JP3879962B2 - 硬貨処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、識別後の硬貨を金種別の一時保留部に一時保留し、この一時保留部に保留した硬貨を対応する金種別硬貨収納部に重積状態に収納する硬貨処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、硬貨処理装置では、例えば、特開平10−188075号公報に記載されているように、入金処理時に、投入口に投入された入金硬貨を1枚ずつ繰り出して識別し、識別結果に応じて正常金種の硬貨は該当する金種の一時保留部に搬送するとともに一時保留部の底面を閉塞する投出板上に重積状態で一時保留する。その後、入金が承認されれば、一時保留部の保留硬貨を一時保留部の下方に位置する対応金種の出金筒に重積状態で収納する。
【0003】
一時保留部の保留硬貨を出金筒に収納する硬貨収納時には、まず、出金筒内で重積状態の硬貨を支持するステージを上昇させて、ステージ上の最上部硬貨を一時保留部の底面を閉塞する投出板の下面位置まで移動させることにより、一時保留部の保留硬貨をステージ上の最上部硬貨上へ落とし込む際の距離を短くし、次に、投出板を退避させ、一時保留部の保留硬貨をステージ上の最上部硬貨上へ落とし込んでステージ上の重積硬貨の上へそのままの状態で重積させ、次に、ステージを下降させて、ステージ上の硬貨を検知する上端検知センサが硬貨を検知する遮光状態から硬貨を検知しなくなる透光状態となる位置、すなわちステージ上の最上部硬貨の定位置を検知して停止させることにより、収納動作を完了する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一時保留部の保留硬貨を出金筒に収納する硬貨収納時に、一時保留部内で硬貨が複数枚(通常は2枚以上で発生する)がブリッジ状になって残留することがあるが、一時保留部内の硬貨残留を検知する残留センサがないため、一時保留部での硬貨残留を検知できない。そして、そのままの状態で次の入金処理をして入金硬貨を一時保留部に保留した後、入金取引をやめて一時保留部の保留硬貨を返却処理した場合には、一時保留部に残留していた硬貨を含めて一時保留部の硬貨を返却したり、返却できないことがあり、返却トラブルが発生する問題がある。
【0005】
また、硬貨収納時に、出金筒内で硬貨筒立ちが起こっても、ステージを下降させるときに上端検知センサが遮光状態から透光状態になれば収納動作正常と判断するので、硬貨筒立ちを検知できない。そして、そのままの状態で出金筒から硬貨を投出しようとした場合には、硬貨筒立ちの生じた硬貨を正常に投出することができず、投出トラブルが発生する問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、一時保留部の硬貨を金種別硬貨収納部に収納する硬貨収納時に、一時保留部での硬貨残留や、金種別硬貨収納部での硬貨筒立ちを直ちに検知できる硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の硬貨処理装置は、硬貨を金種別に一時保留する一時保留部と、硬貨収納時に前記一時保留部に保留した硬貨を上方から受け入れて重積状態に収納する金種別硬貨収納部と、この金種別硬貨収納部内の硬貨を支持して昇降移動可能とするとともに、前記硬貨収納時に下降して一時保留部に保留した硬貨を金種別硬貨収納部に収納するステージ手段と、このステージ手段上の硬貨の上端が検知位置より上方にあるときに遮光状態となるとともに下方にあるときに透光状態となり、金種別硬貨収納部に収納された硬貨の上端の定位置を検知する上端検知手段と、前記ステージ手段の移動量と金種別硬貨収納部に収納される硬貨の枚数との換算に関連する値を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶している換算に関連する値に基づいて、前記一時保留部の硬貨の保留枚数を前記硬貨収納時のステージ手段の移動量に換算する換算手段と、前記一時保留部に保留した硬貨をステージ手段の下降によって金種別硬貨収納部に収納する硬貨収納時に、前記換算手段によって換算した換算移動量の範囲内で前記上端検知手段が遮光状態から透光状態になることを監視する監視手段と、この監視手段による監視の結果、換算移動量の範囲未満で前記上端検知手段が遮光状態から透光状態になる場合は前記一時保留部での硬貨残留と判断し、換算移動量の範囲内で前記上端検知手段が遮光状態から透光状態にならない場合は硬貨筒立ちと判断する異常判断手段と、この異常判断手段の判断結果に基づいて異常を報知する異常報知手段とを具備しているものである。
【0008】
そして、一時保留部の硬貨を金種別硬貨収納部に収納する硬貨収納時に、一時保留部の硬貨の保留枚数をステージ手段の移動量に換算手段で換算し、ステージ手段が下降するときに換算した換算移動量の範囲内で上端検知手段が遮光状態から透光状態になることを監視手段で監視する。監視手段による監視の結果、異常判断手段により、換算移動量の範囲未満で上端検知手段が遮光状態から透光状態になる場合は一時保留部での硬貨残留と判断し、換算移動量の範囲内で上端検知手段が遮光状態から透光状態にならない場合は硬貨筒立ちと判断し、これらの異常を異常報知手段で報知する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1ないし図6に硬貨処理装置の前提となる技術を示し、硬貨処理装置としては、入金処理および出金処理が可能で、入金硬貨を出金硬貨として循環使用する循環式硬貨入出金機の例を示す。
【0011】
図3および図4に示すように、10は機体で、この機体10の上面前部にはシャッタ11によって開閉される入出金口12が形成され、この入出金口12の一側下方には入金硬貨を受け入れるホッパ13が配設され、他側下方には出金硬貨や返却硬貨が払い出される出金トレイ14が配設されている。シャッタ11にはホッパ13の上方に位置して入金硬貨を投入可能とする図示しない硬貨投入口が形成されている。
【0012】
ホッパ13の下方には、ホッパ13に受け入れた硬貨を1枚ずつ繰り出す硬貨繰出部15が配設されている。この硬貨繰出部15は、硬貨を載せて機体10の後方ヘ向けて搬送するコンベヤ16、およびこのコンベヤ16の上方でコンベヤ16の上面とは反対方向に回転して硬貨の通過を硬貨厚み方向に1枚ずつに規制する逆転ローラ17とを有している。
【0013】
出金トレイ14は、出金トレイ14上に払い出された硬貨が取り出されない場合に、その取り忘れ硬貨を下方に放出可能とし、出金トレイ14の下方には放出される取り忘れ硬貨を回収する取り忘れボックス18が配設されている。
【0014】
硬貨繰出部15から機体10の後部にかけて、硬貨繰出部15から1枚ずつ繰り出される硬貨を受け入れて搬送する硬貨通路19が配設されている。この硬貨通路19には、上方に沿って硬貨を搬送する搬送ベルト20が張設され、上流側に硬貨の正偽や金種などを識別する識別部21が配設されている。硬貨通路19上には、識別部21の下流側に、リジェクト硬貨用のリジェクト孔22、オーバーフロー硬貨用並びに例えば5円、50円および500円用のオーバーフロー孔23、および例えば1円、100円および10円用の金種別の分類孔24が順に形成されている。リジェクト孔22およびオーバーフロー孔23では、該当硬貨を電気的駆動手段による駆動によって強制的に各孔内に落とし込む図示しない強制分類手段を備えている。金種別の分類孔24では、該当金種の硬貨を落とし込み、該当金種の硬貨より大径の硬貨を通過するようにして、径分類する。
【0015】
また、リジェクト孔22の下方にはリジェクトシュート25が配設され、このリジェクトシュート25の下端がリフトシュート26に接続されている。オーバーフロー孔23の下方にはオーバーフローシュート27が配設され、このオーバーフローシュート27の下方に臨んで出金コンベヤ28が前後方向に沿って配設されている。
【0016】
リフトシュート26の上端は出金トレイ14に連通され、リフトシュート26内にはバケット29が昇降移動可能に配設されている。バケット29は、下降位置をリジェクトシュート25および出金コンベヤ28から硬貨を受け入れる硬貨受入位置とし、上昇位置への移動によってバケット29内の硬貨を出金トレイ14に放出可能とする。
【0017】
出金コンベヤ28の前端はリフトシュート26に接続され、出金コンベヤ28上に受け入れた硬貨をリフトシュート26内に搬送する。出金コンベヤ28の前端側にはシャッタ30が開閉可能に配設され、このシャッタ30は、通常は閉鎖され、出金コンベヤ28により硬貨をリフトシュート26へ搬送する際に開放される。
【0018】
リフトシュート26の下端には振分シュート31が連結され、この振分シュート31の下方に機体10に着脱可能とする回収ボックス32が配設されている。そして、バケット29が硬貨受入位置から上昇された状態で、出金コンベヤ28から放出される硬貨が振分シュート31から回収ボックス32内に受け入れられる。回収ボックス32に受け入れられる硬貨には、入金時の5円、50円、500円の正常硬貨、入金時の1円、100円、10円のオーバーフロー硬貨、出金時の投出異常硬貨、および回収時の回収硬貨などがある。振分シュート31内には図示しないソレノイドなどの駆動によって通路を切り換える切換板33が配設されている。回収ボックス32の上部には運用リジェクト部32aが区画形成されており、切換板33により、入金硬貨および回収硬貨は回収ボックス32内(運用リジェクト部32aを除く)に振り分けられ、投出異常硬貨は運用リジェクト部32aに振り分けられる。
【0019】
また、金種別の各分類孔24の下方には金種別のシュート34が配設され、このシュート34の下方に硬貨を金種別に重積状態で一時保留する一時保留部35が配設されている。これら一時保留部35は、保留枠36に上下方向に貫通形成された保留筒部37、保留枠36の下側に配置されて保留筒部37の底面を開閉可能に閉塞する一時保留板として兼用される投出板38によって形成されている。保留枠36は、一時保留部駆動手段78(図2に示す)により、シュート34の下方で硬貨を受け入れて一時保留する保留位置と、保留硬貨の返却時に出金コンベヤ28の上方で保留硬貨を放出する返却位置との間を移動可能とする。さらに、保留枠36は、搬送ベルト20の回動に同期した駆動力にて保留枠36に振動を付与する図示しない振動付与手段を有している。
【0020】
保留枠36および投出板38の下方には投出枠39が配設され、この投出枠39の下側には、保留位置の各一時保留部35の下方に1円、100円、10円の硬貨(図4に符号Cで示すが、他の硬貨の表記での符号については省略する)を上下方向に重積状態で収納する筒状の金種別硬貨収納部40がそれぞれ配設されているとともに、これら金種別硬貨収納部40に隣接して1円、100円、10円の硬貨を上下方向に重積状態で収納する筒状の金種別補充硬貨収納部41がそれぞれ配設されている。金種別硬貨収納部40は出金カセット42に設けられ、金種別補充硬貨収納部41は補充カセット43に設けられ、それぞれ機体10に対して着脱自在になっている。
【0021】
投出枠39には、金種別硬貨収納部40の上端に連通する投出口44、および金種別補充硬貨収納部41の上端に連通する繰出口45が上下方向に貫通形成されている。投出口44は、保留位置の保留枠36の各保留筒部37と同軸上に位置し、一時保留部35の一時保留硬貨を重積状態で受入れ可能になっている。
【0022】
投出枠39の上面部には、各投出口44から出金コンベヤ28側に下降傾斜して連通する投出溝46が形成され、各繰出口45から各投出口44に下降傾斜して連通する繰出溝47が形成されている。投出溝46および繰出溝47の幅は、投出口44および繰出口45の内径とほぼ同一で、処理対象とする金種の通過を可能に形成され、また、投出溝46と保留枠36の下面との間には硬貨1枚の厚みより少し大きい程度の間隙が形成され、繰出溝47と投出板38の先端側下面との間には硬貨1枚の厚みより少し大きい程度の間隙が形成されている。
【0023】
また、投出板38は、3つの金種について一体に形成され、各金種毎に、金種別硬貨収納部40の上部から硬貨を出金コンベヤ28に投出する出金用投出部48、および金種別補充硬貨収納部41の上部から硬貨を金種別硬貨収納部40に繰り出す補充用投出部49を有している。そして、投出板38は、投出駆動手段77(図2に示す)により、出金用投出部48および補充用投出部49が投出口44および繰出口45の上方から出金コンベヤ28と反対側に退避する退避位置と、出金用投出部48および補充用投出部49が投出口44および繰出口45の上方に進入した投出位置とに移動される。この投出板38の退避位置から投出位置への移動時に、金種別硬貨収納部40からの硬貨の投出と、金種別補充硬貨収納部41から金種別硬貨収納部40への硬貨の繰り出しとが可能になっている。
【0024】
また、金種別硬貨収納部40および金種別補充硬貨収納部41の内部には、重積硬貨の下面を支承するステージ手段50が上下動可能に配置されている。このステージ手段50は、基部51、この基部51上で基部51に挿通される支軸52を介して上下動可能に支持されたステージ53、および基部51とステージ53との間でステージ53を上方に付勢する付勢手段としてのスプリング54を有している。基部51には、金種別硬貨収納部40および金種別補充硬貨収納部41の外部に上下動可能に突出する連結部55が形成されている。
【0025】
また、金種別硬貨収納部40の側部で出金コンベヤ62の下方には各金種別硬貨収納部40のステージ手段50の連結部55と連結してステージ手段50を昇降移動させるステージ駆動手段56が配設され、金種別補充硬貨収納部41の前側および後側には各金種別補充硬貨収納部41のステージ手段50の連結部55と連結してステージ手段50を昇降移動させるステージ駆動手段57が配設されている。これらステージ駆動手段56,57は、ステッピングモータを有し、このステッピングモータの駆動によってステージ手段50を昇降移動させる。
【0026】
また、機体10内には、出金カセット42および補充カセット43を着脱自在に装着するカセット台58,59がそれぞれ設けられている。
【0027】
また、投出枠39の各投出口44および各繰出口45の内縁部には、金種別硬貨収納部40および金種別補充硬貨収納部41内のステージ手段50上の硬貨の上端または硬貨が載っていない場合のステージ53の上端を検知する一対の投受光器形式の上端検知手段としての上端検知センサ60,61がそれぞれ配設されている。これら上端検知センサ60,61では、ステージ手段50上の硬貨の上端または硬貨が載っていない場合のステージ53が検知位置より上方にあるときに遮光状態となるとともに下方にあるときに透光状態となる。ステージ手段50上の硬貨の上端または硬貨が載っていない場合のステージ53の上端が上端検知センサ60,61の検知位置よりわずかに下側にある位置を待機位置(定位置)とする。
【0028】
次に、図2において、制御手段71を示し、この制御手段71には、端末72などを接続するインターフェース73、記憶手段74、異常報知手段75、設定手段76、ステージ駆動手段56、上端検知センサ60、投出駆動手段77、および一時保留部駆動手段78が接続され、それらと制御手段71との間で信号の入出力がなされたり、制御手段71によってそれらの動作制御がなされる。
【0029】
端末72は、例えばテラーによって操作されるもので、入金指示、収納指示、返却指示および出金指示などが指示される。
【0030】
記憶手段74は、一時保留部35に保留した硬貨をステージ手段50の下降によって金種別硬貨収納部40に収納する硬貨収納時におけるステージ手段50の下降移動量と金種別硬貨収納部40に収納される硬貨の枚数との換算に関連する値を記憶する。この換算に関連する値の一例を表1に示す。1円、10円および100円の金種毎に、1枚分の硬貨の厚み寸法、その1枚分の硬貨の厚み寸法をステージ手段50が移動するのに必要とするステージ駆動手段56のステッピングモータのパルス数、ステージ手段50上に10枚の硬貨を載せたときのスプリング54の縮み寸法、そのスプリング54の縮み寸法をステージ手段50が移動するのに必要とするステージ駆動手段56のステッピングモータのパルス数を記憶する。なお、ステージ手段50の移動量とステージ駆動手段56のステッピングモータのパルスとの関係は、0.06mm/パルスである。
【0031】
【表1】
【0032】
そして、制御手段71は、以下の機能を有している。
【0033】
ステージ駆動手段56のステッピングモータに与えるパルス数に基づいて、硬貨収納時に一時保留部35に保留した硬貨を金種別硬貨収納部40に収納するのに必要としたステージ手段50の移動量を計測する計測手段81の機能。
【0034】
記憶手段74に記憶している換算に関連する値に基づいて、硬貨収納時に計測手段81によって計測したステージ手段50の計測移動量を硬貨の収納枚数に換算する枚数換算方法か、一時保留部35の硬貨の保留枚数を硬貨収納時のステージ手段50の移動量に換算する移動量換算方法によって換算する換算手段82の機能。
【0035】
一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数と換算手段82によって換算した換算収納枚数とを比較する枚数比較方法か、硬貨収納時に計測手段81によって計測した計測移動量と換算手段82によって換算した換算移動量とを比較する移動量比較方法によって比較する比較手段83の機能。
【0036】
比較手段83による比較の結果、一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数に対応する比較値(一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数、または換算手段82によって換算した換算移動量)がステージ手段50の計測移動量に対応する比較値(換算手段82によって換算した換算収納枚数、または計測手段81によって計測した計測移動量)より大きい場合は一時保留部35での硬貨残留と判断し、一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数に対応する比較値がステージ手段50の計測移動量に対応する比較値より小さい場合は硬貨筒立ちと判断する異常判断手段84の機能。
【0037】
そして、換算手段82による換算方法について、例えば10枚の10円を一時保留部35に保留し、金種別硬貨収納部40に収納する場合を例にとって説明する。
【0038】
計測手段81によって計測した計測移動量Bから換算収納枚数Cに換算する枚数換算方法の場合には、ステージ手段50の待機位置(上端検知センサ60のわずかに下側位置)から収納位置(投出板38の下面位置)までの距離X=167パルス(約10mm)、金種別硬貨収納部40に収納する硬貨の厚みY=25・C、金種別硬貨収納部40に硬貨を収納した後のステージ手段50のスプリング54の縮みZ=1.46・Cとしたとき、計測移動量B=X+Y−Z=167+25C−1.46C=167+23.4Cとなり、これから換算収納枚数C=(B−167)/23.4枚として求める。
【0039】
一時保留部35に保留した保留硬貨枚数Dからステージ手段50の換算移動量Aに換算する移動量換算方法の場合には、ステージ手段50の待機位置(上端検知センサ60のわずかに下側位置)から収納位置(投出板38の下面位置)までの距離X=167パルス(約10mm)、金種別硬貨収納部40に収納する硬貨の厚みY=250、金種別硬貨収納部40に硬貨を収納した後のステージ手段50のスプリング54の縮みZ=14.6としたとき、換算移動量A=X+Y−Z=167+250−14.6=431.6パルスとして求める。
【0040】
また、異常報知手段75は、制御手段71の異常判断手段84による判断結果に基づいて異常を表示によって報知する表示器や、音や音声などによって報知する音発生器などで構成されている。
【0041】
設定手段76は、枚数による換算比較方法および移動量による換算比較方法を選択設定可能としている。
【0042】
次に、前提となる技術の作用を説明する。
【0043】
まず、入金処理について説明する。
【0044】
入金硬貨をシャッタ11の硬貨投入口を通じて投入し、端末72で入金を指示することにより、入金処理を開始する。投入された入金硬貨は、硬貨繰出部15のコンベヤ16上に落下し、コンベヤ16と逆転ローラ17との動作によって1枚ずつ硬貨通路19に繰り出す。硬貨通路19に繰り出した硬貨は、コンベヤ16と搬送ベルト20との周速差によって間隔をあけて搬送し、識別部21で識別する。
【0045】
識別部21でリジェクト硬貨であると識別すれば、該当するリジェクト硬貨は、リジェクト孔22で強制的に落下排除し、リジェクトシュート25を通じてリフトシュート26の硬貨受入位置に位置するバケット29内に収容する。
【0046】
識別部21で出金に利用しない5円、50円、500円の金種硬貨、あるいは出金に利用する1円、100円、10円の金種硬貨でも一時保留部35に収納される硬貨の枚数から満杯となる金種硬貨、および金種別硬貨収納部40に収納された硬貨の枚数から満杯となる金種硬貨を識別すれば、該当する硬貨は、オーバーフロー孔23から強制的に落下排除し、オーバーフローシュート27を通じて出金コンベヤ28上に一時保留する。
【0047】
識別部21で出金に利用する1円、100円、10円の金種硬貨で一時保留部35および金種別硬貨収納部40とも満杯でない金種硬貨を識別すれば、該当する硬貨は、リジェクト孔22およびオーバーフロー孔23を通過し、対応する金種の分類孔24から保留枠36の一時保留部35に落下し、一時保留部35の下面を閉塞状態にある投出板38上に重積状態に一時保留する。
【0048】
硬貨繰出部15の図示しない硬貨有無検知センサで硬貨無しを検知し、一定時間経過することにより入金硬貨の全てを一時保留したものと判断する。このとき、リジェクト貨をバケット29に収容している場合には、バケット29を上昇させてリジェクト貨を出金トレイ14内に放出するとともに、シャッタ11を開放し、出金トレイ14内のリジェクト貨の取り出しが可能とする。
【0049】
そして、硬貨の一時保留が完了した後、入金を承認して、端末72で収納を指示することにより、バケット29を硬貨受入位置から上方へ移動させた状態で、シャッタ30を開放するとともに出金コンベヤ28を駆動することにより、出金コンベヤ28上の一時保留硬貨は、リフトシュート26および振分シュート31を通じて、回収ボックス32に一括収納する。
【0050】
一方、1円、100円、10円の金種硬貨のうち、入金があって一時保留部35に一時保留された金種硬貨については、金種別硬貨収納部40に収納する。この硬貨収納動作を、図1のフローチャート、図5および図6の硬貨収納動作を示す説明図を参照して説明する。
【0051】
1円、100円、10円の金種硬貨のうち、一時保留した金種硬貨に対応する金種別硬貨収納部40の上端検知センサ60が遮光状態にあるか確認する(ステップ1)。通常、ステージ手段50上の硬貨の上端または硬貨が載っていない場合のステージ53の上端は、上端検知センサ60,61の検知位置よりわずかに下側の待機位置(定位置)に位置していて、上端検知センサ60は透光状態にある。仮に、遮光状態にある場合には(図5(a))、ステージ駆動手段56のステッピングモータを駆動し、上端検知センサ60が遮光状態から透光状態になる待機位置まで、ステージ手段50を下降させる(ステップ2、図5(b))。
【0052】
ステージ駆動手段56のステッピングモータを駆動し、待機位置に位置するステージ手段50を、ステージ手段50上の硬貨の上端または硬貨が載っていない場合のステージ53の上端を投出板38の下面に当接する収納位置まで上昇させる(ステップ3、図5(c))。
【0053】
投出板38を退避位置に移動させて一時保留部35の下面を開口させ(ステップ4、図6(a))、一時保留部35内の一時保留硬貨を重積状態のままステージ手段50上の重積硬貨上に載り移らせる。
【0054】
1円、100円、10円の金種硬貨のうち、一時保留していた金種硬貨に対応するステージ駆動手段56のステッピングモータを逆転駆動し、金種別硬貨収納部40のステージ手段50を下降させ、重積された保留硬貨を一時保留部35内から金種別硬貨収納部40内に収納していき、重積硬貨の上端が上端検知センサ60の検知位置に達して遮光状態から透光状態になる待機位置で、ステージ手段50の下降を停止する(ステップ5、図6(b))。このとき、計測手段81により、収納位置にあったステージ手段50が待機位置に下降して停止するまでのステージ手段50の移動量を計測する。すなわち、ステージ駆動手段56のステッピングモータのパルス数をカウントする。
【0055】
そして、換算手段82により、記憶手段74に記憶している換算に関連する値に基づいて、枚数換算方法または移動量換算方法のうちの設定された換算方法により換算する(ステップ6)。上述したように、枚数換算方法では、硬貨収納時に計測手段81によって計測したステージ手段50の計測移動量を硬貨の収納枚数に換算し、また、移動量換算方法では、一時保留部35の硬貨の保留枚数をステージ手段50の移動量に換算する。
【0056】
比較手段83により、一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数が換算手段82によって換算した換算収納枚数より大きいか比較し、または換算手段82によって換算した換算移動量が硬貨収納時に計測手段81によって計測した計測移動量がより大きいか比較する(ステップ7)。
【0057】
なお、硬貨が一時保留部35に残留するときは複数枚(2枚以上)がブリッジ状となる場合であり、硬貨筒立ちの場合にも硬貨の厚み数枚以上の移動量を計測することになるので、硬貨1枚の厚みを検知できる精度があれば十分である。
【0058】
異常判断手段84により、比較手段83による比較の結果、一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数に対応する比較値(一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数、または換算手段82によって換算した換算移動量)がステージ手段50の計測移動量に対応する比較値(換算手段82によって換算した換算収納枚数、または計測手段81によって計測した計測移動量)より大きい場合は、一時保留部35で硬貨残留が発生していると判断する。この判断結果に基づいて、異常報知手段75により、一時保留部35での硬貨残留エラーを表示する(ステップ8)。
【0059】
また、一時保留部35での硬貨残留が発生していないと判断された場合には、比較手段83により、一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数と換算手段82によって換算した換算収納枚数とが一致するか、または換算手段82によって換算した換算移動量と硬貨収納時に計測手段81によって計測した計測移動量とが一致するか比較する(ステップ9)。
【0060】
異常判断手段84により、比較手段83による比較の結果、一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数に対応する比較値(一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数、または換算手段82によって換算した換算移動量)がステージ手段50の計測移動量に対応する比較値(換算手段82によって換算した換算収納枚数、または計測手段81によって計測した計測移動量)より小さい場合は、硬貨筒立ちが発生していると判断する。この判断結果に基づいて、異常報知手段75により、硬貨筒立ちエラーを表示する(ステップ10)。
【0061】
また、比較手段83により、一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数と換算手段82によって換算した換算収納枚数とが一致する場合、または換算手段82によって換算した換算移動量と硬貨収納時に計測手段81によって計測した計測移動量とが一致する場合には、一時保留部35内の保留硬貨が金種別硬貨収納部40内に正常に収納されたと判断し、硬貨収納動作を完了し、待機状態に復帰して次の入出金動作に待機する。
【0062】
このように、一時保留部35の硬貨を金種別硬貨収納部40に収納する硬貨収納時に、一時保留部35に保留した硬貨を金種別硬貨収納部40に収納するのに必要としたステージ手段50の移動量を計測し、計測したステージ手段50の計測移動量を金種別硬貨収納部40に収納される硬貨の収納枚数に換算し、一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数と換算した換算収納枚数とを比較することにより、または、一時保留部35の硬貨の保留枚数をステージ手段50の移動量に換算し、計測した計測移動量と換算した換算移動量とを比較することにより、一時保留部35での硬貨残留や、金種別硬貨収納部35での硬貨筒立ちなどの異常を直ちに検知できる。
【0063】
そして、比較の結果、一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数に対応する比較値(一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数、または換算手段82によって換算した換算移動量)がステージ手段50の計測移動量に対応する比較値(換算手段82によって換算した換算収納枚数、または計測手段81によって計測した計測移動量)より大きい場合は一時保留部35での硬貨残留と判断し、一時保留部35に保留していた硬貨の保留枚数に対応する比較値がステージ手段50の計測移動量に対応する比較値より小さい場合は硬貨筒立ちと判断し、これらの異常を報知できる。
【0064】
なお、異常と判断した場合には、エラーを表示する前に、例えば、振動付与手段で保留枠36に振動を付与することにより一時保留部35での硬貨残留や硬貨筒立ちの解消を図り、その後、ステージ手段50を一旦上方に移動させてから待機位置に移動させ、換算、比較および判断を再度するようにしてもよい。
【0065】
また、一時保留部35への硬貨の一時保留後、端末72で返却を指示した場合には、保留枠36を返却位置に移動させ、一時保留部35内の保留硬貨を出金コンベヤ28上に放出し、バケット29が硬貨受入位置に位置する状態でシャッタ30を開放するとともに出金コンベヤ28を駆動し、出金コンベヤ28上に一時保留されていた硬貨および一時保留部35から出金コンベヤ28上に放出された硬貨をリフトシュート26のバケット29内に投入し、返却硬貨を収納したバケット29を上昇させて、返却硬貨を出金トレイ14内に放出させ、シャッタ11を開放し、出金トレイ14内の返却硬貨の取り出しを可能とする。
【0066】
次に、出金処理について説明する。なお、出金は1円、10円、100円の3種類の硬貨の組み合わせによってなされる。
【0067】
端末72で出金(金額、または金種と枚数など)を指示すると、保留枠36を一時保留部35が出金コンベヤ28上に臨む返却位置に移動させ、投出板38を退避位置に移動させ、投出指令があった金種に対応するステージ駆動手段56のステッピングモータを駆動して金種別硬貨収納部40内のステージ手段50上に載っている重積硬貨の最上位硬貨を保留枠36の下面に当接させる。
【0068】
投出板38を退避位置と投出位置との間で往復駆動し、投出板38の出金用投出部48で最上位硬貨の1枚を金種別硬貨収納部40の上方位置から押し出して出金コンベヤ28上に投出する。投出枚数が指令投出枚数に達しなければ、重積硬貨を硬貨1枚分だけさらに上昇させ、最上位硬貨を続けて投出する。ある金種硬貨の投出枚数が指令投出枚数に達したならば、対応するステージ駆動手段56のステッピングモータを逆転駆動し、投出板38による次の投出動作時にはその金種の硬貨を投出させず、重積硬貨の上端を待機位置に戻す。
【0069】
指示された全金種硬貨枚数(指示された金額から算出される全金種枚数の場合も含む)を投出し終わったら、バケット29が硬貨受入位置に位置する状態で、シャッタ30を開放するとともに出金コンベヤ28を駆動し、出金コンベヤ28上の出金硬貨をリフトシュート26のバケット29内に投入し、出金硬貨を収納したバケット29を上昇させて、出金硬貨を出金トレイ14内に放出させ、シャッタ11を開放し、出金トレイ14内の出金硬貨の取り出しを可能とする。
【0070】
次に、金種別硬貨収納部40への硬貨の補充処理について説明する。
【0071】
端末72による補充の指示すると、投出板38を退避位置に移動させ、投出指令があった金種に対応するステージ駆動手段57のステッピングモータを駆動して金種別補充硬貨収納部41内のステージ手段50上に載っている補充硬貨の最上位硬貨を投出板38の出金用投出部48の下面に当接させる。
【0072】
投出板38を退避位置と投出位置との間で往復駆動し、投出板38の補充用投出部49で最上位硬貨の1枚を金種別補充硬貨収納部41の上方位置から押し出して金種別硬貨収納部40に送り込む。補充硬貨が送り込まれた金種別硬貨収納部40では、補充硬貨が待機位置の重積硬貨上に重積して上端検知センサ60を透光状態から遮光状態となるため、ステージ手段50を上端検知センサ60が遮光状態から透光状態となる待機位置に下降させ、すなわち硬貨の1枚分下降させる。
【0073】
補充枚数が指令補充枚数に達しなければ、金種別補充硬貨収納部41の補充硬貨を硬貨1枚分だけさらに上昇させ、最上位硬貨を続けて補充する。ある金種硬貨の補充枚数が指令補充枚数に達したならば、対応するステージ駆動手段57のステッピングモータを逆転駆動し、投出板38による次の補充動作時にはその金種の硬貨を補充させず、金種別補充硬貨収納部41内の補充硬貨の上端を待機位置に戻す。
【0074】
次に、図7および図8に本発明の一実施の形態を示し、制御手段71は、一時保留部35の硬貨の保留枚数をステージ手段50の移動量に換算する換算手段82の機能などに加えて、一時保留部35に保留した硬貨をステージ手段50の下降によって金種別硬貨収納部40に収納する硬貨収納時に、換算手段82によって換算した換算移動量の範囲内で上端検知センサ60が遮光状態から透光状態になることを監視する監視手段85の機能を有している。
【0075】
異常判断手段84は、監視手段85による監視の結果、換算移動量の範囲未満で上端検知センサ60が遮光状態から透光状態になる場合は一時保留部35での硬貨残留と判断し、換算移動量の範囲内で上端検知センサ60が遮光状態から透光状態にならない場合は硬貨筒立ちと判断する。
【0076】
すなわち、ステージ手段50の待機位置(上端検知センサ60のわずかに下側位置)から収納位置(投出板38の下面位置)までの距離をX、金種別硬貨収納部40に収納する硬貨の厚みをY、金種別硬貨収納部40に硬貨を収納した後のステージ手段50のスプリング54の縮みをZとしたとき、換算移動量A=X+Y−Zの範囲内でステージ手段50を移動させ、その換算移動量に一致して上端検知センサ60が遮光状態から透光状態に切り換わるか否かで、動作の正常を判断する。
【0077】
そして、1円、100円、10円の金種硬貨のうち、入金があって一時保留部35に一時保留された金種硬貨について金種別硬貨収納部40に収納する硬貨収納動作を、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0078】
1円、100円、10円の金種硬貨のうち、一時保留した金種硬貨に対応する金種別硬貨収納部40の上端検知センサ60が遮光状態にあるか確認する(ステップ11)。通常、ステージ手段50上の硬貨の上端または硬貨が載っていない場合のステージ53の上端は、上端検知センサ60,61の検知位置よりわずかに下側の待機位置(定位置)に位置していて、上端検知センサ60は透光状態にある。仮に、遮光状態にある場合には、ステージ駆動手段56のステッピングモータを駆動し、上端検知センサ60が遮光状態から透光状態になる待機位置まで、ステージ手段50を下降させる(ステップ12)。
【0079】
ステージ駆動手段56のステッピングモータを駆動し、待機位置に位置するステージ手段50を、ステージ手段50上の硬貨の上端または硬貨が載っていない場合のステージ53の上端を投出板38の下面に当接する収納位置まで上昇させる(ステップ13)。
【0080】
投出板38を退避位置に移動させて一時保留部35の下面を開口させ(ステップ14)、一時保留部35内の一時保留硬貨を重積状態のままステージ手段50上の重積硬貨上に載り移らせる。
【0081】
そして、1円、100円、10円の金種硬貨のうち、一時保留していた金種硬貨について、換算手段82により、記憶手段74に記憶している換算に関連する値に基づいて、一時保留部35の硬貨の保留枚数を硬貨収納時のステージ手段50の移動量に換算する(ステップ15)。
【0082】
1円、100円、10円の金種硬貨のうち、一時保留していた金種硬貨に対応するステージ駆動手段56のステッピングモータを逆転駆動し、金種別硬貨収納部40のステージ手段50を下降させ、重積された保留硬貨を一時保留部35内から金種別硬貨収納部40内に収納していき、重積硬貨の上端が上端検知センサ60の検知位置に達して遮光状態から透光状態になる待機位置、または換算された換算移動量だけ下降した位置のいずれかに先に到達した位置で、ステージ手段50の下降を停止させる(ステップ16)。このとき、計測手段81により、収納位置にあったステージ手段50が待機位置または換算移動量だけ下降して停止するまでのステージ手段50の移動量を計測する。すなわち、ステージ駆動手段56のステッピングモータのパルス数をカウントする。
【0083】
そして、一時保留部35に保留した硬貨をステージ手段50の下降によって金種別硬貨収納部40に収納する硬貨収納時には、監視手段85により、換算手段82によって換算した換算移動量の範囲内で上端検知センサ60が遮光状態から透光状態になることを監視する(ステップ17)。
【0084】
異常判断手段84により、監視手段85による監視の結果、上端検知センサ60が遮光状態から透光状態にならない場合は硬貨筒立ちと判断する。この判断結果に基づいて、異常報知手段75により、硬貨筒立ちエラーを表示する(ステップ18)。
【0085】
また、異常判断手段84により、上端検知センサ60が遮光状態から透光状態になった場合でも、換算移動量と計測手段81で計測した計測移動量とが一致しない場合は一時保留部35での硬貨残留と判断する(ステップ19)。この判断結果に基づいて、異常報知手段75により、一時保留部35での硬貨残留エラーを表示する(ステップ20)。
【0086】
また、換算移動量と計測手段81で計測した計測移動量とが一致する場合には、一時保留部35内の保留硬貨が金種別硬貨収納部40内に正常に収納されたと判断し、硬貨収納動作を完了し、待機状態に復帰して次の入出金動作に待機する。
【0087】
このように、一時保留部35の硬貨を金種別硬貨収納部40に収納する硬貨収納時に、一時保留部35の硬貨の保留枚数をステージ手段50の移動量に換算し、ステージ手段50が下降するときに換算した換算移動量の範囲内で上端検知センサ60が遮光状態から透光状態になることを監視することにより、一時保留部35での硬貨残留や、金種別硬貨収納部での硬貨筒立ちなどの異常を直ちに検知できる。
【0088】
そして、監視の結果、換算移動量の範囲未満で上端検知センサ60が遮光状態から透光状態になる場合は一時保留部35での硬貨残留と判断し、換算移動量の範囲内で上端検知センサ60が遮光状態から透光状態にならない場合は硬貨筒立ちと判断し、これらの異常を報知できる。
【0089】
なお、上述した実施の形態において、説明を簡単にするために硬貨の厚みは標準値で扱ったが、摩耗などにより硬貨の厚みには幅があるので、硬貨の厚みは記憶手段74に記憶されている換算表に基づいて換算した標準値に対して、例えば±10%程度のマージンを持たせて換算手段82で換算し、上限値、下限値として換算値に幅を持たせ、換算値未満を比較する場合は下限値と比較し、換算値より大きいことを比較する場合は上限値と比較し、比較結果が上限値から下限値の範囲にある場合は正常と判断することにより、摩耗などによる硬貨の厚みの幅に対応できる。
【0090】
また、ステージ手段50の移動量と金種別硬貨収納部40に収納される硬貨の枚数との換算に関連する値についての換算表は、レートでもよいし、一時保留部35に保留可能とする枚数分の数値対応テーブルを用いてもよい。
【0091】
【発明の効果】
請求項1記載の硬貨処理装置によれば、一時保留部の硬貨を金種別硬貨収納部に収納する硬貨収納時に、一時保留部の硬貨の保留枚数をステージ手段の移動量に換算し、ステージ手段が下降するときに換算した換算移動量の範囲内で上端検知手段が遮光状態から透光状態になることを監視することにより、監視の結果、換算移動量の範囲未満で上端検知手段が遮光状態から透光状態になる場合は一時保留部での硬貨残留と判断し、換算移動量の範囲内で上端検知手段が遮光状態から透光状態にならない場合は硬貨筒立ちと判断し、これらの異常を報知できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の硬貨処理装置の前提となる技術を示す硬貨収納時のフローチャートである。
【図2】 同上硬貨処理装置のブロック図である。
【図3】 同上硬貨処理装置の一部を切り欠いた側面図である。
【図4】 同上硬貨処理装置の一部を切り欠いた背面図である。
【図5】 同上硬貨処理装置の硬貨収納動作を(a)〜(c)の順に示す説明図である。
【図6】 同上硬貨処理装置の図5に続く硬貨収納動作を(a)(b)の順に示す説明図である。
【図7】 本発明の硬貨処理装置の一実施の形態を示す硬貨収納時のフローチャートである。
【図8】 同上硬貨処理装置のブロック図である。
【符号の説明】
35 一時保留部
40 金種別硬貨収納部
50 ステージ手段
60 上端検知手段としての上端検知センサ
74 記憶手段
75 異常報知手段
82 換算手段
84 異常判断手段
85 監視手段
Claims (1)
- 硬貨を金種別に一時保留する一時保留部と、
硬貨収納時に前記一時保留部に保留した硬貨を上方から受け入れて重積状態に収納する金種別硬貨収納部と、
この金種別硬貨収納部内の硬貨を支持して昇降移動可能とするとともに、前記硬貨収納時に下降して一時保留部に保留した硬貨を金種別硬貨収納部に収納するステージ手段と、
このステージ手段上の硬貨の上端が検知位置より上方にあるときに遮光状態となるとともに下方にあるときに透光状態となり、金種別硬貨収納部に収納された硬貨の上端の定位置を検知する上端検知手段と、
前記ステージ手段の移動量と金種別硬貨収納部に収納される硬貨の枚数との換算に関連する値を記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶している換算に関連する値に基づいて、前記一時保留部の硬貨の保留枚数を前記硬貨収納時のステージ手段の移動量に換算する換算手段と、
前記一時保留部に保留した硬貨をステージ手段の下降によって金種別硬貨収納部に収納する硬貨収納時に、前記換算手段によって換算した換算移動量の範囲内で前記上端検知手段が遮光状態から透光状態になることを監視する監視手段と、
この監視手段による監視の結果、換算移動量の範囲未満で前記上端検知手段が遮光状態から透光状態になる場合は前記一時保留部での硬貨残留と判断し、換算移動量の範囲内で前記上端検知手段が遮光状態から透光状態にならない場合は硬貨筒立ちと判断する異常判断手段と、
この異常判断手段の判断結果に基づいて異常を報知する異常報知手段と を具備していることを特徴とする硬貨処理装置。
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