JP3875610B2 - 積層型記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複数の独立した又は連続したシートを重ね合わせて剥離自在に貼り合わせ、一方のシートにおける綴じ込まれて外部から視認できない領域ともう一方のシートの表面領域とに情報の印字が可能な積層型記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、受取人に郵送される郵便物の形態として、二つ折りメールフォーム又は三つ折りメールフォーム等のような形態が広く普及している。このような二つ又は三つ折りメールフォームを用いた郵便物の形態としては、例えば、金融機関から郵送される支払金額や残金残高の案内、公官庁等から郵送される年金の支払い金額案内、小売販売店から郵送されるセール案内等、列挙すればきりがないほど多岐に渡っている。もっとも、そのような二つ又は三つ折りメールフォームを用いる目的から考えると、情報自体に隠蔽性が要求される場合(金融機関から郵送される支払金額や残金残高の案内、公官庁等から郵送される年金の支払い金額案内等)と、受取人に開封行為に伴う期待感を抱かせる場合(小売販売店から郵送されるセール案内等)とに大別することができる。これらのうち、情報自体に隠蔽性が要求される場合を想定すると、二つ又は三つ折りメールフォームを用いたとしても、折り込んだ内部の情報が透かし読みできてしまっては情報隠蔽という所期の目的を達成することができない。そこで、従来、二つ又は三つ折りメールフォームに光遮蔽インキ層を設け、より隠蔽性を高める手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、二つ又は三つ折りメールフォームを用いた郵便物を作成するには、隠匿性情報が折り込まれて宛先が視認可能となるように、二ないし三の独立した又は連続したシートを折込み、この際、それらのシートにおける必要な部分に感圧タイプの接着剤を予め塗布しておき、折り込んだシートを加圧する。これにより、感圧タイプの接着剤に接着力が生じ、二ないし三の独立した又は連続したシートが接着され、二つ又は三つ折りメールフォームが完成する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、郵便物の形態として考慮されたものではないが、複数枚のシートを重ね合わせた感熱タイプの複写伝票も従来から知られている(例えば、特許文献2参照)。このようなものは、上位に位置するシートからの加熱動作に応じて下位に位置するシートを感熱発色させることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平08−175055号公報
(段落[0002]〜[0004]、図1、図4、図5、図9、図10)
【特許文献2】
特開2001−180123公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述した二つ又は三つ折りメールフォームは、各シートに異なる印字内容を印字又は印刷することができるという利点があり、例えば隠匿性情報と宛先とを記録する必要がある郵便物への適用に最適である。しかしながら、そのような二つ又は三つ折りメールフォームを作成するには、折り込んだシートを加圧する必要があり、そのために大掛かりな専用装置を用いなければならないという問題がある。このようなことから、二つ又は三つ折りメールフォームによる郵便物を作成しようとする場合、専用設備を有する営業所に委託するのが一般的であり、この場合には、手間がかかるばかりか、秘密漏洩の可能性もある。
【0007】
これに対して、複数枚のシートを重ね合わせた感熱タイプの複写伝票の場合には、例えばサーマルプリンタ等を利用して手軽に複写伝票を作成することが可能である。しかしながら、このような感熱タイプの複写伝票は、全てのシートに印字する内容が同一内容となってしまうことから、例えば隠匿性情報と宛先とのような異なる情報を記録する必要がある郵便物へ適用することができない。
【0008】
本発明の目的は、第1のシートと第2のシートとを張り合わせたままの状態で第1のシートと第2のシートとの間に介在する第1の記録面と第2のシートの表面に位置する第2の記録面とに別個独立した内容の情報を記録できるようにすることである。
【0009】
本発明の別の目的は、第1の記録面に記録された情報の隠蔽性を向上させることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型記録媒体は、第1のシートと、直接感熱発色方式の記録手段(例えば感熱型記録装置)による記録動作に伴い付与される熱作用に応じて発色し第1の記録面に可視情報を与える感熱発色層と、遮光層を介して前記第1の記録面に対向するように前記第1のシートに剥離可能に貼り合わされ、前記第1の記録面と対向する面と反対側の面に第2の記録面を有し、この第2の記録面から前記記録手段による記録動作が行なわれた場合には前記感熱発色層に対して前記熱作用を及ぼす厚さであって、前記第2の記録面から熱転写方式による記録動作が行われた場合には前記感熱発色層に対して断熱作用を及ぼす厚さに形成された第2のシートと、を備える。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は積層型記録媒体の横断平面図、図2は第1の記録面への印字例を示す第1のシートの正面図、図3は第2の記録面への印字例を示す第2のシートの正面図である。
【0013】
図1に示すように、積層型記録媒体1は、第1のシート10と第2のシート20とを基本構造として備える。そして、これらの第1のシート10と第2のシート20とは、剥離可能な接着剤30によってその四辺端部が接着された積層構造になっている。この場合、第1のシート10と第2のシート20とは、一枚のシート状部材が折り曲げられて構成されていても良く、それぞれ異なるシート状部材によって構成されていても良い。
【0014】
第1のシート10は、基材11の上にアンダーコート層12を介して感熱発色層13が形成され、その上に保護層14がコーティングされた感熱紙である。このような第1のシート10に対しては、第2のシート20を介してサーマルプリンタヘッドを用いた感熱印字方式による直接発色印字が可能である。したがって、本実施の形態の場合、第1のシート10と第2のシート20との間に設けられる第1の記録面15は、第1のシート10の表面に設けられている。そして、第1のシート10と第2のシート20との間に介在され、図11に基づいて後述する第1の記録手段としての第1の印字ユニット111による第2のシート20の表面側からの記録動作に応じて第1の記録面15に可視像を生成させる第1の可視像生成手段は、基材11の上に積層形成された感熱発色層13によって構成されることになる。参考として、第1のシート10には、例えばリコー社製の150LABを用いることが可能である。
【0015】
一方の第2のシート20は、表面が平滑な上質紙やグラシン紙等の基材21の裏面全体に遮光部としての遮光層22が形成されて構成されている。このような第2のシート20は、熱転写インクリボンによる熱転写方式等で印字することができる。したがって、第2のシート20の表面は、第2の記録面23を構成する。第2のシート20の表面に熱転写インクリボンによる熱転写方式等での印字をすることができるのは、上質紙やグラシン紙等である第2のシート20の表面が平滑だからである。この意味で、熱転写インクリボンによる熱転写方式等での印字を可能とする平滑性を持った第2のシート20の構造、換言すると第2の記録面23が形成されたシート表面24は、図11に基づいて後述する第2の記録手段としての第2の印字ユニット121による第2のシート20の表面側からの記録動作に応じて第2の記録面23に可視像を生成させる第2の可視像生成手段を構成する。
【0016】
ここで、本実施の形態では、第1のシート10に対して、第2のシート20を介してサーマルプリンタヘッドを用いた感熱印字方式による直接発色印字が可能である。これを実現するために、第2のシート20は所定の厚さ以下に形成されていなければならない。第2のシート20の厚さが厚いと第1のシート10の表面を印字する際に断熱作用を及ぼし、第1のシート10に対する感熱印字方式による直接発色印字を妨げるからである。このようなことから、第2のシート20は、平滑度200秒以上、坪量が25〜40g/m2 、好ましくは30〜40g/m2 、緊度が1.0〜1.3g/m3 程度の基材21によって構成されることが好ましい。このような基材21は、一例として、特開2001−180123公報に記載されている製法で製作可能である。
【0017】
また、第2のシート20の裏面に形成された遮光層22は、第1のシート10に設けられた第1の記録面15に記録された情報が第2のシート20を介して外部から透けて見えてしまったり、あるいは第1のシート10と第2のシート20との両者を介して外部から透けて見えてしまったりすることを防止する役割を担う。そこで、遮光層22には、光を遮断する機能が求められる。具体的には、グラビア印刷法による黒ベタ印刷や特定模様印刷等によって遮光層22が構成される。
【0018】
次に、積層型記録媒体1の印字のために用いられる印字装置について図11を参照して説明する。図11は、積層型記録媒体1に対して印字を行なう印字装置を例示する模式図である。
【0019】
印字装置101は、第1の印字ユニット111と第2の印字ユニット121とを案内経路131上に配置して構成されている。案内経路131の始端には、複数組の積層型記録媒体1を積層保持する搬出ホッパ132が配置され、案内経路131の終端には印字済みの積層型記録媒体1を収納保持する受入ホッパ133が配置されている。
【0020】
搬出ホッパ132は、複数組の積層型記録媒体1を積層収容するホッパケース134内に複数組の積層型記録媒体1を載置する給紙板135が昇降自在に設けられ、この給紙板135が図示しない駆動機構によって駆動されることで上昇し、最上位の積層型記録媒体1を給紙ローラ136に押し付ける構成となっている。搬出ホッパ132は、給紙ローラ136を回転駆動することによって、図示しない分離装置により最上位の積層型記録媒体1を下位の積層型記録媒体1から案内経路131に分離給送する。
【0021】
一方の受入ホッパ133は、複数組の積層型記録媒体1を積層収容可能なホッパケース137内によって形成され、このホッパケース137で、搬送された印字済みの積層型記録媒体1を次々と受け止めて積層保持するように構成されている。
【0022】
第1の印字ユニット111は、案内経路131を介して当接するサーマルプリンタヘッド112とプラテンローラ113とから構成された直接感熱発色方式の印字ユニットである。このような第1の印字ユニット111は、印字エネルギーが例えば7mW×600μsec、印字速度が1インチ/秒で印字動作を実行する。
【0023】
第2の印字ユニット121は、案内経路131を介して当接するサーマルプリンタヘッド122とプラテンローラ123とリボン搬送機構124とから構成された熱転写方式の印字ユニットである。リボン搬送機構124は、熱転写インクリボン125の巻出し装置126と印字後の熱転写インクリボン125の巻取り装置127とを主要な構成としている。このような第1の印字ユニット111は、印字エネルギーが例えば7mW×300μsec、印字速度が4インチ/秒で印字動作を実行する。
【0024】
もっとも、印字装置101における第1の印字ユニット111の印字エネルギーと第2の印字ユニット121の印字エネルギーとは、共に第2のシート20の表面側からエネルギーを付与した場合であっても、第1の記録面15に対する印字と第2の記録面23に対する印字とが別個独立して行なわれるように適宜設定される。
【0025】
このような構成において、搬出ホッパ132に収納保持された最上位の積層型記録媒体1は、給紙ローラ136が回転駆動されることによって案内経路131に下位の積層型記録媒体1から分離給送され、第1の印字ユニット111に搬送される。
【0026】
第1の印字ユニット111では、サーマルプリンタヘッド112における図示しない発熱素子の選択的な発熱によって積層型記録媒体1における第1のシート10の表面である第1の記録面15に情報を記録する。この際、第1の印字ユニット111は、第2のシート20を介して第1のシート10の感熱発色層13に熱エネルギーを付与し、この感熱発色層13を発色させるという直接感熱発色方式の印字を行なう。図2は、こうして記録された情報の一例を示す。図2に示すように、第1のシート10の表面に位置する第1の記録面15に記録される情報は、隠蔽性を有する情報である。
【0027】
このような第1の印字ユニット111による第1の記録面15に対する印字は、第2の記録面23に対して可視情報が記録されるというような影響を及ぼさない。
【0028】
第1の印字ユニット111は、印字後も積層型記録媒体1を搬送し続け、第2の印字ユニット121に搬送する。第2の印字ユニット121では、サーマルプリンタヘッド122における図示しない発熱素子の選択的な発熱によって積層型記録媒体1における第2のシート20の表面に情報を記録する。この際、第2の印字ユニット121では、サーマルプリンタヘッド122における図示しない発熱素子の発熱によって熱転写インクリボン125のインクが溶融し、溶融したインクが第2のシート20の表面である第2の記録面23に転移するという熱転写方式の印字を行なう。図3は、こうして記録された情報の一例を示す。図3に示すように、第2のシート20の表面に位置する第2の記録面23に記録される情報は、宛名という外部からの視認性が求められる情報である。
【0029】
このような第2の印字ユニット121による第2の記録面23に対する印字は、第1の記録面15に対して可視情報が記録されるというような影響を及ぼさない。
【0030】
第2の印字ユニット121は、印字後も積層型記録媒体1を搬送し続け、第1の記録面15及び第2の記録面23の両者に所定の情報が記録された後の積層型記録媒体1を受入ホッパ133に搬送する。これにより、印字済みの積層型記録媒体1が受入ホッパ133に積層収容されて蓄えられる。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1の印字ユニット111では、第2のシート20の表面に設けられた第2の記録面23に対して印字、つまり可視像の生成をすることができず、逆に、第2の印字ユニット121では、第1のシート10の表面に設けられた第1の記録面15に対して印字、つまり可視像の生成をすることができない。この場合、第1の印字ユニット111と第2の印字ユニット121という異なる印字ユニットを用いてそれぞれ印字するので、同一の印字データに基づいて印字を行なえば同一情報を第1の記録面15と第2の記録面23とにそれぞれ印字することができ、異なる印字データに基づいて印字を行なえば異なる情報を第1の記録面15と第2の記録面23とにそれぞれ印字することができる。つまり、同一内容及び異なる内容を混在させることができる。
【0032】
こうして、第1の記録面15と第2の記録面23とに同一又は異なる情報が記録された積層型記録媒体1は、第1のシート10と第2のシート20とが接着剤30によって接着された積層構造を維持している。そこで、例えば第1のシート10に図2に例示するような情報が記録されて第2のシート20に図3に例示するような情報が記録された積層型記録媒体1であれば、そのまま郵便による郵送が可能となる。そして、そのような積層型記録媒体1を受け取った受取人は、第1のシート10と第2のシート20とを剥離することにより、第1のシート10における第1の記録面15に記録された情報を閲読することが可能となる。
【0033】
そして、積層型記録媒体1は、第1のシート10と第2のシート20とを剥離する前の段階においては、第1のシート10と第2のシート20とが貼り付けられた状態で各所を流通する。このような流通の過程では、第1のシート10と第2のシート20とが貼り付けられたままの積層型記録媒体1であれば、不特定多数の者が見える状態にあるといえる。このため、第1の記録面15に記録された情報が第2のシート20を通して透けて見えてしまうことが予想される。第2のシート20は、前述したように、この第2のシート20を介して第1の記録面15に直接感熱発色方式の記録を行ない得るほど薄いからである。これに対して、本実施の形態では、第2のシート20の裏面全体に遮光層22が形成されているため、この遮光層22によって、第1の記録面15に記録された情報が第2のシート20を介して外部から透けて見えてしまったり、あるいは第1のシート10と第2のシート20との両者を介して外部から透けて見えてしまったりすることが防止される。これにより、第1の記録面15に記録された情報の隠蔽性が向上する。
【0034】
ここで、本実施の形態では、遮光層22は第1の記録面15の全体に形成されている。これに対して、第1の記録面15に記録された情報を遮光して見えないようにするという遮光層22の目的からすると、遮光層22は、少なくとも、第1の記録面15に対応する位置に設けられていれば良い。
【0035】
本実施の形態では、第1の印字ユニット111としては直接感熱発色方式、第2の印字ユニット121としては熱転写方式による印字例を例示した。この場合、いずれの印字ユニット111、121も、プリンタヘッドとしてはサーマルプリンタヘッド112、122が使用される。このため、同一方式のプリンタヘッドを用いることができるため、印字制御の共通化を図れる等の利点がある。
【0036】
また、本実施の形態では、第1の印字ユニット111を用いて第1のシート10に対して印字した後、第2の印字ユニット121を用いて第2のシート20に対して印字を行なう。つまり、積層型記録媒体1として見た場合、内部に綴じ込まれた領域に印字を行なった後に外部に露出する部分に印字を行なうことになる。その理由は、最初に外部に露出する部分、つまり第2の記録面23に印字を行なった後に第1の記録面15に印字を行なうと、第2の記録面23に既に記録されたインクによって第2の記録面23が汚れてしまう可能性があるからである。特に、本実施の形態のように、第2の記録面23に対して熱転写方式の印字を行なう場合には、第2の記録面23に転移したインクが再溶解してインクが擦れ、記録内容が掠れてしまったり、サーマルプリンタヘッド122に再溶解したインキが付着してサーマルプリンタヘッド122の寿命が低下してしまったりすることが予想される。このようなことから、第1の印字ユニット111を用いて第1のシート10に対して印字した後、第2の印字ユニット121を用いて第2のシート20に対して印字を行なうという本実施の形態の印字順序が望ましい。
【0037】
さらに、本実施の形態では、第1の印字ユニット111を用いて第1のシート10に対して印字を行なう場合に、第2のシート20を介して第1のシート10の上に形成された感熱発色層13に熱エネルギーを付与する。このような印字を実現可能とする第2のシート20の構造は前述した通りであるが、本実施の形態のように、第2のシート20の基材21として上質紙やグラシン紙が用いられる場合、概ね、50μm程度の厚さであれば、第2のシート20の上から第1のシート10上の感熱発色層13を感熱発色させることが可能である。
【0038】
このような第1のシート10に対する印字方式として、本実施の形態では、第1のシート10の上に形成された感熱発色層13に熱エネルギーを付与する直接感熱発色方式を採用しているが、実施に際しては、直接感熱発色方式に限らず、直接感圧発色方式を採用しても良い。つまり、第1のシート10の上には感熱発色層13に代えて感圧発色層を形成しておくことで、この感圧発色層をインパクト方式により感圧発色させることが可能となる。
【0039】
なお、本実施の形態では、2つの異なる印字方式(直接感熱発色方式と熱転写方式)が一体となった印字装置101を用いたのに対して、実施に際しては、このような印字装置101の構造は必ずしも必須ではなく、例えば、周知の感熱紙用サーマルプリンタで第1のシート10を印字した後、周知の熱転写インクリボンを用いるサーマルプリンタで第2のシート20を印字することも可能である。この場合、感熱紙用サーマルプリンタと熱転写インクリボンを用いるサーマルプリンタとは、同一の機器を用いても良く、別の機器を用いても良い。
【0040】
また、第2のシート20に対する印字方式としては、本実施の形態の熱転写方式の他、例えばインクジェット方式、インパクト方式等を用いることができる。インパクト方式としては、第2のシート20の表面に感圧発色層を設け、この感圧発色層を機械的圧力により発色させる感圧発色方式を採用することが可能である。
【0041】
[第2の実施の形態]
図4は、積層型記録媒体1の横断平面図、図5は第1の記録面15への印字例を示す第1のシートの正面図、図6は第2の記録面23への印字例を示す第2のシートの正面図である。
【0042】
本実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0043】
本実施の形態では、第1のシート10における第1の記録面15に対する印字方式、換言すると第1の可視像生成手段の構成が第1の実施の形態とは異なる。つまり、本実施の形態では、染料を含むA層26が第2のシート20の裏面に、染料と会合することで反応しその染料を発色させる顕色剤を含むB層16が第1のシート10の表面にそれぞれ設けられ、A層26又はB層16に第1の印字ユニット111から印字エネルギーが付与された場合にのみ染料と顕色剤とを会合させる会合手段が設けられ、会合した染料と顕色剤とを第1の記録面15に保持させる保持手段が設けられて形成されている。そこで、第2のシート20の表面側から第1の印字ユニット111によって印字のための熱エネルギーを付与すると、A層26に含まれている染料がB層16に運ばれ、このB層16で顕色剤と会合して反応することで発色する。これにより、第1のシート10の表面、つまり第1の記録面15に所定の情報が記録される。
【0044】
このような本実施の形態における第1の可視像形成手段の内容を理解するためには、例えば特開2001−180123公報等の記載を参照することができる。
【0045】
本実施の形態において第1の実施の形態と異なるもう一つの点は、第2のシート20の裏面に遮光層22が形成されていないということである。つまり、本実施の形態の積層型記録媒体1では、第1の記録面15及び第2の記録面23に対する情報記録が行なわれる前の形態として、遮光層22が設けられていない。遮光層22は、印字装置101における第2の印字ユニット121を用いた第2の記録面23への記録動作に伴い生成される。
【0046】
より詳細に説明する。
【0047】
第2のシート20の裏面に形成されたA層26には、染料としてロイコ染料が含まれている。このようなA層26は、ワックスにロイコ染料を分散又は相溶させた状態でホットメルトによるフレキソ印刷またはグラビア印刷法により例えば5g/m2 程度形成することによって構成されている。そして、A層26のワックスは、第1の印字ユニット111から印字エネルギーが付与された場合に溶解し、ロイコ染料を第1のシート10の表面側に転移させることができる特性を有している。この意味で、本実施の形態におけるA層26は、熱エネルギーの付与に応じてロイコ染料を転移させる熱転写反応層として機能する。
【0048】
第1のシート10の表面に形成されたB層16は、ロイコ染料と会合して接触又は結合することによりロイコ染料を発色させることが可能な顕色剤とバインダー樹脂又はワックスとを含有している。このようなB層16は、例えば、バインダー樹脂に顕色剤を分散してロールコーター、グラビアコーター等により第1のシート10の表面に全面塗工して得ることができる。そして、B層16におけるバインダー樹脂又はワックスは、第1の印字ユニット111から印字エネルギーが付与された場合に溶解するものであっても溶解しないものであってもいずれでも良い。つまり、B層16におけるバインダー樹脂又はワックスは多孔質に構成されているので、A層26のワックスが溶解してロイコ染料が第1のシート10の表面側に転移してきた場合、転移したロイコ染料はB層16におけるバインダー樹脂又はワックスの内部に浸透し、顕色剤と会合する。この意味で、本実施の形態におけるB層16は、ロイコ染料と反応する反応層として機能する。
【0049】
このようなことから、A層26における熱転写反応層として機能及びB層16における反応層としての機能は、会合手段を構成する。そして、反応層として機能するB層16にロイコ染料及び顕色剤が保持され、このB層16の側に画像が形成される(保持手段)。したがって、B層16が設けられた第1のシート10の表面に第1の記録面15が形成されることになる。
【0050】
このような構成において、第1の印字ユニット111では、サーマルプリンタヘッド112における図示しない発熱素子の選択的な発熱によって積層型記録媒体1における第1のシート10の表面である第1の記録面15に情報を記録する。この際、第1の印字ユニット111は、第2のシート20の裏面に設けられたA層26に熱エネルギーを付与し、このA層26に含まれているワックスを溶解する。これによって、A層26に含まれているロイコ染料が第1のシート10の表面に位置する第1の記録面15に形成されたB層16に転移し、このB層16に含まれている顕色剤と会合する。すると、ロイコ染料は顕色剤と反応して発色し、B層16、つまり第1のシート10の表面に位置する第1の記録面15に印字、つまり可視像の形成が行なわれる。
【0051】
図5は、こうして記録された情報の一例を示す。図5に示すように、第1のシート10の表面に位置する第1の記録面15に記録される情報は、隠蔽性を有する情報である。特に、「店番」、「口座番号」、及び「積立残高」の項目は、隠蔽性の要求が高い。
【0052】
このような第1の印字ユニット111による第1の記録面15に対する印字は、第2の記録面23に対して可視情報が記録されるというような影響を及ぼさない。
【0053】
次いで、第2の印字ユニット121では、サーマルプリンタヘッド122における図示しない発熱素子の選択的な発熱によって積層型記録媒体1における第2のシート20の表面に情報を記録する。この際、第2の印字ユニット121では、サーマルプリンタヘッド122における図示しない発熱素子の発熱によって熱転写インクリボン125のインクが溶融し、溶融したインクが第2のシート20の表面である第2の記録面23に転移するという熱転写方式の印字を行なう。
【0054】
そして、このような第2の記録面23に対する熱転写方式の印字が行なわれる場合に重要なことは、第2の記録面23の一部に遮光層22が印字記録される点である。この遮光層22は、黒ベタ印字や特定模様の印字等によって形成される。この場合の遮光層22の形成位置は、第1のシート10における第1の記録面15に記録された情報のうち、隠蔽性が求められる情報の記録領域に重なった位置である。隠蔽性が求められる情報の記録領域というのは、第1の記録面15に記録された情報が図5に例示するようなものであるとすると、「店番」、「口座番号」、及び「積立残高」の項目が記録される領域である。
【0055】
図6は、こうして記録された情報の一例を示す。図6に示すように、第2のシート20の表面に位置する第2の記録面23に記録される情報は、宛名という外部からの視認性が求められる情報である。そして、第1のシート10における第1の記録面15に記録された「店番」、「口座番号」、及び「積立残高」の情報領域に重なる位置に位置させて、遮光層22が黒ベタ印字されている。これにより、遮光層22によって、第1の記録面15に記録された隠蔽性が求められる情報、つまり「店番」、「口座番号」、及び「積立残高」の情報が第2のシート20を介して外部から透けて見えてしまったり、あるいは第1のシート10と第2のシート20との両者を介して外部から透けて見えてしまったりすることが防止される。これにより、第1の記録面15に記録された情報の隠蔽性が向上する。
【0056】
このような第2の印字ユニット121による第2の記録面23に対する印字は、第1の記録面15に対して可視情報が記録されるというような影響を及ぼさない。
【0057】
ここで、本実施の形態では、印字装置101の第1の印字ユニット111がサーマルプリンタヘッド112を用いて印字を行なう方式であることに対応させてA層26を構成した。つまり、A層26は、熱エネルギーが付与されることにより溶解してロイコ染料を第1の記録面15に転移させるように構成されている。これに対して、A層26は、熱エネルギーが付与されることにより溶解してロイコ染料を第1の記録面15に転移させる構造のものに限らず、例えば、ロイコ染料をオイルで溶かした溶剤をマイクロカプセルに内包させた構造のものであっても良い。この場合には、マイクロカプセルを破壊することによりオイルが流れ出て、ロイコ染料を第1の記録面15に運び、顕色剤と会合させる。そこで、ロイコ染料をオイルで溶かした溶剤をマイクロカプセルに内包させた構造のA層26を用いる場合には、印字装置101に、マイクロカプセルを破壊するための構成が求められる。その一例として、第1の印字ユニット111にインパクト方式の印字を行なうユニットを用いることが可能である。
【0058】
また、本実施の形態によれば、他の全ての実施の形態と同様に、第1の印字ユニット111による第1の記録面15に対する印字は、第2の記録面23に対して可視情報が記録されるというような影響を及ぼさず、また、第2の印字ユニット121による第2の記録面23に対する印字は、第1の記録面15に対して可視情報が記録されるというような影響を及ぼさない。これを実現するために、印字装置101において、第1の印字ユニット111の印字エネルギーと第2の印字ユニット121の印字エネルギーとが適宜に設定される。
【0059】
なお、本実施の形態では、第1のシート10の表面にB層16が形成されて第2のシート20の裏面にA層26が形成された例を示したが、実施に当っては、A層26及びB層16の機能、つまり転写反応層としての機能と反応層としての機能とはそのままにしながら、第1のシート10の表面にA層26を形成して第2のシート20の裏面にB層16を形成しても良い。これにより、第1のシート10の表面に位置付けられた第1の記録面15は、第2のシート20の裏面に位置付けられることになる。
【0060】
[第3の実施の形態]
図7は、積層型記録媒体1の横断平面図である。
【0061】
本実施の形態において、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0062】
本実施の形態では、第1のシート10における第1の記録面15に対する印字方式、換言すると第1の可視像生成手段の構成が第1の実施の形態とは異なる。つまり、本実施の形態の積層型記録媒体1は、第2のシート20の裏面に生成された熱転写インキ層25を、第2のシート20の表面側からの加熱によって溶解して熱転写インキ層25が含むインクを第1の記録面15に転写する構造を有する。したがって、熱転写インキ層25が第1の可視像形成手段を構成することになる。
【0063】
そこで、第2のシート20における基材21の裏面に熱転写インキ層25が設けられている。そして、第1のシート10と第2のシート20とは、熱転写インキ層25が設けられていない部分の四辺端部を接着剤30により固定され、積層構造をなしている。第1のシート10は、上質紙またはグラシン紙によって構成され、第2のシート20の裏面に設けられた熱転写インキ層25が熱により溶解したときにその溶解したインクが表面に転写して印字がなされる程度の平滑性を有している。この意味で、第1のシート10では、その表面側、つまり第2のシート20で覆われて外部から視認できない側が第1の記録面15となる。
【0064】
ここで、第2のシート20の裏面に設けられた熱転写インキ層25は、第2のシート20の基材21を介した熱エネルギーによってワックスが溶解し、溶解したワックスによってインクを第1のシート10に転写する仕組みである。このような熱転写インキ層25は、ワックスタイプの熱転写インクリボンのインキ層と同じ構成で、着色剤、バインダー樹脂、ワックス及び添加剤から生成されている。そこで、熱転写インキ層25を生成するには、一般的なワックス系リボンの組成が使用可能である。例えば、
カーボンブラック・・・10重量部
カルナバワックス(1号)・・・30重量部
パラフィンワックス・・・30重量部
エチレン酢酸ビニル共重合体・・・10重量部
分散剤・・・5重量部
という材料を第2のシート20の基材21にホットメルトのグラビア印刷法で印刷形成することで、熱転写インキ層25が形成される。この場合、熱転写インキ層25の乾燥重量は、例えば4g/m2 である。
【0065】
ここで、本実施の形態の積層型記録媒体1では、第1の印字ユニット111によっては第2のシート20の表面に設けられた第2の記録面23に対して印字、つまり可視像の生成をすることができず、逆に、第2の印字ユニット121によっては第1のシート10の表面に設けられた第1の記録面15に対して印字、つまり可視像の生成をすることができないことが要求される。そこで、本実施の形態では、第1の印字ユニット111における印字のための熱エネルギー(E1)と第2の印字ユニット121における印字のための熱エネルギー(E2)とを参照して熱転写インキ層25の生成に用いるパラフィンワックスの融点を決める。すなわち、パラフィンワックスの融点は、第2のシート20の表面から熱エネルギー(E1)が付与されると溶解してカーボンブラック10重量部からなるインクを第1のシート10における第1の記録面15に転写するが、熱エネルギー(E2)ではそのような溶解が生じずにインクが第1の記録面15に転写しないように設定する。
【0066】
また、第2のシート20の裏面に対する熱転写インキ層25の塗布量に関しても、希望する印字濃度や第1の印字ユニット111及び第2の印字ユニット121が発生する熱エネルギーの関係等を考慮して決めれば良い。
【0067】
本実施の形態において第1の実施の形態と異なるもう一つの点は、第2のシート20の裏面に遮光層22が形成されていないということである。つまり、本実施の形態の積層型記録媒体1では、第1の記録面15及び第2の記録面23に対する情報記録が行なわれる前の形態として、遮光層22が設けられていない。遮光層22は、印字装置101における第2の印字ユニット121を用いた第2の記録面23への記録動作に伴い生成される。
【0068】
このような構成において、第1の印字ユニット111では、サーマルプリンタヘッド112における図示しない発熱素子の選択的な発熱によって積層型記録媒体1における第1のシート10の表面である第1の記録面15に情報を記録する。この際、第1の印字ユニット111は、第2のシート20の裏面に設けられた熱転写インキ層25に熱エネルギーを付与し、この熱転写インキ層25に含まれているインクを第1のシート10の表面に位置する第1の記録面15に転写する。これにより、第1の記録面15に印字、つまり可視像の形成が行なわれる。
【0069】
その後、第2の印字ユニット121によって第2のシート20における第2の記録面23に熱転写方式の印字が行なわれ、この際に、第2の記録面23の一部に遮光層22が印字記録される。この点については、第2の実施の形態と同様である。
【0070】
本実施の形態によれば、他の全ての実施の形態と同様に、第1の印字ユニット111による第1の記録面15に対する印字は、第2の記録面23に対して可視情報が記録されるというような影響を及ぼさず、また、第2の印字ユニット121による第2の記録面23に対する印字は、第1の記録面15に対して可視情報が記録されるというような影響を及ぼさない。これを実現するために、印字装置101において、第1の印字ユニット111の印字エネルギーと第2の印字ユニット121の印字エネルギーとが適宜に設定される。
【0071】
なお、本実施の形態では、第2のシート20の裏面に生成された熱転写インキ層25を、第2のシート20の表面側からの加熱によって溶解して熱転写インキ層25が含むインクを第1のシート10の表面に設けられた第1の記録面15に転写する構造を例示した。これに対して、実施に当っては、第1のシート10の表面に生成された熱転写インキ層25を、第2のシート20の表面側からの加熱によって溶解して熱転写インキ層25が含むインクを第2のシート20の裏面に設けられた第1の記録面15に転写するように構成しても良い。この場合には、第1のシート10における基材11の表面に熱転写インキ層25を設ければ良い。
【0072】
[第4の実施の形態]
図8は、積層型記録媒体1の横断平面図、図9は第1の記録面15への印字例を示す第1のシートの正面図、図10は第2の記録面23への印字例を示す第2のシートの正面図である。
【0073】
本実施の形態において、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0074】
本発明の第2の実施の形態では、第2のシート20の裏面にロイコ染料を含むA層26を設け、第1のシート10の表面に顕色剤を含むB層16を設け、A層26を転写転写反応層、B層16を反応層として構成した例を説明した。これに対して、本実施の形態は、第2のシート20の裏面に顕色剤を含むB層16を設け、第1のシート10の表面にロイコ染料を含むA層26を設け、B層16を転写転写反応層、A層16を反応層とした構成となっている。つまり、本実施の形態では、B層16に含まれている顕色剤をA層26に転移させてこのA層26に含まれているロイコ染料と会合させ、このA層26が形成されている第1のシート10の表面に画像を形成する。したがって、第1の記録面15は、第2の実施の形態と同様に、第1のシート10の表面に形成されることになる。
【0075】
より詳細に説明する。
【0076】
第2のシート20の裏面に形成されたB層16は、ロイコ染料と会合して接触又は結合することによりロイコ染料を発色させることが可能な顕色剤をワックスに分散又は相溶させた状態でホットメルトによるフレキソ印刷またはグラビア印刷法により例えば5g/m2 程度形成することによって構成されている。そして、B層16のワックスは、第1の印字ユニット111から印字エネルギーが付与された場合に溶解し、顕色剤を第1のシート10の表面側に転移させることができる特性を有している。この意味で、本変形例におけるB層16は、熱エネルギーの付与に応じて顕色剤を転移させる熱転写反応層として機能する。
【0077】
第1のシート10の表面に形成されたA層26は、ロイコ染料とバインダー樹脂又はワックスとを含有している。このようなA層26は、例えば、バインダー樹脂にロイコ染料を分散してロールコーター、グラビアコーター等により第1のシート10の表面に全面塗工して得ることができる。そして、A層26におけるバインダー樹脂又はワックスは、第1の印字ユニット111から印字エネルギーが付与された場合に溶解するものであっても溶解しないものであってもいずれでも良い。つまり、A層26におけるバインダー樹脂又はワックスは多孔質に構成されているので、B層16のワックスが溶解して顕色剤が第1のシート10の表面側に転移してきた場合、転移した顕色剤はA層26におけるバインダー樹脂又はワックスの内部に浸透し、ロイコ染料と会合する。この意味で、本変形例におけるA層26は、顕色剤と反応する反応層として機能する。
【0078】
このようなことから、B層16における熱転写反応層として機能及びA層26における反応層としての機能は、会合手段を構成する。そして、反応層として機能するB層16にロイコ染料及び顕色剤が保持され、このB層16の側に画像が形成される(保持手段)。したがって、B層16が設けられた第1のシート10の表面に第1の記録面15が形成されることになる。
【0079】
このような構成において、第1の印字ユニット111では、サーマルプリンタヘッド112における図示しない発熱素子の選択的な発熱によって積層型記録媒体1における第1のシート10の表面である第1の記録面15に情報を記録する。この際、第1の印字ユニット111は、第2のシート20の裏面に設けられたB層16に熱エネルギーを付与し、このB層16に含まれているワックスを溶解する。これによって、B層16に含まれている顕色剤が第1のシート10の表面に位置する第1の記録面15に形成されたA層26に転移し、このA層26に含まれているロイコ染料と会合する。すると、ロイコ染料は顕色剤と反応して発色し、A層26、つまり第1のシート10の表面に位置する第1の記録面15に印字、つまり可視像の形成が行なわれる。
【0080】
その後、第2の印字ユニット121によって第2のシート20における第2の記録面23に熱転写方式の印字が行なわれ、この際に、第2の記録面23の一部に遮光層22が印字記録される。この点については、第2の実施の形態と同様である。
【0081】
なお、本実施の形態では、印字装置101の第1の印字ユニット111がサーマルプリンタヘッド112を用いて印字を行なう方式であることに対応させてB層16を構成した。つまり、B層16は、熱エネルギーが付与されることにより溶解して顕色剤を第1の記録面15に転移させるように構成されている。これに対して、B層16は、熱エネルギーが付与されることにより溶解して顕色剤を第1の記録面15に転移させる構造のものに限らず、例えば、顕色剤をオイルに溶かした溶剤をマイクロカプセルに内包させた構造のものであっても良い。この場合には、マイクロカプセルを破壊することによりオイルが流れ出て、顕色剤を第1の記録面15に運び、ロイコ染料と会合させる。そこで、顕色剤をオイルに溶かした溶剤をマイクロカプセルに内包させた構造のB層16を用いる場合には、印字装置101に、マイクロカプセルを破壊するための構成が求められる。その一例として、第1の印字ユニット111にインパクト方式の印字を行なうユニットを用いることが可能である。
【0082】
なお、本実施の形態では、第1のシート10の表面にA層26が形成されて第2のシート20の裏面にB層16が形成された例を示したが、実施に当っては、A層26及びB層16の機能、つまり反応層としての機能と転写反応層としての機能とはそのままにしながら、第1のシート10の表面にB層16を形成して第2のシート20の裏面にA層26を形成しても良い。これにより、第1のシート10の表面に位置付けられた第1の記録面15は、第2のシート20の裏面に位置付けられることになる。
【0083】
以上説明した各種の本実施の形態では、例えば、第2のシート20の表面にプリ印刷等によって広告等の情報を印刷することができ、さらに多くの情報を記録することが可能となる。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、第1のシートと第2のシートとを張り合わせたままの状態で第1の記録面と第2の記録面とに別個独立した内容の情報を記録することができ、したがって、一例として、第1のシートと第2のシートとの間に綴じ込まれた第1の記録面に隠匿性情報を記録して第2の記録面に宛名情報を記録したような郵便物を容易に生成することができる。また、第2のシートにおける第1の記録面に対応する位置に遮光部を設けたので、第2のシートの厚みが薄く第1のシートが透けて見えるような場合であっても、遮光部が光を遮断して第1のシートにおける第1の記録面に記録された情報を判読できないようにすることができ、これにより、第1の記録面に記録された情報の隠蔽性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す積層型記録媒体の横断平面図である。
【図2】第1の記録面への印字例を示す第1のシートの正面図である。
【図3】第2の記録面への印字例を示す第2のシートの正面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す積層型記録媒体の横断平面図である。
【図5】第1の記録面への印字例を示す第1のシートの正面図である。
【図6】第2の記録面への印字例を示す第2のシートの正面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態を示す積層型記録媒体の横断平面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態を示す積層型記録媒体の横断平面図である。
【図9】第1の記録面への印字例を示す第2のシートの背面図である。
【図10】第2の記録面への印字例を示す第2のシートの正面図である。
【図11】本発明の積層型記録媒体に対して印字を行なう印字装置を例示する模式図である。
【符号の説明】
10 第1のシート
13 第1の可視像生成手段(感熱発色層)
15 第1の記録面
16 A層
16及び26 第1の可視像生成手段(A層及びB層)
20 第2のシート
22 遮光部(遮光層)
23 第2の記録面
24 第2の可視像生成手段(シート表面)
25 第1の可視像生成手段(熱転写インキ層)
26 B層
111 第1の記録手段(第1の印字ユニット)
121 第2の記録手段(第2の印字ユニット)
Claims (2)
- 第1のシートと、
直接感熱発色方式の記録手段による記録動作に伴い付与される熱作用に応じて発色し第1の記録面に可視情報を与える感熱発色層と、
遮光層を介して前記第1の記録面に対向するように前記第1のシートに剥離可能に貼り合わされ、前記第1の記録面と対向する面と反対側の面に第2の記録面を有し、この第2の記録面から前記記録手段による記録動作が行なわれた場合には前記感熱発色層に対して前記熱作用を及ぼす厚さであって、前記第2の記録面から熱転写方式による記録動作が行われた場合には前記感熱発色層に対して断熱作用を及ぼす厚さに形成された第2のシートと、
を備えることを特徴とする積層型記録媒体。 - 前記感熱発色層は、前記第1のシートに含まれていることを特徴とする請求項1記載の積層型記録媒体。
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