JP2020004627A - ナトリウムイオン電池用負極材料及びこれを用いたナトリウムイオン電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】カーボンナノウォールを、充放電時のナトリウムイオンの挿入脱離に際し、電極の内部抵抗を小さくする効果を生み、急速充放電に適するナトリウムイオン電極の負極材料とこれを用いたナトリウムイオン電池を提供することを課題とする。【解決手段】RF電力一定のもとで容量結合型プラズマによってき、基板温度500℃、H2およびC2F6の流量がそれぞれ30sccmおよび15sccm、全圧13.3Pa(100mTorr)、気相成長法によって基板上に得られる10〜30ナノメートルの結晶子が配向した集合体からなるフレーク状カーボンナノウォールを用いるナトリウムイオン電池用負極材料乃至これを用いたナトリウムイオン電池。【選択図】図3

Description

本発明は、電池用負極材料、特にナトリウムイオン電池用負極材料及びそれを用いた急速充放電が可能なナトリウム電池に関する。
従来、ナトリウムイオン電池は、携帯電話器など、現在市販されているものの大部分は負極活物質に黒鉛系材料を用いている。これは黒鉛化が進んだ炭素材料が、容量、寿命、電圧安定性において優れた負極充放電特性を示すためである。
一方、たとえば自動車搭載用など、短い時間で電力の高出入力を繰り返す必要がある用途で用いる電池は、その容量とともに、いかに急速充放電が可能であるか、という性質が求められる。したがって、高入出力を達成するための急速充放電を可能とする電池反応をする必要があり、これは従来のナトリウム電池の材料がそのまま使用可能とは必ずしも限らない。
ナトリウムイオン電池電極における電池反応は、電解液中から電極活物質材料中に、ナトリウムイオンの挿入脱離を行わせる反応である。したがって、高速の挿入脱離反応を行わせるには、内部抵抗の小さな電極設計が必要である。すなわち、電極活物質内のナトリウムイオンの拡散や電解液と活物質界面でのイオン拡散がよりスムーズな材料設計を行い、かつ充放電時の熱消費による電力ロスを抑えるため、電気抵抗の小さな材料を用いることが必要である。
前項の課題を解決するには、より小さな電極活物質粒子や高比表面積の活物質を使用することで、電解液に接したナトリウムイオンの出入り口を多く作り、かつ固体粒子内のナトリウムイオンの拡散距離を短くすることで、イオンの挿入脱離反応にかかる抵抗を少なくすることが望ましい、さらに活物質の導電性をできるだけ向上させるために、負極炭素系材料においてはより結晶性の高いものを用いることが望ましい。
しかしながら、従来の黒鉛負極を用いたナトリウムイオン電池においては、黒鉛粒子の一定以上の微小化が難しい。すなわち、黒鉛をより微小サイズにするために機械的粉砕を行うと、格子欠陥が黒鉛に生じやすく、そこに不可逆的にナトリウムが結合することで、電池の充放電サイクル効率が悪くなることが知られている。(非特許文献1参照)このため、ナノメートルサイズまでの微小化による構造制御を行った黒鉛材料を得るには、粉砕を必要としなくてもあらかじめ微小であることが求められる。
また、結晶性の高い黒鉛系材料は、一般的には1000℃超える高い温度での熱処理が必要でエネルギーコストが高い。また、この高温熱処理によって原料の擬集が起こることは避けなければならないため、望ましくはより低温で結晶性の高い黒鉛系材料が得られることが望まれる。
特開2008-56546号公報
F.Disma, L.Aymard, L.Dupont and J.M.Tarascon, J.Electrochem.Soc., 143(1996)3959,
カーボンナノウォール(CNW)は、基板上に原料ガスを流しながら加熱し、その熱分解、すなわち気相成長法によって得られる結晶性の比較的高い黒鉛類似構造の微小粒子である。
より具体的には、カーボンナノウォールは数十ナノメートルの小さなグラファイト結晶子から構成されている。一般に小さな結晶子から構成されている結晶では黒鉛化度が低くなるが、カーボンナノウォールは小さな結晶子から構成されているにもかかわらず黒鉛化度が高い。このカーボンナノウォールは炭素源として、C2F6,C2H4,CH4などを用い、マイクロ波、RF、DCプラズマCVD法のいずれの方法によっても生成が可能である。
一般に、炭化源ガスのプラズマCVD法では、カーボンナノウォール以外にもダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブが合成できるが、これらの生成物の違いはプラズマの励起強度、基盤温度、生成時の圧力などに強く依存する。
カーボンナノウォールは他のカーボン材料に比べ低い圧力条件で選択的に生成することが知られており、この条件での合成装置についての情報は開示されている(特許文献1参照)。
ここには、基板を収容する第一空間を形成する第一室と、第一空間に炭素構造体を形成するための原料ガスを供給する原料ガス供給装置と、第一空間とは別の第二空間を形成する第二室と、前記第二空間にプラズマを生成するためのガスを供給するガス供給装置と、第二空間においてプラズマを生成するプラズマ生成装置と、第一空間と第二空間を接続する開口と、第二空間で生成されたプラズマを、開口を介して第一空間に導入するプラズマ導入装置とを備え、第一空間に導入されたプラズマによって、原料ガスを用いて基板上に炭素構造体を形成する合成装置が開示されている。
一方、たとえば自動車搭載用など、短い時間で電力の高出入力を繰り返す必要がある用途で用いる電池は、その容量とともに、いかに急速充放電が可能であるか、という性質が求められる。したがって、高入出力を達成するための急速充放電を可能とする電池反応をする必要があり、これは従来のナトリウム電池の材料がそのまま使用可能とは必ずしも限らない。
ナトリウムイオン電池電極における電池反応は、電解液中から電極活物質材料中に、ナトリウムイオンの挿入脱離を行わせる反応である。したがって、高速の挿入脱離反応を行わせるには、内部抵抗の小さな電極設計が必要である。すなわち、電極活物質内のナトリウムイオンの拡散や電解液と活物質界面でのイオン拡散がよりスムーズな材料設計を行い、かつ充放電時の熱消費による電力ロスを抑えるため、電気抵抗の小さな材料を用いることが必要である。
前項の課題を解決するには、より小さな電極活物質粒子や高比表面積の活物質を使用することで、電解液に接したナトリウムイオンの出入り口を多く作り、かつ固体粒子内のナトリウムイオンの拡散距離を短くすることで、イオンの挿入脱離反応にかかる抵抗を少なくすることが望ましい、さらに活物質の導電性をできるだけ向上させるために、負極炭素系材料においてはより結晶性の高いものを用いることが望ましい。
しかしながら、従来の黒鉛負極を用いたナトリウムイオン電池においては、黒鉛粒子の一定以上の微小化が難しい。すなわち、黒鉛をより微小サイズにするために機械的粉砕を行うと、格子欠陥が黒鉛に生じやすく、そこに不可逆的にナトリウムが結合することで、電池の充放電サイクル効率が悪くなることが知られている。(非特許文献1参照)このため、ナノメートルサイズまでの微小化による構造制御を行った黒鉛材料を得るには、粉砕を必要としなくてもあらかじめ微小であることが求められる。
また、結晶性の高い黒鉛系材料は、一般的には1000℃を超える高い温度での熱処理が必要でエネルギーコストが高い。また微小化黒鉛を作るためには、この高温熱処理によって原料の擬集が起こることは避けなければならないため、望ましくはより低温で結晶性の高い黒鉛系材料が得られることが望まれる。
本願発明者は、ナトリウムイオン電池用負極材料について、カーボンナノウォールの適正を検討した結果、10〜30ナノメートルの結晶子が配向した集合体からなるフレーク状カーボンナノウォールが電極特性及びナトリウム挿入離脱可逆容量の電流密度依存性について優れた効果が得られることを見出した。
また、本願発明者は、気相成長法により10〜30ナノメートルの結晶子が配向した集合体からなるフレーク状カーボンナノウォールの最適な形成条件を検討した。
そこで、本発明は10〜30ナノメートルの結晶子が配向した集合体からなるフレーク状カーボンナノウォールを用いることを特徴とするナトリウムイオン電池用負極材料を提案するものである。
本発明に係るフレーク状カーボンナノウォールは気相成長法による基板上に形成する方法が考えられる。しかし、カーボンナノウォールの成長に触媒金属は必ずしも必要ではなく、基板材料によって核発生の速度が異なる。したがって、金属薄膜のパターンニングやトレンチを利用すれば、カーボンナノウォールの選択形成は可能である。さらに、ラジカルやイオンの制御により、カーボンナノウォールのモフォロジーや結晶性などの成長制御が可能と考えられる。
本発明においては、気相成長法について検討の結果、容量結合型プラズマのRF電力一定のもとで、基板温度500〜1000℃で減圧下のチェンバー内に原料ガスを導入して基板上にカーボンナノウォールを成長させて形成させるカーボンナノウォールを提案するものである。
本発明の気相成長法によるカーボンナノウォールの概要を図1に示す。 カーボンナノウォールの立体形を図1(a)、SEM画像(b)、TEM画像(c)に示す。ここでは、基板上に気相成長法により、10〜30ナノメートルの結晶子が内部に配向した数ミクロンのフレーク状カーボンナノウォールのモデルが示されている。
1.気相成長法による検討
本発明においては、カーボンナノウォールの生成手順としては、まず基板をチェンバー内の基板ホルダーに設置する。この基板の種類としては、炭素、石英、シリコン、アルミニウム、チタン酸化物、銅などと言った絶縁体、半導体、金属のいずれの基板も使用できる。
原料ガスが、C2F6,C2H4,CH4またはこれらの混合物から選ばれる炭素系ガスと水素である。とくにC2F6と水素が好ましく用いられる。本発明において用いる気相成長法はどのようなものでも良いが、好ましくはプラズマCVDである。
本発明の10〜30ナノメートルの結晶子が配向した集合体からなるフレーク状カーボンナノウォールは、とくに基板上に原料ガスを500℃以上の温度で、触媒を用いないで、気相成長法によって得られることが望ましい。
本発明者は、この構成装置で製造されたカーボンナノウォールは、10〜30nm程度の結晶子の配向した集合体である数ミクロンの平板状(フレーク状)の形態を有する炭素材料であり、触媒金属を含まないため、不純物が非常に少ないカーボンナノウォールを製造することができ、最適なナトリウムイオン電池用負極材料となることを明らかにした。
なお、成長したカーボンナノウォールは、黒鉛構造を有し、基板から剥がしてナトリウムイオン電池用負極材料として用いることができる。また、基板から剥がさずに、基板と共に垂直配向黒鉛構造体としても扱うことができる。
2.熱処理
また、本発明では得られたカーボンナノウォールを500〜1000℃で熱処理することにより、不純物が非常に少ないカーボンナノウォールを得られる。
また、本発明において、いずれかに記載されたカーボンナノウォールを、不活性ガス中で、500〜1000℃で熱処理してナトリウムイオン電池用負極材料に用いることもできる。
基板上で成長させたカーボンナノウォールを、基板から剥がし、或いは基板上で成長させた状態で500〜1000℃で熱処理することによりナトリウムイオン電池の特性(放電容量特性)が著しく改善される。
なお、熱処理温度は500〜1000℃とすることが重要である。熱処理温度がこの範囲外にあると、ナトリウムイオン電池の特性(放電容量特性)の改善は期待できない。
なお、本発明では1000℃以下でも黒鉛材料に匹敵するほどの高い結晶子の配向性を有した炭素材料微粒子が得られるため、炭素材料の結晶化度を上げるための1000℃を超えるような高温での熱処理は不要である。
3.急速充放電型ナトリウムイオン電池
本発明における微小黒鉛は、微小結晶子からなっているため、電解液に露出したナトリウムイオンの出入り口となる黒鉛端面が多く、結晶化度が比較的発達しているため、電気抵抗は非晶質炭素よりも小さい。したがって、これを使用した電極は、充放電時のナトリウムイオンの挿入脱離に際し、電極の内部抵抗を小さくする効果を生み、急速充放電に適している。
ゆえに、大電流の出し入れを短時間で頻繁に繰り返す蓄電デバイス、たとえば電気自動車やハイブリッド自動車において回生エネルギーを蓄え利用する車載ナトリウムイオン電池や、電気工具など大きな出力を必要とする電池、あるいは短い時間での急速充電が望まれる携帯機器用電池に適した負極活物質材料である。
また、カーボンナノウォールは、気相成長により基板上に垂直に配列した形で得られるため、その特徴を生かし、気相成長時の基板ごとそのままの形で電極に用いる場合は、ナトリウムイオンの出入り口を多く露出した、極めて薄い活物質からなる薄型電極として利用可能であり、よって薄い電池が作製可能である。したがって、各種カードなどへの搭載を可能とし、瞬間充電が可能な超薄型ナトリウムイオン電池の実現をもたらす。
ナトリウムイオン電池としては基板上で成長したカーボンナノウォールを基板から剥がしてバインダーを介して集電体基板に配置して電池の負極とする方法、基板から剥がさずに基板に成長させたまま電池の負極とする方法がある。
カーボンナノウォールをバインダーを介して集電体基板に配置する場合、用いるバインダーとしては、従来から黒鉛に用いられているバインダーなら、どのようなものでも良い。たとえば、ポリフッ化ビニリデンや熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが用いられる。カーボンナノウォール自体が良好な導電性を有しているため、導電補助カーボンブラックなどの添加は必ずしも必要ではないが、カーボンナノウォール粒子間の空隙を埋める場合などのために添加することは可能である。
また、基板に成長させたまま電池の負極とする場合は、基板はナトリウムイオン電池の電極反応で腐食しない金属である必要があり、シリコン、炭素、アルミニウム、チタン酸化物などを用いることが望ましい。
本発明は、黒鉛構造を有し、ナノスケールのサイズで作製されるフレーク状黒鉛を1000℃以下の低温で、簡便に低エネルギーコストで合成し、これを負極活物質材料として用いることで、従来の黒鉛粉末を使用したナトリウム電池よりも急速で充放電動作が可能なナトリウムイオン電池、ナトリウム電池、及び薄型ナトリウムイオン電池として提供する。
成長したカーボンナノウォールは、黒鉛構造を有し、基板から剥がして微小黒鉛として用いることができる。また、基板から剥がさずに、基板と共に垂直配向黒鉛構造体としても扱うことができる。
本発明は、黒鉛構造を有し、ナノスケールのサイズで作製されるフレーク状黒鉛を1000℃以下の低温で、簡便に低エネルギーコストで合成し、これを負極活物質材料として用いることで、従来の黒鉛粉末を使用したナトリウム電池よりも急速で充放電動作が可能なナトリウムイオン電池、ナトリウム電池、及び薄型ナトリウムイオン電池として提供する。
図1気相成長法によるカーボンナノウォール構造体の立体図(a)、SEM画像(b)、TEM画像(c) 図2カーボンナノウォール(CNW-as)と市販の微小黒鉛(KS-15)の電極特性 CNWと微小市販黒鉛(KS15)のナトリウム挿入脱離可逆容量の電流密度依存性の比較 (a)RFプラズマCVD装置の概要、(b)容量結合型プラズマのRF電力を変化させて、基板付近への水素原子流入を変化させた時の、ラジカル相対比(H/CF3)の振る舞いを描いた図、(c)〜(e)炭素系ガスと水素ガスを変化させた場合の得られた製品の写真
また本発明のカーボンナノウォール製造の典型的な条件として、炭素源ガスとしてC2F6を用いたプラズマCVD装置の概略図を図4(a)に示す。C2F6ガスはRF容量結合型プラズマによって、平行平板電極間で励起・分解され、多量のCF3ラジカルを生成する。水素分子は、容量結合型プラズマでは効率よく分解されないので、水素分子の解離に適した高密度プラズマである誘導結合型プラズマを組み合わせ、大量の水素原子を基板付近に注入している。
図4(b)は基板温度500℃、H2およびC2F6の流量が、それぞれ30sccmおよび15sccm、全圧13.3Pa(100mTorr)、容量結合型プラズマのRF電力を変化させて、基板付近への水素原子流入を変化させた時の、ラジカル密度の相対比(H/CF3)の振る舞いを描いたものである。真空紫外吸収分光法と出現質量分析法によるラジカル密度計測によれば、水素原子注入量の増加とともに、水素原子とCF3ラジカルの密度比は増大し、安定にカーボンナノウォールが形成される領域(誘導結合型プラズマのRF電力400W)では、ラジカル注入を行わない場合(誘導結合型プラズマの電力0W)と比べると、約5倍に増加した。
一方、CF2ラジカルが優先的に生成される環状Cyclo-C4F8プラズマを用いた場合には、カーボンナノウォールは形成されなかった。したがって、フロロカーボン/水素の系では、CF3ラジカルと水素原子の比がカーボンナノウォールの形状を決定する大きな要素の一つとして考えられる。水素原子は主にフッ素原子の引く抜きと欠陥や2次核発生・アモルファス成分に抑制の働きをすると考えられる。水素原子が不足する場合にはプラズマ重合が主たる反応となって、フロロカーボンのポリマーが形成される(図4(c))。
フロロカーボンラジカルに対して水素原子が十分でない場合には、多くの水素原子は気相および表面反応によってフッ素原子の除去に消費されてしまい、明確なグラファイトの形成には至らないと考えられる(図4(d))。CF3ラジカルに対して十分な量の水素原子が存在する条件下では、成長最表面にはフッ素原子は存在しているものの、水素原子による引き抜き反応の結果、構造体中にフッ素原子は残らず、メタンを用いた場合に比べて欠陥の少ない結晶性の良いカーボンナノウォールが得られる(図4(e))。
実施例1で得られた約20ナノメートルの結晶子が配向した集合体からなるカーボンナノウォール(CNW-as)と市販の微小黒鉛(KS-15)の電極特性を図2に示す。
図2よりカーボンナノウォールが市販黒鉛よりも小さな電位差でナトリウムイオンの挿入離脱を示しており、優れた電池反応特性を有することが判明する。
図3には、カーボンナノウォール(CNW)と微小市販黒鉛(KS15)の0〜0.5Vでのナトリウム離脱容量を可逆容量として求め、その電流密度依存性の比較を示す。CNWは低電流密度100mA/gにおいてこそKS15よりも小さな容量であるものの、1000mA/gと電流を10倍にしても、微小市販黒鉛の8倍もの容量を維持できる。
このようなCNWのハイレート特性は、CNWが完全性の高い均一な微小サイズの黒鉛のドメインから構成されていることから理解できる。また、ドメインサイズを小さくすることによってハイレート特性がより向上することも確認されている。このように、カーボンナノウォール(CNW)は高速充放電特性を示す新たなナトリウムイオン電池負極材として期待される。
本発明のナトリウムイオン電池用負極材料は、大電流の出し入れを短時間に頻繁に繰り返す種々の蓄電デバイス、たとえば車載電池や、建機、工具など短時間での大電流放出を必要とする機器での電池、および急速充電を必要とする小型モバイル用電池に適用することができる。また、電池集電体を基板に用いて直接カーボンナノウォールを気相成長させることで得られる薄型電極を作製し、それを用いた薄型ナトリウムイオン電池は、各種カードなどへの応用を可能とし、瞬間充電を可能とすることから、記録情報の表示などの新たな拡張機能を付加することができる。

Claims (8)

  1. 10〜30ナノメートルの結晶子が配向した集合体からなるフレーク状カーボンナノウォールを用いることを特徴とするナトリウムイオン電池用負極材料。
  2. 容量結合型プラズマのRF電力一定のもとで、基板温度500〜1000℃で減圧下のチェンバー内に原料ガスを導入して基板上にカーボンナノウォールを成長させて形成させた請求項1記載のナトリウムイオン電池用負極材料。
  3. 容量結合型プラズマによってカーボンナノウォールが、基盤温度500℃、H2およびC2F6の流量がそれぞれ30sccmおよび15sccm、全圧13.3Pa(100mTorr)、容量結合型プラズマのRF電力一定のもとで、気相成長法によって基盤上に得られるカーボンナノウォールである請求項1に記載したナトリウムイオン電池用負極材料。
  4. 基板がシリコン、炭素、アルミニウム、チタン酸化物であり、原料ガスがC2F6,C2H4,CH4またはこれらの混合物から選ばれる炭素系ガスと水素であり、気相成長法がプラズマCVD法である請求項2に記載したナトリウムイオン電池用負極材料。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載されたフレーク状カーボンナノウォールを、不活性ガス中で、500〜1000℃で熱処理して用いることを特徴とするナトリウムイオン電池用負極材料。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載されたナトリウムイオン電池用負極材料をバインダーを介して集電体基板上に配置した電極を負極として用いる急速充放電型ナトリウムイオン電池。
  7. 集電体基板上に気相成長させた請求項1ないし請求項4のいずれかに記載されたナトリウムイオン電池用負極材料を、集電体基板上に気相成長したままの状態で負極として用いる急速充放電型ナトリウムイオン電池。
  8. 不活性ガス中で、500〜1000℃で熱処理して用いることを特徴とする請求項6乃至請求項7記載の急速充放電型ナトリウムイオン電池。
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