JP3874962B2 - 常温結晶性のエポキシ樹脂混合物および粉体塗料用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

常温結晶性のエポキシ樹脂混合物および粉体塗料用エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温で結晶性であるため、取扱作業性に優れ、かつ溶融状態においては極めて低粘度であるエポキシ樹脂混合物、および常温で固体であるため耐ブロッキング性に優れ、溶融状態においては極めて低粘度であるので間隙充填性に優れるとともに、得られる塗膜は塗装表面の平滑性、密着性が良好であるため、粉体塗料に好適な、本発明のエポキシ樹脂混合物を使用したエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体組成物例えば粉体塗料は無公害、省資源、省エネルギー型塗料として広い用途にわたって従来の溶剤型塗料から置き換わりつつある。ところが、一般的な粉体塗料は溶融時の粘度が高いことから、一回の塗料操作で厚膜仕上げが可能である長所を持つ反面、被塗物との塗れ性、細部への浸透性すなわち間隙充填性、薄膜塗装時の表面の平滑性等に劣るという欠点があり、また近年の用途拡大に伴って上記欠点の改善とともに密着性や耐湿性の向上も要望されるようになり、これらに対応するための新しい材料の開発が必要となっている。
一方、エポキシ樹脂は液状から固形まで様々な形態があり、その種類と、配合する硬化剤の種類の選択により変化に富んだ硬化物物性を発現できることから鋼板や鋼管の被覆や電気・電子部品の絶縁用等広範な分野で使用されている。これらエポキシ樹脂のうち粉体塗料に用いられるものとして、固形ビスフェノールA型、テトラブロモビスフェノールA型、ノボラック型等のエポキシ樹脂が知られている。
しかしながら、このような従来のエポキシ樹脂は一般にある程度大きな分子量を有しているため、溶融粘度が高く、粉体塗料に用いた場合には既述した被塗物との塗れ性、間隙充填性、薄膜塗装時の表面の平滑性等に劣り、複雑な構造物への塗布や狭い空隙への充填には適していない。そこでこれらの溶融粘度を低下するために分子量を小さくすることが考えられる。しかし、この場合はエポキシ樹脂が液状ないし半固形となり、液状の場合は粉体化のために半硬化が必要であり、その場合、高分子量化により溶融粘度が高くなるという問題があり、半固形の場合はエポキシ樹脂自体がブロッキング等により取扱作業性が著しく劣るという問題が生じる。
これらの問題を解決する手段として特開昭60−248725では、エポキシ樹脂として4,4′−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3′,5,5′−テトラメチルビフェニルからなるエポキシ樹脂成分を用いているが、このエポキシ樹脂の硬化剤などとの配合組成物は軟化温度の低い固形物となり、耐ブロッキング性の点で十分とは言えない。また、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂からは、再結晶等の操作により耐ブロッキング性に優れ、溶融粘度の低い結晶性エポキシ樹脂が得られるが、煩雑な再結晶操作は経済性を著しく悪化させる。
また、被塗物との密着性については低分子量のエポキシ樹脂を用いることが有利とされるが、既述の常温での耐ブロッキング性が悪いという欠点が解決されないため、実用的でない。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明が解決しようとする課題は前述した問題の解決であり、常温で結晶性であるため、取扱作業性に優れ、かつ溶融状態においては極めて低粘度であるエポキシ樹脂混合物、および常温で固体であるため耐ブロッキング性に優れ、溶融状態においては極めて低粘度であるので間隙充填性に優れるとともに、得られる塗膜は塗装表面の平滑性、耐湿性が良好であるため、粉体塗料に好適に使用されるエポキシ樹脂組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、これらの目的を達成できる粉体塗料用エポキシ樹脂組成物を見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、
「1. 下記各成分からなる常温結晶性のエポキシ樹脂混合物。
(a)一般式(I)で表わされるテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量部以上95重量部以下。
一般式(I)
【0005】
【化3】
Figure 0003874962
【0006】
(式中、nは平均値で0〜1の数である。)
(b)一般式(II)で表される4,4′−ビフェノール型エポキシ樹脂 5重量部以上60重量部以下。
(b)一般式(II)
【0007】
【化4】
Figure 0003874962
【0008】
(式中、nは平均値で0〜0.5の数である。)
2. 1項に記載された常温結晶性のエポキシ樹脂混合物において、エポキシ樹脂混合物の全量あるいは一部として、エポキシ化後のテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量部以上95重量部以下、4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂5重量部以上60重量部以下の割合となるように調整したテトラブロモビスフェノールAと4,4’−ビフェノールの混合物と、該フェノール化合物の混合物1モル当り4〜40モルのエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させることにより得られたエポキシ樹脂混合物を使用することを常温結晶性のエポキシ樹脂混合物。
3. 150℃における溶融粘度が0.4P以下である、1項または2項に記載の常温結晶性のエポキシ樹脂混合物。
4.1項から3項のいずれか1項に記載された常温結晶性のエポキシ樹脂混合物とエポキシ樹脂用硬化剤を必須成分としてなる粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。
5.エポキシ樹脂用硬化剤が酸系硬化剤および/またはアミン系硬化剤である、4項に記載された粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。」
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ樹脂混合物は、(a)テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂に、融点が高く、低溶融粘度である(b)4,4′−ビフェノール型エポキシ樹脂を一定量添加することにより、常温で結晶性を持たせ、低溶融粘度化したものである。また、本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂混合物を用いた組成物であり、種々の硬化剤と配合して組成物とした場合でも、固体状で、耐ブロッキング性に優れる。また、本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物は低溶融粘度であるため、これを用いて作成した塗膜は平滑性、密着性に優れる。
【0010】
本発明のエポキシ樹脂混合物の一成分である(a)テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂はテトラブロモビスフェノールAとエピハロヒドリンとをアルカリの存在下に反応させ、エポキシ樹脂としたものである。その構造は一般式(I)で表されるが、低溶融粘度を維持するために式中のnの平均値は0〜1であることが好ましく、より好ましくは0〜0.4であり、さらに好ましくは0〜0.1である。
【0011】
テトラブロモビスフェノールAとエピハロヒドリンとの反応は公知の方法で行なえるが、代表的な態様例を以下に詳述する。まず、テトラブロモビスフェノールAを1モル当たり4〜40モルに相当する量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする。ついで、その溶液を拡販しながらこれにテトラブロモビスフェノールA1モル当たり1.8〜4モル量のアルカリ金属水酸化物を固体または水溶液で加えて反応させる。この反応は、常圧下または減圧下で行なわせることができ、反応温度は通常、常圧下の反応の場合は30〜150℃であり、減圧下の反応の場合は30〜80℃である。反応は必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系へ戻す方法により脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、1〜8時間かけて少量ずつ断続的もしくは連続的に添加する。その全反応時間は通常、1〜10時間である。
反応終了後、不溶性の副生塩を瀘別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のエポキシ樹脂が得られる。
この反応におけるエピハロヒドリンとしては通常、エピクロルヒドリンまたはエピブロモヒドリンが用いられる。アルカリ金属水酸化物としては通常、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが用いられる。
【0012】
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩;ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
さらにこの反応においては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;メトキシプロパノール等のグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
さらに上記のようにして得られたエポキシ樹脂の可鹸化ハロゲン量が多すぎる場合は、再処理して十分に可鹸化ハロゲン量が低下してエポキシ樹脂を得ることができる。つまり、その粗製エポキシ樹脂を、イソプロパノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシド等の不活性な有機溶媒に再溶解しアルカリ金属水酸化物を固体または水溶液で加えて約30〜120℃の温度で0.5〜8時間再閉環反応を行なった後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副生塩を除去し、さらに有機溶媒を減圧留去して除くと、精製されたエポキシ樹脂が得られる。
【0013】
本発明のエポキシ樹脂混合物の他の成分である(b)4,4′−ビフェノール型エポキシ樹脂は4,4′−ビフェノールとエピハロヒドリンとをアルカリの存在下に、(a)テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂と同様にして反応させエポキシ樹脂としたものである。その構造は一般式(II)で表されるが、低溶融粘度を維持するために、式中のmの平均値は0〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0〜0.3である。
【0014】
本発明のエポキシ樹脂混合物は、(a)テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂と(b)4,4′−ビフェノール型エポキシ樹脂とをそれぞれ別々に製造または入手し、混合して使用してもよいし、それぞれの原料であるテトラブロモビスフェノールAと4,4′−ビフェノールとを同一容器内で同時にエピハロヒドリンと反応させて得られるそれぞれのエポキシ樹脂の混合物として使用してもよい。
硬化剤等との相溶性のよいエポキシ樹脂を得るためには後者の方法が好ましい。後者の方法を用いる場合は、エポキシ化後の(a)テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂と(b)4,4′−ビフェノール型エポキシ樹脂の混合割合が(a)40重量部以上95重量部以下、(b)5重量部以上60重量部以下になるようにそれぞれの原料の使用割合を前もって調製するか、エポキシ化後にどちらかまたは両方のエポキシ樹脂を追加して所定の割合になるように調製する必要がある。
【0015】
(a)テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂と(b)4,4′−ビフェノール型エポキシ樹脂との混合割合は、(a)テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量部以上95重量部以下に対して、(b)4,4′−ビフェノール型エポキシ樹脂5重量部以上60重量部以下であり、好ましくは(a)テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂60重量部以上90重量部以下に対して、(b)4,4′−ビフェノール型エポキシ樹脂10重量部以上40重量部以下である。(b)4,4′−ビフェノール型エポキシ樹脂の使用量が少なすぎると溶融粘度が高くなる。(b)4,4′−ビフェノール型エポキシ樹脂の使用量が多すぎると、溶融粘度が低くなるが、速硬化性に劣る。
本発明のエポキシ樹脂混合物の150℃における溶融粘度は0.4以下であり、好ましくは0.3以下である。この溶融粘度を達成するためには、エピハロヒドリンと原料フェノール化合物のモル比等の反応条件を調製する必要がある。
このようにして得られた、エポキシ樹脂混合物は、常温で結晶性であるため、取扱作業性に優れ、かつ溶融状態においては極めて低粘度であるため、流動性を要求されるエポキシ樹脂用途に好適に使用できる。
【0016】
本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂混合物とともに用いる硬化剤としては、従来よりエポキシ樹脂用硬化剤として知られる種々の酸系および/またはアミン系の硬化剤が使用可能であり、酸系硬化剤としては例えば、酸無水物および多価フェノール類があげられる。
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸の無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロ酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロ酸無水物、ナジック酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物等の脂環式カルボン酸無水物などがあげられる。
【0017】
多価フェノール類としては、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノール、テトラブロモビスフェノールA、トリスヒドロキシフェニルメタン、フェノール、クレゾール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、アラルキルポリフェノール類、ジシクロペンタジエンポリフェノール類、テルペンポリフェノール類などがあげられる。
その他の使用可能な酸系硬化剤としては、脂肪族スルホニウム塩および芳香族スルホニウム塩等のブレンステッド酸塩類、レゾール類、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、トリメリット酸およびカルボキシル基含有ポリエステル等のポリカルボン酸類などがあげられる。
【0018】
アミン系硬化剤としては、例えば、アミン類やそれらの塩などがあげらる。
アミン類としては、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン類の芳香族アミン類、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカン等の脂環式アミン類、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−7等の三級アミン類およびその塩類があげられる。
【0019】
その他の使用可能なアミン系硬化剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールおよび2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール系化合物およびその塩、アミンのBF錯体化合物、ジシアンジアミド類、アジピン酸ジヒドラッジドおよびフタル酸ジヒドラッジド等の有機酸ヒドラッジドなどがあげられる。
これらのエポキシ樹脂用硬化剤は、作業性の観点から50℃以上の軟化点ないし融点である物が最適であり、股、これらを2種以上併用してもよい。
【0020】
これら硬化剤の使用量は本発明のエポキシ樹脂混合物の有するエポキシ基1当量当たり硬化剤活性基0.5〜1.5当量の割合で用いる。イミダゾール類については、本発明のエポキシ樹脂混合物100重量部に対し0.1〜5重量部の割合で用いられる。
上記の硬化剤は使用する種類を選択することにより、エポキシ樹脂混合物の有する特徴から発現される優れた間隙充填性に加え、さらに種々の機能を付加することができる。例えば、ジシアンアミドでは粉体組成物の長期保存安定性が良好となり、酸無水物およびフェノール樹脂では硬化物の耐熱性が向上し、芳香族アミンや直鎖状フェノール樹脂では硬化物の可撓性が付与され、イミダゾール類では特に速硬化性が得られるなどの特徴が付加され、これら硬化剤を併用すること、によりこれらの特徴を合わせ持たせることもできる。
【0021】
本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物には、本発明のエポキシ樹脂混合物、すなわち(a)テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂と(b)4,4′−ビフェノール型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を必要に応じて混合することができるが、その他のエポキシ樹脂の使用割合は本発明のエポキシ樹脂混合物100重量部に対して100重量部以下が好ましく、より好ましくは、50重量部以下である。その他のエポキシ樹脂の使用割合が多すぎると、本発明の効果が十分に発揮されなくなる。
その混合することができる他のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、3,3′,5,5′−テトラメチルビフェノール、テルペンジフェノール、ハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシナフタレン等の種々のフェノール類や、種々のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール系化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、ジアミノフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミン等の種々のアミン化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、メチルヘキサヒドロキシフタル酸、ダイマー酸等の種々のカルボン酸類と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂などがあげられる。
【0022】
また本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物には、硬化を促進させるために、使用する硬化剤の種類に適合した硬化促進剤を必要に応じて配合することができる。このような硬化促進剤としては公知のものをいずれも使用でき、例えば酸無水物類や多価フェノール類を硬化剤として用いた場合は、イミダゾール、ジシアンジアミド、イミダゾリン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミンやトリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン化合物があげられ、芳香族アミンを硬化剤として用いた場合は、イミダゾール等の塩基性化合物、三フッ化ホウ素およびその誘導体などがあげられる。ここで使用する硬化促進剤は硬化剤の種類や使用目的等によっても変わるが、通常、エポキシ樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部の割合で用いられる。
本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、充填材、補強剤、着色剤、顔料、難燃剤、難燃助剤、希釈剤、合成樹脂などを適宜添加し、配合することができる。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた粉体塗料を製造する方法は、上述した本発明のエポキシ樹脂混合物、硬化剤および必要な添加剤をドライブレンド法、溶融ブレンド法、圧着ブレンド法等の既知の手法で混合し、粉砕および分級を行なって得られる、特に個々の配合成分を十分に混合するためには、加熱ニーダーやエクストルーダー等を使用した溶融ブレンドが好ましい。また、粉体塗料の粒度は、塗膜外観を損なわないために、小さい方が好ましく、通常、1〜80μm程度であることが好ましい。
このようにして得られた、エポキシ樹脂組成物は、常温で固体であるため耐ブロッキング性に優れるとともに、溶融状態においては極めて低粘度であるので間隙充填性に優れ、被塗物に対する塗れ性や薄膜塗装性も良好で、粉体塗料に好適に使用できる。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明のエポキシ樹脂混合物製造の実施例、さらに本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物の実施例および比較例をあげて詳述する。
【0025】
エポキシ樹脂混合物の実施例1〜3
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量5Lの四つ口フラスコに表1に示した種類および量のフェノール化合物、エピクロルヒドリン1270g、イソプロパノール494gを仕込み、50℃に昇温して均一に溶解させた後、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液217gを2時間かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了後には系内が70℃になるようにした。その後、70℃で30分保持し反応を完了させ、水洗により副生塩および過剰の水酸化ナトリウムを除去した。ついで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリンとイソプロパノールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。
この粗製エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン1000gに溶解させ、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液10gを加え、85℃の温度で1時間反応させた。その後、反応液に第一リン酸ナトリウム水溶液を加えて、過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩を除去した。次いで、減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に除去して、目的のエポキシ樹脂を得た。
これらエポキシ樹脂混合物の組成、エポキシ当量、溶融粘度を表1に示した。
【0026】
【表1】
Figure 0003874962
【0027】
(註)
*1:原料仕込量から算出
*2:コーン&プレート粘度計 150℃
【0028】
粉体塗料用エポキシ樹脂の組成物実施例4〜9および比較例1〜3
本発明のエポキシ樹脂混合物として、実施例1〜3で製造した各エポキシ樹脂混合物、市販の固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、市販のテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、および市販のテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、また、エポキシ樹脂硬化剤として、ビスフェノールAノボラック樹脂、テトラヒドロ無水フタル酸、およびジシアンジアミド、さらに硬化促進剤として、トリフェニルホスフィンおよび2−エチル−4−メチルイミダゾール、充填剤としてシリカ粉末を表2に示す割合でそれぞれ予備混合した。次いで、エクストルーダーを用いて115℃で溶融混練し、冷却後、ハンマーミルで粉砕し、粒径が標準篩で1〜106μmを主成分とする粉体塗料組成物をそれぞれについて調製した。
調製した各粉体塗料について溶融粘度および耐ブロッキング性を調べた結果、表2の通りであり、実施例4〜9の各粉体塗料は比較例1〜3の各粉体塗料に比べて、溶融粘度が低く、耐ブロッキング性に優れていた。
さらに、これらの粉体塗料組成物を180℃に加熱しておいた鋼鈑上に、静電塗装機を用いて塗装を行ない、200℃で20分間オーブン中で後硬化を行ない、塗膜厚が80〜120μmの塗膜試験片を得た。得られた塗膜試験片の塗膜性能を調べた結果は、表2の通りであり、実施例4〜9の各粉体塗料は比較例1〜3の各粉体塗料と同様に表面が平滑である一方、密着性については優れていた。
【0029】
【表2】
Figure 0003874962
【0030】
(註) 表中、配合量は全て重量部である。
【0031】
(表2中の物性測定に関する説明)
溶融粘度とは、表2における各粉体組成物について、硬化促進剤と充填剤を除いた配合物の150℃における溶融粘度をコーン&プレート粘度計を用いて測定した。
耐ブロッキング性とは表2における各粉体塗料について、40℃の恒温槽中で1週間放置したときのブロッキングの状態を以下の基準で評価した。
○:状物にならず流動性がある
△:塊状物はならないが流動性がない
×:全体的に塊状物となり流動性がない
塗膜表面は得られた塗膜試験片の室温における塗膜の表面を目視して調べた。
密着性は、得られた塗膜試験片を基盤目法(JISK−5400 8.5.1)に従って評価した。
【0032】
(表2のなかで使われた各材料の説明)
エポキシ樹脂A:エピコート1001(固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、油化シェルエポキシ社製、WPE466g/eq.
エポキシ樹脂B:エピコート5050(固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、油化シェルエポキシ社製、WPE390g/eq.
エポキシ樹脂C:エピコートYX4000(テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂)、油化シェルエポキシ社製、WPE186g/eq.
硬化剤D:ジシアンジアミド
硬化剤E:エピキュアYLH129(ビスフェノールAノボラック型樹脂)、油化シェルエポキシ社製、フェノール性水酸基当量120g/eq.
硬化剤F:テトラヒドロ無水フタル酸
硬化促進剤G:2−エチル−4−メチルイミダゾール
硬化促進剤H:トリフェニルホスフィン
【0033】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂混合物は常温で結晶性であるため、取扱作業性に優れ、かつ溶融状態においては極めて低粘度という特徴をもち、本発明のエポキシ樹脂混合物を用いた粉体塗料用エポキシ樹脂組成物は常温で固体であるため耐ブロッキング性に優れ、溶融状態においては極めて低粘度であるので間隙充填性に優れるとともに、得られる塗膜は塗装表面の平滑性、密着性が良好である。

Claims (5)

  1. 下記各成分からなる常温結晶性のエポキシ樹脂混合物。
    (a)一般式(I)で表わされるテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量部以上95重量部以下。
    一般式(I)
    Figure 0003874962
    (式中、nは平均値で0〜1の数である。)
    (b)一般式(II)で表わされる4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂 5重量部以上60重量部以下。
    一般式(II)
    Figure 0003874962
    (式中、mは平均値で0〜0.5の数である。)
  2. 請求項1に記載された常温結晶性のエポキシ樹脂混合物において、エポキシ樹脂混合物の全量あるいは一部として、エポキシ化後のテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量部以上95重量部以下、4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂5重量部以上60重量部以下の割合となるように調整したテトラブロモビスフェノールAと4,4’−ビフェノールの混合物と、該フェノール化合物の混合物1モル当り4〜40モルのエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させることにより得られたエポキシ樹脂混合物を使用することを常温結晶性のエポキシ樹脂混合物。
  3. 150℃における溶融粘度が0.4P以下である、請求項1または2に記載の常温結晶性のエポキシ樹脂混合物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載された常温結晶性のエポキシ樹脂混合物とエポキシ樹脂用硬化剤を必須成分としてなる粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。
  5. エポキシ樹脂用硬化剤が酸系硬化剤および/またはアミン系硬化剤である、請求項4に記載された粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。
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