JP3875833B2 - エンジン始動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されるエンジン始動装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種エンジン始動装置のなかには、エンジン始動をする駆動ギアに動力伝動するためのモータ軸を備えた電動モータと、該電動モータへの電源供給を断続切換えするスイッチ部と、該スイッチ部の切換え制御をする電磁装置とを備えて構成したものがある。そして、このようなものにおいて、スイッチ部に、電動モータの刷子を支持するホルダステーから外径方向に起立する起立片部および該起立片部の外周縁部から軸方向に突出する周片部とを備えたスイッチ室と、該スイッチ室の周片部から上方に脚部が露出してバッテリ電源が接続されるボルトと、L字状に形成され、一端部がボルトの頭部と周片部の上側内面とのあいだに挟持され、他端部がスイッチ室起立側部内面に対向する固定接点と、前記電磁装置の切換え制御に基づいて固定接点他端部に離接する可動接点とを設けて構成し、電磁装置の励磁に伴い可動接点を変位せしめて固定接点に導通させ、これに伴い可動接点側に接続されるピグテールに電源供給し、電動モータを駆動せしめることで駆動ギアを回転させるようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなエンジン始動装置は、エンジンルーム内に配設されているため、エンジン駆動を継続することに伴い高温、多湿な状態になる一方で、エンジン停止に伴い温度低下するという条件下におかれている。一方、エンジン始動装置を構成する前記スイッチ部において、ボルト、固定接点、可動接点は熱伝導率の低い導電体である銅が一般に用いられる。しかもエンジン始動時では、ボルトにはバッテリ電源が接続されているため熱の引込みが大きく、ボルトと固定接点、特にボルトと該ボルトに当接する固定接点一端部が他の部位に比してより高温になる。このため、エンジンが停止してエンジン室内が温度低下したとき、これに伴い温度低下する前記ボルトと固定接点とに結露現象が生じてしまうという問題がある。そしてこのようになると、結露した水は滴下することになるが、従来、エンジン始動装置のスイッチ部はホルダステーの上方に配されるのが一般であり、このため、結露した水は、スイッチ室の下方に位置するブラシやコンミテータ等のモータ部材側に流れ込んでしまう惧れがあって問題があり、ここに本発明が解決しようとする課題があった。
さらに、スイッチ部において、可動接点を固定接点他端部に対して離接させるための部材としてスイッチシャフトを用いる場合、該スイッチシャフトはスイッチ室の起立片部に摺動自在に支持され、前記電磁装置の切換え制御に基づいて変位するように構成されており、固定接点一端部の下方に配されている。このため、前記結露した水がスイッチシャフトに付着し、該付着した水がスイッチシャフトとスイッチ室との摺動面である狭い隙間に入り込む惧れがあり、これが、寒冷地であって外気が氷点下になるような環境下では、前記入り込んだ水が凍って(氷着して)しまい、励磁装置の磁力でスイッチシャフトをスイッチ室に対して変位させることができなく(不作動と)なってしまうことも想定され、ここにも本発明が解決しようとする課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、エンジン始動をする駆動ギアに動力伝動するためのモータ軸を備えた電動モータと、該電動モータへの電源供給を断続切換えするスイッチ部と、該スイッチ部の切換え制御をする電磁装置とを備えて構成されるエンジン始動装置において、前記スイッチ部を、電動モータの刷子を支持するホルダステーから外径方向に起立する起立片部および該起立片部の外周縁部から軸方向に突出する周片部とを備えたスイッチ室と、該スイッチ室の周片部から上方に脚部が露出してバッテリ電源が接続されるボルトと、L字状に形成され、一端部がボルトの頭部と周片部の上側内面とのあいだに挟持され、他端部がスイッチ室起立片部内面に対向する固定接点と、前記電磁装置の切換え制御に基づいて固定接点他端部に離接する可動接点とを備えて構成するにあたり、前記スイッチ室起立片部の固定接点他端部に対向する内面部位からホルダステー外径側を迂回するようにして誘導溝部が形成されるとともに、該誘導溝部の誘導端にはホルダステーを軸方向に貫通してヨークに形成の水抜き孔から排水するための排水孔が形成されているエンジン始動装置である。
そして、このようにすることにより、スイッチ室に生じる結露を、ホルダステー外径側に誘導できる。
請求項2の発明は、エンジン始動をする駆動ギアに動力伝動するためのモータ軸を備えた電動モータと、該電動モータへの電源供給を断続切換えするスイッチ部と、該スイッチ部の切換え制御をする電磁装置とを備えて構成されるエンジン始動装置において、前記スイッチ部を、電動モータの刷子を支持するホルダステーから外径方向に起立する起立片部および該起立片部の外周縁部から前記モータ軸の軸方向に向けて突出する周片部とを備えたスイッチ室と、該スイッチ室の周片部から上方に脚部が露出してバッテリ電源が接続されるボルトと、L字状に形成され、一端部がボルトの頭部と周片部の上側内面とのあいだに挟持され、他端部がスイッチ室起立片部内面に対向する固定接点と、起立片部に摺動自在に支持され、前記電磁装置の磁力を受けて変位するスイッチシャフトと、該スイッチシャフトに固定され、スイッチシャフトの変位に伴い固定接点他端部に離接する可動接点とを備えて構成するにあたり、前記スイッチシャフトと起立片部とのあいだの摺動部には、前記軸方向に向けて直線状または螺旋状になった凹溝条部が周回り方向複数形成されていると共に、スイッチシャフトの起立片部との摺動部には凹溝条部を介して水が溜るものとし、該水が凍結したときのスイッチシャフトの固着力は、励磁装置の磁力を上回らないように設定されているエンジン始動装置である。
そして、このようにすることによって、スイッチシャフトと起立片部との摺動部に入り込む水を局所的にして、摺動部における氷着面積を小さくできる。さらに、スイッチシャフトの凍結による不作動が発生しないようにできる。
請求項3の発明は、請求項1または2において、ボルト頭部と固定接点一端部とのあいだには、互いの導通状態を許容する接触部と、対向間に空隙を存する非接触部とが形成されているエンジン始動装置である。これによって、スイッチ室内の結露をボルトの頭部に集中させることができる。
請求項4の発明は、請求項1、2または3において、ボルト頭部の内径側面部には、ボルトの径方向を向いていて、ボルト頭部に発生した水を毛細管現象を生じる状態で保持するための少なくとも一本の細溝部が形成されており、該細溝部の溝端部は、周片部の左右内面に近接対向するように構成されていて、前記細溝部に保持される量を超えた水は細溝部溝端部に達して周片部内面に沿うようにして流れるエンジン始動装置である。これによって、ボルトの細溝部に水を保持することができる。
請求項5の発明は、請求項2において、凹溝条部は、軸方向直線状に形成されているエンジン始動装置である。
請求項6の発明は、請求項2において、凹溝条部は、螺旋形状に形成されているエンジン始動装置である。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第一の実施の形態を図1〜図5の図面に基づいて説明する。
図面において、1は車両等に搭載されるエンジンを始動するためのエンジン始動装置(スタータモータ)であって、該エンジン始動装置1を構成する電動モータMは、汎用の整流子式直流モータが用いられており、モータ軸2の基端部は、筒状のヨーク3の基端側開口を塞ぐエンドカバー3aに軸承されている。そして、モータ軸2の先端側には、コンミテータ(整流子)4が一体的に外嵌され、該コンミテータ4を遊嵌するようにして後述するリング状のホルダステー5が組込まれているが、このホルダステー5はヨーク3の先端側開口部に固定される状態で組込まれている。
【0006】
6は、電動モータMの先端側、つまり、ホルダステー5に隣接する状態で配される減速装置Dを構成するケース体であって、該ケース体6は有底筒状に形成され、底面部6aに形成の軸受部6bには、後述するピニオンギア7が配される駆動軸8の基端部が回動自在に軸承されている。前記ケース体6の筒内には、モータ軸2と同方向に伸長するギア軸9aを有した複数の遊星ギア9が周回り方向に複数配されており、該遊星ギア9のギア歯9bが、ケース体6筒内に突出するモータ軸2先端に形成されたギア歯2aと噛合するように設定されている。さらに、各遊星ギア9のギア歯9bは、ケース体6の筒端部内周面に形成された内歯ギア6cと噛合する一方、各遊星ギア軸9aはカバー体底面6aと遊星ギア9とのあいだの空隙部に配されるリング状の支持板10に固定されている。この支持板10は、ケース体底面6aに対しては相対移動可能で、かつ遊星ギア9の回動を許容する状態で配されており、支持板10の内径側縁部には、ケース体底面6aに軸承された前記駆動軸8の基端部が回り止め状に一体連結されている。これによって、モータ軸2の回転に伴いケース体6内を回転する遊星ギア9の回転に基づいて、支持板10とともに駆動軸8が一体回転するように構成され、しかして、モータ軸2の駆動力が減速された状態で駆動軸8に動力伝動されるように設定されている。
【0007】
前記駆動軸8の先端部には一方向回転式のクラッチ装置Cが配されるが、該クラッチ装置Cを構成するクラッチインナ11の筒内周面11aにはヘリカルスプラインが形成され、駆動軸8の先端部外周面に刻設されたヘリカルスプライン8aに噛合している。そして、駆動軸8とクラッチインナ11とのあいだに相対回転が生じたとき、クラッチインナ11はヘリカルスプライン8aに沿って回転移動して、駆動軸8の基端側に位置する非作用位置(図1における上半部に図示される位置)と先端側に位置する作用姿勢(図1における下辺部に図示される位置)とのあいだを移動するように設定されている。さらに、前記クラッチインナ11の先端側には、先端外周部に前記ピニオンギア7が形成されたクラッチアウタ12が連結されるが、該クラッチアウタ12は、クラッチインナ11に対して軸方向への移動は一体となるが、周回り方向への移動は自由な状態となる状態で連結され、また、駆動軸8に遊嵌することで駆動軸に8に対して相対回転自在となるように設定されている。そして、クラッチアウタ12は、後述するように駆動軸8が回転することに伴いクラッチインナ11が非作用位置から作用位置に移動することによって、先端側のピニオンギア7がエンジン側のリングギア13に噛合するようになっており、この状態で駆動軸8が回転することに伴い、エンジンの始動がなされるように設定されている。
尚、クラッチインナ11は、駆動軸8先端側に設けたストッパ部材8bとのあいだに第一復帰弾機11bが弾装されており、クラッチインナ11を駆動軸8の基端側に向けて付勢している。
【0008】
さらに、減速装置Dとクラッチ装置Cとのあいだには電磁装置Eが設けられるが、該電磁装置Eを構成する励磁コイル14は駆動軸8外周面とのあいだに所定間隔を存する状態で外嵌状に配されている。そして、励磁コイル14の内周面には、該励磁コイル14の励磁に伴う予め設定される磁力を受けて変位する第一プランジャ15が軸方向に摺動自在な状態で配されている。該第一プランジャ15は、励磁コイル14の内周面に摺動する筒状部15aと、該筒状部15aの基端から外径側に突出する鍔状部15bとを備えて形成されており、この鍔状部15bに、後述するスイッチ部Sに組込まれるスイッチシャフト16先端部が一体的に連結されている。そして、第一プランジャ15は、励磁コイル14の非励磁状態で、鍔部15bが減速装置Dのケース体底面6aに近接対向して、励磁コイル14基端側面とのあいだが離間する非励磁位置に位置しており、励磁コイル14が励磁状態になることに伴い、鍔部15bが励磁コイル14基端側面に当接する励磁位置に変位するように設定されている。尚、15cは鍔状部15bと励磁コイル14とのあいだに配される第二復帰弾機であって、第一プランジャ15を基端側に向けて付勢している。
【0009】
一方、17は、第一プランジャ筒状部15a内周面に相対移動自在に設けられる第二プランジャであって、該第二プランジャ17も励磁コイル14の励磁に伴う磁力を受けて軸方向に変位するが、該第二プランジャ17は前記第一プランジャ15よりも後行して変位するべく、第二プランジャ17の先端部が第一プランジャ15先端部よりも軸方向基端側に位置するように配されている。また、前記第二プランジャ17の内周面と駆動軸8外周面とのあいだには、駆動軸8に対して摺動自在なシフト部材18が配されており、該シフト部材18の先端部は前記クラッチ装置Cのクラッチインナ11基端部に対向している。さらに、第二プランジャ17と第一プランジャ15とのあいだには第三復帰弾機17aが弾装されており、第二プランジャ17を駆動軸8の先端側に向けて付勢している。このとき、第三復帰弾機17aの付勢力は、クラッチインナ11を基端側に向けて付勢する第一復帰弾機11aの付勢力より小さく設定されていて、励磁コイル14の非励磁状態では、第一復帰弾機11aの付勢力が勝ってクラッチインナ11がシフト部材18を介して第二プランジャ17を基端側に押しやる状態となっている(図1に示されるエンジン始動装置1の上半部)。これに対し、励磁コイル14が励磁状態となったとき、第三復帰弾機17aの付勢力は、第一プランジャ15が第二プランジャ17に先行して先端側に変位することに伴い蓄勢されることで、第一復帰弾機11aの付勢力を上回り、これによってクラッチインナ11は、第一復帰弾機11aにより駆動軸8基端側に向けて付勢される前記状態から第三復帰弾機17aにより先端側に向けて付勢される状態に切換わる(図1に示されるエンジン始動装置1の下半部)ように設定されている。
【0010】
さて、前記ホルダステー5は、略リング状のステー本体5aの基端側面に周回り方向四個のブラシホルダ5bが径方向に長く、かつ軸方向基端側に向けて突出状に形成されたものとなっており、これら各ブラシホルダ5bに、ステー本体5aの先端面側方向からブラシ19がそれぞれ挿入される設定となっている。そして、ブラシホルダ5bにはブラシ19の外径側に位置して付勢弾機19aが収容され、ブラシ19の内径側端面を、前記モータ軸2先端のコンミテータ4外周面に弾圧状に摺接させるように設定されている。また、ステー本体5aの先端側面には、ステー本体5aよりも小径な外径を有したリング状の補助ステー5cが組込まれ、該補助ステー5cによりブラシ19の先端側面を支持するように設定されている。また、ステー本体5aの上半部には導電性材料(本実施の形態では銅製となっている)で形成された端子プレート20が固定されており、該端子プレート20に、ステー本体5a上半部に形成のブラシホルダ5bに内装されるブラシ19から引出されたピグテール19bが電気的に接続されている。尚、5dはステー本体下方に形成された切欠き部、5eはホルダステー5の内径側縁部の上方に位置し、基端側に向けて突出形成された突片であって、該突片5eは、後述するスイッチ部Sと、モータ部M側のコンミテータ4外周面とのあいだを仕切るように配されている。
【0011】
さらに、補助ステー5cの先端側面と減速装置Dを構成するケース体6基端部とのあいだには、これらを隔絶するべくリング状の導電プレート21が配されるが、該導電プレート21は導電性を有した材料によりホルダステー5よりも大径になるよう形成されており、上部には前記スイッチシャフト16挿通用の貫通孔21aが穿設されている。また、導電プレート21の下半部は、ステー本体5a下方に形成された切欠き部5dを介して基端側に露出しており、ここに、ステー本体下半部に形成のブラシホルダ5bに内装されるブラシ19から引出されたピグテール19bが接続されている。因みにこの導電プレート21は、図示しない車体側に設けられるバッテリの陰極側に予め接続されている。尚、この導電プレート21の内径側縁部は基端側(コンミテータ4側)に折曲されて筒状部21bに形成され、該筒状部21bはモータ軸2先端の内周面に近接対向し、筒状部21bの基端縁がコンミテータ4の先端側面に形成された凹部4aに入り込むように設定されており、これによって、減速装置D側の潤滑剤がモータ部M側に浸入するのを防止している。
【0012】
一方、ホルダステー5のステー本体5a上方、即ち、前記端子プレート20固着部の上方にはスイッチ部Sが上方に突出状に設けられるが、スイッチ部Sを構成するスイッチ室は、ステー本体5a上部に続く状態で外径方向に起立する起立片部5fと、該起立片部5fの外周縁部から軸方向基端側に突出し、起立片部5fの下部を除く周縁部を囲繞する周片部5gとを備えて構成されている。そして、周片部5gの上側に位置する上側周片部5hには、前記図示しないバッテリの陽極に接続される導電性材料で形成されたボルト22の脚部22aが貫通するための貫通孔5iが穿設されている。23は導電性材料を用いて略L字形に形成された固定接点23であって、該固定接点23の上側に位置する上側片(本発明の一端部に相当する)23aは上側周片部5h内面に、下側片(本発明の他端部に相当する)23bは起立片部5fの内面にそれぞれ沿うように形成されている。そして、固定接点23は、上側片23aに形成された貫通孔23cを上側周片部貫通孔5iに位置合せし、これら貫通孔23c、5iに、前記ボルト22の脚部22aをスイッチ室側から挿通し、外部に露出したボルト脚部22aにナット22cを緊締することで、上側片23aが上側周片部5hとボルト頭部22bとのあいだに挟み込まれる状態でスイッチ室に固定され、これによって、固定接点23とボルト22との電気的な接続がなされるように設定されている。このとき、固定接点下側片23bはステー本体5aに固定された端子プレート20と軸方向に面一となり、かつ上下方向に近接対向するように設定されている。
【0013】
また、起立片部5fの下方、つまり、固定接点下側片23b対向部と端子プレート20固着部とのあいだには筒状の挿通孔5jが先端側に向けて突出状に形成されており、該挿通孔5jに、前記電磁装置Eの第一プランジャ15に連結されたスイッチシャフト16の基端部が軸方向摺動自在に挿通されている。前記スイッチシャフト16の基端部には、導電性部材で形成された可動接点24がコイル弾機24aを介して浮動的に取付けられ、上半部に起立片部5fに固定された固定接点23が対向し、下半部にステー本体5aに固定された端子プレート20が対向するように設定されている。そして、前述したように励磁装置Eの励磁−非励磁の切換えに基づいて第一プランジャ15が非励磁位置と励磁位置とのあいだを変位したとき、スイッチシャフト16は、可動接点24が固定接点23および端子プレート20の基端側に離間する非導通位置と、可動接点24が固定接点23および端子プレート20に当接する導通位置とのあいだを変位するように設定され、スイッチシャフト16が導通位置に変位したとき、ボルト22と端子プレート20に接続されたブラシ19のピグテール19bとが電気的に接続され、しかしてステー本体5a上半部側のブラシ19にバッテリの陽極側電源が供給されるように設定されている。
【0014】
そうして、車両側に設けられた図示しないイグニッションスイッチをON状態として励磁コイル14を励磁することに伴い、第一プランジャ15が励磁位置に変位し、そしてスイッチシャフト16の可動接点24が固定接点22と当接して電気的な接続がなされる。この状態になると、ホルダステー5の上半部に位置するブラシ19がバッテリの陽極側に接続され、各ブラシ19にバッテリからの電源供給がなされて電動モータMの回転駆動が行われて駆動軸8の回転が開始する。このように駆動軸8が回転すると、エンジン始動装置は、クラッチ装置Cのクラッチインナ11と駆動軸8とのあいだに相対回転が生じて、クラッチインナ11とクラッチアウタ12とがリングギア8に噛合する作用位置側に移動するが、このとき、第二プランジャ17は第三復帰弾機17aによりクラッチインナ11を作用位置側に付勢しており、しかしてクラッチ装置Cのクラッチ作動がスムースに行われるようになっている。
尚、25は電動モータMの先端側の、減速装置D、電磁装置E、クラッチ装置Cを覆蓋するピニオンカバーである。
【0015】
さらにこのものにおいて、スイッチ部Sに配される導電性部材で形成されたボルト頭部22bや固定接点22は、エンジン駆動状態ではエンジンルームが高温になることに加えて、バッテリからの熱の引込みもあって高温になる一方で、エンジン停止時には急激な温度低下が生じるため、これら部材に結露現象を生じるが、このものでは、次のような排水構造に基づく結露対策が実施されている。因みに、本実施の形態のエンジン始動装置1は、図3に示すように、スイッチ部Sが上下方向を向く状態から約30度時計回り方向(取付け箇所においては反時計回り方向のこともある)に回転した状態で取付けられるように設定されており、この取付け状態に基づいて説明する。
【0016】
第一の結露対策として、ボルト頭部22bや固定接点22に生じた結露を、モータ部Mのブラシ19やコンミテータ4等の電気的な部材を避ける状態で効率良く外部に排水するための排水構造が実施されている。
つまり、固定接点上側片23aとボルト頭部22bとの接触部周縁に対向するスイッチ室周片部5gは、その内面、つまり図3において上側面および左右側面に肉厚部5kが形成され、ボルト頭部22bおよび固定接点上側片23aと、周片部5gとのあいだに小さい隙間S1が形成されるように設定されている。一方、該小さい隙間形成部位よりも下方部位、つまり、固定接点下側片23bと周片部5gの左右側面とのあいだには前記隙間よりも僅かに大きい隙間S2が形成されるように設定されている。これによって、ボルト頭部22bおよび固定接点上側片3aに生じた結露は、これらに近接対向する肉厚部5k側、特に傾斜下側となる右側の肉厚部5k側に流れ、ボルト頭部22bおよび固定接点上側片23aと肉厚部5kとのあいだに形成された小さな隙間S1側に入り込むようにして誘導され、ボルト頭部22b表面から下方に滴下することが防止されるように設定されている。
【0017】
さらに、起立片部5f内面(基端側面)の左右両側部下端部位、つまり、前記僅かに大きい隙間の下端部に続き、固定接点下側片23b下端部の左右端縁部が対向する部位には、軸方向先端側に凹設された第一凹溝5mが上下方向に長く形成されている。ここで、第一凹溝5mは、固定接点下側片23bの左右端縁部にオーバーラップしており、第一凹溝5m底面と固定接点下側片23bとのあいだに隙間が形成されている。さらに、第一凹溝5mの下端部には、ステー本体5a基端側面の外径部(端子プレート20の外径側)に続く状態で第二凹溝5nが形成されている。さらに、第一、第二凹溝5m、5nの接続部位、つまり固定接点下側片23bと端子プレート20との対向間部位には、スイッチシャフト16挿通用の貫通孔5j近傍にまで延長された第三凹溝5pが、前記第一、第二凹溝5m、5nに連続する状態で形成され、このようにして第一、第二、第三凹溝2m、2n、2pにより本発明の誘導溝部が形成されている。これによって、前述したようにボルト頭部22bおよび固定接点上側片23aと肉厚部5kとのあいだの小さい隙間S1側に誘導された水は、これより僅かに大きい隙間S2を経由して第一、第二凹溝2m、2nに誘導され、また、固定接点下側片23bを下方に流れ落ちようとする水は第三、第二凹溝5p、2nに誘導され、そしてステー本体5aの外径側に至るように設定されている。
そして、第二凹溝5nの下端部、つまりステー本体の上側ブラシホルダ5bの上側部位には軸方向に貫通する排水孔Hが開設されており、前記第一、第二凹溝5m、5nを誘導された水を、前記排水孔Hからステー本体5aの先端側面側に排水するように設定されている。
【0018】
一方、ステー本体5aの上下方向中間部に位置する外径部には、前記導電プレート21を保持するための切欠き部5qが形成されているが、該切欠き部5qは前記排水孔Hよりも下方に位置して形成されている。そして、この切欠き部5qと排水孔Hとのあいだに位置するステー本体5aの先端側面に、先端側面が凹設された第四凹溝5rが形成されており、前記排水孔Hに誘導された水は、第四凹溝5rを経由してホルダステー5を外嵌するヨーク3内周面側に流れ下りるように設定されている。因みに、固定接点下側片23bの下端縁部は、スイッチシャフト16挿通用の挿通孔5jに対向する部位が円弧状に切欠かれた切欠き部23dに形成されており、固定接点下側片23b中央部に沿って滴下する水は、該切欠き部23cに沿って左右方向外方に向けて誘導され、該誘導された水が、該部位の下方に位置する第三凹溝5pに流れ込むように設定されている。
ここで、ヨーク3には、エンジン始動装置1の取付け状態で下方に位置する部位に水抜き孔3bが穿設されており、前記第四凹溝5rから流れ出した水を排水するように設定されている。尚、26はヨーク水抜き孔3bに嵌着されたキャップであって、該キャップ24はヨーク内の水を排水するとともに、外部からの水の浸入を防止するように構成されている。
【0019】
つぎに、第二の結露対策であるが、該第二の結露対策は、スイッチシャフト16に実施されている。つまり、スイッチシャフト16に水が付着した場合、前述したようにスイッチ室起立片5fに形成された挿通孔5jに入り込んで凍結してしまうことがあり、本実施の形態では、これに対する対策が次のように実施されている。
スイッチシャフト16は、先端側に第一プランジャ鍔状部15bに、回り止めかつ抜止めされた状態で支持される先端部16aと、スイッチ室挿通孔5jを摺動自在に移動する摺動部16bと、挿通孔5jからスイッチ室内に突出し、可動接点24がコイル弾機24aを介して装着される基端部16cとを備えて構成されている。そして、摺動部16bの外径は、前記挿通孔5j内径よりも僅かに小さく寸法設定され、その外周面には、軸方向に長い凹溝条部16dが周回り方向に複数形成されており、これによって、挿通孔5jとのあいだに入り込む水を凹溝条部16d内に局所的に誘導して、挿通孔5jに対して氷着する面積が小さくなるようにして、浸入した水が凍結したときの氷着力が、電磁装置Eの磁力よりも小さくなるように設定されている
【0020】
ところで、本実施の形態の凹溝条部16dは、上側に一本、下側に二本の都合三本形成されており、上側のものは溝幅が小さく、下側のものは溝幅が大きくなるように形成されている。さらに、下側の凹溝条部16dについては、上側に位置する溝側面が傾斜面に形成されており、挿通孔5jとのあいだに溜る水の量は下部ほど多くなるように設定されている。これによって、このスイッチシャフト16を挿通孔5jに挿通して水の浸入を想定したとき、水は上側の凹溝条部16dから溢れたときのみ下側の凹溝条部16d側に流れ込むが、この場合に、下側の凹溝条部16dは下部ほど水が多量に溜るように設定されていて、浸入する水が所定量を越えない場合、挿通孔5jとのあいだでの凍結(氷着)面積をさらに小さくでき、該凍結に基づくスイッチシャフト16の挿通孔5jに対する氷着力(固着力)が、電磁装置Eの磁力(出力)を上回らない小さいものに設定することが可能になり、しかして、スイッチシャフト16側に水の浸入が合ったとして、電磁装置Eの出力を必要以上に大きくすることなく、スイッチシャフト16が不作動となることを回避できるように構成されている。
【0021】
さらに、第三の結露対策として、結露発生部位を縮小させる(結露発生部材を少なくする)構成が実施されている。
つまり、前記ボルト22は頭部22cが矩形状に形成され、該ボルト頭部22bの固定接点上側23aに接触する側の上側面には、脚部22aの周囲となる各コーナー部に都合四個の突部22dが突出形成されており、ボルト頭部22bが固定接点上側片23aを上側周片部5hとのあいだに挟持したとき、前記突部22d先端面(上側面)と固定接点上側片23aの下側面とが接触するように設定されている。これによって、ボルト22と固定接点23とは電気的に接続されてはいるものの、これらのあいだの接触部位は、各突部22dとのあいだのみになって、バッテリ電源がボルト22に供給されてボルト22側に熱が引き込まれたとしても、該ボルト22の熱が固定接点23側に引き込まれることがなく、結露がボルト頭部22bに集中するように設定されている。これによって、ボルト頭部22bに集中して結露した水は、前述したような誘導手順、つまり、傾斜下側の肉厚部5kとの隙間側から、該側の第一、第二、第三凹溝2m、2n、2p、をへて排水孔H、そして第四凹溝2r側に誘導され、下方のスイッチシャフト16側に滴下してしまうようなことが防止されるように設定されている。
【0022】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、エンジン始動装置1は、イグニッションスイッチをON作動することに伴い励磁装置Eが起動して、スイッチシャフト16が導通位置に変位して、スイッチ室の可動接点24が固定接点23、およびブラシ19のピグテール19bが接続された端子プレート20に接続し、これによって、モータ部Mが駆動して、クラッチ装置Cのピニオン7がエンジン側のリングギア13に噛合してエンジンが始動する。この場合に、前述したように、スイッチ室の内部に配される導電性材料で形成されたボルト頭部22bや固定接点23には結露が発生しやすいが、ボルト頭部22bと固定接点上側片23aはスイッチ室の肉厚部5kが小さい隙間S1を存して近接対向しているうえ、スイッチ室の起立片5fの左右両側部からステー本体5a外径部に至る部位には、第一、第二、第三凹溝5m、5n、5pからなる誘導溝部がそれぞれ形成されている。このため、スイッチ部Sが約30度傾いて配された本実施の形態のものでは、前記ボルト頭部22bと固定接点上側片23aに付着した水は、肉厚部5k側の小さい隙間S1からこれより僅かに大きい隙間S2を経由して傾斜下側の誘導溝部(第一、第二凹溝5m、5n)に至り、該誘導溝部下端に対向する排水孔H、ステー本体5a先端側面の第四凹溝5rから、そしてヨーク3内周面からヨーク水抜き孔3bを経由して排出されることになる。この結果、結露により発生した水が、ボルト頭部22bからモータ部M側に流れ出してしまうようなことが防止され、該水がスイッチシャフト16に付着するようなことを防止できる。
【0023】
このように本発明が実施されたものにあっては、ボルト頭部22bと固定接点下側片23bに付着した水を誘導溝部に誘導し、排水孔H、第四凹溝5rを介してヨーク3内周側に排出させて、スイッチシャフト16やモータ部M内方に水が浸入するのを防止しているが、このものではさらに、第二の結露対策としてスイッチシャフト16の摺動部16bに軸方向に長い凹溝条部16dが周回り方向に複数形成されていて、スイッチシャフト16の摺動部に浸入した水が凹溝条部16dに溜ることで局所的に滞留し、氷着面積が小さくなるように設定されているとともに、該浸入した水が凍結したときの氷着力が、電磁装置Eの磁力よりも小さくなるように設定されている。この結果、前記第一の結露対策に基づく誘導溝部による排水ではまに合わず、スイッチシャフト16側に水が浸入してしまったような場合であって、スイッチシャフト摺動部16bと挿通孔5jとのあいだの摺動部に溜った水が凍結してしまったとしても、その氷着力は電磁装置Eの磁力を下回るため、スイッチシャフト16の不作動を発生してしまうことがなく、信頼性の高いエンジン始動装置1を提供できる。
【0024】
さらにこのものでは、バッテリからの熱が引き込まれて高温となるボルト頭部22bは、突部22dを介して固定接点上側片23aと導通せしめて、該突部22dにおける部位のみが固定接点23と接触するよう、第三の結露対策がなされている。この結果、結露はより高温となるボルト頭部22bに集中することになり、該集中して発生した水が、前述したように傾斜下側の誘導溝部側に効率良く誘導されることになって、さらに排水性が優れる。
そのうえ、誘導溝部を構成する第三凹溝5pは、固定接点下側片23bの下端縁部に対向しているため、固定接点下側片23bの結露も第二誘導路5n側に誘導することができて、スイッチシャフト16、モータ部M側への水の浸入をさらに減少させることができて、信頼性の高い高品質のエンジン始動装置1とすることができる。
【0025】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、図6に示す第二の実施の形態のように構成することもできる。尚、図6において、前記第一の実施の形態と共通する部材については同一の符号を附し、詳細な説明は省略する。
第二の実施の形態のエンジン始動装置1は、前記第一、第二、第三の結露対策の他に、第四の結露対策が実施されているものであり、バッテリの陽極に接続するためのボルト26の内径側面部に細溝部26eが形成されたものとなっている。
つまり、ボルト26は、ボルト脚部26aとボルト頭部26bとを備えて構成されており、ホルダステー上側周片部5hに固定接点上側片23aをあてがい、これらにボルト脚部26aを内径側から貫通せしめ、外部に突出したボルト脚部26aにナット26cを螺合することで、ボルト頭部26b上側面と固定接点上側片23aとの電気的な接続がなされるように設定されている。そしてさらに、ボルト頭部26bと固定接点上側片23aとは、ボルト頭部26の上側面に上方に向けて突設した四個の突部26dを介して接続され(接触し)、該突部26dの突出端面以外の上側面が固定接点上側片23aに面接触しない構成となっている。これによって、スイッチ部Sに生じる結露(水)はボルト頭部26bに集中して発生することになるが、このものではさらに、ボルト頭部26bの下側面(内径側面であって、前記突部26d形成面とは反対側の面)に径方向を向いて長く形成された細溝部26eが、軸方向に三本のものが並列する状態で形成されており、これら細溝部26e内に、前記ボルト頭部26bに発生した水を毛細管現象を生じる状態で保持し、下方に滴下させることがないようにしている。因みに、ボルト頭部26bに三本の細溝部26eが形成されている場合、ボルト頭部26bを13mm四方とし、細溝部26eの溝幅を2mm、溝深さを0.5mmとしたとき、三本の細溝部26eには最大0.3ccの水を保持できることが実験により確認されている。
【0026】
さらに、エンジン始動装置1は前述したように傾斜して配設されているとともに、ボルト頭部26bは、その周回り方向端部がホルダステー肉厚部5kに近接対向している。このため、ボルト頭部26bにおいて、前記細溝部26eに保持される量を超えた水は、細溝部26eの傾斜下側の溝端部に達し、ホルダステー肉厚部5kとのあいだの小さい隙間S1を経由して、ホルダステー周片部5gの内面に沿うようにして大きい隙間S2側に流れる。これによって、ボルト22と固定接点23とは、各突部22dとのあいだのみの接触で、バッテリ電源がボルト22に供給されてボルト22側に熱が引き込まれても結露はボルト頭部22bに集中して発生し、該集中して発生した水は、ボルト頭部26bの細溝部26eに保持され下方に滴下してしまうことはなく、保持量を超えた分だけが傾斜下側のホルダステー肉厚部5k側に流れ、そして、該側の第一、第二、第三凹溝2m、2n、2pを経て排水孔H、そして第四凹溝2r側に誘導される。このようにすることで、結露による水を効率良く排出し、水がボルト26の下方のスイッチシャフト16側に滴下してスイッチシャフト16の不作動を招来するような不具合を回避することができる。
【0027】
また、前記第一、第二の実施の形態では、ボルト頭部側に先端扁平状の突部を形成する構成となっているが、これに限定されることは勿論なく、ボルト頭部と固定端子下側片とは、電気的な接続が許容される状態で、かつ接触面積が小さくなるように構成することで、ボルト頭部に結露を集中させることができる。そのような構成としては、前記各実施の形態突部を固定接点下側片に形成したり、突部形状が先端球状であったり、一方向に長いものである等、種々の形状を採用することができ、またその突部の数も自由に設定することができる。
さらに、スイッチシャフトとホルダステーの起立片とのあいだに形成される凹溝条部は、スイッチシャフトではなく、起立片に形成される挿通孔に形成してもよく、凹溝条部の形状としては、前述したように三本の直線状の凹溝状部を形成したものの他、溝幅の小さい溝を複数形成したもの、螺旋状の溝を形成したもの等、スイッチシャフト外周面と挿通孔とのあいだに水が溜りにくい構成となるようにしたものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジン始動装置の一部切欠き側面断面図である。
【図2】図2(A)、(B)はそれぞれホルダステーの一部断面正面図、図2(A)におけるX−X断面図である。
【図3】エンジン始動装置の取付け姿勢におけるホルダステー部の正面図である。
【図4】図4(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれボルトの平面図、正面図、底面図、図4(C)におけるX−X断面図である。
【図5】図5(A)、(B)、(C)はそれぞれスイッチシャフトの正面図、図5(A)のX−X断面図、図5(A)のY−Y断面図である。
【図6】図6(A)、(B)、(C)はそれぞれ第二の実施の形態におけるボルトの底面図、側面図、スイッチ部に組込まれた状態の一部正面図である。
【符号の説明】
1 エンジン始動装置
2 モータ軸
5 ホルダステー
5f 起立片部
5g 周片部
5j 挿通孔
7 ピニオンギア
8 駆動軸
11 クラッチインナ
14 励磁コイル
15 第一プランジャ
16 第二プランジャ
19 ブラシ
19b ピグテール
20 端子プレート
21 導電プレート
22 ボルト
22a ボルト脚部
23 固定接点
23a 上側片
24 可動接点
M モータ部
D 減速装置
E 電磁装置
C クラッチ装置
S スイッチ部
Claims (6)
- エンジン始動をする駆動ギアに動力伝動するためのモータ軸を備えた電動モータと、該電動モータへの電源供給を断続切換えするスイッチ部と、該スイッチ部の切換え制御をする電磁装置とを備えて構成されるエンジン始動装置において、前記スイッチ部を、電動モータの刷子を支持するホルダステーから外径方向に起立する起立片部および該起立片部の外周縁部から軸方向に突出する周片部とを備えたスイッチ室と、該スイッチ室の周片部から上方に脚部が露出してバッテリ電源が接続されるボルトと、L字状に形成され、一端部がボルトの頭部と周片部の上側内面とのあいだに挟持され、他端部がスイッチ室起立片部内面に対向する固定接点と、前記電磁装置の切換え制御に基づいて固定接点他端部に離接する可動接点とを備えて構成するにあたり、前記スイッチ室起立片部の固定接点他端部に対向する内面部位からホルダステー外径側を迂回するようにして誘導溝部が形成されるとともに、該誘導溝部の誘導端にはホルダステーを軸方向に貫通してヨークに形成の水抜き孔から排水するための排水孔が形成されているエンジン始動装置。
- エンジン始動をする駆動ギアに動力伝動するためのモータ軸を備えた電動モータと、該電動モータへの電源供給を断続切換えするスイッチ部と、該スイッチ部の切換え制御をする電磁装置とを備えて構成されるエンジン始動装置において、前記スイッチ部を、電動モータの刷子を支持するホルダステーから外径方向に起立する起立片部および該起立片部の外周縁部から前記モータ軸の軸方向に向けて突出する周片部とを備えたスイッチ室と、該スイッチ室の周片部から上方に脚部が露出してバッテリ電源が接続されるボルトと、L字状に形成され、一端部がボルトの頭部と周片部の上側内面とのあいだに挟持され、他端部がスイッチ室起立片部内面に対向する固定接点と、起立片部に摺動自在に支持され、前記電磁装置の磁力を受けて変位するスイッチシャフトと、該スイッチシャフトに固定され、スイッチシャフトの変位に伴い固定接点他端部に離接する可動接点とを備えて構成するにあたり、前記スイッチシャフトと起立片部とのあいだの摺動部には、前記軸方向に向けて直線状または螺旋状になった凹溝条部が周回り方向複数形成されていると共に、スイッチシャフトの起立片部との摺動部には凹溝条部を介して水が溜るものとし、該水が凍結したときのスイッチシャフトの固着力は、励磁装置の磁力を上回らないように設定されているエンジン始動装置。
- 請求項1または2において、ボルト頭部と固定接点一端部とのあいだには、互いの導通状態を許容する接触部と、対向間に空隙を存する非接触部とが形成されているエンジン始動装置。
- 請求項1、2または3において、ボルト頭部の内径側面部には、ボルトの径方向を向いていて、ボルト頭部に発生した水を毛細管現象を生じる状態で保持するための少なくとも一本の細溝部が形成されており、該細溝部の溝端部は、周片部の左右内面に近接対向するように構成されていて、前記細溝部に保持される量を超えた水は細溝部溝端部に達して周片部内面に沿うようにして流れるエンジン始動装置。
- 請求項2において、凹溝条部は、軸方向直線状に形成されているエンジン始動装置。
- 請求項2において、凹溝条部は、螺旋形状に形成されているエンジン始動装置。
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