JP3876024B2 - 電子カウンタの定量パルス出力補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体流量等を測定する電子式流量メータから単位流量毎に発生する定量パルスを受け取ると共に、所定の時間毎に電子式流量メータから流量積算値を読み取り、流量積算値の更新を行い、更に定量パルスを受けて外部へパルスを出力する機能を備えた電子カウンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子式流量メータ、例えば、電子式水道メータは、水道管の途中に取り付けて使用される。一般的な水道メータでは、水道水の流れる通路内に通路方向に向けて軸流式の羽根車を配置し、この羽根車の回転を磁気抵抗素子等を利用した非接触型のセンサで検出し、このセンサ検出値に基づき、流体流量、流体の流れ方向等の情報を計測、表示するようにしている。
【0003】
このような電子式水道メータは、液晶等から構成される表示部を備えており、計測した流量積算値等がここに表示されるようになっている。しかし、水道メータが設置される場所は、屋外(地中等)の目立たない場所が多く、検針や稼働状態を調べるためには不便である。このため、水道メータとは離れた位置(地上等)に電子カウンタを配置し、この電子カウンタと水道メータとの間を信号線で接続し、水道メータの側から計測値等の情報を伝送して、電子カウンタの側で表示できるようにしたシステムが採用されている。
【0004】
この伝送表示システムにおいては、水道メータの側から、その羽根車の回転に対応したパルス、すなわち、一定の流量の水が流れる毎に発生する定量パルスが電子カウンタの側に供給される。これと共に、水道メータの側で計数されている流量積算値が定期的に電子カウンタの側で読み取られて、電子カウンタの側における流量積算値の更新が行われる。定量パルスは、電子カウンタの側において信号処理されて、流速等の計数、表示等のために使用される。また、電子カウンタにおいては入力された定量パルスに基づき、予め設定された分周比によって外部へ定量パルスを出力する。この外部出力を利用し、外部機器を動作させる。例えば、滅菌処理装置等に定量パルス出力を供給して、滅菌時期等についての制御が可能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、水道メータの側から電子カウンタの側に供給される定量パルスが適正な状態で供給されない場合がある。例えば、信号線等にノイズが乗った場合、断線、短絡等が発生した場合には、本来入力されるべき個数の定量パルスが電子カウンタの側に入力されないおそれがある。このような事態が発生すると、電子カウンタから出力される外部パルス出力数は、入力された定量パルスに基づく処理数と誤差が発生し、外部機器に対する適切なパルス出力を形成できなくってしまう。
【0006】
本発明の課題は、このような弊害を解消可能な電子カウンタの定量パルス出力補正方法を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、流体流量等を測定する電子式流量メータから単位流量毎に発生する定量パルスを受け取ると共に、所定の時間毎に前記電子式流量メータから流量積算値(Q)を読み取り、流量積算値の更新を行い、前記電子式流量メータからの定量パルスを予め設定されている分周比によって外部へパルス出力する電子カウンタにおいて、次のようにして、実際に出力された定量パルス数の補正を行うようにしている。
【0008】
まず、今回の時点(T(n))において前記電子式流量メータから読み取った流量積算値(Q(n))と前回の時点(T(n−1))で読み取った流量積算値(Q(n−1))との流量差(ΔQ(n))を算出する。
【0009】
また、前回の時点から今回の時点までの期間(ΔQ(n))の間に、前記流量差(ΔQ(n))に相当する流量が流れる場合に発生する前記外部出力定量パルスのパルス数(P(n))を電子カウンタに予め設定された分周比(X)を用いて算出する。
【0010】
さらに、前記期間(ΔQ(n))の間に実際に前記電子式流量メータから供給された前記定量パルスのパルス数(Pa(n))を算出しておく。
【0011】
しかる後に、算出されたパルス数(P(n))と実際の外部出力パルス数(Pa(n))のパルス数差(ΔP(n))を算出する。
【0012】
最後に、算出された前記パルス数差(ΔP(n))に基づき、次回の流量積算値の読み取り時点(T(n+1))の間において実際に出力されるパルス数(Pa(n+1))を補正し、補正後のパルス数を外部パルス数として採用する。
【0013】
本発明の補正方法によれば、ノイズ等によって入力された定量パルスのパルス数が増加した場合には、増加したパルス数分だけ、次の時点までに得られた定量パルスの出力パルスを出力しない。逆に、配線接続不良等によって入力されなかった定量パルス分だけパルス数が減少した場合には、減少した分の出力パルス数を、次の時点までに得られた定量パルスのパルス数に加算し、電子カウンタが出力パルスを補う。従って、流量積算値の読込時点毎に、定量パルスの出力数が補正され、電子式流量メータの側での定量パルスの発生数が、電子カウンタの側において精度良く得られる。この結果、電子カウンタは、補正された定量パルスのパルス数に基づく処理動作を精度良く行い、より正しいパルス数を外部に出力することができる。
【0014】
ここで、定量パルス数の補正量が大幅に増加あるいは減少する場合、および、定量パルス数の補正動作が連続して発生する場合には、実際上においては、断線、短絡、ノイズ等の故障または外的要因が原因であると判断される。従って、この場合には、補正量の上限を設定しておくことが望ましい。また、補正動作を行っても正常動作を期待できない場合は、補正動作を停止することが望ましい。さらには、このような場合には、その旨を、警報あるいは表示・通報によって報知することが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1には、電子式水道メータに対して信号線を介して接続された本発明を適用した電子カウンタ(遠隔表示器)を示してある。
【0017】
この図に示すように、電子式水道メータ1は、信号線群11を介して離れた位置に配置されている電子カウンタ12に接続されている。電子カウンタ12は、信号線群17を介して外部機器18の側に接続されている。また、信号線群19を介して外部機器20の側に接続されている。このように、電子カウンタ12は、4つの信号の入出力ポートを備えている。
【0018】
詳細に説明すると、信号線群11はデータの書き換えを行うためのラインを含み、ここを介して伝送される電文信号は、電子カウンタ12が定期的に水道メータ1の情報を読みだすための、または、水道メータ1の情報を変更するための信号である。また、信号線群11は定量パルス信号の伝送ラインを含み、ここを介して伝送される定量パルス信号は、水道メータ1に設定されている一定流量値毎に一定のパルス幅で出力されるパルス信号であり、当該水道メータ1の側から電子カウンタ12の側に伝送される。
【0019】
一方、信号線群17を介しては、外部出力パルス信号が、電子カウンタ12の側から外部機器18に向けて伝送される。この外部出力パルス信号は、信号線群11を介して電子カウンタ12に入力された定量パルス信号を、電子カウンタ12において、予め設定された分周比によって分周すると共に予め設定されているパルス幅にしたものである。
【0020】
ここで、詳細を後述するが、電子カウンタ12は定期的に、信号線群11を介して供給される電文信号に含まれる積算値を読みだし、この値に基づき、外部出力パルス信号を補正している。補正値が大きく違っている場合には、信号線群11に異常があるか、水道メータ1に異常があると考えられるので、補正を停止し、電子カウンタ12で異常の旨を表示または警報で出力する。また、この時には、信号線群19を介して、外部出力電文信号によりこの旨を通報する。
【0021】
なお、外部機器18は、例えば、滅菌器等の計装機器であり、外部機器20は、例えば、電話回線システムの伝送装置などである。
【0022】
次に、図2を参照して、各部分の構成を詳細に説明する。まず、水道メータ1は、水道水の通路を区画形成しているメータケース2と、このメータケース2の内部に区画形成した円筒状の計量室3と、この計量室3内に水道水の流れる方向に向けて回転自在に取付けれらた羽根車4を備えている。羽根車4の先端には一対の磁石5が取付けられている。これらの磁石5の上方には、制御部6が配置されている。この制御部6は、磁石5の回転を非接触状態で検出する磁気抵抗素子からなるセンサ7を備えていると共に、後述するセンサ出力に基づき各種の演算処理を行う処理回路部分と、演算結果を出力表示する液晶表示部分を備えている。さらには、駆動電源であるリチウム電池10を備えている。
【0023】
この制御部6において計測された情報は、信号線群11を介して、離れた位置に配置されている電子カウンタ12の側に伝送される。電子カウンタ12は、本体ケース13の表面に液晶表示部14を備えている。この表示部14は、8桁の積算値表示領域15と、複数に区画された楕円形のパイロット表示領域16を備えている。
【0024】
なお、図1に示すように、電子カウンタ12は、信号線群17を介して、離れた位置に設置されている外部機器18の側に、外部出力パルス信号としての定量パルス出力信号を出力する機能を備えている。
【0025】
図3には、本例の伝送システムの制御系の概要を示してある。水道メータ1の側の制御部6は、例えば1チップマイクロコンピュータを用いて構成することができる。図に示すように、センサ7によって検出された羽根車4の回転を示す電気信号は、回転検出回路21、正逆判別回路22、定数変換回路23等に供給されて、羽根車4の回転数、回転方向等が検出される。
【0026】
回転検出回路21では、例えば、羽根車4が1回転する毎に、一定の幅の定量パルスPを2パルス出力する。例えば、10ミリ秒程度の幅のパルスPを出力する。このような定量パルスPの発生は、羽根車4が回転していること、即ち、水道水が流れていることも表す信号である。
【0027】
次に、検出された回転数、回転方向等に関する情報は、積算回路24、瞬時流量回路25、流量監視回路26等に供給されて、流量積算値Q、瞬時流量等が計測される。計測された流量積算値Q、瞬時流量等は、液晶駆動回路27を介して、液晶表示器28によって表示出力される。
【0028】
積算回路24では、一定の流量、例えば100リットルの水道水が流れる毎に、一定のパルス幅のパルスを出力する。例えば、100m秒程度の幅のパルスを出力する。
【0029】
上記のように回転検出回路21から出力される定量パルスPおよび積算回路24から出力される流量積算値Qを表す信号は、データ出力回路29に供給され、ここから信号線群11に含まれる信号線を経由して、電子カウンタ12の側に伝送される。
【0030】
電子カウンタ12も、マイクロコンピュータにより制御回路部分が構成されている。電子カウンタ12では、信号線群11を介して伝送された各種信号を、データ入力回路31を介して、制御回路32で受け取る。制御回路32は、後述のような定量パルス数の補正制御を行うと共に、受け取った信号に基づき、液晶駆動回路34を介して、表示部15、16を駆動制御する。
【0031】
次に、電子カウンタ12の制御回路32において行われる出力定量パルス数の補正動作を説明する。
【0032】
電子カウンタ12では、信号線11を介して定量パルスPを受け付けていると共に、定期的に流量積算値Qを水道メータ1の側から読み込み、制御回路32の記憶部に保持されている流量積算値を更新する。更新された流量積算値Qは、表示部15等に表示される。
【0033】
本例の電子カウンタ12においては、例えば、一定の時間経過毎に流量積算値Qを読み込むものとする。この場合、今回の時点T(n)(nは正の整数)において水道メータ1の側から読み取った流量積算値Q(n)と前回の時点T(n−1)で読み取った流量積算値Q(n−1)との流量差ΔQ(n)を算出する。
【0034】
ΔQ(n)= Q(n)−Q(n−1)
また、前回の時点から今回の時点までの期間ΔT(n)の間に、流量差ΔQ(n)に相当する流量が流れる場合に、信号線群17を介して外部機器18(図1参照)に出力する外部出力パルスのパルス数P(n)を、電子カウンタ12に予め設定された分周比(X)により算出する。
【0035】
P(n)= ΔQ(n)/X
さらに、前記の期間ΔT(n)の間に実際に電子カウンタ12から出力された実際の外部出力パルスのパルス数Pa(n)を求める。この値は、制御回路32に内蔵のカウンタあるいは外部カウンタによって出力パルス数をカウントすることにより求めることができる。
【0036】
次に、算出されたパルス数P(n)と実際の出力パルス数Pa(n)のパルス数差ΔP(n)を算出する。
【0037】
ΔP(n)=Pa(n)−P(n)
そして、算出されたパルス数差ΔP(n)に基づき、次回の流量積算値の読み取り時点T(n+1)の間において実際に供給されるパルス数Pa(n+1)を補正し、補正後のパルス数を供給パルス数Po(n+1)として採用する。
【0038】
Po(n+1)=Pa(n+1)+ΔP(n)
例えば、ノイズ等によって入力された定量パルスのパルス数が増加した場合には、増加したパルス数分だけ、次の時点までに出力される外部出力パルスを出力しない。逆に、配線接続不良等によって出力された外部出力パルスのパルス数が減少した場合には、減少した分のパルス数が、次の時点までに出力される外部出力パルス数に加算され、電子カウンタ12が出力パルスを作りだして補正する。
【0039】
このように、本例の電子カウンタ12においては、流量積算値Qの読込時点毎に、外部出力パルスの出力数が補正され、水道メータ1の側での定量パルスの発生数が、電子カウンタ12の側において精度良く得られる。従って、電子カウンタ12は、補正された外部出力パルスのパルス数に基づく処理動作を精度良く行うことができる。
【0040】
ここで、外部出力パルス数の補正量が大幅に増加あるいは減少することは実際上においては、断線、短絡等の故障が原因であると判断される。従って、本例においては、この場合には、補正量の上限ΔP(max)を設定してあり、この値を越える補正を行わないようにしている。
【0041】
さらには、外部出力パルス数の補正動作が連続して発生する場合にも、断線、短絡等の故障が原因であるので、補正動作を行っても正常動作を期待できない場合が多い。従って、本例の電子カウンタ12では、この場合には、補正動作を停止して、その旨を、表示部15あるいは16で表示、または外部機器20など(図1参照)に通報するようにしている。
【0042】
(その他の実施の形態)
なお、以上の説明は、本発明を電子式水道メータに接続された電子カウンタに適用した例である。しかし、本発明は、その他の流体流量等を計測するためのシステムにも適用できる。例えば、ガス等のその他の流体測定を行う電子式流量メータに接続された電子カウンタに対しても同様に適用できる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法においては、流量積算値に基づき、所定の期間の間に出力されるべき外部出力パルスのパルス数を算出し、算出したパルス数と、実際に出力された外部出力パルスのパルス数とを比較し、この比較結果に基づき、出力された外部出力パルスのパルス数を補正するようにしている。従って、本発明によれば、電子式流量メータの側での定量パルスの発生数を、電子カウンタの側において精度良く得ることができる。よって、本発明の電子カウンタは、補正された定量パルスのパルス数に基づく処理動作を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した電子カウンタを備えた伝送システムの全体ブロック図である。
【図2】図1の伝送システムの水道メータおよび電子カウンタの機械的構成を示す概略構成図である。
【図3】図2のシステムの水道メータおよび電子カウンタの制御系を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
1 電子式水道メータ
4 羽根車(回転体)
6 制御部
7 センサ
11 信号線
11a 共通の信号線
12 電子カウンタ
14 液晶表示器
15 積算値表示領域
16 パイロット表示領域
21 回転検出回路
24 積算回路
29 データ出力回路
31 データ入力回路
32 制御回路
34 液晶駆動回路
Claims (5)
- 流体流量等を測定する電子式流量メータから単位流量毎に発生する定量パルスを受け取ると共に、所定の時間毎に前記電子式流量メータから流量積算値(Q)を読み取り、流量積算値の更新を行い、前記電子式流量メータからの定量パルスを予め設定されている分周比によって外部へパルス出力する電子カウンタにおいて、
今回の時点(T(n))において前記電子式流量メータから読み取った流量積算値(Q(n))と前回の時点(T(n−1))で読み取った流量積算値(Q(n−1))との流量差(ΔQ(n))を算出し、
前回の時点から今回の時点までの期間(ΔQ(n))の間に、前記流量差(ΔQ(n))に相当する流量が流れる場合に発生する前記外部パルス出力数(P(n))を算出し、
前記期間(ΔQ(n))の間に実際に前記電子式流量メータから供給された前記外部パルスのパルス数(Pa(n))を算出し、
算出されたパルス数(P(n))と実際の出力パルス数(Pa(n))のパルス数差(ΔP(n))を算出し、
算出された前記パルス数差(ΔP(n))に基づき、次回の流量積算値の読み取り時点(T(n+1))の間において実際に供給されるパルス数(Pa(n+1))を補正し、
補正後のパルス数を出力パルス数として採用することを特徴とする電子カウンタの定量パルス出力補正方法。 - 請求項1において、算出された前記パルス数差(ΔP(n))が予め設定された範囲を越える値である場合には、予め設定された値を用いて前記の補正動作を行なうことを特徴とする電子カウンタの定量パルス出力補正方法。
- 請求項1または2において、前記の補正動作が所定の回数以上、または連続して行われる場合には、以後は前記の補正動作を停止することを特徴とする電子カウンタの定量パルス出力補正方法。
- 請求項1乃至3のうちの何れかの項において、前記の補正動作が所定の回数以上に渡って連続して行われる場合には、定量パルスの出力異常が発生した旨を報知することを特徴とする電子カウンタの定量パルス出力補正方法。
- 請求項1乃至4のうちの何れかの項において、前記電子カウンタは、前記電子式流量メータから受けた定量パルス信号を更に予め設定されが分周比で分周する機能と、前記電子式流量メータから受けた定量パルスのパルス幅を予め設定したパルス幅に変更して出力する機能を備えていることを特徴とする電子カウンタの定量パルス出力補正方法。
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