JP3871513B2 - 包装用緩衝材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装用の緩衝材に関するものであり、例えば空気調和機の室内機、トースター等の被梱包物の梱包に使用する包装用緩衝材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の包装用緩衝材の一例として空気調和機の室内機の包装用緩衝材の例について説明する。従来の技術の例として特開平9−118370号公報には、被梱包物のコーナー部や両端部に当てがって、包装箱に挿入することにより包装箱内の被梱包物の位置決めを行うとともに外部からの衝撃に対して緩衝効果を果たすものが開示されている。
【0003】
かかる従来の技術について図11から図14を用いて説明する。図11は従来の緩衝材を使用した包装形態の斜視図であり、図12は従来の緩衝材の斜視図であり、図13は従来の緩衝材の内側厚紙を示す展開図であり、図14は従来の緩衝材の外側厚紙を示す展開図である。
【0004】
図11において、1は空気調和機の室内機であり、室内の壁面に取り付けられるものである。この室内機1の両側に当てがわれる緩衝材180は、図13に示す内側厚紙181と図14に示す外側厚紙182を組み合わせることによって、被梱包物である室内機1の外径形状に沿った形状183に形成される。それによって、位置決めおよび固定が十分に行え、輸送中ならびに荷扱いの際のガタツキおよび衝撃による被梱包物の破損が防止できるというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種の衝撃材においては、被梱包物の外形形状に沿った形状に緩衝材を形成して緩衝材と被梱包物の間の隙間をなくし、被梱包物の位置決めおよび固定を行っているため、輸送中又は荷扱いの際に上面に荷重がかかると、被梱包物の表面が緩衝材と接触した状態で擦れ合うことがあり、被梱包物の表面に傷が入ることがあった。
【0006】
また、被梱包物の外径形状に沿った形状に緩衝材を形成するために、緩衝材を形成する部材の切り込み形状及び折り目形状を非常に複雑な形状に構成する必要があり、加工が容易ではなかった。
【0007】
一方、被梱包物の外径形状に沿った形状に緩衝材を形成せず、箱状態の厚紙を組み合わせたのみの形状であった場合は、上記の問題は解決されるのであるが、従来の例の構成と比較すると強度が不足し、緩衝材として十分な緩衝作用を発揮するためには、厚紙の厚みを厚くして強度を確保する等の別途の手段を講じる必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、被梱包物の表面全体が緩衝材と接触した状態になることで擦れ合って傷が入ることがないのみならず、緩衝材の強度を低下させることなく、容易な加工にて緩衝材を形成することが可能な包装用緩衝材を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、本発明は、厚紙によって形成され、被包装物を挿入するための開口部を有する箱状の包装用緩衝材において、前記開口部と相対する位置に配置される底部を、前記開口部の周囲を形成する側部の前記開口部側と相対する側の端部よりも開口部側に設けた包装用緩衝材であって、前記包装用緩衝材は、開口部を有する箱状に形成した一枚の厚紙からなる内側厚紙と、筒状に形成した一枚の厚紙からなる外側厚紙とからなり、前記内側厚紙を前記外側厚紙に挿入して形成するものであり、前記外側厚紙の内周に断面コ字状の段部を形成し、前記外側厚紙に前記内側厚紙を挿入したときに前記内側厚紙に設けられた前記底部が前記段部に当接することにより前記底部を前記端部よりも前記開口部側に設けた構成としている。
【0012】
そして、本発明は、被包装物を挿入するための開口部を有する箱状に形成された1枚の厚紙からなる内側厚紙と、前記内側厚紙の底部に設けられた係止孔と、前記内側厚紙を挿入可能な筒状に形成された1枚の厚紙からなる外側厚紙と、前記外側厚紙の内周に設けられ前記外側厚紙に前記内側厚紙を挿入したときに前記底部が当接する当接部と、前記外側厚紙の被包装物側の端部に設けられた係止部と、を備え、前記内側厚紙を前記外側厚紙に挿入し、前記当接部に前記底部を当接させて前記内側厚紙の挿入位置を位置決めし、前記係止部を前記係止孔に挿入することによって前記内側厚紙を固定する構成としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態にかかる包装用緩衝材について、図1から図5とともに説明する。図1は本発明に係る包装用緩衝材を用いて空気調和機の室内機1(以下、室内機1として記載する)を包装する場合の斜視図である。
【0016】
図1において、被包装物である室内機1は、ルーバーやフロントパネルといった可動部が動かないようにテープ7で固定した後、その外周に室内機1の表面に傷がつくのを防止する為のポリ袋5が被せられる。そして、室内機1の一端が第1の緩衝材3の開口部に挿入され、次に、他端が第2の緩衝材4の開口部に挿入され、室内機1の両端に緩衝材が装着される。その後、附属部品6が室内機1の上面にテープで貼りつけて固定され、この状態で、外箱2に挿入される。このとき、第1の緩衝材及び第2の緩衝材は外箱2に当接され室内機1は外箱2内の所定の位置に固定される。
【0017】
外箱2の具体例としては、図1(b)に示すように、上面に設けられた開口と、前記開口の周囲に形成されて前記開口を覆うことが可能な封鎖部を有する箱体を用いることができる。また、外箱2のその他の例としては、前記第1の緩衝材及び前記第2の緩衝材の側部の形状を僅かに拡大した形状の空洞を有する筒状に形成したものとすることができる。このときは、室内機1の両端取付けた緩衝材を該空洞に挿入した後、室内機1等が該空洞から容易に抜け出ることを防止するためにテープなどの固定手段によって固定するものである。
【0018】
第1の緩衝材の構成について説明する。図2(a)は、第1の緩衝材を、被包装材である室内機1を配置する側とは相対する側(以下、底側と称する)から見たときの斜視図である。また図2(b)は、第1の緩衝材を、被包装材である室内機1を配置する側(以下、被包装物側と称する)から見たときの斜視図である。
【0019】
第1の緩衝材は、図3に示すように、開口部を有する箱状に形成した内側厚紙10と、筒状に形成した外側厚紙11とを組み合わせて形成されている。
【0020】
この内側厚紙10及び外側厚紙11は、段ボール等の折り曲げ可能な厚紙をトムソン抜きなどの打ち抜き手段によって所定の形状に打ち抜いた後、折り曲げ加工を施すことによって形成する。ここで、トムソン抜きとは段ボール等の厚紙を打ち抜く手段としては公知であるため説明は省略する。
【0021】
内側厚紙10の打ち抜き形状について説明する。図4は内側厚紙10の展開図である。図4において、破線は折り曲げを容易にする加工を施した罫線であり、実線は切断線を示している。
【0022】
内側厚紙10の打ち抜き形状は、外周を略長方形状とし、外周の四辺から略同一の距離だけ離間した四辺を有する長方形状に罫線20、21、22、23を設ける。なお、前記罫線のうち図中の符号20、21は長方形の短辺であり、符号22、23は長方形の長辺に該当するものである。
【0023】
そして、前記罫線の短辺20、21の延長線上には所定の幅を有した切り込み部100、101、102、103を設ける。該切り込み部は、短辺20、21と長辺22、23とが交差する頂点よりも内側厚紙の厚み分だけ短辺の一部を含めるように切りこんでいる。
【0024】
また、前記長辺22、23に平行に、前記切り込みの端部から外周に向けて罫線16、17、18、19を設ける。それによって、対向する罫線に挟まれている部分である内側厚紙の側部C、Dと(図4では罫線16と罫線17に挟まれている部分及び罫線18と罫線19に挟まれている部分)、該罫線16、17、18、19の前記切り込みを有する側の組み立てたときに内側に折りこまれる部分(以下、内側厚紙の折り込み部と称する)とに分けられる。
【0025】
内側厚紙の折り込み部のうち、被包装物を挿入したときに下部に配置される個所に折りこまれる折り込み部には、被包装物の自重が加わる部分となるため、厚紙を二重に折り込むクッション部A、Bが形成される。
【0026】
クッション部A、Bは、内側厚紙の折り込み部の隣り合う2つがクッション部となる。該クッション部Aは、罫線16と、罫線16に対向する内側厚紙の外周と、切り込み部170と、該切り込み部170と対向する内側厚紙の外周とによって囲まれている。また該クッション部Aは、罫線16と、罫線16に対向する内側厚紙の外周との略中間に、内側厚紙の厚みの2倍程度の幅を有して離間した罫線12、13を設けている。さらに、罫線12と罫線13を二重に折り曲げるときに折り曲げやすくするために、切り込み部174が配置される。クッション部Bは、クッション部Aと同様の形状に形成される。
【0027】
そして、前記罫線より内側でかつ前記短辺と平行に長方形状の係止孔55、56を設ける。該係止孔55、56は後述する外側厚紙に設けられる係止部を挿入可能とするため、外側厚紙の厚みよりも僅かに大きな幅を有するものとする。
【0028】
次に、上記の形状に打ち抜いた内側厚紙を折り込み形成する工程について説明する。まず、クッション部Aの罫線12、13と、クッション部Bの罫線14,15を山折し、コの字状にする。更に、罫線16、17と、罫線18,19を谷折して、更に、罫線20、21を谷折し内側に曲げる。更に、段ボール紙の罫線22、23を谷折すると、内側厚紙10が完成される。この完成した内側厚紙を開口部側から見た斜視図が図3(a)である。完成された内側厚紙10は、被包装物が挿入される開口部75と、該開口部75と相対する側の面である底部76と、側面を形成する側部177a、177b、177c、177dと、クッション部A、Bとに形成される。
【0029】
次に、外側厚紙11の打ち抜き形状について説明する。図5は外側厚紙11の展開図である。図5において、破線は折り曲げを容易にする加工を施した罫線であり、実線は切断線を示している。
【0030】
外側厚紙11の打ち抜き形状は、前記した内側厚紙の側部177a、177b、177c、177dよりも四辺とも大きい長方形の外側厚紙の側部178a、178b、178c、178dが罫線によって分け隔てられて連接している。また、178aと178cは同一形状であり、178bと178dは同一形状である。更に、側部178dの側部178cの配置側の辺と対向する辺には糊しろ26を設けている。
【0031】
側部178aの周囲の構成について説明する。
【0032】
側部178aの、側部178bが配置側される辺と隣り合う辺には罫線36、49が設けられて側部178aは区切られている。罫線36の側部178aの配置側と相対する側には、第1の折り曲げ片Iが備えられる。第1の折り曲げ片Iには罫線39と罫線40が設けらる。第1の折り曲げ片Iは、罫線39及び罫線40を略直角に折り曲げることにより、コ字状に形成され、該第1の折り曲げ片Iの側部178aの配置側とは相対する側の端辺は、コ字状に折り曲げたときに側部178aに当接されるものである。
【0033】
また、罫線49の側部178aの配置側と相対する側には第2の折り曲げ片Nが備えられる。第2の折り曲げ片Nには、罫線50が設けられ、罫線50を略直角に折り曲げたときは、第2の折り曲げ片NはL字状になる。さらに、第2の折り曲げ片Nの側部178aの配置側と相対する側の端部には、内側厚紙と外側厚紙を組み合わせたときに内側厚紙の係止孔に挿入される係止部53が設けられている。
【0034】
次に、側部178bの周囲の構成について説明する。
【0035】
側部178bの、側部178cが配置側される辺と隣り合う辺には罫線32、45が設けられて側部178bは区切られている。罫線32の側部178bの配置側と相対する側には、第3の折り曲げ片Gが備えられる。第3の折り曲げ片Gには罫線30と罫線31が設けられ、罫線30及び罫線31を略直角に折り曲げることにより、コ字状に形成され、該第3の折り曲げ片Gの側部178bの配置側とは相対する側の端辺は、コ字状に折り曲げたときに側部178bに当接されるものである。
【0036】
また、罫線45の側部178bの配置側と相対する側には第4の折り曲げ片Lが備えられる。第4の折り曲げ片Lには、罫線46が設けられ、罫線46を略直角に折り曲げたときは、第4の折り曲げ片LはL字状になる。
【0037】
そして、側部178cの周囲の構成について説明する。
【0038】
側部178cの、側部178dが配置側される辺と隣り合う辺には罫線41、51が設けられて側部178cは区切られている。罫線41の側部178cの配置側と相対する側には、第5の折り曲げ片Jが備えられる。第5の折り曲げ片Jには罫線43と罫線44が設けられている。第5の折り曲げ片Jは、罫線43及び罫線44を略直角に折り曲げることにより、コ字状に形成され、該第5の折り曲げ片Jの側部178cの配置側とは相対する側の端辺は、コ字状に折り曲げたときに側部178cに当接されるものである。
【0039】
また、罫線51の側部178cの配置側と相対する側には第6の折り曲げ片Oが備えられる。第6の折り曲げ片Oには、罫線52が設けられ、罫線52を略直角に折り曲げたときは、第6の折り曲げ片OはL字状になる。さらに、第6の折り曲げ片Oの側部178cの配置側と相対する側の端部には、内側厚紙と外側厚紙を組み合わせたときに内側厚紙の係止孔に挿入される係止部54が設けられている。
【0040】
更に、側部178dの周囲の構成について説明する。
【0041】
側部178dの、側部178dが配置側される辺と隣り合う辺には罫線35、47が設けられて側部178dは区切られている。罫線35の側部178dの配置側と相対する側には、第7の折り曲げ片Hが備えられる。第7の折り曲げ片Hには罫線33と罫線34が設けられ、罫線33及び罫線34を略直角に折り曲げることにより、コ字状に形成され、該第7の折り曲げ片Hの側部178dの配置側とは相対する側の端辺は、コ字状に折り曲げたときに側部178dに当接されるものである。
【0042】
また、罫線47の側部178dの配置側と相対する側には第8の折り曲げ片Mが備えられる。第8の折り曲げ片Mには、罫線48が設けられ、罫線48を略直角に折り曲げたときは、第8の折り曲げ片MはL字状になる。
【0043】
そして、第1の折り曲げ片Iの罫線36と罫線39とに挟まれる面の、罫線39側の両端は、略円弧状に切り欠いた形状をしている。かかる形状は、外側厚紙を組み立てたときに、隣り合う折り曲げ片となる第3の折り曲げ片G及び第7の折り曲げ片Hの構成部材と干渉しないようにするためである。
【0044】
さらに、第5の折り曲げ片Jの罫線41と罫線43とに挟まれる面の、罫線43側の両端は、略円弧状に切り欠いた形状をしている。かかる形状は、外側厚紙を組み立てたときに、隣り合う折り曲げ片となる第3の折り曲げ片G及び第7の折り曲げ片Hの構成部材と干渉しないようにするためである。
【0045】
また、第1の折り曲げ片Iの罫線40の側部178aの配置される側とは相対する側の面は、罫線39と罫線40とによって挟まれている面よりも両端が張り出した形状をしており、その張り出し部は罫線37、38により折り曲げ可能に形成されている。
【0046】
そして、第5の折り曲げ片Jの罫線44の側部178cの配置される側とは相対する側の面は、罫線42aと罫線42bとによって挟まれている面よりも両端が張り出した形状をしており、その張り出し部は罫線37、38により折り曲げ可能に形成されている。
【0047】
上記のような、形状に打ち抜かれた外側厚紙11を折り込み形成する工程について説明する。
【0048】
糊しろ26に接着剤を塗布した後、罫線27、28、29を略直角に山折りして側部178a,178b,178c,178dの各部を周面とする筒状にし、側部178aの側部178bが配置される側と相対する側の端部に前記糊しろ26を接着させる。それによって、側部178a,178b,178c,178dは筒状に固定される。
【0049】
そして、第3の折り曲げ片Gの罫線30,31、32及び第7の折り曲げ片Hの罫線33,34,35を略直角状に山折しコ字状にする。そして、罫線36を山折して第1の折り曲げ片Iを略直角に折り曲げ、更に、罫線37、38を谷折して、第3の折り曲げ片Gと第7の折り曲げ片Hとの間を通りやすい形状にする。そして、第1の折り曲げ片Iの罫線39、40を山折したときに、前記通りやすい形状にした部分を、第3の折り曲げ片Gと第7の折り曲げ片Hとの間に通し他後、第3の折り曲げ片Gと第7の折り曲げ片Hとの間に差し込んで段部190を形成する。
【0050】
第5の折り曲げ片Jは、第1の折り曲げ片Iと同じように折り曲げ加工する。
【0051】
外側厚紙が以上のように加工された状態で、既に折り曲げて形成された内側厚紙10の底部を外側厚紙11の筒状の被包装物側の開口に挿入し前記段部190に当接させる。次に、第4の折り曲げ片Lと第8の折り曲げ片Mとを内側厚紙の開口部に向けて折り曲げ、さらに、第2の折り曲げ片Nと第6の折り曲げ片Oとを内側厚紙の開口部に向けて折り曲げて、前記係止部52、53を前記係止孔55、56に挿入させて固定する。
【0052】
以上のようにして本発明の第1の実施の形態に係る第1の緩衝材は構成される。また、第2の緩衝材の構成は第1の緩衝材の構成と同様であるので説明は省略する。
【0053】
次に、第2の実施の形態にかかる包装用緩衝材について図6から図10とともに説明する。
【0054】
第2の実施の形態にかかる第1の緩衝材について説明する。図7(a)は、第1の緩衝材を、被包装材である室内機1を配置する側とは相対する側(以下、底側と称する)から見たときの斜視図である。また図7(b)は、第1の緩衝材を、被包装材である室内機1を配置する側から見たときの斜視図である。
【0055】
第1の緩衝材は、図8に示すように、開口部を有する箱状に形成した内側厚紙70と、筒状に形成した外側厚紙71とを組み合わせて形成されている。
【0056】
この内側厚紙70及び外側厚紙71は、段ボール等の折り曲げ可能な厚紙をトムソン抜きなどの打ち抜き手段によって所定の形状に打ち抜いた後、折り曲げ加工を施すことによって形成する。ここで、トムソン抜きとは段ボール等の厚紙を打ち抜く手段としては公知であるため説明は省略する。
【0057】
内側厚紙70の打ち抜き形状について説明する。図9は内側厚紙70の展開図である。図9において、破線は折り曲げを容易にする加工を施した罫線であり、実線は切断線を示している。
【0058】
内側厚紙70の打ち抜き形状は、外周を略長方形状とし、外周の四辺の三辺を外周から略同一の距離だけ離間した位置に罫線76、77、78を設ける。該罫線76、77、78のうち、罫線76と罫線77は対向しており、罫線78は罫線76及び罫線77の双方に略直角に形成されている。
【0059】
また、罫線76及び罫線77の一端は、外周部まで延設され、他端は罫線78の延長線と交差すべき位置よりも厚紙の厚みの分だけ一端側の位置まで設けられている。
【0060】
そして、罫線76の他端から、罫線76を延長する方向には、厚紙の厚みより多少大きい幅を有する切り込み部200が設けられており、同様に、罫線77の他端から、罫線77を延長する方向には、厚紙の厚みより多少大きい幅を有する切り込み部201が設けられている。
【0061】
さらに、罫線76の罫線77側には罫線76と平行に係止孔117が設けられ、更には、罫線77の罫線76側には罫線77と平行に係止孔116が設けられている。罫線78は罫線76及び罫線77の双方に略直角に形成されている。
【0062】
また、罫線76の端部からは罫線78と平行であってかつ罫線77の配置方向とは相対する方向に罫線72が設けられている。これにより、罫線72の第9の折り曲げ片Aの配置側と相対する側の第13の折り曲げ片Vを折り曲げることが可能となる。
【0063】
同様に罫線77の端部からは罫線78と平行であってかつ罫線76の配置方向とは相対する方向に罫線74が設けられている。これにより、罫線74の第10の折り曲げ片Bの配置側と相対する側の第14の折り曲げ片Wを折り曲げることが可能となる。
【0064】
そして、罫線76と罫線72と外周部によって囲繞される第9の折り曲げ片Aの罫線72の配置される端部とは相対する端部から、罫線76の罫線77の配置される側と相対する側に所定の距離だけ切り込み部203が設けられる。該切り込み部203は特に厚みを必要しないが、後述する外側厚紙の所定位置の長さと略同一でなければならない。
【0065】
さらに、該切り込み部203の罫線72側の端部から罫線78と平行に罫線73を形成する。これにより第11の折り曲げ片Xを罫線72側に折り曲げることが可能である。
【0066】
また、罫線77と罫線74と外周部によって囲繞される第10の折り曲げ片Bの罫線74の配置される端部とは相対する端部から、罫線77の罫線76の配置される側と相対する側に所定の距離だけ切り込み部204が設けられる。該切り込み部204も特に厚みを必要しないが、後述する外側厚紙の所定位置の長さと略同一である必要がある。
【0067】
そして、該切り込み部203の罫線74側の端部から罫線78と平行に罫線75を形成する。これにより第12の折り曲げ片Yを罫線72側に折り曲げることが可能である。
【0068】
以上のような形状に、第2の実施の形態に係る内側厚紙70は形成される。
【0069】
そして、内側厚紙70は、罫線73,72を略直角に谷折することによって、第11の折り曲げ片Xと第13の折り曲げ片Vを折り曲げてコの字状にし、更に、罫線74,75を略直角に谷折し、第12の折り曲げ片Yと第14の折り曲げ片Wを折り曲げて側部をコの字状に形成する。
【0070】
次に、罫線76、77を略直角に谷折し、更に、罫線78を略直角に谷折して内側に曲げると、内側厚紙70が組み立てられる。
【0071】
次に、外側厚紙71の打ち抜き形状について説明する。図10は外側厚紙71の展開図である。図10において、破線は折り曲げを容易にする加工を施した罫線であり、実線は切断線を示している。
【0072】
外側厚紙71の打ち抜き形状は、前記した内側厚紙の側部となる第9の折り曲げ片Aよりも各辺が長い長方形状の外側厚紙の側部D1と、前記外側厚紙の側部D1と罫線80を介して連接され外側厚紙の側部の一面を形成する長方形状のD2と、前記D2と罫線81を介して連接され第10の折り曲げ片Bよりも各辺が長い長方形状の外側厚紙の側部D3と、前記外側厚紙の側部D3と罫線82を介して連接され外側厚紙の側部の一面を形成する長方形状の外側厚紙の側部D4とを有する。ここで、外側厚紙の側部D1と外側厚紙の側部D3の形状は略同一であり、外側厚紙の側部D2と外側厚紙の側部D4の形状は略同一である。
【0073】
前記外側厚紙の側部D1の罫線80と隣り合う辺には罫線89、109が設けられる。さらに、罫線89の外側厚紙の側部が配置される側とは相対する側には第15の折り曲げ片Pが設けられている。
【0074】
第15の折り曲げ片Pには、罫線89と平行に、罫線89に近い方から順に罫線94、93、92を設け、3箇所で折り曲げ可能としている。罫線89と罫線94との間の面は、その罫線94が配置される側の辺の両端が略円弧状に形成されている。また、罫線94と罫線93との間の面の罫線93と隣合う両端は罫線80と平行である。
【0075】
そして、第15の折り曲げ片Pの外側厚紙の側部D1の配置側の端部と相対する側の端部と罫線93との間の面の、罫線93と隣り合う両端には、前記罫線94と罫線93との間の面より張り出した形状の張り出し部が設けられており、該張り出し部を折り曲げるために、前記前記罫線94と罫線93との間の面の罫線93と隣り合う一端よりも、所定の長さだけ他端側に罫線91及び罫線94を設けている。
【0076】
また、罫線109の外側厚紙の側部D1の配置側と相対する側には、第16の折り曲げ片Qが配置される。第16の折り曲げ片Qは、罫線109と平行に罫線110が設けられ、罫線110を略直角に折り曲げたときはL字状に折り曲げられるものである。また、第16の折り曲げ片Qは罫線109の配置される端部と相対する端部に係止部114が設けられている。第16の折り曲げ片Qの、罫線110の外側厚紙の側部D1の配置側と相対する側の、罫線80の配置側の端辺300は、罫線80に対して所定の距離を有して配置され、係る部分が折り曲げ形成したときに室内機1以外の附属品等64が挿入される部分である収納部303を形成することになる。
【0077】
次に、前記外側厚紙の側部D2の罫線81と隣り合う辺には罫線85、103が設けられる。さらに、罫線85の外側厚紙の側部が配置される側とは相対する側には第17の折り曲げ片Rが設けられている。第17の折り曲げ片Rには、罫線85と平行に罫線84、83が設けられており、前記罫線84、83を略直角に折り曲げることによってコ字状となる。
【0078】
また、前記外側厚紙の側部D2の罫線103の外側厚紙の側部が配置される側とは相対する側には第18の折り曲げ片Sが設けられている。
【0079】
第18の折り曲げ片Sには、罫線103とは平行に罫線103に近い方から順に罫線104、107、108が設けられ、前記端辺300等に沿うように折り曲げられることになる。
【0080】
そして、前記外側厚紙の側部D3の罫線82と隣り合う辺には罫線95、111が設けられる。さらに、罫線95の外側厚紙の側部が配置される側とは相対する側には第19の折り曲げ片Tが設けられている。
【0081】
第19の折り曲げ片Tには、罫線95と平行に、罫線95に近い方から順に罫線100、99、98を設け、3箇所で折り曲げ可能としている。罫線95と罫線100との間の面は、その罫線100が配置される側の辺の両端が略円弧状に形成されている。また、罫線100と罫線99との間の面の罫線99と隣合う両端は罫線82と平行である。
【0082】
そして、第19の折り曲げ片Tの外側厚紙の側部D3の配置側の端部と相対する側の端部と罫線98との間の面の、罫線98と隣り合う両端には、前記罫線98と罫線99との間の面より張り出した形状の張り出し部が設けられており、該張り出し部を折り曲げるために、前記前記罫線99と罫線98との間の面の罫線98と隣り合う一端よりも、所定の長さだけ他端側に罫線97及び罫線96を設けている。
【0083】
また、罫線111の外側厚紙の側部D3の配置側と相対する側には、第20の折り曲げ片Uが配置される。第20の折り曲げ片Uは、罫線111と平行に罫線112が設けられ、罫線111を略直角に折り曲げたときはL字状に折り曲げられるものである。また、第20の折り曲げ片Uは罫線111の配置される端部と相対する端部に係止部115が設けられている。第20の折り曲げ片Uの、罫線111の外側厚紙の側部D3の配置側と相対する側の、罫線81の配置側の端辺301は、罫線81に対して所定の距離を有して配置され、係る部分が折り曲げ形成したときに室内機1以外の付属品等を収納するための収納材が挿入される部分を形成することになる。該端辺301と罫線81との距離は前記端辺300と罫線80との距離と略同一に形成されるものである。
【0084】
そして、前記外側厚紙の側部D4の罫線82と隣り合う辺には罫線88、101が設けられる。さらに、罫線82の外側厚紙の側部が配置される側とは相対する側には第21の折り曲げ片αが設けられている。第21の折り曲げ片αには、罫線88と平行に罫線87、86が設けられており、前記罫線87、86を略直角に折り曲げることによってコ字状となる。
【0085】
また、前記外側厚紙の側部D2の罫線101の外側厚紙の側部が配置される側とは相対する側には第22の折り曲げ片βが設けられている。
【0086】
第22の折り曲げ片βには、罫線101とは平行に罫線102が設けらている。そして、外側厚紙の側部D4の罫線82の配置される端部とは相対する端部には糊しろ79が設けられる。
【0087】
以上のような形状に打ち抜かれた外側厚紙71の折り込み形成する工程について説明する。
【0088】
糊しろ79に接着材を塗布した後、罫線80、81、82を略直角に山折して、外側厚紙の側部D1、D2、D3、D4の各部を周面とする筒状にし、外側厚紙の側部D1の罫線80の配置される面とは相対する端面に糊しろ79を貼り合せて接合する。それによって、外側厚紙の側部は筒状に固定される。
【0089】
そして、第17の折り曲げ片Rの罫線83,84、85と、第21の折り曲げ片αの罫線86、87、88を略直角に山折してコ字状にする。更に、第15の折り曲げ片Pの罫線89を略直角に山折りして第15の折り曲げ片Pを折り曲げ更に、罫線90、91を略直角に谷折して、第17の折り曲げ片Rと第21の折り曲げ片αとの間を通りやすくする。そして、第15の折り曲げ片Pの罫線93と罫線94を山折りした時に、谷折りして通りやすくした個所を第17の折り曲げ片Rと第21の折り曲げ片αとの間を通し、更に、前記谷折りして通りやすくした個所を、第17の折り曲げ片Rと第21の折り曲げ片αとの間に差し込んで段部290を形成する。
【0090】
そして、第19の折り曲げ片Tも、第15の折り曲げ片Pと同じように折り曲げ加工する。以上のように加工された状態で、既に折り曲げて形成された内側厚紙70の底部を、外側厚紙11の被包装物側の筒状の開口に挿入して前記段部290に当接させる。
【0091】
その後、第22の折り曲げ片βの罫線101、102を略直角に折り曲げて、第22の折り曲げ片βの罫線102の罫線101の配置側と相対する側の面を、内側厚紙70の開口部に挿入し、内側厚紙70の側部と平行になるようにする。
【0092】
そして、第16の折り曲げ片Qの罫線109、110を略直角に折り曲げて、第16の折り曲げ片Qの罫線110の罫線109の配置側と相対する側の面を、内側厚紙70の開口部に挿入し、内側厚紙70の側部と平行になるようにした後、係止片114を係止孔117に挿入し固定する。
【0093】
また、第20の折り曲げ片Uの罫線111、112を略直角に折り曲げて、第20の折り曲げ片Uの罫線112の罫線101の配置側と相対する側の面を、内側厚紙70の開口部に挿入し、内側厚紙70の側部と平行になるようにした後、係止片115を係止孔116に挿入し固定する。
【0094】
さらに、第18の折り曲げ片Sの罫線104、107、108折り曲げて、第16の折り曲げ片Qと第20の折り曲げ片Uとの形状に沿うようにし、罫線105、106を折り曲げ、それにより折り曲げれられた個所に糊付けし、内側厚紙70の側部に張りつけて固定する。
【0095】
上記のようにして第2の実施形態における第1の緩衝材は組立られる。なお、第2の緩衝材は構成及び組立工程ともに第1の緩衝材と同様であるため説明は省略する。
【0096】
組み立てられた第1の緩衝材の開口部には、室内機1の一端が挿入され、だい2の緩衝材の開口部には、室内機1の他端が挿入される。そして、収納部303に板状の附属品等64を挿入し、その後、外箱60に挿入する。外箱60には、第1の実施の形態で説明したものと同様のものを使用することが出来る。
【0097】
上記のようにして組み立てられた第2の実施の形態の緩衝材62、63は、第1の実施の形態で示した緩衝材3、4とは、附属品等の室内機1以外の収納すべきものを一方向から挿入して収納可能な収納部303を有する点で異なっている。
【0098】
図6(a)に示すように、完成された第1の緩衝材62の開口部には、室内機1の一端が挿入され、前記第2の緩衝材63の開口部には、室内機1の他端が挿入される。そして、収納部303には附属品等64が収納される。このとき収納部303は附属品等64を一方向から挿入するだけで収納することができるため容易に挿入することができ、別途に緩衝材を設けることなく室内機1と附属品等64とを一対の緩衝材で衝撃を和らげつつ一度に包装することが可能である。
【0099】
またさらに、外箱60の開口部と収納部303の設置方向を同一とした場合は、収納部303に室内機1を挿入した後に、附属品等64を収納部に収納することが出来る。このように構成した場合は、第1の実施の形態のように室内機1に附属品等64がテープなどの固定手段によって固定されている場合と比べて、安定して附属品等64を包装可能であるのみならず、外箱60を明けたときに、まず附属品64を取り出し、その後に室内機1を取り出すことができるため、附属品等64を容易に取り出すことが可能である。
【0101】
【発明の効果】
本発明は、被包装物を挿入するための開口部と相対する位置に配置される底部を、前記開口部の周囲を形成する側部の前記開口部側と相対する側の端部よりも開口部側に設ける構成であるから、側部に荷重がかかったときに、該底部にかかるモーメントが小さくなることから、特に他の補強を備えることなく強度を強くすることができる。
【0102】
更に、本発明は、開口部を有する箱状に形成した1枚の厚紙からなる内側厚紙と、筒状に形成した1枚の厚紙からなる外側厚紙とからなり、前記内側厚紙を前記外側厚紙に挿入して形成する構成であるから、簡単な形状に内側厚紙及び外側厚紙を切りぬけばよいため、従来例に示した構成のように複雑な形状の切り抜きを必要とせず、加工性を良好にすることができる。
【0103】
また更に、本発明は、被包装物を挿入するための開口部を有する箱状に形成された1枚の厚紙からなる内側厚紙と、前記内側厚紙の底部に設けられた係止孔と、前記内側厚紙を挿入可能な筒状に形成された1枚の厚紙からなる外側厚紙と、前記外側厚紙の内周に設けられ前記外側厚紙に前記内側厚紙を挿入したときに前記底部が当接する当接部と、前記外側厚紙の被包装物側の端部に設けられた係止部と、を備え、前記内側厚紙を前記外側厚紙に挿入し、前記当接部に前記底部を当接させて前記内側厚紙の挿入位置を位置決めし、前記係止部を前記係止孔に挿入することによって前記内側厚紙を固定する構成であるから、容易な構成で、被包装物を挿入するための開口部と相対する位置に配置される底部を、前記開口部の周囲を形成する側部の前記開口部側と相対する側の端部よりも開口部側に設けることができるとともに、側部に荷重がかかったときに、該底部にかかるモーメントが小さくなることから、特に他の補強を備えることなく強度を強くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る緩衝材を使用して室内機を包装するときの概略斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の緩衝材の概略斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の緩衝材の加工組立時の概略斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の緩衝材の内側厚紙の展開図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の緩衝材の外側厚紙の展開図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る緩衝材を使用して室内機を包装するときの概略斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の緩衝材の概略斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の緩衝材の加工組立時の概略斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の緩衝材の内側厚紙の展開図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の緩衝材の外側厚紙の展開図である。
【図11】従来の包装用緩衝材を使用して室内機を包装するときの概略斜視図である。
【図12】従来の包装用緩衝材を示す概略斜視図である。
【図13】従来の包装用緩衝材を示す展開図である。
【図14】従来の包装用緩衝材を示す展開図である。
【符号の説明】
1 室内機 (被梱包体)
2 外箱
3 第1の緩衝材
4 第2の緩衝材
5 ポリ袋
6 附属品等
177a、177b、177c、177d 内側厚紙の側部
178a、178b、178c、178d 外側厚紙の側部
Claims (2)
- 厚紙によって形成され、被包装物を挿入するための開口部を有する箱状の包装用緩衝材において、
前記開口部と相対する位置に配置される底部を、前記開口部の周囲を形成する側部の前記開口部側と相対する側の端部よりも開口部側に設けた包装用緩衝材であって、
前記包装用緩衝材は、開口部を有する箱状に形成した一枚の厚紙からなる内側厚紙と、筒状に形成した一枚の厚紙からなる外側厚紙とからなり、前記内側厚紙を前記外側厚紙に挿入して形成するものであり、
前記外側厚紙の内周に断面コ字状の段部を形成し、前記外側厚紙に前記内側厚紙を挿入したときに前記内側厚紙に設けられた前記底部が前記段部に当接することにより前記底部を前記端部よりも前記開口部側に設けたことを特徴とする包装用緩衝材。 - 被包装物を挿入するための開口部を有する箱状に形成された一枚の厚紙からなる内側厚紙と、
前記内側厚紙の底部に設けられた係止孔と、
前記内側厚紙を挿入可能な筒状に形成された一枚の厚紙からなる外側厚紙と、
前記外側厚紙の内周に設けられ前記外側厚紙に前記内側厚紙を挿入したときに前記底部が当接する当接部と、
前記外側厚紙の被包装物側の端部に設けられた係止部と、
を備え前記内側厚紙を前記外側厚紙に挿入し、前記当接部に前記底部を当接させて前記内側厚紙の挿入位置を位置決めし、前記係止部を前記係止孔に挿入することによって前記内側厚紙を固定することを特徴とする包装用緩衝材。
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