JP3872153B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の排気系などに配置されて排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒に関し、詳しくは触媒活性の耐久性に優れた排ガス浄化用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
排ガス浄化用触媒(三元触媒)は、例えばコージェライト等の耐熱性セラミックスからなる担体基材と、この担体基材上に形成された活性アルミナ等からなる触媒担持層と、この触媒担持層に担持された白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の触媒貴金属と、から構成されている。この三元触媒は、内燃機関の排ガス中の炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)を酸化浄化し、窒素酸化物(NOx )を還元浄化する。
【0003】
触媒貴金属のうちPt及びPdは主としてCO及びHCの酸化浄化に寄与し、Rhは主としてNOx の還元浄化に寄与するとともに、RhにはPt又はPdのシンタリングを防止する作用がある。したがってPt又はPdとRhとを併用することにより、シンタリングによる活性点の減少により活性が低下するという不具合が抑制され、耐熱性が向上することがわかっている。したがって三元触媒では、Pt又はPdとRhとを併用することが望ましいことが知られている。
【0004】
また特開平4−334548号公報には、セリウムとジルコニウムを含む酸化物粉末をRhを含むコート層に添加する技術が開示されている。これによりRhのもつ触媒作用が向上し、排ガス浄化作用が向上するとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年のエンジン性能の向上と高速走行の増加に伴い、排ガス温度が著しく上昇している。そのため、使用時の排ガス浄化用触媒の温度も従来に比べてかなり上昇し、Rhを共存させてもPtのシンタリングを抑制することが困難となっている。
【0006】
本発明者らが鋭意研究した結果、このようになる原因は、高温時のリーン雰囲気においてRhがアルミナ中に固溶し、これにより活性が低下するとともにPtのシンタリングを抑制する作用も低下するためであることが明らかとなった。
また、特開平4−334548号公報に開示されたようにセリウムとRhとを共存させると、耐久後のHC及びNOx の浄化活性が低下することも明らかとなった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、Rhのアルミナへの固溶を抑制して耐久性を向上させることを主目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の排ガス浄化用触媒の特徴は、アルミナ及びジルコニアを含む多孔質体よりなる第1担体と第1担体に担持された第1触媒貴金属とよりなる第1触媒粉末と、多孔質体よりなる第2担体と第2担体に担持された第2触媒貴金属とよりなる第2触媒粉末と、からなり、第1触媒粉末と第2触媒粉末とが混合されてなる排ガス浄化用触媒であって、第1担体には共沈法により得られた沈殿を大気中で焼成することでアルミナとジルコニアが互いに固溶した固溶体を含み、第1触媒貴金属には少なくとも該固溶体に担持されたロジウムを含み、第2触媒貴金属には少なくともPtを含むことにある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の排ガス浄化用触媒では、少なくともRhを担持した第1触媒粉末と、少なくともPtを担持した第2粉末とが混合されている。したがってPtとRhとは分離担持されているものの、Ptのシンタリングを抑制するRhの作用が奏される範囲の近接状態となるので、第2触媒粉末のPtのシンタリングは充分に抑制される。
【0010】
第1触媒粉末及び第2触媒粉末の粒径は、平均二次粒径で200nm以下とすることが望ましい。粒径がこれより大きくなると、PtとRhの近接状態が崩れ、Ptのシンタリングを抑制するRhの作用が及ばなくなるため耐久性が低下する。
第1触媒粉末と第2触媒粉末との混合比率は、担持されているPtとRhの重量比がPt:Rh=100:1〜1:1の範囲で種々選択できる。Rhがこの範囲より多くなるとPtの優れた活性が得られないためにHC及びCOの浄化率が不十分となり、Rhがこの範囲より少なくなるとNOx 浄化率が不十分となるとともに、Ptのシンタリングが生じやすくなり耐久性が低下する。
【0011】
さらに本発明の排ガス浄化用触媒では、Rhはアルミナとジルコニアを含む第1担体に担持されている。アルミナとジルコニアとを共存させることにより、理由は不明であるがRhの担体への固溶が抑制されるという作用が奏されることが明らかとなり、これによってRhの活性の低下を抑制することができる。
したがって高温が作用しても、Rh自体の触媒活性の低下が抑制されるとともに、RhがPtのシンタリングを抑制する作用も維持され、耐久性が向上する。なおアルミナとしては、比表面積の大きなγ−アルミナやθ−アルミナを用いることができる。
【0012】
第1担体には、シリカ、チタニア、ジルコニア、シリカ−アルミナなどの多孔質体をさらに併用することができる。しかし、セリアはRhとの相性が悪くRhの触媒活性が低下するため、セリアは用いないことが望ましい。
第1担体においては、アルミナとジルコニアとは互いに固溶している。これによりRhの第1担体への固溶が一層抑制され、耐久性が一層向上する。このようにアルミナとジルコニアとの固溶体を形成するには、共沈法、アルコキシドを用いたゾル−ゲル法などが例示される。
【0013】
第1担体におけるアルミナとジルコニアの組成比は、重量比でアルミナ:ジルコニア=95:5〜60:40の範囲が望ましい。ジルコニアがこの範囲より少ないとRhの第1担体への固溶を抑制することが困難となり、ジルコニアがこの範囲より多くなると耐久後のアルミナの比表面積が確保できずRhのシンタリングが生じて耐久性が低下する。
【0014】
第1担体へのRhの担持量は、第1担体1リットル当たり0.1〜1gの範囲が好ましい。Rhが0.1g/Lより少ないと担持した効果が得られず、1g/Lより多く担持しても効果が飽和するとともにコストが著しく増大する。
第1担体に担持される第1触媒貴金属としては、Rh以外にPt、Pd、Irなどの触媒貴金属も用いることができる。特にPtを共存担持することにより、Ptのシンタリングを抑制するRhの作用が完全に奏されるため耐久性が一層向上する。
【0015】
第2担体としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、シリカ−アルミナ、セリアなどが用いられ、その材質には特に制限がないが、セリアを含むことが好ましい。セリアの酸素ストアレージ能により、排ガスのリッチ−リーンの雰囲気変動が緩和されるため、浄化性能が一層向上する。
また第2担体にセリアを含む場合、セリアとジルコニアとの複合酸化物(固溶体)として含むことが好ましい。これによりセリアの酸素ストアレージ能が一層向上するとともに、酸素ストアレージ能の安定性が一層高まる。
【0016】
第2担体に担持されるPtの担持量は、第2担体1リットル当たり0.1〜10gの範囲が好ましい。Ptが0.1g/Lより少ないと担持した効果が得られず活性が低下し、10g/Lより多く担持しても効果が飽和するとともにコストが著しく増大する。
また第2担体に担持される第2触媒貴金属としては、Ptに加えてRh、Pd、Irなども用いることができるが、第2担体にセリアを含む場合は、上記した理由によりRhは用いないことが望ましい。
【0017】
【実施例】
(参考例1)
図1に本参考例の触媒の構成説明図を示す。この触媒は、第1触媒粉末1と第2触媒粉末2とからなり、第1触媒粉末1は、アルミナとジルコニアよりなる第1担体10と、第1担体10に担持されたRh3及びPt4とから構成されている。また第2触媒粉末2は、Ce−Zr複合酸化物とγ−アルミナとからなる第2担体20と、第2担体20に担持されたPt4とから構成されている。また第1触媒粉末1と第2触媒粉末2は、重量比で75:135となるように混合されている。
【0018】
以下、この触媒の製造方法を説明し、構成の詳細な説明に代える。また表1に触媒の構成一覧表を示す。
<第1触媒粉末の調製>
所定量のγ−アルミナ粉末に所定濃度のオキシ硝酸ジルコニウム水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後650℃で2時間焼成して第1担体粉末を調製した。第1担体粉末中にはジルコニアが20重量%含まれている。
【0019】
次に、上記第1担体粉末に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後300℃で1時間焼成してRhを担持して第1触媒粉末を調製した。Rhの担持量は、第1触媒粉末中に0.4重量%である。
<第2触媒粉末及び参考例1の触媒の調製>
共沈法により作製されたCe−Zr複合酸化物粉末(重量比でCeO2 /ZrO2 =1)75重量部と、γ−アルミナ粉末60重量部とをよく混合し、第2担体粉末を調製した。次にこの第2担体粉末135重量部と、第1触媒粉末75重量部とをよく混合した。得られた混合粉末に、所定濃度のジニトロジアンミン白金水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後300℃で1時間焼成してPtを担持した。Ptは第1触媒粉末に担持されると同時に第2担体粉末にも担持されて第2触媒粉末が調製され、本参考例の触媒を得た。Ptは全体に0.71重量%担持され、Rhの担持量は触媒全体としては0.14重量%である。
【0020】
(参考例2)
<第1触媒粉末の調製>
所定量のγ−アルミナ粉末に所定濃度のオキシ硝酸ジルコニウム水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後650℃で2時間焼成して第1担体粉末を調製した。第1担体粉末中にはジルコニアが11重量%含まれている。
【0021】
次に、上記第1担体粉末に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後300℃で1時間焼成してRhを担持して第1触媒粉末を調製した。Rhの担持量は、第1触媒粉末中に0.22重量%である。
<第2触媒粉末及び参考例2の触媒の調製>
共沈法により作製されたCe−Zr複合酸化物粉末(重量比でCeO2 /ZrO2 =1)のみから第2担体粉末を調製した。次にこの第2担体粉末75重量部と、第1触媒粉末135重量部とをよく混合した。得られた混合粉末に、所定濃度のジニトロジアンミン白金水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後300℃で1時間焼成してPtを担持した。Ptは第1触媒粉末に担持されると同時に第2担体粉末にも担持されて第2触媒粉末が調製され、本参考例の触媒を得た。Ptは全体に0.71重量%担持され、Rhの担持量は触媒全体としては0.14重量%である。
【0022】
(参考例3)
<第2触媒粉末の調製>
γ−アルミナ粉末60重量部と、共沈法により作製されたCe−Zr複合酸化物粉末(重量比でCeO2 /ZrO2 =1)75重量部とをよく混合し、第2担体粉末を調製した。次にこの第2担体粉末に、所定濃度のジニトロジアンミン白金水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後300℃で1時間焼成してPtを担持して、第2触媒粉末を調製した。Ptの担持量は、第2触媒粉末中に0.14重量%である。
【0023】
<参考例3の触媒の調製>
参考例1と同様の第1触媒粉末75重量部と、上記第2触媒粉末135重量部とをよく混合して本参考例の触媒を得た。触媒全体としては、Ptは0.71重量%担持され、Rhは0.2重量%担持されている。
(実施例1)
<第1触媒粉末の調製>
共沈法により得られた沈殿を大気中で焼成し、Al−Zr複合酸化物(重量比でAl2 O3 /ZrO2 =4)を調製して第1担体粉末とした。
【0024】
次に、この第1担体粉末に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後300℃で1時間焼成してRhを担持して第1触媒粉末を調製した。Rhの担持量は、第1触媒粉末中に0.4重量%である。
<第2触媒粉末及び実施例1の触媒の調製>
共沈法により作製されたCe−Zr複合酸化物粉末(モル比でCe/Zr=1)75重量部と、γ−アルミナ粉末60重量部とをよく混合し、第2担体粉末を調製した。次にこの第2担体粉末135重量部と、第1触媒粉末75重量部とをよく混合した。得られた混合粉末に、所定濃度のジニトロジアンミン白金水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後300℃で1時間焼成してPtを担持した。Ptは第1触媒粉末に担持されると同時に第2担体粉末にも担持されて第2触媒粉末が調製され、本実施例の触媒を得た。Ptは全体に0.71重量%担持され、Rhの担持量は触媒全体としては0.14重量%である。
【0025】
(比較例1)
<第1触媒粉末の調製>
所定量のγ−アルミナ粉末に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後300℃で1時間焼成してRhを担持して第1触媒粉末を調製した。Rhの担持量は、第1触媒粉末中に0.5重量%である。
【0026】
<第2触媒粉末及び比較例1の触媒の調製>
共沈法により作製されたCe−Zr複合酸化物粉末(重量比でCeO2 /ZrO2 =1)75重量部と、γ−アルミナ粉末60重量部とをよく混合し、第2担体粉末を調製した。次にこの第2担体粉末135重量部と、第1触媒粉末60重量部とをよく混合した。得られた混合粉末に、所定濃度のジニトロジアンミン白金水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後300℃で1時間焼成してPtを担持した。Ptは第1触媒粉末に担持されると同時に第2担体粉末にも担持されて第2触媒粉末が調製され、本比較例の触媒を得た。Ptは全体に0.77重量%担持され、Rhの担持量は触媒全体としては0.15重量%である。
【0027】
(比較例2)
<第1触媒粉末の調製>
γ−アルミナ粉末60重量部と、共沈法により作製されたCe−Zr複合酸化物粉末(重量比でCeO2 /ZrO2 =1)75重量部とをよく混合し、この混合粉末に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後300℃で1時間焼成してRhを担持して第1触媒粉末を調製した。Rhの担持量は、第1触媒粉末中に0.22重量%である。
【0028】
<第2触媒粉末及び比較例2の触媒の調製>
γ−アルミナ粉末のみから第2担体粉末を調製した。次にこの第2担体粉末60重量部と、第1触媒粉末135重量部とをよく混合した。得られた混合粉末に、所定濃度のジニトロジアンミン白金水溶液の所定量を含浸させ、120℃で2時間乾燥後300℃で1時間焼成してPtを担持した。Ptは第1触媒粉末に担持されると同時に第2担体粉末にも担持されて第2触媒粉末が調製され、本比較例の触媒を得た。Ptは全体に0.77重量%担持され、Rhの担持量は触媒全体としては0.15重量%である。
【0029】
(試験・評価)
【0030】
【表1】
上記したそれぞれの触媒粉末をスラリー化し、コージェライト製のハニカム担体基材に定法によりコートし焼成してコート層を形成して、それぞれのハニカム触媒を調製した。
【0031】
得られたハニカム触媒を2Lのガソリンエンジンの排気系にそれぞれ装着し、入りガス温度860℃の条件で50時間運転する耐久試験を行った。その後、A/F=14.6、空間速度50,000h-1の条件におけるHC、CO、及びNOx の50%浄化温度をそれぞれ測定し、結果を図2に示す。
図2より、各参考例及び実施例1の触媒は比較例に比べて50%浄化温度がいずれも低く、耐久後の浄化活性に優れていることがわかり、これは、参考例及び実施例の触媒には第1触媒粉末の第1担体にジルコニアが含まれていることに起因していることが明らかである。
【0032】
また参考例1と実施例1との比較より、第1担体としては、単純酸化物どうしの混合よりもAl−Zr複合酸化物を用いた方が耐久性に優れていることが明らかである。
そして比較例1と比較例2との比較より、Ce−Zr複合酸化物は第2担体に用いてRhと分離するのが好ましいこともわかる。
【0034】
【発明の効果】
すなわち本発明の排ガス浄化用触媒によれば、Rhのアルミナへの固溶が抑制されるため、Rhにより触媒貴金属のシンタリングが抑制され、初期の高い活性を長く持続させることができ耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一参考例の触媒の概略構成説明図である。
【図2】参考例、実施例及び比較例の各触媒の50%浄化温度を示すグラフである。
Claims (2)
- アルミナ及びジルコニアを含む多孔質体よりなる第1担体と該第1担体に担持された第1触媒貴金属とよりなる第1触媒粉末と、多孔質体よりなる第2担体と該第2担体に担持された第2触媒貴金属とよりなる第2触媒粉末と、からなり、該第1触媒粉末と該第2触媒粉末とが混合されてなる排ガス浄化用触媒であって、
該第1担体には共沈法により得られた沈殿を大気中で焼成することでアルミナとジルコニアが互いに固溶した固溶体を含み、
該第1触媒貴金属には少なくとも該固溶体に担持されたロジウムを含み、
該第2触媒貴金属には少なくとも白金を含むことを特徴とする排ガス浄化用触媒。 - 前記第2担体はセリアとジルコニアの複合酸化物を含む請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
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