JP3877600B2 - 製菓・製パン用品質改良剤及び菓子・パン類の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製菓・製パン用品質改良剤及び菓子・パン類の製造法に関する。更に詳しくは、衝撃により粉砕された、穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を含有する製菓・製パン用品質改良剤及び該製菓・製パン用品質改良剤を添加することを特徴とする菓子・パン類の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小麦粉、穀粉、澱粉、砂糖、油脂(ショートニング)を主原料に牛乳または乳製品、卵、膨張剤、食塩、香料、着色料や乳化剤等を混捏して成形した後、焙焼等の加熱を行う焼き菓子や小麦粉、穀粉、澱粉、酵母、食塩、油脂(ショートニング)等を主原料に糖類や乳製品を混捏し発酵させ、仕上げ、ほいろ、焼成を行うパン等は、食感の改良や老化の防止、機械適正の向上等の目的で、従来より小麦粉の選択や加工澱粉やショートニング等が利用されるとともに、乳化剤等の品質改良剤も添加されてきた。その例として、食用粉類100重量部に対して、グリセリン脂肪酸エステルが0.05〜5重量部、及びα化澱粉が0.5〜10重量部となるようにパンに添加する方法(特開平11−262355)、澱粉2〜30重量%、油脂2〜40重量%、乳化剤0.1〜5重量%を含有する製パン用改良剤を添加する方法(特開2001−25354)、α化した米を粉砕し微粉状にしたものをベーカリー製品に添加する方法(特許第3033828号)等が挙げられる。しかしながら、それらのいずれもいくらかの効果をあげているが、十分ではなかった。また、菓子・パン類の製造に際して穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を使用することについては公知であるが、従来より用いられている穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を使用するだけでは、食感改良、老化防止、機械耐性等のすべてのニーズに応えることは困難であった。
そこで、製菓・製パン用品質改良剤及び前記の製菓・製パン用品質改良剤を添加することを特徴とする菓子類またはパン類の製造法の確立が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、菓子類またはパン類の食味を損なうことなく、しっとりとした口溶けの良い食感で、ボリューム感等の外観にも優れており、保管中の老化を抑制する製菓・製パン用の品質改良剤を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、菓子類またはパン類の食味を損なうことなく、しっとりとした口溶けの良い食感で、ボリューム感等の外観にも優れており、保管中の老化を抑制する製菓・製パン用の品質改良剤及び菓子類またはパン類の製造法について鋭意研究した結果、衝撃により粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を添加することにより、非常に優れた効果が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明における穀粉類とは、特に限定されるものではないが、小麦、小麦粉、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等のことであり、好ましくは、小麦粉、全粒粉、デュラム粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉が良い。
本発明における澱粉類及びその加工品及びその分解物とは、特に限定されるものではないが、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、ヤシ澱粉等及びこれらの加工品及びこれらの分解物のことであり、好ましくは、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉及びこれらの加工品及びこれらの分解物が良い。
本発明において、穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物の中でも、澱粉類及びその加工品が好ましく、最も好ましくは、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ及びこれらの加工品である。
本発明において、粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物は、それぞれ単独もしくは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明で用いる粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を得る方法は、特に限定されるものではないが、一般的な穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物の粉末をボールミルやジェットミル等の乾式粉砕機、又は液体窒素を利用する凍結粉砕機等、レーザー回折型粒度分布測定により平均粒子径20μm以下の微粉末化ができる性能のものを使用して微粉末化する方法等が挙げられる。特に、一般的な穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物の粉末を気流粉砕(ジェットミル)、凍結粉砕により微粉末化する方法が目的とする平均粒子径を得やすく、衝撃熱が出にくいため好ましい。なお、平均粒子径20μm以下の微粉末を得る方法として、篩いを用いた分級による方法も考えられるが、この方法のみでは、得られた粉末が凝集しやすく、目的とする効果が得られないため、衝撃による粉砕が必要となる。
【0006】
本発明における凍結粉砕の条件は、液体窒素を用いて予備冷却を行い、粉砕した粉末が平均粒子径20μm以下となる条件であれば良く、粉砕機の種類、形式を限定するものではない。液体窒素を予備冷却として用いる理由としては液体窒素が−196℃の極低温であり、これを冷媒とする場合は、極めて短時間の内に穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物の凍結が可能であり、凍結による変性がほとんど生じないことの他に、ハンマーミルのような粉砕機を用いた時に発生する衝撃熱が出ることなく、無酸化的な粉砕が可能となる等の利点を有することにあるが、冷却の方式については、浸漬法、散布法等の何れの方法でも良い。また、粉砕温度は、−100℃〜−50℃で行うのが経済性、粉砕効率、粉末の粒子径の面からも良く、粉砕温度が高い場合には、目的とする平均粒径20μm以下までの微粉末化が不十分となるため好ましくない。
【0007】
本発明における気流粉砕とは、通称ジェットミルと呼ばれ、粉粒体原料を圧縮した空気あるいは窒素等の不活性ガスによって高速度に加速し、原料同士あるいは原料を別に設けた衝突板等に衝突させて粉砕するものである。なお、形式を限定するものではないが、一般的なジェットミルの形式としては、原料を加速し噴射する加速管を対向配置させて原料同士を衝突させる形式のもの、加速管から噴射した原料を衝突板等に衝突させる形式のもの、原料が循環する容器内に加速管を挿入配置させたもの等がある。このような気流粉砕法によれば、粉砕刃や圧縮ロール等による衝撃・剪断・圧縮・磨砕等の機械的な力がかからず、ガスを用いるため冷却効果もあり原料の発熱が少なく、穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物の熱による変性や酸化を起こすことなく、原料の粉砕が可能となる等の利点を有する。
本発明における穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物は、上述のごとく衝撃により粉砕されたものであればよいが、効果の面から平均粒子径20μm以下が良く、更に好ましくは平均粒子径10μm以下が良い。
本発明における平均粒子径とは、レーザー回折型粒度分布測定等により得られた数値のことであり、正規分布または正規分布に近い粒度分布を示すものである。
【0008】
本発明の菓子・パン類の製造法では、例えば衝撃により粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を配合すれば良いが、必要に応じて他の品質改良剤と併用することができる。他の品質改良剤としては、通常用いられる製菓・製パン用の品質改良剤であれば特に限定されるものではないが、好ましくは卵白、酵素処理卵白、卵黄、酵素処理卵黄、鶏卵(全卵)、酵素処理鶏卵、ホエー蛋白、酵素処理ホエー蛋白、カゼイン、カゼインナトリウム、乳蛋白、酵素処理乳蛋白、コラーゲン、ゼラチン、血漿蛋白、小麦蛋白、酵素処理小麦蛋白、グルテニン、グリアジン、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白より選ばれる蛋白素材、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ローカストビーンガム、カラギーナン、グァーガム、グルコマンナン、カードラン、ペクチン、タマリンドシードガム、アラビアガム、カラヤガム、ガティガム、サイリウムシードガム、タラガム、プルラン、結晶セルロース、CMC、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース、大豆多糖類より選ばれる多糖類及びこれらの分解物、更にグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチンより選ばれる乳化剤、融点が20℃以上の牛脂、豚脂等の動物性油脂を乳化被覆膜剤でO/W型に乳化した後、噴霧乾燥することにより得られる動物性粉末油脂、パーム油、ヤシ油、大豆油、綿実油等の植物性油脂を乳化被覆膜剤でO/W型に乳化した後、噴霧乾燥することにより得られる植物性粉末油脂、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼより選ばれる酵素等が挙げられ、更に好ましくは、卵白、酵素処理卵白、卵黄、酵素処理卵黄、全卵、酵素処理全卵、乳蛋白、ホエー蛋白、カゼインナトリウム、小麦蛋白、小麦蛋白、グルテニン、グリアジンより選ばれる蛋白素材、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ローカストビーンガム、カラギーナン、グァーガム、グルコマンナン、カードラン、サイリウムシードガム、ペクチン、タラガムより選ばれる多糖類及びそれらの分解物、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチンより選ばれる乳化剤、融点が20℃以上の牛脂または豚脂を乳化被覆膜剤でO/W型に乳化した後、噴霧乾燥することにより得られる動物性粉末油脂、パーム油またはヤシ油または大豆油を乳化被覆膜剤でO/W型に乳化した後、噴霧乾燥することにより得られる植物性粉末油脂、アミラーゼ、セルラーゼより選ばれる酵素が良い。更に、これらの品質改良剤の1種又は2種以上を本発明の菓子・パン類の製造法に使用することができるものである。
【0009】
また、本発明の製菓・製パン用品質改良剤として粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を添加配合する際に、穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を単独で粉砕したものを添加配合しても良いし、2種以上の穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を混合した後、粉砕したものを添加配合しても良いし、穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物と上記の併用できる品質改良剤を混合した後、粉砕したものを添加配合しても良いし、2種以上の粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物と未粉砕の穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を混合したものを添加混合しても良い。
本発明における粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物の製菓・製パン用品質改良剤中に有効成分として添加される量は、特に限定するものではなく、従来の小麦粉、澱粉等の粉体原料に対して全量を置き換えても良いし、小麦粉、澱粉等の粉体原料に対して0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%を添加するのが菓子・パン類の製造コストの面から良い。0.01%未満では、菓子・パン類の品質改良効果が不十分であるため好ましくない。
本発明において、菓子とは、小麦粉を使用する菓子であれば、特に限定されるものではないが、まんじゅう、蒸しようかん、カステラ、どら焼き、今川焼き、たい焼き、きんつば、ワッフル、栗まんじゅう、月餅、ボーロ、八つ橋、せんべい、かりんとう、ドーナツ、スポンジケーキ、ロールケーキ、エンゼルケーキ、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌ、シュークリーム、エクレア、ミルフィユ、アップルパイ、タルト、ビスケット、クッキー、クラッカー、蒸しパン、プレッツェル、ウエハース、スナック菓子、ピザパイ、クレープ、スフレー、ベニェ等が挙げられる。パンとは、小麦粉、水、発酵原料、食塩を原料とするものであれば、特に限定されるものではないが、食パン、コッペパン、フルーツブレッド、コーンブレッド、バターロール、ハンバーガーバンズ、フランスパン、ロールパン、菓子パン、スイートドウ、乾パン、マフィン、ベーグル、クロワッサン、デニッシュペーストリー等が挙げられる。菓子またはパンの形態は特に限定されるものではないが、常温流通されるもの、冷蔵流通されるもの、冷凍流通されるもののいずれであってもよい。
【0010】
本発明における粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物の菓子・パン類への使用方法は、特に限定されるものではないが、生地を調製する際に、練り水に分散させ添加する方法、小麦粉に当該穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を添加・混合する方法等を適宜選択できるが、作業効率の面から小麦粉に穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を添加混合する方法が好ましい。
本発明における粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を添加する菓子・パン類の製造工程は、特に限定されるものではなく、添加時期についても特に限定されるものではない。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0011】
【実施例】
実施例1
25kgの強力粉(平均粒子径67.2μm)をジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)を用いノズル半径5mm、ノズル元圧5.5kg/cm2G、セパレータ回転数3000rpmの条件で粉砕を行い、平均粒子径4.45μmの粉砕強力粉24.9kgを得た。
次ぎに、未粉砕の強力粉640gに対し、上記で得られた粉砕強力粉40g、イースト25g、イーストフード1g、水400gを配合し、5分間ミキサーで混捏後、4時間発酵させ中種の生地を得た。これに、未粉砕の強力粉300g、砂糖30g、食塩20g、脱脂粉乳20g、ショートニング50g、水260gを配合し、15分間ミキサーで混捏後、430gに分割し、型に入れ、38℃で50分間ホイロした後、200℃で40分間焼成し、室温で1時間放置を行って食パンを得た。
【0012】
実施例2
25kgの馬鈴薯澱粉(平均粒子径35.3μm)をジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)を用いノズル半径5mm、ノズル元圧5.5kg/cm2G、セパレータ回転数3000rpmの条件で粉砕を行い、平均粒子径6.27μmの粉砕馬鈴薯澱粉24.9kgを得た。
次に、実施例1の粉砕強力粉の代わりに上記で得られた粉砕馬鈴薯澱粉を用いて、実施例1と同様にして食パンを得た。
【0013】
実施例3
実施例1で用いた粉砕する前の強力粉25kgを凍結粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)を用い粉砕温度−100℃にてローター周速93m/sの条件で粉砕を行い、平均粒子径16.32μmの粉砕強力粉24.9kgを得た。
次に、上記で得られた粉砕強力粉を用いて、実施例1と同様にして食パンを得た。
【0014】
実施例4
実施例2で用いた粉砕する前の馬鈴薯澱粉を凍結粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)を用い粉砕温度−100℃にてローター周速73m/sの条件で微粉末化を行い、平均粒子径18.46μmの粉砕馬鈴薯澱粉24.9kgを得た。
次に、上記で得られた粉砕馬鈴薯澱粉を用いて、実施例2と同様にして食パンを得た。
【0015】
比較例1
実施例1の粉砕した強力粉40gの代わりに実施例1で用いた粉砕する前の強力粉40gを添加すること以外は、実施例1と同様にして食パンを得た。
【0016】
比較例2
実施例2の粉砕した馬鈴薯澱粉40gの代わりに実施例2で用いた粉砕する前の馬鈴薯澱粉40gを添加すること以外は、実施例1と同様にして食パンを得た。
(評価方法)
上記の実施例1〜4及び比較例1、2で得られた食パンについて、24時間室温保管後の食感、72時間室温保管後の食感を評価した。また、比較例1の食パンの容積を100%としたときの実施例1〜4及び比較例1、2の食パンの容積を測定した。その結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
表1から明らかなように本発明品を配合した食パンは比較品に比べ、柔らかく良好な組織の食パンが得られ、3日後もその食感を維持したことより、パンの食感改善効果や老化防止効果に優れていることが認められた。更に、容積増大効果にも優れていることが認められた。
【0019】
実施例5
25kgの薄力粉(平均粒子径50.7μm)をジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)を用いノズル半径5mm、ノズル元圧5.5kg/cm2G、セパレータ回転数3000rpmの条件で粉砕を行い、平均粒子径5.17μmの粉砕薄力粉24.9kgを得た。
未粉砕の薄力粉171gに対して、上記で得られた粉砕薄力粉を19g、砂糖36.7g、ブドウ糖5g、食塩1.3g、炭酸水素アンモニウム0.9g、炭酸水素ナトリウム0.9g、マーガリン26.7g、脱脂粉乳4g、水50gを配合し、ミキサーで混捏後、常法により直径30mm、厚さ1mmに成形後焼成し、ハードビスケットを得た。
【0020】
実施例6
実施例5で用いたジェットミル粉砕薄力粉の代わりに実施例2で得られたジェットミル粉砕馬鈴薯澱粉19gを添加すること以外は実施例5と同様にしてハードビスケットを得た。
【0021】
実施例7
実施例5で用いた粉砕する前の薄力粉25kgを凍結粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)を用い粉砕温度−100℃にてローター周速93m/sの条件で粉砕を行い、平均粒子径17.75μmの粉砕薄力粉24.9kgを得た。
次に、上記で得られた凍結粉砕薄力粉を用いて、実施例5と同様にしてハードビスケットを得た。
【0022】
実施例8
実施例5で用いたジェットミル粉砕薄力粉の代わりに実施例4で得られた凍結粉砕馬鈴薯澱粉19gを添加すること以外は実施例5と同様にしてハードビスケットを得た。
【0023】
比較例3
実施例5で用いたジェットミル粉砕薄力粉の代わりに微粉末化する前の薄力粉を19gを添加すること以外は、実施例6と同様にしてハードビスケットを得た。
【0024】
比較例4
実施例5で用いたジェットミル粉砕薄力粉の代わりに微粉末化する前の馬鈴薯澱粉を19gを添加すること以外は、実施例6と同様にしてハードビスケットを得た。
(評価方法)
上記の実施例5〜8及び比較例3、4で得られたハードビスケットについて、12時間室温保管後の食感、食味を評価した。その結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
表2から明らかなように本発明品を配合したハードビスケットは比較品に比べ、食感が優れていることが認められた。
【0027】
本発明の実施態様ならびに目的生成物を挙げれば以下のとおりである。
(1)衝撃により粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物より選ばれる1種又は2種以上の粉末を使用することを特徴とする製菓・製パン用品質改良剤。
(2)衝撃により粉砕された澱粉類及びその加工品より選ばれる1種又は2種以上の粉末を使用することを特徴とする製菓・製パン用品質改良剤。
(3)ボールミル、気流粉砕(ジェットミル)、凍結粉砕等により粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物を含有するものである(1)又は(2)いずれか記載の製菓・製パン用品質改良剤。
(4)穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物が気流粉砕または凍結粉砕により粉砕されたものである(1)〜(3)いずれか記載の製菓・製パン用品質改良剤。
(5)穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物が平均粒子径20μm以下に粉砕されたものである(1)〜(4)いずれか記載の製菓・製パン用品質改良剤。
(6)穀粉類が小麦、小麦粉、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等から選ばれる1種または2種以上からなる(1)又は(3)〜(5)いずれか記載の製菓・製パン用品質改良剤。
(7)穀粉類が小麦粉、全粒粉、デュラム粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、米粉から選ばれる1種または2種以上の穀粉類からなる(1)又は(3)〜(5)いずれか記載の製菓・製パン用品質改良剤。
(8)澱粉類がタピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、ヤシ澱粉及びこれらの加工品及びこれらの分解物から選ばれる1種または2種以上からなる(1)〜(5)いずれか記載の製菓・製パン用品質改良剤。
(9)澱粉類がタピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉及びこれらの加工品及びこれらの分解物から選ばれる1種または2種以上からなる(1)〜(5)いずれか記載の製菓・製パン用品質改良剤。
(10)(1)〜(9)いずれか記載の麺類の製造の際に添加する衝撃により粉砕された穀粉類又は澱粉類及びその加工品及びその分解物と併用して配合することのできる他の品質改良剤としては、卵白、酵素処理卵白、卵黄、酵素処理卵黄、鶏卵(全卵)、酵素処理鶏卵、ホエー蛋白、酵素処理ホエー蛋白、カゼイン、カゼインナトリウム、乳蛋白、酵素処理乳蛋白、コラーゲン、ゼラチン、血漿蛋白、小麦蛋白、酵素処理小麦蛋白、グルテニン、グリアジン、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白より選ばれる蛋白素材、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ローカストビーンガム、カラギーナン、グァーガム、グルコマンナン、カードラン、ペクチン、タマリンドシードガム、アラビアガム、カラヤガム、ガティガム、サイリウムシードガム、タラガム、プルラン、結晶セルロース、CMC、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース、大豆多糖類より選ばれる多糖類及びこれらの分解物、更にグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチンより選ばれる乳化剤、融点が20℃以上の牛脂、豚脂等の動物性油脂を乳化被覆膜剤でO/W型に乳化した後、噴霧乾燥することにより得られる動物性粉末油脂、パーム油、ヤシ油、大豆油、綿実油等の植物性油脂を乳化被覆膜剤でO/W型に乳化した後、噴霧乾燥することにより得られる植物性粉末油脂、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼより選ばれる酵素等がある。
(11)(1)〜(9)いずれか記載の製菓・製パン用品質改良剤を添加することを特徴とする菓子・パン類の製造法。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、菓子またはパンの食味を損なうことなく、老化を抑制し、蒸しもの類は、ふっくらとした食感で、舌触り及び口溶けが良く、焼き菓子類は、サクサクとしてしっかりした食感であるが、中はソフトで口溶けが良く、ケーキ類は、パサパサせずにふわっとした食感でしっとりしており、パン類等においては、ソフトで口溶けの良い食感で、ボリューム感等の外観にも優れており、保管中の老化を抑制する製菓、製パン用の品質改良剤を提供するものであり、本発明は菓子類またはパン類の加工適性、調理適性の改善に効果が大であり、食品産業に大いに貢献できるものである。
Claims (2)
- 粉砕された粉末の平均粒子径が20μm以下であることを特徴とする馬鈴薯澱粉の粉末を含有することを特徴とする製菓・製パン用品質改良剤。
- 請求項1記載の製菓・製パン用品質改良剤を添加することを特徴とする菓子・パンの製造法。
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