JP3874132B2 - ハニカムパネル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ハニカムパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一対のアルミニウム合金製(以下にアルミニウム製という)の表面板と、表面板間に介在されるコア材とをろう付あるいは接着により一体接合してなるハニカムパネルは、軽量で断熱及び遮音性等に優れているため、内装や外装等の建材として広く使用されている。
【0003】
このハニカムパネルは、一枚の大きさが限られるため、上記のように一対の表面板間にコア材を介在してなる複数のパネル体を接合してより大きな形状のハニカムパネルとしている。
【0004】
このため従来は、パネル体の表面板(母材)とタングステン電極の間にアークを発生させ、ノズルよりイナートガスを流し、溶接部の酸化、窒化を防ぎながら溶接するTIG(Tungsten Inert Gas)溶接、あるいは、パネル体の表面板(母材)と電極ワイヤとの間にアークを発生させて溶接するMIG(Metal Inert Gas)溶接等を用いて複数のパネル体を接合して所望の大きさのハニカムパネルを製造している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、TIG溶接あるいはMIG溶接を用いてパネル体を溶接した場合、表面板はろう材がクラッドしているため、ろう材の巻込みが生じると共に、接合部の割れやブローホール(空隙)が発生し易く、溶接箇所の強度上の不安があった。したがって、TIG溶接あるいはMIG溶接を用いてパネル体を溶接するには、表面板の辺部間に介在される枠材同士を溶接してパネル体を接合させる場合に限られていた。
【0006】
また、TIG溶接あるいはMIG溶接では、溶接性能の向上のために両パネル体の枠材の当接面(溶接面)に面取り(開先)を設ける必要があり、その分加工に手間を要するという問題があった。
【0007】
更に、接合部を含めた近辺は、溶接熱による歪みが発生するため、歪み除去の工程が必要になるという問題がある。この問題は、表面板同士を接合した場合、更に溶接部の熱歪みが大きくなり、歪み除去の工程が不可欠であった。
【0008】
この発明は上記事情に鑑みなされたもので、熱の影響を受けることなく、パネル体の表面板同士、あるいは枠材同士を溶接により接合可能なハニカムパネル及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項記載のハニカムパネルは、一対のアルミニウム製表面板と、これら表面板間に介在されるコア材と、上記表面板の辺部間に介在される枠材とを具備するパネル体を摩擦溶接にて接合してなるハニカムパネルであって、上記パネル体の接合部に位置する枠材の対向面に狭隘開口状の凹溝を形成し、両パネル体の凹溝内に連結用中子を摺動可能に嵌合し、上記表面板同士を摩擦溶接にて接合してなることを特徴とする。
【0010】
請求項記載のハニカムパネルは、一対のアルミニウム製表面板と、これら表面板間に介在されるコア材と、上記表面板の辺部間に介在される枠材とを具備するパネル体を摩擦溶接にて接合してなるハニカムパネルであって、上記パネル体の接合部に位置する枠材の対向面に狭隘開口状の凹溝を形成し、両パネル体の凹溝内に連結用中子を摺動可能に嵌合し、上記枠材同士を摩擦溶接にて接合してなることを特徴とする。
【0011】
請求項記載のハニカムパネルは、一対のアルミニウム製表面板と、これら表面板間に介在されるコア材と、上記表面板の辺部間に介在される枠材とを具備するパネル体を摩擦溶接にて接合してなるハニカムパネルであって、上記パネル体の接合部に位置する枠材の対向面に狭隘開口状の凹溝を形成し、両パネル体の凹溝内に連結用中子を摺動可能に嵌合し、上記表面板及び枠材を摩擦溶接にて接合してなることを特徴とする。
【0012】
請求項4又は6記載のハニカムパネルの製造方法は、請求項1又は2記載のハニカムパネルの製造方法において、上記凹溝内に連結用中子を嵌合して両パネル体の表面板同士又は枠材同士を当接し、この状態で両表面板又は両枠材を摩擦溶接することを特徴とする。
【0013】
請求項5又は7記載のハニカムパネルの製造方法は、請求項1又は2記載のハニカムパネルの製造方法において、上記凹溝内に連結用中子を嵌合して両パネル体の表面板同士又は枠材同士を当接し、この状態で両表面板又は両枠材を摩擦溶接し、その後、上記中子を抜き取ることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、パネル体の表面板同士あるいは枠材同士を当接した状態で摩擦溶接することにより、ろう材をクラッドしたか否かに関係なく接合することができ、しかも熱歪みの発生もなく確実にパネル体を接合することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
第1参考実施形態
図1はこの発明の第1参考実施形態のハニカムパネルを示す断面斜視図、図2は第1参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す概略断面図、図3は第1参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す断面斜視図、図4は第1参考実施形態のハニカムパネルの製造工程を示す説明図である。
【0017】
上記ハニカムパネルは、一対の表面板1と、これら表面板1の辺部間に介在される枠材2と、一対の表面板1と枠材2とで形成される空間内に介在される円筒状のコア材3とで構成されるパネル体4同士を摩擦溶接5によって接合してなる。この場合、表面板1及びコア材3は、アルミニウム合金製(以下にアルミニウム製という)部材にて形成されており、また枠材2はアルミニウム製押出形材にて形成されている。
【0018】
上記のように構成されるハニカムパネルを製造するには、まず、図4(a)に示すように、矩形状の表面板1と、断面矩形状の枠材2及び円筒状の多数のコア材3とを用意し、矩形状に枠組みされた枠材2の片面側に表面板1を配設した後、その枠材2の内方空間にコア材3を配置すると共に、枠材2の他面側に表面板1を配設する。その際、表面板1と枠材2間や、表面板1とコア材3間等にろう材を必要量挟む。そして、これら表面板1、枠材2及びコア材3を熱処理し、これによりろう材を溶かしてろう付し一体成形してパネル体4を形成する(図4(b)参照)。
【0019】
なお、上記ろう付けに際しては、枠材2の適宜箇所とコア材3の側面に空気抜き孔(図示せず)を設けておく方が好ましい。空気抜き孔を設けることにより、パネル成形時の高温度下においてコア材3の中空部内で膨脹する空気を外部に排出することができ、パネルの成形性の向上を図ることができるからである。なお、表面板1、枠材2及びコア材3のうち、少なくともコア材3は、ろう材をクラッドしたブレージングシート6にて形成されている。したがって、コア材3が、アルミニウム合金製帯板を屈曲して形成される場合においても、パネル体4の成形後においては、帯板の両端の分離部はろう付によって接合され、コア材3は完全に円筒状になる。
【0020】
上記実施形態では、コア材3のみがろう材面を具備するブレージングシートである構成としたが、表面板1及びコア材3の二者を、ろう材面の具備するブレージングシートにて形成することも可能であり、あるいは、表面板1、枠材2及びコア材3の三者をろう材面を具備するブレージングシートにて形成することも可能である。
【0021】
上記のようにしてパネル体4を形成した後、図2、図3及び図4(c)に示すように、2つのパネル体4を受台6上に載置すると共に、パネル体4の端面同士が密接すべく側方から固定具7を押圧(圧力P1)して両パネル体4を保持する。次に、両パネル体4の当接部の上面に、図示しない回転保持手段にて保持される円柱状のショルダ8の下面に突設されるプローブ9を押し当て(圧力P2)、そして、ショルダ8及びプローブ9を高速回転(例えば1000〜5000rpm)しつつ水平方向に移動すると、両パネル体4の表面板1同士の当接部が摩擦熱によって軟化されると共に、撹拌されかつメタルが移動方向に押し詰められて溶接される。これにより、パネル体4の表面板1同士が接合される(図1及び図4(d)参照)。このようにして片面側の接合部を摩擦溶接5した後、反対面の接合部も同様に摩擦溶接5してハニカムパネルが製造される。なおこの場合、図2に示すように、プローブ9の押圧力(P2)に対して変形しないように枠材2の厚み(t0)を確保し、下部に受台6を配置する方が望ましい。
【0022】
上記のようにして製造されたハニカムパネルは、従来のTIG溶接やMIG溶接等に比べてろう材の巻込みによる接合部の割れやブローホールの発生がなく、また、熱の影響も少ないため、パネル体4の接合部の歪みを少なくすることができ、製品品質の向上を図ることができる。
【0023】
第2参考実施形態
図5はこの発明の第2参考実施形態のハニカムパネルを示す断面斜視図である。 第2参考実施形態は、表面板1とコア材3とでハニカムパネルを形成した場合である。
【0024】
第2参考実施形態のハニカムパネルを製造するには、図7に示すように、上記第1参考実施形態と同様に、まず、矩形状の表面板1と、断面矩形状の枠材2及び円筒状のコア材3とを用意し、矩形状に枠組みされた枠材2の片面側に表面板1を配設した後、その枠材2の内方空間にコア材3を配置すると共に、枠材2の他面側に表面板1を配設する。その際、表面板1とコア材3間にろう材を挟み、これら表面板1、枠材2及びコア材3を熱処理し、これによりろう材を溶かして表面板1とコア材3とをろう付し一体成形してパネル体4を形成する(図7(b)参照)。この状態において、枠材2は表面板1及びコア材3に対して非接合となる。
【0025】
上記のようにしてパネル体4を形成した後、図7(c)に示すように、2つのパネル体4を受台6上に載置すると共に、パネル体4の端面同士が密接すべく側方から固定具7を押圧(圧力P1)して両パネル体4を保持する。次に、両パネル体4の当接部の上面に、図示しない回転保持手段にて保持される円柱状のショルダ8の下面に突設されるプローブ9を押し当て(圧力P2)、そして、ショルダ8及びプローブ9を高速回転(例えば1000〜5000rpm)しつつ水平方向に移動して、両パネル体4の表面板1同士を摩擦溶接5する。このようにして片面側の接合部を摩擦溶接5した後、反対面の接合部も同様に摩擦溶接5する。その後、枠材2を図示しない押棒等で押してパネル体4から抜き取ってハニカムパネルを形成する(図6及び図7(e)参照)。なお、枠材2をカーボン等のスペーサ又は鉄製の当板としても同様に枠材なしのハニカムパネルを製造することができる。なお、パネル体4の接合側の枠材2を非ろう付とし、非接合側の枠材2をろう付としてもよい。
【0026】
上記のようにして製造されたハニカムパネルは、枠材2を具備するパネル体4の表面板1同士を摩擦接合するため、溶接箇所の強度上の不安を解消することができると共に、表面板1同士の接合部の歪みを少なくすることができる。また、摩擦溶接後、枠材2を抜き取るので、接合部の歪みの少ない軽量の枠材なしのハニカムパネルを提供することができる。
【0027】
第3参考実施形態
図8はこの発明の第3参考実施形態のハニカムパネルを示す要部断面図、図9は第3参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す断面斜視図である。第3参考実施形態は、パネル体の枠材同士を摩擦溶接によって接合してハニカムパネルを形成するようにした場合である。
【0028】
第3参考実施形態のハニカムパネルを製造するには、まず、一対の表面板1と、表面板1の端部を載置する段部21を有するアルミニウム製の枠材20と、円筒状の多数のコア材3とを用意し、上記第1参考実施形態と同様に、一対の表面板1間にコア材3を介在させると共に、表面板1の辺部間に枠材20を介在させ、これら表面板1、枠材20及びコア材3を熱処理して表面板1と枠材20及びコア材3とをろう付し一体成形してパネル体4を形成する。
【0029】
パネル体4を形成した後、接合するパネル体4を受台6上に載置すると共に、固定具7にて保持して、上述と同様に、枠材20同士の接合部にプローブ9を押し当て、プローブ9を高速回転すると共に水平移動して摩擦溶接5することによりハニカムパネルを成形する(図9参照)。
【0030】
なお、第3参考実施形態において、パネル体4をろう付にて一体成形する際にろう材を介在してろう付するか、ろう材をクラッドしたブレージングシートを用いてろう付するかは、上記第1参考実施形態と同様に任意に行なうことができる。
【0031】
また、第3参考実施形態において、上記枠材20を中空押出形材にて形成することにより、パネル体4の成形時には、中空部22を空気抜き孔として利用することができ、ろう付け時の空気の膨脹、収縮による変形を防止することができる。また、接合時には、接合される両枠材20の中空部22内にクランプ10(締結具)を挿入して両パネル体4を密接させることにより、プローブ9の押圧力(P2)に対して接合部の隙間を少なくすることができる。
【0032】
上記のようにして製造されたハニカムパネルは、パネル体4の枠材20同士を摩擦溶接5によって接合することにより、接合状態をより強固にすることができるので、ハニカムパネルの強度の向上を図ることができる。
【0033】
第4参考実施形態
図10はこの発明のハニカムパネルの第4参考実施形態の製造状態を示す断面斜視図である。第4参考実施形態は、パネル体の表面板同士を接合する際の接合部の隙間を少なくするようにした場合である。
【0034】
第4参考実施形態のハニカムパネルを製造するには、まず、一対の表面板1と、内方側面の中央部に凹溝23(凹部)を有する枠材24と、円筒状の多数のコア材3を用意し、上記第1参考実施形態と同様に、一対の表面板1間にコア材3を介在させると共に、表面板1の辺部間に枠材24を介在させ、これら表面板1、枠材24及びコア材3を熱処理して表面板1と枠材24及びコア材3とをろう付し一体成形してパネル体4を形成する。
【0035】
パネル体4を形成した後、接合するパネル体4を受台6上に載置すると共に、固定具7にて保持し、更に、接合部の両枠材24の凹溝23内にクランプ10(締結具)を挿入して締結し、上述と同様に、表面板1同士の接合部にプローブ9を押し当て、プローブ9を高速回転すると共に水平移動して摩擦溶接5することによりハニカムパネルを成形する(図11(a)参照)。なお、クランプ10はパネル体4の接合後、取り外される。
【0036】
なお、第4参考実施形態において、パネル体4をろう付にて一体成形する際にろう材を介在してろう付するか、ろう材をクラッドしたブレージングシートを用いてろう付するかは、上記第1及び第3参考実施形態と同様に任意に行なうことができる。
【0037】
なお、第4参考実施形態において、上記枠材24の内方側面に形成される凹溝はパネル体4の成形時の空気抜き孔として利用される。また、凹溝は、上記の形態に限られるものではなく、例えば図11(b)に示すように、表面板1と接合するフランジ部25を残したその他の部分の全域に凹溝23a(凹部)を設けてもよく、また、図11(c)に示すように枠材24の内方側に段状に凹溝23b(凹部)を設けてもよい。更には、図11(d)に示すように枠材24を中空矩形状押出形材にて形成して中空部23cを凹溝(凹部)に代えてクランプ10の挿入部に用いるようにしてもよい。
【0038】
上記のようにして製造されたハニカムパネルは、接合部の枠材24に設けられた凹部すなわち凹溝23,23a,23b及び中空部23cにクランプ10を挿入して両パネル体4を締結することができるので、摩擦溶接時のプローブ9の押圧力(P2)に対向して接合部を密接にした状態で摩擦溶接5を行なうことができる。したがって、表面板1同士の接合を確実にすることができ、歪みの少ないハニカムパネルを提供することができる。
【0039】
第5参考実施形態
図12(a)〜(d)は第5参考実施形態のハニカムパネルの別の形態を示す要部断面図である。上記第4参考実施形態では、一対の表面板1とコア材3と枠材24を具備するパネル体4の表面板1同士を摩擦溶接5によりハニカムパネルを成形する場合について説明したが、パネル体4の接合部の表面板1と共に枠材24を摩擦溶接5により一体接合してもよい。
【0040】
すなわち、一対のアルミニウム製表面板と、これら表面板1間に介在される多数のコア材3と、表面板1の辺部間に介在されるアルミニウム製枠材24とを一体ろう付してパネル体4を形成し、パネル体4の接合部の表面板1及び枠材24を摩擦溶接により一体接合してもよい。
【0041】
なお、ここでは、枠材24が凹溝23a,23bあるいは中空部23cを有する場合について説明したが、枠材の形状は上記のものに限定されるものではなく任意の形状であってもよい。なお、第5参考実施形態において、その他の部分は上記第1ないし第4参考実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0042】
第6参考実施形態
図13はこの発明の第6参考実施形態の製造状態を示す要部断面図(a)及び溶接後の要部拡大断面図(b)、図14は製造状態を示す断面斜視図である。第6参考実施形態は、接合するパネル体間に接合部材を介在させて接合して、ハニカムパネルを成形するようにした場合である。
【0043】
第6参考実施形態のハニカムパネルを製造するには、まず、一対の表面板1と、円筒状の多数のコア材3を用意し、一対の表面板1間にコア材3を介在させ、これら表面板1とコア材3を熱処理して表面板1とコア材3とをろう付し一体成形してパネル体4を形成する。
【0044】
パネル体4を形成した後、接合するパネル体4間に、例えば断面矩形状のアルミニウム製押出形材にて形成される接合部材30を挾持した状態で受台6上に載置すると共に、固定具7にて保持し、接合部材30の上面にプローブ9を押し当て、プローブ9を高速回転すると共に水平移動して接合部材30と表面板1とを摩擦溶接5することによりハニカムパネルを成形する(図13(b)参照)。
【0045】
なお、第6参考実施形態において、パネル体4をろう付にて一体成形する際にろう材を介在してろう付するか、ろう材をクラッドしたブレージングシートを用いてろう付するかは、上記第1、第3及び第4参考実施形態と同様に任意に行なうことができる。
【0046】
なお、第6参考実施形態において、上記接合部材30は必しも断面矩形状である必要はなく、例えば図15に示すように、摩擦溶接部を肉厚にした断面略I字状の接合部材30aであってもよく、あるいは、図16に示すように、断面中空矩形状の接合部材30bであってもよい。このように断面略I字状の接合部材30aあるいは断面中空矩形状の接合部材30bを用いることにより、凹部30c,中空部30dをパネル体成形時の空気拭き孔として利用することができる。なお、断面中空矩形状の接合部材30bを用いる場合は、接合部材30bと表面板1の接合部を摩擦溶接5する方が好ましい。この場合、接合は1箇所ずつでもよいし、2箇所同時に行ってもよい。
【0047】
上記のようにして製造されたハニカムパネルは、枠材なしのパネル体4間に接合部材30,30a,30bを介在して摩擦溶接により接合してハニカムパネルを成形することができるので、構成部材の削減が図れると共に、軽量で強度なハニカムパネルを提供することができる。
【0048】
第7参考実施形態
図17はこの発明の第7参考実施形態のハニカムパネルの製造状態の断面斜視図である。第7参考実施形態は、クランプ等の締結具を用いずに接合部を密着状態にして摩擦溶接するようにした場合である。
【0049】
第7参考実施形態のハニカムパネルを製造するには、まず、一対の表面板1と、接合面側に係合凹部41又は係合突部42を有する枠材40と、円筒状の多数のコア材3を用意し、上記第1参考実施形態と同様に、一対の表面板1間にコア材3を介在させると共に、表面板1の辺部間に枠材40を介在させ、これら表面板1、枠材40及びコア材3を熱処理して表面板1と枠材40及びコア材3とをろう付し一体成形してパネル体4を形成する。この場合、枠材40には、係合凹部41が狭隘開口状の凹条にて形成されており、係合突部42は係合凹部41の凹条内に嵌合する膨隆頭部を有する凸条にて形成されている。
【0050】
パネル体4を形成した後、図17及び図18(a)に示すように、接合するパネル体4の係合凹部41と係合突部42を係合させて受台6上に載置すると共に、固定具7にて保持し、上述と同様に、表面板1同士の接合部にプローブ9を押し当て、プローブ9を高速回転すると共に水平移動して摩擦溶接5することによりハニカムパネルを成形する(図17参照)。
【0051】
なお、第7参考実施形態において、パネル体4をろう付にて一体成形する際にろう材を介在してろう付するか、ろう材をクラッドしたブレージングシートを用いてろう付するかは、上記第1及び第3ないし第6参考実施形態と同様に任意に行なうことができる。
【0052】
なお、第7参考実施形態において、上記枠材40に形成される係合凹部41及び係合突部42は、必しも上記した狭隘開口状の凹条あるいは膨隆頭部を有する凸条である必要はなく、例えば図18(b)に示すように、互いに係合する断面略L字状に突出する係合凹部41a及び係合凸部42aにて形成してもよい。このように断面略L字状の係合凹部41a又は係合突部42aを有する枠材40を用いることにより、同一種類の枠材40を天地方向に反転させて使用することができるので、構成部材の削減が図れると共に、在庫管理を容易にすることができる。
【0053】
また、係合凹部と係合凸部の係合を更に確実にするために、例えば図19及び図20に示すように、断面L略字状の係合凹部41aと係合突部42aの先端部に互いに係合する膨隆部43を設けることにより、接合するパネル体4の枠材40同士をスナップ係合させて結合することができる。なおこの場合、図19に示すように、枠材40の表面板1と接触する側に肉厚部44を設けることにより、枠材40の補強ができる点で好ましい。
【0054】
上記のようにして製造されたハニカムパネルは、クランプ等の締結具を用いることなくパネル体4の枠材40同士を密接させることができ、この状態で摩擦溶接により接合してハニカムパネルを成形することができるので、製造作業を容易にすることができると共に、接合部の隙間を少なくした歪みの少ないハニカムパネルを提供することができる。
【0055】
第1実施形態
図21はこの発明の第1実施形態のハニカムパネルの製造状態の要部断面図(a)及び製造後のハニカムパネルの要部断面図(b)、図22は第1実施形態のハニカムパネルの製造状態の断面斜視図である。第1実施形態は、上記第1〜第5参考実施形態のハニカムパネルにおいて、パネル体の表面板同士を接合する際の接合部の全域の隙間を少なくするようにした場合である。
【0056】
第1実施形態のハニカムパネルを製造するには、まず、一対の表面板1と、接合面側に狭隘開口状の凹溝51を有する枠材50と、円筒状の多数のコア材3を用意し、上記第1〜第5参考実施形態と同様に、一対の表面板1間にコア材3を介在させると共に、表面板1の辺部間に枠材50を介在させ、これら表面板1、枠材50及びコア材3を熱処理して表面板1と枠材50及びコア材3とをろう付し一体成形してパネル体4を形成する。
【0057】
パネル体4を形成した後、図21(a)及び図22に示すように、接合するパネル体4の凹溝51内に断面略H字状の棒状の連結用中子52を挿入して両パネル体4を密接させて受台6上に載置すると共に、固定具7にて保持し、上述と同様に、表面板1同士の接合部にプローブ9を押し当て、プローブ9を高速回転すると共に水平移動して摩擦溶接5する。その後、中子52を抜き取ってハニカムパネルを成形する(図21(b)参照)。なおこの場合、中子52を抜き取らずにそのまま埋設させておいてもよい。このように中子52を埋設することにより、ハニカムパネルの強度を高めることができる。
【0058】
なお、第1実施形態において、パネル体4をろう付にて一体成形する際にろう材を介在してろう付するか、ろう材をクラッドしたブレージングシートを用いてろう付するかは、上記第1及び第3ないし第7参考実施形態と同様に任意に行なうことができる。
【0059】
上記のように、パネル体4の接合部の両枠材50の凹溝51内に中子52を挿入することにより、接合されるパネル体4の両枠材50の全域を密接させた状態で摩擦溶接5することができるので、接合部の隙間を少なくした歪みの少ないハニカムパネルを提供することができる。また、中子52を抜き取った場合は、抜き取った中子52は次のハニカムパネルの製造に繰り返し使用することができるので、部材の削減を図ることができる。
【0060】
第8参考実施形態
図23はこの発明の第8参考実施形態のハニカムパネルの製造状態の要部断面図(a)及び製造後の要部拡大断面図(b)である。第8参考実施形態は、接合部の摩擦溶接を外部から目隠してハニカムパネルの美観の向上を図れるようにした場合である。
【0061】
第8参考実施形態のハニカムパネルを製造するには、まず、一対の表面板1と、接合面側に当接突起61とこの当接突片61の上方側及び下方側に位置する係合凹溝62とを有する枠材60と、円筒状の多数のコア材3を用意し、上記第1参考実施形態と同様に、一対の表面板1間にコア材3を介在させると共に、表面板1の辺部間に枠材60を介在させ、これら表面板1、枠材60及びコア材3を熱処理して表面板1と枠材60及びコア材3とをろう付し一体成形してパネル体4を形成する。この際、当接突片61は表面板1より外方へ突出した状態となる。
【0062】
パネル体4を形成した後、図23(a)に示すように、接合するパネル体4の当接突片61の先端面を当接させて受台6上に載置すると共に、固定具(図示せず)にて保持し、上述と同様に、当接突片61同士の接合部にプローブ9を押し当て、プローブ9を高速回転すると共に水平移動して摩擦溶接5する。その後、断面略ハット状のアルミニウム製の化粧部材70の外向きフランジ部71を係合凹溝62内に摺動あるいはスナップ嵌合させて摩擦溶接5部を外部から被覆してハニカムパネルを成形する(図23(b)参照)。
【0063】
なお、第8参考実施形態において、パネル体4をろう付にて一体成形する際にろう材を介在してろう付するか、ろう材をクラッドしたブレージングシートを用いてろう付するかは、上記第1及び第3ないし第7参考実施形態と同様に任意に行なうことができる。また、化粧部材70の外向きフランジ部71と枠材60の係合凹溝62とは嵌合状態のままでもよく、あるいは接着剤を介在させて接着してもよい。
【0064】
なお、第8参考実施形態において、パネル体4の接合形態は必しも当接突片61を付き合わせた状態で摩擦溶接5するものに限定されるものではなく、例えば図24(a)に示すように、枠材60から突出される接合突片63同士を重合させ、一方の接合突片63の外側からプローブ9を押し当ててプローブ9を高速回転させると共に、水平移動して摩擦溶接5し、その後、上述と同様に化粧部材7を係合凹溝62に摺動あるいはスナップ嵌合させて摩擦溶接5部を外部から被覆してハニカムパネルを成形するようにしてもよい。
【0065】
上記のようにして製造されるハニカムパネルは、摩擦溶接5した接合部を化粧部材70によって目隠しすることができるので、ハニカムパネルの外観の向上を図ることができ、ハニカムパネルの品質の向上を図ることができる。
【0066】
◎その他の実施形態
上記実施形態ではコア材が円筒状に形成される場合について説明したが、コア材の形状は必しも円筒状である必要はなく、円筒以外の筒状例えば三角筒状、四角筒状、あるいはその他の多角筒状であってもよく、あるいは、帯状片を台形波形状に折曲して接着した蜂巣形状のもののいずれであってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、コア材がアルミニウム製部材に形成されて表面板1にろう付される場合について説明したが、コア材は必しもアルミニウム製部材である必要はなく、例えば紙製部材にて形成して、表面板1に接着剤を用いて接着してなるものであってもよい。また、ヒートブリッジの心配がなければ、例えばウレタン発泡材等の断熱性心材(コア材)を用いたサンドイッチパネルにも適用可能である。また、枠材の形状は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。また、接合部の枠材の形状と非接合部の枠材の形状とは同一形状でなくてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、受台6上に接合するパネル体4を載置して表面板1同士又は枠材2同士を当接させて固定具7にて保持し、その状態で両表面板1又は両枠材2の一方の接合部を摩擦溶接5する場合について説明したが、接合するパネル体4を垂直状態にクランプすれば、両側の両表面板1又は両枠材2の接合部を同時に摩擦溶接5することもできる。
【0069】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、パネル体の表面板同士あるいは枠材同士を当接した状態で摩擦溶接することにより、ろう材をクラッドしたか否かに関係なく接合することができるので、ハニカムパネルの製造を容易にすることができる。しかも、熱歪みの発生もなく確実にパネル体を接合してなるので、美観の向上が図れると共に、製品品質の高いハニカムパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1参考実施形態のハニカムパネルを示す断面斜視図である。
【図2】 第1参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す概略断面図である。
【図3】 第1参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す断面斜視図である。
【図4】 第1参考実施形態のハニカムパネルの製造工程を示す説明図である。
【図5】 この発明の第2参考実施形態のハニカムパネルを示す断面斜視図である。
【図6】 第2参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す断面斜視図である。
【図7】 第2参考実施形態のハニカムパネルの製造工程を示す説明図である。
【図8】 この発明の第3参考実施形態のハニカムパネルの要部断面図である。
【図9】 第3参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す断面斜視図である。
【図10】 この発明の第4参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す断面斜視図である。
【図11】 第4参考実施形態のハニカムパネルの別の形態を示す要部断面図である。
【図12】 この発明の第5参考実施形態のハニカムパネルの別の形態を示す要部断面図である。
【図13】 この発明の第6参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す要部断面図(a)及び溶接後の状態を示す要部拡大断面図(b)である。
【図14】 第6参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す断面斜視図である。
【図15】 第6参考実施形態のハニカムパネルの別の形態を示す要部断面図である。
【図16】 第6参考実施形態のハニカムパネルの更に別の形態を示す要部断面図である。
【図17】 この発明の第7参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す断面斜視図である。
【図18】 第7参考実施形態のハニカムパネルの別の形態を示す要部断面図である。
【図19】 第7参考実施形態のハニカムパネルの更に別の形態を示す要部断面図である。
【図20】 第7参考実施形態のハニカムパネルの更に別の形態を示す要部断面図である。
【図21】 この発明の第1実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す要部断面図である。
【図22】 第1実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す断面斜視図である。
【図23】 この発明の第8参考実施形態のハニカムパネルの製造状態を示す要部断面図(a)及び製造後の状態を示す拡大断面図(b)である。
【図24】 第8参考実施形態のハニカムパネルの別の製造状態を示す要部断面図(a)及びその製造後の状態を示す拡大断面図(b)である。
【符号の説明】
1 表面板
2 枠材
3 コア材
4 パネル体
5 摩擦溶接
9 プローブ
10 クランプ(締結具)
20 枠材
23,23a,23b 凹溝(凹部)
23c 中空部(凹部)
24 枠材
30,30a,30b 接合部材
40 枠材
41,41a 係合凹部
42,42a 係合突部
50 枠材
51 凹溝
52 中子
60 枠材
61 当接突片
62 係合凹溝
63 接合突片
70 化粧部材
71 外向きフランジ部

Claims (7)

  1. 一対のアルミニウム製表面板と、これら表面板間に介在されるコア材と、上記表面板の辺部間に介在される枠材とを具備するパネル体を摩擦溶接にて接合してなるハニカムパネルであって、
    上記パネル体の接合部に位置する枠材の対向面に狭隘開口状の凹溝を形成し、両パネル体の凹溝内に連結用中子を摺動可能に嵌合し、上記表面板同士を摩擦溶接にて接合してなることを特徴とするハニカムパネル。
  2. 一対のアルミニウム製表面板と、これら表面板間に介在されるコア材と、上記表面板の辺部間に介在される枠材とを具備するパネル体を摩擦溶接にて接合してなるハニカムパネルであって、
    上記パネル体の接合部に位置する枠材の対向面に狭隘開口状の凹溝を形成し、両パネル体の凹溝内に連結用中子を摺動可能に嵌合し、上記枠材同士を摩擦溶接にて接合してなることを特徴とするハニカムパネル。
  3. 一対のアルミニウム製表面板と、これら表面板間に介在されるコア材と、上記表面板の辺部間に介在される枠材とを具備するパネル体を摩擦溶接にて接合してなるハニカムパネルであって、
    上記パネル体の接合部に位置する枠材の対向面に狭隘開口状の凹溝を形成し、両パネル体の凹溝内に連結用中子を摺動可能に嵌合し、上記表面板及び枠材を摩擦溶接にて接合してなることを特徴とするハニカムパネル。
  4. 請求項記載のハニカムパネルの製造方法において、
    上記凹溝内に連結用中子を嵌合して両パネル体の表面板同士を当接し、この状態で両表面板を摩擦溶接することを特徴とするハニカムパネルの製造方法。
  5. 請求項記載のハニカムパネルの製造方法において、
    上記凹溝内に連結用中子を嵌合して両パネル体の表面板同士を当接し、この状態で両表面板を摩擦溶接し、その後、上記中子を抜き取ることを特徴とするハニカムパネルの製造方法。
  6. 請求項記載のハニカムパネルの製造方法において、
    上記凹溝内に連結用中子を嵌合して両パネル体の枠材同士を当接し、この状態で両枠材を摩擦溶接することを特徴とするハニカムパネルの製造方法。
  7. 請求項記載のハニカムパネルの製造方法において、
    上記凹溝内に連結用中子を嵌合して両パネル体の枠材同士を当接し、この状態で両枠材を摩擦溶接し、その後、上記中子を抜き取ることを特徴とするハニカムパネルの製造方法。
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