JP3875936B2 - 洗浄用払拭布およびそれを用いた洗浄具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、身体、洗面台、浴槽および調度類を洗浄するための洗浄用払拭布およびそれを用いてなる洗浄具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より極細繊維からなる編織物または不織布が貴金属、食器、家具、自動車、OA機器、楽器、ガラス製品、ショーケース、鏡等に付着した指紋、油汚れを洗剤を使用することなく乾・水拭きにより除去するための清掃具として利用されている。一方、身体、洗面台、浴槽および調度類等の洗浄においては石鹸、洗剤を用いる習慣が根強く、単に上記の極細繊維を含む編織物または不織布等の形態のものでは石鹸、洗剤を付与しても泡立ちが悪く、汚れ除去性は満足できるものではなかった。
【0003】
一方、安価な軟質ウレタン製のスポンジなどの多孔質体を極太繊度の合成繊維を製編織した基布で被覆した洗浄具が市販されているが、非洗浄面と接触する部分は極太繊度の合成繊維であるため、汚れ除去性に対して効果はなく、すなわち洗浄性の点ではこのような被覆材は実際には意味をなさない。しかしながら、表面が被覆されていないスポンジ単体で使用する場合、安価な軟質ウレタン製のスポンジはポリエステル系であるため加水分解が生じ易く、強度が低下し、短期間で部分的な破壊が生じてしまって使用できなくなることが多いという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような従来の身体、洗面台、浴槽および調度類の洗浄時の課題点を解消するために開発されたものであって、洗浄作用および耐久性の点でより優れた洗浄具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本願発明者は、鋭意検討を重ねてきた。その結果、極細繊維を花糸とするモール糸を袋状に製編した洗浄用払拭布が所定の相対密度を有する繊維集積体からなる多孔質体を着脱可能な状態で被覆することにより、より優れた洗浄性が達成できることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、極細繊維を花糸とするモール糸からなる洗浄用払拭布によって相対密度が0.05以下である多孔質体を着脱可能な状態で被覆してなる洗浄具であり、好ましくは極細繊維の単繊維繊度が0.1〜1.0dtexである上記の洗浄用払拭布およびそれを用いた洗浄具である。さらに好ましくは洗浄用払拭布が袋状である上記の洗浄具であり、より好ましくは多孔質体が繊維集積体である上記の洗浄具である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の洗浄用払拭布は極細繊維を花糸とするモール糸からなり、好ましくは袋状に形成される。該モール糸は洗剤などに含まれる界面活性剤の起泡性を高めるように作用し、細かな泡を形成して洗浄性を高める効果がある。
【0008】
本発明のモール糸を形成する花糸は極細繊維で構成されるが、該極細繊維の単繊維繊度は0.1〜1.0dtexであることが好ましい。極細繊維の単繊維繊度が0.1dtexを下回ると拭き取り時に単繊維が切断されて被洗浄面に毛羽を残すことになる。また、逆に1.0dtexを上回ると拭き取り性能が不十分となる。好ましくは0.2〜0.5dtexである。また、該花糸は、単繊維の方向が乱れることによるワイピング性が向上するという点で捲縮を有していることが好ましく、仮撚捲縮を有していることがより好ましい。
【0009】
該花糸を構成する極細繊維としては、2種以上の互いに非相溶性の繊維形成性熱可塑性重合体が組み合わされてなる分割型複合繊維、あるいは易溶出性成分と難溶出性成分によって構成され、易溶出成分を溶出し難溶出成分が複数個に分割された形態の分割型複合繊維を用いることが好ましい。
かかる分割型複合繊維の断面形状としては、一般的に分割型複合繊維として知られたものを用いることができ、その断面形状は平板型、花弁型、放射型、くさび型など種々のものを併用することができる。
特に本発明においては、分割後の断面が扁平となるようなサイドバイサイド型に接合している分割型複合繊維が拭き取り性の点においてより好ましい。
【0010】
なお、該分割型複合繊維の分割方法は特に限定はなく、薬剤による方法、仮撚加工による方法、加熱処理により行う方法を採用することができ、いわゆる分割度合は適宜制御できるものである。
【0011】
また、本発明の洗浄用払拭布に用いるモール糸を形成する花糸は、芯糸からの高さが0.5〜3mmであり、好ましくは、1〜2mmである。高さが0.5mmを下回っても、3mmを上回っても凹部に付着した汚れを隅々まで拭き取ることができなくなり、洗浄性が悪くなる。
【0012】
本発明に用いる花糸を構成する繊維については、特に制限はなく、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビニロン、エチレン-ビニルアルコール系共重合体繊維等が挙げられるが、泡立ち性の点から疎水性繊維が好ましく、特にナイロンおよび/あるいはポリエステルを含む分割型複合繊維であることが好ましい。
本発明に用いる芯糸を構成する繊維についても、特に制限はなく、ポリエステル、ナイロン等が挙げられるが、接着性の点でナイロンを用いることがより好ましい。
【0013】
本発明においては、該花糸の線密度が7〜15本/cmで把持されていることが好ましい。線密度が7本/cmを下回ると被洗浄物との密着度合が低下して拭き取り性が悪くなる。一方、線密度が15本/cmを上回るとモール糸を製造する上で加工速度が極端に低くなり、コスト的に不利になる。なお、線密度はモール製造時の条件により設定する。
【0014】
本発明の洗浄用払拭布に使用するモール糸の嵩は、花糸により殆どが占められており、また洗浄性能は構成繊維である極細繊維の状態に深く影響されるものである。したがって、モール糸の繊度については特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0015】
本発明に係るモール糸の製造は、例えば、モール撚糸機に複数本の芯糸(この内幾本かを花糸接着のため接着性繊維とする場合がある)を供給しつつその周りに花糸を巻き付け、その後カッターで巻き付けた花糸を切断しながら撚糸を行ないモール糸とするもの、また接着性繊維を用いる場合は、上記モール糸を形成後、接着性繊維が融解する温度で熱処理し、芯糸と花糸とを接着固定することにより芯糸からの花糸の脱落を防止したモール糸とするものであるが、本発明においてはこのようなモール糸の製造方法に限らず、他に例えば、ラッシェル法やトリコット法を用いてモール糸を製造しても良く、製造方法は特に限定されない。
尚、本発明に使用するモール糸は制菌加工、抗菌加工を施すことによって、悪臭を放ったり、菌等が繁殖することを防止し、清潔に保つことも可能である。
【0016】
また、本発明の洗浄具は洗浄用払拭布が多孔質体を着脱可能な状態で被覆することを特徴としている。着脱可能な状態とすることは洗浄用払拭布のみを洗濯により清浄に保つことが出来る点で必要であるが、そのためには該洗浄用払拭布を袋状に形成することが好ましい。袋状に形成する方法としては筒編み機または手袋編機を好適に用いることが出来る。該手袋編機を用いて開口部にゴム糸を挿入してもよく、または縫製によりほつれを防止することもできる。尚、袋の形態は特に限定されず、多孔質体が挿入できる形状であればよい。
また、洗浄用払拭布の表面構造はパイル組織を有していても、あるいは天竺組織、鹿の子組織、メッシュ組織を有していてもよく、特に限定されない。
【0017】
本発明においては、多孔質体を袋状の洗浄用払拭布に挿入して使用するが、多孔質体は石鹸、洗剤の水溶液の貯蔵部となると同時に泡を形成させる発泡生成部の機能を有するものである。
このような多孔質体としてはウレタン製スポンジが代表的であるが、ウレタン製スポンジがクローズドポアを有する多孔質である場合は、洗浄後の泡切れ性が悪く、十分に水洗しなければ、内部に有害バクテリアが繁殖してしまうといった問題があるため、ウレタン製スポンジはオープンポアを有していることが好ましい。しかしながら、通常の洗浄用に使用される軟質ウレタンスポンジは安価なポリエステル系ウレタンであるために加水分解が生じ易く、耐久性に劣るので、素材としては好ましいものではない。
したがって、本発明において挿入する多孔質体としては乾式不織布に代表されるような構造的にオープンポアを有している繊維集積体であることが好ましい。
【0018】
次に、発泡性を確保するためには多孔質体の相対密度は0.05以下であることが重要である。0.05を上回ると硬化した構造のものとなり、厚みのある該多孔質体では変形し難いため、石鹸または洗剤の起泡性を損なうことになる。好ましくは0.03以下である。
尚、相対密度は多孔質体の見掛け比重を構成成分の比重で除して求められる。
【0019】
以下、図面を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明に用いるモール糸1の一例を示す側面模式図であり、2は芯糸、3は花糸を示す。該花糸は、実質的に芯糸に付与された撚によって糸軸の周りに円筒形状に配置されているものである。本発明により作成されるモール糸は内接円換算の直径が1〜4mmであり、また、花糸3の高さ4は芯糸2から切断片端面までの長さで表わす。また、線密度は花糸3が芯糸2の軸方向1cmの間に把持された本数を示すものであって、上記の高さと線密度は拡大鏡により実測できる。
【0020】
図2は、本発明に用いる分割型複合繊維の一例を示す横断面模式図であって、分割型複合繊維は、繊維横断面が2種以上の非相溶性の繊維形成性熱可塑性重合体が接合した構造の複合繊維であればいずれでもよく、代表例としては、互いに非相溶性の2種類の繊維形成性熱可塑性重合体AとBとが図2の(a)、(b)に示すように平行状またはほぼ平行状に接合しているもの、図2(c)に示すように放射状に接合しているもの、図2(d)に示すようにややランダム状に接合しているものなどを挙げることができる。しかしながら、分割型複合繊維は、図2のものに何ら限定されるものではない。
【0021】
図3は、本発明の洗浄具の一例を示す斜視図であって、洗浄用払拭布5の中に多孔質体6が挿入されている状態を示す。
洗浄用払拭布5の開口部7にはゴム糸が挿入されている。また、モール糸1が洗浄用払拭布5の表面に配設している。
【0022】
本発明のような、極細繊維を花糸とするモール糸を袋状に製編した洗浄用払拭布が多孔質体を着脱可能な状態で被覆してなる洗浄具は、効果的な洗浄性と多孔質体の耐久性向上が達成できる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は本実施例により何等限定されるものではない。
【0024】
[実施例1]
(1)袋状構造体の製造(洗浄用払拭布の製造)
6−ナイロン(A)とポリエチレンテレフタレート(B)を1:2の質量比で図2(a)に示す横断面構造の11分割型複合繊維を紡糸して165dtex/48フィラメントの延伸糸を得た。得られた糸を仮撚数2350T/M、1段ヒーター温度180℃、2段ヒーター温度170℃により仮撚加工を施して、糸の長手方向に部分的に分割が生じた極細繊維を得た。得られた極細繊維の単繊維繊度は0.04dtexであった。
そして、芯糸原糸として55dtex/10フィラメントのナイロン製熱融着糸とナイロンスパン30/1(30番手1本)とを用意し、また、押さえ糸として20dtex/5フィラメントのナイロン仮撚糸と前記ナイロン製融着糸を準備した。
さらに、花糸として上記の165dtex/48フィラメントの仮撚加工を施した複合繊維を準備し、これらをモール撚糸機に供給して花糸の高さが1mm、線密度が9本/cmである1050dtexのモール糸を作成した。
次に、得られたモール糸を10ゲージの手袋編機を用いて天竺組織により一端が閉じた袋状構造体を製編した。
【0025】
(2)繊維集積体の製造
融着繊維として鞘成分がエチレン・ビニルアルコール共重合体である複合繊維〔(株)クラレ製「ソフィスタ」(登録商標)〕の22dtex51mmカットの原綿(比重1.254g/cm3)を100%用いてカードウェッブを作成し、180℃、2分間の熱処理により相対密度0.0405(見掛け比重0.0508g/cm3、厚み12mm)のシート状繊維集積体を得た。
(3)洗浄用払拭布を被覆した洗浄具の製造
上記(1)で得られた袋状構造体に(2)で得た繊維集積体を4層積層して被覆し、本発明の洗浄具を得た。
【0026】
[比較例1]
繊維集積体の構成は実施例1と全く同一とし、相対密度を0.0531(見掛け比重0.0666g/cm3、厚み14mm)としたシート状繊維集積体とした以外は実施例1で得られた袋状構造体により被覆して洗浄具を得た。
【0027】
[比較例2]
実施例1において、得られた袋状構造体を開いて平面状にしたものを洗浄具として得た。すなわち、繊維集積体を被覆しない形状のものを洗浄具とした。
【0028】
実施例1および比較例1〜2により得た洗浄具に液体石鹸を1gと水1gを保持させ、手揉みによる起泡性評価およびを10人のモニターについて複数回答により実施した。その結果、10人が実施例1の構成による洗浄具は、洗浄性が良好であるとの回答が得られた。一方、相対密度が0.05よりも大きい繊維集積体からなる多孔質体を使用した比較例1は泡立てるには硬く、殆ど泡立てることが出来ず、洗浄性も不良であった。また、多孔質体を被覆していない比較例2も同様に殆ど泡立てることが出来ず、洗浄性が不良であった。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、石鹸や洗剤を使用する身体、洗面台、浴槽および調度類の洗浄において極細繊維を花糸とするモール糸を袋状に製編した洗浄用払拭布を相対密度が0.05以下となる多孔質体に着脱可能な状態で被覆した構造の洗浄具であるため、起泡性が高く、また極細繊維であるための優れた洗浄効果が発揮できる。また、多孔質体が繊維集積体である場合、泡切れ性がより良好であり、洗浄用払拭布を取り外して洗濯により清浄に保つことも可能である。
さらに、不要になった本発明以外の多孔質体であっても、多孔質体が繊維集積体であり、相対密度が0.05以下であれば、該多孔質体に洗浄用払拭布を被覆して本発明の洗浄具として使用することも可能であり、リデュース、リユースおよびリサイクルにも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるモール糸の一例を示す側面模式図
【図2】本発明に用いる分割型複合繊維の一例を示す横断面模式図
【図3】本発明の洗浄具の一例を示す斜視模式図
【符号の説明】
A:繊維形成性熱可塑性重合体
B:重合体Aと非相溶性の繊維形成性熱可塑性重合体
1:モール糸
2:芯糸
3:花糸
4:花糸3の高さ
5:洗浄用払拭布
6:多孔質体
7:開口部
【発明の属する技術分野】
本発明は、身体、洗面台、浴槽および調度類を洗浄するための洗浄用払拭布およびそれを用いてなる洗浄具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より極細繊維からなる編織物または不織布が貴金属、食器、家具、自動車、OA機器、楽器、ガラス製品、ショーケース、鏡等に付着した指紋、油汚れを洗剤を使用することなく乾・水拭きにより除去するための清掃具として利用されている。一方、身体、洗面台、浴槽および調度類等の洗浄においては石鹸、洗剤を用いる習慣が根強く、単に上記の極細繊維を含む編織物または不織布等の形態のものでは石鹸、洗剤を付与しても泡立ちが悪く、汚れ除去性は満足できるものではなかった。
【0003】
一方、安価な軟質ウレタン製のスポンジなどの多孔質体を極太繊度の合成繊維を製編織した基布で被覆した洗浄具が市販されているが、非洗浄面と接触する部分は極太繊度の合成繊維であるため、汚れ除去性に対して効果はなく、すなわち洗浄性の点ではこのような被覆材は実際には意味をなさない。しかしながら、表面が被覆されていないスポンジ単体で使用する場合、安価な軟質ウレタン製のスポンジはポリエステル系であるため加水分解が生じ易く、強度が低下し、短期間で部分的な破壊が生じてしまって使用できなくなることが多いという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような従来の身体、洗面台、浴槽および調度類の洗浄時の課題点を解消するために開発されたものであって、洗浄作用および耐久性の点でより優れた洗浄具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本願発明者は、鋭意検討を重ねてきた。その結果、極細繊維を花糸とするモール糸を袋状に製編した洗浄用払拭布が所定の相対密度を有する繊維集積体からなる多孔質体を着脱可能な状態で被覆することにより、より優れた洗浄性が達成できることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、極細繊維を花糸とするモール糸からなる洗浄用払拭布によって相対密度が0.05以下である多孔質体を着脱可能な状態で被覆してなる洗浄具であり、好ましくは極細繊維の単繊維繊度が0.1〜1.0dtexである上記の洗浄用払拭布およびそれを用いた洗浄具である。さらに好ましくは洗浄用払拭布が袋状である上記の洗浄具であり、より好ましくは多孔質体が繊維集積体である上記の洗浄具である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の洗浄用払拭布は極細繊維を花糸とするモール糸からなり、好ましくは袋状に形成される。該モール糸は洗剤などに含まれる界面活性剤の起泡性を高めるように作用し、細かな泡を形成して洗浄性を高める効果がある。
【0008】
本発明のモール糸を形成する花糸は極細繊維で構成されるが、該極細繊維の単繊維繊度は0.1〜1.0dtexであることが好ましい。極細繊維の単繊維繊度が0.1dtexを下回ると拭き取り時に単繊維が切断されて被洗浄面に毛羽を残すことになる。また、逆に1.0dtexを上回ると拭き取り性能が不十分となる。好ましくは0.2〜0.5dtexである。また、該花糸は、単繊維の方向が乱れることによるワイピング性が向上するという点で捲縮を有していることが好ましく、仮撚捲縮を有していることがより好ましい。
【0009】
該花糸を構成する極細繊維としては、2種以上の互いに非相溶性の繊維形成性熱可塑性重合体が組み合わされてなる分割型複合繊維、あるいは易溶出性成分と難溶出性成分によって構成され、易溶出成分を溶出し難溶出成分が複数個に分割された形態の分割型複合繊維を用いることが好ましい。
かかる分割型複合繊維の断面形状としては、一般的に分割型複合繊維として知られたものを用いることができ、その断面形状は平板型、花弁型、放射型、くさび型など種々のものを併用することができる。
特に本発明においては、分割後の断面が扁平となるようなサイドバイサイド型に接合している分割型複合繊維が拭き取り性の点においてより好ましい。
【0010】
なお、該分割型複合繊維の分割方法は特に限定はなく、薬剤による方法、仮撚加工による方法、加熱処理により行う方法を採用することができ、いわゆる分割度合は適宜制御できるものである。
【0011】
また、本発明の洗浄用払拭布に用いるモール糸を形成する花糸は、芯糸からの高さが0.5〜3mmであり、好ましくは、1〜2mmである。高さが0.5mmを下回っても、3mmを上回っても凹部に付着した汚れを隅々まで拭き取ることができなくなり、洗浄性が悪くなる。
【0012】
本発明に用いる花糸を構成する繊維については、特に制限はなく、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビニロン、エチレン-ビニルアルコール系共重合体繊維等が挙げられるが、泡立ち性の点から疎水性繊維が好ましく、特にナイロンおよび/あるいはポリエステルを含む分割型複合繊維であることが好ましい。
本発明に用いる芯糸を構成する繊維についても、特に制限はなく、ポリエステル、ナイロン等が挙げられるが、接着性の点でナイロンを用いることがより好ましい。
【0013】
本発明においては、該花糸の線密度が7〜15本/cmで把持されていることが好ましい。線密度が7本/cmを下回ると被洗浄物との密着度合が低下して拭き取り性が悪くなる。一方、線密度が15本/cmを上回るとモール糸を製造する上で加工速度が極端に低くなり、コスト的に不利になる。なお、線密度はモール製造時の条件により設定する。
【0014】
本発明の洗浄用払拭布に使用するモール糸の嵩は、花糸により殆どが占められており、また洗浄性能は構成繊維である極細繊維の状態に深く影響されるものである。したがって、モール糸の繊度については特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0015】
本発明に係るモール糸の製造は、例えば、モール撚糸機に複数本の芯糸(この内幾本かを花糸接着のため接着性繊維とする場合がある)を供給しつつその周りに花糸を巻き付け、その後カッターで巻き付けた花糸を切断しながら撚糸を行ないモール糸とするもの、また接着性繊維を用いる場合は、上記モール糸を形成後、接着性繊維が融解する温度で熱処理し、芯糸と花糸とを接着固定することにより芯糸からの花糸の脱落を防止したモール糸とするものであるが、本発明においてはこのようなモール糸の製造方法に限らず、他に例えば、ラッシェル法やトリコット法を用いてモール糸を製造しても良く、製造方法は特に限定されない。
尚、本発明に使用するモール糸は制菌加工、抗菌加工を施すことによって、悪臭を放ったり、菌等が繁殖することを防止し、清潔に保つことも可能である。
【0016】
また、本発明の洗浄具は洗浄用払拭布が多孔質体を着脱可能な状態で被覆することを特徴としている。着脱可能な状態とすることは洗浄用払拭布のみを洗濯により清浄に保つことが出来る点で必要であるが、そのためには該洗浄用払拭布を袋状に形成することが好ましい。袋状に形成する方法としては筒編み機または手袋編機を好適に用いることが出来る。該手袋編機を用いて開口部にゴム糸を挿入してもよく、または縫製によりほつれを防止することもできる。尚、袋の形態は特に限定されず、多孔質体が挿入できる形状であればよい。
また、洗浄用払拭布の表面構造はパイル組織を有していても、あるいは天竺組織、鹿の子組織、メッシュ組織を有していてもよく、特に限定されない。
【0017】
本発明においては、多孔質体を袋状の洗浄用払拭布に挿入して使用するが、多孔質体は石鹸、洗剤の水溶液の貯蔵部となると同時に泡を形成させる発泡生成部の機能を有するものである。
このような多孔質体としてはウレタン製スポンジが代表的であるが、ウレタン製スポンジがクローズドポアを有する多孔質である場合は、洗浄後の泡切れ性が悪く、十分に水洗しなければ、内部に有害バクテリアが繁殖してしまうといった問題があるため、ウレタン製スポンジはオープンポアを有していることが好ましい。しかしながら、通常の洗浄用に使用される軟質ウレタンスポンジは安価なポリエステル系ウレタンであるために加水分解が生じ易く、耐久性に劣るので、素材としては好ましいものではない。
したがって、本発明において挿入する多孔質体としては乾式不織布に代表されるような構造的にオープンポアを有している繊維集積体であることが好ましい。
【0018】
次に、発泡性を確保するためには多孔質体の相対密度は0.05以下であることが重要である。0.05を上回ると硬化した構造のものとなり、厚みのある該多孔質体では変形し難いため、石鹸または洗剤の起泡性を損なうことになる。好ましくは0.03以下である。
尚、相対密度は多孔質体の見掛け比重を構成成分の比重で除して求められる。
【0019】
以下、図面を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明に用いるモール糸1の一例を示す側面模式図であり、2は芯糸、3は花糸を示す。該花糸は、実質的に芯糸に付与された撚によって糸軸の周りに円筒形状に配置されているものである。本発明により作成されるモール糸は内接円換算の直径が1〜4mmであり、また、花糸3の高さ4は芯糸2から切断片端面までの長さで表わす。また、線密度は花糸3が芯糸2の軸方向1cmの間に把持された本数を示すものであって、上記の高さと線密度は拡大鏡により実測できる。
【0020】
図2は、本発明に用いる分割型複合繊維の一例を示す横断面模式図であって、分割型複合繊維は、繊維横断面が2種以上の非相溶性の繊維形成性熱可塑性重合体が接合した構造の複合繊維であればいずれでもよく、代表例としては、互いに非相溶性の2種類の繊維形成性熱可塑性重合体AとBとが図2の(a)、(b)に示すように平行状またはほぼ平行状に接合しているもの、図2(c)に示すように放射状に接合しているもの、図2(d)に示すようにややランダム状に接合しているものなどを挙げることができる。しかしながら、分割型複合繊維は、図2のものに何ら限定されるものではない。
【0021】
図3は、本発明の洗浄具の一例を示す斜視図であって、洗浄用払拭布5の中に多孔質体6が挿入されている状態を示す。
洗浄用払拭布5の開口部7にはゴム糸が挿入されている。また、モール糸1が洗浄用払拭布5の表面に配設している。
【0022】
本発明のような、極細繊維を花糸とするモール糸を袋状に製編した洗浄用払拭布が多孔質体を着脱可能な状態で被覆してなる洗浄具は、効果的な洗浄性と多孔質体の耐久性向上が達成できる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は本実施例により何等限定されるものではない。
【0024】
[実施例1]
(1)袋状構造体の製造(洗浄用払拭布の製造)
6−ナイロン(A)とポリエチレンテレフタレート(B)を1:2の質量比で図2(a)に示す横断面構造の11分割型複合繊維を紡糸して165dtex/48フィラメントの延伸糸を得た。得られた糸を仮撚数2350T/M、1段ヒーター温度180℃、2段ヒーター温度170℃により仮撚加工を施して、糸の長手方向に部分的に分割が生じた極細繊維を得た。得られた極細繊維の単繊維繊度は0.04dtexであった。
そして、芯糸原糸として55dtex/10フィラメントのナイロン製熱融着糸とナイロンスパン30/1(30番手1本)とを用意し、また、押さえ糸として20dtex/5フィラメントのナイロン仮撚糸と前記ナイロン製融着糸を準備した。
さらに、花糸として上記の165dtex/48フィラメントの仮撚加工を施した複合繊維を準備し、これらをモール撚糸機に供給して花糸の高さが1mm、線密度が9本/cmである1050dtexのモール糸を作成した。
次に、得られたモール糸を10ゲージの手袋編機を用いて天竺組織により一端が閉じた袋状構造体を製編した。
【0025】
(2)繊維集積体の製造
融着繊維として鞘成分がエチレン・ビニルアルコール共重合体である複合繊維〔(株)クラレ製「ソフィスタ」(登録商標)〕の22dtex51mmカットの原綿(比重1.254g/cm3)を100%用いてカードウェッブを作成し、180℃、2分間の熱処理により相対密度0.0405(見掛け比重0.0508g/cm3、厚み12mm)のシート状繊維集積体を得た。
(3)洗浄用払拭布を被覆した洗浄具の製造
上記(1)で得られた袋状構造体に(2)で得た繊維集積体を4層積層して被覆し、本発明の洗浄具を得た。
【0026】
[比較例1]
繊維集積体の構成は実施例1と全く同一とし、相対密度を0.0531(見掛け比重0.0666g/cm3、厚み14mm)としたシート状繊維集積体とした以外は実施例1で得られた袋状構造体により被覆して洗浄具を得た。
【0027】
[比較例2]
実施例1において、得られた袋状構造体を開いて平面状にしたものを洗浄具として得た。すなわち、繊維集積体を被覆しない形状のものを洗浄具とした。
【0028】
実施例1および比較例1〜2により得た洗浄具に液体石鹸を1gと水1gを保持させ、手揉みによる起泡性評価およびを10人のモニターについて複数回答により実施した。その結果、10人が実施例1の構成による洗浄具は、洗浄性が良好であるとの回答が得られた。一方、相対密度が0.05よりも大きい繊維集積体からなる多孔質体を使用した比較例1は泡立てるには硬く、殆ど泡立てることが出来ず、洗浄性も不良であった。また、多孔質体を被覆していない比較例2も同様に殆ど泡立てることが出来ず、洗浄性が不良であった。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、石鹸や洗剤を使用する身体、洗面台、浴槽および調度類の洗浄において極細繊維を花糸とするモール糸を袋状に製編した洗浄用払拭布を相対密度が0.05以下となる多孔質体に着脱可能な状態で被覆した構造の洗浄具であるため、起泡性が高く、また極細繊維であるための優れた洗浄効果が発揮できる。また、多孔質体が繊維集積体である場合、泡切れ性がより良好であり、洗浄用払拭布を取り外して洗濯により清浄に保つことも可能である。
さらに、不要になった本発明以外の多孔質体であっても、多孔質体が繊維集積体であり、相対密度が0.05以下であれば、該多孔質体に洗浄用払拭布を被覆して本発明の洗浄具として使用することも可能であり、リデュース、リユースおよびリサイクルにも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるモール糸の一例を示す側面模式図
【図2】本発明に用いる分割型複合繊維の一例を示す横断面模式図
【図3】本発明の洗浄具の一例を示す斜視模式図
【符号の説明】
A:繊維形成性熱可塑性重合体
B:重合体Aと非相溶性の繊維形成性熱可塑性重合体
1:モール糸
2:芯糸
3:花糸
4:花糸3の高さ
5:洗浄用払拭布
6:多孔質体
7:開口部
Claims (4)
- 極細繊維を花糸とするモール糸からなる洗浄用払拭布によって相対密度が0.05以下である多孔質体を着脱可能な状態で被覆してなる洗浄具。
- 極細繊維の単繊維繊度が0.1〜1.0dtexである請求項1に記載の洗浄用払拭布およびそれを用いた洗浄具。
- 洗浄用払拭布が袋状である請求項1または2に記載の洗浄具。
- 多孔質体が繊維集積体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄具。
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