JP3878013B2 - 光波長合分波モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光波長合分波モジュールに関し、より詳細には、光波長多重された複数の光信号を波長に応じて合分波する光波長合分波モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の光信号を異なる光波長に割り当て1本の光ファイバで伝送する光波長分割多重(WDM)伝送システムは、伝送路の容量を大幅に増大することが可能である。この光WDMシステムにより光伝送網を構築する際は、異なる波長の光信号を一本の光ファイバに合波して波長多重するか、または一本の光ファイバ内に波長多重された光信号をその波長毎に分波する光波長合分波モジュールが必要となる。
【0003】
特に、N本の入力ポートとN本の出力ポートを有し、さらに周期的な入出力関係の分波特性を有するようなN×N波長周回性合分波モジュールは、WDMシステムにおいてさまざまな応用が考えられる。
【0004】
図1は、入出力ポート数が4本、すなわち4×4波長周回性合分波モジュールにおける分波特性の一例を示す図である。4入力4出力のポート間には16(N×N)のパスが形成されるが、僅か4(N)種類の波長λ1〜λ4で全てのパスを独立に設定することが可能である。この特性により、たとえば、Nノード間回線をフルメッシュに設定するN×N光波長ルータ機能などを果たすことが可能である。
【0005】
このようなN×N波長周回性合分波モジュールの構成としては、従来、幾つかが提案されているが、1入力N出力を有する1×Nアレイ導波路格子(Arrayed-Waveguide Grating:AWG)を2N個使用し、互いに光ファイバで接続する構成は、原理的損失がゼロであることと、非常に低いクロストーク特性が得られる点で優れている。
【0006】
図2は、この2N個の1×NAWGと光ファイバを用いたN×N波長周回性合分波モジュールの構成と機能を説明するための構成図で、図中符号1はN本の入力光ファイバ(入力ポート)、2はN本の出力光ファイバ(出力ポート)、3および4は1×NAWG、5はAWG間を接続する接続光ファイバである。
【0007】
図2では一例として、入出力ポート数が4すなわちN=4の場合を示している。各1×4AWG3に接続される4本の入力ポート1から、4波多重された光信号A1,A2,A3,A4,B1,B2,B3,B4,C1,C2,C3,C4,D1,D2,D3,D4を入射する。ここで、アルファベット文字は入力ポートの位置を、数字は光波長を表しており、アルファベット文字が同じ光信号は同じ入力ポートに入射されたことを示し、数字が同じ光信号は同じ光波長であることを示す。
【0008】
従って、ここでは4種類の波長で16の異なる光信号が伝播していることになる。入力光信号は各1×4AWG3で4分波され、16本の各接続光ファイバ5に出力される。ここで各接続光ファイバ5は、j番目(j=1,2,3,4)の1×4AWG3のi番目(i=1,2,3,4)の出力とk番目(kはi+j−1≦4のときk=i+j−1、i+j−1>4のときk=i+j−1−4であらわされる整数)の1×4AWG3のi番目の入力とにそれぞれ両端を接続している。
【0009】
各接続光ファイバ5からの出力光信号は、各1×4AWG4で4合波され、4本の出力ポート2から、図中に示すような4波多重された光信号が出射する。この接続構成の結果、図1で説明したような周期的な入出力関係の分波特性が実現される。
【0010】
図2に例示したようなモジュール構成は、原理的に損失がないAWGと光ファイバからのみ構成されるため、比較的低損失なモジュールの実現が可能である。またある波長の光信号に対して、同波長の他の光信号が漏れ込むことが全く無い構成なので、同波長クロストークがゼロであり、異波長クロストークに関しても、光信号がAWGを2回通過するために、非常に低く抑えることが可能である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のN×N波長周回性合分波モジュールでは、モジュールを構成するために、2N個の1×NAWGを必要とし、またそれらをN2本の光ファイバで接続する必要がある。よってNが比較的大きなモジュールを作製する場合に、モジュールサイズが非常に大きくなってしまい、また光ファイバの実装工程が複雑になってしまうという問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、低損失かつ低クロストークでありながら、入出力ポート数Nが大きく、かつ実用に適したモジュールサイズを有し、作製における実装工程が平易である光波長合分波モジュールを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、1本の入力導波路とN本(Nは2以上の整数)の出力導波路群を有し、前記入力導波路と該出力導波路群の導波路i(iはNを超えない自然数)との間を透過する光波長がλiであり、入力された多重光信号を波長ごとに分波するアレイ導波路格子型合分波器N個からなる第1のアレイ導波路格子型合分波器群と、N本の入力導波路群と1本の出力導波路を有し、前記入力導波路群の導波路iと該出力導波路との間を透過する光波長がλiであり、入力された複数の光信号を合波するアレイ導波路格子型合分波器N個からなる第2のアレイ導波路格子型合分波器群と、前記第1のアレイ導波路格子型合分波器群の各アレイ導波路格子型合分波器の入力導波路に接続されたN本の入力光ファイバと、前記第2のアレイ導波路格子型合分波器群の各アレイ導波路格子型合分波器の出力導波路に接続されたN本の出力光ファイバと、前記第1のアレイ導波路格子型合分波器群のアレイ導波路格子型合分波器j(jはNを超えない自然数)の出力導波路群の導波路iと前記第2のアレイ導波路格子型合分波器群のアレイ導波路格子型合分波器k(kはi+j−1≦Nのときk=i+j−1、i+j−1>Nのときk=i+j−1−Nであらわされる整数)の入力導波路群の導波路iとを接続し、単一波長の光信号が通過するN2本の接続光ファイバを備えた光波長合分波モジュールであって、前記第1のアレイ導波路格子型合分波器群および前記第2のアレイ導波路格子型合分波器群をなす2N個のアレイ導波路格子型合分波器のうち少なくとも2個以上が単一チップ上に集積されており、かつ前記N2本の接続光ファイバの一部または全部が、固定配線された単数または複数光ファイバアレイであり、該光ファイバアレイの入出力端部に取り付けられた接続部材を介して前記アレイ導波路格子型合分波器の出力あるいは入力導波路と接続されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記光ファイバアレイがM個(MはNを超えない自然数)あり、該M個の光ファイバアレイのうち1番目(1はMを超えない自然数)の光ファイバアレイが、前記第1のアレイ導波路格子型合分波器群のアレイ導波路格子型合分波器格子jの出力導波路群の導波路iと前記第2のアレイ導波路格子型合分波器格子群のアレイ導波路格子型合分波器kの入力導波路群の導波路iとを接続するN2本の接続光ファイバのうち、i=1+m×M(mは正の整数)で限定される接続光ファイバより構成されることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記光ファイバアレイが2個(M=2)であって、該2個の光ファイバアレイが、前記アレイ導波路格子型合分波器の出力あるいは入力導波路との接続において前記接続部材を共有していることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1,2又は3に記載の発明において、前記アレイ導波路格子型合分波器が石英系平面導波回路として作製されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4いずれかに記載の発明において、前記光ファイバアレイにおける光ファイバの固定配線が、粘着性を有する粘着シート上でなされていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記光ファイバアレイの前記粘着シートと接続部材との間がテープ状に形成されていることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
図3は、本発明の光波長合分波モジュールの第1実施例を説明するための構成図で、N=4のN×N波長周回性合分波モジュールの構成を示している。図中符号11,12は、モジュールの入出力ポートとなる各4本の入出力光ファイバで、ここではテープ状に形成されている。13,14は平面導波回路チップであり、15,16はチップ13、14上にそれぞれ4個ずつ集積された1×4アレイ導波路格子である。また粘着シート17上には、所定の規則に従って交差するとともに、入出力端部を粘着シート17から飛び出させるように配列された16本の光ファイバアレイ18が取り付けられている。
【0020】
上述した光ファイバアレイ18の入出力端部は、V字型または円型の溝を有する接続部材である基板19,20にそれぞれ所定の間隔(250μmピッチ)で整列固定され、平面導波回路チップ13,14上のアレイ導波路格子15,16の入出力導波路と、一括して接続されている。光ファイバアレイ18の粘着シート17と接続部材19,20の間は、テープ部18aとして形成されている。
【0021】
本実施例の波長周回性合分波モジュールでは、4つの1×4アレイ導波路格子15あるいは16それぞれを、平面導波回路チップ13あるいは14の2枚に集積することで、1つの1×4アレイ導波路格子が形成されたチップを8枚使用するよりも、チップ面積を1/4以下にでき、ひいてはモジュールサイズを低減することが可能である。
【0022】
また、各アレイ導波路格子間を接続する16本の光ファイバを、粘着シート17上の光ファイバアレイ18とすることで、複数の光ファイバの取り扱いを容易にし、また光ファイバアレイ18を、接続部材19あるいは20を介して、一括してアレイ導波路格子15あるいは16に接続するので、光ファイバを個々に配線して接続するよりも、光ファイバの実装工程を平易化できる。さらに、光ファイバアレイ18は、光ファイバを個々に配線するよりも空間の占有が少なく、これもモジュールサイズの低減を可能とする。
【0023】
[実施例2]
図4は、本発明の光波長合分波モジュールの第2実施例を説明するための構成図で、N=8のN×N波長周回性合分波モジュールの構成を示している。図中符号31,32は、モジュールの入出力ポートとなる各8本の入出力光ファイバで、ここではテープ状に形成されている。33,34は平面導波回路チップであり、35,36はチップ33,34上にそれぞれ8個ずつ集積された1×8アレイ導波路格子である。
【0024】
また、粘着シート17および18上には、所定の規則に従って交差するとともに、入出力端部を粘着シート17および18から飛び出させるように配列させたそれぞれ32本の光ファイバアレイ39および40が取り付けられている。上述した光ファイバアレイ39および40の入出力端部は、光ファイバ16本ずつの各2群に分岐し、V字型または円型の溝を有する接続部材である基板41〜44にそれぞれ所定の間隔(127μmピッチ)で整列固定され、平面導波回路チップ33,34上のアレイ導波路格子35,36の入出力導波路と、一括して接続されている。光ファイバアレイ39および40の粘着シート17および18と接続部材41〜44の間は、それぞれテープ部39aおよび40aとして形成されている。
【0025】
図5は、図4におけるAの部分、すなわち、光ファイバアレイの接続部材を共有している部分の詳細な構成図である。図4にあるように、光ファイバアレイ39のテープ状に形成された端部39aと、光ファイバアレイ40のテープ状に形成された端部40aは、接続部材43付近で重ねられ、テープ部39aを形成する光ファイバとテープ部40aを形成する光ファイバが交互に並ぶよう接続部材43に整列固定される。この図5の構成は、他の接続部材41,42および44への、光ファイバアレイ39および40の整列固定においても同様である。
【0026】
本実施例の波長周回性合分波モジュールでは、実施例1と同様に、8つの1×8アレイ導波路格子35あるいは36それぞれを、平面導波回路チップ33あるいは34の2枚に集積することで、1つの1×8アレイ導波路格子が形成されたチップを16枚使用するよりも、チップ面積を1/8以下にでき、ひいてはモジュールサイズを低減することが可能である。
【0027】
また、各アレイ導波路格子間を接続する64本の光ファイバを、粘着シート37および38上の光ファイバアレイ39および40とすることで、複数の光ファイバの取り扱いを容易にし、また光ファイバアレイ39および40を、接続部材41〜44を介して、一括してアレイ導波路格子35あるいは36に接続するので、光ファイバを個々に配線して接続するよりも、光ファイバの実装工程を平易化できる。
【0028】
さらに、光ファイバアレイ39および40は、光ファイバを個々に配線するよりも空間の占有が少ないが、粘着シート37と38を上下に重ねてレイアウトできるので、64本の光ファイバを1つの光ファイバアレイとして粘着シート上に固定するよりも、より占有面積を少なくでき、これもモジュールサイズの更なる低減を可能とする。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、第1のアレイ導波路格子群および第2のアレイ導波路格子群をなす2N個のアレイ導波路格子のうち少なくとも2個以上が単一チップ上に集積されており、かつN2本の接続光ファイバの一部または全部が、固定配線された単数または複数光ファイバアレイであり、光ファイバアレイの入出力端部に取り付けられた接続部材を介してアレイ導波路格子の出力あるいは入力導波路と接続されているので、低損失かつ低クロストークであり、かつ入出力ポート数Nが大きいながら、実用に適したモジュールサイズを有し、作製における実装工程が平易であるようなN×N波長周回性合分波モジュールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】N×N波長周回性合分波モジュールの分波特性を示す説明図である。
【図2】N×N波長周回性合分波モジュールの構成と機能を説明するための構成図である。
【図3】本発明の光波長合分波モジュールの第1実施例を説明するための構成図である。
【図4】本発明の光波長合分波モジュールの第2実施例を説明するための構成図である。
【図5】第2実施例におけるN×N波長周回性合分波モジュールの部分詳細構成図である。
【符号の説明】
1,2 入出力光ファイバ
3,4 1×Nアレイ導波路格子
5 接続光ファイバ
11,12、31,32 入力出力光ファイバ
13,14、33,34 平面導波回路チップ
15,16 1×4アレイ導波路格子
17,37,38 粘着シート
18,39,40 接続光ファイバアレイ
18a,39a,40a 接続光ファイバアレイのテープ部
19,20、41〜44 接続部材
35,36 アレイ導波路格子
Claims (6)
- 1本の入力導波路とN本(Nは2以上の整数)の出力導波路群を有し、前記入力導波路と該出力導波路群の導波路i(iはNを超えない自然数)との間を透過する光波長がλiであり、入力された多重光信号を波長ごとに分波するアレイ導波路格子型合分波器N個からなる第1のアレイ導波路格子型合分波器群と、N本の入力導波路群と1本の出力導波路を有し、前記入力導波路群の導波路iと該出力導波路との間を透過する光波長がλiであり、入力された複数の光信号を合波するアレイ導波路格子型合分波器N個からなる第2のアレイ導波路格子型合分波器群と、前記第1のアレイ導波路格子型合分波器群の各アレイ導波路格子型合分波器の入力導波路に接続されたN本の入力光ファイバと、前記第2のアレイ導波路格子型合分波器群の各アレイ導波路格子型合分波器の出力導波路に接続されたN本の出力光ファイバと、前記第1のアレイ導波路格子型合分波器群のアレイ導波路格子型合分波器j(jはNを超えない自然数)の出力導波路群の導波路iと前記第2のアレイ導波路格子型合分波器群のアレイ導波路格子型合分波器k(kはi+j−1≦Nのときk=i+j−1、i+j−1>Nのときk=i+j−1−Nであらわされる整数)の入力導波路群の導波路iとを接続し、単一波長の光信号が通過するN2本の接続光ファイバを備えた光波長合分波モジュールであって、
前記第1のアレイ導波路格子型合分波器群および前記第2のアレイ導波路格子型合分波器群をなす2N個のアレイ導波路格子型合分波器のうち少なくとも2個以上が単一チップ上に集積されており、かつ前記N2本の接続光ファイバの一部または全部が、固定配線された単数または複数光ファイバアレイであり、該光ファイバアレイの入出力端部に取り付けられた接続部材を介して前記アレイ導波路格子型合分波器の出力あるいは入力導波路と接続されていることを特徴とする光波長合分波モジュール。 - 前記光ファイバアレイがM個(MはNを超えない自然数)あり、該M個の光ファイバアレイのうち1番目(1はMを超えない自然数)の光ファイバアレイが、前記第1のアレイ導波路格子型合分波器群のアレイ導波路格子型合分波器jの出力導波路群の導波路iと前記第2のアレイ導波路格子型合分波器群のアレイ導波路格子型合分波器kの入力導波路群の導波路iとを接続するN2本の接続光ファイバのうち、i=1+m×M(mは正の整数)で限定される接続光ファイバより構成されることを特徴とする請求項1に記載の光波長合分波モジュール。
- 前記光ファイバアレイが2個(M=2)であって、該2個の光ファイバアレイが、前記アレイ導波路格子型合分波器の出力あるいは入力導波路との接続において前記接続部材を共有していることを特徴とする請求項2に記載の光波長合分波モジュール。
- 前記アレイ導波路格子型合分波器が石英系平面導波回路として作製されていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の光波長合分波モジュール。
- 前記光ファイバアレイにおける光ファイバの固定配線が、粘着性を有する粘着シート上でなされていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の光波長合分波モジュール。
- 前記光ファイバアレイの前記粘着シートと接続部材との間がテープ状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の光波長合分波モジュール。
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