JP3877052B2 - 洗濯乾燥機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【0002】
【従来の技術】
外槽を防振支持装置によって外枠内に吊り下げるように設置し、この外槽内に洗濯兼脱水槽と撹拌翼を設けた洗濯機に、脱水工程後に洗濯兼脱水槽内に空気を循環させて該洗濯兼脱水槽内の洗濯物を乾燥させる手段を付加した洗濯乾燥機が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この洗濯乾燥機は、内側に洗濯兼脱水槽を設置した外槽と、洗濯兼脱水槽の内側に設けた撹拌翼と、前記外槽の下部に設けた吸い出し口から該外槽内の空気を吸い出し、吸い出した空気を前記洗濯兼脱水槽の上部開口に臨んで設けた吹き込み口から該洗濯兼脱水槽内に吹き込む循環風路と、前記外槽から循環風路に吸い出した循環空気を水冷除湿する水冷除湿手段と、水冷除湿した循環空気を加熱する加熱手段と、前記洗濯権脱水槽および/または撹拌翼を回転駆動する駆動装置と、給水装置と、排水装置と、制御装置を備え、外槽の下部の吸い出し口から吸い出した空気を水冷除湿し、除湿した空気を加熱した後に吹き込み口から洗濯兼脱水槽の上部開口に吹き込む構成で実施することができる。
【0004】
しかし、このような洗濯乾燥機では、洗濯工程において、循環風路の一部に洗濯水が進入し、この洗濯水に混入している糸屑が排水工程において該循環風路内の各面に付着して残留し、これが堆積すると、空気の循環抵抗が増加したり、熱交換効率が低下たりして、乾燥性能が低下する。
【0005】
本発明の1つの目的は、洗濯工程において循環風路内に進入する洗濯水に含まれる糸屑が該循環風路の内面に付着するのを軽減することができる洗濯乾燥機を提案することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、洗濯工程において循環風路内に進入する洗濯水に含まれる糸屑が該循環風路の内面に付着して堆積するのを軽減することができる洗濯乾燥機を提案することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的は、糸屑を含んだ洗濯水が循環風路内に進入して該循環風路の内面に付着した糸屑を洗浄することができる洗濯乾燥機を提案することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、循環風路内への糸屑付着の軽減または付着した糸屑の洗浄を合理的に行うことができる洗濯乾燥機を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内側に洗濯兼脱水槽を設置した外槽と、洗濯兼脱水槽の内側に設けた撹拌翼と、前記外槽の下部に設けた吸い出し口から該外槽内の空気を吸い出し、吸い出した空気を前記洗濯兼脱水槽の上部開口に臨んで設けた吹き込み口から該洗濯兼脱水槽内に吹き込む循環風路と、前記外槽から循環風路に吸い出した循環空気を水冷除湿する水冷除湿手段と、水冷除湿した循環空気を加熱する加熱手段と、前記洗濯脱水槽および/または撹拌翼を回転駆動する駆動装置と、給水装置と、排水装置と、制御装置を備えた洗濯乾燥機において、前記循環風路は、洗濯工程における洗濯水位よりも高い位置まで上向きに伸びる除湿風路部を備え、前記制御装置は、前記洗濯工程における洗いおよび濯ぎ運転を行った後に排水電磁弁を開いて洗い水および濯ぎ水を排水する排水工程において、排水しながら前記除湿風路部内に進入している洗濯水を揺動させて下降させるように前記駆動装置を運転して撹拌翼および/または洗濯兼脱水槽を回転駆動し、除湿風路部に進入している洗濯水を揺動させながら排水することにより該洗濯水に含まれている糸屑が循環風路に付着して残留するのを軽減するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態である洗濯乾燥機を縦断面して示す模式図である。
【0012】
1は、外郭を構成する四角筒状の外枠である。2は、洗濯兼脱水槽であり、その周壁に通水および通風のための小穴2aおよび糸屑フィルタ2b,2cを有し、その上縁部に流体バランサー3を備え、底部の内側には回転自在に撹拌翼4を設置する。撹拌翼4は、通水および通風のための小穴4aを有する。5は、前記洗濯兼脱水槽2を内包する外槽であり、底部の外側には駆動装置6を鋼板製の取り付けベース7によって取り付け、外枠1の上端部の四隅部に係止した4本の防振支持装置8によって外槽5を四方から均等に吊り下げることにより該外枠1の中心部に懸垂するように支持する。
【0013】
駆動装置6は、駆動電動機と電動操作クラッチ機構と遊星歯車減速機構を内蔵し、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で撹拌翼4を回転させ(撹拌モード)、洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4をそれぞれ反対方向に回転させ(洗濯モード)、洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を一体的に同一方向に回転(脱水・乾燥モード)させるような選択的な駆動機能を有する。
【0014】
外側衣類投入口9aを形成したトップカバー9は、外枠1の上部開口を覆うように該開口端縁に嵌め込み、フロントパネル10およびバックパネル11と共に取り付けねじによって外枠1に取り付ける。
【0015】
トップカバー9とフロントパネル10の間に形成される前部収納部であるフロントパネルボックス12には、電源スイッチ13と入力スイッチ群および表示素子群を備えた操作パネル14と、外槽5内の水位に応じた水位信号を発生する水位センサ15と、コントロールユニット16を内蔵する。これらは、制御装置を構成する。
【0016】
トップカバー9とバックパネル11の間に形成される後部収納部であるバックパネルボックス17には、後述する洗濯水給水手段と高濃度洗剤液生成・供給手段を横並びにして内蔵する。
【0017】
洗濯水給水手段は、入水側を水栓接続口18に接続し、出水側を注水口19に接続した主給水電磁弁20によって構成する。
【0018】
高濃度洗剤液生成・供給手段は、補助給水電磁弁22から洗剤溶解容器21に洗剤溶解水を供給し、この洗剤溶解容器21内に投入されている粉末合成洗剤を撹拌しながら前記洗剤溶解水で溶解して高濃度洗剤液を生成し、更なる給水により希釈しながら洗剤溶解容器21から溢水させて前記注水口19に供給し、洗剤溶解容器21に付設した仕上剤投入室(図示省略)に補助給水電磁弁22aによって給水することによって仕上剤を溢水させて前記注入口19に供給するように構成する。
【0019】
注水口19は、トップカバー9の底と外槽5の外槽上カバー28の後部を貫通して洗濯兼脱水槽2の上部開口内に向けて開口する。この注水口19は、トップカバー9の底と外槽上カバー28の間には可撓管(図示省略)を介在させる。
【0020】
温風循環乾燥手段は、外槽5の下部の側壁に形成した吸い出し口5aから該外槽5の後側の外壁面に沿って垂直状態で上向きに伸びるように形成して前記吸い出し口5aから浸入した洗濯水を堰き止める除湿風路部である水冷除湿ダクト23と、この水冷除湿ダクト23内の上部に位置して該ダクト内に冷却水を供給する水冷除湿手段である冷却散水手段24と、洗濯工程における外槽5の洗濯水位よりも高い位置で折り返して該外槽5の外壁面に沿って該外槽5の下側に向かって垂直に伸びる下降風路部である下降風路ダクト25と、外槽5の下側の空間に配置されて前記下降風路ダクト25から吸い込み口に空気を吸い込んで循環空気を生成する循環ファン26と、この循環ファン26の吹き出し口から外槽5の外壁面に沿って上方向に垂直状態に伸びる上昇風路部である上昇風路ダクト27と、外槽5の上端部に取り付けた外槽上カバー28上に設置されて前記上昇風路ダクト27から送り込まれる循環空気を加熱する加熱手段であるヒータ(PTCヒータ)29を内蔵し、加熱した循環空気を洗濯兼脱水槽2内に向けて吹き込む吹き込み口30を備える。
【0021】
循環風路を構成する前記水冷除湿ダクト23,下降風路ダクト25および上昇風路ダクト27は、外槽5の後側の外壁面に該外槽5の周方向に並べてその一部を該外槽5と一体成形して実装し、これらの外側を覆う裏側蓋1aは、外側に膨出する形状に構成してねじ止めする。
【0022】
また、下降風路ダクト25内には湿度センサ40と第1温度センサ41を設置し、吹き込み口30のヒータ29の下流側の間の風路内には第2温度センサ42を設置する。水冷除湿ダクト23内で水冷除湿された循環空気の湿度と温度を精度良く検出するためには、水冷除湿された循環空気が良く混合されて均一になった後に前記湿度センサ40と第1温度センサ41に触れさせるのが良い。更に、湿度センサ40と第1温度センサ41は、保守作業に便利なように、裏側蓋1aを外したときに露出するような設置位置とする。
【0023】
また、ここでは図示説明を省略するが、水冷除湿ダクト23から下降風路ダクト25への折り返し部分には、後述する糸屑捕集手段を備える。
【0024】
トップカバー9に形成した外側衣類投入口9aは、2つ折り(山折り)に開くようにヒンジ31aによってトップカバー9に取り付けた外蓋31によって開閉自在に覆い、外槽5の上端に取り付けた外槽上カバー28に形成した内側衣類投入口28aは、ヒンジ32aによって外槽上カバー28に取り付けた内蓋32によって開閉自在に覆うように構成する。
【0025】
外槽5の底に形成した排水口5bは、排水電磁弁33を介して排水ホース34に接続する。エアートラップ5cは、エアーチューブ35を介して前記水位センサ15に接続する。外枠1の下端縁には、四隅に脚36を取り付けた合成樹脂で成形されたベース37を装着する。
【0026】
なお、参照符号38は、洗濯兼脱水槽2内に投入された洗濯物である。
【0027】
図2は、この洗濯乾燥機の電気系を示すブロック図である。
【0028】
電源スイッチ13を介して受電するコントロールユニット16は、マイクロコンピュータ16aを中心にして構成し、電源回路16bと、駆動装置6と主給水電磁弁20と補助給水電磁弁22,22aと洗剤撹拌電動機39と排水電磁弁33と循環ファン26とヒータ29と冷却散水電磁弁24aへの給電を制御するための半導体交流スイッチング素子(FLS)群を有する駆動回路16cとを備える。
【0029】
前記駆動装置6の駆動電動機61は、固定子巻線61aと回転センサ61bを有し、電動操作クラッチ機構62は、電動操作機62aと動作位置を検出する位置センサ62bを有する。
【0030】
そして、前記駆動回路16cは、駆動装置6における前記駆動電動機61の固定子巻線61aへの給電制御に関しては、正逆回転制御用に2つの半導体交流スイッチング素子(FLS)16c1,16c2を備える。FLS16c1は、正回転給電制御用の半導体スイッチング素子、FLS16c2は逆回転給電制御用の半導体交流スイッチング素子である。この実施の形態において、駆動電動機61の回転速度制御は、固定子巻線61aへの給電をFLS16c1,16c2によって位相制御することによって行うように構成しているが、インバータ駆動のブラシレス直流電動機を使用する構成においては、PWM制御やPAM制御によって行うように構成する。また、駆動装置6における電動操作クラッチ機構62の電動操作機62aへの給電を制御するためのFLS16c3を備える。
【0031】
また、駆動回路16cは、主給水電磁弁20,補助給水電磁弁22,22a,洗剤撹拌電動機39,排水電磁弁33,循環ファン26,ヒータ29,冷却散水電磁弁24aaへの給電を制御するFLS16c4〜16c11を備える。そして、この駆動回路16cは、マイクロコンピュータ16aからの指示に従ってFLS16c1〜FLS16c11の導通状態を制御して従属する負荷への給電制御を行う。
【0032】
マイクロコンピュータ16aは、更に、前記駆動電動機61の回転センサ61b,電動操作クラッチ機構62の位置センサ62b,外槽5内の洗濯水位を検出する水位センサ15,湿度センサ40,第1,第2温度センサ41,42,アンバランス検出センサ43,操作パネル14に接続し、予め組み込まれた制御処理プログラムを実行することにより、操作パネル14の入力スイッチ群14aと水位センサ15と回転センサ61bと位置センサ62bと湿度センサ39と第1,第2温度センサ41,42とアンバランス検出センサ43からの信号を取り込み、駆動回路16cを制御することによって、検出,高濃度洗剤液生成,洗濯物湿潤,高濃度洗剤液生成・供給(浸沈),洗い,濯ぎ,脱水,糸屑洗浄および温風乾燥の各工程を実行し、操作パネル14の表示素子群14bを制御することによってその設定状況や進行状況を表示する。ここで、アンバランス検出センサ43は、洗濯兼脱水槽2を回転させたときに該洗濯兼脱水槽2内の洗濯物38の分布のアンバランスによって該洗濯兼脱水槽2(外槽5)が所定値以上に大きく振れるのを検出するセンサである。
【0033】
操作パネル14の入力スイッチ群14aは、実行する運転(洗濯,乾燥,糸屑洗浄)の種類を設定するコース設定スイッチや洗濯物(乾燥物)に応じて洗濯および乾燥の実行方法を設定するモード設定スイッチを備える。コース設定スイッチには、洗濯・乾燥コース,洗濯コース,乾燥コース,糸屑洗浄コースを選択的に設定する設定スイッチを設け、モード設定スイッチには、標準モード,ワイシャツモード,毛布モード,生乾燥モード,ドライモード,仕上げモード,小物乾燥モードを選択的に設定するスイッチを設ける。
【0034】
ここで、洗濯・乾燥コースは、洗いから乾燥までの運転を一貫して実行するコースであり、洗濯コースは、洗いから遠心脱水までの運転を実行するコースであり、乾燥コースは、洗濯および脱水されている洗濯物の乾燥運転のみを実行するコースであり、糸屑洗浄コースは、循環風路に付着した糸屑を洗浄(除去)する運転を実行するコースである。また、標準モードは、各コースの運転を標準的に実行するモードであり、ワイシャツモードは、ワイシャツやブラウスのように皺になり易い洗濯物を対象にして各コースを実行するモードであり、毛布モードは、毛布などの嵩張る洗濯物を対象にして各コースを実行するモードであり、生乾燥モードは、洗濯物の洗濯皺を伸ばす程度に短時間の乾燥までのコースを実行するモードであり、ドライモードは、ドライマークの洗濯物を対象にして各コースを実行するモードであり、仕上げモードは、生乾きの洗濯物を対象にして仕上げの乾燥コースを実行するモードであり、小物乾燥モードは、ズックや帽子などのように型崩れが心配な洗濯物を対象にして乾燥コースを実行するモードである。
【0035】
次に、各運転について説明する。
【0036】
図3は、コントロールユニット16内のマイクロコンピュータ16aが実行する前記各運転のフローチャートである。
【0037】
マイクロコンピュータ16aは、電源スイッチ13が投入されると次のような制御処理を実行する。
【0038】
ステップ301
洗濯兼脱水槽2に洗濯衣類38を投入し、操作パネル14の入力スイッチ群14aを操作して初期設定を行い、開始ボタンスイッチが押されると、各運転の自動制御処理をスタートする。
【0039】
前記初期設定では、前記コースとモードを選択して設定する。ここでは、洗濯・乾燥コースが設定されたときの運転制御を例示する。
【0040】
ステップ302
洗濯物38の布量の検出制御処理を行う。この布量検出は、給水前の乾布状態において、駆動装置6の電動操作クラッチ機構62を撹拌モードに制御し、駆動電動機61を短時間付勢して撹拌翼4を回転駆動し、到達回転速度に基づいて検出する。この検出結果(洗濯物の布量)に基づいて洗い水量(洗濯水位)および好ましい洗剤濃度の洗い水を生成するための洗剤量を演算して決定し、この洗剤量を表示素子群14bによって表示して相当する量の粉末合成洗剤を洗剤溶解容器21に投入させる。
【0041】
ステップ303
外蓋31を開けて相当する量の粉末合成洗剤および仕上剤が洗剤溶解容器21に投入され、外蓋31が閉じられると、駆動装置6の電動操作クラッチ機構62を脱水・乾燥モードに制御し、駆動電動機61を低速運転して洗濯兼脱水槽2と回転体4を低速回転させながら主給水電磁弁20を開いて水道水を注水口19に直に供給して該水道水を洗濯兼脱水槽2内の洗濯物38上に散布する。洗濯物38は、散布された水道水を吸水して湿潤し、嵩が低減する。このときの水道水の散布量は、検出運転によって検出した洗濯物38の量に応じて制御し、洗濯物38の量が少ないときには少なくし、多くなるにつれて多くなるように制御する。洗濯物38に散布する水道水量は、例えば、洗濯物38の量が4kg未満の場合には4L(リットル)程度,4kg〜8kgの場合には10Lとする。この量の給水は、主給水電磁弁20の開弁時間によって制御する。
【0042】
そして、水道水を洗濯物38内に十分に浸透させるように、必要に応じて、湿潤状態で所定時間据え置くようにする。この据え置き時間は、洗濯物38の量と散布した水道水の量に応じて制御する。散布された水道水を洗濯物38に十分に浸透させるための据え置き時間中は、洗濯兼脱水槽2を停止させた状態にしても良いが、早く浸透させるためには洗濯兼脱水槽2を低速度で回転させると良い。
【0043】
ステップ304
補助給水電磁弁22を開いて洗剤溶解容器21に溢水しない程度の少量の水道水(洗剤溶解水)を供給し、好ましい洗剤濃度の洗い水を生成するために投入した洗剤溶解容器21内の粉末合成洗剤を洗剤撹拌電動機39を運転して撹拌しながら少量の洗剤溶解水で溶解することによって高濃度洗剤液を生成する。洗剤溶解水の量は、洗剤溶解容器21の溢水部から溢水せず、回転体によって粉末合成洗剤を撹拌しながら該粉末合成洗剤を良く溶解するのに好適な水量に設定する。
【0044】
ステップ305
駆動装置6の電動操作クラッチ機構62を脱水・乾燥モードに制御し、駆動電動機61を低速運転して洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を低速度で回転させながら補助給水電磁弁22を開いて洗剤溶解容器21に希釈給水することによって高濃度洗剤液を希釈して溢水部から溢水させることにより注水口19に送り込むと共に主給水電磁弁20を開いて注水口19に給水して高濃度洗剤液を好ましい高濃度洗剤液(洗濯水の洗剤濃度の5〜30倍)に希釈して洗濯兼脱水槽2内の洗濯物38に降りかけて該洗濯物38に浸沈させる。
【0045】
洗濯物38に浸沈した高濃度洗剤液は、その化学的な高い洗浄力を洗濯物38に作用させて洗浄力を高めることから、洗い運転において洗濯物38に作用させる機械力を減少させて布傷みや布絡みを軽減させることを可能にする。
【0046】
粉末合成洗剤は、汚れを落す界面活性剤と、活性剤を補助するアルカリ剤,ゼオライト,酵素,再付着防止剤などのビルダー、蛍光増白剤などの添加剤を含んでいる。ゼオライトは、水道水に含まれている金属イオンを除去(軟水化)して金属石鹸の生成を抑制することにより、洗い水中の有効な界面活性剤の量の減少を抑制するように機能するが、粉末合成洗剤を多量の水道水に溶解して生成した洗い水では、ゼオライトの量が不足して有効な界面活性剤が大幅に減少してしまう。
【0047】
しかしながら、少量の水道水(洗剤溶解水)で粉末合成洗剤を溶解して生成した高濃度洗剤液(例えば、洗い水の洗剤濃度の10倍の洗剤濃度)は、金属イオンの量が少ないことから、ゼオライトが十分に機能して有効な界面活性剤の減少を極めて少量(約2%程度)に抑制することができる。従って、このような高濃度の洗剤液を洗濯物に降りかけて浸沈させることにより、洗剤液が洗濯物(汚れ衣類)に高速(洗い水の約4倍の速度)で浸透して素早く汚れに到達し、海面活性剤が汚れの乳化,分散を促進し、アルカリ材が油汚れの膨潤,鹸化を促進し、酵素が脂肪や蛋白質の汚れを分解する洗浄力を発揮する。
【0048】
ステップ306
洗濯物38に降りかけた高濃度洗剤液が該洗濯物38内に浸透・浸沈するのを促進するための時間であって、省略することもできる。
【0049】
ステップ307
主給水電磁弁20および補助給水電磁弁22を開いて水道水(洗い水)の給水を開始する。この洗い水の給水は、ステップ302において決定した水量(洗濯水位)まで行うが、給水の途中で洗濯物38の布量(湿布値),布質を検出するために中断する。この中断水位は、マイクロコンピュータ16aに予め設定された湿布布量および布質検出に適した水位である。
【0050】
ステップ308
湿布布量と布質を検出して洗い水給水量の補正と洗い,濯ぎ,脱水,乾燥運転における制御定数の決定を行う。この布質検出は、所定の低水位で給水を中断して駆動装置6の電動操作クラッチ機構62を検出モードに制御し、駆動電動機61を短時間付勢して回転体4を回転駆動し、そのときの到達回転速度である第1の到達回転速度(湿布布量)を検出し、次いで、給水を再開して所定の高水位まで洗い水を補給した後に給水を中断して駆動装置6の駆動電動機61を短時間付勢して回転体4を回転駆動し、そのときの到達回転速度である第2の到達回転速度を検出し、この第1の到達回転速度と第2の到達回転速度の差に基づいて洗濯物38の布質を検出する。この布質検出制御は、初期設定により不要になったときには、省略する。そして、布質に応じて、洗いおよび濯ぎ運転における時間と水流(機械的撹拌の強さ)や乾燥運転における制御定数を決定する。
【0051】
ステップ309
ステップ302で決定した水量(水位)まで水道水を給水する。この給水により、洗い水は、高濃度洗剤液を更に希釈して洗いに好ましい洗剤濃度となる。これにより、洗濯物38は、洗濯兼脱水槽2内で所定の洗剤濃度の洗い水に浸した状態となり、洗濯兼脱水槽2や撹拌翼4を回転させて洗濯物38に機械的な洗浄力を作用させるのに好適な状態となる。
【0052】
ステップ310
ステップ308において設定した洗い水流と洗い時間の洗い運転を行うように駆動装置6を制御する。この洗い運転においては、駆動装置6は、電動操作クラッチ機構62を洗濯モードに制御し、駆動電動機61を正逆運転を繰り返すことによって洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を反対向きに繰り返し正逆回転させて洗濯物38に機械的な洗浄力を作用させる。洗濯物38に作用させる機械(撹拌)力は、洗濯兼脱水槽2および回転体4の正逆回転のON−OFF時限を調整したり、回転数を調整したり、洗い(撹拌)時間を調整したりすることによって制御することができる。
【0053】
この洗濯乾燥機は、高濃度洗剤液の化学的な高い洗浄力を利用するようにしているので、小さい機械(撹拌)力でも従来の洗浄方式よりも洗濯物38の汚れが良く落ちるようになることから、洗濯物38の傷みや絡みを低減することができる。
【0054】
ステップ311
排水電磁弁33を開いて洗い水を機外に排水する。
【0055】
ステップ312
主給水電磁弁20と補助給水電磁弁22を開いて濯ぎ水(水道水)を設定水量まで給水する。必要に応じて、補助給水電磁弁22aを開いて仕上剤を混入させる。
【0056】
ステップ313
駆動装置6を制御して濯ぎ運転を実行する。
【0057】
ステップ314
排水電磁弁33を開いて濯ぎ水を機外に排水する。
【0058】
ステップ315
排水電磁弁33を開いたままにして駆動装置6の電動操作クラッチ機構62を脱水・乾燥モードに制御し、駆動電動機61を高速運転することによって洗濯兼脱水槽2と回転体4を一体的に950rpmの高速度で回転させることにより洗濯物38の水分を遠心脱水する。この遠心脱水が終了した状態では、洗濯物38は、洗濯兼脱水槽2の側壁に押し付けられて側壁面に付着した状態にある。
【0059】
ステップ316
駆動装置6の電動操作クラッチ機構62を脱水・乾燥モードに制御し、駆動電動機61を運転して洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を回転させながら循環ファン26を運転して外槽5内の空気を吸い出し口5aから吸い出し、水冷除湿ダクト23内を通過するときに冷却散水手段24から該水冷除湿ダクト23内に供給する冷却水によって冷却除湿し、下降風路ダクト25を通して循環ファン26に吸い込み、この循環ファン26から上昇風路ダクト27とヒータ29を通して吹き出し口30に送り込み、ヒータ29によって加熱して洗濯兼脱水槽2内の内壁面付近に向けて該洗濯兼脱水槽2の回転方向に対して逆向きに吹き込む循環空気を生成し、洗濯兼脱水槽2内の洗濯物を乾燥する。
【0060】
この洗濯乾燥機は、洗濯を実行すると、糸屑が洗濯水に混じって水冷除湿ダクト23内に進入し、排水時の水位の下降に伴って水冷除湿ダクト23内の面に付着して残留する傾向を呈する。従って、この実施の形態においては、各排水(洗い水の排水,濯ぎ水の排水)工程において、撹拌翼4を正転と逆転を繰り返すように駆動装置6を制御して洗濯水を揺動させ、水冷除湿ダクト23内の洗濯水面を揺動させながら下降させることにより、洗濯水に含まれる糸屑が水冷除湿ダクト23内の面に付着して残留するのを抑制する自動糸屑洗浄制御を実行する。この自動糸屑洗浄は、洗濯兼脱水槽2の正逆回転を繰り返して洗濯水を揺動させるようにして行うように制御しても良い。
【0061】
この自動糸屑洗浄における撹拌翼4(洗濯兼脱水槽2)の撹拌力は、洗濯のための撹拌力よりも小さいもので良い。但し、洗濯水量に応じて撹拌力や撹拌時間を制御し、洗濯水量が多いときには強く撹拌し、撹拌時間も長くすることが望ましい。撹拌力は、撹拌翼4(洗濯兼脱水槽2)の正転および逆転の各駆動時限(駆動電動機61への通電時限)によって制御するが、洗濯工程におけるそれよりも短い時間となる。洗濯物38の量が少ない(洗濯水位が低い)ときには、発生する糸屑の量も少ないことから、洗濯物の量(洗濯水位)が所定の値よりも少ないときには、自動糸屑洗浄を省略するようにする。
【0062】
また、この自動糸屑洗浄は、洗濯水の撹拌と共に洗濯物38も撹拌することになるので、洗濯水位が所定の低水位以下に低下したときには、撹拌翼4(洗濯兼脱水槽2)の回転駆動を停止し、洗濯物38に過度の撹拌力を作用させて布傷みや布片寄りを発生させることがないようにする。この所定の低水位は、水位センサ15の水位検出信号や排水経過時間に基づく推定によって認識することができる。
【0063】
このように排水工程で洗濯水を揺動させて行う糸屑洗浄は、洗濯工程とは別に、給水(洗浄水)工程と排水工程を実行して該排水工程において撹拌翼4および/または洗濯兼脱水槽2を回転駆動することにより、水冷除湿ダクト23内に付着している糸屑を洗浄(除去)する手動糸屑洗浄として実行することもできる。この手動糸屑洗浄は、洗濯回数または経過日数をマイクロコンピュータ16aによって計数し、所定の洗濯回数経過または日数経過毎に糸屑洗浄を促す表示を行うように操作パネル14の表示素子群14bを制御する表示制御を実行し、入力スイッチ群14aの糸屑洗浄コースの入力イッチが入力されたときに、最高水位まで給水(洗浄水)し、その後に排水工程を行うと共に撹拌翼4および/または洗濯兼脱水槽2を回転駆動することにより洗浄水を揺動させ、水冷除湿ダクト23内に付着している糸屑を揺動する洗浄水によって洗い落して排水する洗浄(除去)を行う手動糸屑洗浄制御によって実現することができる。
【0064】
図4〜図13は、前述した洗濯乾燥機の具体的な構成を示すもので、図4は洗濯乾燥機の縦断側面図、図5は外枠の後側を切り欠いて循環風路部を示す洗濯乾燥機の背面図、図6は、上カバーを外して外槽と循環風路部を示す洗濯乾燥機の上面図、図7は、外枠と外槽の関係を示す上面図、図8は、外槽上カバーの分解図、図9は、冷却散水手段の正面図(a)と側面図(b)と上面図(c)、図10,図11は、循環風路の折り返し部におけるメンテナンス窓部の上面図、図12は、撹拌翼の斜視図、図13は、溢水口部の縦断側面図である。図1の説明と重複する説明の一部は省略する。
【0065】
回転駆動装置6は、可逆型の駆動電動機61と電動操作クラッチ機構62と太陽歯車減速機構63と撹拌翼4が結合される中心出力軸64と洗濯兼脱水槽2が結合される外側出力軸65を備える。太陽歯車減速機構63は、駆動電動機61に直結した太陽歯車と外側出力軸65に直結した内歯車と遊星歯車を支持して中心出力軸64に直結するキャリアを備える。そして、電動操作クラッチ機構62を撹拌モードに制御することによって、太陽歯車減速機構63の内歯車(外側出力軸65と洗濯兼脱水槽2に連結)を静止させた状態で駆動電動機61の回転力を太陽歯車と遊星歯車とキャリアを介して減速して中心出力軸64に伝達して撹拌翼4を正逆回転させ、電動操作クラッチ機構62を洗濯モードに制御することによって、太陽歯車減速機構63の内歯車(外側出力軸65と洗濯兼脱水槽2に連結)を回転自由状態にして駆動電動機61の回転力を太陽歯車と遊星歯車とキャリアを介して減速して中心出力軸64に伝達することにより撹拌翼4を正逆回転させると共に内歯車に作用する反力を外側出力軸65に伝達して洗濯兼脱水槽2を撹拌翼4と反対の方向に回転させ、電動操作クラッチ機構62を脱水・乾燥モードに制御することによって、太陽歯車減速機構63の太陽歯車と内歯車を駆動電動機61に直結して該駆動電動機61の回転力を中心出力軸64と外側出力軸65を介して洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4に伝達してこれらを一体的に回転させる構成である。
【0066】
循環風路における水冷除湿ダクト23の垂直部分は、円筒状の外槽5の最後部位、すなわち、外枠1の裏側蓋1aに最も近い部位に位置するように外槽5に沿わせて該外槽5の側壁の吸い出し口5aの周縁から連続させて該側壁と一体的に成形により形成する。吸い出し口5aは、外槽5の底壁よりも高い位置に該底壁との間に段差を介在させて開口し、水冷除湿ダクト23の下端の外槽5内側が低くなるように傾斜した底壁部5dに連なり、水冷除湿ダクト23内を流れ落ちる糸屑が外槽5の底部に流れ出て該水冷除湿ダクト23内に逆流しないように構成する。この水冷除湿ダクト23は、外槽2と後側蓋1aの間の狭隘な空間に配置するために好適なように、奥行きを狭くし、横幅を広げた長方形の風路断面形状に形成する。このように幅広の略長方形の風路断面形状の水冷除湿ダクト23は、壁面が広くなるので循環空気冷却壁面が増加することから循環空気の冷却除湿に好適である。
【0067】
下降風路ダクト25の垂直部分は、前記水冷除湿ダクト23の横隣に該水冷除湿ダクト23と共通の側壁となるように外槽5の側壁に一体成形により形成する。この位置は、外槽5の湾曲によって裏側蓋1aから離れるので、風路断面形状は、奥行きを広げて幅を狭くした略正方形状に形成することにより、循環風路の横幅の広がりを抑制するように構成する。
【0068】
上昇風路ダクト27の垂直部分は、前記水冷除湿ダクト23の反対側の横隣に該水冷除湿ダクト23と共通の側壁となるように外槽5の側壁に一体成形により形成する。この位置は、外槽5の湾曲によって裏側蓋1aから離れるので、風路断面形状は、奥行きを広げて幅を狭くした略正方形状に形成することにより、循環風路の横幅の広がりを抑制するように構成する。
【0069】
このように外槽5の後側の側壁に沿って該側壁に一体成形した各ダクト23,25,27の外側面は、外枠1の後側の側壁を構成する裏側蓋1aの膨出部分の内側に所定の間隔で対向するように略直線形状に形成する。そして、この外槽5は、外枠1の上端部の四隅部に結合した補強部材1bに係止した4本の防振支持装置8によって外槽5を四方から均等に吊り下げることにより該外枠1の中心部に懸垂するように支持する。
【0070】
水冷除湿ダクト23の垂直部分と下降風路ダクト25の上端部を連通させる上部折り返し部材44は、水冷除湿ダクト23の開口に上方に位置して該水冷除湿ダクト23内に設置する冷却散水手段24を着脱可能にするメンテナンス窓部44aと、下降風路ダクト25の開口の上方に位置して外槽5の上端に取り付けた外槽上カバー28の上面の後部に張り出させ、糸屑捕集手段を構成する糸屑フィルタ45を内蓋32の上側から斜めに挿脱可能に収納するフィルタ部44bを備える。
【0071】
冷却散水手段24は、図9に示すように、散水ノズル24bと、この散水ノズル24bから放出される冷却水の流下を案内する冷却板24cと、この冷却板24cの表面に付設されて散水ノズル24bから放出されて該冷却板24cの表面を流下する冷却水を蛇行させる蛇行リブ24dと、これらを外槽5に取り付ける取付け片24eと、外部(冷却散水電磁弁24a)から供給される冷却水を受水して前記散水ノズル24bに供給する受水パイプ24fを備える。受水パイプ24fは、通風を阻害しないように、散水ノズル24bの端部に接続して通風路の外縁部に位置させる。
【0072】
この冷却板24c(特に蛇行リブ24d)は、洗濯水に含まれる糸屑が付着し易い部材である。従って、蛇行リブ24dの付設領域は、糸屑付着軽減のためには、所定の水位(例えば、布量検出によって自動設定される最低の洗濯水位)よりも高い位置に限ることが望ましい。また、冷却板24cの下端位置を所定の水位よりも高い位置に限るように構成しても良い。
【0073】
そして、このような冷却散水手段24は、図10,図11に示すように、メンテナンス窓部44aのキャップ44cを取り外してメンテナンス窓44dを開口させることにより、止めねじ(図示省略)によって着脱可能にする。
【0074】
また、上昇風路ダクト27の垂直部分の上端部に連通させた吹き込み口30は、前記外槽上カバー28の上面の後部に張り出させ、ヒータ29を内蔵し、加熱した循環空気を洗濯兼脱水槽2の回転方向に対して逆方向に向けて該洗濯兼脱水槽2内に吹き込むように外槽上カバー28を貫通させて該洗濯兼脱水槽2の開口に臨んで開口させる。ヒータ29は、PTCヒータを採用し、通風路が上下方向に傾くように斜めに設置して吹き込み口30の背丈を低くすることによって機体の背丈の増加を抑制する。
【0075】
外槽上カバー28は、下側の樹脂成形部材28bと上側の金属板(ステンレス板)28cを重合した2層構造であり、必要に応じて、前記吹き込み口30と上部折り返し部材44の一部を樹脂成形部材28bと一体成形する。金属板28cは、補強および耐熱部材として機能させる。
【0076】
循環ファン26は、遠心羽根車26aと該遠心羽根車26aを回転させる駆動電動機26bと遠心羽根車26aを包囲する吸い込み口ケーシング26cと吹き出し口ケーシング26dを備え、外槽5の底部の下側に取り付けることによって、外枠1内において外槽5の下側に形成される空間に前記駆動装置6と並べてその後側に位置するように配置する。吸い込み口ケーシング26cは、ドレン排出口26eを有し、下降風路ダクト25の下端部に連結する。吹き出し口ケーシング26dは、上昇風路ダクト27の下端部に連結する。
【0077】
このような洗濯乾燥機の撹拌翼4は、洗濯物38を載置して回転または撹拌するために、比較的大径であることが望ましい。しかしながら、洗濯兼脱水槽2の上縁に位置する流体バランサー3は、洗濯兼脱水槽2の開口面積(直径)を狭めるように内側に迫り出している。この実施の形態では、洗濯兼脱水槽2の開口面積(直径)よりも大きいの大径の撹拌翼4を洗濯兼脱水槽2内に挿入して設置可能にするために、図12に示すように、撹拌翼4のリブ4bに切欠き4cを形成して該切欠き4cの位置で該撹拌翼4の外縁部分を内側に撓ませることにより小径に弾性変形させ、この小径の変形状態で流体バランサー3を通過させて洗濯兼脱水槽2内に挿入するようにしている。この切欠き4cは、撹拌翼4の外周部に環状に分布させて形成した小穴4a群の内縁部が該切欠き4cの範囲内となるように位置させる。洗濯兼脱水槽2内に挿入した撹拌翼4は、弾性で大径状態に復帰させ、中心出力軸64に嵌着する。切欠き4bを設けたリブ4bは、この切欠き4cを埋める保形部材4dを嵌着することにより連続した形状のリブに整形して補強する。
【0078】
また、外槽5には、主給水電磁弁20の故障などにより、過度の給水状態となったときの溢水口が設けられている。外槽5内に空気(温風)を循環させる洗濯乾燥機においては、この溢水口は、乾燥工程においては、空気漏れや綿埃放散の通路となってしまう。この実施の形態では、図13に示すように、外槽5に形成した溢水口5eを可撓弁5fで塞ぐように構成している。この可撓弁5fは、弾性によって溢水口5eを塞いでいるが、溢水方向の水圧によって撓んで溢水を許容するように溢水口5eを開放する。
【0079】
【発明の効果】
本発明は、洗濯工程における洗い水および濯ぎ水の排水工程において洗濯水を揺動させるようにすることにより、洗濯工程において循環風路内に進入する洗濯水に含まれる糸屑が該循環風路の内面に付着するのを軽減することができる。
【0080】
また、洗濯における排水工程で洗濯水を揺動させるようにすることにより、循環風路内に進入する洗濯水に含まれる糸屑が該循環風路の内面に付着して堆積するのを軽減することができる。
【0081】
また、洗浄のための給水と排水工程を実行し、その排水工程において洗浄水を揺動させることにより、循環風路の内面に付着した糸屑を洗浄することができる。
【0082】
また、所定以上の水位に限って排水工程で洗濯水を揺動させるようにすることにより、循環風路内への糸屑付着の軽減または付着した糸屑の洗浄を合理的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である洗濯乾燥機を縦断面して示す模式図である。
【図2】この実施の形態における洗濯乾燥機の電気系を示すブロック図である。
【図3】この実施の形態における洗濯乾燥機のコントロールユニット内のマイクロコンピュータが実行する各運転のフローチャートである。
【図4】この実施の形態における洗濯乾燥機の縦断側面図である。
【図5】図4に示した洗濯乾燥機の外枠の後側を切り欠いて循環風路部を示す背面図である。
【図6】図4に示した洗濯乾燥機の上カバーを外して外槽と循環風路部を示す上面図である。
【図7】図4に示した洗濯乾燥機の外枠と外槽の関係を示す上面図である。
【図8】図4に示した洗濯乾燥機の外槽上カバーの分解図である。
【図9】図4に示した洗濯乾燥機の冷却散水手段の正面図(a)と側面図(b)と上面図(c)である。
【図10】図4に示した洗濯乾燥機の循環風路の折り返し部におけるメンテナンス窓部の上面図である。
【図11】図4に示した洗濯乾燥機の循環風路の折り返し部におけるメンテナンス窓部の上面図である。
【図12】図4に示した洗濯乾燥機の撹拌翼の斜視図である。
【図13】図4に示した洗濯乾燥機の溢水口部の縦断側面図である。
【符号の説明】
1…外枠、2…洗濯兼脱水槽、4…撹拌翼、5…外槽、5a…吸い出し口、6…駆動装置、16…コントロールユニット、16a…マイクロコンピュータ、19…注水口、20…主給水電磁弁、21…洗剤溶解容器、22,22a…補助給水電磁弁、23…水冷除湿ダクト、24…冷却散水手段、24b…散水ノズル、24c…冷却板、24d…蛇行リブ、25…下降風路ダクト、26…循環ファン、27…上昇風路ダクト、28…外槽上カバー、29…ヒータ、30…吹き込み口、44…上部折り返し部材、44…メンテナンス窓部。

Claims (11)

  1. 内側に洗濯兼脱水槽を設置した外槽と、洗濯兼脱水槽の内側に設けた撹拌翼と、前記外槽の下部に設けた吸い出し口から該外槽内の空気を吸い出し、吸い出した空気を前記洗濯兼脱水槽の上部開口に臨んで設けた吹き込み口から該洗濯兼脱水槽内に吹き込む循環風路と、前記外槽から循環風路に吸い出した循環空気を水冷除湿する水冷除湿手段と、水冷除湿した循環空気を加熱する加熱手段と、前記洗濯兼脱水槽および/または撹拌翼を回転駆動する駆動装置と、給水装置と、排水装置と、制御装置を備えた洗濯乾燥機において、
    前記循環風路は、洗濯工程における洗濯水位よりも高い位置まで上向きに伸びる除湿風路部を備え、
    前記制御装置は、前記洗濯工程における洗いおよび濯ぎ運転を行った後に排水電磁弁を開いて洗い水および濯ぎ水を排水する排水工程において、排水しながら前記除湿風路部内に進入している洗濯水を揺動させて下降させるように前記駆動装置を運転して撹拌翼および/または洗濯兼脱水槽を回転駆動することを特徴とする洗濯乾燥機。
  2. 請求項1において、前記除湿風路部内は、その表面に沿って冷却水を流下させる冷却板を設けたことを特徴とする洗濯乾燥機。
  3. 請求項2において、前記冷却板は、その表面に流下する冷却水を蛇行させる蛇行リブを設けたことを特徴とする洗濯乾燥機。
  4. 請求項3において、前記蛇行リブは、最低の洗濯水位よりも高い範囲に限って設けたことを特徴とする洗濯兼乾燥機。
  5. 請求項2〜4の1項において、前記冷却板は、最低の洗濯水位よりも高い範囲に限って設けたことを特徴とする洗濯兼乾燥機。
  6. 請求項1〜5の1項において、前記制御装置は、洗濯水位が所定値以上の洗濯工程における排水工程に限って前記除湿風路部内に進入している洗濯水を揺動させるための撹拌翼および/または洗濯兼脱水槽を回転させる駆動制御を行うことを特徴とする洗濯乾燥機。
  7. 請求項1〜6の1項において、前記制御装置は、排水工程における水位が所定値以下に低下したときには除湿風路部内に進入している洗濯水を揺動させるための撹拌翼および/または洗濯兼脱水槽を回転させる駆動を停止することを特徴とする洗濯乾燥機。
  8. 請求項1〜7の1項において、前記除湿風路部の下端は、外槽内側が低くなるように傾斜した底壁部によって前記吸い出し口に開口していることを特徴とする洗濯乾燥機。
  9. 請求項8において、前記吸い出し口は、前記外槽の底壁よりも高い位置に開口させたことを特徴とする洗濯乾燥機。
  10. 請求項1において、前記制御装置は、入力装置からの洗浄指示入力に基づいて、前記給水装置を制御して高水位に給水する給水工程を実行し、その後、排水装置を制御して排水する前記排水工程と前記除湿風路部内に進入している洗濯水を揺動させるように前記駆動装置を運転して撹拌翼および/または洗濯兼脱水槽を回転駆動する制御を実行することを特徴とする洗濯乾燥機。
  11. 請求項10において、前記制御装置は、所定の洗濯回数経過または日数経過毎に前記洗浄指示入力を促す表示制御を行うことを特徴とする洗濯乾燥機。
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