JP3869192B2 - 転がり摺動部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり摺動部品に関する。この転がり摺動部品としては、例えばエンジンの動弁機構用のロッカーアームやバルブリフターなどのカムフォロワのローラまたは支軸や、ころ軸受および円錐ころ軸受の転動体または軌道輪などが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
例えばエンジンの動弁機構において、耐久性の向上とメインテナンスフリー化を達成させるには、特にカム軸におけるカムおよびこれに接触するカムフォロワのローラの潤滑性が問題となる。
【0003】
近年では、カムフォロワのローラを支軸に対して転がり支持させる構造が採用されている。一般的に、カムフォロワのローラは、理論的にはカムに対して転がり接触となるはずであるが、カム形状からくるローラの回転速度変化や軸受作用荷重の急激な変動など、純転がり運動は不可能で、滑りを伴う転がり接触となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カムフォロワでは、そのローラ外周面とカムとの当接圧力が例えば150Kgf/mm2と非常に高くなるような厳しい使用条件となる。また、潤滑油の供給不良などにより潤滑油が希薄で潤滑条件が厳しくなる。
【0005】
このようなことから、カムフォロワのローラとカムとが、油膜を介さずに金属母材どうしの接触になりやすいために、この金属接触を起こした部分が発熱して特にピーリング、スメアリング、焼き付きなどの損傷が発生しやすくなるなど、耐久性つまり寿命が低下しやすくなる。
【0006】
特に、ディーゼルエンジンなどでは、ブローバイガスによりエンジンオイルが劣化しやすくて、煤などの燃焼生成物が発生するために、ローラとカムとの接触部位の潤滑条件がさらに厳しくなりやすいと言え、上述したような損傷がさらに早期段階で発生しやすくなる。
【0007】
このような事情に鑑み、本発明は、転がり摺動部品において、転がり接触あるいはすべり接触となる部位の損傷を長期にわたって抑制できるようにすることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る転がり摺動部品は、相手部材との間で相対的に転がり接触またはすべり接触が生ずる鉄系金属からなる転がり摺動部品であって、その転がり摺動面に、結晶粒径3μm以下としたリン酸塩皮膜が膜厚1〜4μmに設定されて形成されているとともに、このリン酸塩皮膜の形成前に前記転がり摺動面の表面に表面残留応力が500MPa以上とされる加工処理を予め施してあり、前記リン酸塩皮膜の形成過程で生じる侵食作用によって、前記転がり摺動面に、粗さ中心線を基準とした深さを0.5〜5μmかつ開口の平均直径を5〜30μmとしたくぼみが、1mm幅当たり15個以上互いに独立して形成され、前記くぼみ内をリン酸塩の結晶粒で埋めたうえで前記薄膜のリン酸塩皮膜が形成されている。
【0010】
以上、本発明では、転がり摺動面に対して形成するリン酸塩皮膜のリン酸塩の結晶粒径を特定しているとともに、このリン酸塩皮膜の形成過程で侵食される転がり摺動面の面性状を特定するようにしている。これにより、リン酸塩皮膜の摩耗が進行しても転がり摺動面に侵食形成されるくぼみ内にリン酸塩の結晶粒が残留しやすくなり、潤滑作用が長期継続されることになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0013】
図1ないし図3に本発明の一実施形態を示している。図1は、カムフォロワの縦断面図、図2は、支軸およびローラの表面を模式的に示す断面図、図3は、試験装置の縦断面図である。
【0014】
この実施形態では、転がり摺動部品を、カムフォロワの支軸およびローラとした例を挙げており、まず、カムフォロワの利用形態について、図4および図5を参照して説明する。
【0015】
図4には、OHV型式エンジンの動弁機構を示しており、カム軸1のカム1aによりプッシュロッド2を上下動させることによりその上端と連動するロッカアーム4を揺動させて、このロッカアーム4の揺動でバルブ5を開閉動作させるようになっており、ロッカアーム4の下端のバルブリフター6の下部にカムフォロワ7が設けられている。
【0016】
図5には、OHC型式エンジンの動弁機構を示しており、カム軸1のカム1aにより直接的にロッカアーム4を揺動させて、このロッカアーム4の揺動でバルブ5を開閉動作させるようになっており、このロッカアーム4の端部にカムフォロワ7が設けられている。
【0017】
いずれのカムフォロワ7も、図1に示すように、ロッカーアーム4やバルブリフター6の遊端部に一体的に形成される二股のアーム8,8と、アーム8,8間に架設される支軸9と、支軸9に対して複数の針状ころ11を介して回動自在に転がり支持されるローラ10とを含む。
【0018】
支軸9は、その両端がアーム8,8の軸挿入孔に対して挿入されていて、支軸9の両端面を打刻して塑性変形させるかしめにより抜け出し不可能なように固定される。この支軸9は、カム軸1からローラ10を介して繰り返し受ける荷重により変形しにくくなるように、例えばJIS規格SUJ−2により形成される。但し、この支軸9は、その両端部分を除いて高周波焼き入れなどの硬化処理を施してもよい。
【0019】
ローラ10は、例えばJIS規格でのSUJ−2、SCr420H、SCM420H、SNCM220H、SNCM420H、SNCM815や、SAE規格での4320、5120などにより形成される。
【0020】
そして、上述した支軸9の外周面およびローラ10の内外周面には、リン酸塩皮膜処理と呼ばれる化学的加工が施される。このリン酸塩皮膜処理とは、リン酸マンガン皮膜処理、リン酸亜鉛皮膜処理、リン酸亜鉛鉄皮膜処理、リン酸亜鉛カルシウム皮膜処理、リン酸鉄皮膜処理、リン酸すず皮膜処理などを含む広義の表現であり、これらいずれを採用してもよい。
【0021】
この実施形態では、リン酸マンガン皮膜処理を施す例を挙げる。このリン酸マンガン皮膜処理の内容は、後で詳細に説明するが、このリン酸マンガン皮膜処理を施すと、処理対象としての支軸9の外周面およびローラ10の内外周面には、例えば図2に誇張して示すように、互いに独立したくぼみ20が侵食により形成されるとともに、この表面全体にリン酸マンガン皮膜21が形成される。このリン酸マンガン皮膜21は、化学式で(Mn1-XFex)5H2(PO4)4・4H2Oと表され、結晶構造が単斜晶系である。
【0022】
そして、処理対象となる金属母材の表面状態やリン酸マンガン皮膜21の膜厚や表面状態は、以下に示す5つの項目を満たすものとされる。
【0023】
▲1▼ リン酸マンガン皮膜21の結晶粒径を3μm以下にする。
【0024】
▲2▼ 処理対象の表面に、粗さ中心線を基準(=0)とする深さが0.5〜5μmかつ開口の平均直径が5〜30μmのくぼみ20を1mm幅当たり15個以上互いに独立して設ける。
【0025】
▲3▼ 処理対象の表面における面粗さのパラメータSK値をマイナス値でかつパラメータRq値を0.1以上とする。SKとは、周知のように表面粗さ分布の偏りを見るのに用いるもので、このSK値がマイナス値とは、凹凸分布が凹側に偏った非対称な分布になるような表面状態を示す。Rqとは、周知のように自乗平均平方根粗さのことである。
【0026】
▲4▼ リン酸マンガン皮膜21の膜厚を、1〜4μmとする。
【0027】
▲5▼ リン酸マンガン皮膜21の表面の面粗さのパラメータRqを1.5以下、好ましくは0.3〜0.7、さらに好ましくは0.55〜0.65とする。このRqの代わりに中心線平均粗さRaで表現してもよく、そのときは周知の計算により換算することができる。
【0028】
次に、上記リン酸マンガン皮膜21を得るための処理内容について詳細に説明する。
【0029】
つまり、処理対象を水洗する第一水洗工程と、処理対象の表面を脱脂する脱脂工程と、脱脂した処理対象を水洗する第二水洗工程と、処理対象の表面を調整する表面調整工程と、処理対象の表面にリン酸マンガン皮膜処理を施す化成工程と、処理対象の表面を水洗する第三水洗工程と、処理対象の表面に水溶性防錆油を塗布する防錆工程と、処理対象の表面を乾燥する乾燥工程とを順次行う。
【0030】
なお、上記表面調整工程では、表面調整剤として日本パーカライジング株式会社製の商品名PL55を用い、また、上記化成工程では、リン酸マンガン化合物の水溶液として日本パーカライジング株式会社製の商品名パルホスM1Aを用いる。
【0031】
ところで、上記表面調整工程では、処理対象の表面に、表面調整剤に含まれるコロイド状の微小粒子が付着される。また、上記化成工程では、リン酸マンガン化合物の水溶液が処理対象と反応することにより、処理対象の表面を侵食しながら、上記微小粒子を核としてリン酸マンガンの結晶粒が成長し、図2に示すようなリン酸マンガン皮膜21が形成される。
【0032】
この化成工程での反応メカニズムとしては、処理開始段階において、処理対象の表面を侵食してその表面の局部からFe2+イオンを溶解させながら、前記Fe2+イオンがリン酸マンガン化合物の水溶液中のH+イオン、Mn2+イオンやH2PO4 -イオンと結合して、処理対象の表面に結晶成長することにより、(Mn1-XFex)5H2(PO4)4・4H2Oで表されるリン酸マンガン皮膜21が形成されるのである。
【0033】
次に、図3に示す試験装置50を用いて、種々な条件での性能を評価しているので、説明する。
【0034】
図3において、51は図示しないモータなどにより回転駆動される駆動軸、52は駆動軸51により回転される従動軸、53は駆動軸51の支持台、54は従動軸52の支持枠、55,56は駆動軸51のサポート軸受、57,58は従動軸52のサポート軸受、60は駆動軸51に固定される駆動試料、61は従動軸52に固定される従動試料である。
【0035】
試験では、駆動軸51の回転数を1000rpmとし、駆動試料60と従動試料61とに対して付加するラジアル荷重を最大接触面圧で換算して2.25GPaとし、運転時間を20時間(hr)とする。使用する潤滑油は、タービン油VG32とし、駆動試料60と従動試料61との間の潤滑油の最小膜厚を、0.284μmとなるように管理する。この潤滑油の最小膜厚(μm)と、下記する駆動試料60の表面粗さ(Rq)とで求められる油膜係数Λ(μm/Rq)については、0.48〜0.6の範囲に管理される。この油膜係数は、潤滑状態を示す指標であり、上述した具体数値は、カムフォロワ装置7の一般的な潤滑状態に近似させるように考慮している。
【0036】
駆動試料60は、上記動弁機構のカム1aに相当するものであり、例えば表面硬度がHRC61〜62に設定された一般的なJIS規格SUJ−2で形成し、その表面粗さを自乗平均平方根粗さ(Rq)で0.528〜0.594に設定している。
【0037】
従動試料61は、上記カムフォロワ装置7の支軸9およびローラ10に相当するものであり、例えば表面硬度がHRC61〜62に設定された一般的なJIS規格SUJ−2で形成し、その表面に種々な処理条件でリン酸マンガン皮膜21を形成している。このリン酸マンガン皮膜処理の条件は、下記表1に示すような8つ(実施形態1〜5、比較例6〜8)とする。
【0038】
なお、実施形態1〜5と比較例1は、従動試料61表面に互いに独立したくぼみ20が存在する形態になっており、比較例2,3は、従動試料61表面にのごぎり歯状あるいはサインカーブ状などのような連続する凹凸が存在する形態になっている。
【0039】
つまり、比較例2,3は、実施形態1〜5における試料表面粗さや粗さの形態の優位性を証明するためのものであり、また、比較例1は、実施形態1〜5における試料表面のくぼみ20の密度や深さを特定することの優位性を示すためのものである。
【0040】
【表1】
上記表1において、nは1mm幅当たりのくぼみ20の個数、hはくぼみ20の平均深さを表す。
【0041】
上記表1の評価欄の○、×は、特にピーリングの発生度合いに基づいて決定している。このピーリングとは、一般的に、微視的には表面亀裂を伴った深さ数ミクロン、大きさ数十ミクロンの微小はくりが発生する現象のことであり、巨視的には、表面の薄皮がはがれたようになる現象のことである。
【0042】
つまり、試験終了後に従動試料61の表面状態を観察すると、実施形態1〜5ではピーリングがほとんど発生しなかったが、比較例1ではピーリングの発生が多く見られ、比較例2,3では、リン酸マンガン皮膜21が摩耗した状態での表面の凹凸状態とピーリングとの識別が困難であるものの、亀裂の発生が見られたので、ピーリングが発生しているものと判断した。
【0043】
なお、実施形態1〜5や比較例1〜3のいずれでも、経時的にリン酸マンガン皮膜21が全体的に摩耗するのであるが、実施形態1〜5の場合では、くぼみ20内にリン酸マンガン皮膜21の結晶粒が残留した状態になるのに対し、比較例1〜3の場合では、凹み内にリン酸マンガン皮膜21の結晶粒があまり残留していない状態になる。このくぼみ20内に残留する結晶粒には、潤滑油が浸透して保持されるので、この潤滑油の染みだしにより、表面に油膜が途切れることなく形成されることになり、上述したような結果につながったと言える。
【0044】
このような結果により、カムフォロワ7の支軸9やローラ10などの転がり摺動部品について、その表面粗さを上述したような条件に特定したうえで、この表面にリン酸マンガン皮膜21を形成すれば、耐久性が向上して長寿命化に貢献できると言える。
【0045】
以上説明した実施形態でのカムフォロワ7では、潤滑油の希薄な環境であっても、支軸9の外周面およびローラ10の内外周面に、潤滑油の油膜が途切れることなく形成されることになって、ローラ10とカム1aとの直接的な金属接触や、ローラ10および支軸9と針状ころ11との直接的な金属接触を防止できるようになるので、支軸9およびローラ10の表面にピーリング損傷が発生することを長期にわたって抑制できるようになる。ところで、ディーゼルエンジンなどでは、潤滑油の劣化が早い上に、潤滑油に煤などの燃焼生成物が多いなど、潤滑条件が厳しいが、本発明を適用すれば潤滑性の改善に有効となる。
【0046】
また、上記実施形態のようにカムフォロワ7の支軸9やローラ10の外周面に膜厚や表面粗さを特定したリン酸マンガン皮膜21を形成していれば、カムフォロワ装置7の組み立て時や、カム1aとの接触圧調整などが簡単かつ適正に行いやすくなるなど、使い勝手が向上する。つまり、カムフォロワ7の組み立て時には、アーム8,8間に支軸9を架設するときの支軸9の挿入が比較的容易となり、また、支軸9に対して複数の針状ころ11を介してローラ10を外嵌装着するときの三者のはめ合いが比較的容易になる。さらに、ローラ10とカム1aとの接触圧調整時には、それらを接触させた状態でのリン酸マンガン皮膜21の膜厚変化が少なくなるので、接触圧調整作業が簡単にして高精度に行えるようになる。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0048】
(1)上記実施形態では、支軸9とローラ10の両方にリン酸マンガン皮膜処理を施すとしているが、いずれか一方のみに施した形態とすることができる。なお、リン酸マンガン皮膜処理は、少なくとも、ローラ10に対してはその外周面に、また、支軸9に対してはその外周面においてアーム8,8への固定部位を除く領域に、施せばよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、支軸9にローラ10を転がり軸受(針状ころ11)を介して支持させたカムフォロワ7を例示しているが、転がり軸受を用いずにすべり支持させるようにしたカムフォロワについても本発明の適用対象となる。
【0050】
(3)上記実施形態では、転がり摺動部品をカムフォロワ7の支軸9やローラ10とした例を挙げているが、ころ軸受や円錐ころ軸受の転動体や軌道輪の少なくともいずれか一つとしたり、自動車エンジンのピストンやその周辺部材としたり、さらに、コンロッドとクランクシャフトとそれらの間に介装されるケージアンドローラなどとすることができる。但し、円錐ころ軸受の場合では、円錐ころの端面や軌道輪の鍔部の少なくともいずれか一方にも、上記実施形態で説明した条件のリン酸マンガン皮膜処理を施すようにしてもよい。この場合、円錐ころの端面と軌道輪の鍔部との間の焼き付き抑制に効果がある。
【0051】
(4)上記実施形態において、リン酸マンガン皮膜21を形成する対象の金属を、上記実施形態での試験で例示した金属の表面硬度よりも高め、例えば表面硬度をHRCで64以上に設定してもよい。この場合、より苛酷な潤滑環境であっても、耐久性がさらに向上する。しかも、この場合では、転がり摺動部品が接触相手部材に対して損傷を与える度合い(攻撃性)を低く抑制できるようになる。この攻撃性のみについて言えば、上記実施形態での試験で例示した場合が最も少ないと言える。
【0052】
(5)上記各実施形態では、転がり摺動部品の表面にリン酸マンガン皮膜処理を施す例を挙げたが、その他にも、広義の表現であるリン酸塩皮膜処理に含まれるリン酸亜鉛皮膜処理、リン酸亜鉛鉄皮膜処理、リン酸亜鉛カルシウム皮膜処理、リン酸鉄皮膜処理、リン酸すず皮膜処理などとすることができる。
【0053】
(6)上記実施形態において、リン酸マンガン皮膜処理の前に、処理対象の表面に対して例えばショットブラストやバレル研磨などの機械加工を施すようにして、表面性状を管理するようにしてもよい。この機械加工の後で、リン酸マンガン皮膜処理を施せば、上述したような侵食作用がより好適に発生することになる。しかも、機械加工によって、処理対象の表面に残留応力が付与されるので、この残留応力を例えば500MPa以上となるように管理すれば、より過酷な潤滑条件であっても、ピーリングだけでなく疲労剥離も抑制できるようになるなど、耐久性がさらに向上する。
【0054】
【発明の効果】
請求項1の発明では、転がり摺動部品の表面に適度な深さかつ個数のくぼみを互いに独立して形成するとともに当該くぼみ内をリン酸塩の結晶粒で埋めたうえで所要膜厚のリン酸塩皮膜を形成するように工夫しているから、潤滑油の希薄な環境においても、転がり摺動部品と相手部材とが金属母材どうしの接触ではなく油膜を介する接触となるとともに、リン酸塩皮膜の摩耗が進行しても転がり摺動面に侵食形成されるくぼみ内にリン酸塩の結晶粒が残留しやすくなって潤滑作用が長期継続されることになる。したがって、転がり摺動部品表面におけるピーリングなどの損傷を長期にわたって抑制できるようになるなど、耐久性を向上できて長寿命化に貢献できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るカムフォロワの縦断面図
【図2】カムフォロワの支軸およびローラの表面を模式的に示す断面図
【図3】性能評価試験に用いる試験装置の縦断面図
【図4】本発明のカムフォロワの利用形態1を示す説明図
【図5】本発明のカムフォロワの利用形態2を示す説明図
【符号の説明】
1a カム
7 カムフォロワ
9 支軸
10 ローラ
20 くぼみ
21 リン酸マンガン皮膜
Claims (1)
- 相手部材との間で相対的に転がり接触またはすべり接触が生ずる鉄系金属からなる転がり摺動部品であって、その転がり摺動面に、結晶粒径3μm以下としたリン酸塩皮膜が膜厚1〜4μmに設定されて形成されているとともに、このリン酸塩皮膜の形成前に前記転がり摺動面の表面に表面残留応力が500MPa以上とされる加工処理を予め施してあり、前記リン酸塩皮膜の形成過程で生じる侵食作用によって、前記転がり摺動面に、粗さ中心線を基準とした深さを0.5〜5μmかつ開口の平均直径を5〜30μmとしたくぼみが、1mm幅当たり15個以上互いに独立して形成され、前記くぼみ内をリン酸塩の結晶粒で埋めたうえで前記薄膜のリン酸塩皮膜が形成されている、ことを特徴とする転がり摺動部品。
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