JP3880209B2 - 眼科検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼底上の血管の走行方向に垂直な情報を算出又は計測する眼科検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、被検眼の眼底上の血管の動きをトラッキングする眼科装置としては、特開昭63−288133号公報に記載されているように、2個所の血管の動きを検出して二次元的にトラッキングを行うものと、特開平6−503733号公報に記載されているように、1個所の血管の走行方向と垂直な方向の動きを検出して、一次元的にトラッキングを行うものなどがある。
【0003】
移動物体の一次元撮像素子に対する相対位置を検出し、この位置信号を撮像方向を変える方向偏向変更手段に絶えずフィードバックすることによって、物体のトラッキングを可能とする装置が提案されている。また、このような一次元撮像素子を用いた血管像信号の波形処理による血管位置を抽出するまでの信号処理方法に関しての詳しい開示もある。
【0004】
更に、このように得られた血管像信号を用いて、血管径の算出を行う装置も提案されており、その血管径算出のための信号処理に関しては、日眼会誌68−1PP92〜97に詳しく開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の従来例においては、一次元撮像素子を用いた血管抽出では、コントラストの低い細い血管の情報算出、例えば血管トラッキングや血管径の算出には限界がある。
【0006】
また、コントラストが大きく太い血管と、コントラストが小さく細い血管が近接している場合に、固視微動等の眼球運動により、対象とするコントラストが小さく細い血管よりもコントラストが大きく太い血管が検出範囲に存在した場合に、検者の意に反してコントラストが大きく太い血管を対象として処理してしまい易いという欠点がある。
【0007】
また、太い血管で中央に反射を有する血管の場合には、2本の血管と誤認する場合もある。更に、これら装置による検査を散瞳剤を用いない所謂無散瞳化検査を行うために眼底への照明光に近赤外光を用いると、得られる血管像のコントラストは可視光によるそれと比較して非常に低いものとなり、血管情報の算出を行うことができない。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、血管を正確に認識でき処理時間が短かい眼科検査装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る眼科検査装置は、ターゲットとなる特定の眼底血管を含む領域を照明する照明系と、前記特定眼底領域を撮像する撮像手段を有する撮像系と、血管情報抽出手段とを有する眼科装置において、前記血管情報算出手段は、前記撮像手段による映像信号を血管走行方向に略一致した軸を有する直交座標系を割り振る第1の手段と、該第1の手段によって割り振られた座標系において、血管の走行方向に垂直な方向における特徴抽出処理と血管走行方向への連結判断を含む第2の手段とを有することを特微とする。
【0010】
また、本発明に係る眼科検査装置は、ターゲットとなる特定の眼底血管を含む領域を照明する照明系と、光束偏向器を介して前記特定の眼底領域を撮像する撮像手段を有する撮像系と、前記撮像手段からの映像信号を処理して血管位置を算出し前記光束偏向器を駆動して前記眼底血管のトラッキングを行うトラッキング手段とを有する眼科装置において、前記撮像手段は二次元撮像素子であり、前記トラッキング手段は前記撮像素子の複数の走査線の情報から対象血管の血管走行と垂直な方向の位置を算出する血管位置算出手段を有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を眼底血流計、特にその血管トラッキングシステムに応用した実施例に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1はその構成図であり、白色光を発するタングステンランプ等から成る観察用光源1から被検眼Eと対向する対物レンズ2に至る照明光路上には、コンデンサレンズ3、例えば黄色域の波長光のみを透過するバンドパスフィルタ4、被検眼Eの瞳孔とほぼ共役な位置に設けられたリングスリット5、光路に沿って移動可能な固視標表示用素子である透過型液晶板6、リレーレンズ7、孔あきミラー8、黄色域の波長光を透過し他の光束を殆ど反射するバンドパスミラー9が順次に配列されている。
【0013】
孔あきミラー8の背後には眼底観察光学系が構成されており、光路に沿って移動自在なフォーカシングレンズ10、リレーレンズ11、スケール板12、接眼レンズ13が順次に配列され、検者眼eに至っている。バンドパスミラー9の反射方向の光路上には、イメージローテータ14、紙面に垂直な回転軸を有し両面研磨されたガルバノメトリックミラー15が配置され、ガルバノメトリックミラー15の下側反射面15aの反射方向には光路に添って移動自在のフォーカシングレンズ16が配置され、上側反射面15bの反射方向には、レンズ17、光路に沿って移動自在なフォーカスユニット18が配置されている。なお、レンズ17の前側焦点面は被検眼Eの瞳孔と共役関係にあり、この焦点面にガルバノメトリックミラー15が配置されている。また、ガルバノメトリックミラー15の後方には凹面ミラー19が配され、ガルバノメトリックミラー15の上側反射面15bで反射されたレーザービームをガルバノメトリックミラー15の切欠部を通過させるリレー光学系が構成されている。
【0014】
フォーカスユニット18においては、レンズ17と同一光路上に、ダイクロイックミラー20、集光レンズ21、測定用光源であるレーザーダイオード22が順次に配列され、ダイクロイックミラー20の入射方向の光路上にはマスク23、ミラー24が配置され、このフォーカスユニット18は一体的に矢印で示す方向に移動ができるようになっている。更に、ミラー24の入射方向の光路上には、高輝度の他の光源と異なる例えば緑色光を発するトラッキング用光源25が配置されている。
【0015】
ガルバノメトリックミラー15の下側反射面15aの反射方向の光路上のフォーカシングレンズ16の後方に、ダイクロイックミラー26、拡大レンズ27、イメージインテンシファイヤ付きの二次元撮像素子28が順次に配列され、血管検出系が構成されている。また、ダイクロイックミラー26の反射方向の光路上には、フォトマルチプライヤ27a、27bが配置され測定用受光光学系が構成されている。なお、図示の都合上、全ての光路を同一平面上に示したが、フォトマルチプライヤ27a、27bはそれぞれ紙面に直交した方向に配置されている。
【0016】
二次元撮像素子28の出力はトラッキング制御部29に接続されており、トラッキング制御部29の出力はガルバノメトリックミラー15に接続されている。更に、装置全体を制御するためのシステム制御部30が設けられシステム制御部30には透過型液晶板6、フォトマルチプライヤ27a、27b、トラッキング制御部29、操作部が接続されており、装置全体の動きを制御している。
【0017】
観察用光源1から発した白色光はコンデンサレンズ3を通り、バンドパスフィルタ4により黄色の波長光のみが透過され、リングスリット5を通過した光束が透過型液晶6を背後から照明し、リレーレンズ7を通って孔あきミラー8で反射される。その後に、黄色域の光のみがバンドパスミラー9を透過し、対物レンズ2を通り被検眼Eの瞳孔上でリングスリット像として一旦結像した後に、眼底Eaをほぼ一様に照明する。
【0018】
このとき、透過型液晶板6には固視標が表示されており、照明光により眼底Eaに投影され、視標像として被検眼Eに呈示される。なお、リングスリット25は被検眼Eの前眼部において眼底照明光と眼底観察光を分離するためのものであり、必要な遮光領域を形成するものであれば、その形状、数は問題とならない。
【0019】
眼底Eaからの反射光は同じ光路を戻り、瞳孔上から眼底観察光束として取り出され、孔あきミラー8の中心の開口部、フオーカシングレンズ10、リレーレンズ11を通りスケール板12に眼底像Ea' として結像した後に、検者眼eによって接眼レンズ13を介して観察される。この眼底像Ea' を観察しながら、接眼レンズ13により装置のアライメントが行われる。
【0020】
レーザーダイオード22を発した測定光は、集光レンズ21の上方を偏心して通過しダイクロイックミラー20を透過する。一方、トラッキング用光源25から発したトラッキング光はミラー24で反射された後に、整形用マスク23で所望の形状に整形された後に、ダイクロイックミラー20に反射されて、上述の測定光と重畳される。このとき、測定光は集光レンズ21により、マスク23の開口部中心と共役な位置にスポット状に結像されている。
【0021】
更に、測定光とトラッキング光はレンズ17を通り、ガルバノメトリックミラー15の上側反射面15bで一旦反射され、凹面鏡19により反射され再びガルバノメトリックミラー15の方へ戻される。ここで、ガルバノメトリックミラ一15は被検眼時の共役な位置に配されており、その形状は被検眼Eの瞳上において非対角な形状となされている。
【0022】
そして、凹面鏡48は光軸上に同心に配置され、ガルバノメトリックミラー15の上側反射面15bと下側反射面15aとを1倍で結像するリレー系の機能が与えられている。従って、上側反射面15bで反射された両光束は、今度はガルバノメトリックミラー15の切欠部の位置に戻され、ガルバノメトリックミラー15で再び反射されることなく、イメージローテータ14に向かうことになる。イメージローテータ14を経て、バンドパスミラー9により対物レンズ2に偏向された両光束は、対物レンズ2を介して眼底Eaに照射される。
【0023】
このとき、トラッキング光は前述の整形マスク23により測定点を含み、その血管をカバーする長方形の領域を照明するよう整形されており、その大きさは血管走行方向300〜500μm程度、血管直角方向に500〜1200μm程度とすることが望ましい。また、測定光は測定する50〜120μmの血管の太さ程度の円形スポット、又は血管走行方向に長手を持つ楕円形状とされている。
【0024】
眼底Eaでの散乱反射光は再び対物レンズ2で集光され、バンドパスミラー9で反射されてイメージローテータ14を通り、ガルバノメトリックミラー15の下側反射面15aで反射され、フォーカシングレンズ16を通りダイクロイックミラー26において測定光とトラッキング光とが分離される。
【0025】
トラッキング光はダイクロイックミラー26を透過し、拡大レンズ27により二次元撮像素子28上で眼底観察光学系による眼底像Ea' よりも拡大された血管像Evとして結像する。この撮像範囲はトラッキング光の照射範囲とほぼ同一の大きさである。この血管像信号はトラッキング制御部29に入力され、血管の位置信号に変換される。トラッキング制御部29はこの信号を用いてガルバノメトリックミラー15の回転角を制御し、血管のトラッキングを行うことになる。このとき、血管像は光束偏向器であるガルバノメトリックミラー15を介して撮像されているので、トラッキングが行われていた血管が、この撮像範囲から外れることはなく、撮像範囲を上述のトラッキング光の範囲程度に納めることができる。
【0026】
また、測定光とトラッキング光による眼底Eaでの散乱反射光の一部はバンドパスミラー9を透過し、孔あきミラー8の背後の眼底観察光学系に導かれ、トラッキング光はスケール板12上に棒状のインジケータとして結像し、測定光はこのインジケータの中心部にスポット像として結像する。これらの像は接眼レンズ13を介して眼底像Ea' 、指標像Fと共に観察される。このとき、インジケータの中心には測定ビームのスポット像が重畳して観察される。インジケータは操作部31により、トラッキング制御部29を介してガルバノメトリックミラー15を回転することで、眼底Ea上を一次元的に移動させることができる。
【0027】
測定に際して、検者は先ず眼底像Ea' のピント合わせを行う。操作部31のフォーカスノブを調整すると、図示しない駆動手段により透過型液晶板6、フォーカシングレンズ10、16、フォーカスユニット18が連動して光路に沿って移動する。眼底像Ea' のピントが合うと、透過型液晶板6、スケール板12、二次元撮像素子28は同時に眼底Eaと共役になる。
【0028】
実際の検査においては、検者は眼底像Ea' のピントを合わせた後に、被検眼Eの視線を誘導して観察領域を偏向し、測定対象とする血管Evを適当な位置に移動するために操作部31を操作する。システム制御部30は透過型液晶板6を制御し指標像Fを移動する。イメージローテータ14を回転し、測定対象とする血管Evの走行方向に対してフォトマルチプライヤ27a、27bの中心を結んだ線が並行になるよう操作する。このとき、ガルバノメトリックミラー15を回転することによって、二次元撮像素子28の画素配列の垂直方向及び動く測定ビームの方向は、これと直角の血管Eaに垂直な方向に同時に調整される。これにより、撮像される映像信号は血管走行方向に略一致した軸を有する直交座標系が割り振られることになるが、本実施例ではこの信号処理を第1のステップと云うことにする。
【0029】
検者はトラッキングを開始しその良否を確認した後に、操作部31の測定スイッチを押して測定を開始する。この測定の間、測定ビームはトラッキング制御部29の働きにより、血管Ea上に保持されるが、その散乱反射光はダイクロイツクミラー9により反射されフォトマルチプライヤ27a、27bで受光される。フォトマルチプライヤ27a、27bの出力はそれぞれシステム制御部30に出力され、この受光信号は周波数解析されて眼底Eaでの血流速度が求められることになる。
【0030】
トラッキング制御部29の信号処理は本実施例で云う第2のステップに相当するが、これらの処理はその処理時間の短縮のためDSPのように高速演算回路によって行われる。図2のIは二次元撮像素子28の撮像範囲であり、L1、L2、L3、・・・ で示したラインごとの電子走査が行われ、血管Eaの二次元の映像信号を出力する。この実施例においては、この走査方向は測定時には既に前述のように血管Eaの走行方向に垂直に調整されているので、これ以降の処理は比較的単純でよい。そのため、信号処理に要する時間は短時間で済み、トラッキングの応答を早めることが可能となる。
【0031】
図3に示すように、各ラインL1、L2、L3、・・・ ごとの映像信号は各ライン走査の開始信号を基準にサンプルされ、信号ラインバッファに加算することで平均化が行われる。1フレーム分の加算処理が行われた後に、ラインバッファの出力信号はバックグラウンドの補正を行いローパスフィルタによるフィルタリングによりノイズの軽減が図られる。その後に、微分処理によってゼロクロス点0を検出し、血管位置が求められる。
【0032】
このようなフィルタリングを、この血管位置と予め定められているトラッキング中心位置信号と比較することにより、血管位置のトラッキング中心位置に対する偏移量が求められる。この信号はガルバノメトリックミラー15を制御するトラッキング制御部29に対して出力され、トラッキング制御部29はこの偏移量を表す信号に基づいて、ガルバノメトリックミラー15を駆動することになる。
【0033】
本実施例では、初めに各ラインL1、L2、L3、・・・ ごとの血管候補点を探索する。候補点は図4の各ラインL1、L2、L3、・・・ に縦線で示し、先の例で血管を抽出したバックグラウンド処理、ノイズ除去処理、微分処理を行った後のゼロクロスポイントである。
【0034】
図5は縦軸にライン番号、横軸に候補点の各ラインL1、L2、L3、・・・ 上での位置をプロットしたものであり、図6は候補点の位置のヒストグラムである。このヒストグラムは血管Evの走行方向に沿って取られているので、対象血管Evの位置にピークを有する。実施例ではこのピークを検出し、例えば頻度がその1/2以上の候補点の位置の平均から血管Evの位置を算出することにより、先の実施例と同様のトラッキングを行う。
【0035】
以上の説明は周囲に血管が無い場合の例であるが、この場合でも各ラインL1、L2、L3、・・・ ごとに存在するノイズや血管走行方向の局所的な模様による映像信号の変化は、血管走行方向における加算処理によって取り除かれ、所望の血管Evのみを鮮明に抽出することが可能である。
【0036】
例えば、図7に示すような分岐付近の血管で、トラッキングを掛けるべき血管EvA の周囲に、血管EvA よりもコントラストの高い血管EvB が存在する場合を説明する。二次元撮像素子28の走査方向が血管走行方向に対して直角に割り振ることが既に行われているので、ラインL1、L2、L3、・・・ ごとの加算処理が行われると、各ラインL1、L2、L3、・・・ ごとの血管Evの中心を示す下方向のくびれはほぼ同じ位置に存在し、強調された信号となる。
【0037】
しかし、血管EvB のくびれは血管が太いために、ライン単位では大きいにも拘らず、その位置が異なるので図8に示すように加算後の信号では消失することになる。従って、微分処理後の信号では血管EvA に対する信号の方が大きく現れることになり、この血管EvA がいま測定対象であることが判断できることになる。トラッキング制御部29はこの信号を基に、血管Evの偏移量をガルバノメトッリックミラー15に出力する。
【0038】
図9は他の実施例の血管映像信号の処理方法の説明図である。いま、測定対象とすべきものは、二次元撮像素子28の主走査方向が走行方向と垂直に調整されている血管EvA であり、血管EvB がノイズとして存在する。先の実施例では、ラインL1、L2、L3、・・・ ごとの映像信号を加算することによって対象血管の抽出を行ったが、本実施例では初めに各ラインL1、L2、L3、・・・ ごとの血管候補点を探索する。
【0039】
候補点は図10の各ラインL1、L2、L3に縦線で示し、先の例で血管を抽出したバックグラウンド処理、ノイズ除去処理、微分処理を行った後のゼロクロスポイントである。
【0040】
図11は縦軸にライン番号、横軸に候補点の各ラインL1、L2、L3、・・・ 上での位置をプロットしたものであり、図12では候補点の位置のヒストグラムである。このヒストグラムは血管EvA の走行方向に沿って取られているので、対象血管EvA の位置にピークを有する。実施例ではこのピークを検出し、例えば頻度がその1/2以上の候補点の位置の平均から血管EvA の位置を算出することにより、先の実施例と同様のトラッキングを行う。
【0041】
例えば、図13に示すように太い血管を計測対象に選択した場合に、その血管中心には血管壁の正反射が観測され、映像信号としてはあたかも2本の血管が存在するように観測される場合がある。このような場合の図10〜図12で説明した同様の処理が図14〜図16で示すように行われ、そのヒストグラムはほぼ同じ高さを有する近接した2峰性を示すことになる。
【0042】
これと異なり、実際に2本の血管が存在する場合には、図12で示すように通常では一方の血管信号は消失するので、たとえ2峰性を示したとしても一方のピークは低くなる。そのため本実施例では、例えば各ピークが眼底上で150μm以内で、かつそのピークの高さつまり候補点の出現頻度が例えば30%以内である場合には1本の血管として取り扱い、血管中心位置を2峰性の谷間とするなどの処理を行う。逆に、それ以外の場合には最大ピークを基準に先に述べた通常処理を行う。
【0043】
このように、本実施例では先の実施例に比べてヒストグラムを作り、候補点の連結性の判断を行うので、血管抽出がより確実に行うことができる。
【0044】
以上の実施例に対し、図17〜図19に示す処理方法では二次元の画像をフレームメモリに蓄積し、二次元の画像処理により血管の抽出を行う。図17に示すように撮像された血管像は、二次元のバックグラウンド処理を行った後に、図18のように2値化され、その後に図19に示すように紙面横方向の細線化処理を行うことによって、紙面縦方向つまり血管走行方向の連結要素のみが抽出される。従って、この抽出線の横方向の平均値をもって血管位置としてもよい。
【0045】
更に、このとき抽出線を直線近似し、二次元撮像素子の画面上での傾きを検出することにより、イメージローテータ14による角度調節が正しく行われたかどうかの判断を行うことも可能である。
【0046】
また、図1の実施例の装置では、イメージローテータ14を回転することにより、一次元血管トラッキング方向と二次元撮像素子の主走査方向とを同時に血管走行と垂直に調整する構成を採用している。しかし、この方法を用いれば必ずしも血管走行方向と二次元撮像素子28の走査方向との角度関係をローテータ14などを用いて調整する必要がなく、装置の設計上の自由度を向上することが可能である。
【0047】
即ち、検出された抽出線の傾きから血管の走行方向を判断し、その方向によって定まる座標系に対して映像信号を変換すれば、血管走行に垂直な血管の位置が得られることは周知の技術であるので、ここでは説明を省略する。更に、1度この座標変換係数が定まった後であれば、実際の信号処理方法として、第1、第2の信号処理を応用することも可能であることは云うまでもない。
【0048】
以上の説明では、眼底血流計、特にそのトラッキング制御部29に応用した実施例に基づいて行ったが、血管特定に関する本発明の構成・効果は血管径の計測においても同様の効果を有する。その違いは血管の走行方向に垂直な情報として血管径を算出するのか、血管径を算出するかの違いであるため、ここでは細かく言及しないこととする。
【0049】
このような二次元の信号処置は、従来例の一次元の信号処理に比べて時間が掛かるのが通常である。しかし本実施例では、前述のようにその撮像範囲は必要最小限となされているため、トラッキングの応答時間を実用レベルに納めることが可能となる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る眼科検査装置は、単純な一次元の照度分布に比べ多くの情報を用いることができるばかりか、その有効な利用が可能である。
【0051】
その結果、安定な血管情報の計測が可能となるばかりでなく、所望の眼底血管にそのコントラストが低い場合においても計測が可能となる。また、十分なコントラストを有する血管においてはより正確な計測を行うことができ、血管の誤認を防ぐことも可能となる。また、従来では不可能であった近赤外光による血管情報の計測が可能となる。
【0052】
更に、映像信号を血管の走行方向に一致させれば余分な演算を省くことが可能となり、血管のトラッキングシステムに利用する場合には、その応答性を向上させることが可能となる。
【0053】
また、本発明に係る眼科検査装置は、トラッキングのための光束偏向器を介して血管像を撮像するため、その撮像範囲は対象血管の近傍のみでよく、そのため演算を行う撮像素子の撮像範囲と必要解像力から決定される画素数も少なくて済み、信号処理をデジタル的に行う場合であっても、その処理時間を短くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の構成図である。
【図2】撮像素子と撮像される血管の位置関係の説明図である。
【図3】信号処理の説明図である。
【図4】信号処理の説明図である。
【図5】信号処理の説明図である。
【図6】信号処理の説明図である。
【図7】撮像素子と撮像される血管の位置関係の説明図である。
【図8】信号処理の説明図である。
【図9】撮像素子と撮像される血管の位置関係の説明図である。
【図10】信号処理の説明図である。
【図11】信号処理の説明図である。
【図12】信号処理の説明図である。
【図13】撮像素子と撮像される血管の位置関係の説明図である。
【図14】信号処理の説明図である。
【図15】信号処理の説明図である。
【図16】信号処理の説明図である。
【図17】信号処理の説明図である。
【図18】信号処理の説明図である。
【図19】信号処理の説明図である。
【符号の説明】
1 観察用光源
2 対物レンズ
3 孔あきミラー
9 バンドパスミラー
14 イメージローテータ
15 ガルバノメトリックミラー
22 レーザーダイオード
25 トラッキング用光源
27 フォトマルチプライヤ
28 二次元撮像素子
29 トラッキング制御部
30 システム制御部
Claims (7)
- ターゲットとなる特定の眼底血管を含む領域を照明する照明系と、前記特定眼底領域を撮像する撮像手段を有する撮像系と、血管情報抽出手段とを有する眼科装置において、前記血管情報算出手段は、前記撮像手段による映像信号を血管走行方向に略一致した軸を有する直交座標系を割り振る第1の手段と、該第1の手段によって割り振られた座標系において、血管の走行方向に垂直な方向における特徴抽出処理と血管走行方向への連結判断を含む第2の手段とを有することを特微とする眼科検査装置。
- 前記血管情報算出手段は血管径を算出する請求項1に記載の眼科検査装置。
- 前記第1の手段は血管走行方向の特定を行う画像処理を含む請求項1に記載の眼科検査装置。
- 前記第2の手段は前記直交座標の血管走行方向への積分処理と血管走行と直角方向におけるフィルタ処理とを含む請求項1に記載の眼科検査装置。
- ターゲットとなる特定の眼底血管を含む領域を照明する照明系と、光束偏光器を介して前記特定の眼底領域を撮像する撮像手段を有する撮像系と、前記撮像手段からの映像信号を処理して血管位置を算出し前記光束偏向器を駆動して前記眼底血管のトラッキングを行うトラッキング手段とを有する眼科検査装置において、前記撮像手段は二次元撮像素子であり、前記トラッキング手段は前記撮像素子の複数の走査線の情報から対象血管の血管走行と垂直な方向の位置を算出する血管位置算出手段を有することを特徴とする眼科検査装置。
- 前記撮像系は前記撮像手段の撮像の操作方向を血管走行方向又は血管走行方向と垂直な方向に略一致させるための撮像操作方向回転手段を有する請求項1又は5に記載の眼科検査装置。
- 前記照明系の照明光は近赤外光とした請求項1又は5に記載の眼科検査装置。
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1998
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