JP3878388B2 - カーボンナノチューブを用いた電子放出素子、帯電器および画像記録装置 - Google Patents

カーボンナノチューブを用いた電子放出素子、帯電器および画像記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属または合金(a)、あるいは金属を含む窒化物、炭化物、ケイ化物またはホウ化物の少なくとも1種(b)で被覆されたカーボンナノチューブ、窒素(N)、ボロン(B)またはシリコン(Si)の少なくとも1種類を含むカーボンナノチューブ及び炭化窒素ナノチューブよりなる群から選ばれた少なくとも一種で構成(特に先端部分)された電子放出素子および該電子放出素子を利用したエレクトロニクス分野、特に帯電器の技術分野、例えば、微小電子放出素子によって微小領域を直接帯電し、潜像を形成する画像記録方式、電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像記録装置の帯電器と帯電器を搭載した画像記録装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、グラファイト状炭素原子面を丸めた円筒が1個、または数〜数10個入れ子状に配列した繊維状構造を有し、その直径がナノメートルオーダーのきわめて微細な物質である。カーボンナノチューブは、その構造によって金属から半導体と幅広い電気特性を持ち、微小で表面積が大きい、アスペクト比(長さ/直径比)が大きい、中空であるといった独特の形状を有する、さらに前記独特の形状に由来する特殊な特性をもつことから、新しい炭素材料として産業上への適用が期待されている。
【0003】
特に、カーボンナノチューブの先端は、ナノメートルオーダーの径をもつ半球状で、電圧印可による電界の集中が容易に得られ、低い印可電圧でも先端から電界放出が期待される。実際に、Smalleyらの研究グループは実験的にはじめて1本の多層カーボンナノチューブ(MWNT)からの電界放出を報告している〔Science 269,1550(1995)〕。その後、特開平10−12124や特開平11−111158、Appl.Phys.Lett.,Vol72,No.22(1998)p2912など、ディスプレイ装置にもちいる電子放出素子に電子放出源としてカーボンナノチューブをもちいている。これらは全て、高真空中での電子放出で、より低電圧で安定した電子放出源となっている。
【0004】
一方、電子放出源としてのカーボンナノチューブについて、画像形成デバイスとしての応用が中山らによって、示唆されている(ジャパンハードコピー’97要旨集p221)。微小電子線源によって微小領域を直接帯電させて潜像を形成する新しい画像記録方式の電子線源や従来の電子写真方式の非接触式帯電器への応用が示唆され、より低電圧での動作が期待されている。真空中では、上記のディスプレイ関連の報告同様、低電圧で電子放出が確認されているが、実際の画像形成デバイスで用いる大気圧中では、10−12Aの電流をこえると電圧に対して一旦電流値が減少しその後初期の立ち上がりを再現せず、カーボンナノチューブの劣化が想定される。また、上記ディスプレイ用の電子放出源についても、高真空領域では、連続動作させても平均放出電流は変化しないが、低真空(10−3Pa以上)領域では、電流値にもよるが、電流が時間とともに減少する。この様にカーボンナノチューブを用いた電子放出素子は、低真空〜大気圧中では劣化が見られる。これは、カーボンナノチューブ側面は、炭素六員環でできた非常に安定な構造をしているが、末端部分は、5員環を含んだ半球状でひずみのある構造のため、比較的活性であるためと考えられる。この末端部分の化学的な活性を利用して、溶融金属などを用いてカーボンナノチューブを開管させて中空部分に他の物質を挿入する例が報告されている(特許第2546114号)。
【0005】
カーボンナノチューブを接触型帯電器に応用した場合、低電圧で、オゾンやNOxの発生を低減でき、良好な画像を得ることができる画像形成装置を提供できる。しかし、その押しつけ圧力によっては、帯電回数とともに帯電能力の低下(帯電時間−表面電位の関係において、表面電位が飽和する以前の帯電時間において、帯電回数が多くなるに従い、表面電位が低下する現象)が予想される。これは、全てのカーボンナノチューブが感光体と接触しているわけではないため、非接触のカーボンナノチューブの存在によって、上記電子放出素子同様、特定条件の下では大気中での電界放出が発生してしまい、カーボンナノチューブが劣化することが原因と考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
(1)電圧印可による電子放出素子において、大気圧中でも素子の劣化がなく、低電圧で、安定した電子放出が可能な電子放出素子の提供。
(2)大気圧中でも安定で、低電圧動作、オゾンやNOxの発生の少ない非接触型帯電器の提供。
(3)大気圧中でも経時変化がなく、低電圧動作で、短時間で十分な帯電電圧を与えられ、オゾンやNOxを発生させない接触型帯電器の提供。
(4)オゾンやNOxを発生させないで、かつ帯電システムの外部電源を低電圧化しつつ、良好な画像を安定して得ることができる画像形成装置の提供。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、感光体表面と接触し、感光体に電圧を印可することによって、感光体に所定の表面電位を与える接触型帯電器において、感光体に接触する面の先端部分に
(1)先端部分に金属または合金(a)、あるいは金属を含む窒化物、炭化物、ケイ化物またはホウ化物の少なくとも1種(b)で被覆されたカーボンナノチューブ
(2)先端部分に窒素(N)、ボロン(B)あるいはシリコン(Si)の少なくとも1種類を含有するカーボンナノチューブ
または
(3)炭化窒素ナノチューブ
を用いたことを特徴とする接触型帯電器に関する。
本発明の第2は、ナノチューブが導体である請求項1記載の接触型帯電器に関する。
本発明の第3は、感光体表面と接触せずに感光体に電圧を印可することによって、感光体に所定の表面電位を与える非接触型帯電器において、電子放出素子として、
(A)先端部分に金属または合金(a)、あるいは金属を含む窒化物、炭化物、ケイ化物またはホウ化物の少なくとも1種(b)で被覆されたカーボンナノチューブを構成要素として有する電子放出素子
(B)先端部分に窒素(N)、ボロン(B)あるいはシリコン(Si)の少なくとも1種類を含有するカーボンナノチューブを構成要素として有する電子放出素子
または
(C)炭化窒素ナノチューブを構成要素として有する電子放出素子
を用いたことを特徴とする非接触型帯電器に関する。
【0008】
本発明の第4は、請求項1〜3いずれか記載の帯電器を搭載した画像記録装置に関する。
【0009】
本発明の第5は、先端部分に窒素(N)、ボロン(B)、あるいはシリコン(Si)の少なくとも1種類を含有するカーボンナノチューブを構成要素として有することを特徴とする電子放出素子に関する。
本発明の第6は、炭化窒素ナノチューブを構成要素として有することを特徴とする電子放出素子に関する。
【0010】
【実施例】
以下、本発明を実施例に従って説明する。
【0011】
実施例1
本実施例を図1に基づいて説明する。
カーボンナノチューブをまず公知技術によって作製する。雰囲気ガスにヘリウムを用い、500Torrの圧力で、陽極、陰極ともグラファイト棒を用いたDCアーク放電法により合成した。電流量は約100Aで、電極径は1cm、電極間距離は、約1mmとした。陰極の先端に約1cm径の円柱状堆積物が生成し、多層カーボンナノチューブが束になったものが観察された。この多層カーボンナノチューブの束をそのままエポキシ樹脂で固め、アルミナ研磨材(粒径0.3μm)と発泡ウレタンの研磨パッドを用いて研磨を行い、カーボンナノチューブ樹脂マトリクス101表面に多層カーボンナノチューブ102を突出させた。多層カーボンナノチューブ102は、ほぼ表面に垂直に突出していた。スパッタ電力5kW、室温にて、Arをスパッタガスに用いて、5mTorrの圧力にて、DCスパッタを行い、カーボンナノチューブ先端にAuを2nm成膜した。
【0012】
上述のようにして作製したチップに導電性接着剤を用いてAl電極104を形成、電子放出素子を形成する。約100μmのギャップを開けてコレクタ電極103を配置し、圧力をコントロールできる真空チャンバ107の中に置き、直流電源105により0−500Vの電圧を印可し、電流計106にてその放出電流量を測定した。大気圧中においても先端を金属で覆っていないカーボンナノチューブに比べて、ほぼ同じ電圧で同程度の電流値が観測され、更により高電圧まで印可することができ、より多くの電流を得ることができる一方、カーボンナノチューブの劣化は見られなかった。また、低真空中(1Pa)で、一定電流のもとでの経時変化を測定したところ、カーボンナノチューブは電流値の低下が見られるが、先端を金属被覆したカーボンナノチューブは、より長時間の測定でも電流値の低下は見られなかった。
本実施例ではカーボンナノチューブとして多層カーボンナノチューブを用いたが、単層カーボンナノチューブでもかまわない。また、どちらのカーボンナノチューブについても、開管、閉管していても効果がある。
【0013】
前記実施例ではカーボンナノチューブの製造方法として、DCアーク放電法を用いたが、ベンゼン、エチレン、アセチレン等の炭化水素をHガス流下で1000〜1500℃で熱分解する多層カーボンナノチューブの作製方法、陽極としてグラファイトにFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、La、Y等の金属触媒を混合したコンポジット棒を用い、陰極としてグラファイト棒を用い、100〜700TorrのHeまたはH雰囲気でのアーク放電により合成する単層カーボンナノチューブの作製方法、前記のコンポジット棒を電気炉中で1000〜1400℃に加熱し、500TorrのAr雰囲気で、Nd:YAGパルスレーザーを照射して単層カーボンナノチューブを作製する方法など、公知のカーボンナノチューブの作製方法が採用できる。
【0014】
本実施例では、金属としてAuを用いたが、カーボンナノチューブと大気(または残留ガス)を遮断し安定な金属であれば問題なく、W、Mo、Ta、Ti、Cu、Al、Ag、Pt、Ni、Cr、Fe、Co、Ir、V、Zn、Pdなどやそれら金属を含む合金でも問題ない。
さらに、上記金属の窒化物(TiN、TaNなど)や炭化物(TaC、WCなど)、ケイ化物(TiSi、WSiなど)、ホウ化物(MoB、TiBなど)など、その抵抗率が10−3Ωcm以下の物質であれば問題なく使用できる。また、その膜厚は抵抗率にもよるが、100nm以下が望ましい。また、カーボンナノチューブの先端を覆う方法であるが、ここではスパッタを用いたが、その他、真空蒸着法やCVD法、また、イオン交換反応、求酸素反応、還元反応などの化学反応を利用して金属を含むイオンを金属として析出させる方法や、メッキなどの電気化学的方法でも問題ない。
【0015】
実施例2
本実施例で使用する開管したカーボンナノチューブの展開模式図を図2に示す。
カーボンナノチューブでは六角形の各頂点にCが配置されているが、図2のものは、先端部分の半球状や末端部分のCをB、Nで置換したカーボンナノチューブである。この図2のカーボンナノチューブは、実施例1と同じDCアーク放電によって、多層カーボンナノチューブを形成する際に、最後に極短時間だけ、NHとBClを供給し、末端のCがB、Nで置換されたカーボンナノチューブを形成した。同様に、エポキシ樹脂で固化後、研磨によって、カーボンナノチューブを突出させ、放電電圧と電流値を測定した。Cだけからなるカーボンナノチューブに比べ、放出開始電圧は多少大きくなるものの、より大きな電流値まで劣化なく電界放出が確認された。また低真空中、一定電流での経時変化も見られなかった。
【0016】
前記実施例では、導入元素として、B、Nを用いたがSiでも問題なく、またそれら単体やそれらの組み合わせでも問題ない。また、NHやN、NO、BCl、B、SiHのようなN、B、Siを含むガスやSi(OC、B(OCのようなN、B、Siを含む液体、BNの粉体のようなN、B、Siを含む固体をカーボンとともにプラズマ中に供給することで作製しても良い。
また、カーボンナノチューブにイオン注入することでCをB、N、Siに置き換えても良い。
【0017】
実施例3
公知技術によって、炭化窒素ナノチューブを形成する。容器内にNiを約1原子%まぶしたグラファイトロッドとグラファイト板を近い間隔で、電気炉中に設置し、1200℃に加熱する。更に、500Torrの圧力下で、アルゴンガスとNHを流量比10:1で流しながら、Nd:YAGパルスレーザーをNi含有グラファイトロッドに照射し、蒸発させることで、単層炭化窒素ナノチューブを形成した。
この炭化窒素ナノチューブをイソプロピルアルコール中に超音波振動を用いて分散させ、セラミックフィルターによりろ過を行い、導電性テープに移し替え、電子放出素子を形成した。この電子放出素子を実施例1と同じ装置にて、放電電圧と電流値を測定した。
本実施例の炭化窒素ナノチューブはCだけからなるカーボンナノチューブに比べ、放出開始電圧は多少大きくなるものの、より大きな電流値まで劣化なく電界放出が確認され、また低真空中で一定電流での経時変化も見られなかった。
【0018】
実施例4
従来用いられているコロトロンやスコロトロンのような帯電器のかわりに、非接触型帯電器としてカーボンナノチューブを用いた例を図3に示す。まず、実施例1と同様の方法によって先端にAuを被覆したカーボンナノチューブ302のアレイ(非接触型帯電器)301を形成する。一方公知技術によって、OPC305を形成する。実際には、Al基体307上に酸化チタン微粒子からなるホール注入阻止層をディップコート法により厚さ5μmで形成し、その後電荷発生層と電荷輸送層を積層した有機感光層306を形成する。
【0019】
上記Au被覆したカーボンナノチューブのアレイ(非接触型帯電器)301を−700Vの直流電源308に接続し、OPCとのギャップを100μmに保って非接触帯電を行った。OPCの周速は、250mm/s、前記帯電器は固定で、その幅は、5mmである。OPCは、−450Vに帯電し、この帯電器が従来のコロトロンに比べ、低電圧で、十分な帯電能力を持つことが確認された。また、大気中の使用によってもナノチューブ劣化による帯電特性の低下は見られなかった。ここでは、Au被覆したカーボンナノチューブの例を示したが、その他の金属被覆や先端にB、N、Siを導入したカーボンナノチューブ、炭化窒素ナノチューブでも同様の効果が得られる。本実施例ではOPCを用いた負帯電を示したが、これに限定されるわけではなく、Se系やa−Si、ZnO等の無機感光体や正帯電にも同じ帯電器が使用できる。さらに、感光体全面を一括して帯電させる例を示したが、微小領域を直接帯電し潜像を形成する方法に用いても良い。また、電圧は直流電圧を印可したが、交流との重畳でも問題ない。
【0020】
実施例5
図4に基づき実施例を説明する。
公知技術によってカーボンナノチューブを形成する。n+Si基板を50%HF水溶液に浸漬し、基板の裏面に光を照射しながら電界エッチングを行い、ポーラスSi層を形成する。その後Si基板を洗浄し乾燥後、ポーラスシリコン層上に真空蒸着法を用いて、Fe層を5nmの厚さで形成する。その後300℃でアニールを行い、CVD装置内に設置し、ArとCを流しながら、700℃で分解し、Fe層上に多層カーボンナノチューブを形成する。このとき多層カーボンナノチューブは、基板に垂直に形成される。また、この多層カーボンナノチューブは、金属的な電気伝導を示す。ついで、Al電極404上に導電性ゴム403を形成し、その上にスピンコートによって熱硬化型導電性接着剤をスピンコートし、先の多層カーボンナノチューブを押しあて、加熱し導電性接着剤を硬化させたのちに、Si基板を引き剥がすと帯電ブレード401が形成される。ブレードのニップ幅は3mm。このブレードをスパッタ電力5kW、室温にて、Arをスパッタガスに用いて、5mTorrの圧力にて、DCスパッタを行い、カーボンナノチューブ402先端にWを3nm成膜した。実施例4と同じようして作製したOPCに接触させて帯電を行った。−500Vの直流電源を印可した場合、OPC周速250mm/sで−400Vの表面電位を測定し、十分な帯電能力を持つことを確認した。また、押しつけ圧力によらず、帯電回数を増やしても、表面電位と帯電時間の関係で、帯電の立ち上がりに低下は見られず、また、カーボンナノチューブの特性である固体潤滑材としての機能はそのままで、摩擦係数は、従来通りで、カーボンナノチューブのないブレードに比べ、1/2〜1/10に低減していた。
【0021】
本実施例では金属としてAuを用いたが、カーボンナノチューブと大気(または残留ガス)を遮断し安定な金属であれば問題なく、W、Mo、Ta、Ti、Cu、Al、Ag、Pt、Ni、Cr、Fe、Co、Ir、V、Zn、Pdなどやそれらを含む合金でも問題ない。さらに、上記金属の窒化物(TiN、TaNなど)や炭化物(TaC、WCなど)、ケイ化物(TiSi、WSiなど)、ホウ化物(MoB、TiBなど)など、その抵抗率が10−3Ωcm以下の物質であれば問題ない。また、その膜厚は抵抗率にもよるが、100nm以下が望ましい。また、カーボンナノチューブの先端を覆う方法であるが、ここではスパッタを用いたが、その他、真空蒸着法やCVD法、また、イオン交換反応、求酸素反応、還元反応などの化学反応を利用して金属を含むイオンを金属として析出させる方法や、メッキなどの電気化学的方法でも問題ない。ここではブレード型の接触帯電器の例を示したが、ブラシやローラー、磁気ブラシなどの接触型帯電器であればその形状は問わない。
【0022】
実施例6
実施例2と同様の方法で末端のCがB、Nで置き換えられたカーボンナノチューブのアレイを形成し、帯電ブレードとした。この多層カーボンナノチューブは金属的な電気伝導を示した。ブレードのニップ幅は、5mm、SUS板上に形成した。実施例4と同じようして作製したOPCに接触させて帯電を行った。−500Vの直流電源を印可した場合、OPC周速200mm/sで−420Vの表面電位を測定し、十分な帯電能力を持つことを確認した。また、押しつけ圧力によらず、帯電回数を増やしても、表面電位と帯電時間の関係で、帯電の立ち上がりに低下は見られなかった。ここでは、導入元素として、B、Nを用いたがSiでも問題なく、またそれら単体やそれらの組み合わせでも問題ない。また、NHやN、NO、BCl、B、SiHのようなN、B、Siを含むガスやSi(OC、B(OCのようなN、B、Siを含む液体、BNの粉体のようなN、B、Siを含む固体をカーボンとともにプラズマ中に供給することで作製しても良い。さらに、カーボンナノチューブにイオン注入することでCをB、N、Siに置き換えても良い。ここではブレード型の接触帯電器の例を示したが、ブラシやローラー、磁気ブラシなどの接触型帯電器であればその形状は問わない。
【0023】
実施例7
図5に基づいて、本実施例を説明する。
実施例3と同様の方法で炭化窒素ナノチューブを形成し、シリコーン接着剤に分散した。この炭化窒素ナノチューブは金属的な電気伝導を示す。これを公知技術によって作製した帯電ローラー501(SUS金属心504、径10mm、カーボンブラックを分散したシリコーンゴム(導電性ゴム)503、厚さ5mm)表面にコートし、硬化する。その後酸素プラズマ処理によって表面に炭化窒素ナノチューブ502を突出させた。ニップ幅2mm、周速:OPCと従動回転させ、実施例4と同じようして作製したOPC505に接触させて帯電を行った。−500Vの直流電源508を印可した場合、OPC周速250mm/sで−400Vの表面電位を測定し、十分な帯電能力を持つことを確認した。
また、押しつけ圧力によらず、帯電回数を増やしても、表面電位と帯電時間の関係で、帯電の立ち上がりに低下は見られなかった。
ここではローラー型の接触帯電器の例を示したが、ブラシやブレード、磁気ブラシなどの接触型帯電器であればその形状は問わない。
【0024】
実施例8
実施例4〜7で作製した各々の帯電器を電子写真方式の複写機の帯電システムとして搭載し、テストチャートの複写を行った。印可電圧は、−500Vとし、現像は低電位現像(白黒2値)を用い、階調はドット数で表示した。全ての帯電器で、良好な画像が得られた。また、実施例5〜7の接触型帯電器では、オゾンやNOxはほとんど検出されず、実施例4の非接触型帯電器でも従来のコロトロンに比べその発生は1/20以下に低減されている。
【0025】
【効果】
1.請求項1
大気とカーボンナノチューブの中では比較的反応活性な先端部(閉管であれば、半球状部分、開管であれば、円筒状の末端)の接触を断つことができ、非接触部分のカーボンナノチューブの劣化がなく、かつカーボンナノチューブの電気抵抗や弾性率などの物理特性に大きく影響することがないため、低電圧で経時変化がなく、オゾンやNOxの発生のない接触型帯電器を得ることができる。
2.請求項2
前記ナノチューブは、金属性の電気伝導性をもち抵抗を小さくできるため、より効果的な電荷注入が可能な接触型帯電器を得ることができる。
3.請求項3
特定の電界放出素子を非接触型帯電器の構成要素として用いることで、大気中でもナノチューブの劣化のない、低電圧動作の非接触型の帯電器を得ることができた。
4.請求項4
低電圧駆動でも感光層に十分な帯電電圧を与えることができ、かつ良好な画像が得られる。また、接触型のようにオゾンやNOxの発生がほとんどないか、非接触型にあっても従来に比べて1/20以下に低減され、また、帯電器の経時変化も見られない。
5.請求項5
カーボンナノチューブの先端部分にB、N、Siを導入することによって、化学的に活性な先端部分を安定化させることができ、かつ導入部分が先端の部分に限られるためカーボンナノチューブの電子放出特性には大きな影響を与えることがなく、大気中でも劣化がない、低電圧動作可能の電界放出素子を得ることができる。
6.請求項6
炭化窒素ナノチューブを使うことによって、非常に硬く化学的に安定でなおかつ金属的な特性を保つことができるため、大気中や低真空中でも劣化がなく、低電圧動作可能の電界放出素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の電界放出特性評価の模式図である。
【図2】実施例2のカーボンナノチューブの展開模式図である。
【図3】実施例4の電界放出特性評価の模式図である。
【図4】実施例5の電界放出特性評価の模式図である。
【図5】実施例7の電界放出特性評価の模式図である。
【符号の説明】
101 樹脂/カーボンナノチューブマトリクス
102 表面に突出した多層カーボンナノチューブ
103 コレクタ電極
104 Al電極
105 直流電源
106 電流計
107 真空チャンバ
301 非接触型帯電器
302 金属被覆カーボンナノチューブ
303 カーボンナノチューブ樹脂マトリクス
304 Al電極
305 OPC
306 有機感光層
307 Al基体
308 直流電源
401 帯電ブレード
402 金属被覆カーボンナノチューブ
403 導電性ゴム
404 Al電極
405 OPC
406 有機感光層
407 Al基体
408 直流電源
501 帯電ローラー
502 炭化窒素ナノチューブ
503 導電性ゴム
504 SUS金属心
505 OPC
506 有機感光層
507 Al基体
508 直流電源

Claims (6)

  1. 感光体表面と接触し、感光体に電圧を印可することによって、感光体に所定の表面電位を与える接触型帯電器において、感光体に接触する面の先端部分に
    (1)先端部分に金属または合金(a)、あるいは金属を含む窒化物、炭化物、ケイ化物またはホウ化物の少なくとも1種(b)で被覆されたカーボンナノチューブ
    (2)先端部分に窒素(N)、ボロン(B)あるいはシリコン(Si)の少なくとも1種類を含有するカーボンナノチューブ
    または
    (3)炭化窒素ナノチューブ
    を用いたことを特徴とする接触型帯電器。
  2. ナノチューブが導体である請求項1記載の接触型帯電器。
  3. 感光体表面と接触せずに感光体に電圧を印可することによって、感光体に所定の表面電位を与える非接触型帯電器において、電子放出素子として、
    (A)先端部分に金属または合金(a)、あるいは金属を含む窒化物、炭化物、ケイ化物またはホウ化物の少なくとも1種(b)で被覆されたカーボンナノチューブを構成要素として有する電子放出素子
    (B)先端部分に窒素(N)、ボロン(B)あるいはシリコン(Si)の少なくとも1種類を含有するカーボンナノチューブを構成要素として有する電子放出素子
    または
    (C)炭化窒素ナノチューブを構成要素として有する電子放出素子
    を用いたことを特徴とする非接触型帯電器。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の帯電器を搭載した画像記録装置。
  5. 先端部分に窒素(N)、ボロン(B)、あるいはシリコン(Si)の少なくとも1種類を含有するカーボンナノチューブを構成要素として有することを特徴とする電子放出素子。
  6. 炭化窒素ナノチューブを構成要素として有することを特徴とする電子放出素子。
JP2000058852A 2000-03-03 2000-03-03 カーボンナノチューブを用いた電子放出素子、帯電器および画像記録装置 Expired - Fee Related JP3878388B2 (ja)

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