JP2000144018A - 粉体塗料用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

粉体塗料用エポキシ樹脂組成物

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JP2000144018A
JP2000144018A JP10327787A JP32778798A JP2000144018A JP 2000144018 A JP2000144018 A JP 2000144018A JP 10327787 A JP10327787 A JP 10327787A JP 32778798 A JP32778798 A JP 32778798A JP 2000144018 A JP2000144018 A JP 2000144018A
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acid
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Yoshinobu Onuma
吉信 大沼
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Yuka Shell Epoxy KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】良好な耐候性を有し、且つ付着性、強度、耐衝
撃性、耐水性等にも優れた塗膜を与える粉体塗料用エポ
キシ樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 芳香族エポキシ樹脂を水素化して得られ
る水素化エポキシ樹脂(A)と、1種又は2種以上の脂
環式又は脂肪族多価カルボン酸又はその酸無水物(b-1)
と1種又は2種以上の脂環式又は脂肪族多価アルコール
(b-2) とのエステル結合生成反応により得られる1分子
中に末端カルボキシル基を2個以上有するポリエステル
オリゴマー(B)とを反応させて得られる、常温で固体
のエポキシ樹脂、及びエポキシ樹脂用硬化剤とからな
る、粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な耐候性を有
し、且つ付着性、強度、耐衝撃性、耐水性等にも優れた
塗膜を与える粉体塗料用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は、粉体塗料分野におい
て、金属との密着性、耐薬品性、耐食性、機械物性等の
優れた諸特性を生かし、鋼鈑被覆、鋼管、鋳鉄管内外面
被覆、鉄製構造材被覆、さらには電気・電子部品の絶縁
用として非常に有用である。従来から粉体塗料に用いら
れているエポキシ樹脂は、大部分ビスフェノールA型固
形エポキシ樹脂であるが、この種の芳香環をもつエポキ
シ樹脂を粉体塗料に用いた場合、良く知られているよう
に、耐候性が著しく劣り、屋外用途等の高度の耐候性が
要求される分野では使用できない場合が多かった。
【0003】この耐候性を改良した公知の技術として、
特開昭50−84637 号公報には、エポキシ樹脂を多価カル
ボン酸、あるいは多価カルボン酸と多価アルコールとの
反応によって得られる末端カルボキシルポリエステルと
反応させて固形化したエポキシ樹脂が記載されている
が、このものを使用した粉体塗料は、多少耐候性が改良
されるものの未だ十分ではなかった。また、特開平 6−
329956号公報には、脂環式エポキシ樹脂等を末端カルボ
キシルポリエステルオリゴマー及びポリイソシアネート
類と反応させて得られる常温で固体のエポキシ樹脂が記
載されているが、これを用いた粉体塗料は耐候性が多少
改良されるものの、高温焼付け時に黄変する問題を有し
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は前述し
た問題の解決であり、良好な耐候性を有し、且つ密着
性、強度、耐衝撃性等に優れた塗膜を与える粉体塗料用
エポキシ樹脂組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、これらの目的を達
成できる粉体塗料用エポキシ樹脂組成物を見出し本発明
に到達した。本発明は以下の各発明を包含する。 (1) 芳香族エポキシ樹脂を水素化して得られる水素化エ
ポキシ樹脂成分(A)と、脂環式多価カルボン酸、脂肪
族多価カルボン酸及びそれらの酸無水物から選ばれた少
なくとも1種の多価カルボン酸化合物(b-1) と、脂環式
多価アルコール及び脂肪族多価アルコールから選ばれた
少なくとも1種の多価アルコール化合物(b-2) とのエス
テル結合生成反応により得られる、1分子中に末端カル
ボキシル基を2個以上有するポリエステルオリゴマー成
分(B)とを反応させて得られる、常温で固体のエポキ
シ樹脂、及びエポキシ樹脂用硬化剤を含有する、粉体塗
料用エポキシ樹脂組成物。
【0006】(2) 前記常温で固体のエポキシ樹脂100
重量部に対して、前記エポキシ樹脂用便化剤が0.01
〜200重量部の割合で配合されていることを特徴とす
る、(1) 項に記載の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。 (3) 前記常温で固体のエポキシ樹脂は、エポキシ当量が
500〜3000g/eq.の範囲内であることを特徴
とする、(1) 項又は(2) 項に記載の粉体塗料用エポキシ
樹脂組成物。
【0007】(4) 前記水素化エポキシ樹脂成分(A)
は、芳香環の水素化率が85%以上で、エポキシ基の損
失率が20%以下であることを特徴とする、(1) 項〜
(3) 項のいずれか1項に記載の粉体塗料用エポキシ樹脂
組成物。 (5) 前記水素化エポキシ樹脂成分(A)は、芳香族エポ
キシ樹脂をエーテル系溶剤に溶解し、ロジウム又はルテ
ニウムをグラファイトに担持した触媒の存在下、加圧下
に水素化して得られた水素化エポキシ樹脂であることを
特徴とする、(1)項〜(4) 項のいずれか1項に記載の粉
体塗料用エポキシ樹脂組成物。
【0008】(6) 前記水素化エポキシ樹脂成分(A)
は、エポキシ当量が150〜300g/eq.の範囲内
のビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノール
F型エポキシ樹脂を水素化して得られる液状エポキシ樹
脂であることを特徴とする、(1)項〜(5) 項のいずれか
1項に記載の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。
【0009】(7) 前記多価カルボン酸化合物(b-1) が、
シクロヘキサシ−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサ
シ−1,2−ジカルボン酸、メチルシクロヘキサン−
1,2−ジカルボン酸又はそれらの酸無水物であり、前
記多価アルコール化合物(b一2)が2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,6−シクロヘ
キサンジメタノール又はネオペンチルグリコールである
ことを特徴とする、(1) 項〜(6) 項のいずれか1項に記
載の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。
【0010】(8) 前記エポキシ樹脂用硬化剤は、アミン
類、酸無水物類、多価フェノール類、イミダゾール類、
ブレンステッド酸塩類、ジシアンジアミド類、有機酸ヒ
ドラジッド類、ポリカルボン酸類及び有機ホスフィン類
から選ばれる化合物であり、全硬化剤中に占める芳香環
の含有率が10重量%以下であることを特徴とする、
(1) 項〜(7) 項のいずれか1項に記載の粉体塗料用エポ
キシ樹脂組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 (A)成分:水素化エポキシ樹脂 本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物における、常温
で固体のエポキシ樹脂の製造に使用される水素化エポキ
シ樹脂成分(A)は、芳香族エポキシ樹脂を水素化反応
して得られる脂環式エポキシ樹脂である。この水素化エ
ポキシ樹脂は、芳香環の水素化率が85%以上で、エポ
キシ基の損失率が20%以下であるのが好ましい。
【0012】エポキシ樹脂中の芳香環の水素化率は、芳
香環が脂肪族環に変化した割合であり、核磁気共鳴分析
により求められる。エポキシ基の損失率は、エポキシ樹
脂が水素化分解された割合であり、過塩素酸により滴定
することにより、エポキシ基の損失率を求めることがで
きる。芳香環の水素化率が85%未満であると、エポキ
シ樹脂硬化物の電気特性及び耐候性が大きく低下するた
め好ましくない。また、エポキシ基の損失率が20%を
越えると、そのエポキシ樹脂硬化物の耐熱性や機械的物
性が極端に低下するため好ましくない。
【0013】(水素化エポキシ樹脂の製造方法)本発明
の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物における常温で固体の
エポキシ樹脂の製造に使用される水素化エポキシ樹脂成
分(A)は、芳香族エポキシ樹脂を、触媒の存在下、加
圧下で選択的に水素化反応を行うことにより得られる。
芳香族エポキシ樹脂しては、例えばビスフェノールAの
ジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジ
ルエーテル及びビスフェノールSのジグリシジルエーテ
ル等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボ
ラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹
脂及びヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラッ
クエポキシ樹脂等のノボラック型のエポキシ樹脂、テト
ラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル、テ
トラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル及
びエポキシ化ポリビニルフェノール等の多官能型のエポ
キシ樹脂等が挙げられる。これらの中で、エポキシ当量
が150〜300g/eq.の範囲内のビスフェノール
A型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂
が水素化反応の容易さという点で好ましい。
【0014】水素化エポキシ樹脂成分(A)の製造方法
は、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系の
有機溶剤を用いて、ロジウム又はルテニウムをグラファ
イト(六方晶結晶の黒鉛)に担持した触媒の存在下、芳
香環を選択的に水素化する。グラファイトとしては、表
面積が10m2 /g以上、400m2 /g以下の範囲の
担体を用いる。反応は、圧力1〜30MPa、温度30
〜150℃、時間1〜20時間の範囲内で行う。反応終
了後、触媒を濾過により除去し、減圧でエーテル系有機
溶剤が実質的に無くなるまで留去し、水素化エポキシ樹
脂を得る
【0015】(B)成分:1分子中に末端カルボキシル
基を2個以上有するポリエステルオリゴマー 本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物における、常温
で固体のエポキシ樹脂の製造に使用される1分子中に末
端カルボキシル基を2個以上有するポリエステルオリゴ
マー成分(B)は、1種又は2種以上の脂環式多価カル
ボン酸、脂肪族多価カルボン酸及びそれらの酸無水物か
ら選ばれた少なくとも1種の多価カルボン酸と、脂環式
多価アルコール及び脂肪族多価アルコールから選ばれた
少なくとも1種の多価アルコール化合物(b-2) とのエス
テル結合生成反応により得られる。
【0016】多価カルボン酸化合物(b-1) としては、シ
クロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン
−1,2−ジカルボン酸、テトラヒドロフタル−1,2
−ジカルボン酸、メチルシクロヘキサン−1,2−ジカ
ルボン酸、3,6−エンドエチレンテトラヒドロフタル
−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−3,6−エンド
エチレンテトラヒドロフタル−1,2−ジカルボン酸、
シクロブタン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロブ
タン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロヘキ
サン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロヘキサン−
1,2,3,4−テトラカルボン酸、又はそれらの酸無
水物等の脂環式多価カルボン酸又はそれらの酸無水物
類、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸、プロパン−1,2,3−トリ
カルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン
酸、又はそれらの酸無水物等の脂肪族多価カルボン酸又
はそれらの酸無水物類が挙げられる。これらの中で、シ
クロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン
−1,2−ジカルボン酸、メチルシクロヘキサン−1,
2−ジカルボン酸、又はそれらの酸無水物が、本発明に
より得られる粉体用樹脂塗料の耐候性の面で特に好まし
い。
【0017】多価アルコール化合物(b-2) としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メ
タン、1,6−シクロヘキサンジオール、1,6−シク
ロヘキサンジメタノール、ジシクロペンタジエンジメタ
ノール等の脂環式多価アルコール類、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、
1,10−デカンジオール、グリセリン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族多価アル
コールが挙げられる。これらの中で、2,2−ビス(4
−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,6−シク
ロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコール
が、本発明により得られる粉体用樹脂塗料の耐候性の面
で特に好ましい。
【0018】本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物に
おける、常温で固体のエポキシ樹脂の製造に使用され
る、1分子中に末端カルボキシル基を2個以上有するポ
リエステルオリゴマー成分(B)の製造法については、
特に制限はなく、周知慣用の方法が適用される。その代
表的な製造法としては、前記多価カルボン酸化合物(b-
1) のカルボキシル基1当量に対して、前記多価アルコ
ール化合物(b-2) を、そのアルコール性水酸基0.2〜
0.8当量、好ましくは0.3から0.6当量の割合
で、酸触媒の存在下又は不存在下に脱水縮合反応させる
か、あるいは多価カルボン酸(b-1) が無水物の場合は、
酸触媒の存在下又は不存在下に付加反応させる方法が挙
げられる。
【0019】本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物に
おける、常温で固体のエポキシ樹脂の製造方法について
は、特に制限はなく周知慣用の方法が適用される。その
代表的な製造方法としては、水素化エポキシ樹脂成分
(A)のエポキシ基1当量に対して、末端カルボキシル
基を2個以上有するポリエステルオリゴマ一成分(B)
を、カルボキシル基0.1〜0.8当量、好ましくは
0.2〜0.7当量の割合で、触媒の存在下又は不存在
下に、溶融状態で付加重合される。付加重合触媒として
は、通常一般にエポキシ化合物の付加重合に用いられて
いる触媒が使用可能であり、その代表的なものとして
は、NaOH、KOH等の無機アルカリ、トリフェニル
ホスフィン等のリン系化合物、トリアルキルアミン、テ
トラアルキルアンモニウムハライド等のアミン系化合物
がある。
【0020】(エポキシ樹脂用硬化剤)本発明の粉体塗
料用エポキシ樹脂組成物における、エポキシ樹脂用硬化
剤としては、一般に使用されているエポキシ樹脂用硬化
剤を使用することができる。たとえば、次のものが挙げ
られる。 (1) アミン類:ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタ
ン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビ
ス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラ
スピロ〔5,5〕ウンデカン等の脂環式アミン類、メタ
フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジア
ミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン類、ベンジル
ジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノ
メチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,
4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ
(4,3,0)ノネン−7等の3級アミン及びその塩
類。
【0021】(2) 酸無水物類:無水フタル酸、無水トリ
メリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸無水物
類、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒド
ロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘ
キサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラ
ヒドロフタル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリア
ルキルテトラヒドロフタル酸等の環状脂肪族酸無水物
類。
【0022】(3) 多価フェノール類:カテコール、レゾ
ルシン、ハイドロキノン、ビスフェノールF、ビスフェ
ノールA、ビスフェノールS、ビフェノール、フェノー
ルノボラック類、クレゾールノボラック類,ビスフェノ
ールA等の2価フェノールのノボラック化物類、トリス
ヒドロキシフェニルメタン類、アラルキルポリフェノー
ル類、ジシクロペンタジエンポリフェノール類等。
【0023】(4) その他:2−メチルイミダゾール、2
−エチル−4−メチルイミダゾール及び2−フェニルイ
ミダゾール等のイミダゾール系化合物及びそれらの塩
類、アミンのBF3 錯体化合物、脂肪族スルホニウム塩
及び芳香族スルホニウム塩等のブレンステッド酸塩類、
ジシアンジアミド類、アジピン酸ジヒドラジッド及びフ
タル酸ジヒドラジッド等の有機酸ヒドラジッド類、レゾ
ール類、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、トリ
メリット酸及びカルボキシル基含有ポリエステル等のポ
リカルボン酸類、トリフェニルホスフィン等の有機ホス
フィン化合物類等である。これらのエポキシ樹脂用硬化
剤は、単独で使用してもよいが、2種以上を併用して使
用することも可能である。
【0024】上記したエポキシ樹脂用硬化剤を粉体塗料
の用途に用いるときは、25℃で固体である硬化剤が、
本発明組成物の室温におけるブロッキング性を防止でき
るという点で好ましい。また、全硬化剤中に占める芳香
環の含有率が10重量%以下であるように使用するの
が、耐候性の点で好ましい。さらに、水素化エポキシ樹
脂成分(A)とポリエステルオリゴマー成分(B)を反
応させて得られる、常温で固体のエポキシ樹脂100重
量部に対して、エポキシ樹脂用硬化剤が0.01〜20
0重量部、好ましくは0.1〜150重量部の範囲内と
なるように配合する。上記範囲を外れると、エポキシ樹
脂硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスが悪くなるため
好ましくない。
【0025】(任意成分)本発明の粉体塗料エポキシ樹
脂組成物には、必要に応じて次の成分を添加配合するこ
とができる。 (1) 粉末状の補強剤や充填剤、たとえば酸化アルミニウ
ム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、ケイソウ土
粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シ
リカ、溶融シリカ、結晶シリカなどのケイ素化合物、水
酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、その他、カオリ
ン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデ
ン等、さらに繊維質の補強剤や充填剤、たとえばガラス
繊維、セラミック繊維、カーボンファイバー、アルミナ
繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ポリエステル繊維
及びポリアミド繊維等である。これらは本発明の組成物
100重量部に対して、10〜900重量部配合され
る。
【0026】(2) 着色剤、顔料、難燃剤、たとえば二酸
化チタン、鉄黒、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウ
ム黄、カドミウム赤、三酸化アンチモン、赤燐、ブロム
化合物及びトリフェニルホスフェイト等である。これら
は本発明の組成物100重量部に対して0.1〜20重
量部配合される。
【0027】(3) さらに、最終的な塗膜、接着層などに
おける樹脂の性質を改善する目的で種々の硬化性モノマ
ー、オリゴマー及び合成樹脂を配合することができる。
たとえばモノエポキシ等のエポキシ樹脂用希釈剤、フェ
ノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹
脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、
ポリエステル樹脂等の1種又は2種以上の組み合わせを
挙げることができる。これら樹脂類の配合割合は、本発
明の樹脂組成物の本来の性質を損なわない範囲の量、す
なわち本発明の組成物100重量部に対して50重量部
以下が好ましい。
【0028】本発明のエポキシ樹脂組成物を粉体塗料に
用いる場合、粉体塗料化する方法は通常の粉体塗料を製
造する方法によって、本発明のエポキシ樹脂、硬化剤及
び必要な添加剤を、例えばニーダーや押出機等によっ
て、増粘、ゲル化の起こらない温度、時間条件(通常、
50〜160℃で3〜60秒)にて溶融混練し、冷却
後、粉砕し分級機にかければよく、これによって所望の
粒度分布の粉体塗料を得ることができる。通常粉体塗料
の粒径は、1〜80ミクロン程度であることが望まし
い。本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物の用途とし
ては、特に限定するものではなく、土木建築資材、家電
製品、重電機器、道路資材、スチール家具、自動車部
品、水道資材等の粉体塗装に幅広く用いることができ
る。
【0029】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を
さらに詳しく説明する。なお、各例中の部は重量部を意
味する。
【0030】製造例1(水素化エポキシ樹脂の製造例) 攪拌機及び温度計を備えた500ミリリットルのオート
クレーブ内にエピコート828EL(商品名、油化シエ
ルエポキシ社製:ビスフェノールAのジグリシジルエー
テル、全塩素含有量=0.161重量%、エポキシ当
量:186g/eq.)を100g、テトラヒドロフラ
ンを100g及び、5重量%ロジウム/95重量%グラ
ファイト(グラファイトの表面積130m2 /g)触媒
5gを仕込み、水素圧力7MPa、温度50℃、攪拌数
500〜800rpmの条件を保持しながら3時間還元
反応を行った。反応終了後、冷却し、触媒を濾別した
後、テトラヒドロフランをエバポレーターにて減圧下、
温度50℃で留去させて、無色透明液体の水素化エポキ
シ樹脂96.5gを得た。この水素化エポキシ樹脂の全
塩素含有量は0.168重量%、E型粘度計より求めた
25℃での粘度が1.6Pa・s、過塩素酸滴定法によ
り求めたエポキシ基の損失率は8.0%、核磁気共鳴分
析により求めた芳香環の水素化率はほぼ100%であっ
た。
【0031】製造例2(カルボキシル基末端ポリエステ
ルオリゴマーの製造例) 攪拌機及び温度計を備えた2Lのガラス製反応器に、リ
カビノールHB〔商品名、新日本理化社製:2,2−ビ
ス(4−ヒドロキジシクロヘキシル)プロパン〕480
g及び1,2−ヘキサヒドロフタル酸無水物616gを
仕込み、窒素気流中、攪拌しながら160℃で3時間反
応を行い、1063gのカルボキシル基末端ポリエステ
ルオリゴマーを得た。このポリエステルオリゴマーのカ
ルボキシル基当量は、アルコール性KOHによる中和滴
定による測定で267g/eq.であった。
【0032】製造例3(固形エポキシ樹脂の製造例1) 攪拌機及び温度計を備えた1Lのガラス製反応器に、製
造例1により得られた水素化エポキシ樹脂100部、製
造例2により得られたカルボキシル基末端ポリエステル
オリゴマー76.2部、及び触媒としてテトラメチルア
ンモニウムブロマイド0.05部を仕込み、窒素気流
中、攪拌しながら、160℃で4時間反応し、176部
のエポキシ樹脂を得た。このエポキシ樹脂のエポキシ当
量は、1205g/eq.であり、環球法により測定し
た軟化点は101℃、DSC法により測定したTgは5
5℃であった。
【0033】製造例4(固形エポキシ樹脂の製造例2) 攪拌機及び温度計を備えた1Lのガラス製反応器に、製
造例1により得られた水素化エポキシ樹脂100部、製
造例2により得られたカルボキシル基末端ポリエステル
オリゴマー65.2部、及び触媒としてテトラメチルア
ンモニウムブロマイド0.05部を仕込み、窒素気流
中、攪拌しながら、160℃で4時間反応し、165部
のエポキシ樹脂を得た。このエポキシ樹脂のエポキシ当
量は、850g/eq.であり、環球法により測定した
軟化点は87℃、DSC法により測定したTgは45℃
であった。
【0034】比較製造例1 攪拌機及び温度計を備えた1Lのガラス製反応器に、H
BE−100(商品名、新日本理化社製:水添ビスフェ
ノールAから得られたジグリシジルエーテル、全塩素含
有量;4.98重量%、エポキシ当量;216g/e
q.)100部、製造例2により得られたカルボキシル
基末端ポリエステルオリゴマー75.3部、及び触媒と
してテトラメチルアンモニウムブロマイド0.05部を
仕込み、窒素気流中、攪拌しながら160℃で4時間反
応し、175部のエポキシ樹脂を得た。 このエポキシ
樹脂のエポキシ当量は、1219g/eq.であり、環
球法により測定した軟化点は98℃、DSC法により測
定したTgは53℃であった。
【0035】実施例1 製造例3で得られた固形のエポキシ樹脂を冷却後、ハン
マーミルで粉砕し、粒径が標準篩で150〜250メッ
シュを主成分とする粉体状にした。次いで、粉体状エポ
キシ樹脂100部、硬化剤としてエピキュア108FF
(商品名、油化シェルエポキシ社製:ジシアンジアミド
に硬化促進剤を添加してある硬化剤)4部、ルチル型酸
化チタン(無機充填材)40部及びフロー調整剤として
アクロナール4F(商品名、BASFジャパン社製)1
部を添加配合し、スーパーミキサーにてドライブレンド
したものをAPVケミカルマシナリー社製2軸押出機M
P−2015型にてバレル温度110℃、滞留時間20
秒にて溶融混練した。混練物を冷却後、ハンマーミルで
粉砕し、粒径が標準篩で150〜250メッシュを主成
分とする粉体塗料組成物にした。上記粉体塗料組成物を
180〜200℃に加熱しておいた鋼鈑上に、静電塗装
機を用いて塗装を行った。終了後、さらに200℃で2
0分間オーブン中で後硬化を行い、塗膜厚が180〜2
20μmの塗装試験片を得た。この塗装試験片の試験結
果を表1に示す。
【0036】実施例2、3及び比較例1、2 固形のエポキシ樹脂を表1のように変える以外は、実施
例1と同様の操作を行い、組成物を得、塗装試験片を得
た。この塗装試験片の試験結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】*1:調製した粉体塗料組成物を、それぞ
れ35℃の恒温槽に1週間放置した後、塗料のブロッキ
ングの有無を目視にて観察した。 *2:エリクセン試験機を用いて、試験片の裏面から鋼
球を押し出して試験片を変形させたときに、塗膜に割れ
及び剥がれが生じるまでの押し出し距離を記録する。数
字が大きい程優れている。(JIS K5400) *3:碁盤目テープ法(JIS K5400)に従う。
カッターにより試験片上の塗膜を貫通して素地面に達す
る切れ目を入れ、100個の碁盤目をつくる。この碁盤
目の上に粘着テープを密着させ、強く剥離した後も試験
片上に塗膜として残る碁盤目の数nをn/100で記録
する。nの数値が大きい程優れている。 *4:JIS K5400に記載の屈曲試験機を使用
し、心棒の直径を変えて、塗膜を外側にして試験片を折
曲げ、塗膜の割れ、剥がれを認めない最小の心棒の直径
を記録する。数字が小さい程優れている。 *5:JIS K5400に記載のデュポン式耐衝撃性
試験機を用い、質量500gの錘をある高さから落とし
たときに、塗膜の割れ、剥がれを認めない最大高さを記
録する。数字が大きい程優れている。 *6:キセノンテスター(島津製作所製)で所定時間試
験後、グロスメーターを用いて光沢を測定する。 *7:エピコート1004(商品名、油化シェルエポキ
シ社製:ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、エ
ポキシ当量910g/eq.) *8:アジピン酸ジヒドラジド
【0039】
【発明の効果】本発明の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物
は、室温における保存安定性を有し、その硬化塗膜性能
は機械特性に優れ、特に耐候性に優れた塗膜を与えるも
のである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族エポキシ樹脂を水素化して得られ
    る水素化エポキシ樹脂成分(A)と、脂環式多価カルボ
    ン酸、脂肪族多価カルボン酸及びそれらの酸無水物から
    選ばれた少なくとも1種からなる多価カルボン酸化合物
    (b-1) と、脂環式多価アルコール及び脂肪族多価アルコ
    ールから選ばれた少なくとも1種の多価アルコール化合
    物(b-2) とのエステル結合生成反応により得られる1分
    子中に末端カルボキシル基を2個以上有するポリエステ
    ルオリゴマー成分(B)とを反応させて得られる常温で
    固体のエポキシ樹脂、及びエポキシ樹脂用硬化剤を含有
    する、粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記常温で固体のエポキシ樹脂100重
    量部に対して、前記エポキシ樹脂用便化剤が0.01〜
    200重量部の割合で配合されていることを特徴とす
    る、請求項1に記載の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記常温で固体のエポキシ樹脂は、エポ
    キシ当量が500〜3000g/eq.の範囲内である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の粉体
    塗料用エポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記水素化エポキシ樹脂成分(A)は、
    芳香環の水素化率が85%以上で、エポキシ基の損失率
    が20%以下であることを特徴とする、請求項1〜請求
    項3のいずれか1項に記載の粉体塗料用エポキシ樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】 前記水素化エポキシ樹脂成分(A)は、
    芳香族エポキシ樹脂をエーテル系溶剤に溶解し、ロジウ
    ム又はルテニウムをグラファイトに担持した触媒の存在
    下、加圧下に水素化して得られた水素化エポキシ樹脂で
    あることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか
    1項に記載の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記水素化エポキシ樹脂成分(A)は、
    エポキシ当量が150〜300g/eq.の範囲内のビ
    スフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型
    エポキシ樹脂を水素化して得られる液状エポキシ樹脂で
    あることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか
    1項に記載の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記多価カルボン酸化合物(b-1) が、シ
    クロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン
    −1,2−ジカルボン酸、メチルシクロヘキサン−1,
    2−ジカルボン酸又はそれらの酸無水物であり、前記多
    価アルコール化合物(b一2)が2,2−ビス(4−ヒドロ
    キシシクロヘキシル)プロパン、1,6−シクロヘキサ
    ンジメタノール又はネオペンチルグリコールであること
    を特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記
    載の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記エポキシ樹脂用硬化剤は、アミン
    類、酸無水物類、多価フェノール類、イミダゾール類、
    ブレンステッド酸塩類、ジシアンジアミド類、有機酸ヒ
    ドラジッド類、ポリカルボン酸類及び有機ホスフィン類
    から選ばれる化合物であり、全硬化剤中に占める芳香環
    の含有率が10重量%以下であることを特徴とする、請
    求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の粉体塗料用エ
    ポキシ樹脂組成物。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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