JP3878470B2 - 処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板の処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造においては,基板(例えば半導体ウェハ,LCD基板等)の表面が清浄化された状態にあることを前提として各種の微細加工が行われる。したがって,各加工処理に先立ち又は各加工処理の間に基板表面の洗浄が行われ,例えばフォトリソグラフィー工程では,レジスト塗布処理に先立って基板の上面が洗浄される。
【0003】
従来より,基板表面の有機物を洗浄する場合,当該基板に紫外線を照射し,基板上の有機物を酸化,気化させる紫外線洗浄処理が行われている。このような紫外線洗浄処理は,電力供給により紫外線ランプを点灯させ,基板に所定照度の紫外線を照射することにより行われている。
【0004】
紫外線ランプの点灯,消灯は,通常供給電力量の調節により行われている。また紫外線ランプから発光される紫外線の照度も供給電力量により制御されている。そして,紫外線ランプの点灯を開始する際には,最も多くの電力を要するので,このとき紫外線ランプには,より多くの電力が供給される。その後,紫外線ランプには,例えば紫外線の照度が一定になるような電力が供給される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,紫外線ランプは,より大きな電力で強い照度で使用すればするほど,寿命が短くなる。寿命が短くなると,その都度取り替えのための時間を要し,基板の処理を停止させる必要があるので,スループットが低下する。また,紫外線ランプは,高価であるため,頻繁に交換を要することになると,ランニングコストが高くなる。一方,基板上の有機物が紫外線により酸化等されるには,一定以上の照度があれば足りる。すなわち,照度がある限度以上あれば,紫外線照射洗浄は行われる。かかる観点から,できる限り紫外線ランプに供給する電力を抑え,照度を下げた状態で処理を行うことが望まれる。
【0006】
しかしながら,安易に紫外線ランプへの供給電力を下げると,紫外線ランプが消灯したり,紫外線の点灯が不安定になったりすることがある。かかる場合,基板の適切な処理が行われず,好ましくない。
【0007】
本発明は,かかる点に鑑みてなされたものであり,紫外線ランプの寿命を延命させながら,基板に紫外線を照射する処理を適切に行うことのできる基板の処理装置を提供することをその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
参考例として,電力供給により紫外線ランプを点灯させ,基板に紫外線を照射して基板を処理する処理方法であって,紫外線ランプの点灯開始後に,前記基板の処理に必要な紫外線の照度を実現できかつ前記点灯の維持に必要な最小限の電力に,前記紫外線ランプへの供給電力を調節する処理方法が提供される。
【0009】
この参考例によれば,紫外線ランプの点灯開始後に,基板の処理が可能でかつ点灯の維持に必要な最小限の電力に調節するので,紫外線ランプの照度が必要最低限に抑えられ,紫外線ランプへの負担が軽減される。こうなると紫外線ランプの劣化速度が遅くなるので,紫外線ランプの寿命が延命できる。また,紫外線ランプの点灯が維持されるので,基板の処理が適切に行われる。さらに,消費電力量が低減されるので,コストダウンが図られる。
【0010】
紫外線ランプを長時間使用すると,発光効率が低下し,同じ電力を与えていても紫外線の照度が低下する。参考例として前記紫外線ランプの照度が低下し,基板に照射される照度が基板の処理に必要な最低限の照度に低下した時に,前記紫外線ランプへの供給電力を増加させるようにしてもよい。この場合,減らしていた紫外線ランプへの供給電力を増加させるので,基板の処理に必要な最低限以上の照度を維持できる。それ故,基板の処理を継続して行うことができる。
【0011】
本発明によれば,基板に紫外線を照射して基板を処理する処理装置であって,紫外線を発光する紫外線ランプと,前記紫外線ランプに電力を供給する電力供給部と,当該電力供給部の供給電力を制御する電力制御部と,前記紫外線ランプの照度を検出する照度センサと,前記照度センサにより検出される照度と実際に基板上に照射される照射照度との相関関係を記憶する記憶部と,を備え,前記電力制御部は,前記照度センサで検出した照度から前記記憶部の相関関係により前記基板上の照射照度を算出し,当該算出された前記照射照度に基づいて前記電力供給部の供給電力を制御可能であり,紫外線ランプの点灯開始直後に,前記基板の処理に必要な紫外線の照度を実現できかつ前記点灯の維持に必要な最小限の電力に,前記紫外線ランプへの供給電力を調節し,前記紫外線ランプは,複数設けられ,前記照度センサは,前記複数の紫外線ランプの中で,同じ電力を与えた時に最も照度の低い紫外線ランプに備えられることを特徴とする処理装置が提供される。
【0012】
この発明によれば,点灯後の紫外線ランプへの電力供給を必要最小限に抑えることができる。これにより,紫外線ランプの劣化が抑制され,紫外線ランプの寿命を延命することができる。一方で紫外線ランプの点灯は維持されるので,基板の処理を適切に行うことができる。また,照度センサにより,例えば紫外線ランプの発光効率が低下して紫外線ランプの照度が基板の処理に必要な最小限の照度に到達したことを検出することができる。これにより,当該検出をトリガとして紫外線ランプへの供給電力を増加させ,前記基板の処理に必要な最小限の照度を維持することができる。この結果,基板の処理を継続することができる。さらに,記憶部に記憶された照度センサによる照度と実際に基板上に照射される照射照度との前記相関関係により,前記電力制御部が実際の基板上の照射照度に基づいて前記供給電力を制御できるので,より正確に基板への照度を制御できる。
また,この処理装置によって,最も発光効率の低い紫外線ランプを基準に紫外線ランプへの供給電力を制御できる。したがって,基板に照射される紫外線の照度を確実に一定以上に維持することができる。
別の観点による本発明は,基板に紫外線を照射して基板を処理する処理装置であって,紫外線を発光する紫外線ランプと,前記紫外線ランプに電力を供給する電力供給部と,当該電力供給部の供給電力を制御する電力制御部と,前記紫外線ランプの照度を検出する照度センサと,前記照度センサにより検出される照度と実際に基板上に照射される照射照度との相関関係を記憶する記憶部と,を備え,
前記電力制御部は,前記照度センサで検出した照度から前記記憶部の相関関係により前記基板上の照射照度を算出し,当該算出された前記照射照度に基づいて前記電力供給部の供給電力を制御可能であり,前記紫外線ランプは,複数設けられ,前記照度センサは,前記複数の紫外線ランプの中で,同じ電力を与えた時に最も照度の低い紫外線ランプに備えられることを特徴とする。
【0013】
前記紫外線ランプからの紫外線は,所定方向の基板に対して照射され,前記紫外線ランプには,前記所定方向と逆方向に放射された紫外線を前記所定方向に反射させるための反射鏡が備えられており,前記照射センサは,前記反射鏡の表面に取り付けられていてもよい。本発明によれば,照射センサが紫外線ランプから直接基板に照射される紫外線を遮ることがないので,紫外線の基板への照射が適切に行われる。また,紫外線ランプからの紫外線を適切に反射させる反射鏡に照度センサが設けられるので,紫外線ランプの照度を適切かつ正確に検出できる。
【0014】
参考例として,処理装置は,前記紫外線ランプは,複数設けられ,前記照度センサは,前記各紫外線ランプ毎に備えられていてもよい。これにより,各紫外線ランプ毎に照度を検出し,各紫外線ランプ毎に供給電力を制御できる。したがって,基板に照射される紫外線の照度をより厳密に制御することができ,基板の処理が好適に行われる。
【0016】
前記複数の紫外線ランプは,水平方向に並べて配置され,前記最も照度の低い紫外線ランプは,前記複数の紫外線ランプの中央に配置されていてもよい。こうすることにより,左右の紫外線ランプにより,前記照度の低い紫外線ランプの照度が補われ,照度の斑が解消される。したがって,基板に斑なく紫外線を照射できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は,本実施の形態にかかる紫外線照射/冷却ユニットを搭載した塗布現像処理装置1の構成の概略を示す平面図である。塗布現像処理装置1は,LCD製造プロセスのフォトリソグラフィー工程における一連の処理が行われるものである。
【0018】
塗布現像処理装置1は,図1に示すように例えば塗布現像処理装置1の端部に位置し,複数の基板Gをカセット単位で外部に対して搬入出するためのカセットステーション2と,フォトリソグラフィー工程の中で枚葉式に所定の処理を施す各種処理ユニットが配置された処理ステーション3と,塗布現像処理装置1に隣接して設けられ,処理ステーション3と図示しない露光装置との間で基板Gの受け渡しを行うインターフェイス部4とを一体に接続した構成を有している。
【0019】
カセットステーション2では,載置部となるカセット載置台5上の所定の位置に,複数のカセットCをY方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在となっている。そして,カセットCに収容された基板Gの基板配列方向(Z方向;鉛直方向)に対して移送可能な基板搬送体7が搬送路8に沿って移動自在に設けられている。これにより,基板搬送体7は,各カセットCに対して選択的にアクセスできる。
【0020】
処理ステーション3には,例えばカセットステーション2側から順に洗浄プロセス部10,塗布プロセス部11及び現像プロセス部12が一列に設けられている。洗浄プロセス部10と塗布プロセス部11との間及び塗布プロセス部11と現像プロセス部12との間には,それぞれ基板中継部13,処理液供給ユニット14及びスペース15が設けられている。
【0021】
洗浄プロセス部10は,例えば2つのスクラバ洗浄ユニット20,上下2段の本実施の形態にかかる紫外線照射/冷却ユニット21,加熱ユニット22及び冷却ユニット23を有している。
【0022】
塗布プロセス部11は,レジスト塗布ユニット30,減圧乾燥ユニット31,エッジリムーバユニット32,上下2段型アドヒージョン/冷却ユニット33,上下2段型加熱/冷却ユニット34及び加熱ユニット35を有している。
【0023】
現像プロセス部12は,3つの現像ユニット40,2つの上下2段型加熱/冷却ユニット41及び加熱ユニット42を有している。
【0024】
各プロセス部10,11,12の中央部には,長手方向(X方向)に搬送路50,51,52が設けられ,この各搬送路50,51,52には,主搬送装置53,54,55が各々設けられている。この主搬送装置53〜55は,各プロセス部10〜12内の処理ユニットにアクセス可能であり,各処理ユニットへの基板Gの搬入出と各処理ユニット間の基板Gの搬送を行うことができる。
【0025】
インターフェイス部4は,処理ステーション3側にエクステンション部60とバッファステージ61とを有している。また,インターフェイス部4は,処理ステーション3の反対側(X方向負方向側)であって図示しない露光装置側に搬送装置62を有している。この搬送装置62は,処理ステーション3の基板Gを露光装置内に搬送し,また露光処理の終了した基板Gを処理ステーション3内に搬送することができる。
【0026】
次に,上述した紫外線照射/冷却ユニット21の構成について説明する。図2は,紫外線照射/冷却ユニット21の構成の概略を示す側面図である。
【0027】
紫外線照射/冷却ユニット21は,3本の円筒状の紫外線ランプ,例えばエキシマUVランプ70,71,72を収容するランプ室73と,このランプ室73の下方に隣接して設けられた洗浄処理室74とを有している。ランプ室73の下面には,石英ガラス窓75が取り付けられており,エキシマUVランプ70〜72から所定方向である下方向に発光された紫外線は,石英ガラス窓75を透過し,洗浄処理室74内に照射される。
【0028】
ランプ室73のエキシマUVランプ70〜72は,例えば水平方向に並べて配置されている。各エキシマUVランプ70〜72は,それぞれ電力供給部としてのランプ電源76,77,78を有し,当該ランプ電源76〜78からの供給電力により点灯する。各ランプ電源76〜78の供給電力は,電力制御部79により制御される。電力制御部79は,エキシマUVランプ70〜72の電力可変範囲,例えば0〜100kWの範囲内で供給電力を調節できる。この電力調節は,例えば電力制御部79に設定された電力調節プログラムにより行うことができる。
【0029】
各エキシマUVランプ70〜72の上方側には,横断面円弧状の凹面反射鏡80,81,82がそれぞれ配置されている。各エキシマUVランプ70〜72から上方に放射された紫外線は,各凹面反射鏡80〜82で反射して洗浄処理室74側に照射される。
【0030】
各凹面反射鏡80〜82の表面には,それぞれのエキシマUVランプ70〜72の照度を検出する照度センサ83,84,85が取り付けられている。各照度センサ83〜85の検出結果は,例えば電力制御部79に出力できる。
【0031】
電力制御部79には,例えばRAM等で構成された記憶部86が備えられている。記憶部86には,照度センサ83〜85の検出する照度と,洗浄処理室74内の後述するステージ90上の基板Gに実際に照射される紫外線の照度との相関関係としての相関データが記憶されている。電力制御部79は,各照度センサ83〜85からの検出照度から,当該相関データにより実際の基板Gへの照射照度を算出し,当該算出した照射照度に基づいて供給電力を調節することができる。相関データは,例えば各照度センサ83〜85毎に記憶される。また,相関データは,例えば予め実験等により求められたものが用いられる。
【0032】
基板G上の有機物が酸化,気化等を起こすには,最低限の紫外線の照度(照度限界N)が必要となる。電力制御部79には,当該照度限界Nを設定でき,例えば基板Gへの照射照度が照度限界Nになると,図示しない警告部によりアラームが立つようになっている。
【0033】
なお,ランプ室73には,エキシマUVランプ70〜72を冷却する冷却ジャケット(図示しない)やランプ室73に不活性ガスや窒素ガスを充満させるためのガス供給機構(図示しない)等が設けられていてもよい。
【0034】
一方,洗浄処理室74には,基板Gを水平に載置するステージ90が設けられている。ステージ90上には,例えば図示しない吸引口が設けられており,基板Gは,この吸引口によりステージ90上に吸着される。ステージ90は,ステージ駆動部91上に設けられている。ステージ駆動部91は,ボールねじ92を用いてY方向に設けられたガイド93に沿って水平移動できる。つまり,ステージ90上の基板Gは,ステージ駆動部91により紫外線の放射される石英ガラス窓75の下方を通過することができ,基板Gに紫外線を斑なく照射することができる。
【0035】
また,ステージ90は,ステージ駆動部91により上下動できる。ステージ90には,基板Gを水平に支持する支持ピン94が垂直方向に貫通している。支持ピン94は,ステージ90と共に上下動せず,例えばステージ駆動部91に固定されている。これにより,ステージ90を下降させると図2に示すように支持ピン94がステージ90から突出した状態になる。したがって,主搬送装置53とステージ90間で基板Gの受け渡しを行う際に,主搬送装置53のアーム(図示しない)が基板Gとステージ90との間に進入できるので,基板Gの受け渡しを好適に行うことができる。
【0036】
搬送路50側(Y方向負方向側)の洗浄処理室74の側壁には,基板Gの搬送口95が設けられている。搬送口95には,この搬送口95を開閉するシャッタ96が設けられている。したがって,基板Gの洗浄処理は,閉鎖空間で行うことができ,基板Gの搬入出の時のみ搬送口95を開放することができる。なお,ステージ90の水平移動及び上下動,シャッタ96の開閉は,図示しないユニット制御部にて制御される。
【0037】
次に,以上のように構成されている紫外線照射/冷却ユニット21の作用を,塗布現像処理装置1で行われるフォトリソグラフィー工程のプロセスと共に説明する。
【0038】
先ず,基板搬送体7によりカセットCから未処理の基板Gが1枚取り出され,処理ステーション3の洗浄プロセス部10の主搬送装置53に受け渡される。洗浄プロセス部10に搬送された基板Gは,先ず紫外線照射/冷却ユニット21に搬送される。
【0039】
紫外線照射/冷却ユニット21において紫外線照射による乾式洗浄が行われた基板Gは,スクラバ洗浄ユニット20に搬送され,スクラビング洗浄処理に付される。スクラビング洗浄された基板Gは,加熱ユニット22に搬送され,脱水処理された後,冷却ユニット23に搬送されて所定温度に冷却される。冷却処理の終了した基板Gは,洗浄プロセス部10から基板中継部13を介して塗布プロセス部11に搬送される。
【0040】
塗布プロセス部11に搬送された基板Gは,先ず主搬送装置54によってアドヒージョン/冷却ユニット33に搬送され,疎水化処理された後,冷却処理される。次いで基板Gは,レジスト塗布ユニット30に搬送され,基板G上にレジスト膜が形成された後,減圧乾燥ユニット31に搬送され,レジスト膜の乾燥処理が行われ,さらにエッジリムーバユニット32に搬送されて,基板Gの外周部のレジスト膜が除去される。外周部の膜の除去処理が終了した基板Gは,加熱/冷却ユニット34に搬送され,プリベーキング処理が行われた後,冷却処理される。
【0041】
その後,基板Gは,主搬送装置54及び主搬送装置55によってインターフェイス部4のエクステンション部60に搬送され,搬送装置62によって図示しない露光装置に搬送される。露光装置では,基板G上のレジスト膜に所定の回路パターンが露光される。露光処理の終了した基板Gは,インターフェイス部4を介して現像プロセス部12に戻され,主搬送装置55により現像ユニット40に搬送される。現像ユニット40では,現像処理が行われる。現像処理の終了した基板Gは,加熱/冷却ユニット41に搬送され,ポストベーキング処理が行われた後,冷却処理される。冷却処理が終了した基板Gは,主搬送装置55,54,53によってカセットステーション2まで搬送され,基板搬送体7によってカセットCに戻されて,一連のフォトリソグラフィー工程が終了する。
【0042】
続いて,上述の紫外線照射/冷却ユニット21における紫外線洗浄処理について詳しく説明する。
【0043】
紫外線の発光状態を安定させるため,例えば塗布現像処理装置1の立ち上げ時にエキシマUVランプ70〜72が点灯される。このとき,ランプ電源76〜78の供給電力は,図3に示すように点灯開始時に必要な電力(点灯開始電力H),例えば100kW(最大出力の100%)に調節される(図3のT1)。なお,この点灯開始時の紫外線の照度は,例えば50mW/cm2になる。
【0044】
エキシマUVランプ70〜72が点灯すると,ランプ電源76〜78による供給電力が,点灯を維持するのに必要な最小限の電力(点灯維持電力M),例えば70kW(最大出力の70%)に減少される(図3のT2)。これにより紫外線の照度は,例えば35mW/cm2に低下し,その後維持される。なお,この点灯維持電力M時の紫外線の照度は,基板Gの洗浄処理に必要な照度限界N,例えば20mW/cm2より高い値である。
【0045】
そして,上述した一連のフォトリソグラフィー工程が開始され,主搬送装置53により洗浄処理室74内に基板Gが搬送されると,例えば照度センサ83〜85が作動し,各エキシマUVランプ70〜72の照度が電力制御部79に出力され始める。洗浄処理室74内に搬入された基板Gは,主搬送装置53から支持ピン94に受け渡され,その後ステージ90が上昇して当該基板Gがステージ90上に載置される。その後,基板Gは,ステージ駆動部91によりY方向に移動する。このとき,基板Gが石英ガラス窓75の下方を通過し,エキシマUVランプ70〜72からの,例えば35mW/cm2の紫外線が基板G上に照射される。これにより,基板G上の不要な有機物が酸化,気化され,基板Gが洗浄される。
【0046】
基板Gの全面に所定量の紫外線が照射され,基板Gの紫外線洗浄が終了すると,ステージ90が搬送口95側に戻され,搬入時と同様に主搬送装置53に基板Gが受け渡されて,洗浄処理室74から搬出される。こうして一連の紫外線洗浄処理が終了する。そして,一枚の基板Gの処理が終了すると,次の基板Gが洗浄処理室74内に搬入され,同様の紫外線洗浄処理が行われる。このように次々に新しい基板Gが搬送され,一連の紫外線洗浄処理が連続して行われる。この間,紫外線ランプ70〜73は,常時点灯している。
【0047】
このようにエキシマUVランプ70〜72を点灯させた状態で長時間の基板Gの処理が行われると,供給電力を一定に保っていても図3に示すようにエキシマUVランプ70〜72の基板Gへの照度が徐々に低下していく。これは,時間と共にエキシマUVランプの電極材料が劣化すること等に起因する。そして,いずれかの照度センサ83〜85の検出照度に基づいて,基板Gへの照射照度が照度限界Nに達したことが認識されると,アラームが発せられる(図3のT3)。次いで電力制御部79により,照度限界Nに到達したエキシマUVランプへの供給電力が例えば70kWから増大され,基板への照射照度が照度限界Nを下回らないように調節される。この調節は,例えばエキシマUVランプの供給電力を一定の傾きで増大させることにより行われる。これにより,基板Gへの照射照度が,少なくとも照度限界Nに維持され,紫外線洗浄処理が継続可能となる。なお,このとき,照度センサ83〜85が基板Gへの照射照度が照度限界Nを下回らないように監視し続けてもよい。
【0048】
その後,エキシマUVランプ70〜72の最大出力である100kWに到達し,当該最大出力であっても少なくとも一つのエキシマUVランプが照度限界Nを維持できなったときに,例えば電力制御部79に連動する別のアラームが発信され,この時基板Gの処理が停止される(図3のT4)。
【0049】
以上の実施の形態によれば,電力制御部79により,点灯開始後にエキシマUVランプ70〜72の供給電力を,点灯維持に最低限必要な点灯維持電力Mに下げたので,その分エキシマUVランプ70〜72の劣化等が遅れ,エキシマUVランプ70〜72の寿命を延ばすことができる。また,これによりエキシマUVランプ70〜72の消費電力も低減できる。
【0050】
処理開始後,照度センサ83〜85により各エキシマUVランプ70〜72の照度を監視するようにしたので,エキシマUVランプ70〜72の発光効率が低下し,基板Gへの照射照度が照度限界Nに達したことを検出できる。そして,その後,抑えていた供給電力を電力制御部79により上昇させるので,エキシマUVランプ70〜72による基板Gへの照度が照度限界N以上に維持され,紫外線の洗浄処理を継続することができる。
【0051】
照度センサ83〜85を凹面反射鏡80〜82に取り付けたので,エキシマUVランプ70〜72の個々の照度を正確に検出できる。また,照度センサ83〜85は,基板Gと逆側に配置されるので,下方の基板Gへの紫外線の照射を妨げることがない。
【0052】
照度センサ83〜85で検出した照度と実際の基板Gへの照射照度との相関データを予め記憶部86に記憶させておき,電力制御部79は,当該基板Gへの照射照度を基準に供給電力を制御できるので,より正確かつ適切に供給電力を調節できる。
【0053】
以上の実施の形態では,基板Gへの照射照度を照度限界Nに維持する際に,エキシマUVランプ70〜72への供給電力を一定の傾きで上昇させていたが,ステップ状に上昇させてもよい。かかる場合,図4に示すように基板Gへの照射照度が低下して照度限界Nに達する度に供給電力を所定量ずつステップ状に上昇させていく。こうすることによっても,基板Gへの照射照度が維持され,紫外線洗浄処理を継続することができる。なお,基板Gへの照射照度が最初に照度限界Nに達した時に,エキシマUVランプ70〜72の最大許容電力(最大出力)まで一気に上昇させてもよい。
【0054】
照度センサ83〜85の作動開始タイミングは,任意に選択でき,例えばエキシマUVランプの累積使用時間が所定の設定時間を経過した時に作動を開始するように設定する図示しない設定部を備えてもよい。かかる設定時間は,例えばエキシマUVランプの平均寿命の所定の割合,例えば80%〜90%程度であってもよい。
【0055】
以上の実施の形態では,全てのエキシマUVランプ70〜72に対して照度センサ83〜85を備えていたが,複数のエキシマUVランプのうち,最も発光効率の低いもの,つまり同じ電力を与えた時に最も照度の弱いものに照度センサを備えるようにしてもよい。
【0056】
発光効率の低いエキシマUVランプは,予め検査等により定めておく。図5に示すようにエキシマUVランプ100,101,102のうち,最も発光効率の低いエキシマUVランプ101は,中央部に配置される。各エキシマUVランプ100〜102には,凹面反射鏡103〜105が設けられ,エキシマUVランプ101の凹面反射鏡104には,照度センサ106が設けられる。照度センサ106の検出結果は,電力制御部107に出力可能である。電力制御部107では,この検出結果を基に前記実施の形態と同様のエキシマUVランプ100〜102への供給電力の制御が行われる。例えば,エキシマUVランプ104の照度が低下し,照度センサ106によって照度限界Nに相当する照度が検出されると,電力制御部107は,各エキシマUVランプ100〜102への供給電力を上げる。その後,照度センサ106は,エキシマUVセンサ101の照度を監視しつづける。電力制御部107は,照度センサ106の検出結果に基づき基板Gへの照射照度が照度限界Nを下回らないようにエキシマUVランプ100〜102への供給電力を制御する。
【0057】
この例によれば,発光効率の低いエキシマUVランプ101に照度センサ106を備え,当該照度センサ106により検出された照度に基づいて照度限界Nを維持するので,必然的に他のエキシマUVランプ100,102の照度も照度限界N以上に維持される。したがって,照度センサを一箇所に設けるだけで,全エキシマUVランプ100〜102の照度を適切に制御できる。また,発光効率の低いエキシマランプ101を中央部に配置するので,左右のエキシマUVランプ100,102によりエキシマUVランプ101の照度が補填され,基板Gに対して斑のない紫外線を照射できる。
【0058】
上述した実施の形態で使用されたエキシマUVランプは,3本であったが,その数は,任意に選択可能である。また,前記実施の形態で用いた紫外線ランプは,エキシマUVランプであったが,他の紫外線ランプ,例えば水銀灯,ハロゲンランプ,メタルハライドランプ等であってもよい。なお,エキシマUVランプ等の紫外線ランプは直ちに点灯し,照度が安定するため,一枚の基板処理の開始と終了に合わせて紫外線ランプの点灯と消灯を行ってもよい。この場合,例えば支持ピン94上への基板Gの搬入,ステージ90の上昇開始又はステージ90の上昇終了に基づいて紫外線ランプに点灯信号を送信し,予め設定された照射時間が経過した後に消灯すればよい。そして,点灯時は,点灯に必要な電力(点灯開始電力H)を供給し,点灯後,点灯を維持するのに必要な最小限の電力(点灯維持電力M)又は照度限界Nを維持する電力まで減少させればよい。このようにすることで,さらに寿命を延ばすことができる。また,照度が照度限界Nに達したときに基板Gの処理を停止する代わりに,予め時間T3以降の時間による供給電力と照度を記憶し,この記憶結果から実際に照度限界Nになる時間T4より前に時間T4を予測するようにしてもよい。かかる場合,予測した時間T4までの残り時間で次の基板が処理できない場合に,現在の基板Gの処理が終了したときにアラームを発信し,次の基板の処理を行わないようにしてもよい。こうすることにより,基板Gの処理が処理中に停止されることがなく,装置の信頼性が向上できる。
【0059】
以上の実施の形態では,本発明を基板Gに紫外線洗浄処理を施す装置に用いたが,本発明は,紫外線ランプを用いる他の処理装置,例えば周辺露光装置,露光装置等にも適用できる。また,以上で説明した実施の形態は,本発明をLCD製造プロセスのフォトリソグラフィー工程が行われる処理装置について適用したものであったが,本発明はLCD基板以外の基板例えば半導体ウェハ,フォトマスク用のマスクレチクル基板等の処理装置においても適用できる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば,紫外線ランプの寿命が延びるので,高価な紫外線ランプを頻繁に交換する必要が無く,ランニングコストが低減できる。また,紫外線ランプの交換のために基板の処理が中断されないので,スループットの向上も図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態にかかる塗布現像処理装置の構成の概略を示す平面図である。
【図2】紫外線照射/冷却ユニットに構成の概略を示す側面図である。
【図3】供給電力及び照度の時間変化を示すグラフである。
【図4】図3の供給電力の他の制御例を示すグラフである。
【図5】照射センサを一箇所に設けた場合のランプ室内の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 塗布現像処理装置
21 紫外線照射/冷却ユニット
70〜72 エキシマUVランプ
73 ランプ室
74 洗浄処理室
79 電力制御部
83〜85 照度センサ
N 照度限界
G 基板
Claims (4)
- 基板に紫外線を照射して基板を処理する処理装置であって,
紫外線を発光する紫外線ランプと,
前記紫外線ランプに電力を供給する電力供給部と,
当該電力供給部の供給電力を制御する電力制御部と,
前記紫外線ランプの照度を検出する照度センサと,
前記照度センサにより検出される照度と実際に基板上に照射される照射照度との相関関係を記憶する記憶部と,を備え,
前記電力制御部は,前記照度センサで検出した照度から前記記憶部の相関関係により前記基板上の照射照度を算出し,当該算出された前記照射照度に基づいて前記電力供給部の供給電力を制御可能であり,紫外線ランプの点灯開始直後に,前記基板の処理に必要な紫外線の照度を実現できかつ前記点灯の維持に必要な最小限の電力に,前記紫外線ランプへの供給電力を調節し,
前記紫外線ランプは,複数設けられ,
前記照度センサは,前記複数の紫外線ランプの中で,同じ電力を与えた時に最も照度の低い紫外線ランプに備えられることを特徴とする,処理装置。 - 基板に紫外線を照射して基板を処理する処理装置であって,
紫外線を発光する紫外線ランプと,
前記紫外線ランプに電力を供給する電力供給部と,
当該電力供給部の供給電力を制御する電力制御部と,
前記紫外線ランプの照度を検出する照度センサと,
前記照度センサにより検出される照度と実際に基板上に照射される照射照度との相関関係を記憶する記憶部と,を備え,
前記電力制御部は,前記照度センサで検出した照度から前記記憶部の相関関係により前記基板上の照射照度を算出し,当該算出された前記照射照度に基づいて前記電力供給部の供給電力を制御可能であり,
前記紫外線ランプは,複数設けられ,
前記照度センサは,前記複数の紫外線ランプの中で,同じ電力を与えた時に最も照度の低い紫外線ランプに備えられることを特徴とする,処理装置。 - 前記複数の紫外線ランプは,水平方向に並べて配置され,
前記最も照度の低い紫外線ランプは,当該複数の紫外線ランプの中央に配置されることを特徴とする,請求項1又は2に記載の処理装置。 - 前記紫外線ランプからの紫外線は,所定方向の基板に対して照射され,
前記紫外線ランプには,前記所定方向と逆方向に放射された紫外線を前記所定方向に反射させるための反射鏡が備えられており,
前記照射センサは,前記反射鏡の表面に取り付けられていることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の処理装置。
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