JP6241186B2 - フェノール樹脂、エポキシ樹脂、これらの製造方法、硬化性組成物、その硬化物、半導体封止材料、及びプリント配線基板 - Google Patents

フェノール樹脂、エポキシ樹脂、これらの製造方法、硬化性組成物、その硬化物、半導体封止材料、及びプリント配線基板 Download PDF

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本発明は、流動性に優れ、硬化物における難燃性や基材密着性が高く、線膨張率の低いフェノール樹脂及びエポキシ樹脂、これらの製造方法、これらを用いた硬化性組成物とその硬化物、半導体封止材料、及びプリント配線基板に関する。
フェノール樹脂やエポキシ樹脂は、接着剤、成形材料、塗料、フォトレジスト材料、顕色材料等に用いられている他、得られる硬化物が耐熱性や耐湿性などに優れる点から半導体封止材やプリント配線板用絶縁材料等の電気・電子分野で幅広く用いられている。
これら各種用途のうち半導体封止材料の分野ではBGA、CSPといった表面実装パッケージへの移行や、鉛フリー半田への対応、ハロゲン系難燃剤の排除などの技術革新が進められており、具体的には、更なる耐熱性、低熱膨張性、耐湿耐半田性の向上に加え、ハロゲン系難燃剤を使用せずとも高い難燃性を有し、基材への密着性にも優れる樹脂材料が求められている。特に、半導体封止材料は樹脂材料にシリカ等のフィラーを充填させて用いるものであり、フィラーの充填率を高めるためには樹脂材料が低粘度で流動性に優れる必要がある。
半導体封止材用のエポキシ樹脂として、例えば、β−ナフトールをアルカリ条件下で反応させた後、反応生成物とオルソクレゾールとを酸触媒条件下で反応させて得られ、下記構造式(1)
Figure 0006241186
で表される化合物を17質量%、下記構造式(2)
Figure 0006241186
で表される化合物を21質量%、下記構造式(3)
Figure 0006241186
で表される化合物を36%含有するフェノール樹脂をポリグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が知られている。このようなエポキシ樹脂はガラス転移温度で評価される耐熱性には優れるものの、硬化物における難燃性や基材密着性が低く、また、線膨張率も大きいものであった。
特開2000−53739号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、流動性に優れ、硬化物における難燃性や基材密着性が高く、線膨張率の低いフェノール樹脂及びエポキシ樹脂、これらの製造方法、これらを用いた硬化性組成物とその硬化物、半導体封止材料、及びプリント配線基板を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを反応させて得られる樹脂構造を有するフェノール樹脂であって、前記樹脂構造中に存在するフェノール性水酸基のオルソ位に位置するメチレン基(o)と、フェノール性水酸基のパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]が、13C−NMR測定を元に算出される値で40/60〜80/20の範囲であるフェノール樹脂、或いは、これをポリグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂は流動性に優れると共に、硬化物における難燃性や低線膨張性が高く、かつ、銅箔等の基材への密着性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを反応させて得られる樹脂構造を有するフェノール樹脂であって、前記樹脂構造中に存在するフェノール性水酸基のオルソ位に位置するメチレン基(o)と、フェノール性水酸基のパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]が、13C−NMR測定を元に算出される値で40/60〜80/20の範囲であるフェノール樹脂に関する。
本発明は更に、前記フェノール樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物を硬化反応させてなる硬化物に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物に加え、更に無機充填剤を含有する半導体封止材料に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物に有機溶剤を配合したものを補強基材に含浸し、銅箔を重ねて加熱圧着させることにより得られたプリント配線基板に関する。
本発明は更に、オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを無触媒条件下で反応させることを特徴とするフェノール樹脂の製造方法に関する。
本発明は更に、オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを反応させて得られる樹脂構造を有するフェノール樹脂のポリグリシジルエーテルであって、前記樹脂構造中のフェノール性水酸基に由来するグリシジルオキシ基のオルソ位に位置するメチレン基(o)と、グリシジルオキシ基のパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]が、13C−NMR測定を元に算出される値で40/60〜80/20の範囲であるエポキシ樹脂に関する。
本発明は更に、前記エポキシ樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物を硬化反応させてなる硬化物に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物に加え、更に無機充填剤を含有する半導体封止材料に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物に有機溶剤を配合したものを補強基材に含浸し、銅箔を重ねて加熱圧着させることにより得られたプリント配線基板に関する。
本発明は更に、オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを無触媒条件下で反応させてフェノール中間体を得、次いで、得られたフェノール中間体とエピハロヒドリンとを反応させることを特徴とするエポキシ樹脂の製造方法に関する。
本発明によれば、流動性に優れ、硬化物における難燃性や基材密着性が高く、線膨張率の低いフェノール樹脂及びエポキシ樹脂、これらの製造方法、これらを用いた硬化性組成物とその硬化物、半導体封止材料、及びプリント配線基板を提供できる。
図1は、実施例1で得られたフェノール樹脂(A−1)のGPCチャートである。 図2は、実施例1で得られたフェノール樹脂(A−1)の13C−NMRチャートである。 図3は、実施例2で得られたフェノール樹脂(A−2)のGPCチャートである。 図4は、実施例2で得られたフェノール樹脂(A−2)の13C−NMRチャートである。 図5は、実施例3で得られたエポキシ樹脂(B−1)のGPCチャートである。 図6は、実施例3で得られたエポキシ樹脂(B−1)の13C−NMRチャートである。 図7は、実施例4で得られたエポキシ樹脂(B−2)のGPCチャートである。 図8は、実施例4で得られたエポキシ樹脂(B−2)の13C−NMRチャートである。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のフェノール樹脂はオルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを反応させて得られる樹脂構造を有するフェノール樹脂であって、前記樹脂構造中に存在するフェノール性水酸基のオルソ位に位置するメチレン基(o)と、フェノール性水酸基のパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]が、13C−NMR測定を元に算出される値で40/60〜80/20の範囲であることを特徴とする。
即ち、本発明のフェノール樹脂はオルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを反応させて得られるものであり、下記構造式(i)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合に複数のRはそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x1)や、下記構造式(ii)
Figure 0006241186
(式中Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表し、nは1〜6の整数である。nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x2)、下記構造式(iii)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x3)など種々の化合物を含有するフェノール樹脂であり、前記構造式(i)や(iii)中のナフタレン骨格とオルソアルキルフェノール骨格とをつなぐメチレン基の結合位置について、フェノール性水酸基のオルソ位に位置するメチレン基(o)と、フェノール性水酸基のパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]が、13C−NMR測定を元に算出される値で40/60〜80/20の範囲であることにより、流動性が高く、硬化物における線膨張率が小さいフェノール樹脂となる。
本発明において前記メチレン基(o)と前記メチレン基(p)の存在比[(o)/(p)]は、下記条件で測定される13C−NMRの分析チャート図から算出される値であり、具体的には、フェノール樹脂の13C−NMR分析チャート上で22〜27ppmに検出されるフェノール性水酸基のオルソ位に位置するメチレン基(o)由来のピーク面積と、28〜33ppmに検出されるフェノール性水酸基のパラ位に位置するメチレン基(p)由来のピーク面積との比から算出される値である。
<13C−NMR測定条件>
装置:日本電子(株)製「JNM−ECA500」
測定モード:NNE(NOE消去の1H完全デカップリング法)
溶媒 :重クロロホルム
パルス角度:45°パルス
試料濃度 :30wt%
積算回数 :4000回
本発明のフェノール樹脂は、前記構造式(i)で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x1)と、前記構造式(ii)で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x2)とを含有していることが好ましく、流動性に優れ、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られるという本願発明の効果が十分に発揮されることから、フェノール樹脂中の前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)と(x2)との合計の含有量が、GPCのピーク面積比から算出される値が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。
フェノール樹脂中の前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)と(x2)との合計の含有量は下記条件で測定されるGPCの分析チャート図から算出されるものであり、具体的には、本発明のフェノール樹脂全体のピーク面積に対する、前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)と(x2)とに由来するピーク面積の合計の比から計算される値である。
<GPC測定条件>
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)は、下記構造式(i)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
で表される分子構造を有する。
前記構造式(i)中のRは炭素原子数1〜6のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基等が挙げられる。中でも、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることから、メチル基であることが好ましい。
前記構造式(i)中のRは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかである。前記炭素原子数1〜6のアルキル基は、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基等が挙げられる。また、前記炭素原子数1〜6のアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、へキシルオキシ基、シクロへキシルオキシ基等が挙げられる。アリール基は、フェニル基、ナフチル基、又はこれらの芳香核上にアルキル基やアルコキシ基等が一つ乃至複数置換した構造部位が挙げられる。アラルキル基は、フェニルメチル基、ナフチルメチル基、又はこれらの芳香核上にアルキル基やアルコキシ基等が一つ乃至複数置換した構造部位が挙げられる。ハロゲン原子は、フッ素原子、ブロモ原子、塩素原子が挙げられる。
前記構造式(i)中のnはRの置換数を表す値であり、1〜6の整数である。中でも、流動性に優れ、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることから、Rが全て水素原子であることが好ましい。
即ち、前記構造式(i)で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x1)は、より好ましくは、下記構造式(i−o)又は(i−p)
Figure 0006241186
で表されるものとなる。
前記フェノール性水酸基含有化合物(x2)は、下記構造式(ii)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表し、nは0〜6の整数である。nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
で表される分子構造を有する。
前記構造式(ii)中のR及びnは前記構造式(i)中のR及びnと同義であり、流動性に優れ、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることから、Rが全て水素原子であることが好ましい。
即ち、前記構造式(ii)で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x2)は、より好ましくは、下記構造式(ii−1)
Figure 0006241186
で表される分子構造を有するものである。
本発明のフェノール樹脂は、フェノール性水酸基含有化合物(x1)及び(x2)の他、例えば、下記構造式(iii)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x3)や、下記構造式(iv)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。mは2以上の整数である。)
で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x4)を含有していても良い。
前記構造式(iii)又は(iv)中のR、R及びnは前記構造式(i)中のR、R及びnと同義である。前記構造式(iii)又は(iv)中のRは、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることからメチル基であることが好ましい。また、前記構造式(iii)又は(iv)中のRは、流動性に優れ、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることから全て水素原子であることが好ましい。
即ち、前記構造式(iii)で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x3)は、より好ましくは、下記構造式(iii−1)
Figure 0006241186
で表される分子構造を有するものであり、前記構造式(iv)で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x4)は、より好ましくは、下記構造式(iv−1)
Figure 0006241186
(式中mは2以上の整数である。)
で表される分子構造を有するものである。
本発明のフェノール樹脂が前記フェノール性水酸基含有化合物(x3)を含有する場合、フェノール樹脂中の各成分の含有量は、GPCのピーク面積比から算出される値で、前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)と(x2)との合計の含有量が30〜80%の範囲であり、かつ、前記フェノール性水酸基含有化合物(x3)の含有量が15〜50%の範囲であることが好ましい。
本発明のフェノール樹脂は、難燃性に優れ、線膨張率の低い硬化物が得られることから、水酸基当量が130〜150g/eqの範囲であることが好ましい。また、その溶融粘度は150℃条件下で測定される値が0.1〜4.0dPa・sの範囲であることが好ましい。
本発明のフェノール樹脂は、例えば、オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを無触媒条件下で反応させる方法により製造することが出来る。なお、本発明における無触媒条件下とは、意図的に触媒を加えない条件である場合をいう。
ここで用いるオルソアルキルフェノールは、例えば、オルソクレゾール、オルソエチルフェノール、オルソ−n−プロピルフェノール、オルソイソプロピルフェノール、オルソ−n−ブチルフェノール、オルソイソブチルフェノール、オルソ−s−ブチルフェノール、オルソ−t−ブチルフェノール、オルソペンチルフェノール、オルソネオペンチルフェノール、オルソへキシルフェノール、オルソシクロへキシルフェノール等が挙げられる。中でも、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることからオルソクレゾールであることが好ましい。
前記製造方法で用いるβ−ナフトール化合物は、例えば、下記構造式(α)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表し、nは0〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
で表されるものが挙げられる。中でも、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることから、置換基を有しないβ−ナフトールであることが好ましい。
前記製造方法で用いるホルムアルデヒドは、水溶液の状態であるホルマリン、或いは固形の状態であるパラホルムアルデヒドのどちらでも良い。
前記製造方法において、前記オルソアルキルフェノールとβ−ナフトール化合物との反応割合は、前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)が生成し易いことから、両者のモル比[(オルソアルキルフェノール)/(β−ナフトール化合物)]が[10.0/1.0]〜[1.0/2.0]の範囲であることが好ましく、[4.0/1.0]〜[1.0/1.5]の範囲であることがより好ましい。
また、ホルムアルデヒドの反応仕込み量は、前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)が生成し易いことから、アルキルフェノールとβ−ナフトール化合物との合計のモル数に対し、ホルムアルデヒドがモル基準で0.2〜1.5倍量となる割合であることが好ましく、0.3〜1.0倍量となる割合であることがより好ましい。
前記オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドの反応は無触媒条件下で行う。これにより、前述した樹脂構造中に存在するフェノール性水酸基のオルソ位に位置するメチレン基(o)と、フェノール性水酸基のパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]を40/60〜80/20の範囲の範囲に調整することが容易となる。
前記オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドの反応は、例えば、反応容器にオルソアルキルフェノールとβ−ナフトール化合物とを仕込み、120〜200℃程度まで昇温させた後、ホルムアルデヒドを添加して、120〜200℃の温度条件下で数時間反応させる方法により行うことが出来る。
このとき、必要応じて反応を有機溶剤中で行っても良く、ここで用いる有機溶剤は、例えば、メチルセロソルブ、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これら有機溶剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、これら有機溶剤を使う場合の使用量は、反応原料の総質量、即ち、オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドの合計の質量に対し、1〜70質量%の範囲で用いることが好ましい。
反応終了後は、加熱減圧条件で乾燥させるなどして本発明のフェノール樹脂を得ることが出来る。
本発明のエポキシ樹脂は、オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを反応させて得られる樹脂構造を有するフェノール樹脂のポリグリシジルエーテルであって、前記樹脂構造中のフェノール性水酸基に由来するグリシジルオキシ基のオルソ位に位置するメチレン基(o)と、グリシジルオキシ基のパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]が、13C−NMR測定を元に算出される値で40/60〜80/20の範囲であることを特徴とする。
即ち、本発明のエポキシ樹脂はオルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを反応させて得られるフェノール樹脂のポリグリシジルエーテルであり、下記構造式(I)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合に複数のRはそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
で表されるエポキシ化合物(y1)や、下記構造式(II)
Figure 0006241186
(式中Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表し、nは1〜6の整数である。nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
で表されるエポキシ化合物(y2)、下記構造式(III)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
で表されるエポキシ化合物(y3)など種々の化合物を含有するエポキシ樹脂であり、前記構造式(I)や(III)中のナフタレン骨格とアルキルベンゼン骨格とをつなぐメチレン基の結合位置について、フェノール性水酸基に由来するグリシジルオキシ基のオルソ位に位置するメチレン基(o)と、グリシジルオキシ基のパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]が、13C−NMR測定を元に算出される値で40/60〜80/20の範囲であることにより、流動性が高く、硬化物における線膨張率が小さいエポキシ樹脂となる。
本発明において前記メチレン基(o)と前記メチレン基(p)の存在比[(o)/(p)]は、前記条件で測定される13C−NMRの分析チャート図から算出される値であり、具体的には、エポキシ樹脂の13C−NMR分析チャート上で22〜27ppmに検出されるグリシジルオキシ基のオルソ位に位置するメチレン基(o)由来のピーク面積と、28〜33ppmに検出されるグリシジルオキシ基のパラ位に位置するメチレン基(p)由来のピーク面積との比から算出される値である。
本発明のエポキシ樹脂は、前記構造式(I)で表されるエポキシ化合物(y1)と、前記構造式(II)で表されるエポキシ化合物(y2)とを含有していることが好ましく、流動性に優れ、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られるという本願発明の効果が十分に発揮されることから、エポキシ樹脂中の前記エポキシ化合物(y1)と(y2)との合計の含有量が、GPCのピーク面積比から算出される値が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。
エポキシ樹脂中の前記エポキシ化合物(y1)と(y2)との合計の含有量は前記条件で測定されるGPCの分析チャート図から算出されるものであり、具体的には、本発明のエポキシ樹脂全体のピーク面積に対する、前記エポキシ化合物(y1)と(y2)とに由来するピーク面積の合計の比から計算される値である。
前記エポキシ化合物(y1)は、下記構造式(I)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
で表される分子構造を有する。
前記構造式(I)中のRは炭素原子数1〜6のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基等が挙げられる。中でも、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることから、メチル基であることが好ましい。
前記構造式(I)中のRは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかである。前記炭素原子数1〜6のアルキル基は、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基等が挙げられる。また、前記炭素原子数1〜6のアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、へキシルオキシ基、シクロへキシルオキシ基等が挙げられる。アリール基は、フェニル基、ナフチル基、又はこれらの芳香核上にアルキル基やアルコキシ基等が一つ乃至複数置換した構造部位が挙げられる。アラルキル基は、フェニルメチル基、ナフチルメチル基、又はこれらの芳香核上にアルキル基やアルコキシ基等が一つ乃至複数置換した構造部位が挙げられる。ハロゲン原子は、フッ素原子、ブロモ原子、塩素原子が挙げられる。
前記構造式(I)中のnはRの置換数を表す値であり、1〜6の整数である。中でも、流動性に優れ、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることから、Rが全て水素原子であることが好ましい。
即ち、前記構造式(I)で表されるフェノール性水酸基含有化合物(y1)は、より好ましくは、下記構造式(I−o)又は(I−p)
Figure 0006241186
で表されるものとなる。
前記エポキシ化合物(y2)は、下記構造式(II)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表し、nは0〜6の整数である。nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
で表される分子構造を有する。
前記構造式(II)中のR及びnは前記構造式(I)中のR及びnと同義であり、流動性に優れ、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることから、Rが全て水素原子であることが好ましい。
即ち、前記構造式(II)で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x2)は、より好ましくは、下記構造式(II−1)
Figure 0006241186
で表される分子構造を有するものである。
本発明のエポキシ樹脂は、エポキシ化合物(y1)及び(y2)の他、例えば、下記構造式(III)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
で表されるエポキシ化合物(y3)や、下記構造式(IV)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。mは2以上の整数である。)
で表されるエポキシ化合物(y4)を含有していても良い。
前記構造式(III)又は(IV)中のR、R及びnは前記構造式(I)中のR、R及びnと同義である。前記構造式(III)又は(IV)中のRは、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることからメチル基であることが好ましい。また、前記構造式(III)又は(IV)中のRは、流動性に優れ、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることから全て水素原子であることが好ましい。
即ち、前記構造式(III)で表されるエポキシ化合物(y3)は、より好ましくは、下記構造式(III−1)
Figure 0006241186
で表される分子構造を有するものであり、前記構造式(IV)で表されるエポキシ化合物(y4)は、より好ましくは、下記構造式(IV−1)
Figure 0006241186
(式中mは2以上の整数である。)
で表される分子構造を有するものである。
本発明のエポキシ樹脂が前記エポキシ化合物(y3)を含有する場合、エポキシ樹脂中の各成分の含有量は、GPCのピーク面積比から算出される値で、前記エポキシ化合物(y1)と(y2)との合計の含有量が30〜80%の範囲であり、かつ、前記エポキシ化合物(y3)の含有量が15〜50%の範囲であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂は、難燃性に優れ、線膨張率の低い硬化物が得られることから、エポキシ当量が210〜300g/eqの範囲であることが好ましい。また、その溶融粘度は150℃条件下で測定される値が0.1〜4.0dPa・sの範囲であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂は、例えば、オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを無触媒条件下で反応させてフェノール樹脂中間体を得(第一工程)、次いで得られたフェノール樹脂中間体をエピハロヒドリンと反応させてグリシジルエーテル化する(第二行程)方法により製造することが出来る。なお、この製造方法の第一工程で得られるフェノール樹脂中間体は、先で説明した本願発明のフェノール樹脂に相当する。
第一工程で用いるオルソアルキルフェノールは、例えば、オルソクレゾール、オルソエチルフェノール、オルソ−n−プロピルフェノール、オルソイソプロピルフェノール、オルソ−n−ブチルフェノール、オルソイソブチルフェノール、オルソ−s−ブチルフェノール、オルソ−t−ブチルフェノール、オルソペンチルフェノール、オルソネオペンチルフェノール、オルソへキシルフェノール、オルソシクロへキシルフェノール等が挙げられる。中でも、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることからオルソクレゾールであることが好ましい。
前記製造方法で用いるβ−ナフトール化合物は、例えば、下記構造式(α)
Figure 0006241186
(式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表し、nは0〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
で表されるものが挙げられる。中でも、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られることから、置換基を有しないβ−ナフトールであることが好ましい。
前記製造方法で用いるホルムアルデヒドは、水溶液の状態であるホルマリン、或いは固形の状態であるパラホルムアルデヒドのどちらでも良い。
前記製造方法の第一工程において、前記オルソアルキルフェノールとβ−ナフトール化合物との反応割合は、前記エポキシ化合物(y1)の前駆体である前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)が生成し易いことから、両者のモル比[(オルソアルキルフェノール)/(β−ナフトール化合物)]が[10.0/1.0]〜[1.0/2.0]の範囲であることが好ましく、[4.0/1.0]〜[1.0/1.5]の範囲であることがより好ましい。
また、ホルムアルデヒドの反応仕込み量は、前記エポキシ化合物(y1)の前駆体である前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)が生成し易いことから、オルソアルキルフェノールとβ−ナフトール化合物との合計のモル数に対し、ホルムアルデヒドがモル基準で0.2〜1.5倍量となる割合であることが好ましく、0.3〜1.0倍量となる割合であることがより好ましい。
前記オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドの反応は無触媒条件下で行う。これにより、前述した樹脂構造中に存在するフェノール性水酸基に由来するグリジルオキシ基のオルソ位に位置するメチレン基(o)と、グリシジルオキシ基のパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]を40/60〜80/20の範囲の範囲に調整することが容易となる。
前記オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドの反応は、例えば、反応容器にオルソアルキルフェノールとβ−ナフトール化合物とを仕込み、120〜200℃程度まで昇温させた後、ホルムアルデヒドを添加して、120〜200℃の温度条件下で数時間反応させる方法により行うことが出来る。
このとき、必要応じて反応を有機溶剤中で行っても良く、ここで用いる有機溶剤は、例えば、メチルセロソルブ、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これら有機溶剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、これら有機溶剤を使う場合の使用量は、反応原料の総質量、即ち、アルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドの合計の質量に対し、1〜70質量%の範囲で用いることが好ましい。
第一工程終了後は、加熱減圧条件で乾燥させるなどしてフェノール樹脂中間体を得ることが出来る。
続く第二行程は、得られたフェノール樹脂中間体とエピハロヒドリンとを反応させる工程である。第二行程の反応は、例えば、フェノール樹脂中間体中のフェノール性水酸基1モル対し、エピハロヒドリンが2〜10モルの範囲となる割合で両者を用い、フェノール性水酸基1モル対し0.9〜2.0モルの塩基性触媒を一括又は分割添加しながら20〜120℃の温度で0.5〜10時間反応させる方法により行うことが出来る。ここで用いる塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよく、水溶液を使用する場合は、連続的に添加すると共に反応混合物中から減圧または常圧条件下で連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出させ、これを分液して水は除去し、エピハロヒドリンは反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい。
なお、工業生産を行う際、エポキシ樹脂生産の初バッチでは仕込みに用いるエピハロヒドリン類の全てが新しいものであるが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリンと、反応で消費される分で消失する分に相当する新しいエピハロヒドリンとを併用することが好ましい。この時、使用するエピハロヒドリンは特に限定されないが、例えばエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等が挙げられる。なかでも工業的入手が容易なことからエピクロルヒドリンが好ましい。
また、前記塩基性触媒は、具体的には、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。特にエポキシ樹脂合成反応の触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、具体的には、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられる。これらの塩基性触媒は10〜55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用してもよい。また、フェノール中間体とエピハロヒドリンとの反応は有機溶媒を併用することにより反応速度を高めることができる。ここで用いる有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜2種以上を併用してもよい。
反応終了後は、反応混合物を水洗した後、加熱減圧下での蒸留によって未反応のエピハロヒドリンや併用する有機溶媒を留去する。また、加水分解性ハロゲンの一層少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに反応を行うこともできる。この際、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合の使用量はエポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜3.0質量部となる割合であることが好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより目的とする本発明エポキシ樹脂を得ることができる。
本発明の硬化性組成物の一つは、前記本発明のフェノール樹脂と硬化剤とを必須の成分とするものである。ここで用いる硬化剤としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。
前記エポキシ樹脂は、具体的には、1,6−ジグリシジルオキシナフタレン、2,7−ジグリシジルオキシナフタレン等のジグリシジルオキシナフタレン化合物;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、複数種のフェノール性水酸基含有化合物を原料とする混合ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン等のナフタレン骨格含有エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;これら各種のエポキシ樹脂にリン原子を導入したリン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合、本発明のフェノール樹脂とエポキシ樹脂との配合割合は、フェノール樹脂中のフェノール性水酸基と、エポキシ樹脂中のエポキシ基との当量比(フェノール性水酸基/エポキシ基)が1/0.5〜1/1.5となる割合であることが、反応性及び硬化物における低線膨張性に優れることから好ましい。
また、硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合、本発明のフェノール樹脂に併せて、その他のエポキシ樹脂用硬化剤を併用しても良い。その他のエポキシ樹脂用硬化剤は、例えば、アミン化合物、アミド化合物、酸無水物、フェノ−ル性水酸基含有化合物などの各種の公知の硬化剤が挙げられる。前記アミン化合物は、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。前記アミド化合物は、例えば、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。関酸無水物は、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。前記フェノール性水酸基含有化合物は、例えば、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン化合物;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ビスフェノールノボラック、複数種のフェノール性水酸基含有化合物を原料とする混合ノボラック等のノボラック樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型樹脂;1,1−ビス(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン等のナフタレン骨格含有フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物;ビフェニル、テトラメチルビフェニル等のビフェニル化合物;トリフェニロールメタン;テトラフェニロールエタン;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型樹脂;これら各種のフェノール水酸基含有化合物にリン原子を導入したリン変性フェノール化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記その他のエポキシ樹脂用硬化剤を用いる場合、本発明のフェノール樹脂とその他のエポキシ樹脂用硬化剤との配合割合は、本願発明の効果、即ち、流動性に優れ、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られるという効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではなく、例えば、両者の合計質量100質量部中、本発明のフェノール樹脂が5〜95質量部の範囲であることが好ましい。
また、その他のエポキシ樹脂用硬化剤を用いる場合、前記エポキシ樹脂との配合割合は、本発明のフェノール樹脂とその他のエポキシ樹脂用硬化剤とが含有する活性水素原子の合計と、エポキシ樹脂が含有するエポキシ基との当量比(活性水素原子/エポキシ基)が1/0.5〜1/1.5となる割合であることが、反応性及び硬化物における低線膨張性に優れることから好ましい。
本発明の硬化性組成物のもう一つは、前記本発明のエポキシ樹脂と硬化剤とを必須の成分とするものである。
ここで用いる硬化剤は、例えば、アミン化合物、アミド化合物、酸無水物、フェノ−ル性水酸基含有化合物などの各種の公知の硬化剤が挙げられる。前記アミン化合物は、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。前記アミド化合物は、例えば、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。関酸無水物は、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。前記フェノール性水酸基含有化合物は、例えば、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン化合物;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ビスフェノールノボラック、複数種のフェノール性水酸基含有化合物を原料とする混合ノボラック等のノボラック樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型樹脂;1,1−ビス(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)アルカン等のナフタレン骨格含有フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物;ビフェニル、テトラメチルビフェニル等のビフェニル化合物;トリフェニロールメタン;テトラフェニロールエタン;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型樹脂;これら各種のフェノール水酸基含有化合物にリン原子を導入したリン変性フェノール化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
本発明の硬化性樹脂組成物において前記エポキシ樹脂と硬化剤との配合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と、硬化剤中の活性水素原子との当量比(エポキシ基/活性水素原子)が1/0.5〜1/1.5となる割合であることが、反応性及び硬化物における低線膨張性に優れることから好ましい。
本発明の硬化性組成物は、本発明のエポキシ樹脂に加え、その他のエポキシ樹脂を含有しても良い。
前記その他のエポキシ樹脂は、具体的には、1,6−ジグリシジルオキシナフタレン、2,7−ジグリシジルオキシナフタレン等のジグリシジルオキシナフタレン化合物;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、複数種のフェノール性水酸基含有化合物を原料とする混合ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン等のナフタレン骨格含有エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;これら各種のエポキシ樹脂にリン原子を導入したリン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記その他のエポキシ樹脂を用いる場合、本発明のエポキシ樹脂とその他のエポキシ樹脂との配合割合は、本願発明の効果、即ち、流動性に優れ、難燃性が高く線膨張率の低い硬化物が得られるという効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではなく、例えば、両者の合計質量100質量部中、本発明のエポキシ樹脂が5〜95質量部の範囲であることが好ましい。
また、その他のエポキシ樹脂を用いる場合、硬化性組成物の配合割合は、全エポキシ成分中のエポキシ基と、前記硬化剤中の活性水素原子との当量比(エポキシ基/活性水素原子)が1/0.5〜1/1.5となる割合であることが、反応性及び硬化物における低線膨張性に優れることから好ましい。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて硬化促進剤を適宜併用することもできる。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、イミダゾール化合物では2−エチル−4−メチルイミダゾール、リン系化合物ではトリフェニルホスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン(DBU)が好ましい。
本発明の硬化性組成物は、用途や所望の性能に応じて、更に、その他の添加剤成分を含有していても良い。具体的には、難燃性をさらに向上させる目的で、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を配合してもよい。
前記非ハロゲン系難燃剤は、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても、複数種を併用しても良い。
前記リン系難燃剤は、無機系、有機系の何れも使用でき、無機系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。
前記赤リンは加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法は、例えば、(i)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(ii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(iii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられる。
前記有機リン系化合物は、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物の他、9,10−ジヒドロ−9−オキサー10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等が挙げられる。
それらの配合量としては、リン系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物100質量部中、赤リンを非ハロゲン系難燃剤として使用する場合は0.1〜2.0質量部の範囲で配合することが好ましく、有機リン化合物を使用する場合は同様に0.1〜10.0質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜6.0質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ化合物、酸化ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオライト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。
前記窒素系難燃剤は、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。
前記トリアジン化合物は、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等の他、例えば、(i)硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、(ii)フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール系化合物と、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ホルムグアナミン等のメラミン類およびホルムアルデヒドとの共縮合物、(iii)前記(ii)の共縮合物とフェノールホルムアルデヒド縮合物等のフェノール樹脂類との混合物、(iv)前記(ii)、(iii)を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。
前記シアヌル酸化合物は、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。
前記窒素系難燃剤の配合量は、窒素系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物100質量部中、0.05〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。
前記シリコーン系難燃剤は、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
前記シリコーン系難燃剤の配合量は、シリコーン系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。
前記無機系難燃剤は、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。
前記金属水酸化物は、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
前記金属酸化物は、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。
前記金属炭酸塩化合物は、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。
前記金属粉は、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。
前記ホウ素化合物は、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。
前記低融点ガラスは、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO−MgO−HO、PbO−B系、ZnO−P−MgO系、P−B−PbO−MgO系、P−Sn−O−F系、PbO−V−TeO系、Al−HO系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。
前記無機系難燃剤の配合量は、無機系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物100質量部中、0.5〜50質量部の範囲で配合することが好ましく、特に5〜30質量部の範囲で配合することが好ましい。
前記有機金属塩系難燃剤、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。
前記有機金属塩系難燃剤の配合量は、有機金属塩系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物100質量部中、0.005〜10質量部の範囲で配合することが好ましい
この他、本発明の硬化性組成物は必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて無機質充填材を配合することができる。本発明で用いるフェノール性水酸基含有化合物及びフェノール樹脂は、特に半導体封止材料用途に好適に用いることが出来る。
前記無機質充填材は、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。中でも、無機質充填材をより多く配合することが可能となることから、前記溶融シリカが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、且つ、硬化性組成物の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いることが好ましい。更に、球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は硬化性組成物100質量部中、0.5〜95質量部の範囲で配合することが好ましい。
この他、本発明の硬化性組成物を導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
本発明の硬化性組成物をプリント配線基板用ワニスに調整する場合には、有機溶剤を配合することが好ましい。ここで使用し得る前記有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、その選択や適正な使用量は用途によって適宜選択し得るが、例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤であることが好ましく、また、不揮発分40〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。一方、ビルドアップ用接着フィルム用途では、有機溶剤として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、また、不揮発分30〜60質量%となる割合で使用することが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、上記した各成分を均一に混合することにより得られる。フェノール樹脂又はエポキシ樹脂、硬化剤、更に必要により硬化促進剤の配合された本発明の硬化性組成物は、従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。該硬化物は、積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。
本発明のフェノール樹脂及びエポキシ樹脂は流動性に優れ、硬化物における難燃性が高く、線膨張率が低いことから、各種電子材料用途に用いることが出来る。中でも、その流動性の高さを活かし、特に半導体封止材料用途として好適に用いることが出来る。
該半導体封止材料は、例えば、本発明のフェノール性樹脂又はエポキシ樹脂、硬化剤、及び充填材等のその他配合物を押出機、ニーダー、ロール等を用いて均一になるまで十分に混合する方法により調整することが出来る。ここで用いる充填材は前記した無機充填材が挙げられ、前述の通り、硬化性組成物100質量部中、0.5〜95質量部の範囲で用いることが好ましい。中でも、難燃性や耐湿性、耐半田クラック性が向上し、線膨張率を低減できることから、70〜95質量部の範囲で用いることが好ましく、80〜95質量部の範囲で用いることが特に好ましい。
得られた半導体封止材料を用いて半導体パッケージを成型する方法は、例えば、該半導体封止材料を注型或いはトランスファー成形機、射出成型機などを用いて成形し、更に50〜200℃の温度条件下で2〜10時間加熱する方法が挙げられ、このような方法により、成形物である半導体装置を得ることが出来る。
また、本発明のフェノール樹脂又はエポキシ樹脂を用いてプリント回路基板を製造するには、本発明のフェノール樹脂又はエポキシ樹脂、硬化剤、有機溶剤、その他添加剤等を含むワニス状の硬化性組成物を、補強基材に含浸し銅箔を重ねて加熱圧着させる方法が挙げられる。ここで使用し得る補強基材は、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。かかる方法を更に詳述すれば、先ず、前記したワニス状の硬化性組成物を、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱することによって、硬化物であるプリプレグを得る。この時用いる硬化性組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。次いで、上記のようにして得られたプリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、目的とするプリント回路基板を得ることができる。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、溶融粘度、液体クロマトグラフ(HPLC)は以下の条件にて測定した。
溶融粘度測定法:ASTM D4287に準拠し、ICI粘度計にて測定した。
13C−NMR:測定条件は以下の通り。
装置:日本電子(株)製「JNM−ECA500」
測定モード:NNE(NOE消去の1H完全デカップリング法)
溶媒 :重クロロホルム
パルス角度:45°パルス
試料濃度 :30wt%
積算回数 :4000回
GPC:測定条件は以下の通り。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
実施例1 フェノール樹脂(A−1)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、β−ナフトール288質量部(2.0モル)、オルソクレゾール216質量部(2.0モル)を仕込み室温から150℃まで攪拌しながら昇温した。続いて、41.5%ホルマリン水溶液145質量部(2.0モル)を2時間要して添加した。添加終了後、更に180℃に昇温して1時間攪拌した。反応終了後、加熱減圧下乾燥してフェノール樹脂(A−1)405質量部を得た。得られたフェノール樹脂(A−1)の水酸基当量は146グラム/当量であった。フェノール樹脂(A−1)のGPCチャートを図1に、13C−NMRチャート図を図2に示す。
GPCチャートから算出される前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)と(x2)との合計の含有量は55.1%であり、前記フェノール性水酸基含有化合物(x3)の含有量は35.2%であった。また、13C−NMRチャート図から算出されるフェノール性水酸基のオルソ位に位置するメチレン基(o)とパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]は62/38であった。
実施例2 フェノール樹脂(A−2)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、β−ナフトール288質量部(2.0モル)、オルソクレゾール433質量部(4.0モル)を仕込み室温から150℃まで攪拌しながら昇温した。続いて、41.5%ホルマリン水溶液145質量部(2.00モル)を2時間要して添加した。添加終了後、180℃に昇温して1時間攪拌した。反応終了後、加熱減圧下乾燥してフェノール樹脂(A−2)428質量部を得た。得られたフェノール樹脂(A−2)の水酸基当量は137グラム/当量であった。フェノール樹脂(A−2)のGPCチャートを図3に、13C−NMRチャート図を図4に示す。
GPCチャートから算出される前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)と(x2)との合計の含有量は76.9%であり、前記フェノール性水酸基含有化合物(x3)の含有量は19.4%であった。また、13C−NMRチャート図から算出されるフェノール性水酸基のオルソ位に位置するメチレン基(o)とパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]は74/26であった。
実施例3 エポキシ樹脂(B−1)の製造
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら実施例1で得たフェノール樹脂(A−1)146質量部(水酸基1.0当量)、エピクロルヒドリン463質量部(5.0モル)、n−ブタノール53質量部を仕込み攪拌しながら溶解させた。50℃に昇温した後に、20%水酸化ナトリウム水溶液220質量部(1.10モル)を3時間要して添加し、その後更に50℃で1時間反応させた。反応終了後、攪拌を停止し、下層に溜まった水層を除去し、攪拌を再開し150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン300質量部とn−ブタノール50質量部とを加え溶解した。更にこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液15質量部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水100質量部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂(B−1)178質量部を得た。得られたエポキシ樹脂(B−1)のエポキシ当量は225グラム/当量であった。エポキシ樹脂(B−1)のGPCチャートを図5に、13C−NMRチャート図を図6に示す。
GPCチャートから算出される前記エポキシ化合物(y1)と(y2)との合計の含有量は46.0%であり、前記エポキシ化合物(y3)の含有量は34.3%であった。また、13C−NMRチャート図から算出されるグリシジルオキシ基のオルソ位に位置するメチレン基(o)とパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]は62/38であった。
実施例4 エポキシ樹脂(B−2)の製造
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら実施例1で得たフェノール樹脂(A−2)139質量部(水酸基1.0当量)、エピクロルヒドリン463質量部(5.0モル)、n−ブタノール53質量部を仕込み攪拌しながら溶解させた。50℃に昇温した後に、20%水酸化ナトリウム水溶液220質量部(1.10モル)を3時間要して添加し、その後更に50℃で1時間反応させた。反応終了後、攪拌を停止し、下層に溜まった水層を除去し、攪拌を再開し150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン300質量部とn−ブタノール50質量部とを加え溶解した。更にこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液15質量部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水100質量部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂(B−1)174質量部を得た。得られたエポキシ樹脂(B−2)のエポキシ当量は225グラム/当量であった。エポキシ樹脂(B−2)のGPCチャートを図7に、13C−NMRチャート図を図8に示す。
GPCチャートから算出される前記エポキシ化合物(y1)と(y2)との合計の含有量は63.9%であり、前記エポキシ化合物(y3)の含有量は19.2%であった。また、13C−NMRチャート図から算出されるグリシジルオキシ基のオルソ位に位置するメチレン基(o)とパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]は74/26であった。
比較合成例1 フェノール樹脂(A’−1)の製造
特開2000−53739号公報記載の実施例3と同様にしてフェノール樹脂(A’−2)400質量部を得た。得られたフェノール樹脂(A’−2)の水酸基当量は140グラム/当量であった。GPCチャートから算出される前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)と(x2)との合計の含有量は34.0%であり、前記フェノール性水酸基含有化合物(x3)の含有量は44.0%であった。また、13C−NMRチャート図から算出されるフェノール性水酸基のオルソ位に位置するメチレン基(o)とパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]は37/63であった。
比較合成例2 エポキシ樹脂(B’−1)の製造
特開2000−53739号公報記載の実施例7と同様にしてエポキシ樹脂(B’−2)180質量部を得た。得られたエポキシ樹脂(B’−2)のエポキシ当量は219グラム/当量であった。GPCチャートから算出される前記エポキシ化合物(y1)と(y2)との合計の含有量は28.0%であり、前記エポキシ化合物(y3)の含有量は41.2%であった。また、13C−NMRチャート図から算出されるグリシジルオキシ基のオルソ位に位置するメチレン基(o)とパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]は37/63であった。
実施例5〜12、及び比較例1〜4
先で得たフェノール樹脂(A−1)、(A−2)、(A’−1)、エポキシ樹脂(B−1)、(B−2)、(B’−1)について、下記の要領で各種評価試験を行った。
<溶融粘度の測定>
前記フェノール樹脂(A−1)、(A−2)、(A’−1)、エポキシ樹脂(B−1)、(B−2)、(B’−1)それぞれについて、ASTM D4287に準拠し150℃における溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006241186
<線膨張率の測定>
1)評価サンプルの作成
前記フェノール樹脂(A−1)、(A−2)、(A’−1)、エポキシ樹脂(B−1)、(B−2)、(B’−1)の何れかと硬化剤、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(以下「TPP」と略記する。)を用い、下記表2に示す組成で配合して硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を、トランスファー成形機を用いて175℃の温度で90秒成形した後、175℃の温度で5時間後硬化させて樹脂板を作成した。樹脂板を5mm×5mm×0.8mmのサイズに切り出し、これを試験片として熱機械分析装置(TMA:セイコーインスツルメント社製SS−6100)を用いて、圧縮モードで熱機械分析を行った。
測定条件
測定架重:88.8mN
昇温速度:3℃/分で2回
測定温度範囲:−50℃から270℃
上記条件での測定を同一サンプルにつき2回実施し、2回目の測定における、40℃から60℃の温度範囲での平均線膨張率で評価した。
<密着性の測定>
1)評価サンプルの作成
前記フェノール樹脂(A−1)、(A−2)、(A’−1)、エポキシ樹脂(B−1)、(B−2)、(B’−1)の何れかと硬化剤、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(以下「TPP」と略記する。)を用い、下記表2に示す組成で配合して硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を、175℃の温度で18μmの圧延銅箔の光沢面と90秒プレス成形した後、175℃の温度で5時間後硬化させた。その後、100mm×100mm×10mmのサイズに切り出し、これを試験片として圧延銅箔を90℃方向に引き剥がしたときのピール強度により評価した。
用いた硬化剤
硬化剤(1):ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製「NC−3000」、エポキシ当量:274g/当量)
硬化剤(2):フェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製「XLC−3L」、水酸基当量:176g/当量)
Figure 0006241186
<難燃性の評価>
1)評価サンプルの作成
前記フェノール樹脂(A−1)、(A−2)、(A’−1)、エポキシ樹脂(B−1)、(B−2)、(B’−1)、(B’−2)の何れかと硬化剤、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(以下「TPP」と略記する。)、無機充填材として球状シリカ(電気化学株式会社製「FB−560」)、シランカップリング剤としてカップリング剤(信越化学株式会社製「KBM−403」)、カルナウバワックス(株式会社セラリカ野田製「PEARL WAX No.1−P」)、カーボンブラックを、下記表3に示す組成で配合し、2本ロールを用いて85℃の温度で5分間溶融混練して硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を用い、トランスファー成形機にて幅12.7mm、長さ127mm、厚み1.6mm大のサンプルを175℃の温度で90秒成形した後、175℃の温度で5時間後硬化して評価用サンプルを得た。
2)難燃性の評価
先で得た厚さ1.6mmの評価用サンプル5本を用い、UL−94試験法に準拠して燃焼試験を行った。結果を表3に示す。
難燃試験クラス
*1:1回の接炎における最大燃焼時間(秒)
*2:試験片5本の合計燃焼時間(秒)
Figure 0006241186

Claims (16)

  1. オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを反応させて得られる樹脂構造を有するフェノール樹脂であって、下記構造式(i)
    Figure 0006241186
    (式中R は炭素原子数1〜6のアルキル基を、R は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合に複数のR はそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
    で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x1)と、下記構造式(ii)
    Figure 0006241186
    (式中R は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表し、nは1〜6の整数である。nが2以上の場合複数のR はそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
    で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x2)とを含有し、GPCのピーク面積比から算出されるフェノール樹脂中の前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)と(x2)との合計の含有量が30%以上であり、
    フェノール樹脂中に存在するフェノール性水酸基のオルソ位に位置するメチレン基(o)と、フェノール性水酸基のパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]が、13C−NMR測定を元に算出される値で40/60〜80/20の範囲であるフェノール樹脂。
  2. 前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)、(x2)に加え、下記構造式(iii)
    Figure 0006241186
    (式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
    で表されるフェノール性水酸基含有化合物(x3)を含有し、GPCのピーク面積比から算出されるフェノール樹脂中の前記フェノール性水酸基含有化合物(x1)と(x2)との合計の含有量が30〜80%の範囲であり、かつ、前記フェノール性水酸基含有化合物(x3)の含有量が15〜50%の範囲である請求項記載のフェノール樹脂。
  3. 水酸基当量が130〜150g/eqの範囲である請求項1記載のフェノール樹脂。
  4. 請求項1〜の何れか一つに記載のフェノール樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物。
  5. 請求項記載の硬化性組成物を硬化反応させてなる硬化物。
  6. 請求項記載の硬化性組成物に加え、更に無機充填剤を含有する半導体封止材料。
  7. 請求項記載の硬化性組成物に有機溶剤を配合したものを補強基材に含浸し、銅箔を重ねて加熱圧着させることにより得られたプリント配線基板。
  8. オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを無触媒条件下で反応させることを特徴とするフェノール樹脂の製造方法。
  9. オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを反応させて得られる樹脂構造を有するフェノール樹脂のポリグリシジルエーテルであって、
    下記構造式(I)
    Figure 0006241186
    (式中R は炭素原子数1〜6のアルキル基を、R は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合に複数のR はそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
    で表されるエポキシ化合物(y1)と、下記構造式(II)
    Figure 0006241186
    (式中R は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表し、nは1〜6の整数である。nが2以上の場合複数のR はそれぞれ同一でも異なっていて良い。)
    で表されるエポキシ化合物(y2)とを含有し、GPCのピーク面積比から算出されるポリグリシジルエーテル中の前記エポキシ化合物(y1)と(y2)との合計の含有量が30%以上であり、
    前記ポリグリシジルエーテル中のフェノール性水酸基に由来するグリシジルオキシ基のオルソ位に位置するメチレン基(o)と、グリシジルオキシ基のパラ位に位置するメチレン基(p)との存在比[(o)/(p)]が、13C−NMR測定を元に算出される値で40/60〜80/20の範囲であるエポキシ樹脂。
  10. 前記エポキシ化合物(y1)、(y2)に加え、下記構造式(III)
    Figure 0006241186
    (式中Rは炭素原子数1〜6のアルキル基を、Rは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子の何れかを表す。また、nは1〜6の整数であり、nが2以上の場合複数のRはそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
    で表されるエポキシ化合物(y3)を含有し、GPCのピーク面積比から算出されるエポキシ樹脂中の前記エポキシ化合物(y1)と(y2)との合計の含有量が30〜80%の範囲であり、かつ、前記エポキシ化合物(y3)の含有量が15〜50%の範囲である請求項記載のエポキシ樹脂。
  11. エポキシ基当量が210〜300g/eqの範囲である請求項記載のエポキシ樹脂。
  12. 請求項9〜11の何れか一つに記載のエポキシ樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物。
  13. 請求項12記載の硬化性組成物を硬化反応させてなる硬化物。
  14. 請求項12記載の硬化性組成物に加え、更に無機充填剤を含有する半導体封止材料。
  15. 請求項12記載の硬化性組成物に有機溶剤を配合したものを補強基材に含浸し、銅箔を重ねて加熱圧着させることにより得られたプリント配線基板。
  16. オルソアルキルフェノール、β−ナフトール化合物、及びホルムアルデヒドを無触媒条件下で反応させてフェノール中間体を得、次いで、得られたフェノール中間体とエピハロヒドリンとを反応させることを特徴とするエポキシ樹脂の製造方法。
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