JP3880386B2 - エアーナイフを用いた処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は基板の上下面に付着した処理液を上下一対のエアーナイフによって除去する処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、液晶表示装置に用いられるガラス製の基板に回路パターンを形成するフォトリソグラフィー工程では、上記基板を処理液で洗浄処理する洗浄工程と、洗浄された基板から処理液を除去する乾燥工程とが繰り返して行なわれる。
【0003】
洗浄工程で洗浄された基板を乾燥処理する乾燥工程においては、基板を搬送しながらこの基板の上面と下面とに上部エアーナイフと下部エアーナイフとから圧縮空気を噴射して乾燥させるということが行なわれている。このような処理装置としては特開平10−211473号公報に示されるものが提案されている。
【0004】
すなわち、上記公報に示された処理装置は、所定方向一端に搬入口、他端に搬出口が形成された処理槽を有する。この処理槽内には基板の搬送方向に沿って複数のローラ軸が所定間隔で配置されている。
【0005】
上記ローラ軸によって搬送される基板の上面側には上部エアーナイフが配置され、下面側には下部エアーナイフが配置されている。各エアーナイフは基板の搬送方向に対して所定の角度、たとえば45度の角度で傾斜して設けられている。
【0006】
それによって、基板の上面と下面に付着した処理液を基板の搬送方向後端の角部に吹き寄せ、その角部から除去するようにしている。つまり、エアーナイフを基板の搬送方向に対して所定の角度で傾斜させることで、基板の板面に付着した処理液を円滑かつ確実に除去できるようにしている。
【0007】
エアーナイフを基板の搬送方向に対して傾斜させて設ける場合、下部エアーナイフがローラ軸の下側に位置したのでは、下部エアーナイフから噴射される圧縮空気が上記ローラ軸に遮られるため、基板の下面から処理液を均一かつ確実に除去することができないということがある。
【0008】
そこで、ローラ軸は下部エアーナイフに対応する箇所で分断し、この下部エアーナイフから噴射される圧縮空気がローラ軸によって遮られることがないようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ローラ軸の下部エアーナイフに対応する部分を分断すると、ローラ軸によって搬送される基板は、ローラ軸の分断された箇所においてローラ軸による支持状態が外れ、その状態で上部エアーノズルと下部エアーナイフから噴射される圧縮空気を受けることになる。
【0010】
そのため、基板にはローラ軸の分断箇所で圧縮空気の圧力によってうねりが生じ易くなるから、基板の搬送状態が不安定になったり、基板の板面に付着した処理液がこの基板の板面から円滑に排出され難くなるということがある。
【0011】
この発明は、ローラ軸の下部エアーナイフと対応する部分を分断しても、その分断箇所でも基板を確実に支持できるようにした処理装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、所定方向に搬送される基板の上下両面に、この基板の搬送方向に対して所定の角度で傾斜して対向する上部エアーナイフと下部エアーナイフとを配置し、各エアーナイフから上記基板の上面と下面とに圧縮空気を噴射させることで、この基板に付着した処理液を除去する処理装置において、
所定方向の一端に搬入口、他端に搬出口を有する処理槽と、
この処理槽に軸線を上記所定方向に対して交差させて回転可能に設けられるとともに上記下部エアーナイフに対応する箇所で分断され回転駆動されることで上記基板を上記搬入口から搬出口に向けて搬送するローラ軸と、
上記ローラ軸の分断箇所の上記下部エアーナイフの上記基板の搬送方向上流側と下流側に対応する位置に2つで対をなし上記下部エアーナイフの長手方向に対して所定間隔で複数組設けられ上記分断箇所において上記基板の上記ローラ軸による支持状態が外れた部分を支持する支持ローラと
を具備したことを特徴とするエアーナイフを用いた処理装置にある。
【0013】
請求項2の発明は、上記支持ローラは、上記支持ローラは、上記ローラ軸に設けられた搬送ローラよりも小径であることを特徴とする請求項1記載のエアーナイフを用いた処理装置にある。
【0014】
請求項3の発明は、上記上部エアーナイフと下部エアーナイフとの幅方向両端部はそれぞれ支持部材によって回動可能に支持され、一方の支持部材には一対のエアーナイフを同時に逆方向に回動させる角度調整機構が設けられていることを特徴とする請求項1記載のエアーナイフを用いた処理装置にある。
【0015】
この発明によれば、ローラ軸を分断し、このローラ軸が下部エアーナイフから噴射される圧縮空気を遮ることがないようにしても、基板はその分断箇所で支持ローラによって支持されるから、基板の支持状態が損なわれてうねりが生じるのを防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の一実施の形態を説明する。
【0017】
図1はこの発明の一実施の形態に係る処理装置を示し、この処理装置は処理槽1を備えている。この処理槽1は箱型状をなしていて、所定方向の一端面には搬入口2が形成され、他端面には搬出口3が形成されている。
【0018】
上記処理槽1内には上部エアーナイフ5と下部エアーナイフ6とが上記所定方向に対して所定の角度、たとえば45度の角度で傾斜して設けられている。各エアーナイフ5、6は図2に示すようにナイフ本体7を有する。ナイフ本体7は一対の板状部材8,9を接合してなり、これら板状部材8,9間には圧縮空気が供給される導入部11が形成されている。各導入部11はナイフ本体7の先端部に形成されたノズル孔12に連通している。
【0019】
上記ナイフ本体7には圧縮空気の供給管13が接続されている。したがって、供給管13から上記導入部11に供給された圧縮空気は上記ノズル孔12から噴射されるようになっている。
【0020】
なお、一対のエアーナイフ5、6はノズル孔12が形成された先端部を所定の間隔で離間対向させて配置されている。
【0021】
上記処理槽1内には、上記所定方向に沿って一定間隔で搬送手段を構成する複数のローラ軸15が設けられている。上記ローラ軸15のうち、上記下部エアーナイフ6の先端部に対応するローラ軸15は、その箇所で左右一対の分断軸部15a,15bに分断されている。
【0022】
上記処理槽1内の幅方向両端部にはそれぞれ支持部材16が幅方向と直交する上記所定方向全長に亘って設けられている。上記各分断軸部15a,15bは、一端が上記支持部材16に回転可能に支持されている。各分断軸部15a、15bの他端は処理槽1の内底面から立設された支柱部材17に回転可能に支持されている。
【0023】
各分断軸部15a,15bの支持部材16から突出した一端部には第1の従動プーリ18が嵌着されている。処理槽1の搬入口2側に位置するローラ軸15は下部エアーナイフ6と非対向であるため分断軸部に分断されておらず、一対の支持部材16から突出した両端にも分断軸部15a,15bと同様、第1の従動プーリ18が嵌着され、さらにそのローラ軸15の一端には第2の従動プーリ21が嵌着されている。各ローラ軸15の一端部と他端部とに設けられた第1の従動プーリ18には、それぞれ第1のベルト19が張設されている。
【0024】
上記第2の従動プーリ21と、駆動源22によって回転駆動される駆動プーリ23とには第2のベルト24が張設されている。それによって、上記駆動源22が作動すれば、各分断軸部15a,15bに分断されたローラ軸15及び分断軸部に分断されていないローラ軸15がそれぞれ同方向に回転駆動されるようになっている。
【0025】
上記処理槽1には、前工程で処理液によって処理された矩形状の基板26が搬入口2から供給される。処理槽1に供給された基板26は、回転駆動されるローラ軸15によって搬出口3に向かって搬送される。基板26は、搬送の途中で上部エアーナイフ5と下部エアーナイフ6との対向する先端部間を通過する。それによって、基板26の上面と下面とに付着残留した処理液が各エアーナイフ5、6のノズル孔12から噴射される圧縮空気によって基板26の搬送方向後端側の一方の角部へ押し流されて除去される。
【0026】
なお、各ローラ軸15(分断軸部15a、15bを含む)には基板26を部分的に支持するための複数の搬送ローラ25が軸方向に所定間隔で設けられている。
【0027】
上記ローラ軸15の分断軸部15a,15bに分断された箇所には、図1に示すように下部エアーナイフ6を挟んで基板26の搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ支持体28に回転可能に支持された2つで対をなす複数組の支持ローラ29が上記下部エアーナイフ6の長手方向に対して所定間隔で設けられている。支持ローラ29は、上記ローラ軸15に設けられた搬送ローラ25よりも小径に形成され、回転軸線を上記ローラ軸15の軸線と平行にし、さらに上端をローラ軸15と同じレベルにして設けられている。
【0028】
上記支持体28は、図3に示すようにベース部材31を有し、このベース部材31上には第1の可動体32が基板26の搬送方向に沿って移動可能に設けられている。この第1の可動体32には、上記ベース部材31の一端に立設された第1の取付け部材33に回転可能に支持された前後送りねじ34が螺合されている。それによって、上記第1の可動体32は上記前後送りねじ34によって基板26の搬送方向に沿う前後方向に位置決め調整できるようになっている。
【0029】
上記第1の可動体32には支柱部材35が立設されている。この支柱部材35には第2の可動体36が支柱部材35に沿う上下方向に移動可能に設けられている。この第2の可動体36には上下送りねじ37が螺合されている。この上下送りねじ37は上記支柱部材35の上端に設けられた第2の取付け部材38に回転可能に支持されている。したがって、上下送りねじ37を回転させることで、上記第2の可動体36を上下方向、つまり搬送される基板26の板面に対して直交する方向に位置決め調整できるようになっている。
【0030】
上記第2の可動体36はL字状をなしていて、支柱部材35に上下動可能に支持された一端部には固定ねじ39を螺合できるようになっており、この固定ねじ39を締め付けることで、上記第2の可動体36を移動不能に固定できる。
【0031】
第2の可動体36の他端部には上記支持ローラ29が上述した状態で回転可能に設けられている。したがって、この支持ローラ29は上記支持体28によって基板26の搬送方向に沿う前後方向と、基板26の板面に直交する上下方向とに位置決め調整できるようになっている。
【0032】
支持ローラ29が上記ローラ軸15に設けられた搬送ローラ25よりも小径に形成されている。そのため、ローラ軸15の搬送ローラ25による基板26の円滑な搬送が上記支持ローラ29によって阻害されることがない。
【0033】
上記上部エアーナイフ5と下部エアーナイフ6とは、図4に示すように幅方向両端に支軸41が設けられ、各支軸41はそれぞれ左右一対の支持部材としてのブロック42に回転可能に支持されている。
【0034】
各エアーナイフ5、6の一端側のブロック42には、それぞれ操作軸43がこれらのブロック42を貫通して回転可能に支持されている。上記操作軸43の上部エアーナイフ5を支持したブロック42の上面から突出した部分には、操作摘み44と第1のベベルギア45とが固定され、下部エアーナイフ6を支持したブロック42の下面から突出した下端部には第2のベベルギア46が設けられている。
【0035】
上記第1のベベルギア45は上部エアーナイフ5をブロック42に回転可能に支持した一方の支軸41に嵌着固定された第3のベベルギア47に噛合し、第2のベベルギア46は下部エアーナイフ6を回転可能に支持した一方の支軸41に嵌着固定された第4のベベルギア48に噛合している。それによって、上記操作摘み44を介して操作軸43を回転させれば、第3、第4のベベルギア47,48を図5に矢印で示すように逆方向に回転させることができるから、その回転に一対のエアーナイフ5、6を連動させることができる。
【0036】
それによって、一対のエアーナイフ5,6から噴射される圧縮空気の基板26の板面に対する角度を設定することができる。なお、上記操作軸43、第1乃至第4のベベルギア45〜48によってエアーナイフ5,6の角度調整機構を構成している。
【0037】
つぎに、上記構成の処理装置によって基板26を乾燥処理する場合について説明する。処理液によって処理された基板26が処理槽1に送り込まれると、その基板26は回転駆動されるローラ軸15によって所定方向に沿って搬送される。基板26が上部エアーナイフ5と下部エアーナイフ6との先端部間を通過すると、各エアーナイフ5,6のノズル孔12から基板26の搬送方向後方に向かって噴射される圧縮空気により、基板26の上面と下面とに付着した処理液が搬送方向後方に押し流され、この基板26の一方の角部から円滑に排出される。それによって、基板26が乾燥処理されることになる。
【0038】
各ローラ軸15の下部エアーナイフ6と対応する部分を分断し、分断軸部15a,15bとしたことで、下部エアーナイフ6は分断軸部15a,15bの分断箇所から露出する。そのため、下部エアーナイフ6から噴射される圧縮空気はローラ軸15によって邪魔されることなく基板6の下面側に到達するから、基板26の下面を上記下部エアーナイフ6によって確実に乾燥処理することができる。
【0039】
ローラ軸15を分断軸部15a,15bに分断したことで、その分断箇所で基板26は支持されていない状態になり、各エアーナイフ5,6から噴射される圧縮空気の圧力及び自重によって基板26にうねりが生じる虞がある。
【0040】
しかしながら、各ローラ軸15の分断箇所には、支持ローラ29が下部エアーナイフ6を挟んで基板26の搬送方向上流側と下流側とに設けられている。そのため、ローラ軸15の分断箇所において、基板26は支持ローラ29によって支持されるため、基板26にうねりが生じるのが防止されるから、基板26を安定した状態で確実に搬送することができるばかりか、基板26に付着した処理液の除去も確実かつ円滑に行なうことができる。
【0041】
また、上記支持ローラ29を基板26の搬送方向に沿う前後方向と、基板26の板面に対して垂直な上下方向とに位置決め調整できるようにしたから、支持ローラ29を、搬送される基板26の下面に確実に接触する高さに調整することができる。そのため、そのことによっても、ローラ軸15の分断箇所で、基板26にうねりが生じるのを防止することができる。さらに、支持ローラ29は、ローラ軸15に設けられた搬送ローラ25よりも小径なので、下部エアーナイフ6に近接して設けることができる。
【0042】
上部エアーナイフ5と下部エアーナイフ6とは、操作摘み44によって操作軸3を回転させることで、同時に角度調整することができる。そのため、一対のエアーナイフ5,6の角度調整を、別々に行なう場合に比べて容易に、しかも確実に行なうことができる。
【0043】
なお、上記一実施の形態ではローラ軸の分断箇所には、下部エアーナイフを挟んで基板の搬送方向上流側と下流側との両方向にそれぞれ支持ローラを設けるようにしたが、圧縮空気は基板の搬送方向後端側(上流側)に向けて噴射されるから、圧縮空気による撓みを防止するだけであれば、支持ローラはエアーナイフの上流側だけに設けるようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、ローラ軸を分断し、このローラ軸が下部エアーナイフから噴射される圧縮空気を遮ることがないよう分断したときに、その分断箇所に基板を支持する支持ローラを設けるようにした。
【0045】
そのため、基板は上記ローラ軸の分断箇所ではローラ軸に代わり支持ローラによって支持されるから、上記分断箇所で基板の支持状態が損なわれてうねりなどの変形が発生するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態に係る処理装置の横断面図。
【図2】 一対のエアーナイフの断面図。
【図3】 支持ローラを回転可能に設けた支持体の説明図。
【図4】 一対のエアーナイフの傾斜角度を調整する機構を示す正面図。
【図5】 同じく側面図。
【符号の説明】
1…処理槽
2…搬入口
3…搬出口
5…上部エアーナイフ
6…下部エアーナイフ
15…ローラ軸
29…支持ローラ
42…ブロック(支持部材)
43…操作軸(角度調整機構)
Claims (3)
- 所定方向に搬送される基板の上下両面に、この基板の搬送方向に対して所定の角度で傾斜して対向する上部エアーナイフと下部エアーナイフとを配置し、各エアーナイフから上記基板の上面と下面とに圧縮空気を噴射させることで、この基板に付着した処理液を除去する処理装置において、
所定方向の一端に搬入口、他端に搬出口を有する処理槽と、
この処理槽に軸線を上記所定方向に対して交差させて回転可能に設けられるとともに上記下部エアーナイフに対応する箇所で分断され回転駆動されることで上記基板を上記搬入口から搬出口に向けて搬送する複数のローラ軸と、
上記ローラ軸の分断箇所の上記下部エアーナイフの上記基板の搬送方向上流側と下流側に対応する位置に2つで対をなし上記下部エアーナイフの長手方向に対して所定間隔で複数組設けられ上記分断箇所において上記基板の上記ローラ軸による支持状態が外れた部分を支持する支持ローラと
を具備したことを特徴とするエアーナイフを用いた処理装置。 - 上記支持ローラは、上記ローラ軸に設けられた搬送ローラよりも小径であることを特徴とする請求項1記載のエアーナイフを用いた処理装置。
- 上記上部エアーナイフと下部エアーナイフとの幅方向両端部はそれぞれ支持部材によって回動可能に支持され、一方の支持部材には一対のエアーナイフを同時に逆方向に回動させる角度調整機構が設けられていることを特徴とする請求項1記載のエアーナイフを用いた処理装置。
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