ガイド金具部を上方に突設させる工程と、上側足場ユニットを吊り上げてその最下層の建枠列の各脚杆の下端部を上記下側足場ユニットの最上層の建枠列の各脚杆上に対向させてガイド金具をガイドとして連結筒軸に外嵌させることにより上側足場ユニットを下側足場ユニット上に組み立てる工程と、この上下足場ユニット同士の組立てを数列、数層となるように行って所定幅と高さの足場を組立てる工程とからなり、解体方法は、上記ガイド金具を用いて連結した上下建枠を含む数列、数層の建枠からなる枠組足場を一ユニットとして、下側の足場ユニットから上側の足場ユニットをガイド金具を用いた連結部以外の連結部の連結を順次解く工程と、連結部の連結を解いた足場ユニットを順次、地上に吊り下ろす工程と、足場ユニットを解体すると共に上記ガイド金具を取り外す工程とからなることを特徴とする。
【0008】
この足場の組立、解体方法において請求項2に係る発明は、足場をより正確且つ能率よく組立てることができる方法であって、上側足場ユニットを一端から他端に向かって斜め上方に傾斜させた状態に吊り上げ、その最下層の建枠列における一端側の前後脚杆の下端部を、下側足場ユニットの最上層の建枠列における一端側の前後脚杆の連結筒軸にガイド金具をガイドとして外嵌し、しかるのち、上側足場ユニットの最下層の建枠列における前後脚杆を他端側に向かって、下側足場ユニットの最上層の建枠列における前後脚杆の連結筒軸にガイド金具をガイドして順次外嵌させることを特徴とする。
【0009】
【作用】
上端に連結筒部を突設している一定長の管体からなる前後脚杆間を水平杆によって一体に連結してなる同一形状を有する建枠を複数個使用して、この建枠を横方向に数列、連結すると共に上下方向に数層、連結することにより、ブロック形状に枠組された足場ユニットを順次組み立てる。この際、左右に隣接する建枠同士の連結は、筋交いを装着すると共に対向する水平杆間に足場板を架設することによって行われる。また、上下に隣接する建枠同士の連結は、下側の建枠の前後脚杆の上端から上方に向かって突設している連結筒軸に上側の建枠の前後脚杆の下端部を外嵌させ、取り外し可能なピン等によって抜け止め状態に連結すればよい。
【0010】
このように建枠を数列、数層に連結することによって足場ユニットを構成し、この足場ユニットを数列、数層に組み立てることによって足場を構築する。その際、足場ユニットを所望高さまで数層に組み上げるには、下側の足場ユニットにおける最上層の建枠列の前後脚杆の上端から突設した上記各連結筒軸の上端部にガイド金具の短軸部を挿入して該ガイド金具の円錐形状のガイド金具部を連結筒軸の上端から上方に向かった突設させておく。
【0011】
このガイド金具の取付作業は、作業員が各連結筒軸の上端開口部にガイド金具の短軸部を連結することなく、単に、抜き取り可能に挿入していくだけでよく、従って、ガイド金具の作業作業が迅速に行えると共に、ガイド金具の短軸部が連結筒軸に内嵌してこの連結筒軸の上端から突出する該ガイド金具の円錐形状のガイド金具部が自動的に且つ正確に連結筒軸の軸心線上に突出させた状態にすることができる。
【0012】
こうして、最上層の建枠列の前後脚杆から上方に突設している連結筒軸の上端部にガイド金具を抜き取り可能に取付けたのち、この足場ユニット上に組み立てる上側足場ユニットをクレーンによって吊り上げ、該上側足場ユニットを下側足場ユニットの上方にまで移動させてその最下層の建枠列における前後脚杆を、下側の足場ユニットの最上層の建枠列における前後脚杆の垂直上方に対向させる。
【0013】
この状態にして上側足場ユニットを徐々に吊り下ろすと、上下足場ユニットの対向する脚杆において、下側足場ユニットの最上層の建枠列の各脚杆から上方に向かって突設している連結筒軸にはその上端部に上記ガイド金具を突設しているので、上側足場ユニットの最下層の建枠列における管体からなる前後脚杆の下端部がガイド金具の円錐形状ガイド金具部に被さってこのガイド金具部の円錐形状面をガイドとしてその内周面を摺接させながら連結筒軸に外嵌し、下側足場ユニットに上側足場ユニットが積層状態に組立てられる。
【0014】
また、足場ユニットを横方向に並列状態に連結させるには、複数の足場ユニットを隣接する建枠間の間隔を存して順次、建て込み、その間隔を存して対向する最外側の建枠の前後脚杆間を筋交いによって連結すると共にこれらの建枠の水平杆に足場板を架設すればよい。こうして、複数の足場ユニットを数列、数層に組立てることによって所定高さと幅を有する足場を構築する。
【0015】
次に、この足場を解体する場合、上記上下足場ユニット間を連結している部分からこれらの上下足場ユニットを分離させると、下側足場ユニットの最上層の建枠列における前後脚杆の上端連結筒軸には上述したようにガイド金具がその短軸部を抜き取り可能に挿入されているだけであるから、上側足場ユニットをこのガイド金具を設けた下側足場ユニットから上方に引き上げて両者を分離させると、上側足場ユニットの脚杆の内周面がガイド金具に強く摺接したり当接した時に該ガイド金具が連結筒軸の上端から抜け落ちて地上に落下し、極めて危険である。このガイド金具の抜け落ちは、連結筒軸に取付けた状態で足場ユニットを吊り下ろす場合にも生じる虞れがある。
【0016】
従って、足場を解体するに際しては、上記ガイド金具を介して連結している上下建枠間から切り離すのではなく、それ以外の上下建枠間から切り離し、ガイド金具を用いて連結した上下建枠を含む数列、数層の建枠からなる枠組足場を1つの足場ユニットとして順次、解体するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1において、建枠1は同一径、同一長さを有する金属製管体からなる脚杆2、2を前後に所定間隔を存して並設すると共に、これらの前後脚杆2、2の上端部間を足場板架設用の水平杆3によって一体に剛結して側面門形形状に形成されてなるものであり、前後脚杆2、2の下端部内周面における両側部には互いに対向した係止突起4、4(図5に示す)を内方に向かって突設している。なお、上記水平杆3による連結部位は、脚柱2、2の上端部に限らず、中間部分であってもよい。
【0018】
この建枠1の前後脚杆2、2の上端部には図2〜図4に示すように、脚杆2よりも小径で長さが短い金属パイプよりなる連結筒部5の下半部を周方向に回動自在に挿嵌している。この連結筒軸5の外周面における長さ方向の中間部には、外方に向かって回動操作用突片6aを一体に突設している円環部材6が被嵌状態で固着してあり、この円環部材6の下端面を脚杆2の上端面に当接、受止させていると共に上端面を、連結筒軸5に上側の建枠1における脚杆2の下端部を外嵌状態で連結させた時に、その脚杆2の下端面を当接、受止させる受止端面6bに形成している。
【0019】
脚杆2の上端部内に挿入した連結筒軸5の下半部における下端部両側面には、周方向に略90度の円弧長に亘って係止長孔10、10が形成されてあり、この係止長孔10、10に挿通して係止ピン11を脚杆2の上端部両側面間に貫通、固定させている。従って、連結筒軸5は脚杆2の上端部に周方向に90度の範囲に亘って往復回動可能に且つ抜け止め状態に取付けられている。
【0020】
さらに、脚杆2から上方に突出したこの連結筒軸5の上端部両側面には、上側の建枠1の脚杆2の下端部内周面に突設している上記係止突起4、4を係脱自在に係止させる周方向に長い長孔7が形成されてあり、さらに、これらの長孔7、7の一側部から連結筒軸5の上端に至までの該連結筒軸5の上端両側部を内方に向かって偏平状に押圧、変形させて平面小判形状に形成し、この押圧による凹み変形部分によって上記係止突起4、4を長孔7内に導入可能で且つ長孔7内から上方に抜け出しを可能にした垂直な案内縦溝部8、8に形成していると共に、変形していない長孔7の他側部内に係止突起4、4を移動させた時には、この長孔7の他側部上側の下向き端面によって係止突起4、4を抜け止め状態に係止させるように構成している。
【0021】
なお、上記案内縦溝部8、8としては、その溝部を形成している連結筒軸5の上端両側部を上端から長孔7の一側部に連通するように切除することによって形成しておいてもよく、この場合には、上述したように押圧、変形させることなく、長孔7を単に正面L字状に形成してその垂直な孔部により案内縦溝部8を形成しておいてもよい。
【0022】
このように構成した縦枠1を図6に示すように左右方向(横方向)に数列(図においては5列)、上下方向に数層(図においては3層)となるように枠組、連結することによって1単位のブロック状の足場ユニットAを構成する。この際、建枠1、1を左右方向に連結するには、図1に示すように左右に一定間隔を存した建枠1、1の前側の対向する脚杆2、2間、及び、後側の対向する脚杆2、2間をそれぞれ筋交い12、12によって連結、固定すると共に対向する水平杆3、3に足場板13の両側端面から突設しているフック14、14を水平杆3、3に引っ掛けて該足場板13を架設することにより行われる。
【0023】
一方、建枠1、1を上下方向に連結するには、図3〜図5に示すように下側の建枠1の前後脚杆2、2の上端から上方に向かって突設している連結筒軸5に上側の建枠1の前後脚杆2、2の下端部を外嵌させる。この際、下側の建枠1においては、連結筒軸5を、その外周面に固着している円環部材6の回動操作用突片6aによって周方向に回動させ、連結筒軸5の下端部両側面に設けている係止長孔10、10の一側端面に係止ピン11を当接させておく。この状態にすると、この連結筒軸5の上端部両側面に形成している案内縦溝部8が上側の建枠1の脚杆2に突設している係止突起4の垂直下方に対向した位置になる。
【0024】
しかるのち、連結筒軸5を上側の建枠1の脚杆2の下端部内に挿入するようにして上側の建枠1の脚杆2を下側の連結筒軸5の上記連結筒軸5に被せていくと、係止突起4が案内縦溝部8を通過して長孔7の一側部内に入ると共に係止突起4を設けている上側の建枠1の脚杆2の下端面が連結筒軸5の外周面に固着している上記円環部材6の上端受止端面6bに当接、受止され、上下建枠1、1の前後脚杆2、2が直状に接合すると共に円環部材6が上下脚杆2、2の対向端面によって挟持された状態となる。
【0025】
この状態にしたのち、連結筒軸5を円環部材6の回動操作用突片6aによって上記と反対方向に回動させ、連結筒軸5の下端部両側面に設けている係止長孔10、10の他側端面に係止ピン11を当接させると、連結筒軸5の回動によって上記上側建枠1の脚杆2に設けている係止突起4が連結筒軸5に設けている上記長孔7の他側部内に相対的に移動して抜け止めされる。
【0026】
こうして、上下建枠1、1同士を上下方向に順次連結するものであるが、その連結をより確実に行うために、上下建枠1、1において互いに垂直状態に結合した上下脚杆2、2間をアームロック等の着脱が可能な適宜な連結、固定金具を用いて連結しておいてもよい。
【0027】
このように建枠1、1・・・を数列、数層に連結することによって足場ユニットAを構成し、この足場ユニットAを数列、数層に組立てることによって足場を構築するものである。次に、この足場の組立方法について説明する。まず、足場ユニットA、Aを上下方向に連結するには、下側の足場ユニットAにおける最上層側の建枠1の各脚杆2から上方に突出している連結筒軸5の上端部に図6〜図10に示すようにガイド金具9を配設する。
【0028】
このガイド金具9は、図11に示すように、連結筒軸5の上端から上方に突出させる円錐形状のガイド金具部9aと、このガイド金具部9aの下端面外周部に形成している係止面9bと、この係止面9bを残してガイド金具部9aの下端面から下方に一体に突設してなる短軸部9cとからなり、ガイド金具部9aの下端外径を連結筒軸5の外径に略等しくして上記係止面9bを連結筒軸5の上端面に受止させるようにしていると共に短軸部9cの外径を少なくともこの短軸部9cの外周面の一部が連結筒軸5の内周面に接することによってガイド金具部9aが前後左右に妄動しないように形成している。
【0029】
なお、連結筒軸5の上端部は上述したように平面小判形状に形成している場合には、このガイド金具9の両側面を円錐形状のガイド金具部9aから短軸部9cの下端に亘って切除して垂直な偏平面9d、9dに形成し、この偏平面9d、9dを連結筒軸5の上端部における凹んだ両側壁部の内面に摺接させるようにしている。また、ガイド金具9の短軸部9cは連結筒軸5の長孔7内に係止する上記係止突起4の邪魔にならないように、且つ、連結筒軸5からの抜き取りが容易となるように、その突出長さを連結筒軸5の両側面上端部に設けている長孔7よりも上方に達する短い長さとしている。
【0030】
このように形成しているガイド金具9を上述したように、足場ユニットAにおける最上層側の建枠列の各脚杆2から突設している連結筒軸5内の上端部にその短軸部9cを挿入することによって配設するものであるが、この作業は足場ユニットAをクレーンによって足場構築位置にまで吊り上げて搬送して足場ベース(図示せず)上に吊り下ろして設置したのち、該足場ユニットAの最上層側の足場板13上から作業員が各連結筒軸5の上端部内にガイド金具9の短軸部9cを挿入することによって行われる。
【0031】
連結筒軸5の上端部に対するガイド金具9の取付けは、その短軸部9cを連結筒軸5に連結することなく単に挿入することによって行われるものであり、従って、その取付け作業が迅速に行うことができる。
【0032】
このガイド金具9を取付けた足場ユニットAを下側足場ユニットAとしてこの足場ユニットA上に、上側足場ユニットAを連結するものであり、その連結作業は、図6に示すようにクレーンによって次の足場ユニットA(上側足場ユニット)を吊り上げて先に所定位置に設置した上記下側足場ユニットAの垂直上方に対向させたのち、この上側足場ユニットAを徐々に吊り下ろしてその最下層の建枠列の各脚杆2、2(以下、上側足場ユニットA側の脚杆2という)の下端部を下側足場ユニットAの最上層の建枠列の各脚杆2、2から突設している上記連結筒軸5(以下、下側足場ユニットAの連結筒軸5という)に外嵌させていく。
【0033】
この際、作業員が下側足場ユニットAの足場上で上側足場ユニットAの建枠1の位置を微調整しながら該建枠1の脚杆2の下端開口部を下側足場ユニットAの連結筒軸5の垂直上方に位置させる。この状態にして上側足場ユニットAを吊り下ろしていくと、その最下層の建枠列の各脚杆2、2の下端部内周面が、下側足場ユニットA側の連結筒軸5の上端から突設しているガイド金具9におけるガイド金具部9aの円錐形状テーパ面に案内されて連結筒軸5の外周面に外嵌すると共に、その状態からさらに降下して、上側足場ユニットAの脚杆2の下端部内周面に突設している係止突起4、4が下側足場ユニットAの連結筒軸5の上端両側部に設けている案内縦溝部8、8を通過したのち、上側脚杆2の下端面が連結筒軸5の外周面に固着している上記円環部材6の受止端面6bにより受止される。
【0034】
しかるのち、上述したように、円環部材6を操作して下側足場ユニットAの連結筒軸5を回動させることによりこの連結筒軸5に外嵌した上側足場ユニットAの脚杆2の下端部内周面に突設している上記係止突起4、4を連結筒軸5の上端部両側面に設けている長孔7内でこの長孔7の他側部側に相対的に移動させて抜け止め状態にする。
【0035】
こうして、下側足場ユニットA上に上側足場ユニットAを積層状態に連結し、次の組立作業はこの上側足場ユニットAを下側の足場ユニットAとしてその上に足場ユニットAを上記同様にして連結し、以下、この連結作業を必要に応じて繰り返し行って所定高さの枠組足場を組み立てるものである。
【0036】
下側足場ユニットAに上側足場ユニットAを上記のようにして連結させる場合に、上側足場ユニットAの全ての脚杆2を、各脚杆2の下端に対向する下側足場ユニットAの連結筒軸5にガイド金具9を介して同時に一斉に嵌め込むことによって行ってもよいが、下側足場ユニットAの全ての連結筒軸5上に上側足場ユニットAの全ての脚杆2をそれぞれ同一垂直線上に対向させた状態を保持しながら上側足場ユニットAを正確に降下させて互いに連結させる作業が比較的困難である。
【0037】
そのため、図12に示すように、上側足場ユニットAを一端から他端に向かって斜め上方に傾斜させた状態となるように吊り上げ、その最下層の建枠列における一端側の建枠1、即ち、下傾端側の建枠1の前後脚杆2、2を下側足場ユニットAの最上層側の建枠列における一端側の建枠1の前後脚杆2、2から突出している連結筒軸5、5の上方に位置付けた状態から、上側足場ユニットAを降下させてまず、この上側足場ユニットAの上記一端側の前後脚杆2、2を下側足場ユニットAの前後連結筒軸5、5に突設しているガイド金具9、9に被嵌させる。
【0038】
そうすると、上側足場ユニットAにおいて一端側から他端側に向かって配列している建枠1の前後脚杆2、2が下側足場ユニットAの一端側から他端側に向かって配列している建枠1の前後連結筒軸5、5の上方に順次、対向した状態となり、この状態から下側足場ユニットAの前後連結筒軸5、5の上端部に被嵌している上側足場ユニットAの一端側の上記前後脚杆2、2を支点として、上側足場ユニットAを徐々に水平となる方向に傾動させると、上側足場ユニットAの建枠列の前後脚杆2、2は、一端側から他端側に向かって順次、対向する下側連結筒軸5、5にガイド金具9を介して被嵌し、下側足場ユニットAに上側足場ユニットAを正確に且つ能率よく連結させることができる。
【0039】
なお、上記のように足場ユニットAを傾斜させるには、この足場ユニットAの一端部部の足場板13上に重りを載せるか、或いは、クレーンの吊り下げ用ロープの長さを調整することによって行うことができる。
【0040】
次に、足場ユニットA、Aを左右方向(横方向)に数列、連結させるには、既に建て込んだ足場ユニットAの一側方に、隣接する建枠1、1間に相当する間隔を存して次に組立てるべき足場ユニットAを配設したのち、これらの足場ユニットA、Aにおける上記間隔を存して対向した建枠1、1の前後脚杆2、2間を上述したように筋交い12、12によって連結すると共に水平杆3、3間に足場板13を架設すればよい。こうして、所定幅と高さを有する足場を構築する。
【0041】
なお、下側足場ユニットA上に上側足場ユニットAを連結させる場合、上側足場ユニットAの前後脚杆2、2の下端開口部を下側足場ユニットAの連結筒軸5にこの連結筒軸5上から突設している円錐形状のガイド金具9をガイドとして外嵌させているが、ガイド金具9のガイド金具部9aを先細の円錐形状に形成しておいても、このガイド金具9上に合わせる上記上側脚杆2の内径が一定径に設定されているため、上側足場ユニットAが脚杆2の内径以上に前後左右に微動すると連結作業が行えなく、また、上側足場ユニットAを動きを上記範囲内に抑制しながら連結作業を行うことが比較的困難となることがある。
【0042】
従って、このような場合、図13〜図15に示すように、上側足場ユニットAの最下層の建枠列における前後脚杆2、2の下端部に、上端から下端に向かって漏斗状拡開したガイド部材15を着脱自在に取付けておく。このガイド部材15は上部を脚杆2の下端部に被せる短筒部15a に形成していると共に下部をこの短筒部15a から下端に向かって徐々に外方に拡開した拡開部15b に形成してあり、さらに短筒部15a の上端に開閉自在な一対の挟着片16、17における一方の挟着片16を溶接等によって固着し、この挟着片16の基端部に他方の挟着片17の基端部を回動自在に枢着18すると共にこれらの挟着片16、17の先端間をボルト・ナット19によって閉止方向に締め付けるように構成している。なお、拡開部15b にはその両側部に連結筒軸5の外周面に固着した上記円環部材6の回動操作用突片6aを導入させるための切欠部20を設けている。
【0043】
このように形成したガイド部材15を上側足場ユニットAの上記脚杆2の下端部に取付けるには、一方の挟着片16に対して他方のその挟着片16、17を外方に回動させた状態にしてその短筒部15a 内に上記脚杆2の下端部を挿入したのち、挟持片16、17によって脚杆2の下端部外周面を挟持させ、ボルト・ナット19によって挟持片16、17を締めつけることにより固着する。
【0044】
このガイド部材15を上側足場ユニットAの最下層の建枠列における前後脚杆2、2の下端部に取付けておくと、下側足場ユニットAの連結筒軸5に、この連結筒軸5の上端から突出したガイド金具9を介して連結させる時に、下側足場ユニットAの上方に吊り上げた上記上側足場ユニットAが脚杆2の径よりも大きく前後左右に振れても上側足場ユニットAを吊り下ろしてガイド部材15の拡開部15b 内にガイド金具9を納めながらこのガイド部材15のテーパ状内周面に沿って連結筒軸5を円滑に上側足場ユニットAの脚杆2の下端部内に挿嵌させることができる。
【0045】
上側足場ユニットAの脚杆2の下端部を下側足場ユニットAの連結筒軸5に外嵌させたのち、連結筒軸5を回動させて上記脚杆2の下端部内周面両側部に突設している係止突起4、4を連結筒軸5の上端部両側に設けている長孔7内に係止させる操作については上記実施例と同様であるので、その説明を省略する。
【0046】
次に、上記のようにして組み立てた足場を利用して多層階建築物の建設或いは補修等を行ったのち、足場を解体させる作業工程について述べる。この足場の解体を組立順序とは逆の順序、即ち、足場の最上層を形成している足場ユニットAを下側の足場ユニットAからの連結を解いたのち順次、吊り上げて撤去しようとすると、上側足場ユニットAの脚杆2、2の下端部が下側足場ユニットAの連結筒軸5から上方に抜け出す際に、この連結筒軸5に連結することなく単に挿入しているだけのガイド金具9が脚杆2との当接や摺接等によってその短軸部9cが連結筒軸5の上端部から抜け落ちて地上に落下する虞れがあるので、解体時には、ガイド金具9を取付けていない別な部分における上下建枠間の連結を解く。
【0047】
この際、図16に示すようにガイド金具9を介して連結している上下建枠1、1を含む数列、数層の建枠からなる枠組足場部分を1つの足場ユニットBとし、これらの足場ユニットBをクレーンによって吊り上げてその最下層の建枠列の前後脚杆2、2を下側の足場ユニットBの最上層の建枠列における前後脚杆2、2の上端部に突設している連結筒軸5から上方に離脱させ、所定の場所まで搬送して解体、撤去するものである。
【0048】
上側足場ユニットBの脚杆2を下側足場ユニットBの連結筒軸5から離脱させるには、まず、全ての連結筒軸5を回動部材6の回動操作によって周方向に回動させることにより、その長孔7に抜け止め状態に係止している上記脚杆2の下端部内周面に突設した係止突起4を長孔7から離脱可能な長孔一側部内にまで相対的に移動させ、しかるのち、上側足場ユニットBをクレーンによって上方に吊り上げればよい。この時、連結筒軸5の上端にはガイド部材9が設けられていないので、安全に足場ユニットBの撤去作業を行うことができる。こうして、数列、数層の建枠からなる足場ユニットBを順次、足場の上層側から下層側に向かって撤去することにより足場の解体を行うものである。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、建枠を数列、数層に連結してなる足場ユニット同士を上下方向に数層、連結する際に、下端面外周部に上記足場ユニットにおける最上層の建枠の前後脚杆から突設した連結筒軸の上端面に受止させる係止面を形成してなる円錐形状のガイド金具部と、このガイド金具部の下端面から下方に突設して上記連結筒軸の上端部内にこの連結筒軸と一体に連結することなく抜き取り可能に挿入する短軸部とからなるガイド金具を用いるので、このガイド金具の短軸部を脚杆から突設した上記連結筒軸の上端部内に挿入するだけで連結筒軸に取付けることができ、従って、ガイド金具の取付作業が迅速に行えると共に、連結筒軸の上端部内にガイド金具の短軸部を挿入すると、ガイド金具部の下端係止面が連結筒軸の上端面に係止してガイド金具部を正確に上方に向けた状態にすることができる。
【0050】
その上、ガイド金具部を円錐形状に形成しているので、上側の足場ユニットの最下層の建枠列における脚杆の下端部をこの円錐形状のテーパー面によって簡単且つ正確に下側足場ユニットの最上層の建枠列における脚杆から突設した上記連結筒軸に被嵌させることができ、上下足場ユニット同士の連結作業が容易に能率良く行うことができる。
【0051】
また、上記足場ユニット組立用ガイド金具を用いて上下足場ユニットを数列、数層に連結することにより足場を組み立てる方法としては、縦枠を数列、数層に枠組してなる下側足場ユニットにおける最上層の建枠列の各脚杆の上端連結筒軸の上端部に上記ガイド金具の下端短軸部を挿入して該ガイド金具円錐形状ガイド金具部を上方に突設させる工程と、上側足場ユニットを吊り上げてその最下層の建枠の各脚杆の下端部を上記下側足場ユニットの最上層の建枠列の各脚杆上に対向させてガイド金具をガイドとして連結筒軸に外嵌させることにより上側足場ユニットを下側足場ユニット上に組み立てる工程と、この上下足場ユニット同士の組立てを数列、数層となるように行って所定幅と高さの足場を組立てる工程とからなるものであるから、予め、縦枠を数列、数層に組み合わせて足場ユニットを形成しておくので、足場の組立作業が効率よく行えるのは勿論、下側足場ユニットの最上層の建枠列の脚杆に対して上側足場ユニットの最下層の建枠列の脚杆をガイド金具を介して簡単且つ正確に接合、連結させることができ、足場を能率よく構築することができる。
【0052】
さらに、この足場の組立方法において、請求項2に係る発明によれば、上記上側足場ユニットを一端から他端に向かって斜め上方に傾斜させた状態に吊り上げ、その最下層の建枠列における一端側の前後脚杆の下端部を、下側足場ユニットの最上層の建枠列における一端側の前後脚杆の連結筒軸にガイド金具をガイドとして外嵌し、しかるのち、上側足場ユニットの最下層の建枠列における前後脚杆を他端側に向かって、下側足場ユニットの最上層の建枠列における前後脚杆の連結筒軸にガイド金具をガイドして順次外嵌させるものであるから、上側足場ユニットと下側足場ユニットとにおける上下に対向する全ての脚杆と連結筒軸とを垂直線上に合わせることなく、一端側の脚杆を連結筒軸の上方に合わせたのち、該脚杆の下端部を連結筒軸の上端部に被せることによって、上記全ての脚杆と連結筒軸とを垂直線上にそれぞれ対向させることができ、この状態にして一端側を支点として上側足場ユニットを徐々に吊り下げていくことによって一端側から他端側に向かってそれぞれ対向する脚杆の下端部と連結筒軸の上端部とを順次、円滑且つ正確に嵌合させることができる。
【0053】
また、足場の解体方法は、上記ガイド金具を用いて連結した上下建枠を含む数列、数層の建枠からなる枠組足場を一ユニットとして、下側の足場ユニットから上側の足場ユニットをガイド金具を用いた連結部以外の連結部の連結を順次解く工程と、連結部の連結を解いた足場ユニットを順次、地上に吊り下ろす工程と、足場ユニットを解体すると共に上記ガイド金具を取り外す工程とからなるので、ガイド金具をその足場ユニット内に設けた状態でこのガイド金具を用いていない連結部分から切り離すものであるから、ガイド金具の落下をなくして安全に且つ効率よく足場の撤去作業を行うことができ、撤去後における各足場ユニットの解体時には、ガイド金具を簡単に連結筒軸から取り外すことができて、その解体作業も能率よく行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 建枠同士の組立状態を示す簡略斜視図、
【図2】 建枠の脚杆上端部の構造を示す斜視図、
【図3】 上下建枠の脚杆同士の連結状態を示す縦断側面図、
【図4】 連結筒軸を90度回動させた状態の縦断側面図、
【図5】 係止突起を長孔に係止させた状態の横断面図、
【図6】 足場ユニットとその組立状態を示す簡略正面図、
【図7】 連結筒軸の上端部にガイド金具を取付けた状態の斜視図、
【図8】 上下建枠の脚杆同士の連結状態を示す縦断側面図、
【図9】 連結筒軸を90度回動させた状態の縦断側面図、
【図10】 ガイド金具を介して上側脚杆を下側脚杆に連結する状態の一部の簡略斜視図、
【図11】 ガイド金具の斜視図、
【図12】 足場の組立方法の変形例を示す簡略斜視図、
【図13】 ガイド部材を介して上下脚杆を連結させる状態の一部の簡略斜視図、
【図14】 その一部拡大斜視図、
【図15】 連結した状態の縦断側面図、
【図16】 足場の解体方法を説明するための簡略正面図。
【符号の説明】
A 足場ユニット
1 建枠
2 脚杆
3 水平杆
4 係止突起
5 連結筒軸
6 円環部材
7 長孔
8 案内縦溝部
9 ガイド金具
Claims (2)
- 上端に連結筒軸を突設している一定長の管体からなる前後脚杆間を水平杆によって一体に連結してなる建枠を横方向に数列、連結すると共に、上下方向に数層、下側の建枠の前後脚杆から突設した上記連結筒軸に上側の建枠の前後脚杆の下端部を外嵌させて一体に連結することにより足場ユニットを枠組みし、この足場ユニットを数列、数層に連結することにより足場を組立てる方法と、この足場を解体する方法であって、組立方法は、下端面外周部に上記足場ユニットにおける最上層の建枠の前後脚杆から突設した連結筒軸の上端面に受止させる係止面を形成してなる円錐形状のガイド金具部と、このガイド金具部の下端面から下方に突設して上記連結筒軸の上端部内にこの連結筒軸と一体に連結することなく抜き取り可能に挿入する短軸部とからなるガイド金具を用いて、建枠を数列、数層に枠組してなる下側足場ユニットにおける最上層の建枠列の各脚杆の上端連結筒軸の上端部に上記ガイド金具の短軸部を挿入して該ガイド金具の円錐形状ガイド金具部を上方に突設させる工程と、上側足場ユニットを吊り上げてその最下層の建枠列の各脚杆の下端部を上記下側足場ユニットの最上層の建枠列の各脚杆上に対向させてガイド金具をガイドとして連結筒軸に外嵌させることにより上側足場ユニットを下側足場ユニット上に組み立てる工程と、この上下足場ユニット同士の組立てを数列、数層となるように行って所定幅と高さの足場を組立てる工程とからなり、解体方法は、上記ガイド金具を用いて連結した上下建枠を含む数列、数層の建枠からなる枠組足場を一ユニットとして、下側の足場ユニットから上側の足場ユニットをガイド金具を用いた連結部以外の連結部の連結を順次解く工程と、連結部の連結を解いた足場ユニットを順次、地上に吊り下ろす工程と、足場ユニットを解体すると共に上記ガイド金具を取り外す工程とからなることを特徴とする足場の組立、解体方法。
- 足場ユニットの組立ては、上側足場ユニットを一端から他端に向かって斜め上方に傾斜させた状態に吊り上げ、その最下層の建枠列における一端側の前後脚杆の下端部を、下側足場ユニットの最上層の建枠列における一端側の前後脚杆の連結筒軸にガイド金具をガイドとして外嵌し、しかるのち、上側足場ユニットの最下層の建枠列における前後脚杆を他端側に向かって、下側足場ユニットの最上層の建枠列における前後脚杆の連結筒軸にガイド金具をガイドして順次外嵌させることを特徴とする請求項1に記載の足場の組立、解体方法。
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