JP5412638B2 - リチウムイオン電池用負極材料及びそれを用いた急速充放電型リチウムイオン電池 - Google Patents
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一方、たとえば自動車搭載用など、短い時間で電力の高出入力を繰り返す必要がある用途で用いる電池は、その容量と共に、いかに急速充放電が可能であるか、という性質が求められる。したがって、高出入力を達成するための急速充放電を可能とする電池反応を行わせる必要があり、これは、従来のリチウム電池の材料がそのまま使用可能とは必ずしも限らない。
などの炭化水素を用い、マイクロ波,RF,dcプラズマCVD法のいずれの方法によっても生成が可能である。
本発明は、黒鉛構造を有し、ナノスケールのサイズで作製されるフレーク状黒鉛を1000℃以下の低温で簡便に低エネルギーコストで合成し、これを負極活物質材料として用いることで、従来の黒鉛粉末を使用したリチウム電池よりも急速で充放電動作が可能なリチウム電池、及び薄型リチウム電池として提供する。
すなわち、本発明は、10〜30ナノメートルの結晶子が配向した集合体からなるフレーク状カーボンナノウォールを、不活性ガス中で、1000〜1500℃で熱処理し、微小黒鉛として用いることを特徴とするリチウムイオン電池用負極材料である。
また、本発明は、前記フレーク状カーボンナノウォールを、基板上に原料ガスを700〜1000℃の温度で、触媒を用いないで、0.5×10-3
Torr〜1.0×10-2Torrの条件で、気相成長法によって得られるフレーク状カーボンナノウォールとすることができる。
さらに、本発明は、基板をシリコン又は銅、ニッケル、ステンレスとし、原料ガスをメタン、エタン、エチレン、アセチレン又はこれらの混合物から選ばれる炭化水素系ガスと水素とし、気相成長法を直流プラズマ化学気相成長法(DCプラズマCVD)とすることができる。
また、本発明は、フレーク状カーボンナノウォールを、不活性ガス中で、1000〜1500℃で熱処理し、微小黒鉛として用いることを特徴とするリチウムイオン電池用負極材料、および、それをバインダーと共に集電体金属に塗布し負極として用いたリチウム電池である。
さらに、本発明は、これらのリチウムイオン電池用負極材料をあらかじめ電池集電体金属基盤上に気相成長・配列させて、黒鉛端面を電極表面に優先的に露出した負極として直接用いた薄型リチウム電池である。
ゆえに、大電流の出し入れを短時間で頻繁に繰り返す蓄電デバイス、たとえば、電気自動車やハイブリット自動車において回生エネルギーを蓄え利用する車載補助リチウム電池や、電気工具など大きな出力を必要とする電池、あるいは、短い時間での急速充電が望まれる携帯機器用電池に適した負極活物質材料である。
また、カーボンナノウォールは、気相成長により基板上に垂直に配列した形で得られるため、その特徴を生かし、気相成長時の基板ごとそのままの形で電極に用いる場合は、リチウムイオンの出入り口を多く露出した、極めて薄い活物質層からなる薄型電極として利用可能であり、このことにより薄い電池が作製可能である。したがって、各種カード、定期券などへの電池の搭載を可能とし、瞬間充電が可能な超薄型リチウム電池の実現をもたらす。
本発明においては、カーボンナノウォール(CNW)の生成手順としては,まず基板をチェンバー内の基板ホルダーに設置する。この基板の種類としては,石英,Si,Cuなどといった絶縁体,半導体,金属のいずれの基板も使用できる。
例えば、本発明のカーボンナノウォール製造の典型的な条件を示すと、分子ターボポンプによってチェンバー内をおよそ1.0×10-3 Torrまで真空引きする。次に,60 sccmのArガスを導入しながら、タングステンフィラメントによって陰極のLaB6を加熱し、熱電子を放出させる。放出された電子は、電極間に印加された電界によって加速され、Ar原子と衝突してAr原子を電離させ、Arプラズマを生成する。このArプラズマの生成後、チェンバー内に炭素源としてCH4およびH2を導入することによって、CH4、H2、Arの混合ガスのプラズマが形成される。このプラズマ中に基板を導入し,プラズマCVD反応を行う。このとき、基板温度は500〜700 ℃,バイアス電圧は-18〜-500 V、ガスの流量は,Ar:30〜130 sccm,H2:0〜110 sccm,CH4:5〜32 sccmである。チェンバー内の圧力は1.5×10-2〜2.7×10-2 Torrである。
本発明の10〜30ナノメートルの結晶子が配向した集合体からなるフレーク状カーボンナノウォールは、とくに、基板上に原料ガスを700〜1000℃の温度で、触媒を用いないで、0.5×10-3 Torr〜1.0×10-2Torrの条件で、気相成長法によって得られることが望ましい。
フレーク状カーボンナノウォール(CNW)の側面(a)、上面(b)のSEM、(c)TEM、(d)基板から剥がして固めたSEMを図2に示す。
本発明においては、気相成長法は700〜1000℃の温度で、触媒を用いないで行うことが好ましい。700℃以下である場合、1000℃以上である場合には、フレーク状カーボンナノウォールが得られる率が低くなり、また、黒鉛構造のものが得られる率が低くなる。
原料ガスがメタン、エタン、エチレン、アセチレン又はこれらの混合物から選ばれる炭化水素系ガスと水素である。とくにメタンと水素が好ましく用いられる。本発明において用いる気相成長法は、どのようなものでも良いが、好ましくは、DCプラズマCVDである。
また、本発明において、いずれかに記載されたフレーク状カーボンナノウォールを、不活性ガス中で、1000〜1500℃で熱処理した微小黒鉛粉末をリチウムイオン電池用負極材料に用いることが望ましい。
基板上で成長させたフレーク状カーボンナノウォールを、基板から剥がして熱処理する際、熱処理温度は1000〜1500℃とすることが重要である。熱処理温度がこの範囲外であると、リチウムイオン電池としての特性(放電容量特性)が著しく改善されない。
さらにまた、本発明で用いる不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素等が挙げられるが、経済的に窒素が好ましく用いられる。
本発明のリチウムイオン電池用負極材料は、図6に示すように、集電体基盤上に気相成長したままの状態としても、負極として用いることが可能である。すなわち、垂直に立った状態で微小黒鉛を集電体金属に配置した負極を作製することで、粒子間の間のイオン拡散をスムーズにし、かつ、黒鉛端面が電解液面に多く露出することでリチウム挿入の入り口を多く確保することができる。また、カーボンナノウォールは数ミクロンの高さであるため、本電極は極めて薄い状態で構築することが可能である。
本発明について実施例を用いてさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(シリコン基板上でのカーボンナノウォールの気相成長)
シリコン基板上にメタンCH4:水素H2100:02からなる原料ガスを用いて、700℃の温度で、触媒を用いないで、DCプラズマCVDを30分行った。
まず、シリコン基板をチェンバー内の基板ホルダーに設置する。その後,分子ターボポンプによってチェンバー内をおよそ1.0×10-3 Torrまで真空引きする。次に,60 sccmのArガスを導入しながら,タングステンフィラメントによって陰極のLaB6を加熱し,熱電子を放出させる。放出された電子は,電極間に印加された電界によって加速され,Ar原子と衝突してAr原子を電離させ、Arプラズマを生成する。このArプラズマの生成後,チェンバー内に炭素源としてCH4およびH2( CH4:H2100:02)を導入することによって,CH4,H2,Arの混合ガスのプラズマが形成される。このプラズマ中に基板を導入し,プラズマCVD反応を行った。このとき、基板温度は700 ℃,バイアス電圧は-18〜-500 Vとした。反応後は,Arガスを30 sccm流しながら試料を徐々に冷却し,300℃以下になってから試料をチェンバー内から取り出した。
約20ナノメートルの結晶子が配向した集合体からなる、高さと幅が数ミクロン、厚みが数十ナノメートルのフレーク状カーボンナノウォールの成長が見られた。
得られたフレーク状カーボンナノウォールをシリコン基板から剥がして、微粒子状のフレーク状カーボン(CNW-as)を得た。電子顕微鏡写真を図2に示す。
黒鉛端面が多く、結晶化度が比較的発達している微小黒鉛として用いることができる。
得られたフレーク状カーボン(CNW-as)と市販の微小黒鉛(KS-15)の電極特性(サイクリックボルタンメトリー)を図3に示す。
図3より、フレーク状カーボン(CNW-as)が市販黒鉛よりも小さな電位差でリチウムイオンの挿入脱離を示しており、優れた電池反応特性を有することが判明する。
参考例1で得られたフレーク状カーボンナノウォール(CNW-as)を、窒素ガス中で、1500℃で、1時間、熱処理し、非晶質炭素を完全に除去した、結晶化度が高いCNWのみを精製したフレーク状カーボン(CNW-1573)を得た。
得られたフレーク状カーボン(CNW-1573)と市販の微小黒鉛(KS-15)の急速放電特性(放電曲線と放電容量―放電電流密度の関係)を図4に示す。
図4より、フレーク状カーボン(CNW-1573)がより大電流密度での放電時においても容量維持率が高いことが判明し、急速充放電用電池材料として優れていることを示す。
実施例1において、熱処理温度を1000℃とした以外は、同じ条件でフレーク状カーボン(CNW-1273)を得た。
得られたフレーク状カーボン(CNW-1273)とフレーク状カーボン(CNW-as)の低電流密度における電極材としての特性(初期充放電サイクル特性)を図5に示す。
図5より、CNW1273では1V以上で生じる不可逆容量が小さくなることが判明し、熱処理(アニール)がCNWの電極材としての特性を改善することが判明する。
Claims (5)
Torr〜1.0×10-2Torrの条件で、気相成長法によって得られるフレーク状カーボンナノウォールである請求項1に記載したリチウムイオン電池用負極材料。
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