JP3874177B2 - 合成樹脂製注出キャップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壜体の口筒に組付けられ、内容液の注出口を開設したキャップ本体と、このキャップ本体の注出口を開閉する外キャップ体とから構成された、不正開封防止機能付き合成樹脂製注出キャップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
不正開封防止機能(ピルファープルーフ機能)を有するキャップの従来技術として、実公平07−12294号公報に開示された技術がある。
【0003】
この従来技術は、ヒンジ結合した上蓋で開閉される注出口を形成し、壜口筒に着脱可能に螺合組付けされる蓋本体に、壜口筒の開口部を覆って塞ぐ金属板製の内蓋を組付けて蓋を構成し、蓋本体のスカート壁の下端部に破断ラインを形成して、このスカート壁を上位の主部と下位のピルファープルーフ裾部とに区画すると共に、主部とピルファープルーフ裾部とを破断し易い複数のリブで連結し、ピルファープルーフ裾部の内面に、壜口筒の環状係止あご部に乗り越えて下方から係止する係止突起を設けて、ピルファープルーフ機能を発揮する。
【0004】
この従来技術にあっては、内蓋を除去して壜を初めて開封するに際して、蓋本体を壜口筒から螺脱させる必要があるが、蓋本体の壜口筒からの螺脱により、リブが破断されて、ピルファープルーフ裾部が主部から分離し、壜口筒の下部まで落下するので、内蓋除去後に蓋本体を壜口筒に装着した状態では、この装着した蓋本体からピルファープルーフ裾部が分離しているので、この分離状態を見て、その壜が既に開封されたものであると、判断することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、壜口筒から蓋本体を螺脱させてリブを破断しても、湿気等により、ピルファープルーフ裾部が、壜口筒に付着して落下変位しないことがあり、この状態で蓋本体を壜口筒に螺着すると、外観上リブ破断前と変わりがなくなり、このためピルファープルーフ機能が有効に発揮されないことがしばしば発生する、と云う問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、ピルファープルーフキャップにおいて、リブ相当部分を破断して蓋本体を螺脱させる際に、ピルファープルーフ裾部相当部分を確実に落下変位させることを技術的課題とし、もってピルファープルーフ機能を確実に発揮させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明の内、請求項1記載の発明の手段は、壜口筒に、外嵌して乗り越え係止する組付き筒を有し、密嵌装して注出口を形成するキャップ本体を有すること、このキャップ本体に着脱自在に螺合して、キャップ本体の注出口を開閉する有頂筒形状の外キャップ体を有すること、キャップ本体の組付き筒の外周面に第1係止部を形成すること、閉状態でキャップ本体の組付き筒に外装する外キャップ体の外装筒の下端に、キャップ本体の第1係止部に下方から係止する第2係止部を設けた封止リングを、複数の破断片を介して一体に連設すること、外キャップ体の外装筒の下端に設けた複数の第1押圧斜面部に対して、この第1押圧斜面部に螺脱方向側から、キャップ本体の螺条のリード角よりも大きい鋭角である傾斜角で、摺動可能に当接すべく、間近に対向する複数の第2押圧斜面部を、封止リングの上端に設けること、
外装筒の下面、封止リングの上面のどちらか一方に、他方に向けて、外装筒と封止リングとの間隙を小さくする突起部を突設すること、
にある。
【0008】
注出キャップを壜口筒に組付けた状態では、キャップ本体の注出口を、このキャップ本体に螺合組付きした外キャップ体が密閉し、またキャップ本体の組付き筒に外嵌した外キャップ体の封止リングが、その第2係止部を、キャップ本体の組付き筒の外周面に形成された第1係止部に、下方から係止させている。
【0009】
この状態から外キャップ体を螺脱回動させると、上昇変位する外キャップ体の本体筒と外装筒の組合せ物に対して、封止リングは、第1係止部と第2係止部との係止により、上昇変位不能となっているので、破断片が破断される。
【0010】
破断片の破断により、通常は封止リングが自重により落下変位するが、湿気等により、封止リングが壜口筒に付着して落下しない場合には、破断片の破断と同時、またはその直後に、外装筒の第1押圧斜面部が封止リングの第2押圧斜面部に当接し、この両押圧斜面部がキャップ本体の螺条のリード角、すなわちキャップ本体と外キャップ体との螺合機能部のリード角よりも大きい鋭角である傾斜角で当接するので、封止リングは外装筒により強制的に押し下げられ、以下自重により確実に落下変位する。
【0011】
また、外装筒と封止リングとの間隙を小さくする突起部を突設したため、キャップ本体に外キャップ体を、初めて螺合組付けする際に、突起部が、他方の封止リングの上面若しくは外装筒の下面に突き当たって、外装筒と封止リングとのストロークを確保し、該ストロークが小さくなることにより、破壊しやすい破断片が撓んで破壊されるのを防止する。
【0012】
また、外キャップ体をキャップ本体に組付ける際に、外キャップ体が多少撓んだ場合であっても、突起部が他方の封止リングの上面若しくは外装筒の下面を押圧するため、外キャップ体の封止リングに設けた第2係止部が、キャップ本体の組付き筒の外周面に形成された第1係止部を確実に乗り越えて、第1係止部に下方から係止する。
【0013】
また、外キャップ体をキャップ本体に組付ける際に、外キャップ体が多少撓んだ場合であっても、突起部が他方の封止リングの上面若しくは外装筒の下面に押圧するため、外キャップ体の封止リングを設けた第2係止部が、キャップ本体の組付き筒の外周面に形成された第1係止部を確実に乗り越えて、第1係止部に下方から係止する。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、外キャップ体の外装筒に、第1押圧斜面部と組合せて第1突き当たり部を形成し、この第1突き当たり部に対して、螺合方向側から乗り越え不能に突き当たるべく、間近に対向する第2突き当たり部を、第2押圧斜面部と組合せて封止リングに形成した、ことを加えたものである。
【0015】
この請求項2記載の発明にあっては、第1突き当たり部に対する第2突き当たり部の突き当たりにより、外装筒に対して封止リングが螺脱方向に回動することができず、壜口筒に対して外装筒を一緒に螺合方向に回動することになるので、外キャップ体をキャップ本体に螺合組付けする際に、破断し易い破断片が破断する、と云う不都合の発生を未然に防止する。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に、第1突き当たり部と第1押圧斜面部とを組合わせた第1組合せ部と、第2突き当たり部と第2押圧斜面部とを組合わせた第2組合せ部の一方を突片に形成し、他方を前記した突片が入り込む凹部に形成した、ことを加えたものである。
【0017】
この請求項3記載の発明にあっては、突き当たり部と押圧斜面部との組合せ部、および両突き当たり部および両押圧斜面部の対向構造が簡単となり、その分成形が容易となる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成に、一方を一つの突片に形成し、他方を前記突片が入り込む凹部に形成した、第1組合せ部と第2組合せ部とのそれぞれを、周方向に、波形状に連設した、ことを加えたものである。
【0019】
この請求項4記載の発明にあっては、同一構成の対向構造となる、外装筒の下端に形成した第1組合せ部と、封止リングの上端に形成した第2組合せ部とが、それぞれ、周方向に波形状に連設しているため、外装筒の下端の形状と封止リングの上端の形状との対称性が良くなり、両突き当たり部および両押圧斜面部が上述の機能を発揮するとともに、外観上の美観が向上する。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3または4記載の発明の構成に、外キャップ体の封止リングの高さ幅を、壜口筒に装着した状態で、該壜口筒のネックリングに、ほぼ下端が達する値となるように設定したこと、を加えたものである。
【0021】
この請求項5記載の発明にあっては、設定組付き筒の下端縁とネックリングとの間に形成される隙間を、封止リングの下端でネックリングをほぼ覆い隠して微小とするため、組付き筒の下端縁とネックリングとの間に形成される隙間に、硬貨等の硬質物を差し込むことができない。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4または5記載の発明の構成に、壜口筒に外嵌するキャップ本体の組付き筒の内周面下端部に、壜口筒の開口部外周に設けられた係止周条を乗り越え係止する係止突条を設け、壜口筒に対するキャップ本体の組付き強度の設定手段として、組付き筒の係止突条を断続的な周突条構造とした、ことを加えたものである。
【0023】
請求項6記載の発明にあっては、壜口筒の係止周条を乗り越え係止している、組付き筒の内周面下端部に設けた係止突条が、断続した周突状構造となっているため、係止突条の欠落分だけ組付き筒が薄肉となって、拡径し易くなり、キャップ本体を、壜口筒から分別して回収する際し、キャップ本体をもぎ取り状に分離させる外力に対して、組付き筒の拡径方向への撓み変形程度を適正な範囲に設定できる。
【0024】
なお、断続した周突条状構造とは、対向する二箇所、または等間隔の複数箇所に、周突条構造の係止突状が除去されて、欠落部分を有する周突条状構造をいう。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項1、2、3、4、5または6記載の発明の構成に、キャップ本体の組付き筒の下端縁とネックリングとの間に、硬貨等の硬質物の端部が侵入可能な間隙を形成した、ことを加えたものである。
【0026】
この請求項7記載の発明にあっては、力の弱い人でも、硬貨等の身近な硬質物を使用して、キャップ本体の壜口筒からの分離を、こじ開け状に簡単に達成することが可能となる。
【0027】
請求項8記載の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の発明の構成に、キャップ本体と外キャップ体とを異色とした、ことを加えたものである。
【0028】
この請求項8記載の発明にあっては、破断片が破断して、外キャップ体の封止リングが、下降限まで下降変位するので、外キャップ体の下側に異色のキャップ本体の組付き筒の下部が露出して目立つことになり、これによりピルファープルーフ機能がより効果的に発揮されることになる。
【0029】
請求項9記載の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の発明の構成に、キャップ本体に形成される注出口を、内容液の注出をガイドすべく設けた注出筒の底壁である封止壁に、閉ループを描く破断溝により区画形成された、プルリング等を有する抜栓部の破断除去により開設される、プルオープン式の注出口とした、ことを加えたものである。
【0030】
この請求項9記載の発明にあっては、注出口の開設までの壜容器の密閉を、確実にかつ強固に達成維持することになる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照しながら説明する。注出キャップ1は、ポリプロピレン樹脂もしくは低密度ポリエチレン樹脂製のキャップ本体2と外キャップ体15とから構成されている。
【0032】
キャップ本体2は、壜口筒28に外嵌し、ネックリング30との間に、硬質物の端部、例えば硬貨の周端部が侵入できる間隙を形成する高さに成形された組付き筒3の上端に、内鍔状の頂壁6を介して、外周面に螺条8を刻設した螺合筒7を立設し、この螺合筒7の上端に内鍔片10を介して、上端部をラッパ状に拡径した有底筒状の注出筒11を連設し、この注出筒11の底壁である封止壁12に、閉ループ状に形成された破断溝14により区画形成された、プルリング等を有する抜栓部13を形成して構成されている。
【0033】
壜口筒28に外嵌する組付き筒3は、その内周面下端部に、壜口筒28の開口部外周に設けられた係止周条29に乗り越え係止する係止突条4を設けて、壜口筒28に対する係止機能部分を構成し、またこの係止突条4に隣接する上位の外周面箇所となる、係止周条29に対向する部分の外周面箇所に、突周条状の第1係止部5を形成している。
【0034】
なお、螺合筒7を垂下状に延長設されたシール筒片9は、壜口筒28に密嵌入することにより、キャップ本体2の壜口筒28に対する組付きを、充分に密になるようにしている。
【0035】
外キャップ体15は、注出筒11の開口端に密嵌入する栓筒片18を下面に垂下設した頂板16の周端縁から、螺合筒7に螺合する本体筒17を垂下設し、この本体筒17の下端に、外鍔片19を介して、組付き筒3に外嵌する外装筒20を垂下設し、この外装筒20の下端に、破断し易い複数の破断片21を介して、内周面に第1係止部5を乗り越えて下方から係止する突条状の第2係止部25を設けた封止リング24を連設して構成されている。
【0036】
なお、図示実施例では、第1係止部5および第2係止部25共に突条構造となっているが、これに限定されることはなく、一方を他方の突条が係合する凹溝構造としても良い。
【0037】
封止リング24は、第1係止部5からネックリング30までの高さ幅と、ネックリング30の外径よりも大きい内径を有しているので、図2の開封前の状態では、その上端部を第1係止部5に略当接させ、その下端部をネックリング30の外周面に対向させることになり、破断片21の破断時には、ネックリング30に邪魔されることなく、落下変位することを可能としている。
【0038】
この封止リング24の上端面には、外装筒20の下端面に設けられた第1突き当たり部22と第1押圧斜面部23とを組合せた第1組合せ部31に対して、周方向から個々に間近に対向する第2突き当たり部26と第2押圧斜面部27とを組合せた第2組合せ部32が設けられている。
【0039】
図4図示実施例の場合、第1組合せ部31の一つが、一つの突片に形成されており、これに対して第2組合せ部32の一つが、二つの突片の間の凹部に形成されており、また図5図示実施例の場合には、第1組合せ部31の一つが、一つの凹部に形成されており、これに対して第2組合せ部32一つが、一つの突片に形成されている。
【0040】
図6図示実施例の場合は、図5図示実施例の場合と反対に、第1組合せ部31の一つが突片に形成されており、これに対向する第2組合せ部32の一つが凹部に形成されている。
【0041】
図4図示実施例の場合、外装筒20と封止リング24との間に大きな隙間が開くので、その分、外キャップ体15を成形するのに要する合成樹脂材料の量を少なくすることが可能であるが、これに対して図5及び図6図示実施例の場合は、破断し易い破断片21を短く構成できるので、その分、成形が容易となる。
【0042】
第1突き当たり部22と第2突き当たり部26は、キャップ本体2に外キャップ体15を、初めて螺合組付けする際に、相互の突き当たりにより、封止リング24の外装筒20に対する螺脱方向への回動変位を不能として、一体に螺合回動させ、これにより第1係止部5に対する第2係止部25の強引な乗り越えを可能としている。
【0043】
図7図示実施例の場合は、外装筒20の下面となる、第1組合せ部31の底部に、封止リング24の上面に向けて、外装筒20と封止リング24との間隙を小さくする突起部33を突設している。
【0044】
外キャップ体15をキャップ本体2に初めて螺合組付けする際に、突起部33が、封止リング24の上面に突き当たって、外装筒20と封止リング24とのストロークを確保し、該ストロークが小さくなることにより、破壊しやすい破断片21が撓んで破断するのを防止する。
【0045】
また、外キャップ体15をキャップ本体2に螺合組付けする際に、外キャップ体15が多少撓んだ場合であっても、突起部33が封止リング24の上面を押圧し、第2係止部25が第1係止部5を確実に乗り越えて、第1係止部5に下方から係止する。
【0046】
第1押圧斜面部23と第2押圧斜面部27は(以下、図8参照)、外キャップ体15を初めて螺脱方向に回動させた際に、螺条8のリード角aよりも大きい鋭角である傾斜角bで当接するので、両押圧斜面部の当接が終了する外キャップ体15の回動範囲(この回動範囲の初期に破断片21は破断している)で、第1押圧斜面部23が、リード角aに沿った方向eに移動すると、第2押圧斜面部27は、押し下げられて、方向fに下降変位する。
【0047】
すなわち、キャップ本体2がリード角aに従って距離cだけ上昇変位するのに対し、第1係止部5に対する第2係止部25の係止により上昇変位不能となっていて、キャップ本体2と一緒に回動することのできない封止リング24は、キャップ本体2に対して、傾斜角bに従って距離cよりも大きい距離dだけ押し下げられるのである。
【0048】
このように、封止リング24は、螺脱するキャップ本体2から距離dだけ強制的に押し下げられることになり、これにより第1係止部5に第2係止部25が係止した位置で、封止リング24が壜口筒28の第1係止部5に、湿気等により付着していたとしても、封止リング24は、第1係止部5から確実に分離して、自重により下降変位する。
【0049】
第1組合せ部31と第2組合せ部32は、図9に示すように、周方向に沿って間隔を開けて同一の構成のものを複数設けるのが最も簡単である。また、図1010に示すように、対向した一対の組合せ部を周方向に波形状に連設すると、外装筒20の下端の形状と封止リング24の上端の形状の対称性が良くなり、外観上の美観が向上し、意匠性が良くなる。
【0050】
これに対して、図11に示した構成のように、対向した一対の両組合せを、周方向に沿ってやや長い突片と凹部との組合せで構成することにより、この周方向に長い組合せ部分に、離型のための抜きテーパーを形成することができ、これにより注出キャップ1を成形する金型装置のキャビティ金型を、駒金型を設ける必要のない、単純な割金型で構成することができる。
【0051】
封止リング24は、その上端部を第1係止部5に略当接させているので、組付き筒3の拡径変形を抑えることになり、このため例え組付き筒3を、壜口筒28からの分別が容易であるように、肉薄に構成した場合であっても、この組付き筒3の妄りな拡径変形の発生を阻止して、キャップ本体2の壜口筒28に対する安定した嵌装組付きを達成維持し、また組付き筒3とネックリング30との間に形成される間隙を覆い隠し、これによりキャップ本体2を直接こじ開け状に分離させようとする、不正処理を不能としている。
【0052】
また、第2係止部25を含めた封止リング24の最小内径値は、ネックリング30の外径よりも大きい値に設定されており、このため破断片21が破断した際は、図3に示すように、封止リング24は、その自重により、ネックリング30の下位まで下降変位することが可能となり、これにより第2係止部25がネックリング30に引っ掛かって、封止リング24の上端が組付き筒3の下端部に外装したままとなって、組付き筒3の拡径変形が不能となる、と云う不都合の発生を防止する。
【0053】
壜口筒28から注出キャップ1を分別する際は、外キャップ体15を螺着させた状態でキャップ本体2をもぎ取り状に強引に分別しても良いのであるが、組付き筒3とネックリング30との間の間隙に、硬貨の周端部等の身近な硬質物の端部を差し込み、これで組付き筒3を拡径方向にこじ開けることにより、注出キャップ1を簡単に分別できる。
【0054】
また、図12に示すように、組付き筒3の係止突状4を形成した下端部に割溝4aを設け、壜口筒28に対するキャップ本体2の組付き強度を、壜口筒28に対して空回りすることがない範囲で、人手によるもぎ取り状の取り外すができる程度に設定する。
【0055】
組付き筒3は、人手によるもぎ取り力の作用により、割溝4aが拡径して、組付き筒3が充分に撓み変形し、力の弱い人でも、注出キャップ1の壜口筒28のもぎ取り状分別が、円滑に達成される。
【0056】
割溝4aの形成にあたっては、壜口筒28に対するキャップ本体2の組付き強度が適正な範囲となり、かつ、弱いもぎ取り作用によってキャップ本体2のもぎ取りが可能となる範囲となるように、個数のみならず、長さ、幅等を、壜体容器全体の構造、使用状態を考慮しながら設計する必要がある。
【0057】
図13に示すように、組付き筒3の係止突状4を断続的な周突状構造とすると、係止突状4の欠落部分だけ組付き筒3が薄肉となって、拡径し易くなり、力の弱い人でも、壜口筒28から注出キャップ1のもぎ取り状分別を円滑に達成できる。
【0058】
係止突条4は、壜口筒28に対するキャップ本体2の組付き強度が適正な範囲となり、かつ、弱いもぎ取り作用によっても、キャップ本体2のもぎ取りが可能となる範囲となるように、使用状態等を考慮して、対向する二箇所、または等間隔の複数箇所に、係止突条4を除去した欠落した部分を設計し、断続した周突条構造とする必要がある。
【0059】
その他、プルリングを引っ張って、抜栓部13を開放した開口部から、スプーンの柄等の身近な硬質物を差し込んで、内鍔状となっている封止壁12に硬質物の一端を引っ掛け、該硬質物をてこ状に作用させてキャップ本体2を持ち上げることにより、キャップ本体2を、壜口筒28から簡単に分別することも可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。請求項1記載の発明にあっては、キャップ本体に対して外キャップ体を螺脱させて、破断片を破断した際に、封止リングの自重による下降変位を確実に得ることができ、これにより確実で安定したピルファープルーフ機能が、常に発揮されることになる。
【0061】
また、封止リングを強制的に下降変位させる動作は、外キャップ体の螺脱操作そのものにより達成されるので、その操作が確実で簡単である。
【0062】
また、外装筒と封止リングとの間隙を小さくする突起部を突設したため、キャップ本体に外キャップ体を、初めて螺合組付けする際に、突起部により、外装筒と封止リングとのストロークを確保して、破壊しやすい破断片が撓んで破壊されるのを防止する。また、外キャップ体をキャップ本体に螺合組付けする際に、外キャップ体が多少撓んだ場合であっても、突起部が、他方の封止リングの上面若しくは外装筒の下面を押圧し、外キャップ体の第2係止部が、キャップ本体の第1係止部を確実に乗り越えて、第1係止部に下方から係止する。
【0063】
請求項2記載の発明にあっては、第1突き当たり部と第2突き当たり部と組合せにより、螺合動作により、破断片を破断させることなく、安全に第1係止部に第2係止部を強引に乗り越え係止させることができ、また第1突き当たり部および第2突き当たり部を利用して、第1押圧斜面部および第2押圧斜面部を設けたので、押圧斜面部の形成が容易となる。
【0064】
請求項3記載の発明にあっては、突き当たり部と押圧斜面部の組合せ構造、および両突き当たり部および両押圧斜面部の対向構造が簡単となり、その分、注出キャップの成形が容易となる。
【0065】
請求項4記載の発明にあっては、同一構成の対向構造となる、第1組合せ部と第2組合せ部とのそれぞれが、周方向に波形状に連続しているため、外装筒の下端の形状と封止リングの上端の形状との対称性が良くなり、両押圧斜面部及び両突き当り部の機能を発揮するとともに、外観上の美観が向上し、意匠性が良くなる。
【0066】
請求項5記載の発明にあっては、組付き筒の下端縁とネックリングとの間に形成される隙間が、封止リングによりほぼ覆い隠されることになり、これにより組付き筒の下端縁とネックリングとの間に形成される隙間に、硬貨等の硬質物を差し込むことができず、これにより硬質物を利用しての注出キャップの不正分別を阻止し、もって壜容器の安全性を、充分にそして確実に高めることができる。
【0067】
請求項6記載の発明にあっては、組付き筒の係止突条の対向する二箇所、または等間隔の複数箇所を除去して、係止突条を断続的な周突条構造とし、壜口筒に対するキャップ本体の組付き強度が適正な範囲となるように精度高く設定するとともに、組付き筒の拡径をし易くして、注出キャップを、壜口筒から分別して回収する際の撓み変形程度を適正な範囲に設定することができる。
【0068】
請求項7記載の発明にあっては、硬貨等の身近な硬質物を使用して、キャップ本体の壜口筒からの分離を簡単に達成することができるので、注出キャップの分別回収を、大きな力を要することなく、簡単に行なうことができる。
【0069】
請求項8記載の発明にあっては、破断片の破断を、注出キャップの外観の色分布変化として現出するので、きわめて高いピルファープルーフ機能が有効に発揮されることになる。
【0070】
請求項9記載の発明にあっては、注出口開設までの壜容器の密閉を強固に確実に達成維持することができ、もってより高い安全性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す、組立て前の全体斜視図。
【図2】図1に示した実施例の、外キャップ体螺脱前の半縦断面図。
【図3】図1に示した実施例の、外キャップ体螺脱後の半縦断面図。
【図4】本発明の要部の一実施例を示す、部分拡大正面図。
【図5】本発明の要部の第二の実施例を示す、部分拡大正面図。
【図6】本発明の要部の第三の実施例を示す、部分拡大正面図。
【図7】本発明の要部の第四の実施例を示す、部分拡大正面図。
【図8】本発明の動作を説明するための、説明図。
【図9】本発明の外キャップ体の一実施例を示す、分断全体斜視図。
【図10】本発明の外キャップ体の第二実施例を示す、部分拡大正面図。
【図11】本発明の外キャップ体の他の実施例を示す、分断全体斜視図。
【図12】本発明のキャップ本体の他の実施例を示す、分断全体斜視図。
【図13】本発明のキャップ本体の他の実施例を示す、底面図。
【符号の説明】
1 ; 注出キャップ
2 ; キャップ本体
3 ; 組付き筒
4 ; 係止突条
4a; 割溝
5 ; 第1係止部
6 ; 頂壁
7 ; 螺合筒
8 ; 螺条
9 ; シール筒片
10; 内鍔片
11; 注出筒
12; 封止壁
13; 抜栓部
14; 破断溝
15; 外キャップ体
16; 頂板
17; 本体筒
18; 栓筒片
19; 外鍔片
20; 外装筒
21; 破断片
22; 第1突き当たり部
23; 第1押圧斜面部
24; 封止リング
25; 第2係止部
26; 第2突き当たり部
27; 第2押圧斜面部
28; 壜口筒
29; 係止周条
30; ネックリング
31; 第1組合せ部
32; 第2組合せ部
33; 突起部
a ; リード角
b ; 傾斜角
c ; 距離
d ; 距離
e ; 方向
f ; 方向
Claims (9)
- 壜口筒(28)に、外嵌して乗り越え係止する組付き筒(3) を有し、密嵌装して注出口を形成するキャップ本体(2) と、該キャップ本体(2) に着脱自在に螺合して、前記注出口を開閉する有頂筒形状の外キャップ体(15)とから構成され、前記組付き筒(3) の外周面に第1係止部(5) を形成し、閉状態で前記組付き筒(3) に外装する外キャップ体(15)の外装筒(20)の下端に、前記第1係止部(5) に下方から係止する第2係止部(25)を設けた封止リング(24)を、複数の破断片(21)を介して一体に連設し、前記外装筒(20)の下端に設けた複数の第1押圧斜面部(23)に対して、該第1押圧斜面部(23)に螺脱方向側から、前記キャップ本体(2) の螺条(8) のリード角(a) よりも大きい鋭角である傾斜角(b)で、摺動可能に当接すべく、間近に対向する複数の第2押圧斜面部(27)を、前記封止リング(24)の上端に設け、前記外装筒 (20) の下面、封止リング (24) の上面のどちらか一方に、他方に向けて、外装筒 (20) と封止リング (24) との間隙を小さくする突起部 (33) を突設して成る合成樹脂製注出キャップ。
- 外装筒(20)に、第1押圧斜面部(23)と組合せて第1突き当たり部(22)を形成し、該第1突き当たり部(22)に対して、螺合方向側から乗り越え不能に突き当たるべく、間近に対向する第2突き当たり部(26)を、第2押圧斜面部(27)と組合せて封止リング(24)に形成した請求項1記載の合成樹脂製注出キャップ。
- 第1突き当たり部(22)と第1押圧斜面部(23)とを組合わせた第1組合せ部(31)と、第2突き当たり部(26)と第2押圧斜面部(27)とを組合わせた第2組合せ部(32)の一方を、突片に形成し、他方を、前記突片が入り込む凹部に形成した請求項2記載の合成樹脂製注出キャップ。
- 一方を一つの突片に形成し、他方を前記突片が入り込む凹部に形成した、第1組合せ部(31)と第2組合せ部(32)とのそれぞれを、周方向に、波形状に連設した請求項3記載の合成樹脂製注出キャップ。
- 封止リング(24)の高さ幅を、壜口筒(28)に装着した状態で、該壜口筒(28)のネックリング(30)に、ほぼ下端が達する値となるように設定した請求項1、2、3または4記載の合成樹脂製注出キャップ。
- 壜口筒(28)に外嵌する組付き筒(3)の内周面下端部に、前記壜口筒(28)の開口部外周に設けられた係止周条(29)を乗り越え係止する係止突条(4)を設け、壜口筒(28)に対するキャップ本体(2)の組付き強度の設定手段を、前記係止突条(4)を断続した周突条構造とした請求項1、2、3、4または5記載の合成樹脂製注出キャップ。
- 組付き筒(3) の下端縁とネックリング(30)との間に、硬貨等の硬質物の端部が侵入可能な間隙を形成した請求項1、2、3、4、5または6記載の合成樹脂製注出キャップ。
- キャップ本体(2) と外キャップ体(15)とを異色とした請求項1、2、3、4、5、6または7記載の合成樹脂製注出キャップ。
- キャップ本体(2) に形成される注出口を、内容液の注出をガイドすべく設けた注出筒(11)の底壁である封止壁(12)に、閉ループを描く破断溝(14)により区画形成された、プルリング等を有する抜栓部(13)の破断除去により開設される、プルオープン式の注出口とした請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の合成樹脂製注出キャップ。
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